JP4993937B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤ、特にランフラット耐久性が高く、転がり抵抗が低いランフラットタイヤに関するものである。
従来、パンク等によりタイヤの内圧が低下した状態でも、ある程度の距離を安全に走行することが可能なタイヤ、所謂ランフラットタイヤとして、タイヤのサイドウォール部に断面三日月状のサイド補強ゴム層を配置して、サイドウォール部の剛性を向上させた、サイド補強タイプのランフラットタイヤが知られている。しかしながら、タイヤの内圧が低下した状態での走行、所謂ランフラット走行においては、タイヤのサイドウォール部の変形が大きくなるにつれサイド補強ゴム層の変形も大きくなり、その結果、該サイド補強ゴム層の発熱が進んで、場合によっては200℃以上の高温に達することもあり、このような状態では、サイド補強ゴム層中のゴム成分自体が切断されたり、加硫により形成されたゴム成分間の架橋部が切断されたりすることがある。この場合、サイド補強ゴム層の弾性率が低下して、タイヤの撓みが更に大きくなってサイドウォール部の発熱が進み、遂には、サイド補強ゴム層がその破壊限界を超えてしまい、タイヤが比較的早期に故障に至る危険性がある。
このような故障に至るまでの時間を遅くする手段として、タイヤのサイド補強ゴム層に適用するゴム組成物の配合を変えることによってサイド補強ゴム層の弾性率を高めたり、サイド補強ゴム層の損失正接(tanδ)を低減して、サイド補強ゴム層自体の発熱を抑制する手法が知られている。
しかし、従来のようなサイド補強ゴム層に適用するゴム組成物の配合面からのアプローチには限界があり、ランフラット走行において、一定以上の耐久距離を確保するためには、サイド補強ゴム層及びビードフィラーを増量しているのが現状である。しかしながら、サイド補強ゴム層やビードフィラーを増量した場合、通常走行時において、乗り心地の悪化、騒音レベルの悪化、タイヤの重量の増加等の問題が生じてしまう。
特開2002−103911
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、乗り心地、破壊強度、騒音レベル等を維持しつつ、ランフラット耐久性を向上させ、転がり抵抗を低減した空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ビードフィラー及びサイド補強ゴム層の少なくとも一方に、特定のゴム成分に対して重量平均分子量の低い共役ジエン系重合体を配合してなるゴム組成物を用いることで、タイヤの乗り心地や破壊強度を低下させることなく、ランフラット耐久性を向上させ、かつ転がり抵抗を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1の空気入りタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強するカーカスと、前記ビード部内に夫々埋設したビードコアのタイヤ半径方向外側に配置したビードフィラーとを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記ビードフィラーに、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対し、共役ジエン系重合体(B)1〜60質量部を配合してなり、
前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有さない場合、前記共役ジエン系重合体(B)が2,000〜200,000未満の重量平均分子量(Mw)を有し、
前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有する場合、前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)は、2,000〜500,000の重量平均分子量(Mw)を有し、且つ、前記官能基を導入する前の重量平均分子量(Mw)が2,000〜200,000未満であるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
また、本発明の第2の空気入りタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強するカーカスと、前記サイドウォール部に配置した一対のサイド補強ゴム層とを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記サイド補強ゴム層に、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対し、共役ジエン系重合体(B)1〜60質量部を配合してなり、
前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有さない場合、前記共役ジエン系重合体(B)が2,000〜200,000未満の重量平均分子量(Mw)を有し、
前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有する場合、前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)は、2,000〜500,000の重量平均分子量(Mw)を有し、且つ、前記官能基を導入する前の重量平均分子量(Mw)が2,000〜200,000未満であるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
更に、本発明の第3の空気入りタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強するカーカスと、前記ビード部内に夫々埋設したビードコアのタイヤ半径方向外側に配置したビードフィラーと、前記サイドウォール部に配置した一対のサイド補強ゴム層とを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記ビードフィラー及び前記サイド補強ゴム層に、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対し、共役ジエン系重合体(B)1〜60質量部を配合してなり、
前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有さない場合、前記共役ジエン系重合体(B)が2,000〜200,000未満の重量平均分子量(Mw)を有し、
前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有する場合、前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)は、2,000〜500,000の重量平均分子量(Mw)を有し、且つ、前記官能基を導入する前の重量平均分子量(Mw)が2,000〜200,000未満であるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤの好適例においては、前記共役ジエン系重合体(B)がブタジエン単独重合体、又はブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体である。ここで、前記芳香族ビニル化合物としては、スチレンが好ましい。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記共役ジエン系重合体(B)が、少なくとも一種の官能基を有する。ここで、前記共役ジエン系重合体(B)の官能基が、スズ、ケイ素、及び窒素の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、前記共役ジエン系重合体(B)の重量平均分子量が、5,000〜200,000未満であるのが好ましく、10,000〜150,000であるのが更に好ましい。
また、本発明の空気入りタイヤは、前記低分子量共役ジエン系重合体(B)が官能基を有する場合、共役ジエン系重合体(B)の重量平均分子量が5,000〜500,000であるのが好ましく、10,000〜400,000であるのが更に好ましく、30,000〜400,000であるのが特に好ましい。
