JP6471712B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルムに関するものであり、例えば、画像表示装置の製造工程用として用いられ、特に偏光板用保護フィルムと、そのセパレータとして好適に用いられる積層フィルムを提供するものである。
従来、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種用途に使用されている。
ポリエステルフィルムを使用する用途例の一つとして、画像表示装置などの製造工程で使用される保護フィルムやセパレータが挙げられる。液晶ディスプレイやタッチパネルのような画像表示装置は光の振動方向や位相差の制御・調整のために偏光板などの各種光学フィルムが粘着層を介して積層されて使用される。これらの光学フィルムは、これらを用いる製造工程において、加工および搬送工程で生じる傷や汚れを防止する目的で保護フィルムが貼り合わされたり、傷や汚れから粘着面を保護する目的でセパレータが使用されたりした状態で使用される。
上記の保護フィルムは、一般に、樹脂フィルムに粘着層を設け、この粘着層を介して各種光学フィルムの表面に樹脂フィルムを貼り合わせて用いられる。また、この粘着層を光学フィルムと貼り合わすまでに、表面を傷や汚れから保護するために、ポリエステルフィルムから成るセパレータを貼り合わせた状態で搬送、使用される。保護フィルムを光学フィルムに貼り合わせる際は、このセパレータを剥がして使用される。
ポリエステルフィルムをこのようなセパレータの用途で使用する場合、種々の粘着剤に対する離型性が不足するため、従来からポリエステルフィルム表面に、離型性塗膜を積層する方法が検討されてきた。例えば、ポリエステルフィルム表面にポリジメチルシロキサンに代表されるシリコーン組成物を塗布積層する方法(特許文献1)などが提案されている。
しかしながら、シリコーン系離型フィルムは、シリコーン成分が粘着層に移行し、粘着力が低下、後工程で粘着層を貼り合わせる際に不良を引き起こすといった問題や、移行したシリコーン成分がさらに光学フィルムに転写し、製品の欠陥を引き起こすといった問題をかかえている。
シリコーン組成物以外の材料を用いた離型性塗膜として、ワックスを塗布積層する方法(特許文献2)なども提案されている。しかしワックスから成る離型性塗膜の場合、その離型性が劣るため、粘着層が偏光板などの光学部材上に移着されず、ポリエステルフィルム上に残ってしまう場合があり、製造効率の低下を引き起こす問題を抱えている。これらの観点から、画像表示装置の製造工程で保護フィルムとして用いられ、セパレータがシリコーン組成物やワックス以外の材料を用いた離型性塗膜を有する積層フィルムが求められている。
特開2009−143091号公報 特開2004−209756号公報
本発明は、積層フィルムに関するものであり、例えば、画像表示装置の製造工程用として用いられ、特に偏光板用保護フィルムや、そのセパレータとして好適に用いられる積層フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる積層フィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、離型層、粘着層および保護フィルムからなる偏光板用保護フィルムとがこの順に積層された積層フィルムであり、当該離型層が長鎖アルキル基含有化合物を含有し、当該離型層が当該長鎖アルキル基含有化合物および活性メチレン系ブロック剤を用いたブロックイソシアネートを含有する塗布液から形成されてなる層であることを特徴とする積層フィルムに存する。

本発明の積層フィルムによれば、画像表示装置の製造工程用として用いる際に、光学フィルムなどの保護フィルム、およびその粘着層のセパレータとして好適に利用することができ、粘着層にシリコーン組成物の移行がない積層フィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
本発明における積層フィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
種々の加工条件に耐えられるフィルムにするという観点から、機械的強度や耐熱性(加熱による寸法安定性)が高いことが好ましく、そのためには共重合ポリエステル成分が少ないことが好ましい。具体的には、ポリエステルフィルム中に占める共重合ポリエステルを形成するモノマーの割合が、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下の範囲であり、さらに好ましくはホモポリエステル重合時に副産物として生成してしまう程度である、3モル%以下のジエーテル成分を含む程度である。ポリエステルとしてより好ましい形態は、機械的強度や耐熱性を考慮すると、前記化合物の中でも、テレフタル酸とエチレングリコールから重合されてなる、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートから形成されたフィルムがより好ましく、製造のしやすさ、表面保護フィルム等の用途としての取扱い性を考慮すると、ポリエチレンテレフタレートから形成されたフィルムがより好ましい。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えば、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が挙げられる。この中でも、チタン化合物やゲルマニウム化合物は触媒活性が高く、少量で重合を行うことが可能であり、フィルム中に残留する金属量が少ないことから、フィルムの輝度が高くなり、フィルムを通して検査を行う場合の視認性の観点から好ましい。さらに、ゲルマニウム化合物は高価であることから、チタン化合物を用いることがより好ましい。
本発明のフィルムのポリエステル層中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。粒子がない場合、あるいは粒子が少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり、良好なフィルムとなるが、滑り性が不十分となる場合があるため、フィルムにキズが入りやすい傾向がある。
粒子を配合する場合、配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。また、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
ポリエステルフィルムに粒子を含有させる場合、滑り性を落とさず、透明性を確保するという観点から、3層以上の構成であることが好ましく、さらに製造の容易性を考慮し、3層構成であることがより好ましく、粒子を最表面の層に含有する構成が最適である。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは0.1〜3μmの範囲である。平均粒径が5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、転写する成型面の表面形状に影響を与える場合がある。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.0003〜3重量%の範囲である。粒子含有量が5重量%を超えて含有する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、染料、顔料等を含有することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、機械的強度、ハンドリング性及び生産性などの点から、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜100μmの範囲がよく、偏光板用の粘着剤のセパレータや偏光板用保護フィルムの粘着剤の保護フィルムとして使用する場合、12〜50μmであることがより好ましい。
本発明のフィルムの製膜方法としては、通常知られている製膜法を採用でき、特に制限はない。例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムを製造する場合、まず先に述べたポリエステル原料を、押出機を用いてダイから溶融押し出しし、溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法や液体塗布密着法が好ましく採用される。
次に、得られた未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に、通常70〜170℃で、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍で延伸する。引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る方法が挙げられる。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においては積層フィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
