JP5948000B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、離型フィルムに関するものであり、特に耐熱性を要求される用途、例えば、成形同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線板の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中で用いられる工程用フィルムとして好適な離型性を有するポリエステルフィルムに関するものである。
従来、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種用途に使用されている。ポリエステルフィルムを離型フィルムとして使用する場合、種々の樹脂や粘着剤に対する離型性が不足するため、実用性に乏しいという欠点を有している。このため、従来、ポリエステルフィルム表面に、離型性塗膜を積層する方法が検討されてきている。例えば、ポリエステルフィルム表面に長鎖アルキル基含有樹脂を塗布積層する方法(特許文献1、2)などが提案されている。
一方、ポリエステルフィルムは、プラスチックフィルム共通の問題として、静電気が発生して帯電しやすいという特徴がある。そのため、フィルム加工時あるいは加工製品の走行性不良や、周囲の埃等を引きつけるという問題や、工程紙用としては剥離する際の帯電により、製品へ不具合を発生させるという問題がある。ポリエステルフィルムの帯電の抑制についても、フィルム上に帯電防止性能を有する塗布層を設ける方法がある。
上記の問題点に関連して、特許文献3〜6において、カチオン性帯電防止剤を含む塗布層を有し、コーターでの走行性が良好なポリエステルフィルムが提案されている。
ポリエステルフィルムを離型フィルムとして使用する用途例として、成型同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線版の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中でフィルムに熱や圧力をかけるものがある。これら熱のかかる用途に使用する場合、上述の方法により作成された離型フィルムでは、フィルムの離型性が悪くなり、スムーズにフィルムを剥がせない、という問題を抱えており、耐熱性に優れた離型フィルムが求められている。
特開2002−240016号公報 特開2006−022136号公報 特開平5−1164号公報 特開平8−143691号公報 特開2008−81551号公報 特開2008−81552号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、成形同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線板の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中で用いられる工程用フィルムとして、優れた帯電防止性を有し、加工時の熱による離型性の悪化が少ない離型ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる積層ポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、離型剤、帯電防止剤、および活性メチレンブロックイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有し、加熱前のテープ剥離力が2000mN/cm以下、加熱後のテープ剥離力が3000mN/cm以下、加熱前後のテープ剥離力の差が2000mN/cm以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明の積層ポリエステルフィルムによれば、転写用反射防止フィルムの製造用等の各種の工程用フィルムとして用いた際に、優れた帯電防止性を有し、耐熱性が高く、加工時の熱による離型性の悪化の少ない離型ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
本発明におけるポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは、単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。例えば、表層原料に高機能化されたポリエステルフィルムを用いて、効果的に各種の特性の向上を図る目的で、表層と中間層の原料を変えて、3層構成にすることも可能である。
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えば、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が挙げられる。この中でも、アンチモン化合物は安価で触媒活性が高いという利点がある。
本発明のフィルムのポリエステル層中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。粒子を配合する場合、配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは0.1〜3μmの範囲である。平均粒径を上記範囲で用いることにより、フィルムに適度な表面粗度を与え、良好な滑り性と平滑性が確保できる。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.0003〜3重量%の範囲である。粒子がない場合、あるいは少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり良好なフィルムとなるが、滑り性が不十分となる場合があるため、塗布層中に粒子を入れることにより滑り性を向上させる等の工夫が必要な場合がある。また、粒子含有量が多すぎる場合は、フィルムの透明性が不十分な場合がある。
使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、機械的強度、ハンドリング性及び生産性などの点から、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜125μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を乾燥したペレットを、押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においては積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成されるものである。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押し出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻き上げ前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また。コーティング後に延伸を行うために、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングフィルムに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に塗布層を設けることにより、塗布層を基材フィルムと共に延伸することができ、それにより塗布層を基材フィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、塗布層の造膜性が向上し、塗布層と基材フィルムをより強固に密着させることができる。
本発明においては、離型剤、帯電防止剤および活性メチレンブロックイソシアネート化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを必須の要件とするものである。
