以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置500の概略構成を示す図である。
画像形成装置500は、例えば、黒、イエロー、マゼンダ、シアンのトナー像を普通紙(用紙)上に重ね合わせて転写することにより、多色画像を印刷するタンデム方式のカラープリンタである。この画像形成装置500は、図1に示されるように、光走査装置100、4本の感光ドラム30A、30B、30C、30D、転写ベルト40、給紙トレイ60、給紙コロ54、第1レジストローラ56、第2レジストローラ52、定着ローラ50、排紙ローラ58、上記各部を統括的に制御する不図示の制御装置、及び上記構成部品を収容するほぼ直方体状のハウジング501などを備えている。
ハウジング501には、上面に印刷が終了した用紙が排出される排紙トレイ501aが形成され、その排紙トレイ501aの下方に光走査装置100が配置されている。
光走査装置100は、感光ドラム30Aに対しては、上位装置(パソコン等)から供給された画像情報に基づいて変調された黒色画像成分の光ビームを走査し、感光ドラム30Bに対してはシアン画像成分の光ビームを走査し、感光ドラム30Cに対してはマゼンダ画像成分の光ビームを走査し、感光ドラム30Dに対してはイエロー画像成分の光ビームを走査する。なお、光走査装置100の構成については後述する。
4本の感光ドラム30A、30B、30C、30Dは、その表面に、光ビームが照射されると、その部分が導電性となる性質をもつ感光層が形成された円柱状の部材であり、光走査装置100の下方にX軸方向に沿って等間隔に配置されている。
感光ドラム30Aは、ハウジング501内部の−X側端部にY軸方向を長手方向として配置され、不図示の回転機構により図1における時計回り(図1の矢印に示される方向)に回転されるようになっている。そして、その周囲には、図1における12時(上側)の位置に帯電チャージャ32Aが配置され、2時の位置にトナーカートリッジ33Aが配置され、10時の位置にクリーニングケース31Aが配置されている。
帯電チャージャ32Aは、長手方向をY軸方向として、感光ドラム30Aの表面に対し所定のクリアランスを介して配置され、感光ドラム30Aの表面を所定の電圧で帯電させる。
トナーカートリッジ33Aは、黒色画像成分のトナーが充填されたカートリッジ本体と、感光ドラム30Aとは逆極性の電圧によって帯電された現像ローラなどを備え、カートリッジ本体に充填されたトナーを現像ローラを介して感光ドラム30Aの表面に供給する。
クリーニングケース31Aは、Y軸方向を長手方向とする長方形状のクリーニングブレードを備え、該クリーニングブレードの一端が感光ドラム30Aの表面に接するように配置されている。感光ドラム30Aの表面に吸着されたトナーは、感光ドラム30Aの回転に伴いクリーニングブレードにより剥離され、クリーニングケース31Aの内部に回収される。
感光ドラム30B,30C,30Dは、感光ドラム30Aと同等の構成を有し、感光ドラム30Aの+X側に所定間隔隔てて順番に配置されている。そして、その周囲には、前述の感光ドラム30Aと同様の位置関係で、帯電チャージャ32B,32C,32D、トナーカートリッジ33B,33C,33D及びクリーニングケース31B,31C,31Dがそれぞれ配置されている。
帯電チャージャ32B〜32Dは、前述した帯電チャージャ32Aと同様に構成され、感光ドラム30B〜30Dの表面を所定の電圧で帯電させる。
トナーカートリッジ33B〜33Dは、それぞれシアン、マゼンダ、イエロー画像成分のトナーが充填されたカートリッジ本体と、感光ドラム30B〜30Dとは逆極性の電圧によって帯電された現像ローラなどを備え、カートリッジ本体に充填されたトナーを現像ローラを介して感光ドラム30B〜30Dの表面にそれぞれ供給する。
クリーニングケース31B〜31Dは、クリーニングケース31Aと同様に構成され、同様に機能する。