次に本発明における積層フィルムを構成する離型層の形成について説明する。離型層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成されるものである。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。
以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と離型層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、離型層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に離型層を設けることにより、離型層を基材フィルムと共に延伸することができ、それにより離型層を基材フィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、離型層の造膜性が向上し、離型層と基材フィルムをより強固に密着させることができ、離型成分の粘着層への移行を防ぐことができる。さらには、強固な離型層とすることができ、離型層の性能や耐久性を向上させることができる。そのため、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を形成する方法としては、離型成分を含む塗布液をポリエステルフィルムに塗布後、少なくとも一方向に延伸する製造方法が好ましい。
本発明においては、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層と粘着層をこの順に有し、離型層が長鎖アルキル基含有化合物を含有することを必須の要件とするものである。
本発明における離型層は、例えば、偏光板用の粘着剤とそのセパレータや、偏光板用保護フィルムの粘着剤とその保護フィルムとして使用する際、ポリエステルフィルムから粘着層を剥がすために好適に使用可能な離型性を付与するために設けられるものである。
本発明者らは、種々、検討を行った結果、長鎖アルキル基含有化合物を離型層に含有させることにより、粘着層に対する離型性を保持し、ポリエステルフィルムを剥がした後、粘着層にシリコーンの移行が無く、粘着層の粘着性を保持することが可能であることを見いだした。
本発明の積層フィルムの離型層に含有する長鎖アルキル基含有化合物は、ポリエステルフィルムの離型性を向上させるために用いる。
長鎖アルキル化合物とは、炭素数が通常6以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オクタデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。アルキル基を有する化合物とは、例えば、各種の長鎖アルキル基含有高分子化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有四級アンモニウム塩等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。また、効果的に離型性を得られるという観点から、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物であることがより好ましい。
長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物とは、反応性基を有する高分子と、当該反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。上記反応性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物等が挙げられる。
これらの反応性基を有する化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、反応性基含有ポリエステル樹脂、反応性基含有ポリ(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮するとポリビニルアルコールであることが好ましい。
上記の反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とは、例えば、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネート等の長鎖アルキル基含有イソシアネート、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、デシルクロライド、ラウリルクロライド、オクタデシルクロライド、ベヘニルクロライド等の長鎖アルキル基含有酸クロライド、長鎖アルキル基含有アミン、長鎖アルキル基含有アルコール等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮すると長鎖アルキル基含有イソシアネートが好ましく、オクタデシルイソシアネートが特に好ましい。
また、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合物や長鎖アルキル(メタ)アクリレートと他のビニル基含有モノマーとの共重合によって得ることもできる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートとは、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、本発明ではフィルムの離型性を向上させるために、長鎖アルキル基含有化合物を用いることを必須とするが、それ以外に従来公知の離型剤を複数種併用してもよい。従来公知の離型剤とは、例えば、ワックス、フッ素化合物、シリコーン化合物等が挙げられる。ただし、粘着層へシリコーン成分が移行することで、粘着層の粘着性を低下させる場合があるという観点から、本発明の離型層は非シリコーン化合物の離型剤で形成されることが望ましい。「非シリコーン化合物の離型剤で形成される」とは、離型層のシリコーン化合物含有量が好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下であり、最も好ましくは意図して含有しないことを意味する。シリコーン化合物を積極的に使用しなくても、外来異物由来のコンタミなどや、フィルム製造工程のラインや装置に付着した汚れが混入する可能性が考えられる。
シリコーン化合物とは、分子内にシリコーン構造を有する化合物のことであり、シリコーンエマルション、アクリルグラフトシリコーン、シリコーングラフトアクリル、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
本発明のフィルムの離型層の形成には、離型層の強度や基材との密着性、耐熱性を向上させるために、架橋剤を含有することが好ましい。
本発明に用いる架橋剤とは、メラミン化合物、イソシアネート系化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物等が挙げられる。これら架橋剤の中でも塗膜強度が良好であるという観点において、メラミン化合物あるいはイソシアネート系化合物を使用することが好ましい。また、離型層の離型性に優れるという観点からは、メラミン化合物が好ましく、離型層の耐熱性に優れるという観点からはイソシアネート系化合物が特に好ましい。また、これらの架橋剤は2種以上を併用しても良い。
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。アルキロール化としては、メチロール化、エチロール化、イソプロピロール化、n−ブチロール化、イソブチロール化などが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、メチロール化が好ましい。また、エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。塗膜強度を向上させ、離型層と基材の密着性を向上させるという観点から、部分的にエーテル化したアルキロール化メラミン誘導体であることが好ましく、メチルアルコールでエーテル化したアルキロールであることがより好ましい。そのため、より好ましい形態としては、メチロール基とメトキシメチル基を持つ部分エーテル化メラミンである。エーテル化したアルキロール基はエーテル化していないアルキロール基に対して、0.5〜5当量であることが好ましく、0.7〜3当量であることがより好ましい。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
