JP2002361736A - ハードコート用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

ハードコート用二軸延伸ポリエステルフィルム

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JP2002361736A JP2001176872A JP2001176872A JP2002361736A JP 2002361736 A JP2002361736 A JP 2002361736A JP 2001176872 A JP2001176872 A JP 2001176872A JP 2001176872 A JP2001176872 A JP 2001176872A JP 2002361736 A JP2002361736 A JP 2002361736A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハードコート後の平面性を良好となし得るハー
ドコート用二軸延伸ポリエステルフィルムを提供するこ
と 【解決手段】50℃〜100℃における30℃に対する
幅方向の熱膨張率が−0.5%〜0.5%であり、かつ
下記式1〜2を満たすハードコート用二軸延伸ポリエス
テルフィルム。 10μm<R<500μm ・・・式1 △R/R<0.05 ・・・式2 (ただし、Rはフィルム膜厚、△Rはフィルム膜厚バラ
ツキである)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードコートの基
材として用いられる二軸延伸ポリエステルフィルムに関
する。さらに詳しくは、ハードコート後の平面性を良好
となし得る二軸延伸ポリエステルフィルムに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリエステルフィルムは、その
機械的性質、耐熱性、透明性、電気絶縁性などに優れた
性質を有することから、磁気記録材料、包装材料、電気
絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ材料、表
示装置用材料等の多くの用途の基材フィルムとして広く
使用されている。しかし、フィルム表面の表面硬度が低
く、また、耐摩擦性も不足しているため、他の固い物体
との接触、摩擦、引っ掻き等によって、表面に損傷を受
けやすいという欠点を有している。表面硬度を要求され
る用途とは、例えば、窓ガラスの着色、断熱性、防爆等
のために貼られる窓貼り用フィルム、ラベル用フィル
ム、ブラウン管等の表面に貼られる反射防止フィルム等
である。ポリエステルフィルムの表面高度を向上させる
方法としては、ポリエステルフィルムを基材フィルムと
し、その上に耐擦傷性、耐摩耗性に優れたハードコート
層を設ける方法が知られている。ハードコートの成分と
しては、ポリ有機シロキサン、シリカ、アルミナなどの
無機酸化物系あるいは有機アクリル系などがあり、ハー
ドコートの形成方法としては、真空蒸着方式、溶液の塗
布・乾燥によるウェットコーティング方式などがある。
なかでも、有機アクリル系樹脂組成物を塗布・乾燥・硬
化させるウェットコーティング方式がコスト、生産性の
点から選択されることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、有機アクリル
系樹脂組成物を塗布・乾燥・硬化させるウェットコーテ
ィング方式では、有機アクリル系樹脂組成物等のハード
コート成分塗布後の乾燥工程にて、基材である二軸延伸
ポリエステルフィルムに熱収縮が起こり、ハードコート
設置後の積層フィルムにタルミ、カールが発生して、次
加工工程での生産性に問題が生じていた。また、基材で
ある二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みムラが大きい
場合、フィルム上に塗布される有機アクリル系樹脂組成
物等のハードコート成分の塗布膜厚に厚みムラが生じ、
ハードコート設置後の積層フィルムにタルミ、ユガミ、
カールが生じていた。従って、本発明の課題は、上記の
問題点を解決することであり、具体的には、ハードコー
ト後の平面性を良好となし得る二軸延伸ポリエステルフ
ィルムを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は以下の構成をとる。すなわち、50℃〜1
00℃における30℃に対する幅方向の熱膨張率が−
0.5%〜0.5%であり、かつ下記式1〜2を満たす
ハードコート用二軸延伸ポリエステルフィルム。であ
る。 10μm<R<500μm ・・・式1 △R/R<0.05 ・・・式2 (ただし、Rはフィルム膜厚、△Rはフィルム膜厚バラ
ツキである)
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において、二軸延伸ポリエ
ステルフィルムとは、ジカルボン酸類とグリコール類を
重合して得られるポリエステルを、必要に応じて乾燥
し、公知の溶融押出し機に供給し、スリット状のダイか
ら単層または複合層のシート状に押出し、静電印加など
の方式によりキャスティングドラムに密着、冷却固化し
て未延伸シートとした後、二方向に延伸、熱処理したフ
ィルムのことである。
【0006】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
30℃に対する50℃〜100℃における幅方向の熱膨
張率は−0.5%〜0.5%であることが必要であり、
好ましくは−0.4%〜0.4%、とくに好ましくは−
0.3%〜0.3%である。通常、ハードコート剤の塗
布は30℃前後の室温で行われるが、ハードコート剤硬
化後にハードコート剤に含まれる有機溶剤が揮発するこ
とを抑えるため、硬化前に有機溶剤を50℃〜100℃
の温度にて乾燥させる。この時、基材である二軸延伸ポ
リエステルフィルムの30℃に対する50℃〜100℃
における幅方向の熱膨張率が−0.5%未満または0.
