JP5710426B2 - オイル含浸濾過材 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等に使用される内燃機関や各種通気装置等のエアフィルタとして利用できるオイル含浸濾過材およびフィルタエレメントに関する。
上記エアフィルタ(エアクリーナー)としては、エンジンに清浄な空気を送るために、微細なダストを除去できる性能すなわち高い捕集効率が求められていた。特に近年では、オイルを塗布した濾過材から透過するカーボンダストや、濾紙や不織布などの濾過材から透過する粒子径の小さなダストが、エアフィルタの下流に設置されるエアフローメータやエンジン摺動部に悪影響を与えることが無いよう、カーボンダストに対するより高い捕集効率が求められている。その一方で、エアフィルタには、長期間にわたり目詰まりすること無く使用できる長寿命化が求められている。
このような多様な要求事項を満足できるようなエアフィルタを提供するために、種々の濾過材が検討・提案されてきており、一般に、オイル含浸などの手段により濾過材にオイルを含有させることで、濾過材の表面にケーク層を形成しながらダストの捕集を行うようにして、濾過材の捕集効率を高めながら長寿命化が図れることが知られている。しかしながら、一方では、オイルを含浸させた濾過材ではカーボンダストを効果的に捕捉することができないことが知られている。
こうした困難を改良するために、オイルが含浸され比較的密な第1のフィルタ層の下流側に、撥油層たる比較的疎な第2のフィルタ層を設けた濾過材が提案されている(特許文献1参照)。また、オイルが含浸された比較的疎な第1のフィルタ層の下流側に、撥油層たる比較的密な第2のフィルタ層を設けた濾過材も提案されている(特許文献2参照)。これらの濾過材は、オイルを含浸した上流側のフィルタ層(ウェット層、あるいはビズカス層)において一般ダストの捕捉を行い、下流側の撥油層たるフィルタ層(ドライ層)によってカーボンダストの捕捉を行うことにより、エアフィルタへの多様な要求事項を満足させようとするものである。
また、特許文献3には、比較的疎である撥油層を上流側に配置し(疎層部)、比較的密であるオイル含浸層を下流側に配置し(密層部)、上流の疎層部(撥油層)に付着したオイルの、下流の密層部への移動を促進して、前記疎層部をドライ化し、このドライ化された疎層部によって主にカーボンダストを捕捉するようにしたオイル含浸濾過材が開示されている。
特開2003−161213 特開2003−299922 特開2007−301481
本発明の目的は、前記公知文献に記載されたような技術とは別の技術手段により、オイルの含有によってフィルタの長寿命化と捕集効率向上を図りながら、同時にカーボンダストも良好に捕集できるような、濾過材およびフィルタエレメントを提供することにある。
発明者は、鋭意検討の結果、積層構造のオイル含浸濾過材において、他の層と比べ密層とされた下流側の層を、撥油性繊維(疎油性繊維)と親油性繊維(非疎油性繊維、好ましくは低融点繊維(熱溶融繊維))を混紡した不織布とすると、驚くべきことに、下流側層がオイル含浸層でありながらあたかもドライタイプ濾過材のような良好なカーボン捕集特性を発揮し、濾材の長寿命化とカーボンダストの捕集性が両立されて、上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、不織布にオイルを含浸してなるオイル含浸濾過材であって、前記不織布は上流側に位置する粗層部と下流側に位置する密層部とを有する密度勾配を持った多層構造を有し、前記密層部には親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されると共に、この親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されたものの一部を溶融させて、この混紡されたものの構造が固定されており、密層部には撥油性繊維が5重量%以上30重量%以下の割合で混紡されたオイル含浸濾過材である。
本発明においては、撥油性繊維には撥油剤または撥水剤が塗布されていることが好ましい。また、本発明においては、撥油性繊維は、フッ素樹脂あるいはシリコーン樹脂をコーティングした繊維、あるいはフッ素樹脂繊維であることが好ましい。