イソシアネート系化合物とは、イソシアネート、あるいは前駆体であるイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤で保護した構造を有するブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えば、脂肪族系イソシアネート化合物、脂環族系イソシアネート化合物、芳香族系イソシアネート化合物等が挙げられる。これらイソシアネート化合物はより高度に反応が可能で離型層の耐熱性を向上できるという観点において、複数個のイソシアネート基を有する化合物、すなわちポリイソシアネート化合物であることがより好ましい。また、水系の塗布液を使用する場合は、ブロックイソシアネートであることがより好ましい。
脂肪族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート化合物、リジントリイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)2−イソシアナトグルタレート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。その中でも工業的入手のしやすさからヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
脂環族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。その中でも、耐候性、工業的入手の容易さから、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
芳香族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。
これらのポリイソシアネート化合物の中でも、脂肪族系ポリイソシアネート化合物および脂環族系ポリイソシアネート化合物が耐候性に優れるため、好ましい。さらに、脂肪族系ポリイソシアネート化合物の中では、脂肪族系ジイソシアネートから誘導される脂肪族系ポリイソシアネート化合物が好ましい。その中でも、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。また、これらイソシアネート化合物は、単独で使用してもいいし、2種以上を併用しても構わない。
ブロックポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ブロック剤と反応させて合成することができる。
ブロック剤としては、例えば、活性メチレン系、オキシム系、ピラゾール系、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、アミン系、イミン系、重亜硫酸塩ブロック剤等が挙げられる。これらの中でも、特に加熱後の剥離特性が変化しにくいという観点から、活性メチレン系ブロック剤であることが好ましい。また、これらのブロック剤は2種以上を併用してもよい。
活性メチレン系ブロック剤としては、例えば、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ブタノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステル、n−ヘキサノイル酢酸エステル、2−エチルヘプタノイル酢酸エステル、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン等を挙げることができる。その中でも、低温硬化性および水存在下の貯蔵安定性に優れるという点で、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ブタノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステル、n−ヘキサノイル酢酸エステル、2−エチルヘプタノイル酢酸エステルが好ましく、より好ましくは、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステルであり、さらに好ましくは、イソブタノイル酢酸エステルである。より具体的には、イソブタノイル酢酸エステルとしては、例えば、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチル、イソブタノイル酢酸n−プロピル、イソブタノイル酢酸イソプロピル、イソブタノイル酢酸n−ブチル、イソブタノイル酢酸イソブチル、イソブタノイル酢酸t−ブチル、イソブタノイル酢酸n−ペンチル、イソブタノイル酢酸n−ヘキシル、イソブタノイル酢酸2−エチルヘキシル、イソブタノイル酢酸フェニル、イソブタノイル酢酸ベンジル等が挙げられる。その中でも、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチルが好ましい。n−プロパノイル酢酸エステルとしては、例えば、n−プロパノイル酢酸メチル、n−プロパノイル酢酸エチル、n−プロパノイル酢酸イソプロピル、n−プロパノイル酢酸n−ブチル、n−プロパノイル酢酸t−ブチル等が挙げられる。その中でも、n−プロパノイル酢酸メチル、n−プロパノイル酢酸エチルが好ましい。n−ペンタノイル酢酸エステルとしては、例えば、n−ペンタノイル酢酸メチル、n−ペンタノイル酢酸エチル、n−ペンタノイル酢酸イソプロピル、n−ペンタノイル酢酸n−ブチル、n−ペンタノイル酢酸t−ブチル等が挙げられる。その中でも、n−ペンタノイル酢酸メチル、n−ペンタノイル酢酸エチルが好ましい。
本発明のフィルムで用いる活性メチレンブロックイソシアネート化合物においては、上記に示した活性メチレン系ブロック剤を単独で用いることもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。併用する活性メチレン系ブロック剤としては、低温硬化性に優れ、形成した離型層の耐熱性に優れるという点で、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルが好ましい。
オキシム系ブロック剤としては、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
ピラゾール系ブロック剤としては、例えば、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。アルコール系ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
アルキルフェノール系ブロック剤としては、例えば、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類、ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類等が挙げられる。
フェノール系ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
メルカプタン系ブロック剤としては、例えば、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
酸アミド系ブロック剤としては、例えば、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等が挙げられる。
酸イミド系ブロック剤としては、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。
イミダゾール系ブロック剤としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
尿素系ブロック剤としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。
アミン系ブロック剤としては、例えば、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジーn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン等が挙げられる。イミン系ブロック剤としては、例えば、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
本発明のフィルムで用いるブロックイソシアネート化合物は、水系塗料における配合性を高めるため、親水性部位を含有することが好ましく、ブロックイソシアネート系化合物に親水部位を付加する方法としては、例えば、前駆体であるイソシアネート化合物のイソシアネート基と活性水素を有する親水性化合物を反応させる方法が挙げられる。
本発明のフィルムで用いるブロックイソシアネート化合物に使用される活性水素を有する親水性化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール系化合物、カルボン酸含有化合物、スルホン酸含有化合物、アミン含有化合物等が挙げられる。これらの親水性化合物は、単独で用いてもいいし、2種以上を併用して用いてもよい。
