JP6732490B2 - 不織布濾過材 - Google Patents

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Description

本発明は、不織布濾過材、特に空気中の塵埃のろ過に使用される不織布濾過材に関するものである。
不織布濾過材は、自動車等に使用される内燃機関や燃料電池等のエアクリーナなどの濾過材として、空気のろ過に使用されている。このような用途においては、多量の空気から細かな塵埃を効率的に除去することが求められる。そして、不織布濾過材には、高い捕捉性能(清浄効率)と、長期間にわたって目詰まりせずにダストを除去しうる長寿命性、及び、限られた空間で十分なろ過性能を発揮しうるコンパクト性が求められる。
特に近年では、これらエアフィルタにおいて、カーボンダストのような微粒子ダストを除去する性能の向上が求められている。微粒子ダストの除去が不十分であると、濾過材(フィルタエレメント)の下流側に配置された流量センサなどの検出装置にダストが堆積し、検出装置の出力の正確さや安定性が不十分となりうるからである。
特許文献1には、オイルを含浸させていない複数の不織布層からなる不織布濾過材が開示され、当該不織布濾過材の空間率を、上流側の不織布層よりも下流側の不織布層が小さくなるように形成し、下流側の不織布層の空間率を85〜92%の範囲とし、下流側の不織布層を構成する繊維の平均繊度を3デシテックス以下、上流側の不織布層を構成する繊維の平均繊度を3デシテックス以上とすることが開示されている。当該不織布濾過材によれば、吸気脈動によるダスト透過が抑制され、カーボンダスト清浄効率とカーボンダスト保持量を良好に維持できるとの効果が得られる。
特開2005−349389号公報
近年、地域によっては、大気中の微粒子ダストが多い地域がある。例えば、新興工業地区に近い地域では、いわゆる大気汚染が深刻な地域があり、そうした地域では、例えばカーボンダストに代表される微粒子ダストの量が非常に多い。多層からなる濾材構成の不織布濾過材においては、カーボンダストのような微粒子ダストは、最もかさ密度が高く繊維径が小さい層(密層)で捕捉されることが多く、微粒子ダストの量が多いと、濾過材が目詰まりしやすくなって、濾過材の寿命が短くなりやすい。
そのため、特許文献1の不織布濾過材によってもなお、そのような微粒子ダストが多い地域においては、濾過材の寿命が不十分なものとなりがちである。
本発明の目的は、不織布濾過材の微粒子ダストに対する寿命を長寿命化することにある。
発明者は、鋭意検討の結果、多層構造の不織布濾過材において、最も密な不織布層を帯電防止処理された層とし、他の不織布層の少なくとも一部を帯電防止処理されていない層とすると、不織布濾過材の微粒子ダストに対する寿命を長くできることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、空間率が異なる不織布層を積層した積層構造を有する、内燃機関のエアクリーナに使用される不織布濾過材であって、少なくとも最も空間率が低い不織布層が帯電防止処理されていると共に、他の不織布層の少なくとも1つが、帯電防止処理されていない合成樹脂繊維製の不織布層であり、前記帯電防止処理がフッ素樹脂を含有する帯電防止処理剤によるものであるとともに、帯電防止処理されていない合成樹脂繊維不織布層が、帯電防止処理された不織布層よりも上流に位置する、不織布濾過材である(第1発明)。
また、発明においては、帯電防止処理されていない合成樹脂繊維不織布層が、PP樹脂および/またはPET樹脂を主体とする合成樹脂繊維を主体として構成されていることが好ましい(第発明)。また、第発明においては、帯電防止処理されていない合成樹脂繊維不織布層が、エレクトレット繊維を含むものであることが好ましい(第発明)。