本発明における塗布層は、例えば成形同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線板の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中で用いられる工程用フィルムとして好適な離型性能を向上させるために設けられるものである。
本発明のフィルムの塗布層の形成に使用する離型剤は、フィルムの離型性を向上させるために用いるものであり、特に制限はなく、従来公知の離型剤を使用することが可能であり、例えば、長鎖アルキル化合物、ワックス、フッ素化合物、シリコーン化合物等が挙げられる。これらの中でも汚染性が少ないという点から長鎖アルキル化合物、ワックス、フッ素化合物、その中でも離型性に優れるという点から長鎖アルキル化合物、フッ素化合物が好ましい。また、加熱後の剥離力が比較的重くなりにくいという観点から、長鎖アルキル化合物が好ましい。これらの離型剤は単独で用いてもよいし、複数種使用してもよい。
長鎖アルキル化合物とは、炭素数が通常6以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オクタデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。アルキル基を有する化合物とは、例えば、各種の長鎖アルキル基含有高分子化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。また、効果的に離型性を得られるという観点から、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物であることがより好ましい。
長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物とは、反応性基を有する高分子と、当該反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。上記反応性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物等が挙げられる。これらの反応性基を有する化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、反応性基含有ポリエステル樹脂、反応性基含有ポリ(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮するとポリビニルアルコールであることが好ましい。
上記の反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とは、例えば、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネート等の長鎖アルキル基含有イソシアネート、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、デシルクロライド、ラウリルクロライド、オクタデシルクロライド、ベヘニルクロライド等の長鎖アルキル基含有酸クロライド、長鎖アルキル基含有アミン、長鎖アルキル基含有アルコール等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮すると、炭素数は好ましくは8以上、より好ましくは12以上、特に好ましくは18以上の長鎖アルキル基含有イソシアネートである。
また、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合物や長鎖アルキル(メタ)アクリレートと他のビニル基含有モノマーとの共重合、または長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合後他のビニル基含有モノマーとのエステル交換によって得ることもできる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートとは、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ワックスとは、天然ワックス、合成ワックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワックスである。天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスである。植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油が挙げられる。動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウが挙げられる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシンが挙げられる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムが挙げられる。合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトンが挙げられる。合成炭化水素としては、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾワールワックス)、ポリエチレンワックスが有名であるが、このほかに低分子量の高分子(具体的には粘度数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマーも含まれる。すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体がある。変性ワックスとしてはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体が挙げられる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体が挙げられる。
フッ素化合物としては、化合物中にフッ素原子を含有している化合物である。インラインコーティングによる塗布外観の点で有機系フッ素化合物が好適に用いられ、例えば、パーフルオロアルキル基含有化合物、フッ素原子を含有するオレフィン化合物の重合体、フルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。
シリコーン化合物とは、分子内にシリコーン構造を有する化合物のことであり、シリコーンエマルション、アクリルグラフトシリコーン、シリコーングラフトアクリル、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮し、硬化型シリコーン樹脂を含有することが好ましい。硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型、縮合型、紫外線硬化型、電子線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
本発明のフィルムの塗布層の形成に使用する帯電防止剤は、フィルム表面の表面抵抗を下げるために用いるもので、特に制限はなく従来公知の帯電防止剤を使用することが可能であるが、耐熱性、耐湿熱性が良好であることから、高分子タイプの帯電防止剤であることが好ましい。高分子タイプの帯電防止剤としては、例えば、アンモニウム基を有する化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸化合物類、ベタイン化合物、導電ポリマー等が挙げられる。これらの中でも、特に塗布性が良く静防能を付与することができるという観点から、アンモニウム基を有する化合物がより好ましい。
