JP5959554B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、離型フィルムに関するものであり、特に平滑性および耐熱性を要求される用途、例えば、成形同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線板の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中で用いられる工程用フィルムとして好適な離型ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種用途に使用されている。ポリエステルフィルムを離型フィルムとして使用する場合、種々の樹脂や粘着剤に対する離型性が不足するため、実用性に乏しいという欠点を有している。このため、従来からポリエステルフィルム表面に、離型性塗膜を積層する方法が検討されてきた。例えば、ポリエステルフィルム表面に長鎖アルキル基含有樹脂を塗布積層する方法( 特許文献1 ) などが提案されている。
ポリエステルフィルムを離型フィルムとして使用する用途例として、成型同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線版の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中でフィルムに熱や圧力をかけるものがある。これら熱のかかる用途に使用する場合、上述の方法により作成された離型フィルムでは、フィルムの離型性が悪くなり、スムーズにフィルムを剥がせなかったり、離型剤が相手側に転着して汚染してしまったりするという問題を抱えており、耐熱性に優れた離型フィルムが求められている。
また、大きな凹凸のあるポリエステルフィルムを工程用フィルムとして用いた場合、例えば、プラスチックシート製造時、ポリエステルフィルム表面の凹凸がプラスチックに転写され、平滑性の劣った製品となる問題を抱えている。
特開2002−240016号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、成形同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線板の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中で用いられる工程用フィルムとして、加工時の熱による離型性の悪化が少ない平滑な離型ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる積層ポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、離型剤およびブロックイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有し、当該塗布層表面の中心平均粗さ(Ra)が8nm以下であり、当該塗布層の粘着テープに対する加熱前の剥離力が2000mN/cm以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明の積層ポリエステルフィルムによれば、転写用反射防止フィルムの製造用等の各種の工程用フィルムとして用いた際に、耐熱性が高く、加工時の熱による離型性の悪化の少ない平滑な離型ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えば、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が挙げられる。この中でも、チタン化合物やゲルマニウム化合物は触媒活性が高く、少量で重合を行うことが可能であり、フィルム中に残留する金属量が少ないことから、異物になりにくく、フィルム表面の凹凸を形成しにくいため好ましい。さらに、ゲルマニウム化合物は高価であることから、チタン化合物を用いることがより好ましい。
チタン化合物を用いたポリエステルの場合、チタン元素含有量は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは1〜30ppm、さらに好ましくは2〜20ppmの範囲である。チタン化合物の含有量が多すぎる場合は、ポリエステルを溶融押出する工程でポリエステルの劣化が促進され黄色味が強いフィルムとなる場合があり、また、含有量が少なすぎる場合は、重合効率が悪くコストアップや十分な強度を有するフィルムが得られない場合がある。また、チタン化合物によるポリエステルを用いる場合、溶融押出する工程での劣化抑制の目的で、チタン化合物の活性を下げるためにリン化合物を使用することが好ましい。リン化合物としては、ポリエステルの生産性や熱安定性を考慮すると正リン酸が好ましい。リン元素含有量は、溶融押出するポリエステル量に対して、好ましくは1〜300ppm、より好ましくは3〜200ppm、さらに好ましくは5〜100ppmの範囲である。リン化合物の含有量が多すぎる場合は、ゲル化や異物の原因となる可能性があり、また、含有量が少なすぎる場合は、チタン化合物の活性を十分に下げることができず、黄色味のあるフィルムとなる場合がある。
本発明においては、ポリエステルフィルムの離型層表面の中心線平均粗さRaが8nm以下であることを必須の要件とするものである。
表面の凹凸の大きいポリエステルフィルムを、例えば、プラスチックシート製造時の工程用フィルムとして用いた場合、ポリエステルフィルム表面の凹凸がプラスチックに転写され、外観の悪い製品となってしまうが、中心線平均粗さ(Ra)が8nm以下のポリエステルフィルム表面を使用することにより、この問題を抑えることが可能となる。
本発明においては、塗布層表面の中心線平均粗さ(Ra)が8nm以下であることが必須要件であり、好ましくは6nm以下、より好ましくは4nm以下、さらに好ましくは3nm以下の範囲である。中心線平均粗さRaが小さいほど、凹凸の転写が少なく、良好なシートを作ることなどが可能となる。
本発明のフィルムのポリエステル層中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。粒子がない場合、あるいは粒子が少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり、良好なフィルムとなるが、滑り性が不十分となる場合があるため、フィルムにキズが入りやすく、塗布層中に粒子を入れることにより、滑り性を向上させる等の工夫が必要な場合がある。粒子を配合する場合、配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化チタン等の無機粒子が挙げられる。透明性がよいという観点からは、有機粒子であることが好ましく、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂がさらに好ましい。また、フィルムの硬度が向上するという観点からは、金属酸化物であることが好ましく、透明性や取り扱い性を考慮すると、酸化アルミニウムであることがさらに好ましい。また、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
上記の有機粒子は粒子の分散性やポリエステルとの親和性等を向上させるために、金属化合物や珪素化合物が含有されていてもよい。金属化合物とは、例えば、アルミニウム化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、イットリウム化合物等が挙げられ、特にこれらの金属化合物の酸化物が好ましく、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムが特に好ましい。また、珪素化合物も同様に酸化珪素化合物が好ましい。
