JP2008143106A - 反射防止層転写用積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 離型性がある塗布層を有し、かつ転写後の反射防止積層体表面の凹凸が少ない、LCD、PDP、有機EL等の表示画面上に設けられる転写用反射防止フィルムに用いられるベースフィルムとして好適な転写性反射防止用積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型剤を含有する塗布層を有し、当該塗布層を有するいずれかの表面の中心線平均粗さ(Ra)が50nm以下であることを特徴とする反射防止層転写用積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型剤を含有する塗布層を有し、当該塗布層を有するいずれかの表面の中心線平均粗さ(Ra)が50nm以下であることを特徴とする反射防止層転写用積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、反射防止層転写用積層ポリエステルフィルムに関するものであり、例えば、液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する)、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)等の表示画面上に設けられる転写用反射防止フィルムに用いられるベースフィルムとして好適な積層ポリエステルフィルムに関するものである。
近年、各種ディスプレイの表面に、反射防止層を設け、画像への映り込みを防止する方法が採用されているが、かかる反射防止層を転写により形成する方法が提案されている。かかる工程は、以下のように実施される。すなわちベースフィルムの上に離型層を積層し、反射防止層、ハードコート層、接着層が積層された転写性の反射防止積層体(反射防止層、ハードコート層、接着層、その他の機能性層等を離型層に積層した一連の反射防止能を有する積層体)(特許文献1〜3)を、被転写物に加熱転写し、ベースフィルムを離型層と共に剥離することにより被転写物に反射防止能を付与する。
しかし、転写の際にかかる熱や圧力により離型層と反射防止積層体との間の離型性が悪くなり、スムーズにベースフィルムが剥がせなかったり、剥離の際に反射防止層にクラックが発生したり、離型層が反射防止積層体の方に転着して反射防止積層体を汚染したりするという問題があった。一般的に、転写時の温度を高くすることにより、反射防止積層体に設けた接着成分が被転写物の表面に浸透し易くなり、接着性が向上するので好ましい状態になるが、同時に離型層の成分が反射防止積層体の表面に浸透してしまう。これは反射防止積層体との接着性を高める、すなわち離型性を劣化させる方向にも働いており、それを防ぐにはより耐熱性の良好な離型層が必要とされていた。また、反射防止層を真空蒸着法やスパッタリング法等の物理的蒸着法で形成した場合には、蒸着時の蒸着材料の持つ高いエネルギーのため離型層と反射防止層間の密着がより強くなるため剥離しにくいものとなることも知られている(特許文献3第4頁段落0018)。
これらの課題を解決するために、離型層と反射防止層との間に防汚性、耐擦傷性を有し離型性も有する機能性層を形成させる方法が提案されているが、機能性層の厚さによっては離型性が低下してしまう場合がある(特許文献3第4頁段落0017)。
また、反射防止積層体の加熱、加圧による転写のため、ベースフィルムの表面形状が反射防止積層体に転写し、転写後の反射防止積層体の最表面に凹凸を形成してしまう。当該凹凸が大きいと、光の散乱や異物の蓄積等により得られる反射防止フィルムが視認性の点で劣るようになるため、転写用ベースフィルムの表面を平坦にする必要がある。
特開平8−248404号公報
国際公開 WO01/092006 パンフレット
特許第3615171号公報
特開2006−48026号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、離型性がある塗布層を有し、かつ転写後の反射防止積層体表面の凹凸が少ない、転写用反射防止フィルムに用いられるベースフィルムとして好適な積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる積層ポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型剤を含有する塗布層を有し、当該塗布層を有するいずれかの表面の中心線平均粗さ(Ra)が50nm以下であることを特徴とする反射防止層転写用積層ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明のフィルムは、離型剤を含有する塗布層を少なくとも片面に有するが、当該塗布層表面のRaは50nm以下であり、好ましくは30nm以下、より好ましくは15nm以下である。かかる表面のRaが50nmを超える場合は、フィルム表面の表面形状が反射防止積層体に転写することにより起こる、転写後の反射防止積層体の最表面の凹凸が大きくなり、光の散乱や異物の蓄積等により視認性が十分でない反射防止層になってしまう可能性がある。また、Raの値の下限は特に限定されないが、製膜安定性や製膜後のスリット性や加工時のフィルム搬送性などの点から1nm以上が好ましい。なお、フィルムの両面に離型剤を含有する塗布層を有する場合、いずれかの塗布層表面が上記の条件を満足すればよい。
本発明のフィルム中には、易滑性付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、フッ化カルシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アンチモンおよび硫化モリブデン等の無機粒子、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン樹脂およびベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜2μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、転写後の反射防止積層体の表面に大きな凹凸ができてしまう場合がある。