本発明のフィルムの塗布層の形成に用いられるアンモニウム基を有する化合物とは、分子内にアンモニウム基を有する化合物であり、脂肪族アミン、脂環族アミンや芳香族アミンのアンモニウム化物等が挙げられる。アンモニウム基を有する化合物は高分子化合物であることが好ましく、例えば、付加重合性のアンモニウム基またはアミン等のアンモニウム基の前駆体を含有するモノマーを重合した重合体からアンモニウム基を有する高分子化合物とするものが挙げられ、好適に用いられる。重合体としては、付加重合性のアンモニウム基またはアミン等のアンモニウム基の前駆体を含有するモノマーを単独で重合してもよいし、これらを含有するモノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
アンモニウム基を有する化合物の重合体の具体的な例としては、下記に限定するものではないが、例えば、下記式(1)または下記式(2)で示される構成要素を含有する重合体が挙げられる。単独の重合体や共重合体、さらには、その他の複数の成分を共重合していてもよい。
Figure 0005948000
上記式(1)中、Rは−O−、−NH−または−S−、Rはアルキレン基、または式(1)の構造を成立しうるその他の構造、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能な基は、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ基、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲンである。
Figure 0005948000
上記式(2)中、R、Rはそれぞれ独立して、アルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能な基は、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ基、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲンである。また、RおよびRは化学的に結合していてもよく、例えば、−(CH)m−(mは2〜5の整数)、−CH(CH)CH(CH)−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=N−、−CH=CH−N=C−、−CHOCH−、−(CHO(CH−などが挙げられる。
上記式(1)および(2)中のXは本発明の要旨を損なわない範囲で適宜選択することができる。例えば、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、ハロゲンイオン、ホスファート、ニトラート、カルボキシラート等が挙げられる。
式(1)で示される構成要素を持つ重合体は、得られる塗布層の透明性に優れ好ましく、また、離型剤との併用によって、外観が比較的良好となるという利点がある。また耐熱性や環境面を考慮すると、Xはハロゲンでないことが好ましい。
式(2)で示される構成要素や、その他のアンモニウム塩基が高分子主骨格内にある化合物は、耐熱性に優れており好ましい。
また、アンモニウム基を有する化合物の数平均分子量は、通常1000〜500000、好ましくは2000〜350000、さらに好ましくは5000〜200000である。分子量が1000未満の場合は塗膜の強度が弱くなる場合や、耐熱安定性が劣る場合がある。また分子量が500000を超える場合は、塗布液の粘度が高くなり、取扱い性や塗布性が悪化する場合がある。
ポリエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエチレングリコールを側鎖に有するアクリル樹脂等が挙げられる。
スルホン酸化合物類とは、分子内にスルホン酸あるいはスルホン酸塩を含有する化合物のことであり、例えば、ポリスチレンスルホン酸等が挙げられる。
導電ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、ポリピロール系、ポリアセチレン系等が挙げられ、その中でも例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)をポリスチレンスルホン酸と併用するような、ポリチオフェン系が好適に用いられる。
本発明においては、塗布層の形成に使用する活性メチレンブロックイソシアネート化合物は、塗布層を強固なものとし、安定した離型性能や帯電防止性能を付与するために用いるものである。本発明者らが、さらに検討を進めた結果、これらの性能以外にも、加熱処理後でも離型性能を保持できることを見いだした。通常、加熱処理をすることで、離型性能が悪化し、剥離力が重くなり、加熱工程を経る用途への展開は困難なものであるが、活性メチレンブロックイソシアネート化合物を離型剤と併用することで、加熱による剥離力が重くなることを軽減できることが判明した。
活性メチレンブロックイソシアネート化合物の前駆体であるイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族系イソシアネート化合物、脂環族系イソシアネート化合物、芳香族系イソシアネート化合物等が挙げられる。
肪族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート化合物、リジントリイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)2−イソシアナトグルタレート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。その中でも工業的入手のしやすさからヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
環族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。その中でも、耐候性、工業的入手の容易さから、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
香族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。
これらのポリイソシアネート化合物の中でも、脂肪族系ポリイソシアネート化合物および脂環族系ポリイソシアネート化合物が耐候性に優れるため、好ましい。さらに、脂肪族系ポリイソシアネート化合物の中では、脂肪族系ジイソシアネートから誘導される脂肪族系ポリイソシアネート化合物が好ましい。その中でも、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。また、これらイソシアネート化合物は、単独で使用してもいいし、2種以上を併用しても構わない。
本発明のフィルムにおける活性メチレンブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート化合物のイソシアネート基を、活性メチレン化合物と反応させて合成することができる。