本発明は、不織布にオイルを含浸してなるオイル含浸濾過材を備えており、前記不織布は上流側に位置する粗層部と下流側に位置する密層部とを有する密度勾配を持った多層構造を有し、前記密層部には親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されると共に、この親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されたものの一部を溶融させて、この混紡されたものの構造が固定されており、密層部には撥油性繊維が5重量%以上30重量%以下の割合で混紡されており、このオイル含浸濾過材が襞折りにされているフィルタエレメントである。
本発明のオイル含浸濾過材によれば、オイルの含有によってフィルタの長寿命化と捕集効率向上を図りながら、同時にカーボンダストも良好に捕集できるという効果が得られる。
本発明のオイル含浸濾過材を用いたフィルタエレメントの一例を示す斜視図である。 本発明のオイル含浸濾過材の断面構造を示す模式図である。
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお本発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。
図1には、本発明のオイル含浸(含有)濾過材1を使用した、フィルタエレメント3の一例を示し、オイル含有濾過材1は襞折りにされて略長方形状の枠体2にその周囲を保持されており、枠体2にはシール部材4が取り付けられて、フィルタエレメント3が構成されている。フィルタエレメント3は、例えば内燃機関などの吸気経路に設けられるエアクリーナーのケース内部に取り付けられて、空気中の各種ダストを濾過する。
図2は本発明のオイル含浸濾過材の断面構造を示す模式図である。図中の矢印は濾過される空気が流れる方向を示している。
オイル含浸濾過材1は、不織布からなる上流側の第1のフィルタ層11と、不織布からなる下流側の第2のフィルタ層12で構成される積層構造(多層構造)を有する不織布製の濾過材である。上流側の第1のフィルタ層11に対して、下流側の第2のフィルタ層12は空間率が小さくされ、オイル含浸濾過材1は、上流側よりも下流側の不織布の空間率が小さくなるような(すなわち密となる)厚み方向の密度勾配を有し、第1のフィルタ層11は粗層部、第2のフィルタ層12は密層部となっている。
第1のフィルタ層を構成する不織布としては、空間率が85〜99%のものが好適に使用され、第2のフィルタ層を構成する不織布としては、空間率が70〜90%のものが好適に使用される。
第1および第2のフィルタ層11、12には、いずれの層にもオイルが含浸されており、いわゆるウェットタイプのフィルタ層となっている。各層におけるオイル含浸の形態は、オイルが繊維の中に吸収されるような形態であってもよいし、繊維の表面や繊維と繊維の間にオイルが存在するような形態であってもよい。
第1のフィルタ層11はオイルを含浸可能な不織布素材からなる層であって、公知のオイル含浸濾過材に使用されるような、親油性繊維(非疎油性繊維)により構成される不織布が広く使用可能である。
第2のフィルタ層12には、親油性繊維と撥油性繊維(疎油性繊維)とが混紡されると共に、この親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されたものの一部を溶融させて、この混紡されたものの構造が固定されている。言い換えれば、第2のフィルタ層12は、低融点繊維(熱溶融繊維)と撥油性繊維を含むように複数種類の繊維が混紡された不織布からなる層である。第2フィルタ層12は、低融点繊維によって、これら混紡された繊維が互いに交絡した不織布構造が維持されている。
本発明では、低融点繊維は、不織布を構成する繊維のうち、不織布中の他の繊維よりも低い温度で繊維の全体又はその一部(特に、繊維表面)が溶融する繊維である。この低融点繊維は、不織布の交絡構造を維持するために、不織布中に混ぜられ、特定の不織布構造が形成された状態で熱処理により溶融して、不織布の構造を固定する働きをする繊維である。
第2フィルタ層12を構成する繊維の大半は、親油性(非疎油性)の繊維(好ましくは合成繊維(化学繊維))である。
親油性の合成繊維としては、例えばPET(ポリエチレンテフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)及びPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)のようなポリエステル、PP(ポリプロピレン)及びPE(ポリエチレン)のようなポリオレフィン、6−ナイロン及び66−ナイロンのようなPA(ポリアミド)、ポリアクリルなどの樹脂原料から製造された繊維や、レーヨン繊維などをあげることができる。親油性繊維としては化学繊維のほか、パルプや綿などの天然繊維を含ませることもできる。
