JP4992166B2 - ハードコート用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法 - Google Patents

ハードコート用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードコートの基材として用いられる二軸延伸ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、ハードコート後の平面性を良好となし得る二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、その機械的性質、耐熱性、透明性、電気絶縁性などに優れた性質を有することから、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ材料、表示装置用材料等の多くの用途の基材フィルムとして広く使用されている。しかし、フィルム表面の表面硬度が低く、また、耐摩擦性も不足しているため、他の固い物体との接触、摩擦、引っ掻き等によって、表面に損傷を受けやすいという欠点を有している。表面硬度を要求される用途とは、例えば、窓ガラスの着色、断熱性、防爆等のために貼られる窓貼り用フィルム、ラベル用フィルム、ブラウン管等の表面に貼られる反射防止フィルム等である。
ポリエステルフィルムの表面高度を向上させる方法としては、ポリエステルフィルムを基材フィルムとし、その上に耐擦傷性、耐摩耗性に優れたハードコート層を設ける方法が知られている。ハードコートの成分としては、ポリ有機シロキサン、シリカ、アルミナなどの無機酸化物系あるいは有機アクリル系などがあり、ハードコートの形成方法としては、真空蒸着方式、溶液の塗布・乾燥によるウェットコーティング方式などがある。なかでも、有機アクリル系樹脂組成物を塗布・乾燥・硬化させるウェットコーティング方式がコスト、生産性の点から選択されることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、有機アクリル系樹脂組成物を塗布・乾燥・硬化させるウェットコーティング方式では、有機アクリル系樹脂組成物等のハードコート成分塗布後の乾燥工程にて、基材である二軸延伸ポリエステルフィルムに熱収縮が起こり、ハードコート設置後の積層フィルムにタルミ、カールが発生して、次加工工程での生産性に問題が生じていた。また、基材である二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みムラが大きい場合、フィルム上に塗布される有機アクリル系樹脂組成物等のハードコート成分の塗布膜厚に厚みムラが生じ、ハードコート設置後の積層フィルムにタルミ、ユガミ、カールが生じていた。
従って、本発明の課題は、上記の問題点を解決することであり、具体的には、ハードコート後の平面性を良好となし得る二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成をとる。すなわち、50℃〜100℃における30℃に対する幅方向の熱膨張率が−0.3%〜0.3%であり、かつ下記式1〜2を満たす、膜厚1〜15μmの有機アクリル系活性線硬化性組成物からなるハードコート用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法であって、二軸方向にそれぞれ延伸温度60〜130℃、延伸倍率2.5〜5.0倍で延伸された後に、220℃〜50℃で熱処理する工程において、該熱処理工程の、各オーブン内の温度ムラが±3℃以下であり、かつ、100〜50℃の処理区間長が、220〜100℃の処理区間長と比較して、同等もしくは長い、ハードコート用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法である。
10μm<R<500μm ・・・式1
△R/R<0.05 ・・・式2
(ただし、Rはフィルム膜厚、△Rはフィルム膜厚バラツキである)
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において、二軸延伸ポリエステルフィルムとは、ジカルボン酸類とグリコール類を重合して得られるポリエステルを、必要に応じて乾燥し、公知の溶融押出し機に供給し、スリット状のダイから単層または複合層のシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着、冷却固化して未延伸シートとした後、二方向に延伸、熱処理したフィルムのことである。
【0006】
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの30℃に対する50℃〜100℃における幅方向の熱膨張率は−0.5%〜0.5%であることが必要であり、好ましくは−0.4%〜0.4%、とくに好ましくは−0.3%〜0.3%である。通常、ハードコート剤の塗布は30℃前後の室温で行われるが、ハードコート剤硬化後にハードコート剤に含まれる有機溶剤が揮発することを抑えるため、硬化前に有機溶剤を50℃〜100℃の温度にて乾燥させる。この時、基材である二軸延伸ポリエステルフィルムの30℃に対する50℃〜100℃における幅方向の熱膨張率が−0.5%未満または0.5%を越えると、硬化したハードコート層と基材である二軸延伸ポリエステルフィルムの間で、室温に戻ったときの寸法変化に大きな差が生じ、タルミ、カール等が生じるため好ましくない。なお、ここで幅方向とは、フィルム巻き取り方向と直角方向のことである。
【0007】