本発明においては、帯電防止処理されていない不織布層が主体となって微粒子ダストを捕捉する一方で、最も空間率が低い不織布層が帯電防止処理されているため、この層での微粒子ダストの捕捉が抑制され、微粒子ダストによる目詰まりが抑制されて、微粒子ダストに対する寿命が長寿命化される。そして、本発明の不織布濾過材は、最も空間率が低い不織布層の目詰まり防止効果が特に高い。また、本発明の不織布濾過材は、微粒子ダストを最も空間率が低い不織布層に到達する前に補足することができて、微粒子ダストに対する長寿命化効果が特に高い。
また、発明や第発明の不織布濾過材は、帯電防止処理されていない不織布層における微粒子ダストの捕捉性能が高く、微粒子ダストに対する長寿命化効果がさらに高い。
発明の第1実施形態の不織布濾過材の断面構造を示す模式図である。 不織布濾過材を用いたエアクリーナエレメントの構造を示す模式図である。 発明の第2実施形態の不織布濾過材の断面構造を示す模式図である。
以下図面を参照しながら、自動車の内燃機関(エンジン)に供給する空気をろ過するためのエアクリーナのフィルタ材として利用可能な不織布濾過材を例として、発明の実施形態について説明する。発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。
図1は、発明の第1実施形態の不織布濾過材1の断面構造を示す模式図である。本実施形態の不織布濾過材はシート状の不織布であって、自動車エンジンのエアクリーナ用に供される場合には、通常、襞折りされた状態で枠に固定されたエアクリーナエレメント2として使用される。図2にエアクリーナエレメントの構造を模式的に断面図で示す。エアクリーナエレメント2は襞折りされた不織布濾過材1の周囲を枠体21で囲って一体化し、枠体21の周囲にシール部材22、22を設けて構成される。エアクリーナエレメントの具体的構成としては、公知の構成が採用でき、特に限定されない。エアクリーナエレメント2は、枠体21やシール材22を有しない構成であってもよい。
不織布濾過材1は、複数の不織布層を積層した多層構造の不織布濾過材である。そして、これら不織布層は、互いに空間率が異なるように合成樹脂繊維を主体として構成されている。
図1に不織布濾過材が使用される際の気流の流れを矢印で示すように、不織布濾過材において、上流側で使われるべき層と、下流側で使われるべき層があらかじめ定められていることが好ましい。また、不織布濾過材1は、少なくともドライ層である不織布層を含むように構成される。本実施形態の不織布濾過材においては、すべての不織布層11,12,13がドライ層とされている。ここで、ドライ層とは、不織布層に実質的にオイルが含浸・塗布されていない層のことである。ドライ層であることにより、これら不織布層の内部に多量のダストを保持する体積濾過が実現されるとともに、微粒子ダストの捕捉性能が向上する。なお、ドライ層とは別にビスカス層を設けてもよいが、その場合は、ドライ層であるべき層が確実にドライ層となるように、オイルの付着や移行を防止することが好ましい。
各不織布層11,12、13の構成について説明する。本実施形態の不織布濾過材1は、上流側に位置する粗層部11と下流側に位置する密層部13と、その間に位置する中間層部12を有する。本実施形態においては、粗層部11、中間層部12、密層部13となるにしたがって、不織布層のかさ密度が高くなる。換言すると、粗層部11は、中間層部12よりも、不織布層の空間率が高く、中間層部12は密層部13よりも、不織布層の空間率が高い。このように、不織布濾過材1は、上流側の不織布層が、下流側の不織布層よりも空間率が高くされていることが好ましいが、各不織布層の空間率と上流下流の関係は特に限定されず、上流側に位置する不織布層の空間率が、下流側に位置する不織布層の空間率よりも低くされていてもよい。
ここで不織布層の空間率とは、不織布層の単位体積当たりに占める空間体積(不織布層全体が占める体積から繊維が占める体積を除いた体積)を百分率で示した値である。不織布層が粗であるとは、空間率が大きいことを意味し、不織布層が密であるとは、空間率が小さいことを意味する。粗層部11の好ましい空間率は90〜99.5%程度である。また、中間層部12の好ましい空間率は85〜96%程度である。また、密層部13の好ましい空間率は80〜95%程度である。本実施形態においては、粗層部11の空間率が99.3%、中間層部12の空間率が94%、密層部13の空間率が92%とされている。