前記低融点繊維は親油性の合成繊維の一部として含まれることが好ましい。不織布にPETから製造された繊維(PET繊維)とこのPET繊維の融点よりも低い融点を有するPPから製造された繊維(PP繊維)とが混紡されている場合においては、このPP繊維が低融点繊維ということができる。
第2フィルタ層12には、撥油性繊維が混紡されている。撥油性繊維とは、繊維表面が撥油性(疎油性)を有する繊維である。撥油性繊維として、繊維表面に撥油処理(疎油処理)を施した繊維が使用できる。撥油処理としては、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などの油をはじく性質を有する物質を繊維表面にコーティングする処理や、繊維表面に撥油剤や撥水剤を塗布する処理が例示できる。撥油剤や撥水剤として、フッ素系処理剤やシリコーン系処理剤を使用することが好ましい。撥油性繊維を、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などの油をはじく性質を有する物質(特に撥油性樹脂材料)からなる繊維(例えばフッ素樹脂繊維など)とすることもできる。
撥油剤や撥水剤を塗布して撥油性繊維を構成する場合には、不織布の形成前の原料繊維の状態で、撥油剤や撥水剤を塗布することができる。塗布の方法はスプレー法やディッピング法など、各種の塗工法を用いて塗布できる。撥油剤または撥水剤としては、フッ素系処理剤やシリコーン系処理剤の他、油や水をはじく性質を有する表面処理剤を使用することができる。
第2フィルタ層12内における撥油性繊維の配合割合は、5重量%以上30重量%以下であることが好ましく、10重量%以上20重量%以下であることが特に好ましい。配合量が少ないとカーボンダストの捕集効率が低くなり、逆に撥油性繊維の配合量が多すぎると、第2フィルタ層12がドライ化しやすくなって、濾過材の寿命が短くなる傾向がある。
第2フィルタ層12が低融点繊維によって不織布構造を維持するようにされているので、第2フィルタ層12内に混紡された撥油性繊維は、その表面をバインダなどによって覆われることなく、表面の疎油性を維持したままで第2フィルタ層内部に存在することになる。第2フィルタ層12に含まれる低融点繊維の含有量は、30〜70重量%の範囲が好ましい。
本発明において、低融点繊維の材料は特に限定されないが、好ましくは融点が80〜300℃の熱可塑性重合体を使用するとよい。特に好ましくは融点が80〜220℃の熱可塑性重合体を使用するとよい。例えば、ポリエチレン(特に低密度ポリエチレン:LDPE等)、ポリプロピレン、変性ナイロン(ポリアミド)、変性ポリエステルの重合体及びこれら重合体を主成分とする熱可塑性共重合体などを例示することができる。
低融点繊維の繊維形態は、円形断面、異形断面のいずれであってもよいが、特に芯成分が鞘成分よりも高い融点となるような熱可塑性重合体の組み合わせにした芯鞘構造が好ましい。低融点繊維をこのような芯鞘構造の複合繊維にすると、芯成分の融点と鞘成分の融点との間の加熱温度でプレス処理することにより、鞘成分だけを溶融させて不織布の構成繊維間を相互融着させ、芯成分は繊維形態を保持したまま高い強度と剛性を維持することができる。
このような芯鞘構造の複合繊維における鞘成分には、融点が80〜220℃の範囲にある熱可塑性樹脂、より好ましくは100〜180℃の範囲にある熱可塑性樹脂を用いるとよい。そして、鞘成分の融点は、芯成分の融点や撥油性繊維の融点よりも30℃以上低くされることが好ましい。
上記実施形態のオイル含浸濾過材1および図1に例示したフィルタエレメント3の製造方法の一例について説明する。
まず、親油性(非疎油性)の繊維材料を調製する。親油性の繊維材料には公知の熱可塑性繊維材料(例えばPET繊維)が使用できる。親油性繊維として、芯鞘構造を有する低融点繊維を含ませることができる。
撥油性繊維を調製する。撥油性繊維は、代表的には、熱可塑性繊維にフッ素系処理剤で疎油性の表面処理を行った繊維が使用できる。
親油性繊維により、第1フィルタ層11となる不織布層を製造する。これと並行して、低融点繊維を含む親油性繊維と、撥油性繊維とを所定の配合割合で混紡して、第2フィルタ層12となる不織布層を製造する。これら不織布層の製造は公知の方法により行うことができる。そして、これら不織布層を積層し、積層構造の不織布にする。混紡の工程は、乾式法や湿式法により行うことができ、混紡された不織布材料や互いに積層された不織布層同士は、熱プレス法などによって、シート状の不織布とされる。
オイルの含浸はこの時点で行っても良いが、好ましくは、フィルタエレメントとされた後にオイルの含浸が行われる。
