しかしながら、上記従来の特許文献1〜3に記載のインクジェット記録装置の吐出検出用光センサの位置調整方法では、液体を無駄に消費することなく、かつ短時間で発光素子から受光素子に向かう光軸とノズル列とを位置合わせする方法としては、未だ、不十分であるという問題点を有している。
すなわち、特許文献1では、上述したように、液体を無駄に消費する点で問題があり、また、特許文献2では、ある程度の長さを有するノズル列のいずれかの点でのインク液滴が閾値を越えた位置を光軸とノズル列との合致位置としているので、光軸とノズル列との平行精度に問題がある。
また、特許文献3では、平行精度については改善されているが、調整時間及び調整の簡易さの点では不十分である。特に、近年では、インクジェット記録装置は製品の大型化に伴い装置もインクジェットヘッドも大型化している。大型化されたインクジェットヘッドは多数のノズルを有し、それら全てのノズルの吐出状態を同時に検知するセンサの位置決めには高い位置調整精度が要求される。これら検知センサの位置調整がインクジェット記録装置の大型化により困難になると、インクジェットヘッドの調整に時間を要し、インクジェット記録装置の稼働時間が低下したり、複数の吐出検出センサに分割せざるを得なくなり、煩雑化及びコスト高の原因となったりする等の課題がある。
また、平行精度に関して、ノズル列の長さが短い場合には引用文献3等における従来の技術にて吐出不良検出を行っても、吐出不良検出の正確さにおいて問題は起こらない。
しかしながら、インクジェット記録装置の大型化に伴うインクジェットヘッドの大型化によって、ノズル列の長さが長くなってくると、インク吐出面と光軸との鉛直面内での傾きにより、インク吐出面と光軸との距離がインクジェットヘッドの一端と他端とで大きく異なってくる。例えば、ノズル列の長さが50mm程度の場合とノズル列の長さが300mm程度とではインク吐出面と光軸との鉛直面内での距離は大きく異なる。
その結果、精度の高い吐出不良の検出ができなくなるという問題を有している。つまり、インクノズル列と光軸とは3次元の平行精度が要求される。
また、このようなインク吐出面と光軸の鉛直面内の傾きずれは、吐出不良検知だけではなく、汚れ付着検知のためにも必要である。すなわち、インクジェットヘッドにおけるノズルの汚れ付着は目詰まりによる吐出不良の原因となるが、インクジェットヘッドの汚れには、ノズル以外におけるインク吐出面にインクが付着するという汚れもある。このような、ノズル以外におけるインク吐出面にインクが付着するという、吐出不良の原因とならない汚れは、製品を汚したり、意図しない部分に液を付着させたりするということがあり、そのような場合が大半である。
このように、インクジェットヘッドが大型化するに伴って、位置調整の要求精度が高まっている。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、インク液滴を無駄に消費することなく、短時間でかつ精度良く、インクジェットヘッドのノズル列と発光素子から受光素子に向かう光軸との位置合わせを行い得るインクジェット記録装置、及びその吐出検出用光センサの位置調整方法を提供することにある。
本発明のインクジェット記録装置は、上記課題を解決するために、直線状に並んだ複数のノズルを有するインクジェットヘッドと、各ノズルから吐出されるインク液滴を検知する発光素子及び受光素子を有する光量検知センサからなる吐出検出用光センサと、上記インクジェットヘッドを、上記吐出検出用光センサの発光素子から出射される光の光軸に対して平面的に横切るように、該光軸に対して相対的に平行移動させる平行移動手段とを備えたインクジェット装置において、上記インクジェットヘッドにおける直線状に並んだ複数のノズルのうちの少なくとも2つのノズルにおけるインク吐出速度又はインク吐出周波数を互いに異なるように制御するインク吐出制御手段と、上記インクジェットヘッドを、該インクジェットヘッドのインク吐出面と平行な平面内で相対的に回転させる吐出面平行面内回転手段と、上記吐出面平行面内回転手段の、インク吐出面と平行な平面内における相対的回転角度を制御する吐出面平行面内回転角度制御手段とが設けられていることを特徴としている。
本発明のインクジェット記録装置の吐出検出用光センサの位置調整方法は、上記課題を解決するために、直線状に並んだ複数のノズルを有するインクジェットヘッドと、各ノズルから吐出されるインク液滴を検知する発光素子及び受光素子を有する光量検知センサからなる吐出検出用光センサと、上記インクジェットヘッドを、上記吐出検出用光センサの発光素子から出射される光の光軸に対して平面的に横切るように、該光軸に対して相対的に平行移動させる平行移動手段とを備えたインクジェット記録装置の吐出検出用光センサの位置調整方法において、上記インクジェットヘッドを、該インクジェットヘッドのインク吐出面と平行な平面内で相対的に回転させる吐出面平行面内回転手段を設ける工程と、上記吐出面平行面内回転手段の、インク吐出面と平行な平面内における相対的回転角度を制御する吐出面平行面内回転角度制御手段を設ける工程と、上記インクジェットヘッドの少なくとも2つのノズルから、互いに異なったインク吐出速度又はインク吐出周波数で同時にインク液滴の吐出を行いながら、該ノズルから吐出したインク液滴が光軸を遮る位置を含む範囲で該インクジェットヘッドを水平面内における上記光軸に直交する方向に相対的に平行移動させ、移動中の該インクジェットヘッドの平行移動距離と上記吐出検出用光センサの受光率とを逐次記録する平行移動記録工程と、記録された上記インクジェットヘッドの平行移動距離と上記吐出検出用光センサの受光率とから、吐出した少なくとも2つのノズルのそれぞれの初期位置からインク液滴が光軸を遮る位置までの相対的平行移動距離を算出する平行移動距離算出工程と、上記少なくとも2つのノズルにおけるノズル列方向の長さから上記インクジェットヘッドのノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれの大きさを算出する回転角度算出工程と、算出された上記ノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれを、上記吐出面平行面内回転手段及び吐出面平行面内回転角度制御手段にて補正する補正工程とを含むことを特徴としている。