不織布濾過材1の粗層部11と中間層部12、密層部13の不織布層の目付は特に限定されないが、粗層部11の目付が、40〜200g/平方メートル程度、中間層部12の目付が、50〜250g/平方メートル程度、密層部13の目付が、70〜300g/平方メートル程度であることが好ましい。本実施形態においては、粗層部11の目付が75g/平方メートル、中間層部12の目付が90g/平方メートル、密層部13の目付が110g/平方メートルとされている。
不織布濾過材1は、上述した粗層部11、中間層部12、密層部13以外の層を有していてもよい。例えば、粗層部11よりも上流側に、プレフィルタ層を有していてもよい。あるいは、密層部13の下流側に他の層を設けてもよい。これら他の層を設けることは必須ではない。
あるいは、中間層部12と密層部13の2層の不織布層だけで、不織布濾過材を構成してもよい。
不織布濾過材1においては、少なくとも最も空間率が低い不織布層が帯電防止処理されている。本実施形態では、密層部13が帯電防止処理されている。一方、不織布濾過材1においては、帯電防止処理されていない不織布層が存在する。すなわち、最も空間率が低い不織布層以外の不織布層のうち、少なくとも1つの層は、帯電防止処理されていない不織布層とされている。本実施形態では、粗層部11と中間層部12とが帯電防止処理されていない不織布層である。
密層部13に対する帯電防止処理は、空気の通流によって生ずる帯電を緩和・抑制できるものであれば特に限定されない。帯電防止処理としては、界面活性剤成分を含む処理液に密層部13を浸漬処理してもよいし、密層部13を構成する合成樹脂繊維に対し帯電防止剤(例えば親水性セグメントを有する高分子をアロイ化した高分子型帯電防止剤)を練り込んで、繊維自体に帯電防止処理を行ってもよい。あるいは、フッ素樹脂を含有する帯電防止処理剤によって密層部13を浸漬処理して帯電防止処理してもよい。後述するように、フッ素樹脂を含有する帯電防止処理剤により帯電防止処理を行うことが特に好ましい。フッ素樹脂を含有する帯電防止処理剤による帯電防止処理は、密層部の構成繊維の表面をフッ素樹脂でコーティングして帯電防止処理を行うものであってもよい。あるいは、フッ素樹脂は微粉末状に帯電防止処理剤に含有されるものであってもよく、密層部の構成繊維の表面にフッ素樹脂粉末が存在するように帯電防止処理が行われてもよい。
不織布濾過材1において帯電防止処理されていない不織布層のうち、少なくとも1つの層は、合成樹脂繊維により構成されるドライ不織布層とされる。本実施形態においては、粗層部11と中間層部12とが、帯電防止処理されていない合成樹脂繊維製のドライ不織布層とされている。これら層は、不織布濾過材への通風により帯電して、微粒子ダストを効果的に捕捉することに寄与する。
本実施形態の不織布濾過材1における粗層部11や中間層部12のように、帯電防止処理されていない合成樹脂繊維製の不織布層は、帯電防止処理された不織布層(密層部13)よりも上流に位置することが好ましい。
帯電防止処理されていない合成樹脂繊維製の不織布層を構成する合成樹脂材料は、特に限定されず、典型的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のようなポリエステル樹脂、ナイロン6のようなポリアミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂のようなアクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂のようなポリオレフィン樹脂が使用できる。合成樹脂繊維として、内側がPET樹脂で外側がポリエチレン樹脂であるような芯鞘繊維を用いてもよい。これら合成樹脂繊維は、通風により帯電しやすい繊維を選択することが好ましい。帯電防止処理されていない合成樹脂繊維製の不織布層を、帯電しやすい繊維を主体として構成するという観点から、ポリプロピレン(PP)樹脂および/またはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を主体とする合成樹脂性繊維を主体として、帯電防止処理されていない合成樹脂繊維製の不織布層を構成することが好ましい。