さらにポリエステル中の粒子含有量は粒子の種類や平均粒径にもよるが、フィルムを構成する全ポリエステルに対して通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%、より好ましくは0.005〜1重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明においては、ポリエステルフィルムの構成を多層構成とすれば、転写面と非転写面で異なるポリエステル処方をとることができ、フィルムの表面設計上好ましい様態となる場合もある。例えば、転写面側のポリエステル層の粗度を低くして転写による凹凸が少なくなるような平坦な設計にし、反対面側のポリエステル層の粗度を上げてフィルムに滑り性を出して取り扱いを容易にするような構成も可能である。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜300μm、好ましくは25〜100μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においては積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
次に本発明における反射防止層転写用積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆるインラインコーティングにより設けられたものでもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。インラインコーティングにより塗布層を形成する場合は、フィルムの製造と共に塗布層を形成することができるため、工程の減少による安価化が可能となる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。その場合、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができ、離型性能を調節できるという利点がある。また塗布層を200℃以上で処理することが可能となり、耐熱性に優れた積層ポリエステルフィルムを作ることが可能である。すなわち、反射防止積層体を被転写物に転写するときにかかる熱で塗布層が壊れるのを防ぎ、剥離力の劣化を抑えることができる。つまり反射防止積層体の転写において、ベースフィルムの剥離工程が容易に行え、かつ反射防止積層体を塗布層の成分で汚染することを防ぐことが可能となる。一方、オフラインコーティングの場合、製膜設備とは異なる設備で塗布するため、乾燥機は製膜設備で使用する乾燥機と比べて小さいもので対応可能である。そのため、防爆設備や硬化設備等の備え付けが低コストで行え、溶剤系塗布剤も難なく使用でき、塗布可能な化合物の範囲は非常に幅広く、目的に合う塗布剤を選択することが可能である。オフラインコーティングの場合、200℃以上の熱処理を行うと、しわ等の不具合が発生し、使用できないものになってしまうが、材料の選択の幅が広いため、例えば、熱処理温度が低くても耐熱性、離型性、塗布性に優れた材料を選ぶことができる。
本発明のフィルムの塗布層には、離型剤を含有することを必須とするものである。
本発明における離型剤とは、例えば、フッ素化合物、長鎖アルキル化合物、ワックスおよびシリコーンである。これらの離型剤は単独で用いてもよいし、複数使用してもよい。
本発明で使用することのできるフッ素化合物としては、化合物中にフッ素原子を含有している化合物が好ましい。塗布面状の点で有機系フッ素化合物が好適に用いられ、例えば、パーフルオロアルキル基含有化合物、フッ素原子を含有するオレフィン化合物の重合体、フルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物等が挙げられる。転写時による耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。
本発明における長鎖アルキル化合物とは、炭素数が6以上、特に好ましくは8以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。具体例としては、特に限定されるものではないが、長鎖アルキル基含有ポリビニル樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル樹脂、長鎖アルキル基含有ポリエステル樹脂、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有四級アンモニウム塩等が挙げられる。転写時による耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。
本発明におけるワックスとは、天然ワックス、合成ワックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワックスである。天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスである。植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油が挙げられる。動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウが挙げられる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシンが挙げられる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムが挙げられる。合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトンが挙げられる。合成炭化水素としては、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾワールワックス)、ポリエチレンワックスが有名であるが、このほかに低分子量の高分子(具体的には粘度数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマーも含まれる。すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体がある。変性ワックスとしてはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体が挙げられる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体が挙げられる。
本発明におけるシリコーンとは分子内にシリコーン構造を有する化合物のことであり、シリコーンエマルション、アクリルグラフトシリコーン、シリコーングラフトアクリル、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。転写時による耐熱性、汚染性を考慮し、硬化型シリコーン樹脂を含有することが好ましい。
本発明の塗布層には転写における加熱、加圧に耐えられる塗布層とするために、熱硬化性を有する化合物を用いることが好ましい。熱硬化性を有する化合物としては、種々公知の樹脂が使用できるが、例えば、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。加熱転写時の耐熱性に優れて離型性が低下しないという点において、メラミン化合物がより好ましい。