活性メチレン化合物としては、例えば、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ブタノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステル、n−ヘキサノイル酢酸エステル、2−エチルヘプタノイル酢酸エステル、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン等を挙げることができる。その中でも、低温硬化性および水存在下の貯蔵安定性に優れるという点で、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ブタノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステル、n−ヘキサノイル酢酸エステル、2−エチルヘプタノイル酢酸エステルが好ましく、より好ましくは、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステルであり、さらに好ましくは、イソブタノイル酢酸エステルである。より具体的には、イソブタノイル酢酸エステルとしては、例えば、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチル、イソブタノイル酢酸n−プロピル、イソブタノイル酢酸イソプロピル、イソブタノイル酢酸n−ブチル、イソブタノイル酢酸イソブチル、イソブタノイル酢酸t−ブチル、イソブタノイル酢酸n−ペンチル、イソブタノイル酢酸n−ヘキシル、イソブタノイル酢酸2−エチルヘキシル、イソブタノイル酢酸フェニル、イソブタノイル酢酸ベンジル等が挙げられる。その中でも、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチルが好ましい。n−プロパノイル酢酸エステルとしては、例えば、n−プロパノイル酢酸メチル、n−プロパノイル酢酸エチル、n−プロパノイル酢酸イソプロピル、n−プロパノイル酢酸n−ブチル、n−プロパノイル酢酸t−ブチル等が挙げられる。その中でも、n−プロパノイル酢酸メチル、n−プロパノイル酢酸エチルが好ましい。n−ペンタノイル酢酸エステルとしては、例えば、n−ペンタノイル酢酸メチル、n−ペンタノイル酢酸エチル、n−ペンタノイル酢酸イソプロピル、n−ペンタノイル酢酸n−ブチル、n−ペンタノイル酢酸t−ブチル等が挙げられる。その中でも、n−ペンタノイル酢酸メチル、n−ペンタノイル酢酸エチルが好ましい。
本発明のフィルムで用いる活性メチレンブロックイソシアネート化合物においては、上記に示した活性メチレン化合物を単独で用いることもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。併用する活性メチレン化合物としては、低温硬化性に優れるという点で、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルが好ましい。
また、活性メチレンブロックイソシアネート化合物は、既存のブロック剤、例えば、オキシム系、ピラゾール系、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、アミン系、イミン系、重亜硫酸塩ブロック剤等をブロック化反応時に併用して使用することもできる。併用する既存のブロック剤は、単独あるいは2種以上使用してもよい。
オキシム系ブロック剤としては、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。ピラゾール系ブロック剤としては、例えば、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。アルコール系ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトカシエタノール、2−ブトキシエタノール等が挙げられる。アルキルフェノール系ブロック剤としては、例えば、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類、ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類等が挙げられる。フェノール系ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。メルカプタン系ブロック剤としては、例えば、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。酸アミド系ブロック剤としては、例えば、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等が挙げられる。酸イミド系ブロック剤としては、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。イミダゾール系ブロック剤としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。尿素系ブロック剤としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。アミン系ブロック剤としては、例えば、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジーn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン等が挙げられる。イミン系ブロック剤としては、例えば、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
本発明のフィルムで用いる活性メチレンブロックイソシアネート化合物は、水系塗料における配合性を高めるため、親水性部位を含有することが好ましく、ブロックイソシアネート系化合物に親水部位を付加する方法としては、例えば、前駆体であるイソシアネート化合物のイソシアネート基と活性水素を有する親水性化合物を反応させる方法が挙げられる。
本発明のフィルムで用いる活性メチレンブロックイソシアネート化合物に使用される活性水素を有する親水性化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール系化合物、カルボン酸含有化合物、スルホン酸含有化合物、アミン含有化合物等が挙げられる。これらの親水性化合物は、単独で用いてもいいし、2種以上を併用して用いてもよい。
ポリエチレングリコール系化合物としては、例えば、モノアルコキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンコポリマージオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックポリマージオール等が挙げられ、その中でも、特にモノメトキシポリエチレングリコール、モノエトキシポリエチレングリコール等のモノアルコキシポリエチレングリコールが好ましい。
カルボン酸基含有化合物としては、モノヒドロキシカルボン酸あるいはジヒドロキシカルボン酸あるいはそれらの誘導体等が挙げられる。カルボン酸基含有化合物の中では、モノヒドロキシカルボン酸あるいはジヒドロキシカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは、モノヒドロキシカルボン酸である。
カルボン酸含有化合物の具体例としては、例えば、ヒドロキシピパリン酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸あるいは、これらを開始剤としたポリカプロラクトンジオールやポリエーテルポリオール等の誘導体、およびそれらの塩が挙げられる。
スルホン酸基含有化合物としては、アミノエチルスルホン酸、エチレンジアミノ−プロピル−β−エチルスルホン酸、1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、およびそれらの塩が挙げられる。
アミン含有化合物としては、水酸基含有アミノ化合物が挙げられる。具体的には、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。
なお、本発明に用いる活性メチレンブロックイソシアネート化合物は、乾燥過程や、製膜過程において、反応させて塗布層の性能を向上させる設計で用いている。できあがった塗布層中には、活性メチレンブロックイソシアネート化合物の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
また、本発明における活性メチレンブロックイソシアネート化合物は単体で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
本発明のフィルムの塗布層の形成には、塗布外観や透明性の向上、離型性のコントロールのために、離型剤、帯電防止剤以外のポリマーや活性メチレンブロックイソシアネート化合物以外の架橋剤を併用することも可能である。