更に、本発明の空気入りタイヤは、前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)が官能基を導入する前の重量平均分子量が、5,000〜200,000未満であるのが好ましく、10,000〜150,000であるのが更に好ましい。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記合成ジエン系ゴムが、200,000〜900,000の重量平均分子量を有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1〜4であり、かつ分子中に少なくとも一種の官能基を有する共役ジエン系重合体(C)である。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記共役ジエン系重合体(C)の官能基が、スズ、ケイ素、及び窒素の少なくともいずれかを含む。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記共役ジエン系重合体(C)がブタジエン単独重合体、又はブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体である。ここで、前記芳香族ビニル化合物としては、スチレンが好ましい。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム組成物が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、更に充填剤を30〜90質量部含有する。ここで、前記充填剤としては、カーボンブラック及びシリカ等が挙げられる。
本発明によれば、ビードフィラー及びサイド補強ゴム層の少なくとも一方に、特定のゴム成分に対して重量平均分子量の低い共役ジエン系重合体を配合してなるゴム組成物を用いることで、十分な乗り心地や破壊強度を有し、ランフラット耐久性が高く、転がり抵抗が低い空気入りタイヤを提供することができる。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施形態の断面図である。図1に示すタイヤは、左右一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、前記一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1,2,3を補強するラジアルカーカス4と、該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置された2枚のベルト層からなるベルト5と、前記ビード部1内に夫々埋設したリング状のビードコア6のタイヤ半径方向外側に配置したビードフィラー7と、前記サイドウォール部2の前記カーカス4の内側に配置した一対のサイド補強ゴム層8とを備える。
図示例のタイヤにおいて、ラジアルカーカス4は、ビードコア6の周りでタイヤ幅方向内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部を有する折り返しカーカスプライ4aと、該折り返しカーカスプライ4aの外側に配置されたダウンカーカスプライ4bとからなる。なお、本発明のタイヤにおいて、カーカスの構造及びプライ数は、これに限られるものではない。更に、ビードフィラー7は、ビードコア6のタイヤ半径方向外側の折り返しカーカスプライ4aの本体部と折り返し部との間に配置されている。なお、図示例のサイド補強ゴム層8の形状は、断面三日月状であるが、その断面形状はサイド補強の機能を有するものであれば特に限定されない。
また、図1に示すタイヤにおいては、上記ラジアルカーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に二枚のベルト層からなるベルト5が配置されており、該ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト5を構成する。なお、図1中のベルト5は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいては、ベルト5を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。また、本発明の空気入りタイヤは、ベルト5のタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなるベルト補強層を備えてもよい。
本発明の空気入りタイヤにおいては、上記のビードフィラー7及びサイド補強ゴム層8の少なくとも一方に、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対し、重量平均分子量(Mw)が2,000〜500,000の低分子量共役ジエン系重合体(B)1〜60質量部を配合してなるゴム組成物を用いることを要する。なお、図示例のタイヤは、ビードフィラー7及びサイド補強ゴム層8の双方を備えるが、本発明のタイヤは、上記ゴム成分(A)及び低分子量共役ジエン系重合体(B)を含むゴム組成物が用いられたビードフィラー及び/又はサイド補強ゴム層を備えればよい。
本発明者らが検討したところ、アロマオイル等の軟化剤に代えて、ゲル透過クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が2,000〜500,000の低分子量共役ジエン系重合体をゴム組成物に配合することで、ゴム組成物の作業性を悪化させること無く、貯蔵弾性率(G’)を向上させ、損失正接(tanδ)を低減することができることが分かった。そのため、該ゴム組成物をタイヤのビードフィラー7及びサイド補強ゴム層8の少なくとも一方に用いることで、タイヤの乗り心地や破壊強度を低下させることなく、ランフラット耐久性を向上させ、かつ転がり抵抗を低減することができる。
上記ゴム成分(A)は、天然ゴム(NR)及び合成ジエン系ゴムの内の少なくとも一種からなる。ここで、合成ジエン系ゴムとしては、乳化重合又は溶液重合で合成されたものが好ましい。また、上記合成ジエン系ゴムとして、具体的には、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。上記ゴム成分(A)としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴムが好ましく、また、上記ゴム成分(A)の50質量%以上がスチレン−ブタジエン共重合体ゴムであることが更に好ましい。ゴム成分(A)の50質量%以上がスチレン−ブタジエン共重合体ゴムである場合、上記低分子量共役ジエン系重合体(B)を配合することによる貯蔵弾性率(G’)の向上効果及び損失正接(tanδ)の低減効果が顕著となる。なお、上記ゴム成分(A)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
上記ゴム組成物は、上記共役ジエン系重合体(B)を上記ゴム成分(A)100質量部に対して、1〜60質量部含有する。上記重合体(B)の配合量が1質量部未満では、ゴム組成物の作業性が悪化し、60質量部を超えると、加硫ゴムの破壊特性が低下する傾向がある。
上記低分子量共役ジエン系重合体(B)としては、共役ジエン化合物の単独重合体、及び共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体が好ましく、1,3-ブタジエンの単独重合体、及び1,3-ブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体が更に好ましく、該芳香族ビニル化合物がスチレンであるのが特に好ましい。また、上記低分子量共役ジエン系重合体(B)は、少なくとも一種の官能基を有することが好ましく、窒素を含む官能基、ケイ素を含む官能基、及びスズを含む官能基を有することが更に好ましい。かかる低分子量共役ジエン系重合体を変性して得た少なくとも一種の官能基を有する重合体(B)をゴム組成物に配合することで、損失正接(tanδ)を更に低減することができ、その結果タイヤの転がり抵抗を更に低減することができる。
官能基を有する共役ジエン系重合体は、(1)少なくとも一つの官能基を有する重合開始剤を用いて共役ジエン化合物、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを重合させる方法や、(2)重合活性部位を有する共役ジエン系重合体を生成させた後、該重合活性部位を各種変性剤で変性する方法で得ることができる。更に、上記方法を組み合わせてもよい。