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの膜厚Rは、10μmを越え500μm未満である必要がある。10μm以下だと腰が弱く、ハードコート塗工時および次工程での取り扱い性が悪くなり、また500μm以上だと剛性が高すぎて取り扱い性が低下すること、ロール長尺化が物理的に困難になるため生産コストが高くなること、そして透明性が要求される用途では透明性低下などが問題となるため好ましくない。膜厚Rは、好ましくは15〜350μmであり、より好ましくは20〜250μmである。ここで、フィルム製膜中の膜厚管理・調整方法はとくに限定されないが、たとえば熱処理後のフィルムをβ線膜厚計等の公知の方法で測定しそれを延伸条件にフィードバックすることで行うことができる。
【0008】
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム膜厚バラツキ△Rをフィルム膜厚Rで除した値△R/Rが、0.05未満である必要がある。△R/Rは、好ましくは0.4未満であり、より好ましくは0.3未満である。通常、基材である二軸延伸ポリエステルフィルム上に形成されるハードコート層は、ハードコート自身の粘性やレベリング剤の効果によって、平坦化される。しかし、基材である二軸延伸ポリエステルフィルムの膜厚Rに対する膜厚バラツキ△Rの比(△R/R)が0.05以上だと、平坦化能力を超えてハードコート層に厚みムラが生じやすく、結果、ユガミ、タルミ等が生じるため好ましくない。
【0009】
本発明のポリエステルフィルムに使用されるポリエステル樹脂の原料として用いられるジカルボン酸類としては、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などが使用できる。機械的強度、耐候性や耐化学薬品性、透明性などを考慮すると、テレフタル酸もしくはナフタレンジカルボン酸を用いることが好ましい。
【0010】
また、前記ポリエステル樹脂の原料として用いられるグリコール類としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールや、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコールなどが使用できる。機械的強度、耐候性や耐化学薬品性、透明性などを考慮すると、エチレングリコールを用いることが好ましい。
【0011】
また、前記ポリエステル樹脂を重合する際の触媒として、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物などを使用することが好ましい。
【0012】
また、前記ポリエステル樹脂の原料や重合触媒として用いる上記のジカルボン酸類、グリコール類、触媒は、それぞれ2種以上を併用してもよい。
【0013】
本発明のポリエステルフィルムに走行性(易滑性)や耐候性、耐熱性などの機能を持たせるため、前記ポリエステル樹脂を主体としたフィルム原料に粒子を添加してもよい。添加する粒子としてはとくに限定されず、公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、易滑剤としてポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメチルメタクリレート、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、架橋ポリスチレンなどの有機微粒子、同じく易滑剤としてアルミナ、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、カオリン、クレーなどの無機微粒子などが使用できる。ラベル用途など本発明のフィルムを着色する場合は、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等の顔料粒子を使用するのが好ましい。
【0014】
また、本発明のポリエステルフィルムに前記ポリエステル樹脂と非相溶な樹脂、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等を混合して二軸延伸し、内部に空洞を有する、比重が0.5〜1.3の白色ポリエステルフィルムとすることもできる。該白色ポリエステルフィルムは、印刷特性が良好になるのでラベル等印刷用途には好ましいものである。
【0015】
本発明のポリエステルフィルムは、二軸延伸されたフィルムである必要がある。未延伸シートを二軸延伸する方法としてはとくに限定されず、たとえばロールを用いて長手方向に延伸した後、オーブン内で幅方向に延伸する逐次二軸延伸方法や、長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸する同時二軸延伸延伸方法などの公知技術を用いることができる。ここで、ロールを用いて延伸する場合は、ロールとフィルムの粘着やロールとフィルムの周速差等により延伸ムラすなわち厚みムラが生じたり、傷が入ることがあるので、電熱ヒーターを併用して延伸熱量を供給する方法が好ましい。また、オーブンを用いて延伸する場合は、オーブン内での温度ムラにより延伸ムラすなわち厚みムラが生じるため、ファンやノズルを設置する方法が好ましい。
【0016】
二軸延伸する際の、延伸前予熱温度および延伸温度、延伸倍率は、フィルム膜厚によって好適な範囲が異なるが、好ましくは延伸前予熱温度および延伸温度の範囲は60℃〜130℃であり、延伸倍率は2.5〜5.0倍である。60℃を下回ると熱量不足による局所的延伸ムラが生じることがあり、また130℃を上回ると延伸張力がなくなり延伸ムラが生じることがあり厚みムラの原因となる。また、延伸倍率が2.5倍を下回った場合または5.0倍を上回った場合、共に延伸ムラが生じることがあり、厚みムラの原因となる。