離型剤、帯電防止剤以外のポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらの中でも離型性のコントロールがしやすいという点において、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコールが好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
アクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体、いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。また、密着性をより向上させるために、ヒドロキシル基、アミノ基を含有することも可能である。
上記重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
ポリビニルアルコールとは、ポリビニルアルコール部位を有する化合物であり、例えば、ポリビニルアルコールに対し、部分的にアセタール化やブラチラール化等された編成化合物も含め、従来公知のポリビニルアルコールを使用することができる。ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300〜40000の範囲である。重合度が100未満の場合、塗布層の耐水性が低下する場合がある。また、ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されるものではないが、通常70モル%以上、好ましくは70〜99.9モル%の範囲、より好ましくは80〜97モル%、特に好ましくは86〜95モル%であるポリ酢酸ビニルケン化物が実用上用いられる。
本発明のフィルムの塗布層の形成には、帯電防止性のコントロール、塗布層の強度向上のために、活性メチレンブロックイソシアネート化合物以外の架橋剤を併用することも可能である。架橋剤としては、従来公知の各種の架橋剤を使用することが可能であり、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物、活性メチレンブロックイソシアネート化合物以外のイソシアネート化合物等が挙げられる。これらの中でも特に、塗布層の強度を高くする観点から、メラミン化合物やオキサゾリン化合物が好ましく、帯電防止性に影響しにくいという観点からメラミン化合物が特に好ましい。
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
また、本発明の主旨を損なわない範囲において、本発明のフィルムの塗布層の形成に、塗布層のブロッキング性や滑り性改良等を目的として粒子を併用することも可能である。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層の形成には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
本発明の塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、離型剤は、通常5〜90重量%の範囲、好ましくは10〜75重量%の範囲、さらに好ましくは20〜50重量%の範囲である。5重量%より少ない場合は十分な離型性能が得られない可能性があり、90重量%よりも多い場合は他の成分が少ないため十分な耐熱性が得られない可能性がある。
本発明の塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、帯電防止剤は、通常1〜90重量%の範囲、好ましくは2〜75重量%の範囲、さらに好ましくは15〜50重量%の範囲である。1重量%を下回ると塗布層の帯電防止性が十分でない場合があり、90重量%を超えると、塗布層の透明性や耐久性、耐溶剤性などが悪化する懸念がある。
本発明の塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、活性メチレンブロックイソシアネート化合物は、通常1〜80重量%の範囲、好ましくは3〜50重量%の範囲、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲である。1重量%より少ない場合は、加熱後の離型性能の悪化が大きくなる可能性があり、80重量%を超える場合は、他の成分が少ないため十分な耐熱性や離型性が得られない可能性がある。また、検討の中で、量が多いと、帯電防止性が悪化する場合もあることが判明した。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、離型剤、帯電防止剤以外のポリマーは、通常80重量%以下、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜40重量%の範囲である。上記範囲で使用することで、塗布外観の向上、離型性や帯電防止性の調整がしやすくなる。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、活性メチレンブロックイソシアネート化合物以外の架橋剤は、通常50重量%以下、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲である。上記範囲で使用することで、塗布層の強度の向上、帯電防止性の調整がしやすくなる。ただし、加熱後の剥離力が加熱前の剥離力に比べて悪化しやすい場合がある。
塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS、ESCA等の分析によって行うことができる。
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、通常0.003〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.2μmの範囲である。膜厚が1μmを超える場合は、外観や透明性が悪化する可能性があり、膜厚が0.005μm未満の場合は十分な離型性が得られない可能性がある。
本発明の塗布層を形成する方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜270℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明における塗布層の加熱前の剥離力として、好ましくは2000mN/cm以下、より好ましくは1500mN/cm以下である。上記範囲とすることで、剥離作業が容易なものとなる。
本発明における塗布層の100度、1時間加熱した後の剥離力として、好ましくは3500mN/cm以下、より好ましくは3000mN/cm以下の範囲である。上記範囲とすることで、加熱加工後でも剥離を十分に行うことができる。
加熱前後での離型層の剥離力のコントロールのし易さを考慮すると、加熱前後の剥離力を比較し、加熱剥離力差=(加熱後剥離力−加熱前剥離力)の値は、好ましくは2000mN/cm以下、より好ましくは1800mN/cm以下である。
本発明のフィルムの塗布層の表面抵抗値は、好ましくは1×1013Ω以下、より好ましくは5×1012Ω以下、さらに好ましくは1×1012Ω以下の範囲である。上記範囲とすることで、剥離帯電が起きにくいフィルムとすることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定方法
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)塗布層の膜厚測定方法
塗布層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuOで染色し、塗布層断面をTEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 H−7650、加速電圧100V)を用いて測定した。
