JP6614982B2 - 不織布濾過材 - Google Patents
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本発明の目的は、濾過材の通気抵抗や寿命との性能バランスを保ちながら、脈動によるダスト抜けを効果的に抑制できる濾過材不織布濾過材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、自動車の内燃機関に供給する空気のろ過に適した不織布濾過材を提供することにある。
また、本発明は、第1発明ないし第4発明のいずれかの不織布濾過材を有する、自動車の内燃機関用のエアクリーナエレメントである(第5発明)。
あるいは、単一の不織布層で、スパンボンド層の上流に位置するドライ層を構成してもよい。
なお、粗層部の上流側にビスカス層を設けてもよいが、その場合は、粗層部11や密層部12が確実にドライ層となるように、オイルの付着や移行を防止することが好ましい。
不織布濾過材1においては、スパンボンド層13の上流側に設けられた、ドライ層である不織布層としての粗層部11と密層部12が、ダストの捕捉に関する基本機能を果たす。不織布濾過材に要求される、ダストの捕捉性能(清浄効率)や寿命(ダスト保持量)、通気抵抗、および、微粒子ダストに対する捕捉性能や寿命といった種々の特性が満足されるよう、粗層部11と密層部12の構成が調整される。なお、微粒子ダストに対する捕捉性能や寿命を向上させる観点から、粗層部11や密層部12はドライ層とされている。
また、以下に示す実施例や比較例において、いずれの例における濾過材も、相違する旨の記載のない繊維の材質や厚みや目付け量、積層された層の間の密度勾配等の構成は、実質的に同じであり、試験に供する際に成形したフィルタエレメントの形状や襞折りの仕様も同一としている。実施例及び比較例の繊維構成や性能評価結果を表1及び表2に示す。
実施例1は、上記第1実施形態として説明した不織布濾過材1である。粗層部11はPET繊維製であり、目付は75g/平方メートル、空間率は99.3%、粗層部11を構成する繊維の平均繊維径は21μmである。密層部12はPET繊維製であり、目付は110g/平方メートル、空間率は93.5%、密層部12を構成する繊維の平均繊維径は14μmである。実施例1の不織布濾過材1は密層部12の下流側にスパンボンド不織布層13を有しており、スパンボンド不織布層13は、目付が15g/平方メートル、平均繊維径が15μm、エンボス加工のドットの密度が10個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が10%に調製されている。
実施例1に対し、スパンボンド層のエンボスパターンに関して、ドットの密度を高め、ドット部分の面積の比率を大きくした例である。スパンボンド層を、目付が15g/平方メートル、平均繊維径が15μm、エンボス加工のドットの密度が20個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が20%に調製されたものに変更し、他は同様の構成としている。
実施例1に対し、スパンボンド層の目付とドット密度を変更した例である。スパンボンド層を、目付が25g/平方メートル、平均繊維径が15μm、エンボス加工のドットの密度が20個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が10%に調製されたものに変更し、他は同様である。なお、スパンボンド層の目付の変更に際し、密層部の目付を、スパンボンド層と密層の目付の和が一定になるように100g/平方メートルに調整している。
実施例1に対し、スパンボンド層の目付とドット密度を変更した例である。スパンボンド層を、目付が45g/平方メートル、平均繊維径が15μm、エンボス加工のドットの密度が20個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が10%に調製されたものに変更し、他は同様である。なお、スパンボンド層の目付の変更に際し、密層部の目付を、スパンボンド層と密層の目付の和が一定になるように80g/平方メートルに調整している。
実施例1に対し、スパンボンド層の平均繊維径を太く変更した例である。スパンボンド層を、目付が15g/平方メートル、平均繊維径が33μm、エンボス加工のドットの密度が20個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が10%に調製されたものに変更し、他は同様である。
実施例1に対し、スパンボンド層をメルトブロー不織布層に変更した例である。メルトブロー層は、目付が8g/平方メートル、平均繊維径が9μm、エンボス加工のドットの密度が20個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が10%に調製されたもので構成した。なお、密層部の目付を、120g/平方メートルに調整している。
実施例1に対し、スパンボンド層をなくして、密層部の目付を125g/平方メートルにした例である。なお、スパンボンド層と密層の目付の和は実施例1と同じである。
実施例1に対しスパンボンド層を目付の小さなものに変更した例であり、スパンボンド層として、目付が3g/平方メートル、平均繊維径が15μm、エンボス加工のドットの密度が10個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が10%に調製されたものを密層部の下流側に設けた例である。
実施例1に対しスパンボンド層を目付の大きなものに変更した例であり、スパンボンド層を、目付が70g/平方メートル、平均繊維径が15μm、エンボス加工のドットの密度が20個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が10%に調製されたものに変更し、他は同様とした例である。なお、スパンボンド層の目付の変更に際し、密層部の目付を、スパンボンド層と密層の目付の和が一定になるように55g/平方メートルに調整している。