5%を越えると、硬化したハードコート層と基材である
二軸延伸ポリエステルフィルムの間で、室温に戻ったと
きの寸法変化に大きな差が生じ、タルミ、カール等が生
じるため好ましくない。なお、ここで幅方向とは、フィ
ルム巻き取り方向と直角方向のことである。
【0007】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
膜厚Rは、10μmを越え500μm未満である必要が
ある。10μm以下だと腰が弱く、ハードコート塗工時
および次工程での取り扱い性が悪くなり、また500μ
m以上だと剛性が高すぎて取り扱い性が低下すること、
ロール長尺化が物理的に困難になるため生産コストが高
くなること、そして透明性が要求される用途では透明性
低下などが問題となるため好ましくない。膜厚Rは、好
ましくは15〜350μmであり、より好ましくは20
〜250μmである。ここで、フィルム製膜中の膜厚管
理・調整方法はとくに限定されないが、たとえば熱処理
後のフィルムをβ線膜厚計等の公知の方法で測定しそれ
を延伸条件にフィードバックすることで行うことができ
る。
【0008】本発明のポリエステルフィルムは、フィル
ム膜厚バラツキ△Rをフィルム膜厚Rで除した値△R/
Rが、0.05未満である必要がある。△R/Rは、好
ましくは0.4未満であり、より好ましくは0.3未満
である。通常、基材である二軸延伸ポリエステルフィル
ム上に形成されるハードコート層は、ハードコート自身
の粘性やレベリング剤の効果によって、平坦化される。
しかし、基材である二軸延伸ポリエステルフィルムの膜
厚Rに対する膜厚バラツキ△Rの比(△R/R)が0.
05以上だと、平坦化能力を超えてハードコート層に厚
みムラが生じやすく、結果、ユガミ、タルミ等が生じる
ため好ましくない。
【0009】本発明のポリエステルフィルムに使用され
るポリエステル樹脂の原料として用いられるジカルボン
酸類としては、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニル
スルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸など
の芳香族ジカルボン酸や、シュウ酸、コハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸
などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸など
のオキシカルボン酸などが使用できる。機械的強度、耐
候性や耐化学薬品性、透明性などを考慮すると、テレフ
タル酸もしくはナフタレンジカルボン酸を用いることが
好ましい。
【0010】また、前記ポリエステル樹脂の原料として
用いられるグリコール類としては、エチレングリコー
ル、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオ
ール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなど
の脂肪族グリコールや、ジエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポ
リオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタ
ノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビ
スフェノールSなどの芳香族グリコールなどが使用でき
る。機械的強度、耐候性や耐化学薬品性、透明性などを
考慮すると、エチレングリコールを用いることが好まし
い。
【0011】また、前記ポリエステル樹脂を重合する際
の触媒として、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合
物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン
化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物などを使用
することが好ましい。
【0012】また、前記ポリエステル樹脂の原料や重合
触媒として用いる上記のジカルボン酸類、グリコール
類、触媒は、それぞれ2種以上を併用してもよい。
【0013】本発明のポリエステルフィルムに走行性
(易滑性)や耐候性、耐熱性などの機能を持たせるた
め、前記ポリエステル樹脂を主体としたフィルム原料に
粒子を添加してもよい。添加する粒子としてはとくに限
定されず、公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化
安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、易滑剤としてポリ
イミド、ポリアミドイミド、ポリメチルメタクリレー
ト、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、架橋ポリ
スチレンなどの有機微粒子、同じく易滑剤としてアルミ
ナ、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸
アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カ
ルシウム、硫酸バリウム、マイカ、カオリン、クレーな
どの無機微粒子などが使用できる。ラベル用途など本発
明のフィルムを着色する場合は、硫酸バリウム、炭酸カ
ルシウム、酸化チタン等の顔料粒子を使用するのが好ま
しい。
【0014】また、本発明のポリエステルフィルムに前
記ポリエステル樹脂と非相溶な樹脂、例えば、アクリル
樹脂、ポリオレフィン樹脂等を混合して二軸延伸し、内
部に空洞を有する、比重が0.5〜1.3の白色ポリエ
ステルフィルムとすることもできる。該白色ポリエステ
ルフィルムは、印刷特性が良好になるのでラベル等印刷
用途には好ましいものである。
【0015】本発明のポリエステルフィルムは、二軸延
伸されたフィルムである必要がある。未延伸シートを二
軸延伸する方法としてはとくに限定されず、たとえばロ
ールを用いて長手方向に延伸した後、オーブン内で幅方
向に延伸する逐次二軸延伸方法や、長手方向、幅方向を
ほぼ同時に延伸する同時二軸延伸延伸方法などの公知技
術を用いることができる。ここで、ロールを用いて延伸
する場合は、ロールとフィルムの粘着やロールとフィル
ムの周速差等により延伸ムラすなわち厚みムラが生じた
り、傷が入ることがあるので、電熱ヒーターを併用して
延伸熱量を供給する方法が好ましい。また、オーブンを
用いて延伸する場合は、オーブン内での温度ムラにより
延伸ムラすなわち厚みムラが生じるため、ファンやノズ
ルを設置する方法が好ましい。
【0016】二軸延伸する際の、延伸前予熱温度および
延伸温度、延伸倍率は、フィルム膜厚によって好適な範
囲が異なるが、好ましくは延伸前予熱温度および延伸温
度の範囲は60℃〜130℃であり、延伸倍率は2.5
〜5.0倍である。60℃を下回ると熱量不足による局
所的延伸ムラが生じることがあり、また130℃を上回
ると延伸張力がなくなり延伸ムラが生じることがあり厚
みムラの原因となる。また、延伸倍率が2.5倍を下回
