JP4991433B2 - 内燃機関用のスパークプラグ - Google Patents
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Description
該スパークプラグは、中心電極と接地電極とを有し、その間に火花放電ギャップを設けている。この火花放電ギャップにおける火花放電によって、混合気体に着火する。
そして、火花放電ギャップにおける飛火性、着火性、耐久性等を向上させるべく、中心電極及び接地電極の互いの対向面に、それぞれ貴金属チップを配設してなるスパークプラグがある(特許文献1)。
上記貴金属チップとしては、Ir(イリジウム)やPt(白金)が使用されている。
そこで、貴金属チップの耐消耗性を向上させるために、Pt−Rh合金、Pt−Ir合金を貴金属チップとして用いることが提案されてきた(特許文献2)。特に、Pt−Rh合金は、耐酸化揮発性、耐酸化性の双方に優れている。
上記中心電極及び上記接地電極の少なくとも一方には、貴金属チップが接合されており、
該貴金属チップは、PtとRhとの合金に、下記のA群元素を1〜5重量%含有してなり、
上記A群元素は、Cr、Reからなり、
また、上記Rhの含有量は20〜40重量%であり、残部がPtであることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項1)。
本発明の他の態様は、互いの間に火花放電ギャップを設けた中心電極と接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグにおいて、
上記中心電極及び上記接地電極の少なくとも一方には、貴金属チップが接合されており、
該貴金属チップは、PtとRhとの合金に、下記のA群元素を1重量%超え5重量%以下含有してなり、
上記A群元素は、Taからなり、
また、上記Rhの含有量は20〜40重量%であり、残部がPtであることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項2)。
上記スパークプラグにおける貴金属チップは、PtとRhとの合金からなるため、耐火花消耗性及び耐酸化性に優れている。
ところが、上述したごとく、Pt−Rh合金を用いた貴金属チップであっても、長期間の使用によって、燃料に含まれるリンにより腐食するという問題がある。かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究した結果、Pt−Rh合金に、上記のA群元素を上記の含有量条件の下に添加することにより、リンに対する耐食性を向上させることができることを見出した。
上記B群元素の添加量が0.1重量%未満の場合には、充分な耐リン性を得ることが困難となるおそれがある。一方、上記B群元素の添加量が3重量%を超える場合には、高温雰囲気に曝されたときの耐酸化揮発性を充分に得ることが困難となると共に、合金が脆くなり貴金属チップの加工性が低下するおそれがある。
また、Alの添加量が0.01重量%未満の場合には、充分な耐リン性を得ることが困難となるおそれがある。一方、上記Alの添加量が1重量%を超える場合には、合金の融点が低下し、貴金属チップの耐火花消耗性が低下するおそれがある。
なお、上記貴金属チップには、上記の元素以外の元素が不可避的不純物として混入することもある。
この場合には、特に耐鉛性にも優れた内燃機関用のスパークプラグを得ることができる。すなわち、燃料中には鉛(Pb)が含有されることもあり、この鉛による貴金属チップの腐食が懸念されることもある。そこで、上記貴金属チップは、PtとRhとの合金に、A群元素を含有することにより、耐リン性に優れると共に、耐鉛性にも優れる。
また、上記貴金属チップは、下記のB群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなり、上記B群元素は、Mn、Coからなり、上記C群元素は、Au、Pdからなることが好ましい(請求項3)。
参考例にかかる内燃機関用のスパークプラグにつき、図1、図2を用いて説明する。
本例のスパークプラグ1は、互いの間に火花放電ギャップ11を設けた中心電極2と接地電極3とを有する。
中心電極2及び接地電極3には、それぞれ貴金属チップ21、31が接合されている。
上記A群元素は、Cr、Ta、Reからなり、上記B群元素は、Mn、Coからなり、上記C群元素は、Au、Pdからなる。
また、貴金属チップ21、31における、Rhの含有量は10〜40重量%であり、残部がPtである。
上記絶縁碍子5は中心貫通孔51を有し、中心電極2は、絶縁碍子5の先端から突出する状態で中心貫通孔51に保持されている。また、取付金具4は、その内側に絶縁碍子5を保持すると共に、その外周に、内燃機関の燃焼室にスパークプラグ1を取り付けるための取付け用ネジ部42が形成されている。接地電極3は、取付金具4に固定されると共に中心電極2との間に火花放電ギャップ11を形成する。
また、中心電極母材20及び接地電極母材30はNi(ニッケル)合金からなる。
上記スパークプラグ1における貴金属チップ21、31は、PtとRhとの合金からなるため、耐火花消耗性及び耐酸化性に優れている。
そして、上記貴金属チップ21、31は、PtとRhとの合金に、上記A群元素0.1〜5重量%と、上記B群元素0.1〜3重量%と、上記C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなる。これにより、貴金属チップ21、31の耐リン性を向上させることができ、耐リン性に優れた長寿命の内燃機関用のスパークプラグを得ることができる。
本例は、中心電極2の貴金属チップ21が、主成分のPt及びRhに、A群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなり、接地電極3の貴金属チップ31がPt(白金)を主成分とした合金からなる例である。貴金属チップ31におけるPtの含有量は50重量%以上である。
その他は、参考例1と同様である。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
本例は、接地電極3の貴金属チップ31が、主成分のPt及びRhに、A群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなり、貴金属チップ21がIr又はPtを主成分とした合金からなる例である。貴金属チップ21におけるIr又はPtの含有量は50重量%以上である。