本発明におけるメラミン化合物としては、アルキロールまたはアルコキシアルキロール化したメラミン系化合物であるメトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン等が例示され、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できる。
本発明におけるエポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基を含む化合物、そのプレポリマーおよび硬化物が挙げられる。代表的な例は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの縮合物である。特に、低分子ポリオールのエピクロロヒドリンとの反応物は、水溶性に優れたエポキシ樹脂を与える。
本発明におけるオキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン環を持つ化合物であり、オキサゾリン環を有するモノマーや、オキサゾリン化合物を原料モノマーの1つとして合成されるポリマーも含まれる。
本発明におけるイソシアネート化合物としては、分子中にイソシアネート基を持つ化合物を指し、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートや、これらの重合体、誘導体等が挙げられる。
これらの熱硬化性を有する化合物は、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。また熱硬化を促進させるために触媒と共に用いることも可能である。さらにインラインコーティングへの適用等を配慮した場合、水溶性または水分散性を有することが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルフィルムと塗布層との密着性をより向上させたり、塗布層の面状を良化させたりするためにバインダーポリマーを使用することも可能である。
本発明において使用する「バインダーポリマー」とは、高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
バインダーポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、セルロース類、でんぷん類等が挙げられる。
また、塗布層の固着性、滑り性改良を目的として、不活性粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、有機粒子等が挙げられる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層中の離型剤の総含有量に関しては、塗布層全体の重量比で通常5〜95%の範囲、より好ましくは10〜70%の範囲である。5%未満の場合、離型性が低下して反射防止積層体とポリエステルフィルムとの剥離がうまくいかなかったり、反射防止層にクラックが入ったりする場合がある。一方、95%を越える場合、十分な塗布性を確保できず反射防止積層体がうまく積層できない場合がある。
本発明における積層ポリエステルフィルムを積層する塗布層中の熱硬化性を有する化合物の含有量に関しては、塗布層全体の重量比で通常5〜95%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜70%の範囲である。5%未満の場合、耐熱性が低下して転写の際の加熱により塗布層が変化し、塗布層と反射防止層の離型性が低下し、剥離がうまくいかなかったり、反射防止層にクラックが入ったりする場合がある。
さらに、インラインコーティングの場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度を0.1〜50重量%とした塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の塗布量(乾燥後)に制限はないが、通常0.001〜1g/m2、好ましくは0.005〜0.5g/m2の範囲である。塗布量が0.001g/m2未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、他方、1g/m2を超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
本発明における塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの片面のみに積層してもよいし、転写時における反射防止積層体とは反対側に加熱圧着体を利用する場合、当該加熱圧着体との離型性をよくするために両面に積層してもよい。また、ポリエステルフィルムの反射防止積層体とは反対側の面は、塵埃付着性を防止するために帯電防止性のある層を積層してもよい。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては、「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではないが、転写の際の加熱に耐えられる塗布層にするためには、通常、200℃以上で3秒間以上を目安として熱処理を行うのが良い。
また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。ポリエステルフィルムの熱収縮率を小さくするために熱処理温度を高くすることが有効である。さらに、本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
塗布層が積層されたポリエステルフィルムの長手方向の熱収縮率は180℃―5分の条件下で5%以下であることが好ましい。長手方向の熱収縮率が上記条件で5%を超える場合は、反射防止積層体の加熱転写時において、シワ等が発生し、ポリエステルフィルムが剥がしにくくなる場合や、ポリエステルフィルムを剥離したときの反射防止積層体の表面状態を悪化させてしまう場合がある。
本発明のフィルムの塗布層の上に形成される反射防止積層体は、反射防止能が付与されていればよく、一般的には反射防止層、ハードコート層、接着層の順に積層されたものであり、塗布層と反射防止層の間に防汚性や耐擦傷性を有する層を設けたり、ハードコート層に接着性の化合物を含有させる、あるいはハードコート性のある接着剤を使用することによりハードコート層と接着層を1層にしたり、反射防止層にハードコート性のあるものを使用したりしても良い。
前記の反射防止層は、反射防止性を有するもので、塗布層上に低屈折率層だけの単層構成、低屈折率層および高屈折率層からなる2層構成、あるいは低屈折率層と高屈折率層を組み合わせた3層以上の構成のものでもよい。