以下、感光ドラム30A、帯電チャージャ32A、トナーカートリッジ33A及びクリーニングケース31Aを合わせて第1ステーションと呼び、感光ドラム30B、帯電チャージャ32B、トナーカートリッジ33B及びクリーニングケース31Bを合わせて第2ステーションと呼び、感光ドラム30C、帯電チャージャ32C、トナーカートリッジ33C及びクリーニングケース31Cを合わせて第3ステーションと呼び、感光ドラム30D、帯電チャージャ32D、トナーカートリッジ33D及びクリーニングケース31Dを合わせて第4ステーションと呼ぶものとする。
転写ベルト40は、無端環状の部材で、感光ドラム30A,30Dの下方にそれぞれ配置された従動ローラ40a,40cと、これらの従動ローラ40a,40cより少し低い位置に配置された駆動ローラ40bに、上端面が感光ドラム30A、30B、30C、30Dそれぞれの下端面に接するように巻回されている。そして、駆動ローラ40bが図1における反時計回りに回転することにより、反時計回り(図1の矢印に示される方向)に回転される。また、転写ベルト40の+X側端部近傍には、上述した帯電チャージャ32A、32B、32C、32Dとは逆極性の電圧が印加された転写チャージャ48が配置されている。
給紙トレイ60は、転写ベルト40の下方に配置されている。この給紙トレイ60は略直方体状のトレイであり、内部に印刷対象としての複数枚の用紙61が積み重ねられて収納されている。そして、給紙トレイ60の上面の+X側端部近傍には矩形状の給紙口が形成されている。
給紙コロ54は、給紙トレイ60から用紙61を一枚ずつ取り出し、一対の回転ローラから構成される第1レジストローラ56を介して、転写ベルト40と転写チャージャ48によって形成される隙間に導出する。
定着ローラ50は、一対の回転ローラから構成され、用紙61を過熱するとともに加圧し、第2レジストローラ52を介して、排紙ローラ58へ導出する。
排紙ローラ58は、一対の回転ローラから構成され、導出された用紙61を排紙トレイ501aに順次スタックする。
次に、光走査装置100の構成について説明する。図2は光走査装置100を示す斜視図であり、図3は光走査装置100を示す側面図である。図2及び図3を総合して見るとわかるように、光走査装置100は、ポリゴンミラー104、ポリゴンミラー104の−X方向に順次配置されたfθレンズ105、反射ミラー106B及び反射ミラー106A、fθレンズ105の下方に配置された反射ミラー108B、この反射ミラー108Bの−X方向に順次配置されたトロイダルレンズ107B、反射ミラー108A、トロイダルレンズ107A、ならびに、ポリゴンミラー104の+X方向に配置されたfθレンズ305、反射ミラー306C及び反射ミラー306D、fθレンズ305の下方に配置された反射ミラー308C、この反射ミラー308Cの+X方向に順次配置されたトロイダルレンズ307C、反射ミラー308D、トロイダルレンズ307Dを備える走査光学系と、感光ドラム30A,30Bを走査する光ビームをポリゴンミラー104へ入射させる入射光学系200Aと、感光ドラム30C,30Dを走査する光ビームをポリゴンミラー104へ入射させる入射光学系200Bの2つの入射光学系とを備えている。
前記入射光学系200A,200Bは、X軸に対して120度又は60度を成す方向から、ポリゴンミラー104の偏向面に光ビームを入射させる光学系であり、図2の入射光学系200Bに代表的に示されるように、光源装置70、この光源装置70から射出される光ビームの経路に沿って順に配置された、アパーチャ部材201、光束分割プリズム202、一組の液晶素子203A,203B、一組のシリンダレンズ204A,204Bを備えている。ここで、説明の便宜上、Z軸を中心にXY座標を角度30度回転することにより定まるxyz座標系を定義し、以下、適宜この座標系を用いた説明を行う。
図4(A)は、光源装置70を示す斜視図であり、図4(B)は光源装置70の展開斜視図である。図4(A)及び図4(B)を総合して見るとわかるように、光源装置70は、光源10と受光素子18とが実装された基板76と、導光光学系20を保持する第1ホルダ74と、カップリングレンズ11を保持する第2ホルダ72とを有している。
前記基板76は、長手方向をx軸方向とする基板であり、例えば、その表裏面には前記光源10を駆動する駆動回路、及び前記受光素子18から出力される信号をモニタするモニタ回路などが形成され、−y側の面に光源10と受光素子18とが実装されている。