上記の発明によれば、インクジェットヘッドのノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれの大きさを算出して、上記ノズル列と光軸とが吐出面平行面内で平行となるように吐出面平行面内回転手段及び吐出面平行面内回転角度制御手段にて補正する。
この場合、本発明では、インク吐出速度制御手段にて、インクジェットヘッドにおける直線状に並んだ複数のノズルのうちの少なくとも2つのノズルにおけるインク吐出速度又はインク吐出周波数を互いに異なるように制御する。
これにより、インク吐出面と平行な平面内における各ノズルと光軸との距離が求まるので、ノズル間の既知の長さから、インク吐出面と平行な平面内におけるノズル列と光軸との相対的回転角度をその方向(+又は−方向)を含めて算出することができる。
そして、この相対的回転角度の算出に際して、本発明では、このインクジェットヘッドにおける少なくとも2つのノズルからインク液滴を吐出しながら、該ノズルから吐出したインク液滴が光軸を遮る位置を含む範囲で該インクジェットヘッドを水平面内における光軸に直交する方向に相対的に平行移動させるだけである。
したがって、インク液滴を無駄に消費することなく、短時間でかつ精度良く、インクジェットヘッドのノズル列と発光素子から受光素子に向かう光軸との位置合わせを行い得るインクジェット記録装置、及びその吐出検出用光センサの位置調整方法を提供することができる。
また、本発明のインクジェット記録装置の吐出検出用光センサの位置調整方法では、前記平行移動記録工程の後、前記吐出面平行面内回転手段及び吐出面平行面内回転角度制御手段にてノズル列と光軸との相対角度を既知の第1設定角度だけ変化させた状態で、上記平行移動記録工程を再度行った後、前記平行移動距離算出工程を行い、前記回転角度算出工程では、上記ノズル列と光軸との相対角度を上記既知の第1設定角度だけ変化させたことによるノズルの相対的平行移動距離の変化から、上記少なくとも2つのノズルにおけるノズル列方向の長さ、及び上記ノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれの大きさを算出することが可能である。
これにより、少なくとも2つのノズルから異なったインク吐出速度又はインク吐出周波数でインク液滴を吐出させながら、光量検知センサからなる吐出検出用光センサの光軸に対して、インクジェットヘッドを相対的に平行移動させる工程を、ノズル列と光軸との相対角度を既知の第1設定角度だけ変化させて複数回行う。
この結果、ノズル列方向のノズル間の長さが未知であったとしても、少なくとも2つのノズルにおけるノズル列方向の長さ、及び上記インクジェットヘッドのノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれの大きさをその方向(+又は−方向)を含めて算出することができる。
本発明のインクジェット記録装置では、前記インクジェットヘッドを、該インクジェットヘッドのインク吐出面と垂直な平面内で該インク吐出面と垂直方向に相対的に平行移動させる吐出面垂直面内平行移動手段と、上記インクジェットヘッドを、該インクジェットヘッドのインク吐出面と垂直な平面内で相対的に回転させる吐出面垂直面内回転手段と、上記吐出面垂直面内回転手段の、インク吐出面と垂直な平面内における相対的回転角度を制御する吐出面垂直面内回転角度制御手段とが設けられていることが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録装置では、前記吐出面垂直面内回転手段は、前記光軸を前記インクジェットヘッドのインク吐出面と垂直な平面内で回転させる吐出面垂直面内光軸回転手段を備えていることが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録装置の吐出検出用光センサの位置調整方法では、前記インクジェットヘッドを、該インクジェットヘッドのインク吐出面と垂直な平面内で該インク吐出面と垂直方向に相対的に平行移動させる吐出面垂直面内平行移動手段を設ける工程と、上記インクジェットヘッドを、該インクジェットヘッドのインク吐出面と垂直な平面内で相対的に回転させる吐出面垂直面内回転手段を設ける工程と、上記吐出面垂直面内回転手段の、インク吐出面と垂直な平面内における相対的回転角度を制御する吐出面垂直面内回転角度制御手段を設ける工程と、前記光軸とインクジェットヘッドのノズル列との吐出面平行面内での相対的角度ずれの補正工程の後、前記吐出面平行面内回転手段にて、上記インクジェットヘッドを、該インクジェットヘッドのインク吐出面と平行な平面内で既知の第2設定角度だけ回転させる工程と、上記インクジェットヘッドの一方の端部のみが光軸を遮る平面位置となるように、インクジェットヘッドを、平行移動手段にて光軸に対して相対的に平行移動させる工程と、上記インクジェットヘッドの一方の端部のみが光軸を遮る位置を含む範囲で、インクジェットヘッドを吐出面垂直面内平行移動手段にてインク吐出面と垂直な平面内における該インク吐出面と垂直方向に相対的に平行移動させ、その移動中のインクジェットヘッドの移動量と受光率とを逐次記録する垂直面内平行移動記録工程と、記録されたインクジェットヘッドの移動量と受光率とから、インクジェットヘッドの一端と光軸との、インク吐出面と垂直な平面内における該インク吐出面と垂直方向での相対的距離を求める一端距離算出工程と、同様の動作をインクジェットヘッドの他端に対しても行い、インクジェットヘッドの他端と光軸との、インク吐出面と垂直な平面内における該インク吐出面と垂直方向での相対的距離を求める他端距離算出工程と、インクジェットヘッドの両端における光軸からのインク吐出面と垂直な平面内における該インク吐出面と垂直方向での相対的距離の差と、既知のインクジェットヘッドの外形寸法とから、インク吐出面と垂直な平面内におけるインクジェットヘッドのノズル列と光軸との相対的回転角度を算出する垂直面内回転角度算出工程と、上記算出された上記ノズル列と光軸とのインク吐出面と垂直な平面内における相対的回転角度に基づいて、該ノズル列と光軸とのインク吐出面と垂直な平面内における相対的回転角度が0度となるように吐出面垂直面内回転手段及び吐出面垂直面内回転角度制御手段にてインクジェットヘッドを相対的に回転させる補正工程とを含むことが好ましい。