反射防止層中の低屈折率層に用いられる材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ケイ素、アルコキシシラン等のケイ素化合物、アクリル系化合物、フッ素原子含有化合物等が挙げられる。
反射防止層中の高屈折率層に用いられる材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化インジウムスズ等の金属酸化物、チタンキレート、ジルコニウムキレート等の金属元素を含有する有機化合物、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格等の共役系が多数存在するものや、硫黄等を含有させた高屈折率な有機化合物等が挙げられる。
反射防止層に用いられる各層の厚みは、反射防止積層体の構成、反射防止層各層の屈折率により異なるが、一般的には0.05〜0.2μmの範囲であることが好ましい。
反射防止層を設ける方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法等のドライコーティング法や、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート、スピンコート、スプレーコート法等のウェットコーティング法が挙げられる。
前記のハードコート層に用いられる材料としては、実用上問題のない程度のハードコート性があれば特に限定されるものではなく、例えば、メラミン化合物、シリコーン化合物等の熱硬化性化合物や、アクリル化合物、シリコーン化合物等の紫外線硬化性化合物等が挙げられる。
ハードコート層に接着性を持たせるために、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂等で加熱溶融可能な樹脂を含有させてもよいし、紫外線硬化性接着剤を使用することも可能である。
ハードコート層を設ける方法は、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート、スピンコート、スプレーコート法等、従来公知の方法を用いることができる。
前記の接着層に用いられる材料としては、接着性に問題なければ特に限定されるものではなく、アクリル化合物、ポリエステル化合物、エポキシ化合物等、従来公知のものを使用することができる。
接着層を設ける方法は、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート、スピンコート、スプレーコート法等、従来公知の方法を用いることができる。
また、反射防止積層体に転写したとき最表面、すなわち、塗布層と反射防止層の間に防汚性や耐擦傷性を有する層を設けても良い。材料としては、例えばアルコキシシラン、フッ素原子含有化合物、アクリル化合物等が挙げられる。
前記により形成された反射防止積層体を転写する被転写物としては、特に限定されるものではない。プラスチック類やガラス等で形成されたLCD、PDP、有機EL等の各種ディスプレイの表示画面上等、反射防止能を必要とするものに好適に用いられる。
前記により形成された反射防止積層体を支持体であるポリエステルフィルムと反対側から被転写物に密着させた状態で、ポリエステルフィルム側または被転写物側から加熱・加圧することにより、被転写物上に反射防止積層体を接着させて、その後ポリエステルフィルムを塗布層と共に剥離することにより、被転写物に反射防止能を付与することができる。
転写時の加熱条件は被転写物や反射防止積層体の構成により適宜選択することが好ましいが、例えば、シリコーンゴムやステンレス鋼板を用いて、40〜250℃程度の温度で行うことができる。
本発明の反射防止層転写用積層ポリエステルフィルムによれば、離型性および耐熱性のある塗布層を有しているので、転写の際の離型性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)中心線平均粗さ(Ra)の測定
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表したとき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表す。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表したとき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表す。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
(4)熱収縮率(%)
フィルムを長手方向に幅15mm長さ150mmに切り出し、100mm間隔にマーキングし、無張力状態で180℃の熱風循環式オーブン内で5分間熱処理した。熱処理前のマーキング間隔:a、熱処理後のマーキング間隔:bを測定し、下記式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(a−b)×100/a
フィルムを長手方向に幅15mm長さ150mmに切り出し、100mm間隔にマーキングし、無張力状態で180℃の熱風循環式オーブン内で5分間熱処理した。熱処理前のマーキング間隔:a、熱処理後のマーキング間隔:bを測定し、下記式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(a−b)×100/a
(5)転写におけるポリエステルフィルムの離型性の評価方法
積層ポリエステルフィルムの塗布層側(塗布層が無い場合は片面上)にγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランにより修飾されたコロイダルシリカ90重量部、ジペンタヘキサアクリレート10重量部、紫外線重合開始剤2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン5重量部に、イソプロピルアルコール2000重量部を加えたものからなる液を塗布し、乾燥後、紫外線照射により硬化し、約0.10μm厚の低屈折率層を形成した。さらにその上に平均粒子径が約50nmの酸化インジウムスズ超微粒子90重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重量部、紫外線重合開始剤2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン3重量部からなる固形分を含むイソブチルアルコール、ジアセトンアルコール、エタノール混合溶媒分散液(固形分35重量%)60重量部に、イソプロピルアルコール340重量部を加えたものからなる液を塗布し、乾燥後、紫外線照射により硬化し、約0.09μm厚の高屈折率層を形成した。さらにその上に加熱接着性を有するハードコート層として、紫外線効果性ハードコート剤(主成分:修飾コロイダルシリカ50重量部、ウレタンアクリレート50重量部)のメチルエチルケトン溶液(固形分50重量%)100重量部に、メタクリル酸メチルポリマー(n≒7000〜7500、東京化成工業(株)製)50重量部とメチルエチルケトン450重量部を加えた液を塗布し、乾燥後、紫外線照射により硬化し、5μm厚の層を形成した。以上のようにして転写用反射防止フィルムを得た。得られた転写用反射防止フィルムの加熱接着性を有するハードコート層がアクリル樹脂板よりなる被転写物に接するようにして表面が鏡面状のステンレス鋼板で挟み込んだ。ステンレス鋼板の上から加圧(3923kPa)し、130℃で5分間加熱した。加熱後常温に戻し、積層ポリエステルフィルムを剥がした。剥離強度が軽かった場合を○、剥離強度がやや重い場合を△、剥離強度が重くて剥離しにくい場合や、剥離しない部分がある場合を×とした。
