JP3573861B2 - エアクリーナー用濾材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエアクリーナー用濾材、特には自動車等のエアクリーナーに用いられる濾材に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車のエアクリーナーは外気中の塵埃を十分に捕集した後で、清浄化空気をエンジンルームに導入するために使用される。これらの塵埃の内、とくに砂塵を主成分とする塵埃はエンジン内に入るとトラブルを生じるため十分に除去されている必要がある。また、近年、道路環境の変化に伴い、特に都市部においてカーボンダストが増加するようになってきたため、カーボンダストに対する高い濾過性能を要求されるようになってきた。
【0003】
従来、エアクリーナー用の濾材としては、繊維ウェブからなる外層(粗層)と中間層(中間密度層)と内層(緻密層)との積層体に樹脂エマルジョンを含浸し、乾燥して得た、剛性があり、密度勾配を有するエアクリーナー用濾材や、内層に緻密な湿式不織布を用いることで更に捕集効率を高めたエアクリーナー用濾材(特開昭62−279817号公報)が知られていた。これらのエアクリーナー用濾材では、砂塵などの塵埃をより確実に捕集するために、微細な繊維を用いたり、含浸する樹脂量を増やすことにより内層を緻密化することが試みられたが、このようにすると、塵埃の捕集効率は高まるものの、カーボン粒子などによる目詰りが生じやすくなるため、一定の圧力損失となるまでに処理できる塵埃の量が低下し、使用寿命が短くなるという問題があった。このため、繊維間の開孔径を大きくしてカーボン粒子の処理量を増加させることが試みられたが、このようにすると砂塵の捕集効率が著しく低下し、使用に耐えないものとなってしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来技術の欠点を解消するべくなされたものであり、塵埃、とくに砂塵に対する初期捕集効率を向上させると共に、目詰りしにくくて塵埃、とくにカーボン粒子の処理容量が大きく、結果として使用寿命が長く、かつプリーツ加工などの加工が可能なエアクリーナー用濾材を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維で構成される繊維層が2層以上積層され、熱接着性疎水性繊維によって結合されている濾材であって、空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも平均繊度が小さく、かつ繊維の重量に対する油剤の付着量の割合が0.2重量%以下である(エレクトレット化されたものを除く)ことを特徴とする自動車のエアクリーナー用濾材によって解決される。
【0006】
また、本発明は、熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維とで構成される2層以上の繊維層を、空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも平均繊度が小さくなるように積層した後、加熱して熱接着性疎水性繊維の熱接着により構成繊維を結合し、次いで、水洗することにより繊維に付着する油剤を0.2重量%以下になるまで除去し、乾燥する(エレクトレット化することを除く)ことを特徴とする自動車のエアクリーナー用濾材の製造方法に関する。
【0007】
すなわち、本発明では空気流出側の繊維層(内層)の繊維径を小さくし、熱接着性疎水性繊維で繊維を結合することで緻密に形成しているため、従来の繊維間を結合するための樹脂量を増やして緻密化する場合と異なり、繊維間隙を樹脂の被膜が塞いでしまうこともなく、塵埃、とくにカーボン粒子による目詰りが生じにくい。また、本発明では、構成繊維に疎水性繊維を使用すると共に、油剤を繊維重量の0.2重量%以下に除去しているため、繊維間隙が保持されているにもかかわらず、塵埃、とくに砂塵を高い捕集効率で捕集できる。この理由は明らかではないが、油剤が付着していない、あるいはほとんど付着していない疎水性繊維で構成される繊維層では、自然帯電が生じ、この帯電による静電気力によって砂塵が吸着されて捕集効率が向上するものと推定される。更に、本発明のエアークリーナー用濾材は十分な量の熱接着性繊維で結合されているため十分な剛性が付与される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明では、熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維とで構成される繊維層が2層以上積層され、熱接着性疎水性繊維によって構成繊維が結合される。熱接着性疎水性繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系の疎水性の繊維であって、熱接着性を示すものが使用でき、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維、ポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維、ポリエステル/ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン/変性ポリプロピレン複合繊維などの低融点樹脂成分を含む複合繊維や、低融点ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維などの低融点樹脂からなる繊維が好適に使用できる。