上記の発明によれば、インクジェットヘッドの一端のみが光軸を遮る平面位置を含む範囲で、インクジェットヘッドを吐出面垂直面内平行移動手段にてインク吐出面と垂直な平面内における該インク吐出面と垂直方向に相対的に平行移動させることにより、インクジェットヘッドと光軸との相対的な高さ方向距離を算出する。そして、他端にも同様の操作を行うことによって、ヘッド両端における光軸からの相対的な高さ方向距離の差を求めることができるので、既知のインクジェットヘッドの長さから、ノズル列と光軸との吐出面垂直面内の相対的回転角度のずれを補正することが可能である。
したがって、インク液滴を無駄に消費することなく、短時間でかつ精度良く、インクジェットヘッドのノズル列と発光素子から受光素子に向かう光軸との位置合わせを行い得るインクジェット記録装置、及びその吐出検出用光センサの位置調整方法を提供することができる。
また、本発明では、インクジェットヘッドのノズル列が長くなっても、単一の光量検知センサからなる吐出検出用光センサを用いて、吐出有無の検出だけでなく、精度の高い吐出不良まで検出できると共に、さらに、インク吐出面における汚れ検知もできる配置に位置調整できる点で特に有用である。
したがって、吐出有無の検出と精度良い吐出不良の検出とを同時に可能とする位置合わせを行い得るインクジェット記録装置、及びその吐出検出用光センサの位置調整方法を提供することができる。
また、本発明のインクジェット記録装置の吐出検出用光センサの位置調整方法では、前記吐出面垂直面内回転手段として、吐出検出用光センサの光軸を、インクジェットヘッドのインク吐出面と垂直な平面内で相対的に回転させる吐出面垂直面内光軸回転手段を設ける工程をさらに含み、前記垂直面内平行移動記録工程、一端距離算出工程、他端距離算出工程及び垂直面内回転角度算出工程において、上記インクジェットヘッドの一方の端部のみが光軸を遮る位置を含む範囲で、インクジェットヘッドを吐出面垂直面内平行移動手段にてインク吐出面と垂直な平面内における該インク吐出面と垂直方向に相対的に平行移動させ、その移動中のインクジェットヘッドの移動量と受光率とを逐次記録する垂直面内平行移動記録工程を、吐出面垂直面内光軸回転手段及び吐出面垂直面内回転角度制御手段にて吐出検出用光センサをインク吐出面との垂直な平面内におけるインク吐出面と光軸との相対的角度を既知の第3設定角度だけ変化させた状態で2度以上行う工程と、上記インクジェットヘッドの両端と光軸との相対距離の差の変化から、インク吐出面と垂直な平面内における上記インクジェットヘッドのノズル列と光軸との相対的回転角度を算出する垂直面内回転角度算出工程を行うことが可能である。
これにより、インクジェットヘッドの一方の端部のみが光軸を遮る位置を含む範囲で、吐出面垂直面内光軸回転手段及び吐出面垂直面内回転角度制御手段を用いて、インク吐出面との垂直な平面内におけるインク吐出面と光軸との相対的角度を既知の第3設定角度だけ変化させて2度以上同様の操作を行えば、インクジェットヘッドの外形寸法が未知であっても、インクジェットヘッドの両端と光軸との相対距離の差の変化から、インク吐出面と垂直な平面内におけるノズル列と光軸との相対的回転角度を算出することができる。
また、本発明のインクジェット記録装置は、上記記載のインクジェット記録装置の吐出検出用光センサの位置調整方法によって調整された吐出検出用光センサを備えていることを特徴としている。
これにより、インク液滴を無駄に消費することなく、短時間でかつ精度良く、インクジェットヘッドのノズル列と発光素子から受光素子に向かう光軸との位置合わせを行い得る吐出検出用光センサの位置調整方法によって調整された吐出検出用光センサを有するインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置は、以上のように、インクジェットヘッドにおける直線状に並んだ複数のノズルのうちの少なくとも2つのノズルにおけるインク吐出速度又はインク吐出周波数を互いに異なるように制御するインク吐出制御手段と、上記インクジェットヘッドを、該インクジェットヘッドのインク吐出面と平行な平面内で相対的に回転させる吐出面平行面内回転手段と、上記吐出面平行面内回転手段の、インク吐出面と平行な平面内における相対的回転角度を制御する吐出面平行面内回転角度制御手段とが設けられているものである。
本発明のインクジェット記録装置の吐出検出用光センサの位置調整方法は、以上のように、上記インクジェットヘッドを、該インクジェットヘッドのインク吐出面と平行な平面内で相対的に回転させる吐出面平行面内回転手段を設ける工程と、上記吐出面平行面内回転手段の、インク吐出面と平行な平面内における相対的回転角度を制御する吐出面平行面内回転角度制御手段を設ける工程と、上記インクジェットヘッドの少なくとも2つのノズルから、互いに異なったインク吐出速度又はインク吐出周波数で同時にインク液滴の吐出を行いながら、該ノズルから吐出したインク液滴が光軸を遮る位置を含む範囲で該インクジェットヘッドを水平面内における上記光軸に直交する方向に相対的に平行移動させ、移動中の該インクジェットヘッドの平行移動距離と上記吐出検出用光センサの受光率とを逐次記録する平行移動記録工程と、記録された上記インクジェットヘッドの平行移動距離と上記吐出検出用光センサの受光率とから、吐出した少なくとも2つのノズルのそれぞれの初期位置からインク液滴が光軸を遮る位置までの相対的平行移動距離を算出する平行移動距離算出工程と、上記少なくとも2つのノズルにおけるノズル列方向の長さから上記インクジェットヘッドのノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれの大きさを算出する回転角度算出工程と、算出された上記ノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれを、上記吐出面平行面内回転手段及び吐出面平行面内回転角度制御手段にて補正する補正工程とを含む方法である。