得られたシート状の不織布を、所定の寸法に裁断すると共に、襞折り状にする。フィルタエレメント枠体を射出成形する金型内部に、襞折りされた不織布を置いて、合成樹脂の射出成形を行い、襞折りされた不織布と枠体2を一体化する。そして、枠体2にシール材4を取り付けて、板状のフィルタエレメント3が得られる。
得られたフィルタエレメントの濾過材(不織布)に、スプレー法などによってオイルを含浸させる。余分なオイルは、遠心分離などによって除去することが好ましい。これにより、不織布にオイルを含浸してなるオイル含浸濾過材を備えるフィルタエレメントが得られる。
本発明の作用効果を説明する。
上記実施形態において、第1フィルタ層11および第2フィルタ層12には、オイルが含浸され、濾過材1の全体がオイルを含浸する不織布濾過材となっている。
親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されて構成された第2フィルタ層12に、オイルが含浸されると、第2フィルタ層12の中で保持されるオイルは、親油性繊維の表面を覆うように、もしくは親油性繊維に吸収されて存在しながら、撥油性繊維の表面には存在しないような状態になる。すなわち、第2フィルタ層12は、撥油性繊維を含んでもなおオイルを含浸する層であるとともに、撥油性繊維表面はドライな状態となっている。
従って、第2フィルタ層12内において、親油性繊維は、いわゆるウェットタイプのオイル含浸濾過材として機能し、撥油性繊維は、いわゆるドライタイプの濾過材として機能する。
従って、第2フィルタ層12は、オイルを含浸する濾過材でありながら、その一部(撥油性繊維)がドライ濾過材として機能し、第2フィルタ層12に混紡された撥油性繊維がカーボンダストを効果的に捕集する。
そして、第1フィルタ層11や、第2フィルタ層12中の親油性繊維は、オイルを含浸したウェット濾材として、多量のダストを捕集することが可能となり、濾過材の寿命が長くなる。
特に、本発明においては、撥油性繊維を混紡した密層部(即ち第2フィルタ層12)が、積層構造の濾過材の下流側に配置されているため、濾過材が捕集すべきダストの大部分は、上流側の第1フィルタ層11や、第2フィルタ層12の親油性繊維によって捕集されてしまい、第2フィルタ層12の撥油性繊維は、主にカーボンダストのような微細なダストだけを捕集すればよくなるので、第2フィルタ層12における撥油性繊維の配合量が少なくても、長期間にわたって高いカーボンダスト捕集効率が維持されて、濾過材の寿命が長くできる。
以上のようにして、本発明のオイル含浸濾過材によれば、オイルの含浸によってフィルタの長寿命化と捕集効率向上を図りながら、同時にカーボンダストも良好に捕集できる。本発明のオイル含浸濾過材は、カーボンダスト用の濾過材としても使用することができる。本効果は、後に詳述する実施例により例証される。
本発明においては、下流側に配置される密層部(即ち第2フィルタ層12)に撥油性繊維が含まれている。このため、密層部のオイルがその上流側の粗層部(即ち第1フィルタ層11)に移行し、第1フィルタ層11のオイル保持量が増える。このオイル保持量の増大は、第1フィルタ層11の表面におけるケーク層の形成に寄与しうる。言い換えれば、第1フィルタ層の表面において、ケーク層が発達しやすい状況にある。このことは、第1フィルタ層11におけるダストの捕集量の増大に寄与しうる。本発明のオイル含浸濾過材は、一般ダスト用の濾過材としても優れている。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に本発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。また、以下に示す実施形態の改変は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施できる。
図1には、2層構造からなるオイル含浸濾過材の例を示したが、3層あるいはそれ以上の多層構造であってもよく、その場合は、上流側の層と比べて密とされた(空間率が小さい)密層部に撥油性繊維を混紡し、その密層部が空気の流れの下流側となるように、オイル含浸濾過材を構成すればよい。
また、図1には、襞折りされ平板状に形成されたフィルタエレメント3を示したが、フィルタエレメントの形状はこれに限定されるものではなく、オイル含浸濾過材1を襞折りせずに平板状あるいは円筒状にしてフィルタエレメントを形成しても良いし、さらには、襞折りしたオイル含浸濾過材を円筒状に丸めて菊花状のフィルタエレメントを形成しても良い。オイル含浸濾過材を襞折りすることによって、濾過材の面積を拡大し、かつコンパクトなフィルタエレメントが得られる。