有機粒子は耐熱性の観点から架橋タイプであることが好ましい。架橋性の化合物として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、特に、強度に優れるという観点からジビニルベンゼンが好ましい。
有機粒子として最も好ましい形態は、架橋性の有機粒子であり、例えば、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体のような、スチレンあるいは(メタ)アクリレートとジビニルベンゼンの共重合体であり、分散剤として、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムを含有するものである。
ポリエステルフィルムに粒子を含有させる場合、滑り性を落とさず、透明性を確保するという観点から、3層以上の構成であることが好ましく、さらに製造の容易性を考慮し、3層構成であることがより好ましく、粒子を最表面の層に含有する構成が最適である。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、粒子を含有する層の厚みにも依存するが、好ましくは3.0μm以下、より好ましくは0.01〜2.5μm、さらに好ましくは0.02〜2.0μm、特に好ましくは0.03〜0.5μmの範囲である。上記の範囲にすることで、例えば、プラスチックシート成型用に使用した場合、フィルム表面形状の転写による凹凸が少ないシートを得ることができる。
粒子の含有量は粒子の平均粒径に依存する。粒子の平均粒径が1.0μmより大きい場合、粒子を含有するポリエステルフィルムの層において、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは50〜1000ppm、さらに好ましくは100〜200ppmの範囲である。また粒子の平均粒径が1.0μm以下の場合、粒子を含有するポリエステルフィルムの層において、好ましくは8000ppm以下、より好ましくは100〜5000ppm以下、さらに好ましくは300〜4000ppm以下である。上記の範囲にすることで、取り扱い性に優れ、凹凸の少ないフィルムにすることができる。
粒子を含有するポリエステルフィルム層の厚みは、粒子の平均粒径や含有量にも依存するが、好ましくは0.5〜125μm、より好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmの範囲である。上記の範囲にすることで、粒子の脱落を防ぎ、平滑なフィルムにすることができる。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのがよい。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、機械的強度、ハンドリング性及び生産性などの点から、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜125μmの範囲がよい。
本発明のフィルムの製膜方法としては、通常知られている製膜法を採用でき、特に制限はない。例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムを製造する場合、まず先に述べたポリエステル原料を、押出機を用いて、ダイから溶融押し出しし、溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法や液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に、通常70〜170℃で、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍で延伸する。引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る方法が挙げられる。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においては積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成されるものである。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に塗布層を設けることにより、塗布層を基材フィルムと共に延伸することができ、それにより塗布層を基材フィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、塗布層の造膜性が向上し、塗布層と基材フィルムをより強固に密着させることができ、さらには、強固な塗布層とすることができ、塗布層の性能や耐久性を向上させることができる。
本発明においては、離型剤およびイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを必須の要件とするものである。
本発明における塗布層は、例えば成形同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線板の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中で用いられる工程用フィルムとして好適な離型性能を向上させるために設けられるものである。
本発明のフィルムの塗布層の形成に使用する離型剤は、フィルムの離型性を向上させるために用いるもので、特に制限はなく、従来公知の離型剤を使用することが可能であり、例えば、長鎖アルキル化合物、ワックス、フッ素化合物、シリコーン化合物等が挙げられる。これらの中でも汚染性が少なく、離型性に優れるという点から長鎖アルキル化合物が好ましい。これらの離型剤は単独で用いてもよいし、複数種使用してもよい。
長鎖アルキル化合物とは、炭素数が通常6以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オクタデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。アルキル基を有する化合物とは、例えば、各種の長鎖アルキル基含有高分子化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有四級アンモニウム塩等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。また、効果的に離型性を得られるという観点から、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物であることがより好ましい。
長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物とは、反応性基を有する高分子と、当該反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。上記反応性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物等が挙げられる。
これらの反応性基を有する化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、反応性基含有ポリエステル樹脂、反応性基含有ポリ(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮するとポリビニルアルコールであることが好ましい。