ポリエチレングリコール系化合物としては、例えば、モノアルコキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンコポリマージオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックポリマージオール等が挙げられ、その中でも、特にモノメトキシポリエチレングリコール、モノエトキシポリエチレングリコール等のモノアルコキシポリエチレングリコールが好ましい。
カルボン酸基含有化合物としては、モノヒドロキシカルボン酸あるいはジヒドロキシカルボン酸あるいはそれらの誘導体等が挙げられる。カルボン酸基含有化合物の中では、モノヒドロキシカルボン酸あるいはジヒドロキシカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは、モノヒドロキシカルボン酸である。
カルボン酸含有化合物の具体例としては、例えば、ヒドロキシピバリン酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸あるいは、これらを開始剤としたポリカプロラクトンジオールやポリエーテルポリオール等の誘導体、およびそれらの塩が挙げられる。
スルホン酸基含有化合物としては、アミノエチルスルホン酸、エチレンジアミノ−プロピル−β−エチルスルホン酸、1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、およびそれらの塩が挙げられる。
アミン含有化合物としては、水酸基含有アミノ化合物が挙げられる。具体的には、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。
ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、本発明に用いる架橋剤は、乾燥過程や、製膜過程において、反応させて離型層の性能を向上させる設計で用いている。できあがった離型層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
本発明のフィルムの離型層の形成には、塗布外観や透明性の向上、離型性のコントロールために、各種のポリマーを併用することが可能である。
ポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらの中でも離型性のコントロールがしやすいという点において、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂がより好ましい。
ポリエステル樹脂とは、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸および、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、p−キシリレングリコ−ル、ビスフェノ−ルA−エチレングリコ−ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ−ル、ジメチロ−ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジメチロ−ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ−ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
ウレタン樹脂とは、ウレタン樹脂を分子内に有する高分子化合物のことである。通常ウレタン樹脂はポリオールとイソシアネートの反応により作成される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
アクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体、いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。また、基材との密着性をより向上させるために、ヒドロキシル基、アミノ基を含有することも可能である。
上記重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
本発明における積層フィルムを構成する離型層の全不揮発成分に対する割合として、長鎖アルキル基含有化合物は、通常3重量%以上の範囲、好ましくは5〜95重量%の範囲、さらに好ましくは10〜90重量%の範囲である。3重量%より少ない場合は十分な離型性能が得られない可能性がある。
離型層に架橋剤を併用する場合、架橋剤としてメラミン化合物を用いる場合は、離型層の全不揮発成分に対する割合として、長鎖アルキル基含有化合物は、10〜95重量%の範囲が好ましく、25〜90重量%の範囲がより好ましく、40〜85重量%の範囲が特に好ましい。
架橋剤としてイソシアネート系化合物を用いる場合は、離型層の全不揮発成分に対する割合として、長鎖アルキル基含有化合物は、5〜95重量%の範囲が好ましく、15〜93重量%の範囲がより好ましく、25〜90重量%の範囲が特に好ましい。
本発明における積層フィルムを構成する離型層に架橋剤を併用する場合、離型層の全不揮発成分に対する割合として、架橋剤は、好ましくは97重量%以下の範囲、より好ましくは5〜95重量%の範囲、さらに好ましくは10〜90重量%の範囲である。上記範囲で使用することで、離型層の耐熱性を向上させることが可能であり、熱処理後も十分な離型性を保持することが可能となる。
架橋剤にメラミン化合物を用いる場合は、離型層の全不揮発成分に対する割合として、メラミン化合物は、5〜90重量%の範囲が好ましく、10〜75重量%の範囲がより好ましく、15〜60重量%の範囲が特に好ましい。
架橋剤にイソシアネート系化合物を用いる場合は、離型層の全不揮発成分に対する割合として、イソシアネート系化合物は、5〜95重量%の範囲が好ましく、7〜85重量%の範囲がより好ましく、10〜75重量%の範囲が特に好ましい。
本発明の離型層の剥離力は、対する粘着剤の種類によるが、例えばアクリル系粘着剤に対して、好ましくは1000mN/cm以下、より好ましくは500mN/cm以下、さらに好ましくは300mN/cm以下、特に好ましくは240mN/cm以下である。また剥離力の下限は好ましくは10mN/cmである。
粘着層を離型層表面に塗布、加熱することで設ける場合、本発明の離型層のアクリル系粘着テープに対する加熱処理後の剥離力は、加熱前の剥離力の値にもよるが、好ましくは2400mN/cm以下、より好ましくは2000mN/cm以下、さらに好ましくは1500mN/cm以下、特に好ましくは1300mN/cm以下である。上記範囲にすることで、加熱処理が加わっても粘着層を上手く剥離することが可能となる。また加熱処理後の剥離力の下限は好ましくは10mN/cmである。
本発明における離型層はポリエステルフィルムの少なくとも片面に積層されたことを特徴とするが、両面に積層されても良く、その場合はそれぞれの面が同じ組成であっても異なっていてもよい。また、本発明における積層フィルムはポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層、粘着層がこの順に積層された構成であるが、離型層をポリエステルフィルムの両面に積層する場合、粘着剤も両面の離型層の上に設けてもよく、片面のみであってもよい。両面に積層する場合、粘着層の組成は同じであっても異なっていてもよい。
また、ポリエステルフィルムのもう一方の面には、離型層とは別の機能層を設けてもよい。機能層は特に限定されないが、ポリエステルフィルムをセパレータとして用いる場合、フィルムを剥離する際に発生する静電気を抑制する目的から、帯電防止剤を含有する層であることが好ましい。また、機能層を設ける方法としては離型層と同じ手法を用いることができる。
本発明における積層フィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる離型層の膜厚は、好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは0.005〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.2μm、特に好ましくは0.03〜0.15μmの範囲である。膜厚が1μmを超える場合は、塗膜外観の悪化や塗膜の硬化不足が生じる可能性があり、膜厚が0.001μm未満の場合は十分な離型性が得られない可能性がある。
本発明における粘着層は、例えば、偏光板などの光学フィルムと保護フィルムを貼り合わせるために設けられるものである。また、保護フィルムが表面保護の目的を達成した後、保護フィルムと同時に粘着層も除去されるものであるため、粘着層は偏光板などから容易に剥がすことが可能であり、剥離後に糊残りや表面汚染性がないものであることが好ましい。