以下、本発明の実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
以下に示す実施例と比較例において、いずれの例における濾過材も、基本的な繊維の材質や厚みや目付け量、積層された層の間の密度勾配は同じであり、試験に供する際に成形したフィルタエレメントの形状や襞折りの仕様も同一としている。
(実施例1)
PET繊維50重量%と熱溶融繊維50重量%の原料繊維(非疎油性繊維)をニードルパンチしたのちに熱風で熱処理してなる空間率96.4%、厚さ2mmの2層構造の濾過材層(粗層部、第1フィルタ部材に相当)に対し、その下流側に、PET繊維30重量%と、フッ素系処理剤で疎油処理した疎油繊維20重量%、芯鞘構造の(芯がPET樹脂、鞘がLDPE樹脂)熱溶融繊維50重量%とを混紡しニードルパンチしたのちに熱風で熱処理してなる空間率89.1%、厚さ1mmの濾過材層(疎油性繊維混紡の密層部、第2フィルタ部材に相当)を積層して、目付け量265g/m、厚さ3mmの3層構造の不織布を得た。この不織布の仕様が、下記の表1に示されている。この不織布を襞折り構造に形成して枠体を取り付けた。襞折りされた不織布に対し、所定量のオイル(パラフィン系オイル)を噴霧し、その後遠心処理を行って余剰なオイルを除去して、実施例1のフィルタエレメントを得、これを試験に供した。このフィルタエレメントに含まれるオイルの量(オイル付着量)の実測値を表2中に併記する。なお、各層を構成する各繊維の重量(質量)が全体の重量(質量)に占める比率が、繊維混紡率として下記の表1に示されている。各繊維の重量は、混紡する際の重量測定により得られた。
Figure 0005710426
(実施例2)
密層部における疎油性繊維の配合量を15重量%とし、PET繊維の配合量を35重量%とした以外は、実施例1と同様な実施例2のフィルタエレメントを得た。
(実施例3)
密層部における疎油性繊維の配合量を10重量%とし、PET繊維の配合量を40重量%とした以外は、実施例1と同様な実施例3のフィルタエレメントを得た。
(参考例)
密層部における疎油性繊維の配合量を50重量%とし、PET繊維の配合量を0重量%とした以外は、実施例1と同様な参考例のフィルタエレメントを得た。
(比較例1)
比較例1として、実施例1と比較して、密層部全体が撥油剤による含浸処理により撥油性が付与されて、密層部全体が疎油性繊維で構成されているが、他の事項については実施例1と同じであるオイル含浸濾過材とフィルタエレメントを得た。すなわち、比較例1は、粗層部はオイル含浸層である一方、密層部はオイルを含浸しないドライ層とされている。
(比較例2)
比較例1として、実施例1と比較して、密層部に撥油繊維が含まれておらず、密層部全体が非疎油性繊維で構成されているが、他の事項については実施例1と同じであるオイル含浸濾過材とフィルタエレメントを得た。すなわち、比較例2は、粗層部も密層部もオイル含浸層(疎油性繊維を含まない)とされている。
[実験1:性能評価(カーボンダスト)]
得られた上記フィルタエレメントについて、JISD1612(自動車用エアクリーナー試験方法)に準じて、カーボンダストについてフルライフの清浄効率(捕捉効率)試験、ダスト保持量試験を行った。その試験条件を下記に示す。
濾過材有効濾過面積:0.18m
試験ダスト:カーボンダスト(軽油燃焼カーボン)
ダスト供給量:カーボンダスト(0.10g/分)
試験流量:4.2m/分
増加通気抵抗:2.94kPaに達したときをフルライフとする。
自動車用エンジンのエアクリーナーとして使用する場合には、カーボンダストの捕捉量が4gを下回ると、車両の使用状況によっては、フィルタエレメントの交換期間が車両の点検期間を下回るおそれが出てくるため、カーボンダストの捕捉量が5g以上となるようにすることが重要である。
また、カーボンダストの捕捉効率が70%に達しないと、フィルタエレメントを透過したカーボンダストが空気のエアフローメータ(流量センサ)を汚す程度が大きくなって、内燃機関の制御に不調をきたすおそれが高くなる。従って、カーボンダストの捕捉効率が70%以上となるようにすることが重要である。
測定結果を表2に示す。
Figure 0005710426
表2から明らかなように、実施例1ないし実施例3は比較例や参考例に比べて、カーボンダストの捕捉量の大きさ(寿命の長さ)と、カーボンダストの清浄効率の高さが両立できている。
[実験2:性能評価(各層のオイル量)]