【0017】
二軸延伸後に、フィルムを240℃〜50℃の中の任意の温度範囲で熱処理を行うが、本発明の場合、50℃〜100℃の熱寸法安定性が要求されるので、100℃〜50℃での熱処理時間を多くとることが好ましい。また、オーブン内に温度ムラがあると熱収縮率にバラツキが生じるので、オーブン内の温度ムラは±5℃以内であることが好ましく、±3℃以内がより好ましい。また、熱膨張・収縮率の調整のため、長手方向や幅方向の張力緩和を実施することが好ましい。
【0018】
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムフィルムは、該フィルムの少なくとも片面に積層膜を有するのが好ましい。この積層膜は、たとえば基盤層である二軸延伸ポリエステルフィルムとハードコート剤との接着性、また、ハードコートとは反対面に設置させうる粘着剤等との接着性を向上させるためや、ハードコート工程等での機械走行性(易滑性)を向上させるために設けられる。ここで、積層膜の特性がハードコート機能を有する場合、該積層膜がハードコート膜を兼用してもかまわない。
【0019】
積層膜を設けるのに好ましい方法としてはとくに限定されず、たとえばポリエステルフィルムの製造工程中に共押出しするか、もしくは塗布方法でポリエステル基盤層上に設け、基盤層と共に延伸する方法などが好ましく用いられる。ここで、基盤層上への塗布方法は各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
【0020】
前記積層膜を構成する成分としては、ポリエステル樹脂に接着性を有するものであれば特に限定されないが、たとえば基盤層に用いたポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂などを好適に用いることができる。該積層膜が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含有していることがとくに好ましい。また、異なる2種以上の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂とウレタン樹脂、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂とアクリル樹脂を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
積層膜の構成成分としてポリエステル樹脂を用いる場合、該ポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するもので、ジカルボン酸とグリコールから重縮合して得られるものである。
ここで、ジカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを用いることができる。これらの芳香族ジカルボン酸は、積層膜の強度や耐熱性の点で、好ましくは全ジカルボン酸成分の30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、最も好ましくは40モル%以上用いるのがよい。脂肪族および脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、およびそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
また、該ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどを用いることができる。
【0022】
積層膜の原料として、ポリエステル樹脂を水系樹脂とした塗液を用いる場合には、ポリエステル樹脂の水溶化あるいは水分散化を容易にするため、スルホン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物をポリエステルに共重合することが好ましい。
【0023】
ここで、スルホン酸塩基を含む化合物としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどあるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0024】
また、カルボン酸塩基を含む化合物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸など、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
該積層膜に用いることができるポリエステル樹脂としては、変性ポリエステル共重合体、例えば、アクリル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体なども使用することができる。
【0026】
該積層膜に用いることができる、より好ましいポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の1種以上を使用し、グリコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれる1種以上を使用した共重合体などである。ここで、耐水性が必要とされる場合には、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコールを含む(共)重合体などが好適に用いられる。
【0027】
積層膜の構成成分としてアクリル樹脂を用いる場合、該アクリル樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて(共)重合される。更に、上記以外の他種のモノマーを併用することもできる。