前記光源10は、複数のVCSELが2次元配置された面発光型の半導体レーザアレイである。図5に示されるように、光源10の発光面(−y側の面)には、発散光を−y方向へ射出する32個のVCSELが、x軸と角度θ1をなす直線L1と平行な方向を行方向とし、z軸と平行な方向を列方向とする4行8列のマトリクス状に配置されている。本実施形態では、一例としてVCSELの副走査方向の間隔Dzは18.4μmで、主走査方向の間隔Dxは30μmとなっており、各VCSELのz軸方向(副走査方向)に関し隣り合う発光源の間隔dzは2.3μm(=Dz/8)となっている。
前記受光素子18は、光源10の+x側に配置され、入射する光ビームの強度に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
前記第1ホルダ74は、+y側及び−y側が開放された枠状の部材であり、内部には導光光学系20が収容されている。
図6は、光源装置70を、第1ホルダ74と第2ホルダ72とを省略して示す図である。図6に示されるように、前記導光光学系20は、第1ホルダ74に不図示の支持部材を介して保持される、分岐光学素子21、集光レンズ22、及び反射ミラー23を有している。
前記分岐光学素子21は、光源10の−y側に配置された台形状の反射ミラーである。この分岐光学素子21は、光源10に対向する面が反射面となっており、中央部には開口21aが形成されている。図7は、前記分岐光学素子21の平面図である。図7に示されるように、分岐光学素子21は、その外形が、−x側の辺を短辺とし、+x側の辺を長辺とする台形となっており、前記開口21aは、分岐光学素子21の外形に相似する台形となるように整形されている。そして、図8の斜視図に示されるように、光源10の−y側に、Z軸に平行な軸回りに45度程度回動された状態で配置されている。
図8に示されるように、光源10から射出された光ビームLBは、分岐光学素子21に入射すると、分岐光学素子21の開口21aを通過して−y方向へ進行する光ビームLB1と、分岐光学素子21に反射されて+x方向へ進行する光ビームLB2との2つの光ビームに分岐される。分岐光学素子21は、上述したように配置されることで、短辺から光源10までの距離が、長辺から光源10までの距離よりも小さくなった状態となっている。そのため、分岐光学素子21の開口21aを通過した光ビームLB1のzx断面A1の形状は、長手方向をx軸方向とする長方形状となり、分岐光学素子21で反射された光ビームLB2のzy断面A2の形状は、y軸方向を長手方向とする長方形枠状となる。
図6に戻り、前記集光レンズ22は、正のパワーを有するレンズであり、分岐光学素子21によって、+x方向へ反射された光ビームLB2を、反射ミラー23を介して受光素子18の受光面へ集光する。
前記第2ホルダ72は、例えば図4(B)に示されるように、中央に円形開口72bが形成された板状の本体部と、本体部の−y側の面に円形開口72bを囲むように形成された環状凸部72aと、環状凸部72aの下方から−y方向に延設されたレンズ支持部72cの3部分を有している。そして、前記レンズ支持部72cの上面には、断面V字状の溝がy軸に沿って形成され、前記カップリングレンズ11は、この溝によってx軸方向及びz軸方向の位置が規定された状態で保持されている。
前記カップリングレンズ11は、屈折率が1.5程度のレンズであり、光源10から射出された光ビームをカップリングする。
上述した基板76、第1ホルダ74、及び第2ホルダ72は、基板76の−y側の面の周縁部と、第1ホルダ74の+y側端が接続され、第1ホルダ74の−y側端と、第2ホルダ72の+y側の面が接続されることで一体化されている。
図2に戻り、前記アパーチャ部材201は、一例としてx軸方向(主走査方向)を長手方向とする矩形状の開口を有し、該開口中心が、光源装置70に含まれるカップリングレンズ11(例えば図4(A)参照)の焦点位置又はその近傍に位置するように配置されている。
前記光束分割プリズム202は、分岐光学素子21の開口21aを通過した光ビームLB1を、上下方向(副走査方向)に所定距離隔てた2本の光ビームに分割する。