単量体としての上記共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3-ブタジエンが特に好ましい。これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。一方、単量体としての上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン、及び2,4,6-トリメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でもスチレンが好ましい。これら芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記共役ジエン系重合体(B)が、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体の場合、芳香族ビニル化合物の含有率は5〜80質量%であることが好ましい。芳香族ビニル化合物の含有率が5質量%未満又は80質量%を超えると、ゴム組成物の貯蔵弾性率(G’)の向上と損失正接(tanδ)の低減とを十分に両立することができない。また、上記共役ジエン系重合体(B)が、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体の場合、共役ジエン化合物部分のビニル結合量が5〜80質量%であることが好ましい。共役ジエン化合物部分のビニル結合量が5質量%未満又は80質量%を超えると、同様にゴム組成物の貯蔵弾性率(G’)の向上と損失正接(tanδ)の低減とを十分に両立することができない。
上記低分子量共役ジエン系重合体(B)の合成に用いる重合開始剤としては、有機リチウム化合物が好ましく、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が更に好ましい。なお、重合開始剤として有機リチウム化合物を用いた場合、共役ジエン系重合体はアニオン重合で製造される。また、重合開始剤としてのリチウム化合物の使用量は、単量体100g当り0.2〜20mmolの範囲が好ましい。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチル-フェニルリチウム、4-フェニル-ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられ、これらの中でも、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム等のアルキルリチウムが好ましく、n-ブチルリチウムが特に好ましい。
一方、上記リチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ-2-エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム-N-メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられ、これらの中でも、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状のリチウムアミド化合物が好ましく、リチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが特に好ましい。
上記リチウムアミド化合物として、式:Li−AM[式中、AMは、下記式(I):
Figure 0004993937
(式中、R1は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である)で表される置換アミノ基又は下記式(II):
Figure 0004993937
(式中、R2は、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基を示す)で表される環状アミノ基である]で表されるリチウムアミド化合物を用いることで、式(I)で表される置換アミノ基及び式(II)で表される環状アミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の窒素含有官能基が導入された変性共役ジエン系重合体が得られる。
上記式(I)において、R1は、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、3-フェニル-1-プロピル基及びイソブチル基等が好適に挙げられる。なお、R1は、それぞれ同じでも異なってもよい。
上記式(II)において、R2は、3〜16個のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基である。ここで、置換アルキレン基には、一置換から八置換のアルキレン基が含まれ、置換基としては、炭素数1〜12の鎖状若しくは分枝状アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。また、R2として、具体的には、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オキシジエチレン基、N-アルキルアザジエチレン基、ドデカメチレン基及びヘキサデカメチレン基等が好ましい。
上記リチウムアミド化合物は、二級アミンとリチウム化合物から予備調製して重合反応に用いてもよいが、重合系中で生成させてもよい。ここで、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソブチルアミン等の他、アザシクロヘプタン(即ち、ヘキサメチレンイミン)、2-(2-エチルヘキシル)ピロリジン、3-(2-プロピル)ピロリジン、3,5-ビス(2-エチルヘキシル)ピペリジン、4-フェニルピペリジン、7-デシル-1-アザシクロトリデカン、3,3-ジメチル-1-アザシクロテトラデカン、4-ドデシル-1-アザシクロオクタン、4-(2-フェニルブチル)-1-アザシクロオクタン、3-エチル-5-シクロヘキシル-1-アザシクロヘプタン、4-ヘキシル-1-アザシクロヘプタン、9-イソアミル-1-アザシクロヘプタデカン、2-メチル-1-アザシクロヘプタデセ-9-エン、3-イソブチル-1-アザシクロドデカン、2-メチル-7-t-ブチル-1-アザシクロドデカン、5-ノニル-1-アザシクロドデカン、8-(4'-メチルフェニル)-5-ペンチル-3-アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン、1-ブチル-6-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、8-エチル-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1-プロピル-3-アザビシクロ[3.2.2]ノナン、3-(t-ブチル)-7-アザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,5,5-トリメチル-3-アザビシクロ[4.4.0]デカン等の環状アミンが挙げられる。また、リチウム化合物としては、上記ヒドロカルビルリチウムを用いることができる。
上記重合開始剤を用いて、共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、重合反応に不活性な炭化水素溶媒中で、共役ジエン化合物を単独で、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との混合物を重合させることで共役ジエン系重合体を製造することができる。ここで、重合反応に不活性な炭化水素溶媒としては、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1-ブテン、イソブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられ、これらの中でもn-ヘキサン及びシクロヘキサンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
上記重合反応は、ランダマイザーの存在下で実施してもよい。該ランダマイザーは、共重合体の共役ジエン化合物部分のミクロ構造を制御することができ、より具体的には、共重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量を制御したり、共重合体中の共役ジエン化合物単位と芳香族ビニル化合物単位とをランダム化する等の作用を有する。上記ランダマイザーとしては、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、カリウム-t-アミレート、カリウム-t-ブトキシド、ナトリウム-t-アミレート等が挙げられる。これらランダマイザーの使用量は、重合体の製造に使用した重合開始剤1molに対し、0.01〜100molの範囲が好ましい。