【0028】
ここで使用できる他種のモノマーとしてはとくに限定されないが、例えば、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのスルホン酸基またはその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどを用いることができる。
【0029】
また、該積層膜に用いることができるアクリル樹脂としては、変性アクリル共重合体、例えば、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体などを含めることもできる。
【0030】
該積層膜に用いられるアクリル樹脂のガラス転移点(Tg)は特に限定されるものではないが、好ましくは0〜90℃、より好ましくは10〜80℃である。Tgが低いアクリル樹脂を用いた場合は耐熱接着性が劣る傾向があり、逆に高すぎる場合は造膜性が劣ることがある。また、該アクリル樹脂の分子量は10万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とするのが接着性の点で望ましい。
【0031】
該積層膜に用いられる、より好ましいアクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリル酸から選ばれる(共)重合体などを挙げることができる。
【0032】
該積層膜の原料として、アクリル樹脂を水に溶解、乳化、あるいは懸濁した水系アクリル樹脂を用いることが、環境汚染防止や塗布時の防爆性の点で好ましい。このような水系アクリル樹脂は、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩など)と前記モノマー類との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合などの方法によって作製することができる。
【0033】
積層膜の構成成分としてウレタン樹脂を用いる場合、該ウレタン樹脂は、アニオン性基を有する水溶性あるいは水分散性のウレタン樹脂であれば特に限定されるものではなく、その主成分としては、ポリオール、ポリイソシアネートを共重合して得られるものである。
【0034】
該積層膜の構成成分として用いることができるウレタン樹脂としては、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、または硫酸半エステル塩基により水への親和性が高められたものなどを含めることができる。ここで、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、または硫酸半エステル塩基などの含有量は、0.5〜15重量%が好ましい。
【0035】
積層膜の構成成分として用いることができるウレタン樹脂を構成するポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、アクリル系ポリオールなどを用いることができる。
【0036】
また、積層膜の構成成分として用いることができるウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などを用いることができる。
【0037】
ここで、ウレタン樹脂の主要な構成成分は、上記ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物の他に、鎖長延長剤、架橋剤などを含んでいてもよい。
【0038】
ここで、鎖長延長剤あるいは架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを用いることができる。
【0039】
該積層膜の構成成分として、好ましくはアニオン性基を有するウレタン樹脂が用いられる。アニオン性基を有するウレタン樹脂は、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、鎖延長剤などにアニオン性基を有する化合物を用いる方法、生成したウレタン樹脂の未反応イソシアネート基とアニオン性基を有する化合物を反応させる方法、ウレタン樹脂の活性水素を有する基と特定の化合物を反応させる方法などを用いて製造することができるが、特に限定されるものではない。より好ましいウレタン樹脂としては、分子量300〜20000のポリオール、ポリイソシアネート、反応性水素原子を有する鎖長延長剤及びイソシアネート基と反応する基、及びアニオン性基を少なくとも1個有する化合物からなる樹脂が好ましい。ここで、ウレタン樹脂中のアニオン性基は、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基およびこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩が用いられ、特に好ましくは、スルホン酸塩基である。
【0040】
ここで、ポリウレタン樹脂中のアニオン性基の量は、0.05重量%〜8重量%が好ましい。0.05重量%未満では、ウレタン樹脂の水分散性が悪くなる傾向があり、8重量%を越えると、樹脂の耐水性や耐ブロッキング性が劣る傾向がある。
【0041】
本発明にかかる積層膜においては、上記した樹脂に各種の架橋剤を併用することにより、耐熱接着性を向上させると同時に、耐湿接着性を飛躍的に向上させることができる。該積層膜に用いる樹脂として、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂に架橋性官能基が共重合されている場合、架橋剤を併用することがとくに好ましい。
【0042】