【0009】
また、非熱接着性疎水性繊維としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系の疎水性の繊維であって、上記熱接着性疎水性繊維が熱接着性を示し始める温度、すなわち、熱接着性疎水性繊維に含まれる低融点樹脂成分の融点付近の温度において熱接着性を示さない繊維が使用され、例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維などが好適に使用できる。非熱接着性疎水性繊維を構成する樹脂の融点は、熱接着性疎水性繊維の低融点樹脂成分の融点より少なくとも20℃以上、好ましくは30℃以上高いことが望ましい。
【0010】
上記の熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維は、いずれも疎水性であって、標準状態(温度20℃、相対湿度65%)における水分率が2.0以下、より好ましくは1.0以下であることが望ましく、繊維の水分率が低いほど塵埃の捕集効率は高くなる傾向を示す。濾材を構成する繊維の水分率が上記より高いと、十分な塵埃の捕集効率が得られない場合がある。
【0011】
また、上記の熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維は、いずれも繊維長10〜100mm程度の短繊維であることが望ましい。これは、長繊維の場合、繊維を厚み方向も含めたランダムな方向に配向させることが難しく、また熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維を均質に混合し、所望の配合率に設定することが容易ではないからである。
【0012】
本発明で使用する繊維層には、上記の繊維以外の他の繊維が含まれていてもよいが、例えば、天然繊維、再生繊維または親水性合成繊維などの場合には、濾材の自然帯電を妨げ、塵埃の捕集効率を低下させるおそれがあるので、できるだけ少量であることが望ましく、特に必要がある場合を除いては含まれない方がよい。
【0013】
上記の熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維とで構成される繊維層は、2層以上積層され、空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも平均繊度が小さくなるように配置される。
【0014】
例えば、繊維層が空気流入側から順に外層、中間層、内層の3層の繊維層からなる場合であれば、平均繊度が、外層は3〜15デニール、中間層は1.5〜6デニール、内層は0.7〜4デニールの範囲にあり、空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも平均繊度が小さくなっていることが望ましい。繊度が小さくなるとより繊維間の空隙を小さく形成することが可能となり、微小な粒子が捕捉できる緻密な層を形成することができる。すなわち、各繊維層の平均繊度を上記のように空気流出側で空気流入側より小さくすることにより、空気流入側から空気流出側にかけて粗から密に変化する粗密構造を形成することができ、塵埃を効率よく、かつ濾材が目詰りしにくい状態で捕集することができる。
【0015】
また、本発明では、空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも含まれる熱接着性疎水性繊維の割合が多いことが望ましい。例えば、繊維層が空気流入側から順に外層、中間層、内層の3層の繊維層からなる場合であれば、各繊維層における熱接着性疎水性繊維の割合は、外層は5〜40%、中間層は30〜70%、内層は30〜80%となっていることが望ましい。熱接着性疎水性繊維の割合は、主として各繊維層の厚みのコントロールと剛性に影響し、例えば、外層の熱接着性疎水性繊維の割合が40%を越えると厚みが潰れすぎて緻密化し、粗層としての働きをしなくなり、逆に内層での熱接着性疎水性繊維の割合が30%未満になると緻密化ができず、密層を形成することが困難になる。一方、外層において熱接着性疎水性繊維の割合が5%未満になると形状保持性が損なわれると共に繊維の抜けが生じやすくなり、内層において熱接着性疎水性繊維の割合が80%を越えると緻密化しすぎて目詰りが生じやすくなる。なお、すべての繊維層において必ずしも上流側の繊維層より熱接着性疎水性繊維の割合が増えていなくてもよく、空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも熱接着性疎水性繊維の割合が多くなっていればよい。