それゆえ、インク液滴を無駄に消費することなく、短時間でかつ精度良く、インクジェットヘッドのノズル列と発光素子から受光素子に向かう光軸との位置合わせを行い得るインクジェット記録装置、及びその吐出検出用光センサの位置調整方法を提供するという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施の形態のインクジェット記録装置10は、図1に示すように、インクジェットヘッド1を備えている。このインクジェットヘッド1は、図2に示すように、254個のノズル3を1列に並べた個別ヘッド2をノズル列方向に3個直列に並べたものからなっている。したがって、インクジェットヘッド1は、一直線状に並んだ762個のノズル3を有している。
本実施の形態では、インクジェットヘッド1における両端のノズル3のノズル列方向の距離、つまりインクジェットヘッド1の始端部に設けられた第1ノズル3aとインクジェットヘッド1の後端部に設けられた第2ノズル3bとの間の長さL1は、例えば267mm程となっている。尚、インクジェットヘッド1における個別ヘッド2の個数及びノズル3の個数及びインクジェットヘッド1における両端のノズル3のノズル列方向の距離は、必ずしもこれに限らない。
また、本実施の形態のインクジェット記録装置10は、発光素子としての発光部21及び受光素子としての受光部22を備えた光量検知センサからなる吐出検出用光センサとしての吐出検出センサ20を有している。この吐出検出センサ20の発光部21及び受光部22は、図1に示すように、図示しない記録紙の搬送路の側方に位置して設けられた基板上に平行移動できるように設けられた移動板12に載置して設けられている。この吐出検出センサ20は、発光部21からレーザビームが出射され、このレーザビームを受光部22で検出してその出力を検出するようになっている。
本実施の形態では、吐出検出センサ20は、センサ光軸の角度をインクジェットヘッド1のノズル列角度と一致させ、全てのノズル3が吐出した液滴がセンサ光軸を遮るような位置に調整し、1ノズルずつ吐出させることによって、各ノズル3の吐出の有無を検知する機構となっている。
この吐出検出センサ20のレーザビームの有効ビーム径は500μm程度であり、この中に267mmの範囲に並んだ762個のノズル3の位置を調整する必要があるため、高い位置調整精度が必要とされる。
本実施の形態では、このような機構の吐出検出センサ20は調整が困難である一方、一度調整してしまえば、インクジェットヘッド1の回転や移動を行わずに全ノズル3の吐出検知を行うことができるという利点もある。
ここで、本実施の形態では、駆動系機構として、インクジェットヘッド1を鉛直方向と平行な垂直面内で回転移動させる吐出面垂直面内回転手段としての垂直面内回転機構31を有している。
また、インクジェットヘッド1をインク吐出面1aと平行な平面内で回転させる吐出面平行面内回転手段としての吐出面内回転機構32と、インクジェットヘッド1を、吐出検出センサ20の光軸を横切るように、相対的に水平方向に平行移動させる平行移動手段としての平行垂直移動機構11とを有している。この平行垂直移動機構11は、基板に対して移動板12を平行移動させる機構となっている。また、この平行垂直移動機構11は、インクジェットヘッド1を、該インクジェットヘッド1のインク吐出面1aと垂直な平面内で該インク吐出面1aと垂直方向に相対的に平行移動させる吐出面垂直面内平行移動手段としての機能も有している。
また、本実施の形態では、発光部21を載置する載置台23は、分割線を有し、上側部分が、発光部21の鉛直面内で回転できる該発光部21の吐出面垂直面内回転手段及び吐出面垂直面内光軸回転手段としての光軸角度調整機構23aとなっている。したがって、これにより、発光部21から出射される光の光軸が、鉛直面内で回転できるようになっている。
尚、この発光部21の光軸角度調整機構23aは、受光部22には設けられていない。この理由は、発光部21から出射される光は、出射径が小さく(例えば直径0.8mmの円状)、直進性が高い。そのため、出射光とインクジェットヘッド1のノズル面とを平行にするためには、例えば、発光部21の角度の調整を行う必要がある。一方、受光部22は受光面の面積が広く(例えば2mm角)、かつ受光面への光の入射角度に対する許容範囲が広いため、設置において厳密な調整は不要である。そのため、本実施の形態では、発光部21のみの角度調整を行う形で記載している。ただし、本発明では、必ずしもこれに限らず、受光部22にも角度調整機構を設けることが可能である。
上記構成のインクジェット記録装置10における吐出検出用光センサの位置調整方法について説明する。
まず、図2及び図3に示すように、例えば、ノズル列両端の2ノズルに対して一方の第1ノズル3aから例えば6m/secのインク吐出速度V1でインク液滴を吐出し、他方の第2ノズル3bから8m/secの異なるインク吐出速度V2でインク液滴を吐出させながら、インクジェットヘッド1を光軸に対して水平方向(X軸方向)に3mmの距離を移動させる。
この結果、水平方向の位置と受光率とを10μm毎にプロットした図4が得られる。図4から分かるように、受光率の小さくなる箇所が2箇所あり、これらが2つの第1ノズル3aと第2ノズル3bとから吐出されたインク液滴が光軸を遮っている位置に相当する。図4において、受光率47%以下となる受光率の平均値を計算することにより、約−4.77mmの位置と−3.95mmの位置とで吐出されたインク液滴が光軸を遮っていることになる。
また、この図4に示す遮光量の差から、−4.77mmの位置に相当するのが6m/secのインク吐出速度V1で吐出した第1ノズル3aであり、−3.95mmの位置に相当するのが8m/secのインク吐出速度V2で吐出した第2ノズル3bであることが分かる。すなわち、吐出速度が遅いインク液滴は、光軸の中に存在する時間が長いので、遮光率が高くなる。