粘着層は粘着剤組成物を含有するものである。粘着剤組成物とは粘着性を付与できるものであれば特に限定なく使用でき、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらの中でも粘着特性の調整を行いやすく、透明性にも優れるという観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。また、粘着剤の形成方法として、例えば、熱硬化型、活性エネルギー線硬化型、ホットメルト型などが挙げられる。
アクリル系粘着剤とはアクリル、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体であるアクリル樹脂を含む粘着剤である。これらは単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体のいずれでも差し支えない。アクリル系、メタアクリル系の重合性モノマー、およびこれら以外の重合性モノマーとは、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有のモノマー、カルボキシル基含有モノマーおよびそれらの塩、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムのような窒素含有化合物、塩化ビニルや塩化ビニリデンのようなハロゲン化ビニル、ブタジエンのような各種共役ジエン類などが挙げられる。これらの中でも重合性モノマーとして少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルを含む場合が好ましい。またヒドロキシ基やカルボキシル基を有するヒドロキシ基含有モノマーやカルボキシル基含有モノマーを共重合していることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、被着体への粘着力を低く制御することが可能で、再剥離性に優れるという観点から、炭素数4〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、炭素数6〜14の(メタ)アクリル酸エステルであることがより好ましく、汎用性に優れるという観点から、2−エチルヘキシルアクリレートが最も好ましい。
ヒドロキシ基含有のモノマーとは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとは、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、カルボキシルペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルテトラヒドロフタル酸などがあげられる。
前記のアクリル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1万〜500万、さらに好ましくは10万〜400万である。重量平均分子量が1万より小さい場合は、得られた粘着層の凝集力が小さいために粘着層内で破壊が生じる場合がある。また500万を超える場合は樹脂の流動性が低下するために偏光板などの光学部材への濡れが不十分となる場合がある。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下であり、更に好ましくは−20℃以下である(通常−100℃以上)。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく、例えば、偏光板などの被着体への濡れが不十分となり、被着体と粘着層との間に発生する空隙の原因となる傾向がある。ガラス転移温度を−20℃以下にすることで、被着体への濡れ性と軽剥離性に優れる粘着剤組成物が得られ易くなる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
本発明の積層フィルムの粘着層を構成する粘着剤には、必要に応じて溶媒、架橋剤、粘着付与剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等をさらに含んでいてもよい。
アクリル系粘着剤に用いられる架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソシアネート系化合物、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが用いられる。これらの中でも粘着性と耐反発性を両立できるという観点から、イソシアネート系化合物が好ましい。
イソシアネート系化合物(イソシアネート系架橋剤)としては、たとえば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族イソシアネート類、前記イソシアネート化合物をアロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、ウレトンイミン結合、オキサジアジントリオン結合などにより変性したポリイソシネート変性体が挙げられる。これらイソシアネート化合物は、単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよく、2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いることも可能である。架橋剤を併用して用いることにより粘着性と耐反発性(曲面に対する接着性)を両立することが可能となり、より接着信頼性に優れた粘着シート(保護フィルム)を得ることができる。
粘着層の形成方法としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒に粘着性物質ないしその組成物を溶解又は分散させて10〜40重量%程度の粘着剤液を調製し、それを保護フィルム上に塗工、加熱乾燥して粘着層を形成し、セパレータを貼り合わせる方式、あるいはセパレータ上に塗工、加熱乾燥して粘着層を形成し、保護フィルムを貼り合わせる方式などがあげられる。
粘着剤液の塗工方法としては、公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
本発明における積層フィルムに関して、粘着層の厚みは好ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μmの範囲である。1μm未満の場合は粘着性が不十分である場合があり、500μmを超える場合は粘着性が安定的に得られない場合がある。
本発明における保護フィルムは、例えば、偏光板などの光学フィルムの搬送工程で傷や汚れを防ぐことを目的として、偏光板の表面に粘着層を介して貼り合わせられるものである。また、保護フィルムが表面保護の目的を達成した後、表面保護フィルムは除去される。
保護フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリオレフィン系フィルムなどの各種ポリマー系フィルムが使用できる。これらの中でも強度および光学適性の観点からポリエステルフィルムであることが好ましい。ポリエステルフィルムとしては、セパレータで記載のポリエステルフィルムが挙げられる。
保護フィルムで偏光板などの光学部材の表面を保護する場合、保護された光学部材を液晶パネルに貼り合わせた後、保護フィルムを光学部材から剥離する際に静電気が発生する。この静電気を除くことなく液晶に電圧を印加すると、液晶分子の配向が損失したり、パネルの欠損が生じたりする。このような不具合を防止するために、保護フィルムは帯電防止性を有する帯電防止層を有することが好ましい。この帯電防止層は、保護フィルムの粘着剤と接する面であっても、他方の面であっても良く、また両面に設けられてもよい。また、帯電防止性に加え、防汚性の機能を有するものであっても良い。
帯電防止層とは帯電防止剤を含有する層である。帯電防止剤とは、アンモニウム基含有化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸化合物、ベタイン化合物等のイオン導電性の高分子化合物や、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンなどのπ電子共役系の高分子化合物が挙げられる。これらはフィルムに帯電防止性を付与するために用いられる。これらの中でもイオン導電性の高分子化合物が好ましく、アンモニウム基含有化合物が特に好ましい。π共役系導電性高分子、たとえばポリチオフェンやポリアニリン含有の塗布液から形成される機能層は一般に強く着色するため、透明性が求められる光学用途には好適でない場合がある。またπ共役系導電性高分子塗料はイオン導電性塗料に比べ一般に高価になるため、製造コストの観点からもイオン導電性の帯電防止剤が好適に用いられる。