上記重合反応は、溶液重合で実施することが好ましく、重合反応溶液中の上記単量体の濃度は、5〜50質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲が更に好ましい。なお、単量体として、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を併用する場合、単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含有率は、5〜80質量%の範囲が好ましく、目的とする共重合体の芳香族ビニル化合物量に応じて適宜選択することができる。また、重合形式は特に限定されず、回分式でも連続式でもよい。
上記重合反応の重合温度は、0〜150℃の範囲が好ましく、20〜130℃の範囲が更に好ましい。また、該重合は、発生圧力下で実施できるが、通常は、使用する単量体を実質的に液相に保つのに十分な圧力下で行うのが好ましい。ここで、重合反応を発生圧力より高い圧力下で実施する場合、反応系を不活性ガスで加圧することが好ましい。また、重合に使用する単量体、重合開始剤、溶媒等の原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を予め除去したものを用いることが好ましい。
更に、上記重合活性部位を有する共役ジエン系重合体の重合活性部位を変性剤で変性するにあたって、使用する変性剤としては、スズ含有化合物、ケイ素含有化合物、及び窒素含有化合物が好ましい。ここで、変性剤として作用するスズ含有化合物及びケイ素含有化合物としては、下記式(III):
3 aZXb ・・・ (III)
[式中、R3は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基からなる群から選択され;Zは、スズ又はケイ素であり;Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素であり;aは0〜3で、bは1〜4で、但し、a+b=4である]で表されるカップリング剤が好ましい。式(III)のカップリング剤で変性して得られる共役ジエン系重合体は、少なくとも一種のスズ−炭素結合又はケイ素−炭素結合を有する。
上記式(III)のR3として、具体的には、メチル基、エチル基、n-ブチル基、ネオフィル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。また、式(III)のカップリング剤として、具体的には、SnCl4、R3SnCl3、R3 2SnCl2、R3 3SnCl、SiCl4、R3SiCl3、R3 2SiCl2、R3 3SiCl等が好ましく、SnCl4及びSiCl4が特に好ましい。
また、上記変性剤として作用するケイ素含有化合物としては、下記式(IV):
Figure 0004993937
[式中、Aは(チオ)エポキシ、(チオ)イソシアネート、(チオ)ケトン、(チオ)アルデヒド、イミン、アミド、イソシアヌル酸トリエステル、(チオ)カルボン酸ヒドロカルビルエステル、(チオ)カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、炭酸ジヒドロカルビルエステル、環状三級アミン、非環状三級アミン、ニトリル、ピリジン、スルフィド及びマルチスルフィドの中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基で;R4は単結合又は二価の不活性炭化水素基で;R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基で;nは0〜2の整数であり;OR6が複数ある場合、複数のOR6は互いに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない]で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物、並びに、下記式(V):
7 c−Si−(OR8)4-c ・・・ (V)
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり;cは0〜2の整数であり;OR8が複数ある場合、複数のOR8はたがいに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない]で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物も好ましい。
上記式(IV)において、Aにおける官能基の中で、イミンはケチミン、アルジミン、アミジンを包含し、(チオ)カルボン酸エステルは、アクリレートやメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステルを包含し、非環状三級アミンは、N,N-二置換アニリン等のN,N-二置換芳香族アミンを包含し、また環状三級アミンは、環の一部として(チオ)エーテルを含むことができる。また、(チオ)カルボン酸の金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Zn等を挙げることができる。
4のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。該直鎖状アルキレン基としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
また、R5及びR6としては、炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜18のアルケニル基,炭素数6〜18のアリール基,炭素数7〜18のアラルキル基等が挙げられる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロペニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基等が挙げられる。また、上記アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記式(IV)において、nは0〜2の整数であるが、0が好ましく、また、この分子中には活性プロトン及びオニウム塩を有しないことが必要である。
上記式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば(チオ)エポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2-グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン及びこれらの化合物におけるエポキシ基をチオエポキシ基に置き換えたものを挙げることができるが、これらの中でも、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
また、イミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン,N-(シクロヘキシリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物,メチルジエトキシシリル化合物,エチルジエトキシシリル化合物,メチルジメトキシシリル化合物,エチルジメトキシシリル化合物等を挙げることができるが、これらの中でも、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン及びN-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンが特に好ましい。
更に、イミン(アミジン)基含有化合物としては、1-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾール,1-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾール,N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール,N-(3-イソプロポキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール,N-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール等が挙げられ、これらの中でも、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールが好ましい。