積層ポリエステルフィルムの塗布層側(塗布層が無い場合は片面上)にγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランにより修飾されたコロイダルシリカ90重量部、ジペンタヘキサアクリレート10重量部、紫外線重合開始剤2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン5重量部に、イソプロピルアルコール2000重量部を加えたものからなる液を塗布し、乾燥後、紫外線照射により硬化し、約0.10μm厚の低屈折率層を形成した。さらにその上に平均粒子径が約50nmの酸化インジウムスズ超微粒子90重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重量部、紫外線重合開始剤2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン3重量部からなる固形分を含むイソブチルアルコール、ジアセトンアルコール、エタノール混合溶媒分散液(固形分35重量%)60重量部に、イソプロピルアルコール340重量部を加えたものからなる液を塗布し、乾燥後、紫外線照射により硬化し、約0.09μm厚の高屈折率層を形成した。さらにその上に加熱接着性を有するハードコート層として、紫外線効果性ハードコート剤(主成分:修飾コロイダルシリカ50重量部、ウレタンアクリレート50重量部)のメチルエチルケトン溶液(固形分50重量%)100重量部に、メタクリル酸メチルポリマー(n≒7000〜7500、東京化成工業(株)製)50重量部とメチルエチルケトン450重量部を加えた液を塗布し、乾燥後、紫外線照射により硬化し、5μm厚の層を形成した。以上のようにして転写用反射防止フィルムを得た。得られた転写用反射防止フィルムの加熱接着性を有するハードコート層がアクリル樹脂板よりなる被転写物に接するようにして表面が鏡面状のステンレス鋼板で挟み込んだ。ステンレス鋼板の上から加圧(3923kPa)し、130℃で5分間加熱した。加熱後常温に戻し、積層ポリエステルフィルムを剥がした。剥離強度が軽かった場合を○、剥離強度がやや重い場合を△、剥離強度が重くて剥離しにくい場合や、剥離しない部分がある場合を×とした。
(6)転写後の反射防止積層体の表面状態の評価方法
転写におけるポリエステルフィルムの離型性の評価方法(5)と同様にして積層ポリエステルフィルム上に反射防止積層体を形成し、加熱転写を行った。その後、積層ポリエステルフィルムを剥がし、剥離後の反射防止積層体にクラック等の欠陥や塗布層の転写による汚染物が存在しない場合を○、クラック等の欠陥や塗布層の転写による汚染物が存在する場合を×とした。
転写におけるポリエステルフィルムの離型性の評価方法(5)と同様にして積層ポリエステルフィルム上に反射防止積層体を形成し、加熱転写を行った。その後、積層ポリエステルフィルムを剥がし、剥離後の反射防止積層体にクラック等の欠陥や塗布層の転写による汚染物が存在しない場合を○、クラック等の欠陥や塗布層の転写による汚染物が存在する場合を×とした。
(7)転写後の反射防止積層体表面の透明性の評価方法
転写におけるポリエステルフィルムの離型性の評価方法(5)と同様にして積層ポリエステルフィルム上に反射防止積層体を形成し、加熱転写を行った。その後、積層ポリエステルフィルムを剥がし、剥離後の反射防止積層体において、ポリエステル表面の凹凸が転写した影響等がなく高透明な場合を○、透明感はあるがやや劣る場合を△、転写による凹凸等のため透明感が劣る場合を×とした。
転写におけるポリエステルフィルムの離型性の評価方法(5)と同様にして積層ポリエステルフィルム上に反射防止積層体を形成し、加熱転写を行った。その後、積層ポリエステルフィルムを剥がし、剥離後の反射防止積層体において、ポリエステル表面の凹凸が転写した影響等がなく高透明な場合を○、透明感はあるがやや劣る場合を△、転写による凹凸等のため透明感が劣る場合を×とした。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.63であった。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.63であった。
<ポリエステル(B)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒径2.5μmのシリカ粒子とし、添加量を0.3部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.65であった。
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒径2.5μmのシリカ粒子とし、添加量を0.3部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.65であった。
<ポリエステル(C)の製造方法>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加する粒子を平均粒子径0.7μmの炭酸カルシウム粒子を1.0部としたこと以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)は、極限粘度0.67であった。
ポリエステル(B)の製造方法において、添加する粒子を平均粒子径0.7μmの炭酸カルシウム粒子を1.0部としたこと以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)は、極限粘度0.67であった。
<ポリエステル(D)の製造方法>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加する粒子を平均粒径0.3μmのアクリル系球状架橋高分子粒子とし、添加量を0.3部としたこと以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)は、極限粘度0.66であった。