った場合または5.0倍を上回った場合、共に延伸ムラ
が生じることがあり、厚みムラの原因となる。
【0017】二軸延伸後に、フィルムを240℃〜50
℃の中の任意の温度範囲で熱処理を行うが、本発明の場
合、50℃〜100℃の熱寸法安定性が要求されるの
で、100℃〜50℃での熱処理時間を多くとることが
好ましい。また、オーブン内に温度ムラがあると熱収縮
率にバラツキが生じるので、オーブン内の温度ムラは±
5℃以内であることが好ましく、±3℃以内がより好ま
しい。また、熱膨張・収縮率の調整のため、長手方向や
幅方向の張力緩和を実施することが好ましい。
【0018】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムフ
ィルムは、該フィルムの少なくとも片面に積層膜を有す
るのが好ましい。この積層膜は、たとえば基盤層である
二軸延伸ポリエステルフィルムとハードコート剤との接
着性、また、ハードコートとは反対面に設置させうる粘
着剤等との接着性を向上させるためや、ハードコート工
程等での機械走行性(易滑性)を向上させるために設け
られる。ここで、積層膜の特性がハードコート機能を有
する場合、該積層膜がハードコート膜を兼用してもかま
わない。
【0019】積層膜を設けるのに好ましい方法としては
とくに限定されず、たとえばポリエステルフィルムの製
造工程中に共押出しするか、もしくは塗布方法でポリエ
ステル基盤層上に設け、基盤層と共に延伸する方法など
が好ましく用いられる。ここで、基盤層上への塗布方法
は各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビ
アコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤー
バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを
用いることができる。
【0020】前記積層膜を構成する成分としては、ポリ
エステル樹脂に接着性を有するものであれば特に限定さ
れないが、たとえば基盤層に用いたポリエステル樹脂以
外のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキ
シ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、ウ
レタン樹脂などを好適に用いることができる。該積層膜
が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂か
ら選ばれた少なくとも1種の樹脂を含有していることが
とくに好ましい。また、異なる2種以上の樹脂、例え
ば、ポリエステル樹脂とウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂とアクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂とアクリル樹
脂を組み合わせて用いてもよい。
【0021】積層膜の構成成分としてポリエステル樹脂
を用いる場合、該ポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側
鎖にエステル結合を有するもので、ジカルボン酸とグリ
コールから重縮合して得られるものである。ここで、ジ
カルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジ
カルボン酸や3価以上の多価カルボン酸が使用できる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテ
レフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェ
ニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン
酸、フェニルインダンジカルボン酸などを用いることが
できる。これらの芳香族ジカルボン酸は、積層膜の強度
や耐熱性の点で、好ましくは全ジカルボン酸成分の30
モル%以上、より好ましくは35モル%以上、最も好ま
しくは40モル%以上用いるのがよい。脂肪族および脂
環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、
セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマ
ー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−
シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸など、およびそれらのエステル形成性誘導
体を用いることができる。また、該ポリエステル樹脂を
構成するグリコール成分としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオー
ル、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオー
ル、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2
−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグ
リコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパン
ジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロ
パンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオー
ル、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−
シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、
ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、
4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、
4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,お
よびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピ
リデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジ
オール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘ
キサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−
ジオールなどを用いることができる。
【0022】積層膜の原料として、ポリエステル樹脂を
水系樹脂とした塗液を用いる場合には、ポリエステル樹
脂の水溶化あるいは水分散化を容易にするため、スルホ
ン酸塩基を含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物