また更に、カルボン酸エステル基含有化合物としては、3-メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
また、イソシアネート基含有化合物としては、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
更に、カルボン酸無水物含有化合物としては、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられ、これらの中でも、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物が好ましい。
また、環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン,(1-ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン,(1-ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン,2-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン,2-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン,3-(1-ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン,3-(1-ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン,3-(1-ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3-(1-ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン,3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン,3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシラン,3-[10-(トリエトキシシリル)デシル]-4-オキサゾリン等が挙げられ、これらの中でも、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン及び(1-ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シランが好ましい。
更に、非環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3-ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3-ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン,3-ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン,3-ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン,2-ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン,2-ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン,3-ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン,3-ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン等が挙げられ、これらの中でも、3-ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン及び3-ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シランが好ましい。
また更に、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2-(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2-シアノエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記式(IV)のヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物も用いることができる。
上記式(V)において、R7及びR8については、それぞれ上記式(IV)におけるR5及びR6について説明した通りである。
上記式(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、テトラエトキシシランが特に好ましい。
上記式(V)のヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物を用いることもできる。
更に、上記変性剤として作用する窒素含有化合物としては、置換若しくは非置換のアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ニトリル基、又はピリジル基を有する窒素含有化合物が好ましい。変性剤として好適な窒素含有化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードMDI、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物,4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ジメチルアミノベンジリデンアニリン、4-ジメチルアミノベンジリデンブチルアミン、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
上記変性剤による重合活性部位の変性反応は、溶液反応で行うことが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。更に、変性反応の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、重合反応の反応温度をそのまま採用してもよい。なお、変性剤の使用量は、重合体の製造に使用した重合開始剤1molに対し、0.25〜3.0molの範囲が好ましく、0.5〜1.5molの範囲が更に好ましい。
本発明の空気入りタイヤに用いるゴム組成物においては、上記低分子量共役ジエン系重合体(B)を含む反応溶液を乾燥して重合体(B)を分離した後、得られた重合体(B)を上記ゴム成分(A)に配合してもよいし、重合体(B)を含む反応溶液を上記ゴム成分(A)のゴムセメントに溶液状態で混合した後、乾燥して、ゴム成分(A)及び重合体(B)の混合物を得てもよい。
上記低分子量共役ジエン系重合体(B)は、ポリスチレン換算重量平均分子量が2,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜200,000であることが更に好ましく、10,000〜150,000であることが特に好ましい。また、上記官能基を有する低分子量共役ジエン系重合体(B)については、重量平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜400,000であることが更に好ましく、30,000〜400,000であることが特に好ましい。なお、上記官能基を有する低分子量共役ジエン系重合体(B)は、官能基を導入する前のゲル透過クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000〜200,000であることが好ましく、10,000〜150,000であることが更に好ましい。ここで、各共役ジエン系重合体(B)は、重量平均分子量が高いものほど、共役ジエン系重合体(B)を配合したゴム組成物の貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)に優れるが、各重量平均分子量の上限を超えると、該ゴム組成物の作業性が低下する。また、各重量平均分子量の下限を下回ると、共役ジエン系重合体(B)を配合したゴム組成物の貯蔵弾性率(G’)が低くなると共に、損失正接(tanδ)が上昇する傾向がある。
