JP2009037750A - 内燃機関用のスパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐リン性に優れた長寿命の内燃機関用のスパークプラグを提供すること。
【解決手段】互いの間に火花放電ギャップ11を設けた中心電極2と接地電極3とを有する内燃機関用のスパークプラグ1。中心電極2及び接地電極3の少なくとも一方には、貴金属チップ21が接合されている。貴金属チップ21は、PtとRhとの合金に、下記のA群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなる。A群元素は、Cr、Ta、Reからなり、B群元素は、Mn、Coからなり、C群元素は、Au、Pdからなる。Rhの含有量は10〜40重量%であり、残部がPtである。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等に使用する内燃機関用のスパークプラグに関する。
従来より、自動車等の内燃機関の着火手段として用いられる内燃機関用のスパークプラグがある。
該スパークプラグは、中心電極と接地電極とを有し、その間に火花放電ギャップを設けている。この火花放電ギャップにおける火花放電によって、混合気体に着火する。
そして、火花放電ギャップにおける飛火性、着火性、耐久性等を向上させるべく、中心電極及び接地電極の互いの対向面に、それぞれ貴金属チップを配設してなるスパークプラグがある(特許文献1)。
上記貴金属チップとしては、Ir(イリジウム)やPt(白金)が使用されている。
しかしながら、近年、内燃機関の高性能化により、燃焼室の温度が高くなる傾向にあり、貴金属チップの耐消耗性をより向上させる必要が生じている。
そこで、貴金属チップの耐消耗性を向上させるために、Pt−Rh合金、Pt−Ir合金を貴金属チップとして用いることが提案されてきた(特許文献2)。特に、Pt−Rh合金は、耐酸化揮発性、耐酸化性の双方に優れている。
しかしながら、燃料中に含まれる軽元素、特にP(リン)によって、貴金属チップが腐食するという問題がある。これにより、長期の使用において、貴金属チップの耐久性が不充分となり、スパークプラグの長寿命化の妨げとなるおそれがある。
特開2003−317896号公報 特開平10−041048号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、耐リン性に優れた長寿命の内燃機関用のスパークプラグを提供しようとするものである。
本発明は、互いの間に火花放電ギャップを設けた中心電極と接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグにおいて、
上記中心電極及び上記接地電極の少なくとも一方には、貴金属チップが接合されており、
該貴金属チップは、PtとRhとの合金に、下記のA群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなり、
上記A群元素は、Cr、Ta、Reからなり、
上記B群元素は、Mn、Coからなり、
上記C群元素は、Au、Pdからなり、
また、上記Rhの含有量は10〜40重量%であり、残部がPtであることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項1)。
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグにおける貴金属チップは、PtとRhとの合金からなるため、耐火花消耗性及び耐酸化性に優れている。
ところが、上述したごとく、Pt−Rh合金を用いた貴金属チップであっても、長期間の使用によって、燃料に含まれるリンにより腐食するという問題がある。かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究した結果、Pt−Rh合金に、上記のA群元素、B群元素、C群元素、Alの少なくとも一種を、上記の含有量条件の下に添加することにより、リンに対する耐食性を向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明のスパークプラグにおける上記貴金属チップは、PtとRhとの合金に、上記A群元素0.1〜5重量%と、上記B群元素0.1〜3重量%と、上記C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなる。これにより、上記貴金属チップの耐リン性を向上させることができ、耐リン性に優れた長寿命の内燃機関用のスパークプラグを得ることができる。
以上のごとく、本発明によれば、耐リン性に優れた長寿命の内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