ポリエステル(B)の製造方法において、添加する粒子を平均粒径0.3μmのアクリル系球状架橋高分子粒子とし、添加量を0.3部としたこと以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)は、極限粘度0.66であった。
<ポリエステル(E)の製造方法>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加する粒子を平均粒径4.5μmのシリカ粒子とし、添加量を0.5部としたこと以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(E)を得た。得られたポリエステル(E)は、極限粘度0.67であった。
ポリエステル(B)の製造方法において、添加する粒子を平均粒径4.5μmのシリカ粒子とし、添加量を0.5部としたこと以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(E)を得た。得られたポリエステル(E)は、極限粘度0.67であった。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・フッ素化合物(I1):
ガラス製反応容器中に、パーフルオロアルキル基含有アクリレートであるCF3(CF2)nCH2CH2OCOCH=CH2(n=5〜11、nの平均=9)80.0g、アセトアセトキシエチルメタクリレート20.0g、ドデシルメルカプタン0.8g、脱酸素した純水354.7g、アセトン40.0g、C16H33N(CH3)3Cl1.0gおよびC8H17C6H4O(CH2CH2O)nH(n=8)3.0gを入れ、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩0.5gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しつつ60℃で10時間共重合反応させて、共重合体エマルションを得た。
(化合物例)
・フッ素化合物(I1):
ガラス製反応容器中に、パーフルオロアルキル基含有アクリレートであるCF3(CF2)nCH2CH2OCOCH=CH2(n=5〜11、nの平均=9)80.0g、アセトアセトキシエチルメタクリレート20.0g、ドデシルメルカプタン0.8g、脱酸素した純水354.7g、アセトン40.0g、C16H33N(CH3)3Cl1.0gおよびC8H17C6H4O(CH2CH2O)nH(n=8)3.0gを入れ、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩0.5gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しつつ60℃で10時間共重合反応させて、共重合体エマルションを得た。
・長鎖アルキル化合物(I2):
4つ口フラスコにキシレン200部、オタデシルイソシアネート600部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。
ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。
反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して得た。
4つ口フラスコにキシレン200部、オタデシルイソシアネート600部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。
ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。
反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して得た。
・ワックス(I3):
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた内容量1.5Lの乳化設備に融点105℃、酸価16mgKOH/g、密度0.93g/mL、平均分子量5000の酸化ポリエチレンワックス300g、イオン交換水650gとデカグリセリンモノオレエート界面活性剤を50g、48%水酸化カリウム水溶液10gを加え窒素で置換後、密封し150℃で1時間高速攪拌した後130℃に冷却し、高圧ホモジナイザーを400気圧下で通過させ40℃に冷却しワックスエマルションを得た。
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた内容量1.5Lの乳化設備に融点105℃、酸価16mgKOH/g、密度0.93g/mL、平均分子量5000の酸化ポリエチレンワックス300g、イオン交換水650gとデカグリセリンモノオレエート界面活性剤を50g、48%水酸化カリウム水溶液10gを加え窒素で置換後、密封し150℃で1時間高速攪拌した後130℃に冷却し、高圧ホモジナイザーを400気圧下で通過させ40℃に冷却しワックスエマルションを得た。
・熱硬化性を有する化合物(II):
アルキロールメラミン/尿素共重合の架橋性樹脂(大日本インキ化学工業製ベッカミン)
アルキロールメラミン/尿素共重合の架橋性樹脂(大日本インキ化学工業製ベッカミン)
・バインダーポリマー(III1):
ケン化度88モル%、重合度500のポリビニルアルコール
・バインダーポリマー(III2):
アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを共重合し、乳化剤で分散させたアクリル樹脂(日本カーバイド工業製ニカゾール)
ケン化度88モル%、重合度500のポリビニルアルコール
・バインダーポリマー(III2):
アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを共重合し、乳化剤で分散させたアクリル樹脂(日本カーバイド工業製ニカゾール)
実施例1:
上記ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ92%、8%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(A)をB層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(ABA)の層構成で共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。