実施例1に対しスパンボンド層のドット密度とドット部分の面積比を変更した例であり、スパンボンド層を、目付が15g/平方メートル、平均繊維径が15μm、エンボス加工のドットの密度が0.5個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が2%に調製されたものに変更し、他は同様とした例である。
実施例1に対しスパンボンド層のドット密度とドット部分の面積比を変更した例であり、スパンボンド層を、目付が15g/平方メートル、平均繊維径が15μm、エンボス加工のドットの密度が70個/平方センチメートル、ドットの部分の面積比が30%に調製されたものに変更し、他は同様とした例である。
得られた不織布濾過材を襞折り構造に形成して枠体を取り付けて、エアクリーナエレメントとし、試験に供した。各エアクリーナエレメントについて、JISD1612(自動車用エアクリーナ試験方法)に準じて、JIS−8種のダストについてダスト捕捉量試験、及び通気抵抗試験を行った。その試験条件を下記に示す。
試験ダスト:一般ダスト(JIS−8種ダスト)
ダスト供給量:4.2g/分
試験流量:4.2立方m/分
通気抵抗:濾過材の上流と下流の間の差圧(試験開始時)
増加通気抵抗が2.94kPaに達したときをフルライフとし、それまでに捕捉したダストの量(ダスト捕捉量)を寿命(ダスト保持量)とする。
脈動性能評価試験は、上記ダスト捕捉量の測定試験を経て、フルライフに達するよう目詰まりするまでダストを付着させた状態のエアクリーナエレメントを用いて、定格流量(4.2立方m/分)の空気を流しながら、プラスマイナス33kPaの周期的な圧力変動を、周波数167Hzで30分間与えて行う脈動評価試験により行った。脈動評価試験を行うと、エアクリーナエレメントに捕捉されていたダストがダスト抜けにより下流側に流出し、エアクリーナエレメント捕捉されたダスト量が減少する。脈動評価試験前後のエアクリーナエレメントの重量変化から、脈動によりダスト抜けしたダストの重量を計算し、それを脈動評価試験開始時のダスト保持量(フルライフ時のダスト捕捉量)で除することにより、脈動透過率(%)を計算した。
例えば、濾過材寿命の評点が10から15に上がることは、微粒子のフルライフ捕捉量が約1.5倍に増加することを表している。
脈動透過率の評点が10から15に上がることは、脈動透過率が半減することを表している。
通気性能の評点が10から11に上がることは、濾過材の通気抵抗が5%程度改善することを表している。
また、これら実施例の中で、実施例1と実施例2を見ると、スパンボンド層のドットの密度や面積比が多い方が、脈動透過率の改善に効果的であることがわかる。
また、また、これら実施例の中で、実施例1と実施例3、実施例4を見ると、スパンボンド層の目付が大きい方が、脈動透過率の改善に効果的であることがわかる。
また、これら実施例の中で、実施例1と実施例5を見ると、スパンボンド層の平均繊維径が細い方が、脈動透過率の改善に効果的であることがわかる。
また、実施例6のように、スパンボンド不織布の代わりにメルトブロー不織布を用いても、同様に、濾過材の寿命や通気性能の評点をさほど悪化させずに、脈動透過率を改善できることがわかる。
11 粗層部
12 密層部
13 スパンボンド層
2 エアクリーナエレメント
21 枠体
22 シール部材
Claims (5)
- スパンボンド不織布層を有する多層構造の不織布濾過材であって、
前記スパンボンド不織布層の上流側には、ドライ層である不織布層が設けられており、
前記ドライ層である不織布層は、原料繊維のウェブをニードルパンチまたは水流交絡処理によって交絡させた不織布層であり、
前記スパンボンド不織布層の目付は5〜50g/平方メートルであって、かつ、
前記スパンボンド不織布層は、複数のドットが散在する形態にエンボス加工されていて、ドットの部分で繊維が熱溶着されており、
前記ドット部分がスパンボンド不織布層に2〜50個/平方センチメートルの密度で設けられ、ドット部分の面積がスパンボンド不織布層の面積の5〜25%となるように設けられている、内燃機関用の不織布濾過材。 - スパンボンド不織布層に含まれる繊維の平均繊維径が5〜30μmである、請求項1に記載の不織布濾過材。
- メルトブロー不織布層を有する多層構造の不織布濾過材であって、
前記メルトブロー不織布層の上流側には、ドライ層である不織布層が設けられており、
前記ドライ層である不織布層は、原料繊維のウェブをニードルパンチまたは水流交絡処理によって交絡させた不織布層であり、
前記メルトブロー不織布層の目付は5〜30g/平方メートルであって、かつ、
前記メルトブロー不織布層は、複数のドットが散在する形態にエンボス加工されていて、ドットの部分で繊維が熱溶着されており、
前記ドット部分がメルトブロー不織布層に4〜100個/平方センチメートルの密度で設けられ、ドット部分の面積がメルトブロー不織布層の面積の5〜25%となるように設けられている、内燃機関用の不織布濾過材。 - メルトブロー不織布層に含まれる繊維の平均繊維径が1〜15μmである、請求項3に記載の不織布濾過材。
- 請求項1ないし請求項4にいずれかに記載の不織布濾過材を有する、自動車の内燃機関用のエアクリーナエレメント。
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JP2016009499A JP6614982B2 (ja) | 2016-01-21 | 2016-01-21 | 不織布濾過材 |
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