得られた上記フィルタエレメントについて、それぞれの層に含まれるオイルの量(オイル付着量)を測定した。オイルを噴霧する前の不織布から、各層を縦100mm×横100mmの大きさで切り出し、それぞれの重量(含浸前重量)を測定した。各層を重ねて治具にセットし、80℃に加熱したオイルを十分に塗布した。塗布後、高速回転させ無駄なオイルを除去した。治具を取り外して、オイルを含んだ状態で各層を分離して、それぞれの重量(含浸後重量)を測定した。含浸後重量から含浸前重量を差し引くことにより、各層毎にオイル含浸前後の重量差を求め、単位面積当たりに付着したオイルの量を得た。この付着オイル量をオイル含浸濾材の有効濾過面積に換算し、各層のオイル量を算出した。この算出結果が、下記の表3に示されている。
[実験3:性能評価(一般ダスト)]
得られた上記フィルタエレメント(実施例1及び比較例2)について、JISD1612(自動車用エアクリーナー試験方法)に準じて、一般ダストについてフルライフのダスト保持量試験を行った。その試験条件を下記に示す。
濾過材有効濾過面積:0.18m
試験ダスト:JIS8種
ダスト供給量:4.2g/分
試験流量:4.2m/分
増加通気抵抗:2.94kPaに達したときをフルライフとし、その時のダスト保持量が下記の表3に示されている。
Figure 0005710426
表3に示されているように、実施例1における各層の目付け量は、比較例2における各層の目付け量と実質的に同等である。それにもかかわらず、実施例1では、比較例2に比べて、粗層1及び粗層2におけるオイル量及びオイル量の比が増えている。このことは、実施例1では、粗層1及び粗層2へのオイル配分が増加していることを表している。実施例1では、全体のオイル量が減少しているにも関わらず、一般ダストの保持量が増加している。前述の実験1において示されたように、実施例1ないし実施例3は比較例や参考例に比べて、カーボンダストの捕捉量の大きさ(寿命の長さ)と、カーボンダストの清浄効率の高さが両立できている。つまり、カーボンダスト及び一般ダストの捕捉という点で、実施例のフィルタエレメントでは、比較例のフィルタエレメントに比べて評価が高い。
本発明のオイル含浸濾過材は、例えば、自動車などに使用される内燃機関に空気を供給するためのエアクリーナーなどに使用することができ、産業上の有用性が高い。
1・・・オイル含浸濾過材
11・・・第1のフィルタ層(粗層部)
12・・・第2のフィルタ層(密層部)
2・・・枠体
3・・・フィルタエレメント
4・・・シールパッキン

Claims (4)

  1. 不織布にオイルを含浸してなるオイル含浸濾過材であって、前記不織布は上流側に位置する粗層部と下流側に位置する密層部とを有する密度勾配を持った多層構造を有し、
    前記粗層部が、親油性繊維により構成されており、
    前記密層部には親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されると共に、この親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されたものの一部を溶融させて、この混紡されたものの構造が固定されており、
    密層部には撥油性繊維が5重量%以上30重量%以下の割合で混紡されたオイル含浸濾過材。
  2. 撥油性繊維には撥油剤または撥水剤が塗布されている、請求項1に記載のオイル含浸濾過材。
  3. 撥油性繊維は、フッ素樹脂あるいはシリコーン樹脂をコーティングした繊維、あるいはフッ素樹脂繊維であることを特徴とする、請求項1に記載のオイル含浸濾過材。
  4. 不織布にオイルを含浸してなるオイル含浸濾過材を備えており、
    前記不織布は上流側に位置する粗層部と下流側に位置する密層部とを有する密度勾配を持った多層構造を有し、
    前記粗層部が、親油性繊維により構成されており、
    前記密層部には親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されると共に、この親油性繊維と撥油性繊維とが混紡されたものの一部を溶融させて、この混紡されたものの構造が固定されており、
    密層部には撥油性繊維が5重量%以上30重量%以下の割合で混紡されており、
    このオイル含浸濾過材が、襞折りにされているフィルタエレメント。
JP2011186851A 2011-02-10 2011-08-30 オイル含浸濾過材 Active JP5710426B2 (ja)

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