上記の反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とは、例えば、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネート等の長鎖アルキル基含有イソシアネート、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、デシルクロライド、ラウリルクロライド、オクタデシルクロライド、ベヘニルクロライド等の長鎖アルキル基含有酸クロライド、長鎖アルキル基含有アミン、長鎖アルキル基含有アルコール等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮すると長鎖アルキル基含有イソシアネートが好ましく、オクタデシルイソシアネートが特に好ましい。
また、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合物や長鎖アルキル(メタ)アクリレートと他のビニル基含有モノマーとの共重合によって得ることもできる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートとは、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ワックスとは、天然ワックス、合成ワックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワックスである。天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスである。植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油が挙げられる。動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウが挙げられる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシンが挙げられる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムが挙げられる。合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトンが挙げられる。合成炭化水素としては、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾワールワックス)、ポリエチレンワックスが有名であるが、このほかに低分子量の高分子(具体的には粘度数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマーも含まれる。すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体がある。変性ワックスとしてはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体が挙げられる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体が挙げられる。
フッ素化合物としては、化合物中にフッ素原子を含有している化合物である。インラインコーティングによる塗布外観の点で有機系フッ素化合物が好適に用いられ、例えば、パーフルオロアルキル基含有化合物、フッ素原子を含有するオレフィン化合物の重合体、フルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物等が挙げられる。離型性の観点からパーフルオロアルキル基を有する化合物であることが好ましい。さらにフッ素化合物には後述するような長鎖アルキル化合物を含有している化合物も使用することができる。
パーフルオロアルキル基を有する化合物とは、例えば、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロアルキルプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロアルキル−1−メチルプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロアルキル−2−プロペニル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートやその重合物、パーフルオロアルキルメチルビニルエーテル、2−パーフルオロアルキルエチルビニルエーテル、3−パーフルオロプロピルビニルエーテル、3−パーフルオロアルキル−1−メチルプロピルビニルエーテル、3−パーフルオロアルキル−2−プロペニルビニルエーテル等のパーフルオロアルキル基含有ビニルエーテルやその重合物などが挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると重合物であることが好ましい。重合物は単一化合物のみでも複数化合物の重合物でもよい。また、離型性の観点からパーフルオロアルキル基は炭素原子数が3〜11であることが好ましい。さらに後述するような長鎖アルキル化合物を含有している化合物との重合物であってもよい。また、基材との密着性の観点から、塩化ビニルとの重合物であることがより好ましい。
シリコーン化合物とは、分子内にシリコーン構造を有する化合物のことであり、シリコーンエマルション、アクリルグラフトシリコーン、シリコーングラフトアクリル、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮し、硬化型シリコーン樹脂を含有することが好ましい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型、縮合型、紫外線硬化型、電子線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
塗布層の形成に使用するイソシアネート系化合物とは、イソシアネート、あるいは前駆体であるイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤で保護した構造を有するブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えば、脂肪族系イソシアネート化合物、脂環族系イソシアネート化合物、芳香族系イソシアネート化合物等が挙げられる。これらイソシアネート化合物はより高度に反応が可能で離型層の耐熱性を向上できるという観点において、複数個のイソシアネート基を有する化合物、すなわちポリイソシアネート化合物であることがより好ましい。また、水系の塗布液を使用する場合は、ブロックイソシアネートであることがより好ましい。
脂肪族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート化合物、リジントリイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)2−イソシアナトグルタレート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。その中でも工業的入手のしやすさからヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