【0016】
各繊維層の間で層間剥離が生じないように、各繊維層は積層された後、絡合されていることが望ましい。絡合方法としては、ニードルパンチ、水流絡合などの機械的な絡合手段を用いることが望ましい。繊維を絡合することにより、各繊維層の繊維の一部は他の繊維層内に入り込むので、濾材の空気流出側が空気流入側よりも、繊維径が小さくなるという関係が維持できるような絡合条件を選ぶ。一般的には、積層する時点で各繊維層が上記の関係を満たしていれば、絡合後も上記の関係は維持される。
【0017】
各繊維層を積層した後に、加熱処理を施すことにより、熱接着性疎水性繊維の熱接着により、濾材を構成する繊維が結合される。加熱処理の手段はとくに限定されず、例えば、加熱ロール、ドライヤー、オーブンなどが用いられる。また、加熱条件としては、熱接着性疎水性繊維に含まれる低融点樹脂成分の融点以上、非熱接着性疎水性繊維を構成する樹脂の融点未満の温度であることが望ましい。なお、濾材は圧縮により緻密層を形成すると共に剛性が付与されていることが望ましいので、この加熱処理の際に、あるいいは加熱処理の後に加圧処理されていると更によい。加熱処理の際に加圧処理する方法としては、例えば、加熱ロールを通す際に積層された繊維層の厚みよりもロール間の間隔を狭くしておく方法や、加熱プレスする方法などがあり、加熱処理の後に加圧処理する方法としては、例えば、ドライヤーやオーブンで加熱した直後に、積層された繊維層の厚みよりも間隔を狭く設定したロール間を通す方法や、プレス機などでプレスする方法がある。
【0018】
本発明のエアクリーナー用濾材は、繊維重量に対する油剤の付着量が0.2重量%以下であることが必要である。油剤の付着量がこれより多いと十分な塵埃の捕集効率が得られなくなる。繊維重量に対する油剤の付着量が少ないほど塵埃の捕集効率は向上する傾向にあり、理想的には油剤が全く付着していない状態が望ましい。なお、ここで油剤とは、紡糸油剤や紡績油剤などの繊維油剤の他、バインダーや各種処理剤に含まれる油剤も含まれる。
【0019】
一般に、繊維、とくに不織布の製造において、カード法などにより繊維ウェブを形成するのに使用される繊維長10〜100mmの短繊維では、繊維油剤が付着しているため、上記のような付着量範囲とするためには、油剤を除去する必要がある。この油剤を除去する方法としては、例えば、水洗などの液体による洗浄があるが、特に油剤量を低減したい場合には、温度50℃以上の水またはアルコールなどの溶剤を用いることが望ましい。
【0020】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0021】
【実施例】
実施例1、2及び比較例1
繊度1.5デニール、繊維長38mmのポリエステル繊維(融点:260℃)40重量%と、繊度2デニール、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)60重量%とからなる目付120g/m2 の内層用繊維層(平均繊度:1.8デニール)と、繊度2デニール、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)30重量%と、繊度2デニール、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)70重量%と、からなる目付80g/m2 の中間層用繊維層(平均繊度:2デニール)と、繊度6デニール、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)90重量%と、繊度4デニール、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)10重量%とからなる目付80g/m2 の外層用繊維層(平均繊度:5.8デニール)とを積層した後、ニードルパンチ処理を施し、温度150℃の加熱ロール(ロール間スリット1.5mm)に通して、ポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維により繊維間を結合し、厚さ3.0mmの積層不織布を得た。なお、使用したポリエステル繊維とポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維の標準状態における水分率は0.4〜0.5であった。
次いで、得られた積層不織布を、▲1▼60℃の水で5分間水洗して、乾燥する(実施例1)、▲2▼60℃の水で30秒間水洗して、乾燥する(実施例2)、▲3▼水洗しない(比較例1)ことにより各々エアクリーナー用濾材を得た。
【0022】
比較例2