ここで、用いられる架橋剤は、上記した樹脂に存在する官能基、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メチロール基、アミド基などと架橋反応しうるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。特に、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤が、樹脂との相溶性、接着性などの点から好適に用いられる。
【0043】
ここで、前記メラミン系架橋剤としては、特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。また、メラミン系架橋剤としては、単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。ここで、エーテル化に使用する低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。
【0044】
また、メラミン系架橋剤の官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基などのアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、具体的なメラミン系架橋剤としてはイミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などを挙げることができる。中でも、イミノ基型メラミン樹脂、メチロール化メラミン樹脂が好ましく、とくに好ましくは、イミノ基型メラミン樹脂である。
【0045】
メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えば、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
【0046】
前記架橋剤としてオキサゾリン系架橋剤を用いる場合、用いられるオキサゾリン系架橋剤は、該化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。
【0047】
ここで、オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好ましく用いられる。
【0048】
また、オキサゾリン系架橋剤において、オキサゾリン基を含有するモノマーに対して用いられる少なくとも1種の他のモノマーとしては、該オキサゾリン基を含有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを用いることができ、これらは1種または2種以上の混合物として使用することもできる。
【0049】
本発明における積層膜を構成する樹脂と架橋剤は任意の比率で混合して用いることができるが、架橋剤は、樹脂100重量部に対し0.2〜20重量部添加が常態下での接着性向上の点で好ましく、より好ましくは0.5〜15重量部添加、とくに好ましくは1〜10重量部添加である。架橋剤の添加量が、0.2重量部未満の場合、その添加効果が小さく、また、20重量部を越える場合は、接着性が低下する傾向がある。
【0050】
また、本発明における積層膜中には本発明の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されていてもよい。
【0051】
本発明における積層膜中に無機粒子を添加するのは、易滑性や耐ブロッキング性が向上する点で、とくに好ましい。この場合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.01〜3μm、とくに好ましくは0.02〜2μmである。積層膜中の樹脂100重量部に対する無機粒子の混合比は特に限定されないが、固形分重量比で0.05〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0052】
本発明のポリエステルフィルムは、ハードコート用のフィルムである。本発明のポリエステルフィルムに使用できるハードコートの成分としてはとくに限定されず、たとえばポリ有機シロキサン、シリカ、アルミナなどの無機酸化物系あるいは有機アクリル系などのハードコート剤を使用することができる。ハードコート膜の形成方法としてはとくに限定されず、たとえば真空蒸着方式、溶液の塗布・乾燥によるウェットコーティング方式などがあるが、コスト、生産性の点から、有機アクリル系活性線硬化性組成物をウェットコーティング方式で塗布・乾燥・紫外線硬化させる方式が好ましい。塗布膜厚のコントロールを目的として、ハードコート剤成分中にアルコール、ケトン、トルエン等の有機溶剤を加えることもでき、酸化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤などの添加物を加えることもできる。また、ハードコート膜を紫外線で硬化させる場合には、ハードコート剤中にアセトフェノンなどの公知の光重合開始剤を加えてもよい。ハードコート剤の塗布手段としてはとくに限定されず、たとえば刷毛塗り、浸漬塗り、ナイフ塗り、スプレー塗り、ロール塗り、流し塗り、回転塗りなど、通常行われている塗布方法を用いることができる。
【0053】
また、ハードコートの膜厚は、用途や基材である本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの膜厚に応じて決定すればよいが、0.5μm未満だと表面硬度が十分でなく、20μmを越えると硬化膜が脆くなりクラックが入りやすくなるため、0.5μm〜20μmが好ましく、1μm〜15μmがより好ましい。
【0054】