をポリエステルに共重合することが好ましい。
【0023】ここで、スルホン酸塩基を含む化合物とし
ては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフ
タル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレ
ン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレング
リコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエト
キシ)ベンゼンなどあるいはこれらのアルカリ金属塩、
アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることがで
きるが、これに限定されるものではない。
【0024】また、カルボン酸塩基を含む化合物として
は、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピ
ロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロ
ヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン
酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,
2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−
(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メ
チル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5
−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−
シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタ
ンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテト
ラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカル
ボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,
2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフ
ェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテ
トラカルボン酸など、あるいはこれらのアルカリ金属
塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いること
ができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】該積層膜に用いることができるポリエステ
ル樹脂としては、変性ポリエステル共重合体、例えば、
アクリル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック
共重合体、グラフト共重合体なども使用することができ
る。
【0026】該積層膜に用いることができる、より好ま
しいポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分とし
てテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸の1種以上を使用し、グリコ
ール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ルから選ばれる1種以上を使用した共重合体などであ
る。ここで、耐水性が必要とされる場合には、ジカルボ
ン酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分としてエ
チレングリコールを含む(共)重合体などが好適に用い
られる。
【0027】積層膜の構成成分としてアクリル樹脂を用
いる場合、該アクリル樹脂を構成するモノマー成分とし
ては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタク
リレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブ
チル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリ
ル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、
ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシ
エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有
モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メ
チルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N
−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリ
ルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−
メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメ
タクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのア
ミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルア
クリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレ
ートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレ
ート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有
モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩
(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などの
カルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを
用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用
いて(共)重合される。更に、上記以外の他種のモノマ
ーを併用することもできる。
【0028】ここで使用できる他種のモノマーとしては
とくに限定されないが、例えば、アリルグリシジルエー
テルなどのエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン
酸、ビニルスルホン酸およびそれらの塩(リチウム塩、
ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)など
のスルホン酸基またはその塩を含有するモノマー、クロ
トン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸およびそ
れらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ア
ンモニウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩
を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸
などの酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネ
ート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコ
キシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキ
ルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化
ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどを用いること
ができる。
【0029】また、該積層膜に用いることができるアク
リル樹脂としては、変性アクリル共重合体、例えば、ポ
リエステル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロッ
ク共重合体、グラフト共重合体などを含めることもでき
る。
【0030】該積層膜に用いられるアクリル樹脂のガラ
ス転移点(Tg)は特に限定されるものではないが、好
ましくは0〜90℃、より好ましくは10〜80℃であ
る。Tgが低いアクリル樹脂を用いた場合は耐熱接着性
が劣る傾向があり、逆に高すぎる場合は造膜性が劣るこ
とがある。また、該アクリル樹脂の分子量は10万以上
が好ましく、より好ましくは30万以上とするのが接着
性の点で望ましい。
【0031】該積層膜に用いられる、より好ましいアク
リル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアク
リレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリル酸
から選ばれる(共)重合体などを挙げることができる。
【0032】該積層膜の原料として、アクリル樹脂を水
に溶解、乳化、あるいは懸濁した水系アクリル樹脂を用
いることが、環境汚染防止や塗布時の防爆性の点で好ま
しい。このような水系アクリル樹脂は、親水性基を有す
るモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミ
ド、ビニルスルホン酸およびその塩など)と前記モノマ
ー類との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳
化重合、懸濁重合、ソープフリー重合などの方法によっ
て作製することができる。
【0033】積層膜の構成成分としてウレタン樹脂を用
いる場合、該ウレタン樹脂は、アニオン性基を有する水
溶性あるいは水分散性のウレタン樹脂であれば特に限定
されるものではなく、その主成分としては、ポリオー
ル、ポリイソシアネートを共重合して得られるものであ
る。
【0034】該積層膜の構成成分として用いることがで
きるウレタン樹脂としては、カルボン酸塩基、スルホン
酸塩基、または硫酸半エステル塩基により水への親和性
が高められたものなどを含めることができる。ここで、
カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、または硫酸半エステ
ル塩基などの含有量は、0.5〜15重量%が好まし
い。
【0035】積層膜の構成成分として用いることができ
るウレタン樹脂を構成するポリオール化合物としては、
例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、
ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポ
リヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジ
ペート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、グリセリン、アクリル系ポリオールなどを用いるこ
とができる。
【0036】また、積層膜の構成成分として用いること
ができるウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート化
合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン
ジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、
ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタ
ンの付加物などを用いることができる。
【0037】ここで、ウレタン樹脂の主要な構成成分
は、上記ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物
の他に、鎖長延長剤、架橋剤などを含んでいてもよい。
【0038】ここで、鎖長延長剤あるいは架橋剤として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタ
ンジオール、ジエチレングリコール、エチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミンなどを用いることができる。
【0039】該積層膜の構成成分として、好ましくはア
ニオン性基を有するウレタン樹脂が用いられる。アニオ
ン性基を有するウレタン樹脂は、例えば、ポリオール、
ポリイソシアネート、鎖延長剤などにアニオン性基を有
する化合物を用いる方法、生成したウレタン樹脂の未反
応イソシアネート基とアニオン性基を有する化合物を反
応させる方法、ウレタン樹脂の活性水素を有する基と特
定の化合物を反応させる方法などを用いて製造すること
ができるが、特に限定されるものではない。より好まし
いウレタン樹脂としては、分子量300〜20000の
ポリオール、ポリイソシアネート、反応性水素原子を有
する鎖長延長剤及びイソシアネート基と反応する基、及
びアニオン性基を少なくとも1個有する化合物からなる
樹脂が好ましい。ここで、ウレタン樹脂中のアニオン性
基は、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基およびこ
れらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カ
リウム塩あるいはマグネシウム塩が用いられ、特に好ま
しくは、スルホン酸塩基である。
【0040】ここで、ポリウレタン樹脂中のアニオン性
基の量は、0.05重量%〜8重量%が好ましい。0.