繊度1.5デニール、繊維長51mmのレーヨン繊維90重量%と、繊度1.5デニール、繊維長38mmのポリエステル繊維10重量%とからなる目付65g/m2 の内層用繊維層(平均繊度:1.5デニール)と、繊度1.5デニール、繊維長51mmのレーヨン繊維40重量%と、繊度1.5デニール、繊維長38mmのポリエステル繊維20重量%と、繊度3デニール、繊維長64mmのポリエステル繊維20重量%と、繊度6デニール、繊維長51mmのポリエステル繊維20重量%とからなる目付60g/m2 の中間層用繊維層(平均繊度:2.7デニール)と、繊度3デニール、繊維長51mmのレーヨン繊維15重量%と、繊度3デニール、繊維長64mmのポリエステル繊維35重量%と、繊度6デニール、繊維長51mmのポリエステル繊維50重量%とからなる目付55g/m2 の外層用繊維層(平均繊度:4.5デニール)とを積層した後、ニードルパンチ処理を施し、アクリル酸エステル樹脂エマルジョンを含浸し、130℃の熱風ドライヤーで乾燥することにより、樹脂が70g/m2 付着した、厚さ3.0mm、目付250g/m2 の濾材を得た。
【0023】
得られた濾材について、JIS8種塵埃(砂塵)の初期捕集効率、フルライフの捕集効率及びDHC( Dust Holding Capacity:塵埃保持量)、カーボンのフルライフの捕集効率とDFC( Dust Feeding Capacity:塵埃処理量)とを下記の方法で測定し、各濾材の油剤付着量と合せて表1に示した。
【0024】
(1)JIS8種塵埃の「初期捕集効率」、「フルライフ捕集効率」及び「DHC」:これらの測定は、JIS D 1612(自動車用エアクリーナー試験方法)に準じて行った。ただし、試験用のエアクリーナーエレメントとして、有効濾過面積530cm2 の平板濾材を使用した。また、JIS−8種塵埃の試験条件は塵埃濃度1g/m3 及び風速30cm/秒とし、「初期捕集効率」は濾過面積100cm2 に対して1.1gの割合で塵埃を供給した時点での捕集効率とし、「フルライフ捕集効率」及び「DHC」は通気抵抗が300mmAqに上昇した時点での捕集効率及び塵埃保持量とした。
【0025】
(2)カーボン粒子の「フルライフ捕集効率」及び「DFC」:「DFC」の測定は、試験ダストを軽油燃焼カーボンからなるカーボン粒子に変更したこと以外は、前記のJIS8種塵埃の「DHC」の測定と同様に行って、通気抵抗が300mmAqに上昇した時点で、濾材に捕集されたカーボン粒子の保持量を測定し、これに濾材を通過して絶対フィルターに捕集されたカーボン粒子の量を加えて求めた。また、「フルライフ捕集効率」の測定は、試験ダストを軽油燃焼カーボンからなるカーボン粒子に変更したこと以外は、前記のJIS8種塵埃の「フルライフ捕集効率」の測定と同様に行った。なお、カーボン粒子の「フルライフ捕集効率」及び「DFC」の試験条件は、カーボン粒子濃度0.04g/m3 及び風速30cm/秒とした。
【0026】
【表1】
【0027】
表1から明らかなように、実施例1、2及び比較例1の濾材は、一般的な樹脂含浸タイプである比較例2の濾材に比べて2倍近くのカーボン粒子の塵埃処理容量(DFC)を持つことがわかる。また、水洗しない比較例1のものに比べて実施例1、2のものは、捕集効率、とくにJIS8種塵埃の初期捕集効率に優れており、例えば、実施例1と比較例1の初期捕集効率から、未捕集の塵埃量の比率を計算すると(100−92.8)/(100−96.7)=7.2/3.3=2.2で、未捕集の塵埃が比較例1の濾材では実施例1の濾材の2倍以上もあることがわかる。
【0028】
実施例3及び比較例3
繊度2デニール、繊維長51mmのポリプロピレン繊維(融点:170℃)40重量%と、繊度1.5デニール、繊維長51mmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維(ポリエチレンの融点:130℃)60重量%とからなる目付120g/m2 の内層用繊維層(平均繊度:1.7デニール)と、繊度2デニール、繊維長51mmのポリプロピレン繊維(融点:170℃)30重量%と、繊度3デニール、繊維長51mmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維(ポリエチレンの融点:130℃)70重量%と、からなる目付85g/m2 の中間層用繊維層(平均繊度:2.7デニール)と、繊度6デニール、繊維長51mmのポリプロピレン繊維(融点:170℃)90重量%と、繊度3デニール、繊維長51mmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維(ポリエチレンの融点:130℃)10重量%とからなる目付85g/m2 の外層用繊維層(平均繊度:5.7デニール)とを積層した後、ニードルパンチ処理を施し、温度140℃の加熱ロール(ロール間スリット1.5mm)に通して、ポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維により繊維間を結合し、厚さ3.0mmの積層不織布を得た。なお、使用したポリプロピレン繊維とポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維の標準状態における水分率は0であった。