脂環族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。その中でも、耐候性、工業的入手の容易さから、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
芳香族系ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、あるいはこれらイソシアネート化合物から誘導される化合物等を挙げることができる。
これらのポリイソシアネート化合物の中でも、脂肪族系ポリイソシアネート化合物および脂環族系ポリイソシアネート化合物が耐候性に優れるため、好ましい。さらに、脂肪族系ポリイソシアネート化合物の中では、脂肪族系ジイソシアネートから誘導される脂肪族系ポリイソシアネート化合物が好ましい。その中でも、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。また、これらイソシアネート化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
ブロックポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ブロック剤と反応させて合成することができる。
ブロック剤としては、例えば、活性メチレン系、オキシム系、ピラゾール系、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、アミン系、イミン系、重亜硫酸塩ブロック剤等が挙げられる。これらの中でも、特に加熱後の剥離特性が変化しにくいという観点から、活性メチレン系ブロック剤であることが好ましい。また、これらのブロック剤は2種以上を併用してもよい。
活性メチレン系ブロック剤としては、例えば、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ブタノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステル、n−ヘキサノイル酢酸エステル、2−エチルヘプタノイル酢酸エステル、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン等を挙げることができる。その中でも、低温硬化性および水存在下の貯蔵安定性に優れるという点で、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ブタノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステル、n−ヘキサノイル酢酸エステル、2−エチルヘプタノイル酢酸エステルが好ましく、より好ましくは、イソブタノイル酢酸エステル、n−プロパノイル酢酸エステル、n−ペンタノイル酢酸エステルであり、さらに好ましくは、イソブタノイル酢酸エステルである。より具体的には、イソブタノイル酢酸エステルとしては、例えば、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチル、イソブタノイル酢酸n−プロピル、イソブタノイル酢酸イソプロピル、イソブタノイル酢酸n−ブチル、イソブタノイル酢酸イソブチル、イソブタノイル酢酸t−ブチル、イソブタノイル酢酸n−ペンチル、イソブタノイル酢酸n−ヘキシル、イソブタノイル酢酸2−エチルヘキシル、イソブタノイル酢酸フェニル、イソブタノイル酢酸ベンジル等が挙げられる。その中でも、イソブタノイル酢酸メチル、イソブタノイル酢酸エチルが好ましい。n−プロパノイル酢酸エステルとしては、例えば、n−プロパノイル酢酸メチル、n−プロパノイル酢酸エチル、n−プロパノイル酢酸イソプロピル、n−プロパノイル酢酸n−ブチル、n−プロパノイル酢酸t−ブチル等が挙げられる。その中でも、n−プロパノイル酢酸メチル、n−プロパノイル酢酸エチルが好ましい。n−ペンタノイル酢酸エステルとしては、例えば、n−ペンタノイル酢酸メチル、n−ペンタノイル酢酸エチル、n−ペンタノイル酢酸イソプロピル、n−ペンタノイル酢酸n−ブチル、n−ペンタノイル酢酸t−ブチル等が挙げられる。その中でも、n−ペンタノイル酢酸メチル、n−ペンタノイル酢酸エチルが好ましい。
本発明のフィルムで用いる活性メチレンブロックイソシアネート化合物においては、上記に示した活性メチレン系ブロック剤を単独で用いることもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。併用する活性メチレン系ブロック剤としては、低温硬化性に優れ、形成した離型層の耐熱性に優れるという点で、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルが好ましい。
オキシム系ブロック剤としては、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。ピラゾール系ブロック剤としては、例えば、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。アルコール系ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等が挙げられる。アルキルフェノール系ブロック剤としては、例えば、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類、ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類等が挙げられる。フェノール系ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。メルカプタン系ブロック剤としては、例えば、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。酸アミド系ブロック剤としては、例えば、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等が挙げられる。酸イミド系ブロック剤としては、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。イミダゾール系ブロック剤としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。尿素系ブロック剤としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。アミン系ブロック剤としては、例えば、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジーn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン等が挙げられる。イミン系ブロック剤としては、例えば、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
本発明のフィルムで用いるブロックイソシアネート化合物は、水系塗料における配合性を高めるため、親水性部位を含有することが好ましく、ブロックイソシアネート系化合物に親水部位を付加する方法としては、例えば、前駆体であるイソシアネート化合物のイソシアネート基と活性水素を有する親水性化合物を反応させる方法が挙げられる。
本発明のフィルムで用いるブロックイソシアネート化合物に使用される活性水素を有する親水性化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール系化合物、カルボン酸含有化合物、スルホン酸含有化合物、アミン含有化合物等が挙げられる。これらの親水性化合物は、単独で用いてもいいし、2種以上を併用して用いてもよい。