アンモニウム基含有化合物とは、分子内にアンモニウム基を有する化合物を指し、アンモニウム基を有する高分子化合物であることが好ましい。例えば、アンモニウム基と不飽和性二重結合を有する単量体を成分として含む重合体を用いることができる。
かかる重合体の具体的な例としては、例えば下記式(1)または下記式(2)で示される構成要素を繰返し単位として有する重合体が挙げられる。これらの単独重合体や共重合体、さらに、その他の複数の成分を共重合していても構わない。他の材料との相溶性や、得られる塗膜の透明性を向上させるという観点からは、下記式(1)で示される構成要素を繰り返し単位として有する重合体が好ましい。また、得られる帯電防止性能の高さや耐熱性の観点からは下記式(2)で示される構成要素を繰り返し単位として有する重合体が好ましい。
Figure 0006471712
上記式(1)中、Rは−O− または −NH−、Rはアルキレン基、または式(1)の構造を成立しうるその他の構造、R、R、R、Rはそれぞれが、水素原子、アルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能な基は、例えば、ヒドロキシ基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ基、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲン等である。
Figure 0006471712
上記式(2)中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能な基は、例えば、ヒドロキシル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ基、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲン等である。また、RおよびRは化学的に結合していてもよく、例えば、−(CH−(m=2〜5の整数)、−CH(CH)CH(CH)−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=N−、−CH=CH−N=C−、−CHOCH−、−(CHO(CH−などが挙げられる。
上記式(1)で示される構成要素を繰返し単位として有する重合体の場合、他の材料との相溶性を高め、得られる塗膜の透明性を向上させるという観点や、離型性がさらに向上するという観点から、他の繰り返し単位と共重合していることが好ましい。他の繰り返し単位は、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルが挙げられる。
上記式(2)で示される構成要素を繰返し単位として有する重合体の場合、離型性の低下を抑えるという観点から、他の繰り返し単位と共重合していることが好ましい。他の繰り返し単位は、例えば、上記のアクリル酸アルキルやメタクリル酸アルキル、n−メチロールアクリルアミド等のアクリルアミドが挙げられる。
また、より帯電防止性能を高めるという観点からは、上記式(2)で示される構成要素を繰り返し単位とした単独重合体が好ましい。
上記式(1)および(2)中のXは本発明の要旨を損なわない範囲で適宜選択することができる。例えば、ハロゲンイオン、スルホナート、ホスファート、ニトラート、アルキルスルホナート、カルボキシラート等が挙げられる。
上記式(1)で示される構成要素を持つ重合体は、得られる機能層の透明性に優れ好ましい。ただし塗布延伸法においては、耐熱性に劣る場合があり、塗布延伸法に用いる場合、Xはハロゲンではないことが好ましい。
上記式(2)で示される構成要素や、その他のアンモニウム塩基が高分子骨格内にある化合物は、耐熱性に優れており好ましい。
また、アンモニウム基含有化合物の数平均分子量は1000〜500000、好ましくは2000〜350000、さらに好ましくは5000〜200000である。分子量が1000未満の場合は塗膜の強度が弱かったり、耐熱安定性に劣ったりする場合がある。
また分子量が500000を超える場合は、塗布液の粘度が高くなり、取扱い性や塗布性が悪化する場合がある。
帯電防止層の形成には、塗布外観や透明性、基材密着性を向上させるために、各種のポリマーや架橋剤を併用することが可能である。各種のポリマーや架橋剤は本発明の離型層で説明した各種の材料を使用することが可能であり、ポリマーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。また架橋剤としては、メラミン化合物、イソシアネート系化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物等が挙げられる。これらの中でもポリマーとして、アクリル樹脂を用いることが好ましい。また架橋剤としてはメラミンを用いることが好ましい。これらは2種以上を併用しても良い。
帯電防止層を設ける場合、用いられる用途によるが、その表面抵抗値として、好ましくは5×1012Ω以下、より好ましくは1×1011Ω以下、さらに好ましくは5×1010Ω以下である。
保護フィルムの表面には、帯電防止層の他に、汚れ防止層や密着性向上層などの各種機能層を設けても良い。また、機能層は帯電防止層の上に設けても良く、保護フィルムの他方の面に設けても良い。
本発明の主旨を損なわない範囲において、本発明のフィルムの離型層、機能層、および帯電防止層の形成に、ブロッキング性や滑り性改良等を目的として粒子を併用することも可能である。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、離型層、機能層、および帯電防止層の形成には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
離型層、機能層、および帯電防止層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS、ESCA、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
インラインコーティングによって離型層、機能層、もしくは帯電防止層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明の離型層、機能層、および帯電防止層を形成する方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層、機能層、および帯電防止層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては、例えば、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより離型層、機能層、および帯電防止層を設ける場合、通常70〜270℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明の積層フィルムは、粘着層を介して粘着層を偏光板などの光学部材と貼り合わせて用いるために使用することが出来る。その使用例としては、ポリエステルフィルムと離型層をセパレータとして用い、セパレータを剥がした後に、保護フィルムが粘着層を介して偏光板など光学部材と貼り合わせられ、光学部材の加工や搬送が終わった後に、保護フィルムが粘着剤と共に剥がされる使用法が挙げられる。
偏光板とは、例えば、偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも高い偏光度を有するという観点から、ヨウ素を含有するポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子が好適に用いられる。
偏光子に適用されるポリビニルアルコール系フィルムの材料には、ポリビニルアルコール又はその誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等が挙げられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸や、そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。ポリビニルアルコールの重合度は、1000〜10000程度、ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、フィルムとしての強度および延伸時の均質性を考慮して1〜1000μmが好ましく、10〜200μmの範囲がより好ましい。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが用いられる。例えば、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体のようなポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。