上記の結果から、両第1ノズル3a及び第2ノズル3bの光軸とのX軸方向の相対距離の差は、
(−3.95)−(−4.77)=0.82
となって、0.82mmと算出できる。
また、第1ノズル3aと第2ノズル3bとのノズル列方向の長さL1は、前述の通り267mmであるので、角度に換算すれば0.176度がノズル列と光軸との角度ずれの大きさθとなる。
さらに、−4.77mmの位置に相当するのが第1ノズル3aであることから、0.176度補正するべき方向は、第1ノズル3aを光軸に近づける方向であることも分かる。
尚、吐出を行う2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bは、インクジェットヘッド1の両端のノズルに限らないが、2つのノズル間の距離は長い方が、位置合わせの精度は高くなる。
この結果、本実施の形態では、一度の操作によってノズル列と光軸とのZ軸に平行な面内の角度ずれの大きさとその方向を知ることができる。実際に、インクジェットヘッド1の吐出面内回転機構32によりインクジェットヘッド1を0.176度だけ第2ノズル3bが光軸に近づく方向に補正すれば、全てのノズルの吐出を吐出検出センサ20で同時に検知できることを確認した。
また、上記の説明では、2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bの吐出条件として、インク吐出速度を用いたが、必ずしもこれに限らず、例えば、インク吐出周波数を用いることも可能である。これによっても、同様に、受光率の大小が現れ、どちらのノズルがどの位置にあるのか認識することが可能である。すなわち、
インク吐出速度=吐出されたインク液滴の物理的な速度(初速)(m/s)
インク吐出周波数=インク液滴を単位時間当たりに何滴吐出するか(Hz)
の関係により、インク吐出周波数を用いることができることが理解できる。
このように、本実施の形態のインクジェット記録装置10は、直線状に並んだ複数のノズルを有するインクジェットヘッド1と、各ノズルから吐出されるインク液滴を検知する発光部21及び受光部22を有する光量検知センサからなる吐出検出センサ20と、インクジェットヘッド1を、吐出検出センサ20の発光部21から出射される光の光軸に対して平面的に横切るように、該光軸に対して相対的に平行移動させる平行垂直移動機構11とを備えている。
そして、インクジェットヘッド1における直線状に並んだ複数のノズルのうちの少なくとも2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bにおけるインク吐出速度又はインク吐出周波数を互いに異なるように制御するインク吐出制御手段としての図示しないCPUと、インクジェットヘッド1を、該インクジェットヘッド1のインク吐出面1aと平行な平面内で相対的に回転させる吐出面内回転機構32と、この吐出面内回転機構32のインク吐出面1aと平行な平面内における相対的回転角度を制御する吐出面平行面内回転角度制御手段としての図示しないCPUとが設けられている。
そして、本実施の形態のインクジェット記録装置10の吐出検出センサ20の位置調整方法は、インクジェットヘッド1の少なくとも2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bから、互いに異なったインク吐出速度又はインク吐出周波数で同時にインク液滴の吐出を行いながら、該第1ノズル3a及び第2ノズル3bから吐出したインク液滴が光軸を遮る位置を含む範囲で該インクジェットヘッド1を水平面内における光軸に直交する方向に相対的に平行移動させ、移動中の該インクジェットヘッド1の平行移動距離と吐出検出センサ20の受光率とを逐次記録する平行移動記録工程と、記録されたインクジェットヘッド1の平行移動距離と吐出検出センサ20の受光率とから、吐出した少なくとも2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bのそれぞれの初期位置からインク液滴が光軸を遮る位置までの相対的平行移動距離を算出する平行移動距離算出工程と、少なくとも2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bにおけるノズル列方向の長さからインクジェットヘッド1のノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれの大きさθを算出する回転角度算出工程と、算出されたノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれを、吐出面内回転機構32及び吐出面平行面内回転角度制御手段にて補正する補正工程とを含む。
すなわち、本実施の形態では、インクジェットヘッド1のノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれの大きさθを算出して、ノズル列と光軸とが吐出面平行面内で平行となるように吐出面内回転機構32及び吐出面平行面内回転角度制御手段にて補正する。
この場合、本実施の形態では、インク吐出速度制御手段にて、インクジェットヘッド1における直線状に並んだ複数のノズルのうちの少なくとも2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bにおけるインク吐出速度又はインク吐出周波数を互いに異なるように制御する。
これにより、インク吐出面1aと平行な平面内における各第1ノズル3a及び第2ノズル3bと光軸との距離が求まるので、ノズル間の既知の長さL1から、インク吐出面1aと平行な平面内におけるノズル列と光軸との相対的回転角度をその方向(+又は−方向)を含めて算出することができる。
そして、この相対的回転角度の算出に際して、本実施の形態では、このインクジェットヘッド1における少なくとも2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bからインク液滴を吐出しながら、該第1ノズル3a及び第2ノズル3bから吐出したインク液滴が光軸を遮る位置を含む範囲で該インクジェットヘッド1を水平面内における光軸に直交する方向に相対的に平行移動させるだけである。