また、本発明の空気入りタイヤにおいては、上記合成ジエン系ゴムとして、200,000〜900,000の重量平均分子量を有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1〜4であり、かつ分子中に少なくとも一種の官能基を有する共役ジエン系重合体(C)を用いることができる。重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)が上記特定範囲に限定され、かつ分子中に少なくとも一種の官能基を有する共役ジエン系重合体(C)を含むゴム組成物を、タイヤのビードフィラー7及びサイド補強ゴム層8の少なくとも一方に用いることで、ビードフィラー及び/又はサイド補強ゴム層が温度上昇して貯蔵弾性率(G’)が低下するのを確実に抑制し、ランフラット耐久性を更に向上させることができる。
上記共役ジエン系重合体(C)は、官能基を一種以上有する限り特に制限はないが、該官能基としては、充填剤と親和性を有する官能基が好ましく、窒素を含む官能基、ケイ素を含む官能基及びスズを含む官能基が更に好ましい。
上記共役ジエン系重合体(C)は、共役ジエン化合物の単独重合体、及び共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体が好ましく、1,3-ブタジエンの単独重合体、及び1,3-ブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体が更に好ましく、該芳香族ビニル化合物がスチレンであるのが特に好ましい。
上記共役ジエン系重合体(C)は、目的とする重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)となるように開始剤やランダマイザーの使用量等を調整すること以外は、上記官能基を有する低分子量共役ジエン系重合体(B)と同様にして製造することができる。
また、本発明の空気入りタイヤに用いるゴム組成物としては、更に充填剤を上記ゴム成分(A)100質量部に対して30〜90質量部含有することが好ましい。充填剤の配合量が30質量部未満では、加硫ゴムの破壊特性及び耐摩耗性が十分でなく、一方、90質量部を超えると、作業性が悪化する傾向がある。ここで、充填剤としては、カーボンブラック及びシリカが好ましい。なお、カーボンブラックとしては、FEF,SRF,HAF,ISAF,SAFグレードのものが好ましく、HAF,ISAF,SAFグレードのものが更に好ましい。一方、シリカとしては、湿式シリカ及び乾式シリカ等が好ましく、湿式シリカが更に好ましい。これら補強性の充填剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記ゴム組成物は、更に軟化剤を含んでもよい。ここで、軟化剤としては、パラフィンオイル、ナフテン系オイル、アロマオイル等のプロセスオイルが挙げられ、破壊特性及び耐摩耗性の観点からは、アロマオイルが好ましく、低発熱性及び低温特性の観点からは、ナフテン系オイル及びパラフィンオイルが好ましい。
上記ゴム組成物には、上記ゴム成分(A)、低分子量共役ジエン系重合体(B)、充填剤、軟化剤の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、シランカップリング剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。上記ゴム組成物は、ゴム成分(A)に、低分子量共役ジエン系重合体(B)と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
本発明の空気入りタイヤは、ビードフィラー7及びサイド補強ゴム層8の少なくとも一方に上述の低分子量共役ジエン系重合体(B)を配合したゴム組成物を適用し、常法により製造することができる。なお、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<重合体(B-1)の製造例>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロへキサン300g、1,3-ブタジエン40g、スチレン13g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.90mmolを加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)0.90mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体(B-1)を得た。
<重合体(B-2)及び(B-3)の製造例>
上記重合体(B-1)と同様にして重合反応を行い、重合反応系に変性剤として表1に示す変性剤を表1に示す量速やかに加え、更に50℃で30分間変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体(B-2)及び(B-3)を得た。
上記のようにして製造した重合体(B-1)〜(B-3)の重量平均分子量(Mw)、ミクロ構造、結合スチレン量を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
(1)重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、各重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)ミクロ構造及び結合スチレン含有量
重合体のミクロ構造を赤外法(モレロ法)で求め、重合体の結合スチレン含有量を1H-NMRスペクトルの積分比より求めた。
Figure 0004993937
*1 四塩化スズ.
*2 N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン.
<重合体(C-1)〜(C-2)の製造例>
乾燥し、窒素置換した8Lの耐圧反応装置に、シクロヘキサン3kg、1,3-ブタジエン500g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.2mmolを加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)4mmolを加えた後、40℃の開始温度で1時間重合反応を行った。重合は昇温条件下で行い、最終温度が75℃を超えないように調整した。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に変性剤として四塩化スズを表2に示す量速やかに加え、更に30分間変性反応を行った。その後重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体(C-1)を得た。また、表2に示す重合開始剤及び変性剤を表2に示す量用いること以外は、重合体(C-1)の製造と同様な方法で、重合体(C-2)を得た。
<重合体(C-3)の製造例>
乾燥し、窒素置換した8Lの耐圧反応装置に、シクロヘキサン3kg、1,3-ブタジエン500g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.2mmolを加え、更にn-ブチルリチウム(n-BuLi)6mmolを加えた後、該装置にインサイチューで調製したリチウムヘキサメチレンイミド[HMI−Li;ヘキサメチレンイミン(HMI)/リチウム(Li)モル比=0.9]をリチウム当量で4.5mmol速やかに加え、40℃の開始温度で1時間重合反応を行った。重合は昇温条件下で行い、最終温度が75℃を超えないように調整した。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に変性剤としてクルードMDI1mmolを加え、更に30分間変性反応を行った。その後重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体(C-3)を得た。
上記のようにして製造した重合体(C-1)〜(C-3)の重量平均分子量(Mw)、ミクロ構造を重合体(B)と同様な方法で測定した。数平均分子量(Mn)は、上記重量平均分子量(Mw)の測定方法と同様に測定した。結果を表2に示す。
Figure 0004993937
*3 クルードMDI[日本ポリウレタン(株)製,商標「MR400」].