本発明(請求項1)において、上記内燃機関用のスパークプラグは、例えば、自動車、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等における内燃機関の着火手段として用いることができる。
上記A群元素の添加量が0.1重量%未満の場合には、充分な耐リン性を得ることが困難となるおそれがある。一方、上記A群元素の添加量が5重量%を超える場合には、高温雰囲気に曝されたときの耐酸化揮発性を充分に得ることが困難となるおそれがある。
上記B群元素の添加量が0.1重量%未満の場合には、充分な耐リン性を得ることが困難となるおそれがある。一方、上記B群元素の添加量が3重量%を超える場合には、高温雰囲気に曝されたときの耐酸化揮発性を充分に得ることが困難となると共に、合金が脆くなり貴金属チップの加工性が低下するおそれがある。
上記C群元素の添加量が0.3重量%未満の場合には、充分な耐リン性を得ることが困難となるおそれがある。一方、上記C群元素の添加量が3重量%を超える場合には、高温雰囲気に曝されたときの耐酸化揮発性を充分に得ることが困難となるおそれがある。
また、Alの添加量が0.01重量%未満の場合には、充分な耐リン性を得ることが困難となるおそれがある。一方、上記Alの添加量が1重量%を超える場合には、合金の融点が低下し、貴金属チップの耐火花消耗性が低下するおそれがある。
また、Rhの含有量が10重量%未満の場合には、充分な耐リン性を得ることが困難となる。一方、Rhの含有量が40重量%を超えると、合金が脆くなり、貴金属チップの加工性が低下するおそれがある。
なお、上記貴金属チップには、上記の元素以外の元素が不可避的不純物として混入することもある。
また、上記貴金属チップは、上記A群元素を0.1〜5重量%含有してなることが好ましい(請求項2)。
この場合には、特に耐鉛性にも優れた内燃機関用のスパークプラグを得ることができる。すなわち、燃料中には鉛(Pb)が含有されることもあり、この鉛による貴金属チップの腐食が懸念されることもある。そこで、上記貴金属チップは、PtとRhとの合金に、A群元素すなわちCr、Ta、Reのいずれか一種以上を含有することにより、耐リン性に優れると共に、耐鉛性にも優れる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかる内燃機関用のスパークプラグにつき、図1、図2を用いて説明する。
本例のスパークプラグ1は、互いの間に火花放電ギャップ11を設けた中心電極2と接地電極3とを有する。
中心電極2及び接地電極3には、それぞれ貴金属チップ21、31が接合されている。
貴金属チップ21、31は、PtとRhとの合金に、下記のA群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなる。
上記A群元素は、Cr、Ta、Reからなり、上記B群元素は、Mn、Coからなり、上記C群元素は、Au、Pdからなる。
また、貴金属チップ21、31における、Rhの含有量は10〜40重量%であり、残部がPtである。
上記スパークプラグ1は、図1に示すごとく、絶縁碍子5と中心電極2と取付金具4と接地電極3とからなる。
上記絶縁碍子5は中心貫通孔51を有し、中心電極2は、絶縁碍子5の先端から突出する状態で中心貫通孔51に保持されている。また、取付金具4は、その内側に絶縁碍子5を保持すると共に、その外周に、内燃機関の燃焼室にスパークプラグ1を取り付けるための取付け用ネジ部42が形成されている。接地電極3は、取付金具4に固定されると共に中心電極2との間に火花放電ギャップ11を形成する。
上記中心電極2は、中心電極母材20の先端面に貴金属チップ21を溶接してなる。一方、上記接地電極2は、接地電極母材30における中心電極2との対向面に貴金属チップ31を溶接してなる。また、貴金属チップ21、31は、それぞれ略円柱形を有している。中心電極2の貴金属チップ21の直径は0.3〜1.1mm、軸方向長さは0.2〜1.0mmである。接地電極3の貴金属チップ31の直径は0.4〜1.2mm、軸方向長さは0.2〜1.0mmである。
また、中心電極母材20及び接地電極母材30はNi(ニッケル)合金からなる。
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグ1における貴金属チップ21、31は、PtとRhとの合金からなるため、耐火花消耗性及び耐酸化性に優れている。