また、帯電防止処理されていない合成樹脂繊維製の不織布層がエレクトレット繊維を含む不織布層であることが好ましい。エレクトレット繊維は繊維内で分極していて、分極による静電気で微粒子ダストを効果的に捕捉できる。不織布にエレクトレット繊維を含ませる方法は特に限定されず、例えばポリプロピレン樹脂製のメルトブロー不織布に対し、コロナ印加法により帯電させて、不織布全体をエレクトレット不織布としたものを用いてもよい。あるいは、繊維紡糸時や延伸時に高電圧処理してエレクトレット繊維としたり、樹脂フィルムにコロナ放電処理等によりエレクトレット処理した後に割繊してエレクトレット繊維としたりして、得られたエレクトレット繊維を、他の繊維と混紡して、エレクトレット繊維を含む不織布層を構成してもよい。
粗層部11や中間層部12、密層部13を構成する繊維の平均繊維径や捲縮の度合い、不織布化の方式などは、公知の技術が利用できる。芯鞘繊維や複合繊維、立体捲縮した繊維等を用いてもよい。本実施形態の不織布濾過材のように、粗層部と中間層部、密層部を設ける場合には、隣接する層の間で比較して、空間率が高い側の層を太い繊維で高い空間率に構成し、空間率が低い側の層を細い繊維で低い空間率となるように構成することが好ましい。
例えば、粗層部11中には、平均繊維径が15〜45μmの繊維が含まれることが好ましく、中間層部12には、平均繊維径が10〜30μmの繊維が含まれることが好ましく、密層部13には、平均繊維径が5〜20μmの繊維が含まれることが好ましい。
本実施形態においては、粗層部11は、平均繊維径26.8μmの複合繊維を主体として構成されている。また、本実施形態においては、中間層部12は、平均繊維径14μmの繊維を主体として構成されている。また、本実施形態においては、密層部13は、平均繊維径11.6μmの繊維を主体として構成されている。
ここで、繊維の平均繊維径について説明する。繊維が単一の材料・種類である場合には、平均繊維径とは、デニールやデシテックスといったその繊維の繊度と、繊維を構成する材料の密度から、繊維が円断面であるとして直接計算される繊維径のことである。平均繊維径を求めたい繊維群の繊維が複数の種類である場合や、繊維が複数の構成材料からなる場合には、それぞれの繊維や構成材料について、繊度や密度からそれぞれの平均繊維径を求めたうえで、それぞれの繊維や構成材料の配合割合に応じて平均繊維径の加重平均を取ったものを、平均繊維径として扱えばよい。また、繊維が異形断面や中空構造を有する場合には、繊維の顕微鏡写真から複数個所で繊維の幅を測定し、それら幅の算術平均を取ったものを繊維の平均繊維径として扱えばよい。
第1実施形態の不織布濾過材1の製造方法について説明する。不織布濾過材1は、粗層部11、中間層部12、密層部13になるべきそれぞれの繊維集合体(ウェブあるいは不織布)を積層させる第1の工程と、その積層体にニードルパンチや水流交絡処理や熱処理やバインダ処理を施して一体化する第2の工程を含む、不織布製造方法により製造される。この製造方法は公知である。
第1の工程においては、まず、粗層部を構成する原料繊維を開繊・混紡し、計量・給綿工程を経て粗層部となるべきウェブを得る。同様に、中間層部を構成する原料繊維を開繊・混紡し、計量・給綿工程を経て中間層部となるべきウェブを得る。同様に、密層部を構成する原料繊維を開繊・混紡し、計量・給綿工程を経て密層部となるべきウェブを得る。次いで、密層部となるべきウェブの上に、中間層部となるべきウェブおよび、粗層部となるべきウェブをこの順序で積層する。以上が第1工程である。