本発明における評価基準は次の通りである。
【0055】
(1)フィルムの熱膨張率(熱寸法変化率)
TMA法にて評価した。すなわち、真空理工社製、TM−9300型熱機械試験機を用い、5g/5mmの荷重下、30℃から10℃/minの昇温速度で昇温し、各温度における30℃でのサンプル長(20mm)に対する伸び率(縮みはマイナス)を測定した。
【0056】
(2)フィルム膜厚:R
ソニー製、デジタルマイクロメーターを使用し、JIS−C−2151に従って測定した。
【0057】
(3)フィルム膜厚バラツキ:△R
足立電気社製、広範囲高感度電子マイクロ測定器とフィルム送り装置を使用し、幅方向は1.5m/分の走査速度でロール幅長、長手方向は3.0m/分の走査速度で20m長の厚みバラツキを測定した。
【0058】
(4)ハードコート層形成後のユガミ、タルミ
ロール幅×3mのハードコート後のフィルムを、ハードコート面を上にして平面台の上に広げ、ユガミ、タルミ(浮き、ツッパリ)の様子を目視評価した。
【0059】
(5)ハードコート形成後のカール
10cm×10cmの大きさに切ったハードコート後のフィルムを、ハードコート面を上にして平面台の上に置き、両端の浮き上がり状態を観察し、平面からの高さを測定した。
【0060】
【実施例】
以下に示す実施例は一例であり、本発明は、これに限定されるものではない。
【0061】
実施例1
フィラーを0.03重量%含むポリエチレンテレフタレートを280℃で溶融押出し、静電印可された20℃のキャストドラム上にT字型口金より吐出して無延伸シートとした後、これをロールを用いて70℃で予熱し、電熱ヒーターで加熱しながら、この温度にてロール延伸で長手方向に3.0倍延伸した。続いて、110℃で幅方向に3.2倍延伸し、220℃〜50℃で熱処理し、幅方向で4%フィルム幅を縮めて張力緩和した。このとき、220℃〜100℃の熱処理区域長と100℃〜50℃の熱処理区域長を1:1とし、100℃〜50℃の熱処理区域内の各オーブン内の温度ムラは±3℃であった(幅方向で3点測定)。熱処理後のフィルム膜厚を製膜中に参考のためβ線厚み計で測定し、幅方向の凸凹をキャストのスリット幅すなわち吐出量を調整することで、R=188μm、△R=5μmのフィルムを得た(△R/R=0.027)。このフィルムの30℃に対する50℃〜100℃の熱膨張率(幅方向)を測定したところ、0.2%以下であった。
このフィルムの片面に、ハードコート剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート90重量部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシフェニルケトン5重量部、トルエン50重量部、メチルエチルケトン50重量部を攪拌混合した組成物を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が10μmになるように塗布し、続いて、80℃30秒間乾燥させて溶媒を揮発後、12cmの高さから80W/cmの水銀灯で硬化させた。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。ユガミ、タルミが無く、カールの小さい優れたフィルムであった。
【0062】
実施例2
フィラーを含まないポリエチレンテレフタレートを280℃で溶融押出し、静電印可された20℃のキャストドラム上にT字型口金より吐出して無延伸シートとした後、これをロールを用いて70℃で予熱し、電熱ヒーターで加熱しながら、この温度にてロール延伸で長手方向に3.0倍延伸した。この後、フィルムの両面に易滑剤(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重量部)を含む水分散性アクリル系樹脂を水分比3.0重量%で両面に塗布した。続いて、110℃で幅方向に3.2倍延伸し、220℃〜50℃で熱処理し、幅方向で4%フィルム幅を縮めて張力緩和した。このとき、220℃〜100℃の熱処理区域長と100℃〜50℃の熱処理区域長を1:1とし、100℃〜50℃の熱処理区域内の各オーブン内の温度ムラは±3℃であった(幅方向で3点測定)。熱処理後のフィルム膜厚を製膜中に参考のためβ線厚み計で測定し、幅方向の凸凹をキャストのスリット幅すなわち吐出量を調整することで、R=125μm、△R=2.5μmのフィルムを得た(△R/R=0.02)。このフィルムの30℃に対する50℃〜100℃の幅方向の熱膨張率を測定したところ、0.2%以下であった。
このフィルムの片面に、ハードコート剤として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート90重量部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシフェニルケトン5重量部、トルエン50重量部、メチルエチルケトン50重量部を攪拌混合した組成物を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が10μmになるように塗布し、続いて、80℃30秒間乾燥させて溶媒を揮発後、12cmの高さから80W/cmの水銀灯で硬化させた。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。ユガミ、タルミは実用上問題無く、カールについても実用上問題の無い優れたフィルムであった。
【0063】
比較例1