(3)離型フィルムの加熱前剥離力の測定方法
塗布層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製ポリエステル粘着テープ「No.31B」)を2kgゴムローラーにて1往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行い、その時の剥離力を測定した。
(4)離型フィルムの加熱後剥離力の測定方法
塗布層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製ポリエステル粘着テープ「No.31B」)を2kgゴムローラーにて1往復圧着した後、100度のオーブン内にて1時間加熱した。その後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(5)離型層の耐熱性の評価
上記(3)および(4)で測定した剥離力を用いて、加熱剥離力差=(加熱後剥離力−加熱前剥離力)として、加熱剥離力差を計算した。
(6)表面抵抗値の測定方法
日本ヒューレット・パッカード製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、表面抵抗値を測定した。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.63であった。
<ポリエステル(B)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加後、平均粒子径2μmのシリカ粒子を0.2重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.65であった。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・離型剤(長鎖アルキル化合物):(I)
4つ口フラスコにキシレン200部、オクタデシルイソシアネート600部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して得た。
・帯電防止剤:(IIA)下記式2の構成単位からなる、対イオンがメタンスルホン酸イオンである数平均分子量50000のポリマー
Figure 0005948000
・帯電防止剤:(IIB)主鎖にピロリジニウム環を有する下記組成で重合したポリマー
ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/ジメチルアクリルアミド/N−メチロールアクリルアミド=90/5/5(mol%)。数平均分子量30000。
・活性メチレンブロックポリイソシアネート:(III)下記方法で合成したブロックポリイソシアネート
ヘキサメチレンジイソシアネート1000部を60℃で攪拌し、触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエート0.1部を加えた。4時間後、リン酸0.2部を添加して反応を停止させ、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を得た。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物100部、数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコール42.3部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.5部を仕込み、80℃で7時間保持した。その後反応液温度を60℃に保持し、イソブタノイル酢酸メチル35.8部、マロン酸ジエチル32.2部、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液0.88部を添加し、4時間保持した。n−ブタノール58.9部を添加し、反応液温度80℃で2時間保持し、その後、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート0.86部を添加して得られたブロックポリイソシアネート。
・アクリル樹脂:(IVA)下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)。
・ポリビニルアルコール:(IVB)
ケン化度88モル%、重合度500のポリビニルアルコール
・ヘキサメトキシメチロールメラミン:(VA)
・エポキシ化合物:(VB)
・アミン系ブロックイソシアネート:(VC)下記方法で合成したブロックポリイソシアネート
トリイソシアヌレート化されたヘキサメチレンジイソシアネート100部を窒素気下で50℃まで加熱し、メチルイソブチルケトン58.5部を加えた。その後、反応液温度60〜70℃を保持しながらジ−n−ブチルアミン83.5部を添加した。添加後に、75℃で1時間保持し、n−ブタノール2.0部を添加して得られたブロックポリイソシアネート。
実施例1:
ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)のみを中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:8:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、テンターに導き、横方向に110℃で4.3倍延伸し、235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、膜厚(乾燥後)が0.03μmの離型層を有する厚さ50μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムに関して離型性を評価したところ、加熱前と加熱後でも良好で、加熱による剥離力の変化も小さく、帯電防止性が良好であった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
実施例2〜12:
実施例1において、塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであり、剥離力は低く離型性、帯電防止性は良好であった。
比較例1:
実施例1において、塗布層を設けないこと以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すとおりであり、加熱剥離力が高く離型性、帯電防止性が劣るものであった。
比較例2〜6:
実施例1において、塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すとおりであり、加熱前や加熱後の離型性が劣るものや、加熱による剥離力の変化が大きいもの、帯電防止性が劣るものであった。
Figure 0005948000
Figure 0005948000
本発明の離型フィルムは、例えば、成形同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線板の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中で用いられる工程用フィルムとして、特に耐熱性を要求される用途において好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、離型剤、帯電防止剤、および活性メチレンブロックイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有し、加熱前のテープ剥離力が2000mN/cm以下、加熱後のテープ剥離力が3000mN/cm以下、加熱前後のテープ剥離力の差が2000mN/cm以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
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