次いで、得られた積層不織布を、▲1▼60℃の水で5分間水洗して、乾燥する(実施例3)、▲2▼水洗しない(比較例3)ことにより各々エアクリーナー用濾材を得た。
【0029】
得られた濾材について、JIS8種塵埃(砂塵)の初期捕集効率、フルライフの捕集効率及びDHC、カーボンのフルライフの捕集効率とDFCとを測定し、表2に示した。なお、実施例3のエアクリーナー用濾材については、耐熱テストとして、120℃のドライヤー中に72時間置いた後、取り出して5分以内に測定を開始して、JIS8種塵埃の初期捕集効率、フルライフの捕集効率及びDHC、カーボンのフルライフの捕集効率とDFCを測定した。また、ドライヤーから取り出した後、室温で30分間通風した後に、同様の項目について測定した。
【0030】
【表2】
【0031】
表2から明らかなように、耐熱性については120℃で72時間処理した後、若干の初期捕集効率の低下が見られるが、比較例3に比べればなお十分に高い効率を維持しており、また、室温で30分通風することにより、ほぼ元の状態に復元することがわかる。
【0032】
【発明の効果】
本発明のエアクリーナー用濾材は、従来両立が困難であった砂塵の捕集効率の向上とカーボンライフ(カーボンの処理容量)の向上とを達成しており、また、剛性にも優れ、プリーツ加工などによる所望の形状への成形が可能なことから、例えば自動車用のエアクリーナーなどに使用すると、ロングライフで十分な塵埃の除去が行える。
Claims (10)
- 熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維で構成される繊維層が2層以上積層され、熱接着性疎水性繊維によって結合されている濾材であって、空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも平均繊度が小さく、かつ繊維の重量に対する油剤の付着量の割合が0.2重量%以下である(エレクトレット化されたものを除く)ことを特徴とする自動車のエアクリーナー用濾材。
- 構成繊維の標準状態(温度20℃、相対湿度65%)における水分率が2.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の自動車のエアクリーナー用濾材。
- 空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも含まれる熱接着性疎水性繊維の割合が多いことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車のエアクリーナー用濾材。
- 空気流入側から順に外層、中間層、内層の3層の繊維層からなり、平均繊度が、外層は3〜15デニール、中間層は1.5〜6デニール、内層は0.7〜4デニールであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動車のエアクリーナー用濾材。
- 空気流入側から順に外層、中間層、内層の3層の繊維層からなり、各繊維層における熱接着性疎水性繊維の割合が、外層は5〜40%、中間層は30〜70%、内層は30〜80%であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動車のエアクリーナー用濾材。
- 熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維とで構成され、熱接着性疎水性繊維によって結合されている濾材であって、空気流出側が空気流入側よりも繊維径が小さく、かつ繊維の重量に対する油剤の付着量の割合が0.2重量%以下である(エレクトレット化されたものを除く)ことを特徴とする自動車のエアクリーナー用濾材。
- 空気流出側が空気流入側よりも含まれる熱接着性疎水性繊維の割合が多いことを特徴とする請求項6に記載の自動車のエアクリーナー用濾材。
- 熱接着性疎水性繊維と非熱接着性疎水性繊維とで構成される2層以上の繊維層を、空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも、平均繊度が小さくなるように積層した後、加熱して熱接着性疎水性繊維の熱接着により構成繊維を結合し、次いで、水洗することにより繊維に付着する油剤を0.2重量%以下になるまで除去し、乾燥する(エレクトレット化することを除く)ことを特徴とする自動車のエアクリーナー用濾材の製造方法。
- 空気流出側の繊維層が空気流入側の繊維層よりも含まれる熱接着性疎水性繊維の割合が多くなるように積層したことを特徴とする請求項8に記載の自動車のエアクリーナー用濾材の製造方法。
- 繊維層を積層した後に、機械的に絡合することを特徴とする請求項8に記載の自動車のエアクリーナー用濾材の製造方法。
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JPH10337426A (ja) | エアクリーナー用濾過材 | |
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