透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。これらの中でも偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましく、特にトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。
偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と透明保護フィルムとは通常、水系粘着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、イソシアネート系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等が挙げられる。
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より、1〜500μmが好ましく1〜300μmがより好ましく、5〜200μmがさらに好ましい。
前記、透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。また、これらの反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
また本発明の積層フィルムを用いて偏光板などの光学部材と貼り合わせる光学部材としては、例えば、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものや、液晶セルなどの画像表示装置の部材が挙げられる。これらの光学層は単独で本発明の光学部材として用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定方法
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50)の測定
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。
(3)ガラス転移温度の理論値の算出方法
ガラス転移温度Tg(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として下記の文献値を用い、下記の式により求めた。
式:1/(Tg+273)=Σ[Wn/(Tgn+273)]
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの質量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕
文献値:
2−エチルヘキシルアクリレート:−70℃
アクリル酸:106℃
2−ヒドロキシエチルアクリレート:−15℃
なお、文献値として、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途展開」(中央経営開発センター出版部発行)及び「Polymer Handbook」(John Wiley & Sons)を参照した。
(4)離型層と帯電防止層の膜厚測定方法
離型層と機能層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuOで染色し、離型層および機能層の断面をTEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 H−7650、加速電圧100kV)を用いて測定した。
(5)離型層の剥離力の評価
離型層を設けたポリエステルフィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」基材厚み25μm)を2kgゴムローラーにて1往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(6)離型フィルムの加熱後剥離力の評価
離型層を設けたポリエステルフィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」基材厚み25μm)を2kgゴムローラーにて1往復圧着した後、100℃のオーブン内にて1hr加熱した。その後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(7)フィルム剥離性
ポリエステルフィルムと離型層を含むセパレータと、粘着層、保護フィルムを積層した後、23℃環境下で24時間後にセパレータを180°方向に剥がし、粘着層がセパレータに残らないかを調べた。粘着層がセパレータに残らなかった場合は○、粘着層がセパレータ側に残った場合は×とした。
(8)粘着層利用性
ポリエステルフィルムと離型層を含むセパレータを積層フィルムから剥離した後、粘着層を介して保護フィルムを偏光板と貼り合わせることが可能で、その後、粘着層ごと保護フィルムを偏光板から剥がすことが可能かを調べた。貼り合わせも剥がすことも可能だった場合は○、貼り合わせられない、もしくは剥がす際に粘着層が偏光板に残った場合は×とした。
(9)表面抵抗値の評価方法
日本ヒューレット・パッカード株式会社製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、帯電防止層表面の表面抵抗値を測定した。
参考例、実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、エチルアシッドフォスフェートを生成ポリエステルに対して30ppm、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して100ppmを窒素雰囲気下、260℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、テトラブチルチタネートを生成ポリエステルに対して50ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.3kPaまで減圧し、さらに80分、溶融重縮合させ、極限粘度0.63、ジエチレングリコール量が2モル%のポリエステル(A)を得た。
<ポリエステル(B)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して900ppmを窒素雰囲気下、225℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、正リン酸を生成ポリエステルに対して3500ppm、二酸化ゲルマニウムを生成ポリエステルに対して70ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.4kPaまで減圧し、さらに85分、溶融重縮合させ、極限粘度0.64、ジエチレングリコール量が2モル%のポリエステル(B)を得た。
<ポリエステル(C)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に平均粒径2μmのシリカ粒子を0.3重量部添加する以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。
離型層および機能層を構成する化合物例は以下のとおりである。
・長鎖アルキル基含有化合物:(I)
4つ口フラスコにキシレン200部、オクタデシルイソシアネート600部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して得た。
・メラミン化合物:(IIA)
メチロール基とメトキシ基が1:2.2の比率である部分エーテル化メラミン
・活性メチレンブロックポリイソシアネート:(IIB)
下記方法で合成したブロックポリイソシアネート
ヘキサメチレンジイソシアネート1000部を60℃で攪拌し、触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリレート0.1部を加えた。4時間後、リン酸0.2部を添加して反応を停止させ、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を得た。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物100部、数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコール42.3部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.5部を仕込み、80℃で7時間保持した。その後反応液温度を60℃に保持し、イソブタノイル酢酸メチル35.8部、マロン酸ジエチル32.2部、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液0.88部を添加し、4時間保持した。n−ブタノール58.9部を添加し、反応液温度80℃で2時間保持し、その後、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート0.86部を添加して得られたブロックポリイソシアネート