第1工程が完了するまでに、帯電防止処理されるべき不織布層となるウェブ(本実施形態では密層部となるべきウェブ)に帯電防止処理を施しておくことが好ましい。密層部となるべきウェブの代わりに、すでに帯電防止処理がされている不織布(例えば帯電防止処理されたスパンボンド不織布)を用いて、この不織布の上に、中間層部となるべきウェブおよび、粗層部となるべきウェブを積層して第1工程を行ってもよい。
次いで、得られた積層体をニードルパンチ工程に供し、各層が所定の空間率となるように制御しながら一体化する。ニードルパンチ工程に引き続き、バインダ処理や熱処理を行い、繊維の交点部分を固定することが好ましい(第2工程)。この一体化工程を経ることで、不織布濾過材1が得られる。なお、帯電防止処理の後にバインダ処理が行われる場合には、すでに帯電防止処理がされた層に対しては、バインダ処理液が付かないようにすることが好ましい。
なお、帯電防止処理は第2工程である一体化工程においてもしくはその後で行ってもよい。例えば、第1工程においては帯電防止処理をせずに各層を構成するウェブや不織布を積層しておいて、第2工程である一体化工程を行った後に、密層部にだけ処理液が塗布されるように、帯電防止処理液による処理を行って、密層部に対し帯電防止処理を行ってもよい。
上記実施形態の不織布濾過材1の作用および効果について説明する。
不織布濾過材1においては、粗層部11や中間層部12では帯電防止処理がされていない。これら層においては、空気が通流することにより、構成繊維が帯電し、カーボンダストのような微粒子ダストが、これら層の構成繊維表面に吸着される。そのため、不織布濾過材1によれば、微粒子ダストを効果的に捕捉することができる。一方、不織布濾過材1においては、最も空間率が低い不織布層である密層部13には、帯電防止処理がされている。そのため、密層部13では、空気が通流しても構成繊維が帯電しにくく、カーボンダストのような微粒子ダストの捕捉力が低くなる。
そのため、不織布濾過材1においては、帯電防止処理されていない粗層部11や中間層部12が中心となって、微粒子ダストを捕捉し、密層部13があまり、微粒子ダストを捕捉しない。したがって、密層部13において微粒子ダストが堆積し目詰まりしてしまい、微粒子ダストに対する濾過材の寿命が短くなってしまうことが抑制される。すなわち、不織布濾過材1によれば、微粒子ダストに対する寿命を長くできる。
微粒子ダストに対する寿命を長くするという観点からは、帯電防止処理がフッ素樹脂を含有する帯電防止処理剤により処理されたものであることが好ましい。フッ素樹脂を含有する帯電防止処理剤を用いると、繊維表面に付着したフッ素樹脂により、密層部13の構成繊維の繊維表面が滑りやすくなって、密層部13の構成繊維表面に微粒子ダストが堆積しにくくなるからである。
また、第1実施形態の不織布濾過材1のように、帯電防止処理されていない合成樹脂不織布層(粗層部11、中間層部12)が、帯電防止処理された不織布層(密層部13)よりも上流に位置することが、微粒子ダストに対する寿命を長くするという観点から特に効果的である。帯電防止処理されていない不織布層が上流側にあれば、それら層で微粒子ダストがより多く捕捉されて、目詰まりしやすい密層部(空間率が低い不織布層)に達する微粒子ダストが少なくなって、密層部がより目詰まりしにくくなるからである。
また、帯電防止処理されていない不織布層が上流側に配置された不織布濾過材において、さらに、第1実施形態の不織布濾過材1のように、帯電防止処理されていない合成樹脂不織布層が、PP樹脂および/またはPET樹脂を主体とする合成樹脂性繊維を主体として構成されていると、これら層における帯電が効果的に生じ、これら層における微粒子ダストの捕捉性能が向上する。その結果、密層部の目詰まり抑制がより効果的になり、不織布濾過材1の微粒子ダストに対する寿命をより長くできる。