そして、上記貴金属チップ21、31は、PtとRhとの合金に、上記A群元素0.1〜5重量%と、上記B群元素0.1〜3重量%と、上記C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなる。これにより、貴金属チップ21、31の耐リン性を向上させることができ、耐リン性に優れた長寿命の内燃機関用のスパークプラグを得ることができる。
また、特に、貴金属チップ21、31を、PtとRhとの合金に、A群元素すなわちCr、Ta、Reのいずれか一種以上を添加したものとすることにより、特に耐鉛性にも優れた内燃機関用のスパークプラグ1を得ることができる。すなわち、燃料中には鉛(Pb)が含有されることもあり、この鉛による貴金属チップ21、31の腐食が懸念されることもある。そこで、貴金属チップ21、31が、PtとRhとの合金に、特にA群元素すなわちCr、Ta、Reのいずれか一種以上を含有することにより、耐リン性に優れると共に耐鉛性にも優れたスパークプラグを得ることができる。
以上のごとく、本例によれば、耐リン性に優れた長寿命の内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
(実施例2)
本例は、中心電極2の貴金属チップ21が、主成分のPt及びRhに、A群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなり、接地電極3の貴金属チップ31がPt(白金)を主成分とした合金からなる例である。貴金属チップ31におけるPtの含有量は50重量%以上である。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合には、特に中心電極2の貴金属チップ21の耐リン性を向上させることができる。また、接地電極3の貴金属チップ31がPtを主成分としているため、接地電極3の貴金属チップ31の耐酸化性を特に確保することができる。特に接地電極3の貴金属チップ31は高温となりやすいため、Ptを主成分として接地電極3の貴金属チップ31の耐酸化性を確保することは有効である。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
(実施例3)
本例は、接地電極3の貴金属チップ31が、主成分のPt及びRhに、A群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなり、貴金属チップ21がIr又はPtを主成分とした合金からなる例である。貴金属チップ21におけるIr又はPtの含有量は50重量%以上である。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合には、特に接地電極3の貴金属チップ31の耐リン性を向上させることができる。
また、中心電極2の貴金属チップ21がIrを主成分としている場合には、中心電極2の貴金属チップ21の耐火花消耗性を特に確保することができる。そして、中心電極2の貴金属チップ21がPtを主成分としている場合には、中心電極2の貴金属チップ21の耐酸化性を特に確保することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
(実施例4)
本例は、図3に示すごとく、接地電極母材30に貴金属チップ31を埋め込んだ例である。
即ち、Niからなる接地電極母材30における中心電極2との対向面に、貴金属からなる貴金属チップ31を埋め込むことにより、接地電極3を構成してある。
そして、貴金属チップ21及び貴金属チップ31は、主成分のPt及びRhに、A群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなる。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を有する。
なお、本例のように貴金属チップ31を接地電極母材30に埋め込む構成においても、上記実施例2又は3のように、中心電極2の貴金属チップ21と接地電極3の貴金属チップ31とのいずれか一方を、上記のPt−Rh合金とすることができる。
(実施例5)
本例は、図4に示すごとく、Niを主成分とする接地電極母材30のみによって接地電極3を構成した例である。
即ち、接地電極3は、中心電極2との対向面も、貴金属チップを搭載することなく、Niを主成分とした接地電極母材30によって構成してなる。
一方、中心電極2は、接地電極3との対向面に、貴金属チップ21を配設してなる。そして、貴金属チップ21は、主成分のPt及びRhに、A群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなる。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施例6)
本例は、表1、図5〜図11に示すごとく、種々のPt−Rh合金についての耐リン性等を評価した例である。