・ポリエステル樹脂:(IIIA)
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
・アクリル樹脂:(IIIB)下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
・帯電防止剤:(IV)
下記式3−1の構成単位と、下記式3−2の構成単位とを重量比率で95/5の重量比率で共重合した、数平均分子量30000の高分子化合物
Figure 0006471712
Figure 0006471712
粘着層を構成する粘着剤は次のようにして準備したものである。
酢酸エチル溶液に、2−エチルヘキシルアクリレートを95重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを4.5重量部、アクリル酸を0.5重量部の割合で入れ、アゾビスイソブチルブチルニトリルを0.1重量部添加し、70℃×8時間重合を行い、重量平均分子量が54万、ガラス転移温度(Tg)が−68℃のアクリル系ポリマー溶液を調整した。このアクリル系ポリマー溶液の固形分100重量部に対し、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を、固形分1重量部を添加し、粘着剤組成物である塗液を調整した。
偏光板の作成は下記の方法で行った。
ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素により染色して作成した厚さ30μmの偏光子の両面に、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる偏光子保護フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせて作成した。
参考例1:
ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ91%、3%、6%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ97%、3%の割合で混合した混合原料を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:8:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、下記表1に示す塗布液A1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、片面に塗布層の膜厚(乾燥後)が0.03μmの離型層を有する厚さ38μmのセパレータ用のポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの離型層を評価したところ、初期の離型性や、加熱後の離型性も良好であるフィルムであった。
前記のポリエステルフィルムの製造において、塗布液A1の代わりに塗布液B1を塗布した以外は同様に製造して、片面に帯電防止層を有する保護フィルムを得た。
得られた保護フィルムの帯電防止層とは反対の面に、粘着剤組成物溶液を塗布し、130℃で1分間加熱して、厚さ15μmの粘着層を形成した。次いで粘着層の表面に、セパレータ用ポリエステルフィルムの離型層面を貼り合わせ、積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムを評価したところ、離型層と粘着層の間で剥離することができ、粘着層が離型層表面に残らず、その後に粘着層を介して保護フィルムを偏光板に貼り合わせることが可能であり、また粘着層ごと保護フィルムを偏光板から剥がすことが可能であった。また保護フィルムの帯電防止層面の表面抵抗値も良好であった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
参考例2〜11:
参考例1において、離型層の組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は参考例1と同様にして製造し、積層フィルムを得た。でき上がった積層フィルムは表2に示すとおり、離型層の離型性やセパレータの剥離性に優れ、保護フィルムの帯電防止層の表面抵抗値も良好であった。
実施例12:
参考例1において、離型層の組成を表1に示す塗布剤組成に変更し、粘着剤組成物溶液を離型層表面に塗布し、加熱して粘着層を形成し、粘着層の表面に保護フィルムの帯電防止層とは反対の面を貼り合わせた以外は、参考例1と同様にして製造し、積層フィルムを得た。でき上がった積層フィルムは表2に示すとおり、離型層の離型性やセパレータの剥離性に優れ、保護フィルムの帯電防止層の表面抵抗値も良好であった。
実施例13〜21:
実施例12において、離型層の組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は参考例1と同様にして製造し、積層フィルムを得た。でき上がった積層フィルムは表2に示すとおり、離型層の離型性やセパレータの剥離性に優れ、保護フィルムの帯電防止層の表面抵抗値も良好であった。
参考例22、23、実施例24、25:
参考例1において、離型層および帯電防止層の組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は参考例1と同様にして製造し、積層フィルムを得た。でき上がった積層フィルムは表2に示すとおり、離型層の離型性やセパレータの剥離性に優れ、保護フィルムの帯電防止層の表面抵抗値も良好であった。
比較例1:
参考例1において、離型層および帯電防止層を設けないこと以外は参考例1と同様にして製造し、積層フィルムを得た。でき上がった積層フィルムを評価したところ、表2に示すとおりであり、離型層の離型性が劣り、セパレータを剥がすと粘着層が離型層表面に残り、表面抵抗値も劣るフィルムであった。
比較例2〜5:
参考例1において、離型層および帯電防止層の塗布剤組成を表1に示す塗布剤組成に変更する以外は参考例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層フィルムを評価したところ、表2に示すとおりであり、離型層の離型性が劣り、セパレータを剥がすと粘着層が離型層表面に残り、また、機能層も表面抵抗値に劣る場合がみられた。
Figure 0006471712
Figure 0006471712
本発明の積層フィルムは、離型フィルム、粘着剤、保護フィルムを用いた積層フィルムであり、例えば、画像表示装置の製造工程用として用いられ、特に偏光板用保護フィルムと、そのセパレータとして用いられ、粘着層にシリコーン組成物の移行が無い積層フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、離型層、粘着層および保護フィルムからなる偏光板用保護フィルムとがこの順に積層された積層フィルムであり、当該離型層が長鎖アルキル基含有化合物を含有し、当該離型層が当該長鎖アルキル基含有化合物および活性メチレン系ブロック剤を用いたブロックイソシアネートを含有する塗布液から形成されてなる層であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記活性メチレン系ブロック剤が、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ブタノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステル、n−ヘキサノイル酢酸エステル、2−エチルヘプタノイル酢酸エステル、マロン酸エステル、アセト酢酸エステルおよびアセチルアセトンから選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の積層フィルム。
  3. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、離型層、粘着層および保護フィルムからなる偏光板用保護フィルムとがこの順に積層された積層フィルムを用いた偏光板の製造方法であって、当該離型層が長鎖アルキル基含有化合物を含有し、当該離型層が当該長鎖アルキル基含有化合物および活性メチレン系ブロック剤を用いたブロックイソシアネートを含有する塗布液から形成されてなる層であり、当該ポリエステルフィルムおよび当該離型層を当該積層フィルムから剥がした後、当該偏光板用保護フィルムを当該粘着層を介して偏光板に貼り合わせる工程を有する偏光板の製造方法。
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