05重量%未満では、ウレタン樹脂の水分散性が悪くな
る傾向があり、8重量%を越えると、樹脂の耐水性や耐
ブロッキング性が劣る傾向がある。
【0041】本発明にかかる積層膜においては、上記し
た樹脂に各種の架橋剤を併用することにより、耐熱接着
性を向上させると同時に、耐湿接着性を飛躍的に向上さ
せることができる。該積層膜に用いる樹脂として、ポリ
エステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂に架橋性官
能基が共重合されている場合、架橋剤を併用することが
とくに好ましい。
【0042】ここで、用いられる架橋剤は、上記した樹
脂に存在する官能基、例えば、ヒドロキシル基、カルボ
キシル基、メチロール基、アミド基などと架橋反応しう
るものであれば特に限定されるものではなく、例えば、
メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネ
ート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋
剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、
アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、各種シランカッ
プリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用
いることができる。特に、メラミン系架橋剤、オキサゾ
リン系架橋剤が、樹脂との相溶性、接着性などの点から
好適に用いられる。
【0043】ここで、前記メラミン系架橋剤としては、
特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアル
デヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導
体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させ
て部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、あるい
はこれらの混合物などを用いることができる。また、メ
ラミン系架橋剤としては、単量体、2量体以上の多量体
からなる縮合物、あるいはこれらの混合物などを用いる
ことができる。ここで、エーテル化に使用する低級アル
コールとしては、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブ
タノールなどを用いることができる。
【0044】また、メラミン系架橋剤の官能基として
は、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル
基やブトキシメチル基などのアルコキシメチル基を1分
子中に有するもので、具体的なメラミン系架橋剤として
はイミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メ
ラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完
全アルキル型メチル化メラミン樹脂などを挙げることが
できる。中でも、イミノ基型メラミン樹脂、メチロール
化メラミン樹脂が好ましく、とくに好ましくは、イミノ
基型メラミン樹脂である。
【0045】メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するた
め、例えば、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を
用いてもよい。
【0046】前記架橋剤としてオキサゾリン系架橋剤を
用いる場合、用いられるオキサゾリン系架橋剤は、該化
合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであ
れば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を
含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少
なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオ
キサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。
【0047】ここで、オキサゾリン基を含有するモノマ
ーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニ
ル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−
メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−
オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−
オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−
オキサゾリンなどを用いることができ、これらの1種ま
たは2種以上の混合物を使用することもできる。中で
も、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に
も入手しやすく好ましく用いられる。
【0048】また、オキサゾリン系架橋剤において、オ
キサゾリン基を含有するモノマーに対して用いられる少
なくとも1種の他のモノマーとしては、該オキサゾリン
基を含有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば
特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、メタ
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘ
キシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸
エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、
マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アク
リルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽
和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビ
ニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニル
エーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレ
ンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマ
ー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不
飽和芳香族モノマー類などを用いることができ、これら