次に、表3に示す配合処方のゴム組成物を調製し、得られたゴム組成物の動的貯蔵弾性率を以下の方法で測定した。結果を表4〜6に示す。
(3)動的貯蔵弾性率
上記ゴム組成物を160℃、12分間の条件で加硫して得られた厚さ2mmのスラブシートから、幅5mm、長さ40mmのシートを切り出し、試料とした。この試料について、上島製作所(株)製スペクトロメータを用い、チャック間距離10mm、初期歪200μm、動的歪1%、周波数52Hz、測定開始温度25℃、昇温速度3℃/分、測定終了温度250℃の測定条件で、動的貯蔵弾性率を測定した。また、50℃における動的貯蔵弾性率に対する200〜250℃の領域における動的貯蔵弾性率の最小値の比を指数で表示した。この指数が大きい程、高温化による動的貯蔵弾性率の低下が小さいことを示す。
Figure 0004993937
*4 SBR[#1500,JSR(株)製],又は上記の方法で製造した重合体(C-1)〜(C-3),使用した重合体の種類を表4〜6に示す.
*5 軟化剤[ダイアナプロセスオイルNP−24,出光興産(株)製],又は上記の方法で製造した重合体(B-1)〜(B-3),使用した重合体の種類を表4〜6に示す.
*6 旭カーボン(株)製,「旭#60」.
*7 日本シリカ工業(株)製,商標「ニプシルAQ」.
*8 デグサ社製,商標「Si69」,ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド.
*9 N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン.
*10 N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド.
次に、上記配合1に従うゴム組成物をサイド補強ゴム層のみに用いるか、上記配合2に従うゴム組成物をサイド補強ゴム層及びビードフィラーの双方に用いて、サイズ205/55R16の乗用車用ラジアルタイヤを常法に従って製造した。なお、該ゴム組成物のサイド補強ゴム層の最大厚み(補強ゴム層ゲージ)は12mmであり、ビードフィラーの高さは45mmである。また、供試タイヤをサイズ6.5JJ−16のリムでリム組みし、以下の方法で、タイヤのランフラット耐久性及び転がり抵抗を評価した。結果を表4〜6に示す。
(4)ランフラット耐久性
各試作タイヤを常圧でリム組みし、内圧200kPaを封入してから38℃の室内に24時間放置後、バルブのコアを抜き内圧を大気圧として、荷重4.32kN(440kgf)の下、速度89km/h、温度38℃の条件でドラム走行テストを行った。この際の故障発生までの走行距離を測定し、比較例1の故障発生までの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きい程、故障発生までの走行距離が長く、ランフラット耐久性に優れることを示す。
(5)転がり抵抗
タイヤ内圧:1.7kg/cm2、荷重:JIS100%荷重、惰行開始速度:100km/hrの条件で、惰行法にて供試タイヤの転がり抵抗を測定し、比較例1の転がり抵抗を100として指数表示した。指数値が小さい程、転がり抵抗が小さく、良好であることを示す。
表4は、合成ジエン系ゴムをSBRとするゴム成分(A)と、軟化剤、又は重量平均分子量が80,000である重合体(B-1)とを用いて、表3に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物をサイド補強ゴム層、又はサイド補強ゴム層及びビードフィラーの双方に用いたタイヤの結果である。
Figure 0004993937
表4の比較例1と比較例2との比較、並びに実施例1と実施例2の比較から、サイド補強ゴム層やビードフィラーに用いるゴム組成物中のゴム成分(A)に含まれる天然ゴムとSBRの割合を変化させるだけでは、ゴム物性を若干改良できるものの、タイヤのランフラット耐久性を十分に改善できないことが分かる。一方、実施例と比較例の比較から、軟化剤に代えて低分子量共役ジエン系重合体を用いることで、ゴム組成物の高温化による動的貯蔵弾性率の低下が抑制でき、また、該ゴム組成物をサイド補強ゴム層のみに、又はサイド補強ゴム層及びビードフィラーの双方に用いることで、ランフラット耐久性が向上することが分かる。
表5は、合成ジエン系ゴムをSBRとするゴム成分(A)と、軟化剤、又は少なくとも一つの官能基を有する重合体(B-2)〜(B-3)とを用いて、表3に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物をサイド補強ゴム層、又はサイド補強ゴム層及びビードフィラーの双方に用いたタイヤの結果である。
Figure 0004993937
比較例1と実施例3〜4との比較、並びに比較例2と実施例5〜6との比較から、軟化剤に代えて変性した共役ジエン系重合体を用いた場合、低分子量共役ジエン系重合体を用いたときの効果に加え、タイヤの転がり抵抗が低減することが分かる。従って、官能基を有する共役ジエン系重合体を配合したゴム組成物を、サイド補強ゴム層のみに、又はサイド補強ゴム層及びビードフィラーの双方に用いることで、ランフラット耐久性の向上と転がり抵抗の低減とを両立することができる。
表6は、合成ジエン系ゴムを変性した重合体(C-1)〜(C-3)とするゴム成分(A)と重合体(B-1)とを用いて、表3に示す配合処方のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物をサイド補強ゴム層、又はサイド補強ゴム層及びビードフィラーの双方に用いたタイヤの結果である。
Figure 0004993937
比較例1と実施例7〜9との比較、並びに比較例2と実施例10〜12との比較から、合成ジエン系ゴムを変性した重合体(C-1)〜(C-3)とするゴム成分(A)を用いた場合、軟化剤に代えて用いる重合体が重合体(B-1)であっても、表5に示す官能基を有する重合体(B-2)〜(B-3)と同様な効果が得られることが分かる。
表5及び表6から明らかなように、ゴム成分に対し、軟化剤に代えて重量平均分子量の低い共役ジエン系重合体を配合してなるゴム組成物を、サイド補強ゴム層のみに、又はサイド補強ゴム層及びビードフィラーの双方に用いる場合、ゴム成分又は重量平均分子量の低い共役ジエン系重合体のどちらか一方を変性することで、ランフラット耐久性の向上と転がり抵抗の低減とを両立することができる。
本発明の空気入りタイヤの一実施形態の断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ラジアルカーカス
4a 折り返しカーカスプライ
4b ダウンカーカスプライ
5 ベルト
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 サイド補強ゴム層

Claims (21)

  1. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強するカーカスと、前記ビード部内に夫々埋設したビードコアのタイヤ半径方向外側に配置したビードフィラーとを備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記ビードフィラーに、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対し、共役ジエン系重合体(B)1〜60質量部を配合してなり、