その他は、参考例1と同様である。
また、中心電極2の貴金属チップ21がIrを主成分としている場合には、中心電極2の貴金属チップ21の耐火花消耗性を特に確保することができる。そして、中心電極2の貴金属チップ21がPtを主成分としている場合には、中心電極2の貴金属チップ21の耐酸化性を特に確保することができる。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図3に示すごとく、接地電極母材30に貴金属チップ31を埋め込んだ例である。
即ち、Niからなる接地電極母材30における中心電極2との対向面に、貴金属からなる貴金属チップ31を埋め込むことにより、接地電極3を構成してある。
その他は、参考例1と同様である。
本例の場合にも、参考例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図4に示すごとく、Niを主成分とする接地電極母材30のみによって接地電極3を構成した例である。
即ち、接地電極3は、中心電極2との対向面も、貴金属チップを搭載することなく、Niを主成分とした接地電極母材30によって構成してなる。
その他は、参考例1と同様である。
本例の場合にも、参考例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、表1、図5〜図11に示すごとく、種々のPt−Rh合金についての耐リン性等を評価した例である。
具体的には、表1に示すごとく、Pt−Rh合金に、各種の元素をそれぞれ添加して、本発明のスパークプラグにおける貴金属チップの組成の範囲に入る複数の合金の試料(試料4〜15、17、18、20〜23)を作製した。また、他の元素を添加しない上記Pt−Rh合金を比較試料(試料R1)として用意した。さらに、微量のZr(ジルコニウム)を含有するPtを比較試料(試料R2)として用意した。また、Pt−Rh合金に種々の元素を添加した合金であって、本発明(請求項1)のスパークプラグにおける貴金属チップの組成の範囲に入らないものを、比較試料(試料1〜3、16、19、試料R3〜R5)として作製し、Pt−Ir合金を試料R6として作製した。
試験方法は、試験片と赤リンを耐熱容器に密封し、不活性ガス中、800℃にて1時間熱処理した。その後、金属顕微鏡によって試験片の断面を観察して、試験片における未反応層の厚さを測定した。そして、以下の式(1)によって定義される耐リン性を算出した。耐リン性は、数値が高いほど耐食性に優れていることを表す。
耐リン性(%)=(未反応層の厚さ/試験片の断面厚さ)×100 ・・・(1)
また、反応層と未反応層とを合せた試験片全体の厚さt0についても測定する。そして、上記の式(1)によって耐リン性を算出する。
同図からも、本発明の範囲内において元素を添加したPt−Rh合金は、これらが添加されていないPt−Rh合金よりも、耐リン性が向上していることが確認できる。
図10から分かるように、何れの添加元素の場合にも、添加量が1重量%程度までの間は、添加量が増えるほど耐リン性が向上し、それ以上の添加量においては、耐リン性は特に向上しない。
同図から分かるように、Rhの含有量が10〜40重量%であれば、充分に耐リン性を向上させることができる。
本例は、図12〜図17に示すごとく、Pt−Rh合金に、添加元素Cr、Re,Ta(A群元素)を添加したものにつき、耐鉛性を評価した例である。
すなわち、上記実施例1の表1における試料4、試料17、試料19について、耐鉛性を評価した。比較のために、添加元素のないPt−Rh合金である試料R1、及びPt−Ir合金である試料R6についても、同様の評価を行った。
その後、試験片の断面を、金属顕微鏡によって観察した。この金属顕微鏡写真を図13〜図17に示す。具体的には、それぞれ、図13は試料R6、図14は試料R1、図15は試料4、図16は試料17、図17は試料19の断面である。ここで、各写真の左端部分の黒色部分は付着したガラスであり、その右隣の濃い灰色部分がPt−Pb系の反応生成物である。更にその右隣の比較的薄い灰色部分は合金内部表層の反応層である。そして、その更に右側の更に薄い灰色部分は未反応層である。
測定結果を、図12に示す。同図において、各試料の鉛反応量は、試料R1の鉛反応量に対する比率として表した。
同図から分かるように、試料R6、R1に対して、試料4、17、19は、何れも耐鉛性が向上している。
11 火花放電ギャップ
2 中心電極
21 貴金属チップ
3 接地電極
31 貴金属チップ
Claims (3)
- 互いの間に火花放電ギャップを設けた中心電極と接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグにおいて、
上記中心電極及び上記接地電極の少なくとも一方には、貴金属チップが接合されており、
該貴金属チップは、PtとRhとの合金に、下記のA群元素を1〜5重量%含有してなり、
上記A群元素は、Cr、Reからなり、
また、上記Rhの含有量は20〜40重量%であり、残部がPtであることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。 - 互いの間に火花放電ギャップを設けた中心電極と接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグにおいて、
上記中心電極及び上記接地電極の少なくとも一方には、貴金属チップが接合されており、
該貴金属チップは、PtとRhとの合金に、下記のA群元素を1重量%超え5重量%以下含有してなり、
上記A群元素は、Taからなり、
また、上記Rhの含有量は20〜40重量%であり、残部がPtであることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。 - 請求項1又は2において、上記貴金属チップは、下記のB群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなり、上記B群元素は、Mn、Coからなり、上記C群元素は、Au、Pdからなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
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