また、帯電防止処理されていない不織布層が上流側に配置された不織布濾過材において、さらに、帯電防止処理されていない合成樹脂不織布層が、エレクトレット繊維を含むものであると、エレクトレット繊維を含む層における微粒子ダストの捕捉性能が大きく向上でき、エレクトレット層の下流側に流れていく微粒子ダストを少なくすることができる。その結果、下流側に位置する密層部の目詰まり抑制がより効果的になり、不織布濾過材1の微粒子ダストに対する寿命をより長くできる。
発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。
帯電防止処理は、少なくとも、最も空間率が低い不織布層を含むようになされるが、帯電防止処理される不織布層の数は1つであってもよいし、複数層であってもよい。例えば、最も空間率が低い不織布層と、その下流側の層を帯電防止処理するようにしてもよい。あるいは、最も空間率が低い不織布層とその上流側に隣接する層に対し、帯電防止処理をしてもよい。
また、帯電防止処理を行った層を、帯電防止処理を行っていない層で挟み込むようにしてもよい。例えば、図3に示す第2実施形態の不織布濾過材3のようにされていてもよい。不織布濾過材3は4層構成の不織布濾過材であり、上流側から、粗層部31、中間層部32、密層部33、第2中間層部34が積層一体化されている。密層部33が最も空間率が低く構成された不織布層であり、この層は帯電防止処理がされた層である。一方、粗層部31、中間層部32、第2中間層部34は、密層部33に比べ空間率が高く、帯電防止処理がされていない。また、中間層部32、第2中間層部34は、エレクトレット繊維を含む不織布層となっている。
この様な構成であっても、微粒子ダストによる密層部の目詰まりが抑制されて、微粒子ダストに対する不織布濾過材3の寿命が長くなる。また、本実施形態においては、帯電防止処理された層の上流側及び下流側の両方に、帯電防止処理されていない不織布層が設けられていて、これら不織布層により微粒子ダストを効率的に捕捉できるので、不織布濾過材3の微粒子ダストの捕捉効率(清浄効率)も向上できる。特に、帯電防止処理された密層よりも下流側に配置された帯電防止処理されていない層(第2中間層部34)に、エレクトレット繊維が含まれていると、微粒子ダストの捕捉効率の向上に効果的である。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
また、以下に示す実施例や比較例において、いずれの例における濾過材も、相違する旨の記載のない繊維の材質や厚みや目付け量、積層された層の間の密度勾配等の構成は、実質的に同じであり、試験に供する際に成形したフィルタエレメントの形状や襞折りの仕様も同一としている。実施例及び比較例の繊維構成や性能評価結果を表1に示す。
Figure 0006732490
(実施例1)
実施例1は、上記第1実施形態として説明した不織布濾過材1である。粗層部11はPET繊維製であり、目付は75g/平方メートル、空間率は99.3%、粗層部11を構成する繊維の平均繊維径は26.8μmである。中間層部12はPET繊維製であり、目付は90g/平方メートル、空間率は94%、中間層部12を構成する繊維の平均繊維径は14μmである。密層部13はPET繊維製であり、目付は110g/平方メートル、空間率は92%、密層部13を構成する繊維の平均繊維径は11.6μmである。実施例1の不織布濾過材1では、密層部13にフッ素樹脂を含有する帯電防止剤により帯電防止処理がされており、粗層部11及び中間層部12には、帯電防止処理がされていない。
(実施例2)
実施例1に対し、帯電防止処理剤を界面活性剤系の帯電防止処理剤によるものに変更し、他は実施例1と同様の構成としている。
(比較例1)
実施例1に対し、密層部13に対する帯電防止処理をしない例である。他は実施例1と同様の構成としている。
(比較例2)
実施例1に対し、粗層部11と中間層部12に対しても、即ちすべての不織布層に対し帯電防止処理をした例である。他は実施例1と同様の構成としている。