    前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有さない場合、前記共役ジエン系重合体(B)が2,000〜200,000未満の重量平均分子量(Mw)を有し、
    前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有する場合、前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)は、2,000〜500,000の重量平均分子量(Mw)を有し、且つ、前記官能基を導入する前の重量平均分子量(Mw)が2,000〜200,000未満であるゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強するカーカスと、前記サイドウォール部に配置した一対のサイド補強ゴム層とを備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記サイド補強ゴム層に、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対し、共役ジエン系重合体(B)1〜60質量部を配合してなり、
    前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有さない場合、前記共役ジエン系重合体(B)が2,000〜200,000未満の重量平均分子量(Mw)を有し、
    前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有する場合、前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)は、2,000〜500,000の重量平均分子量(Mw)を有し、且つ、前記官能基を導入する前の重量平均分子量(Mw)が2,000〜200,000未満であるゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強するカーカスと、前記ビード部内に夫々埋設したビードコアのタイヤ半径方向外側に配置したビードフィラーと、前記サイドウォール部に配置した一対のサイド補強ゴム層とを備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記ビードフィラー及び前記サイド補強ゴム層に、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムからなるゴム成分(A)100質量部に対し、共役ジエン系重合体(B)1〜60質量部を配合してなり、
    前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有さない場合、前記共役ジエン系重合体(B)が2,000〜200,000未満の重量平均分子量(Mw)を有し、
    前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有する場合、前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)は、2,000〜500,000の重量平均分子量(Mw)を有し、且つ、前記官能基を導入する前の重量平均分子量(Mw)が2,000〜200,000未満であるゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  4. 前記共役ジエン系重合体(B)がブタジエン単独重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記共役ジエン系重合体(B)が芳香族ビニル化合物−ブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記共役ジエン系重合体(B)の芳香族ビニル化合物がスチレンであることを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記共役ジエン系重合体(B)が少なくとも一種の官能基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記官能基が、スズ、ケイ素、及び窒素の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記共役ジエン系重合体(B)が10,000〜150,000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)が5,000〜500,000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)が10,000〜400,000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項10に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記官能基を有する共役ジエン系重合体(B)が30,000〜400,000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項11に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記官能基を有する低分子量共役ジエン系重合体(B)は、官能基を導入する前の重量平均分子量(Mw)が5,000〜200,000未満であることを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記重量平均分子量(Mw)が10,000〜150,000であることを特徴とする請求項13に記載の空気入りタイヤ。
  15. 前記合成ジエン系ゴムは、200,000〜900,000の重量平均分子量を有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1〜4であり、かつ分子中に少なくとも一種の官能基を有する共役ジエン系重合体(C)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  16. 前記共役ジエン系重合体(C)の官能基が、スズ、ケイ素、及び窒素の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項15に記載の空気入りタイヤ。
  17. 前記共役ジエン系重合体(C)がブタジエン単独重合体であることを特徴とする請求項15に記載の空気入りタイヤ。
  18. 前記共役ジエン系重合体(C)が芳香族ビニル化合物−ブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項15に記載の空気入りタイヤ。
  19. 前記共役ジエン系重合体(C)の芳香族ビニル化合物がスチレンであることを特徴とする請求項18に記載の空気入りタイヤ。
  20. 前記ゴム組成物が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、更に充填剤を30〜90質量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  21. 前記充填剤がカーボンブラック及び/又はシリカであることを特徴とする請求項20に記載の空気入りタイヤ。
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