フィラーを0.03重量%含むポリエチレンテレフタレートを280℃で溶融押出し、静電印可された20℃のキャストドラム上にT字型口金より吐出して無延伸シートとした後、これをロールを用いて80℃で予熱し、この95℃にてロール延伸で長手方向に2.3倍延伸した。続いて、110℃で幅方向に2.3倍延伸し、220℃〜50℃で熱処理し、幅方向で4%フィルム幅を縮めて張力緩和した。このとき、220℃〜100℃の熱処理区域長と100℃〜50℃の熱処理区域を1:1とし、100℃〜50℃の熱処理区域内の各オーブン内の温度ムラは±3℃であった(幅方向で3点測定)。熱処理後のフィルム膜厚を製膜中に参考のためβ線厚み計で測定し、R=188μm、△R=12μmのフィルムを得た(△R/R=0.064)。このフィルムの30℃に対する50℃〜100℃の幅方向の熱膨張率を測定したところ、0.3%以下であった。
このフィルムの片面に、ハードコート剤として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート90重量部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシフェニルケトン5重量部、トルエン50重量部、メチルエチルケトン50重量部を攪拌混合した組成物を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が10μmになるように塗布し、続いて、80℃30秒間乾燥させて溶媒を揮発後、12cmの高さから80W/cmの水銀灯で硬化させた。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。△R/Rの値が本発明の範囲を外れる本比較例は、フィルムのユガミが顕著であった。
【0064】
比較例2
フィラーを含まないポリエチレンテレフタレートを280℃で溶融押出し、静電印可された20℃のキャストドラム上にT字型口金より吐出して無延伸シートとした後、これをロールを用いて70℃で予熱し、電熱ヒーターで加熱しながら、この温度にてロール延伸で長手方向に3.0倍延伸した。この後、フィルムの両面に易滑剤(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重量部)を含む水分散性アクリル系樹脂を水分比3.0重量%で両面に塗布した。続いて、110℃で幅方向に3.2倍延伸し、220℃〜50℃で熱処理した。このとき、220℃〜100℃の熱処理区域長と100℃〜50℃の熱処理区域を3:1とし、100℃〜50℃の熱処理区域内の各オーブン内の温度ムラは±8℃であった(幅方向で3点測定)。熱処理後のフィルム膜厚を製膜中に参考のためβ線厚み計で測定し、幅方向の凸凹をキャストのスリット幅すなわち吐出量を調整することで、R=125μm、△R=3.5μmのフィルムを得た(△R/R=0.028)。このフィルムの30℃に対する50℃〜100℃の幅方向の熱膨張率を測定したところ、0.5%を越えた。
このフィルムの片面に、ハードコート剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート90重量部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシフェニルケトン5重量部、トルエン50重量部、メチルエチルケトン50重量部を攪拌混合した組成物を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が10μmになるように塗布し、続いて、80℃30秒間乾燥させて溶媒を揮発後、12cmの高さから80W/cmの水銀灯で硬化させた。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。熱膨張率が本発明の範囲を外れる本比較例は、カールが顕著であった。
【0065】
【表1】
Figure 0004992166
【0066】
【発明の効果】
本発明により、ハードコート後の平面性が良好な二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することが可能となった。

Claims (3)

  1. 50℃〜100℃における30℃に対する幅方向の熱膨張率が−0.3%〜0.3%であり、かつ下記式1〜2を満たす、膜厚1〜15μmの有機アクリル系活性線硬化性組成物からなるハードコート用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法であって、二軸方向にそれぞれ延伸温度60〜130℃、延伸倍率2.5〜5.0倍で延伸された後に、220℃〜50℃で熱処理する工程において、該熱処理工程の、各オーブン内の温度ムラが±3℃以下であり、かつ、100〜50℃の処理区間長が、220〜100℃の処理区間長と比較して、同等もしくは長い、ハードコート用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法
    10μm<R<500μm ・・・式1
    △R/R<0.05 ・・・式2
    (ただし、Rはフィルム膜厚、△Rはフィルム膜厚バラツキである)
  2. 前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも片面に積層膜を有する請求項1記載のハードコート用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法
  3. 前記積層膜が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有している請求項2記載のハードコート用二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法
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