具体的には、表1に示すごとく、Pt−Rh合金に、各種の元素をそれぞれ添加して、本発明のスパークプラグにおける貴金属チップの組成の範囲に入る複数の合金の試料(試料1〜23)を作製した。また、他の元素を添加しない上記Pt−Rh合金を比較試料(試料R1)として用意した。さらに、微量のZr(ジルコニウム)を含有するPtを比較試料(試料R2)として用意した。また、Pt−Rh合金に種々の元素を添加した合金であって、本発明(請求項1)のスパークプラグにおける貴金属チップの組成の範囲に入らないものを、比較試料(試料R3〜R5)として作製し、Pt−Ir合金を試料R6として作製した。
各試料を作製するに当っては、まず、それぞれの組成の合金のインゴットを作製した。なお、インゴットの作製には、真空溶解炉やプラズマ溶解炉などを用いることができる。そして、一定の加工率となるよう圧延加工と熱処理を繰り返し行い、板厚0.5mmの板状体に加工した。次いで、プレス加工によって所定の形状に打ち抜いて試験片とした。
そして、この試験片を用いて、耐リン腐食試験を行った。
試験方法は、試験片と赤リンを耐熱容器に密封し、不活性ガス中、800℃にて1時間熱処理した。その後、金属顕微鏡によって試験片の断面を観察して、試験片における未反応層の厚さを測定した。そして、以下の式(1)によって定義される耐リン性を算出した。耐リン性は、数値が高いほど耐食性に優れていることを表す。
耐リン性(%)=(未反応層の厚さ/試験片の断面厚さ)×100 ・・・(1)
また、未反応層の厚さは、図5〜図8に示すような金属顕微鏡写真において、反応層と未反応層とを区別して、その未反応層の厚さt1を測定する。図5〜図8において、比較的濃い灰色部分が反応層であり、薄い灰色部分が未反応層である。なお、図5〜図7の右端に表れている灰色部分は試料固定用治具の一部である。
また、反応層と未反応層とを合せた試験片全体の厚さt0についても測定する。そして、上記の式(1)によって耐リン性を算出する。
試験結果を、表1に示す。同表における「組成」の「他」の欄に記載した元素記号の前の数値は、その元素の添加量(重量%)を示す。
同表における試料1〜22は、本発明(請求項1)のスパークプラグの貴金属チップの組成範囲に入る合金であるが、これらはいずれも耐リン性が高い値を示しており、他の元素を添加しない上記Pt−Rh合金(試料R1)の耐リン性25%に対して、大きく耐リン性が向上していることが分かる。
また、本発明の試料(試料1〜23)の中で、Rhの含有量20重量%のPt−Rh合金に対してそれぞれ1重量%の各種元素(Cr,Mn,Co,Au,Pd,Re,Ta,Al)を添加した試料(試料4、9、12,14,15,17,19,23)を抜き出して、その耐リン性を棒グラフにして表したのが、図9である。同図においては、比較として、試料R1の耐リン性も掲載した。また、同図において、横軸の下に、各試料の添加元素を記載した。
同図からも、本発明の範囲内において元素を添加したPt−Rh合金は、これらが添加されていないPt−Rh合金よりも、耐リン性が向上していることが確認できる。
また、表1にまとめた試験結果から、Rhの含有量は20重量%のPt−Rh合金における、Cr,Re,Co,Alの添加量と貴金属チップの耐リン性との関係を、曲線グラフにて表したのが、図10である。同図において、◇にてプロットしたデータがCr添加の試料についてのデータ、△にてプロットしたデータがRe添加の試料についてのデータ、×にてプロットしたデータがCo添加の試料についてのデータ、○にてプロットしたデータがAl添加の試料についてのデータである。
図10から分かるように、何れの添加元素の場合にも、添加量が1重量%程度までの間は、添加量が増えるほど耐リン性が向上し、それ以上の添加量においては、耐リン性は特に向上しない。
また、表1にまとめた試験結果から、試料1、4,5,6、及び試料R3を抜き出して、耐リン性を折れ線グラフにて表したのが、図11である。すなわち、これらの試料は、添加元素を1.0重量%のCrとしたPt−Rh合金において、Rhの含有量を種々変化させたものに当る。
同図から分かるように、Rhの含有量が10〜40重量%であれば、充分に耐リン性を向上させることができる。
また、表1に示した試料R4,R5の結果から分かるように、Rhの含有量が20重量%のPt−Rhに対して、NiやYを添加しても、耐リン性は向上せず、むしろ低下する。また、試料R6については、耐リン性が高いが、Pt−Ir合金は、耐酸化揮発性が低いという問題がある。