したがって、インク液滴を無駄に消費することなく、短時間でかつ精度良く、インクジェットヘッド1のノズル列と発光部21から受光部22に向かう光軸との位置合わせを行い得るインクジェット記録装置10、及びその吐出検出センサ20の位置調整方法を提供することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態のインクジェット記録装置10は、ノズル間隔やノズル列の長さの正確な値が不明であったり、不正確であったりした場合でも、ノズル列の角度を光軸に高い精度で合わせることが可能となっている。
本実施の形態のインクジェット記録装置10の吐出検出センサ20の位置調整方法について、以下に説明する。
まず、本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、ノズル列両端の2つのノズルに対して一方の第1ノズル3aから6m/secのインク吐出速度V1でインク液滴を吐出し、他方の第2ノズル3bから8m/secの異なるインク吐出速度V2でインク液滴を吐出させながら、インクジェットヘッド1を光軸に対して水平方向に3mmの距離をX軸方向に平行移動させ、10μm毎の位置と受光率をプロットして、前記図4を得る。
図4に示すように、受光率の小さくなる箇所が2箇所あり、これらが2つの第1ノズル3aと第2ノズル3bとから吐出されたインク液滴が光軸を遮っている位置に相当する。
約−4.77mmの位置と−3.95mmの位置とで、吐出されたインク液滴が光軸を遮っていることになる。また、遮光量の差から、−4.77mmの位置に相当するのが6m/secのインク吐出速度V1で吐出した第1ノズル3aであり、−3.95mmの位置に相当するのが8m/secのインク吐出速度V2で吐出した第2ノズル3bであることが分かる。
また、上記の結果から、第1ノズル3aと第2ノズル3bとのX軸方向の相対距離の差は0.82mmと算出できる。
次に、図5に示すように、インクジェットヘッド1を吐出面内回転機構32によって既知である第1設定角度αだけ回転させる。ここでは例えば0.1度回転させた。この状態で、再度、ノズル列両端の第1ノズル3aと第2ノズル3bとに対して、一方の第1ノズル3aから6m/secのインク吐出速度V1で液滴を吐出させ、他方の第2ノズル3bから8m/secの異なるインク吐出速度V2でインク液滴を吐出させながら、インクジェットヘッド1を光軸に対して水平方向であるX軸方向に3mmの距離を移動させ、10μm毎の位置と受光率をプロットする。
すると同様に、受光率の小さくなる箇所が2箇所存在するが、この位置はインクジェットヘッド1を回転させたために変化している。本実施の形態では、第1ノズル3aは−5.00mmであり、第2ノズル3bは−3.72mmであった。
当初の第1ノズル3aの位置をXSとし、第2ノズル3bの位置をXEとし、その状態から第1設定角度αだけ回転させた際の第1ノズル3aの位置をXS’とし、第2ノズル3bの位置をXE’とすると、ノズル列と光軸とのインク吐出面1aと平行な面内における角度ずれの大きさθは、下記の式で与えられる。
θ=arctan(1/tanα−(XS’−XE’)/((XS−XE)sinα))
この式に、α=0.1deg、XS’=−5.00、XE’=−3.72、XS=−4.72、XE=−3.95を代入すると、
θ=arctan(1/tan(0.1deg)−((−5.00)−(−3.72)) /(((−4.72)−(−3.95))sin(0.1deg)))
=−89.824deg
となる。
したがって、このときのθは−89.824度となり、回転の方向(+又は−方向)を考慮すれば0.176度となるから実施の形態1でノズル間距離から算出した値にほぼ一致する。
本実施の形態によれば、吐出させた第1ノズル3a及び第2ノズル3bのノズル間の長さL1が不明な場合でも、インクジェットヘッド1の吐出面内回転機構32により既知である第1設定角度αだけ回転させて同様の工程を実施することによって、ノズル列と吐出検出センサ20とのインク吐出面1aに平行な面内における角度ずれの大きさθを算出できるということが分かる。
本実施の形態では、さらに、この結果からノズル間の長さL1も、下記式にて算出できる。
L1=|XS−XE|/cosθ
この式に、XS=−4.72、XE=−3.95、θ=−89.824degを代入すると、
L1=|(−4.72)−(−3.95)|/cos(−89.824deg)
≒267
したがって、この式によればノズル間の長さL1は267mmとなり、実際の値と一致することも確認した。
この結果、本実施の形態では、ノズル間隔やノズル列の長さの正確な値が不明であったり、不正確であったりした場合でも、ノズル列の角度を光量センサ光軸に高い精度で合わせることが可能である。つまり、インクジェットヘッド1の設計値ではなく、実際のノズル位置での位置合わせが簡便に実現できていると言える。
すなわち、これらの方法によって、インクジェットヘッド1のノズル列と平行な方向つまりインクジェットヘッド1の長手方向に平行に光軸を配置する構成として角度調整を行うことによって、単一の光量検知センサを、吐出検出センサとしてはヘッドの移動を伴わずに全ノズルの吐出検知をおこなうことができ、吐出面汚れ検出センサとしては、短い走査距離で汚れ検出ができる位置を実現でき、また、その調整が高い精度で可能になる。
このように、本実施の形態のインクジェット記録装置10、及びその吐出検出センサ20の位置調整方法では、前記実施の形態1における平行移動記録工程の後、吐出面内回転機構32及び吐出面平行面内回転角度制御手段にてノズル列と光軸との相対角度を既知の第1設定角度αだけ変化させた状態で、上記平行移動記録工程を再度行った後、前記平行移動距離算出工程を行い、前記回転角度算出工程では、ノズル列と光軸との相対角度を上記既知の第1設定角度だけ変化させたことによるノズルの相対的平行移動距離の変化から、少なくとも2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bにおけるノズル列方向の長さL1、及び上記ノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれの大きさθを算出する。