ポリエチレングリコール系化合物としては、例えば、モノアルコキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンコポリマージオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックポリマージオール等が挙げられ、その中でも、特にモノメトキシポリエチレングリコール、モノエトキシポリエチレングリコール等のモノアルコキシポリエチレングリコールが好ましい。
カルボン酸基含有化合物としては、モノヒドロキシカルボン酸あるいはジヒドロキシカルボン酸あるいはそれらの誘導体等が挙げられる。カルボン酸基含有化合物の中では、モノヒドロキシカルボン酸あるいはジヒドロキシカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは、モノヒドロキシカルボン酸である。
カルボン酸含有化合物の具体例としては、例えば、ヒドロキシピバリン酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸あるいは、これらを開始剤としたポリカプロラクトンジオールやポリエーテルポリオール等の誘導体、およびそれらの塩が挙げられる。
スルホン酸基含有化合物としては、アミノエチルスルホン酸、エチレンジアミノ−プロピル−β−エチルスルホン酸、1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、およびそれらの塩が挙げられる。
アミン含有化合物としては、水酸基含有アミノ化合物が挙げられる。具体的には、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。
なお、本発明に用いるブロックイソシアネート化合物は、乾燥過程や、製膜過程において、反応させて塗布層の性能を向上させる設計で用いている。できあがった塗布層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
本発明のフィルムの塗布層の形成には、塗布外観や透明性の向上、離型性のコントロールために、各種のポリマーや架橋剤を併用することが可能である。
ポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらの中でも離型性のコントロールがしやすいという点において、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂がより好ましい。
ポリエステル樹脂とは、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸および、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、p−キシリレングリコ−ル、ビスフェノ−ルA−エチレングリコ−ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ−ル、ジメチロ−ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジメチロ−ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ−ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
アクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体、いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。また、密着性をより向上させるために、ヒドロキシル基、アミノ基を含有することも可能である。
上記重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことである。通常ウレタン樹脂はポリオールとイソシアネートの反応により作成される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらの反応から得られるポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるものが挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用してもよく、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1 ,8−オクタンジアミン、1 ,9−ノナンジアミン、1 ,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1 ,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
本発明におけるウレタン樹脂は、溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ウレタン樹脂を水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ウレタン樹脂の構造中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる塗布層の耐水性、透明性に優れており好ましい。また、導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等、種々のものが挙げられるが、カルボキシル基が好ましい。ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。例えば、ウレタン樹脂の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。またこのカルボキシル基はアンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましい。特に好ましいものは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。かかるポリウレタン樹脂は、塗布後の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を、他の架橋剤による架橋反応点として用いることができる。これにより、塗布前の液の状態での安定性に優れる上、得られる塗布層の耐久性、耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性等をさらに改善することが可能となる。
架橋剤の具体例としては、メラミン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。これらの中でも特に塗膜強度が向上するという観点において、メラミン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン化合物が好ましく、メラミン化合物が特に好ましい。
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