は1種または2種以上の混合物として使用することもで
きる。
【0049】本発明における積層膜を構成する樹脂と架
橋剤は任意の比率で混合して用いることができるが、架
橋剤は、樹脂100重量部に対し0.2〜20重量部添
加が常態下での接着性向上の点で好ましく、より好まし
くは0.5〜15重量部添加、とくに好ましくは1〜1
0重量部添加である。架橋剤の添加量が、0.2重量部
未満の場合、その添加効果が小さく、また、20重量部
を越える場合は、接着性が低下する傾向がある。
【0050】また、本発明における積層膜中には本発明
の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例え
ば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収
剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒
子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されていても
よい。
【0051】本発明における積層膜中に無機粒子を添加
するのは、易滑性や耐ブロッキング性が向上する点で、
とくに好ましい。この場合、添加する無機粒子として
は、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾ
ル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを
用いることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径
0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.0
1〜3μm、とくに好ましくは0.02〜2μmであ
る。積層膜中の樹脂100重量部に対する無機粒子の混
合比は特に限定されないが、固形分重量比で0.05〜
10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量
部である。
【0052】本発明のポリエステルフィルムは、ハード
コート用のフィルムである。本発明のポリエステルフィ
ルムに使用できるハードコートの成分としてはとくに限
定されず、たとえばポリ有機シロキサン、シリカ、アル
ミナなどの無機酸化物系あるいは有機アクリル系などの
ハードコート剤を使用することができる。ハードコート
膜の形成方法としてはとくに限定されず、たとえば真空
蒸着方式、溶液の塗布・乾燥によるウェットコーティン
グ方式などがあるが、コスト、生産性の点から、有機ア
クリル系活性線硬化性組成物をウェットコーティング方
式で塗布・乾燥・紫外線硬化させる方式が好ましい。塗
布膜厚のコントロールを目的として、ハードコート剤成
分中にアルコール、ケトン、トルエン等の有機溶剤を加
えることもでき、酸化防止剤、レベリング剤、帯電防止
剤などの添加物を加えることもできる。また、ハードコ
ート膜を紫外線で硬化させる場合には、ハードコート剤
中にアセトフェノンなどの公知の光重合開始剤を加えて
もよい。ハードコート剤の塗布手段としてはとくに限定
されず、たとえば刷毛塗り、浸漬塗り、ナイフ塗り、ス
プレー塗り、ロール塗り、流し塗り、回転塗りなど、通
常行われている塗布方法を用いることができる。
【0053】また、ハードコートの膜厚は、用途や基材
である本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの膜厚に
応じて決定すればよいが、0.5μm未満だと表面硬度
が十分でなく、20μmを越えると硬化膜が脆くなりク
ラックが入りやすくなるため、0.5μm〜20μmが
好ましく、1μm〜15μmがより好ましい。
【0054】本発明における評価基準は次の通りであ
る。
【0055】(1)フィルムの熱膨張率(熱寸法変化
率) TMA法にて評価した。すなわち、真空理工社製、TM
−9300型熱機械試験機を用い、5g/5mmの荷重
下、30℃から10℃/minの昇温速度で昇温し、各
温度における30℃でのサンプル長(20mm)に対す
る伸び率(縮みはマイナス)を測定した。
【0056】(2)フィルム膜厚:R ソニー製、デジタルマイクロメーターを使用し、JIS
−C−2151に従って測定した。
【0057】(3)フィルム膜厚バラツキ:△R 足立電気社製、広範囲高感度電子マイクロ測定器とフィ
ルム送り装置を使用し、幅方向は1.5m/分の走査速
度でロール幅長、長手方向は3.0m/分の走査速度で
20m長の厚みバラツキを測定した。
【0058】(4)ハードコート層形成後のユガミ、タ
ルミ ロール幅×3mのハードコート後のフィルムを、ハード
コート面を上にして平面台の上に広げ、ユガミ、タルミ
(浮き、ツッパリ)の様子を目視評価した。
【0059】(5)ハードコート形成後のカール 10cm×10cmの大きさに切ったハードコート後の
フィルムを、ハードコート面を上にして平面台の上に置
き、両端の浮き上がり状態を観察し、平面からの高さを
測定した。
【0060】
【実施例】以下に示す実施例は一例であり、本発明は、
これに限定されるものではない。
【0061】実施例1 フィラーを0.03重量%含むポリエチレンテレフタレ
ートを280℃で溶融押出し、静電印可された20℃の
キャストドラム上にT字型口金より吐出して無延伸シー
トとした後、これをロールを用いて70℃で予熱し、電
熱ヒーターで加熱しながら、この温度にてロール延伸で
長手方向に3.0倍延伸した。続いて、110℃で幅方
向に3.2倍延伸し、220℃〜50℃で熱処理し、幅
方向で4%フィルム幅を縮めて張力緩和した。このと
き、220℃〜100℃の熱処理区域長と100℃〜5
0℃の熱処理区域長を1:1とし、100℃〜50℃の
熱処理区域内の各オーブン内の温度ムラは±3℃であっ
た(幅方向で3点測定)。熱処理後のフィルム膜厚を製
膜中に参考のためβ線厚み計で測定し、幅方向の凸凹を
キャストのスリット幅すなわち吐出量を調整すること
で、R=188μm、△R=5μmのフィルムを得た
(△R/R=0.027)。このフィルムの30℃に対
する50℃〜100℃の熱膨張率(幅方向)を測定した
ところ、0.2%以下であった。このフィルムの片面
に、ハードコート剤としてジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート90重量部、N−ビニルピロリドン30
重量部、1−ヒドロキシフェニルケトン5重量部、トル
エン50重量部、メチルエチルケトン50重量部を攪拌
混合した組成物を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚
が10μmになるように塗布し、続いて、80℃30秒
間乾燥させて溶媒を揮発後、12cmの高さから80W
/cmの水銀灯で硬化させた。得られたフィルムの評価
結果を表1に示す。ユガミ、タルミが無く、カールの小
さい優れたフィルムであった。
【0062】実施例2 フィラーを含まないポリエチレンテレフタレートを28
0℃で溶融押出し、静電印可された20℃のキャストド
ラム上にT字型口金より吐出して無延伸シートとした