これにより、少なくとも2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bから異なったインク吐出速度又はインク吐出周波数でインク液滴を吐出させながら、光量検知センサからなる吐出検出センサ20の光軸に対して、インクジェットヘッド1を相対的に平行移動させる工程を、ノズル列と光軸との相対角度を既知の第1設定角度αだけ変化させて複数回行う。
この結果、ノズル列方向のノズル間の長さL1が未知であったとしても、少なくとも2つの第1ノズル3a及び第2ノズル3bにおけるノズル列方向の長さL1、及びインクジェットヘッド1のノズル列と光軸との吐出面平行面内での相対的角度ずれの大きさθをその方向(+又は−方向)を含めて算出することができる。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図6及び図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態のインクジェット記録装置10では、光軸をインクジェットヘッド1のインク吐出面1aと平行な平面内で長手方向と平行に配置した構成で、インク吐出面1aとの角度調整が可能になり、短い走査距離でインク吐出面1aの汚れ検知が可能となる。また、この場合のノズル列と光軸との位置関係は、単一の光量検知センサで吐出検出センサと吐出面汚れ検出センサを兼用できる位置関係であり、光量検知センサ及びインクジェットヘッド1を移動させなくても全ノズルの吐出検知ができる位置関係でもある。
本実施の形態のインクジェット記録装置10、及びその吐出検出センサ20の位置調整方法について、以下に説明する。
本実施の形態では、図1に示すように、吐出検出センサ20の発光部21の鉛直方向の角度を調整する発光部21の吐出面垂直面内回転手段及び吐出面垂直面内光軸回転手段としての光軸角度調整機構23aを用いる。
また、本実施の形態では、吐出検出センサ20は、インク吐出面1aの汚れ検知までできるようになっている。この吐出検出センサ20は、光量検知センサを用い、その光軸をインクジェットヘッド1に対してインク吐出面1aの直下を相対的に走査させ、遮光の有無を調べるものである。すなわち、インク吐出面1aに液や塵等が付着していると、走査させた際に遮光されるために汚れの有無が検知できる。
このときに、インクジェットヘッド1の長手方向、又はそれに直交する方向のうちのいずれに走査させても検知は可能であるが、長手方向に走査させると走査距離が長く、検知に時間がかかる。したがって、インクジェットヘッド1の長手方向に直交する方向に走査する方式を採用すれば、走査距離も短く、ノズル列と光軸とが同じ方向となるために、光量検知センサを吐出検出センサと兼用することができる。
また、インク吐出面1aの汚れ検出を高い精度で行うためには、インク吐出面1aと吐出検出センサ20の光軸とが平行であることが必要である。ここで要求されるインク吐出面1aと光軸との角度調整の精度は、インクジェットヘッド1が大型であるほど高く、特に長尺のインクジェットヘッド1で短手方向に走査する場合は極めて高い精度が必要との角度ずれの大きさγは0.0955度であると算出できる。
その結果、吐出検出センサ20の発光部21の光軸角度調整機構23aにより、発光部21の角度を鉛直方向に0.0955度調整することによって、光軸とインク吐出面1aとのZ軸方向に平行な面内での角度ずれの大きさγを角度0に合わせることができた。
本実施の形態によれば、光軸をインクジェットヘッド1の長手方向と平行に配置した構成で、インク吐出面1aとの角度調整が可能になり、短い走査距離で吐出面の汚れ検知が可能となる。また、この場合のノズル列と光軸との位置関係は、単一の光量検知センサで吐出検出センサと吐出面汚れ検出センサとを兼用できる位置関係であり、吐出検出センサ20及びインクジェットヘッド1を移動させずとも全ノズルの吐出を検知できる位置関係でもある。また、Z軸方向に平行な面内での角度ずれの大きさγを角度0に合わせるに際して、インク液滴の吐出も不要である。
される。
本実施の形態では、インク吐出面1aと吐出検出センサ20との角度ずれを算出し、その角度ずれを補正する方法について、図6(a)(b)に基づいて説明する。
まず、インクジェットヘッド1を吐出面内回転機構32によりノズル列の方向と光軸との水平方向角度がほぼ合うような角度に回転させる。そして、図6(a)に示すように、そこから既知である第2設定角度βとして2.0度回転させる。これにより、インクジェットヘッド1と光軸とは水平方向に2.0度程ずれていることになる。
次に、図6(a)に示すように、インクジェットヘッド1を水平方向であるX軸方向に平行移動させ、インクジェットヘッド1の一端のみが光軸を遮光する位置に移動させる。この位置で、図6(b)に示すように、インクジェットヘッド1を鉛直方向に移動させながら、500μm毎に吐出検出センサ20の値をプロットする。尚、受光率の変化が大きくなる部分では、100μm毎にプロットした。同様に、再度、インクジェットヘッド1を水平方向に移動させて、他端が光軸を遮光する位置に移動させる。ここでも同様に、インクジェットヘッド1を鉛直方向に移動させながら、500μm毎に吐出検出センサ20の値をプロットした。尚、受光率の変化が大きくなる部分では、100μm毎にプロットした。
結果を図7に示す。この結果から、光軸とインクジェットヘッド1の両端との相対的高さの差Hは500μm程であることが分かる。
インクジェットヘッド1の外形寸法L2が300mm程であることから、光軸とインク吐出面1a このように、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、インクジェットヘッド1を、該インクジェットヘッド1のインク吐出面1aと垂直な平面内で該インク吐出面1aと垂直方向に相対的に平行移動させる吐出面垂直面内平行移動手段としての平行垂直移動機構11と、インクジェットヘッド1を、該インクジェットヘッド1のインク吐出面1aと垂直な平面内で相対的に回転させる吐出面垂直面内回転手段と、上記吐出面垂直面内回転手段の、インク吐出面1aと垂直な平面内における相対的回転角度を制御する吐出面垂直面内回転角度制御手段としての図示しないCPUとが設けられている。