また、本発明の主旨を損なわない範囲において、本発明のフィルムの塗布層の形成に、塗布層のブロッキング性や滑り性改良等を目的として粒子を併用することも可能である。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層の形成には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、離型剤は、通常5〜97重量%の範囲、好ましくは15〜90重量%の範囲、さらに好ましくは25〜80重量%の範囲である。5重量%より少ない場合は十分な離型性能が得られない可能性があり、97重量%よりも多い場合は他の成分が少ないため十分な耐熱性が得られない可能性がある。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層を形成する塗布液中の全不揮発成分に対する割合として、イソシアネート系化合物は、通常3〜95重量%の範囲、好ましくは10〜85重量%の範囲、さらに好ましくは20〜75重量%の範囲である。上記範囲を外れる場合は、加熱後の離型性能が十分に得られない可能性がある。
塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS、ESCA、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、好ましくは0.003〜1μm、より好ましくは0.005〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.2μmの範囲である。膜厚が1μmを超える場合は、外観や透明性が悪化する可能性があり、膜厚が0.005μm未満の場合は十分な離型性が得られない可能性がある。
本発明の塗布層を形成する方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜270℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明のポリエステルフィルムの粘着テープに対する加熱前の剥離力としては、好ましくは2000mN/cm以下であり、より好ましくは1500mN/cm以下、さらに好ましくは1000mN/cm以下である。上記範囲とすることで、剥離作業が容易となる。
本発明のポリエステルフィルムの粘着テープに対する加熱後の剥離力は、加熱前の剥離力の値にもよるが、好ましくは2500mN/cm以下、より好ましくは2000mN/cm以下、さらに好ましくは1500mN/cm以下である。上記範囲にすることで、離型層の上にくる材料を加熱加工後にも上手く剥離することが可能となる。
本発明において、塗布層の剥離力は加熱前後で変化が少ないことが好ましい。通常、加熱により剥離力は上昇する傾向にあり、その上昇が小さい方が、加熱前の剥離特性から、加熱後の剥離特性を予想することが容易となり、剥離作業の方法を加熱前と同等に調整することが可能となる。加熱前後の剥離力を比較し、加熱剥離力差=(加熱後の剥離力−加熱前の剥離力)の値が2000mN/cm以下であることが好ましく、1600mN/cm以下であることがより好ましく、1200mN/cm以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを用いて、転写にて作られたプラスチックシートなどの表面は、中心線平均粗さRaが8nm以下であることが好ましく、6nm以下であることがより好ましく、4nm以下であることがさらに好ましく、3nm以下であることが特に好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定方法
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50)の測定
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。
(3)塗布層の膜厚測定方法
塗布層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuOで染色し、塗布層断面をTEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 H−7650、加速電圧100V)を用いて測定した。
(4)フィルム表面の中心線平均粗さ(Ra)
表面粗さ測定機(株式会社小坂研究所社製 SE−3F)を用いて、JIS B0601−1994に準じて、測定長2.5mmで測定した。
(5)離型フィルムの加熱前剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」)を2kgゴムローラーにて1往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(6)離型フィルムの加熱後剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」)を2kgゴムローラーにて1往復圧着した後、100℃のオーブン内にて1hr加熱した。その後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(7)転写製品の平滑性評価方法
積層ポリエステルフィルムの塗布層面にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート85質量部、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート15質量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)5質量部の混合塗液を塗布し、別の積層ポリエステルフィルムの塗布層面で上から圧着し、紫外線を照射して硬化させた。その後、上下のポリエステルフィルムを剥がし、得られたハードコートシートの表面のRaを測定した。なお、フィルムの剥離特性が不十分で、シートを剥がせなかった場合は測定を実施していない。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、エチルアシッドフォスフェートを生成ポリエステルに対して30ppm、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して100ppmを窒素雰囲気下、260℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、テトラブチルチタネートを生成ポリエステルに対して50ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.3kPaまで減圧し、さらに80分、溶融重縮合させ、極限粘度0.63のポリエステル(A)を得た。
<ポリエステル(B)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して900ppmを窒素雰囲気下、225℃でエステル化反応をさせた。引き続いて、正リン酸を生成ポリエステルに対して3500ppm、二酸化ゲルマニウムを生成ポリエステルに対して70ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.4kPaまで減圧し、さらに85分、溶融重縮合させ、極限粘度0.64のポリエステル(B)を得た。
<ポリエステル(C)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に粒子Xを生成ポリエステルに対して0.5重量%添加する以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。
<ポリエステル(D)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に粒子Yを生成ポリエステルに対して1.0重量%添加する以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。