後、これをロールを用いて70℃で予熱し、電熱ヒータ
ーで加熱しながら、この温度にてロール延伸で長手方向
に3.0倍延伸した。この後、フィルムの両面に易滑剤
(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重
量部)を含む水分散性アクリル系樹脂を水分比3.0重
量%で両面に塗布した。続いて、110℃で幅方向に
3.2倍延伸し、220℃〜50℃で熱処理し、幅方向
で4%フィルム幅を縮めて張力緩和した。このとき、2
20℃〜100℃の熱処理区域長と100℃〜50℃の
熱処理区域長を1:1とし、100℃〜50℃の熱処理
区域内の各オーブン内の温度ムラは±3℃であった(幅
方向で3点測定)。熱処理後のフィルム膜厚を製膜中に
参考のためβ線厚み計で測定し、幅方向の凸凹をキャス
トのスリット幅すなわち吐出量を調整することで、R=
125μm、△R=2.5μmのフィルムを得た(△R
/R=0.02)。このフィルムの30℃に対する50
℃〜100℃の幅方向の熱膨張率を測定したところ、
0.2%以下であった。このフィルムの片面に、ハード
コート剤として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリ
レート90重量部、N−ビニルピロリドン30重量部、
1−ヒドロキシフェニルケトン5重量部、トルエン50
重量部、メチルエチルケトン50重量部を攪拌混合した
組成物を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が10μ
mになるように塗布し、続いて、80℃30秒間乾燥さ
せて溶媒を揮発後、12cmの高さから80W/cmの
水銀灯で硬化させた。得られたフィルムの評価結果を表
1に示す。ユガミ、タルミは実用上問題無く、カールに
ついても実用上問題の無い優れたフィルムであった。
【0063】比較例1 フィラーを0.03重量%含むポリエチレンテレフタレ
ートを280℃で溶融押出し、静電印可された20℃の
キャストドラム上にT字型口金より吐出して無延伸シー
トとした後、これをロールを用いて80℃で予熱し、こ
の95℃にてロール延伸で長手方向に2.3倍延伸し
た。続いて、110℃で幅方向に2.3倍延伸し、22
0℃〜50℃で熱処理し、幅方向で4%フィルム幅を縮
めて張力緩和した。このとき、220℃〜100℃の熱
処理区域長と100℃〜50℃の熱処理区域を1:1と
し、100℃〜50℃の熱処理区域内の各オーブン内の
温度ムラは±3℃であった(幅方向で3点測定)。熱処
理後のフィルム膜厚を製膜中に参考のためβ線厚み計で
測定し、R=188μm、△R=12μmのフィルムを
得た(△R/R=0.064)。このフィルムの30℃
に対する50℃〜100℃の幅方向の熱膨張率を測定し
たところ、0.3%以下であった。このフィルムの片面
に、ハードコート剤として、ジペンタエリスリトールヘ
キサアクリレート90重量部、N−ビニルピロリドン3
0重量部、1−ヒドロキシフェニルケトン5重量部、ト
ルエン50重量部、メチルエチルケトン50重量部を攪
拌混合した組成物を、バーコーターを用いて硬化後の膜
厚が10μmになるように塗布し、続いて、80℃30
秒間乾燥させて溶媒を揮発後、12cmの高さから80
W/cmの水銀灯で硬化させた。得られたフィルムの評
価結果を表1に示す。△R/Rの値が本発明の範囲を外
れる本比較例は、フィルムのユガミが顕著であった。
【0064】比較例2 フィラーを含まないポリエチレンテレフタレートを28
0℃で溶融押出し、静電印可された20℃のキャストド
ラム上にT字型口金より吐出して無延伸シートとした
後、これをロールを用いて70℃で予熱し、電熱ヒータ
ーで加熱しながら、この温度にてロール延伸で長手方向
に3.0倍延伸した。この後、フィルムの両面に易滑剤
(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重
量部)を含む水分散性アクリル系樹脂を水分比3.0重
量%で両面に塗布した。続いて、110℃で幅方向に
3.2倍延伸し、220℃〜50℃で熱処理した。この
とき、220℃〜100℃の熱処理区域長と100℃〜
50℃の熱処理区域を3:1とし、100℃〜50℃の
熱処理区域内の各オーブン内の温度ムラは±8℃であっ
た(幅方向で3点測定)。熱処理後のフィルム膜厚を製
膜中に参考のためβ線厚み計で測定し、幅方向の凸凹を
キャストのスリット幅すなわち吐出量を調整すること
で、R=125μm、△R=3.5μmのフィルムを得
た(△R/R=0.028)。このフィルムの30℃に
対する50℃〜100℃の幅方向の熱膨張率を測定した
ところ、0.5%を越えた。このフィルムの片面に、ハ
ードコート剤としてジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート90重量部、N−ビニルピロリドン30重量
部、1−ヒドロキシフェニルケトン5重量部、トルエン
50重量部、メチルエチルケトン50重量部を攪拌混合
した組成物を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が1
0μmになるように塗布し、続いて、80℃30秒間乾
燥させて溶媒を揮発後、12cmの高さから80W/c
mの水銀灯で硬化させた。得られたフィルムの評価結果
を表1に示す。熱膨張率が本発明の範囲を外れる本比較
例は、カールが顕著であった。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明により、ハードコート後の平面性
が良好な二軸延伸ポリエステルフィルムを提供すること
が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA43 AF62Y BB08 BC01 BC12 4F100 AK25B AK41A AK41B AK42 AK51B BA02 BA07 BA15 EJ38A GB90 JA02A JK14 YY00A 4F210 AA24 AG01 AG03 QA02 QA03 QC06 QG15 QW07 QW14 QW31

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】50℃〜100℃における30℃に対する
    幅方向の熱膨張率が−0.5%〜0.5%であり、かつ
    下記式1〜2を満たすハードコート用二軸延伸ポリエス
    テルフィルム。 10μm<R<500μm ・・・式1 △R/R<0.05 ・・・式2 (ただし、Rはフィルム膜厚、△Rはフィルム膜厚バラ
    ツキである)
  2. 【請求項2】前記ポリエステルフィルムの少なくとも片
    面に積層膜を有することを特徴とする請求項1のハード
    コート用二軸延伸ポリエステルフィルム
  3. 【請求項3】前記積層膜が、ポリエステル樹脂、アクリ
    ル樹脂、ウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹
    脂を含有していることを特徴とする請求項2のハードコ
    ート用二軸延伸ポリエステルフィルム。
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