また、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、吐出面垂直面内回転手段は、光軸をインクジェットヘッド1のインク吐出面1aと垂直な平面内で回転させる吐出面垂直面内光軸回転手段としての光軸角度調整機構23aを備えている。
そして、本実施の形態のインクジェット記録装置10の吐出検出センサ20の位置調整方法は、実施の形態1で説明した光軸とインクジェットヘッド1のノズル列との吐出面平行面内での相対的角度ずれの補正工程の後、吐出面内回転機構32にて、インクジェットヘッド1を、該インクジェットヘッド1のインク吐出面1aと平行な平面内で既知の第2設定角度βだけ回転させる工程と、インクジェットヘッド1の一方の端部のみが光軸を遮る平面位置となるように、インクジェットヘッド1を、平行垂直移動機構11にて光軸に対して相対的に平行移動させる工程と、インクジェットヘッド1の一方の端部のみが光軸を遮る位置を含む範囲で、インクジェットヘッド1を平行垂直移動機構11にてインク吐出面1aと垂直な平面内における該インク吐出面1aと垂直方向に相対的に平行移動させ、その移動中のインクジェットヘッド1の移動量と受光率とを逐次記録する垂直面内平行移動記録工程と、記録されたインクジェットヘッド1の移動量と受光率とから、インクジェットヘッド1の一端と光軸との、インク吐出面1aと垂直な平面内における該インク吐出面1aと垂直方向での相対的距離を求める一端距離算出工程と、同様の動作をインクジェットヘッド1の他端に対しても行い、インクジェットヘッド1の他端と光軸との、インク吐出面1aと垂直な平面内における該インク吐出面1aと垂直方向での相対的距離を求める他端距離算出工程と、インクジェットヘッド1の両端における光軸からのインク吐出面1aと垂直な平面内における該インク吐出面1aと垂直方向での相対的距離の差と、既知のインクジェットヘッドの外形寸法L2とから、インク吐出面1aと垂直な平面内におけるインクジェットヘッド1のノズル列と光軸との相対的回転角度であるZ軸方向に平行な面内での角度ずれの大きさγを算出する垂直面内回転角度算出工程と、算出されたノズル列と光軸とのインク吐出面1aと垂直な平面内における相対的回転角度であるZ軸方向に平行な面内での角度ずれの大きさγに基づいて、該ノズル列と光軸とのインク吐出面1aと垂直な平面内における相対的回転角度が0度となるように光軸角度調整機構23a又は垂直面内回転機構31、及び吐出面垂直面内回転角度制御手段としてのCPUにてインクジェットヘッド1を相対的に回転させる補正工程とを含む。
すなわち。本実施の形態では、インクジェットヘッド1の一端のみが光軸を遮る平面位置を含む範囲で、インクジェットヘッド1を平行垂直移動機構11にてインク吐出面1aと垂直な平面内における該インク吐出面1aと垂直方向に相対的に平行移動させることにより、インクジェットヘッド1と光軸との相対的な高さ方向距離を算出する。そして、他端にも同様の操作を行うことによって、ヘッド両端における光軸からの相対的な高さ方向距離の差を求めることができるので、既知のインクジェットヘッドの長さL2から、ノズル列と光軸との吐出面垂直面内の相対的回転角度のずれであるZ軸方向に平行な面内での角度ずれの大きさγを補正することが可能である。
したがって、インク液滴を無駄に消費することなく、短時間でかつ精度良く、インクジェットヘッド1のノズル列と発光部21から受光部22に向かう光軸との位置合わせを行い得るインクジェット記録装置10、及びその吐出検出センサ20の位置調整方法を提供することができる。
また、本実施の形態では、インクジェットヘッド1のノズル列が長くなっても、単一の光量検知センサからなる吐出検出用光センサを用いて、吐出有無の検出だけでなく、精度の高い吐出不良まで検出できると共に、さらに、インク吐出面1aにおける汚れ検知もできる配置に位置調整できる点で特に有用である。
したがって、吐出有無の検出と精度良い吐出不良の検出とを同時に可能とする位置合わせを行い得るインクジェット記録装置10、及びその吐出検出センサ20の位置調整方法を提供することができる。
また、本実施の形態のインクジェット記録装置10の吐出検出センサ20の位置調整方法では、前記垂直面内平行移動記録工程、一端距離算出工程、他端距離算出工程及び垂直面内回転角度算出工程において、インクジェットヘッド1の一方の端部のみが光軸を遮る位置を含む範囲で、インクジェットヘッド1を垂直面内回転・平行移動機構31にてインク吐出面1aと垂直な平面内における該インク吐出面1aと垂直方向に相対的に平行移動させ、その移動中のインクジェットヘッド1の移動量と受光率とを逐次記録する垂直面内平行移動記録工程を、光軸角度調整機構23a及び吐出面垂直面内回転角度制御手段にて吐出検出センサ20をインク吐出面1aとの垂直な平面内におけるインク吐出面1aと光軸との相対的角度を既知の第3設定角度だけ変化させた状態で2度以上行う工程と、インクジェットヘッド1の両端と光軸との相対距離の差の変化から、インク吐出面1aと垂直な平面内におけるインクジェットヘッド1のノズル列と光軸との相対的回転角度を算出する垂直面内回転角度算出工程を行うことが可能である。
これにより、インクジェットヘッド1の一方の端部のみが光軸を遮る位置を含む範囲で、光軸角度調整機構23a及び吐出面垂直面内回転角度制御手段を用いて、インク吐出面1aとの垂直な平面内におけるインク吐出面1aと光軸との相対的角度を既知の第3設定角度だけ変化させて2度以上同様の操作を行えば、インクジェットヘッド1の外形寸法が未知であっても、インクジェットヘッド1の両端と光軸との相対距離の差の変化から、インク吐出面1aと垂直な平面内におけるノズル列と光軸との相対的回転角度を算出することができる。
尚、この方法は、実施の形態2で用いた方法と同じであるので、具体的な説明は省略する。