また、図5〜図8は、上述のごとく、耐リン腐食試験後の試験片の断面の金属顕微鏡写真である。そして、図5が添加元素を1.0重量%のCrとした試料4、図6が添加元素を1.0重量%のReとした試料17、図7が添加元素を1.0重量%のTaとした試料19、図8が添加元素のないPt−Rh合金である試料R1の断面写真である。これらの図から分かるように、添加元素のないPt−Rh合金である試料R1(図8)については、反応層が大きく形成されており、リンによる腐食が大きく進んでいる。これに対し、Cr,Re,Taをそれぞれ添加した試料4(図5)、試料17(図6)、試料19(図7)は、反応層が表層に僅かに形成されるのみで、耐リン性が大きく向上していることが分かる。
(実施例7)
本例は、図12〜図17に示すごとく、Pt−Rh合金に、添加元素Cr、Re,Ta(請求項1におけるA群元素)を添加したものにつき、耐鉛性を評価した例である。
すなわち、上記実施例6の表1における試料4、試料17、試料19について、耐鉛性を評価した。比較のために、添加元素のないPt−Rh合金である試料R1、及びPt−Ir合金である試料R6についても、同様の評価を行った。
耐鉛性試験を行うに当っては、まず、上記実施例6と同様の方法で試験片を作製し、その試験片を、800℃に保持した鉛ガラスの中に、8時間浸漬する。
その後、試験片の断面を、金属顕微鏡によって観察した。この金属顕微鏡写真を図13〜図17に示す。具体的には、それぞれ、図13は試料R6、図14は試料R1、図15は試料4、図16は試料17、図17は試料19の断面である。ここで、各写真の左端部分の黒色部分は付着したガラスであり、その右隣の濃い灰色部分がPt−Pb系の反応生成物である。更にその右隣の比較的薄い灰色部分は合金内部表層の反応層である。そして、その更に右側の更に薄い灰色部分は未反応層である。
そこで、上記の金属顕微鏡写真において、上記二つの反応層(濃い灰色部分と薄い灰色部分)の合計の厚みt2を、鉛反応量として測定した。
測定結果を、図12に示す。同図において、各試料の鉛反応量は、試料R1の鉛反応量に対する比率として表した。
同図から分かるように、試料R6、R1に対して、試料4、17、19は、何れも耐鉛性が向上している。
実施例1における、内燃機関用のスパークプラグの一部断面説明図。 実施例1における、スパークプラグの火花放電ギャップ周辺の説明図。 実施例4における、スパークプラグの火花放電ギャップ周辺の説明図。 実施例5における、スパークプラグの火花放電ギャップ周辺の説明図。 実施例6における、耐リン腐食試験後の試料4の断面写真。 実施例6における、耐リン腐食試験後の試料17の断面写真。 実施例6における、耐リン腐食試験後の試料19の断面写真。 実施例6における、耐リン腐食試験後の試料R1の断面写真。 実施例6における、Pt−Rh合金への各種元素の添加による耐リン性向上効果を示す棒グラフ。 実施例6における、Pt−Rh合金への各種元素の添加量と耐リン性との関係を示すグラフ。 実施例6における、Crを添加したPt−Rh合金におけるRh含有量と耐リン性との関係を示すグラフ。 実施例7における、Pt−Rh合金への各種元素の添加による耐鉛性向上効果を示すグラフ。 実施例7における、耐鉛腐食試験後の試料R6の断面写真。 実施例7における、耐鉛腐食試験後の試料R1の断面写真。 実施例7における、耐鉛腐食試験後の試料4の断面写真。 実施例7における、耐鉛腐食試験後の試料17の断面写真。 実施例7における、耐鉛腐食試験後の試料19の断面写真。
符号の説明
1 スパークプラグ
11 火花放電ギャップ
2 中心電極
21 貴金属チップ
3 接地電極
31 貴金属チップ

Claims (2)

  1. 互いの間に火花放電ギャップを設けた中心電極と接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグにおいて、
    上記中心電極及び上記接地電極の少なくとも一方には、貴金属チップが接合されており、
    該貴金属チップは、PtとRhとの合金に、下記のA群元素0.1〜5重量%と、B群元素0.1〜3重量%と、C群元素0.3〜3重量%と、Al0.01〜1重量%との少なくとも一種を含有してなり、
    上記A群元素は、Cr、Ta、Reからなり、
    上記B群元素は、Mn、Coからなり、
    上記C群元素は、Au、Pdからなり、
    また、上記Rhの含有量は10〜40重量%であり、残部がPtであることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
  2. 請求項1において、上記貴金属チップは、上記A群元素を0.1〜5重量%含有してなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
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