実験:微粒子ダスト(カーボンダスト)についての性能評価を行った。
得られた不織布濾過材を襞折り構造に形成して枠体を取り付けて、エアクリーナエレメントとし、試験に供した。なお、試験は粗層部11の側が上流側となるようにして行った。各エアクリーナエレメントについて、JISD1612(自動車用エアクリーナ試験方法)に準じて、ランプバーナ法により発生させたカーボンダストについてダスト捕捉量試験、ダスト捕捉性能試験を行った。その試験条件を下記に示す。
濾過材有効濾過面積:0.18平方メートル
試験ダスト:カーボンダスト(ランプバーナ法)
ダスト供給量:0.42g/分
試験流量:4.2立方m/分
通気抵抗:濾過材の上流と下流の間の差圧(試験開始時)
増加通気抵抗が2.94kPaに達したときをフルライフとし、それまでに捕捉したダストの量(ダスト捕捉量)を微粒子寿命(ダスト保持量)とする。
ダスト捕捉性能については、エアクリーナエレメントに捕捉された微粒子ダストの量(A)と、エアクリーナエレメントを透過して下流に設けられたアブソリュートフィルタに捕捉された微粒子ダストの量(B)とを測定して、微粒子ダストの総量(A+B)のうち、どの割合でエアクリーナエレメントに捕捉されたか(A/(A+B))を百分率で求めたものを微粒子ダストに対する捕捉効率(微粒子清浄効率)とした。
試験結果を評点で表1に示している。なお、評点は、比較例1の試験値を基準(10点)として、各性能がどの程度向上/悪化したかを、段階的なレベルで示しており、点数が大きいほど好ましい性能(フルライフのダスト捕捉量が増大する(寿命が長くなる)、微粒子ダストの捕捉効率が高くなる)であることを表している。
例えば、濾過材の微粒子寿命の評点が10から15に上がることは、微粒子ダストのフルライフ捕捉量が約5割増加することを表している。また微粒子捕捉効率の評点が10から11に上がることは、捕捉効率が3%程度改善することを表している。
いずれの実施例においても、比較例1に対し、微粒子ダストの捕捉効率の評点をさほど悪化させずに、微粒子ダストに対する寿命を大きく改善できている。これに対し、すべての層を帯電防止処理した比較例2では、微粒子ダストの捕捉効率の評点が大きく悪化しており、寿命の改善もそれほどではなかった。
また、これら実施例の中で、実施例1と実施例2を比べると、フッ素樹脂を含有する帯電防止剤が、微粒子ダストに対する寿命の改善に特に効果的であることがわかる。
本発明に係る不織布濾過材は、例えば自動車用エンジンに供給する空気を濾過する用途に使用でき、特に微粒子ダストに対する濾過材の寿命を改善できて、産業上の利用価値が高い。
1 不織布濾過材
11 粗層部
12 中間層部
13 密層部
2 エアクリーナエレメント
21 枠体
22 シール部材
3 不織布濾過材
31 粗層部
32 中間層部
33 密層部
34 第2中間層部

Claims (3)

  1. 空間率が異なる不織布層を積層した積層構造を有する、内燃機関のエアクリーナに使用される不織布濾過材であって、
    少なくとも最も空間率が低い不織布層が帯電防止処理されていると共に、
    他の不織布層の少なくとも1つが、帯電防止処理されていない合成樹脂繊維製の不織布層であり、
    前記帯電防止処理がフッ素樹脂を含有する帯電防止処理剤によるものであるとともに、
    帯電防止処理されていない合成樹脂繊維不織布層が、帯電防止処理された不織布層よりも上流に位置する、
    不織布濾過材。
  2. 帯電防止処理されていない合成樹脂繊維不織布層が、PP樹脂および/またはPET樹脂を主体とする合成樹脂繊維を主体として構成されている請求項1に記載の不織布濾過材。
  3. 帯電防止処理されていない合成樹脂繊維不織布層が、エレクトレット繊維を含むものである請求項1に記載の不織布濾過材。
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