上記ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ92%、8%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(A)をB層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(ABA)の層構成で共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度82℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの両面に、下記表1に示す塗布液1を塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で3.6倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗工量(乾燥後)が0.1g/m2の塗布層を有する厚さ38μm、各層の厚さが7/24/7μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
でき上がった反射防止層転写用積層ポリエステルフィルムは反射防止積層体の転写において良好な離型性を示し、また反射防止積層体の表面状態はクラック等の欠陥や塗布層の転写による汚染もなく、透明性も良好であった。このフィルムの特性を下記表2に示す。
実施例2〜実施例4:
実施例1において、塗布剤組成を表1、2に示す塗布量および塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
実施例1において、塗布剤組成を表1、2に示す塗布量および塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
実施例5:
実施例1において、A層原料として、ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ80%、20%の割合で混合した混合原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
実施例1において、A層原料として、ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ80%、20%の割合で混合した混合原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
実施例6:
実施例1において、A層原料として、ポリエステル(A)、(D)をそれぞれ70%、30%の割合で混合した混合原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
実施例1において、A層原料として、ポリエステル(A)、(D)をそれぞれ70%、30%の割合で混合した混合原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
実施例7:
実施例1において、A層原料として、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ75%、25%の割合で混合した混合原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
実施例1において、A層原料として、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ75%、25%の割合で混合した混合原料を使用したこと以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
比較例1:
実施例1において、塗布層を設けなかった以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すとおり、離型性や表面状態が良くなかった。
実施例1において、塗布層を設けなかった以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がった積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すとおり、離型性や表面状態が良くなかった。
比較例2、3:
実施例1において、塗布剤組成を表1、2に示す塗布量および塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
実施例1において、塗布剤組成を表1、2に示す塗布量および塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
比較例4、5:
実施例1において、A層原料として、ポリエステル(A)、(E)をそれぞれ50%、50%の割合で混合した混合原料を使用し、塗布剤組成を表1、2に示す塗布量および塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造したこと以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
実施例1において、A層原料として、ポリエステル(A)、(E)をそれぞれ50%、50%の割合で混合した混合原料を使用し、塗布剤組成を表1、2に示す塗布量および塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造したこと以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
本発明のフィルムは、例えば、LCD、PDP、有機EL等の表示画面上に設けられる反射防止層転写用フィルムに用いられるベースフィルムとして好適に利用することができる。
Claims (1)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型剤を含有する塗布層を有し、当該塗布層を有するいずれかの表面の中心線平均粗さ(Ra)が50nm以下であることを特徴とする反射防止層転写用積層ポリエステルフィルム。
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JP2006334932A JP2008143106A (ja) | 2006-12-12 | 2006-12-12 | 反射防止層転写用積層ポリエステルフィルム |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015160396A (ja) * | 2014-02-28 | 2015-09-07 | 三菱樹脂株式会社 | 積層ポリエステルフィルム |
-
2006
- 2006-12-12 JP JP2006334932A patent/JP2008143106A/ja active Pending
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