<ポリエステル(E)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に粒子Zを生成ポリエステルに対して1.5重量%添加する以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(E)を得た。
<ポリエステル(F)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、溶融重合前に粒子Wを生成ポリエステルに対して0.5重量%添加する以外はポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(F)を得た。
ポリエステルフィルムに含有する粒子例は以下のとおりである。
・粒子X:スチレンとジビニルベンゼンの共重合体で、酸化アルミニウムを含有する平均粒径1.4μmの有機粒子。
・粒子Y:平均粒径1.0μmの炭酸カルシウム粒子。
・粒子Z:平均粒径0.05μmの酸化アルミニウム粒子。
・粒子W:平均粒径3.2μmのシリカ粒子。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・離型剤(長鎖アルキル化合物):(I)
4つ口フラスコにキシレン200部、オクタデシルイソシアネート600部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して得た。
・活性メチレンブロックポリイソシアネート:(II)
下記方法で合成したブロックポリイソシアネート
ヘキサメチレンジイソシアネート1000部を60℃で攪拌し、触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエート0.1部を加えた。4時間後、リン酸0.2部を添加して反応を停止させ、イソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物を得た。得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネート組成物100部、数平均分子量400のメトキシポリエチレングリコール42.3部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.5部を仕込み、80℃で7時間保持した。その後反応液温度を60℃に保持し、イソブタノイル酢酸メチル35.8部、マロン酸ジエチル32.2部、ナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液0.88部を添加し、4時間保持した。n−ブタノール58.9部を添加し、反応液温度80℃で2時間保持し、その後、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート0.86部を添加して得られたブロックポリイソシアネート
・ポリエステル樹脂:(IIIA)
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
・アクリル樹脂:(IIIB)下記組成で重合したアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
・ウレタン樹脂:(IIIC)
イソホロンジイソシアネートユニット/テレフタル酸ユニット/イソフタル酸ユニット/エチレングリコールユニット/ジエチレングリコールユニット/ジメチロールプロパン酸ユニット=12/19/18/21/25/5(mol%)から形成されるカルボン酸水分散型ポリエステル系ウレタン樹脂
・ヘキサメトキシメチロールメラミン:(IVA)
・エポキシ化合物:(IVB)ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
実施例1:
ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ92%、5%、3%の割合で混合した混合原料(粒子含有量150ppm)を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ95%、5%の割合で配合した混合原料を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:35:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、テンターに導き、横方向に110℃で4.3倍延伸し、235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、膜厚(乾燥後)が0.03μmの離型層を有する厚さ50μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムを評価したところ、平滑で、加熱前と加熱後の離型性も良好で、加熱による剥離力の変化も小さいものであった。また、得られたポリエステルフィルムを用いて作成したハードコートシートを評価した所、平滑なサンプルが得られた。このフィルムの特性を下記表3に示す。
実施例2〜26:
実施例1において、表層のポリエステルフィルム層に含有する粒子の量と厚さを表1に示すフィルム条件に変更し、塗布剤組成を表2に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表3に示すとおり、離型性や平滑性が良好であった。
比較例1:
実施例1において、塗布層を設けないこと以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すとおりであり、離型性が劣るものであった。
比較例2〜6:
実施例1において、表層のポリエステルフィルム層に含有する粒子の量と厚さを表1に示すフィルム条件に変更し、塗布剤組成を表2に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すとおりであり、加熱前や加熱後の離型性が劣るものや、加熱による剥離力の変化が大きいもの、平滑性が劣り、得られたハードコートシートの平滑性が劣るものであった。
Figure 0005959554
Figure 0005959554
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本発明の離型フィルムは、例えば、成形同時転写等の転写用、フレキシブルプリント配線板の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中で用いられる工程用フィルムとして、特に平滑性や耐熱性を要求される用途において好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、離型剤およびブロックイソシアネート系化合物を含有する塗布液から形成された塗布層を有し、当該塗布層表面の中心平均粗さ(Ra)が8nm以下であり、当該塗布層の粘着テープに対する加熱前の剥離力が2000mN/cm以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
  2. 塗布層の粘着テープに対する加熱後の剥離力が2500mN/cm以下である請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム
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