前記液晶素子203A,203Bは、光束分割プリズム202に2分割された光ビームそれぞれに対応するように上下に隣接して配置され、制御装置(不図示)からの電圧信号に応じて光ビームを副走査方向へ偏向する。
前記シリンダレンズ204A,204Bは、光束分割プリズム202に2分割された光ビームそれぞれに対応して上下に隣接して配置され、入射した光ビームそれぞれをポリゴンミラー104へ集光する。なお、このシリンダレンズ204A,204Bは少なくとも副走査方向に正の曲率を有し、後述するトロイダルレンズ107A〜107Dとによって、ポリゴンミラー104での偏向点と感光ドラム30A〜30Dの表面上とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系をなしている。
前記ポリゴンミラー104は、側面に光ビームの偏向面が形成された1組の正4角柱状部材からなり、それぞれの部材は相互に45度位相がずれた状態で上下方向に隣接して配置されている。そして、不図示の回転機構により、図2に示される矢印の方向に一定の角速度で回転されている。これにより、入射光学系200A,又は入射光学系200Bの光束分割プリズム202で2つに分割され、ポリゴンミラー104の偏向面にそれぞれ集光された2本の光ビームは、位相の異なる偏向面でそれぞれ偏向されることで、感光ドラム上に交互に入射する。
前記fθレンズ105、305は、光ビームの入射角に比例した像高をもち、ポリゴンミラー104により、一定の角速度で偏向される光ビームの像面をY軸に対して等速移動させる。
前記反射ミラー106A、106B、306C、306Dは、長手方向をY軸方向として配置され、fθレンズ105,305を経由した光ビームを折り返し、トロイダルレンズ107A、107B、307C、307Dそれぞれに入射させる。
前記トロイダルレンズ107A,107B,307C,307Dは、長手方向をY軸方向として配置され、反射ミラー106A,106B,306C,306Dによりそれぞれ折り返された光ビームを、Y軸方向を長手方向として配置された反射ミラー108A,108B,308C,308Dを介して、感光ドラム30A,30B,30C,30Dの表面にそれぞれ結像する。
トロイダルレンズ107A,107Bの+Y側(光ビームの入射側)端部近傍にはそれぞれ光検出センサ141A,141Bが配置され、トロイダルレンズ307C,307Dの−Y側(光ビームの入射側)端部近傍にはそれぞれ光検出センサ141C,141Dが配置されている。また、トロイダルレンズ107A,107Bの−Y側端部近傍にはそれぞれ光検出センサ142A,142Bが配置され、トロイダルレンズ307C,307Dの+Y側端部近傍にはそれぞれ光検出センサ142C,142Dが配置されている。上記光検出センサ141A〜141D、142A〜142Dは、例えば、光ビームが入射している間にオンとなり、それ以外にはオフとなる信号を出力する。
次に、上述のように構成された光走査装置100を備える画像形成装置500の動作について説明する。上位装置などから画像情報が供給されると、入射光学系200Aの光源装置70から射出された光ビームLB1は、アパーチャ部材201でビーム形状が整形された後、光束分割プリズム202によって上下方向に2分割される。分割された光ビームそれぞれは、液晶素子203A,203Bを透過することで副走査方向の位置補正がなされた後、シリンダレンズ204A,204Bによりポリゴンミラー104の偏向面に集光される。そして、ポリゴンミラー104で偏向された光ビームは、fθレンズ105へ入射する。
fθレンズ105へ入射した上方の光ビームは、反射ミラー106Bで反射されトロイダルレンズ107Bへ入射する。そして、トロイダルレンズ107Bにより、反射ミラー108Bを介して感光ドラム30Bの表面に集光される。また、fθレンズ105へ入射した下方の光ビームは、反射ミラー106Aで反射されトロイダルレンズ107Aへ入射する。そして、トロイダルレンズ107Aにより、反射ミラー108Aを介して感光ドラム30Aの表面に集光される。なお、ポリゴンミラー104は上述したように上下の偏向面間に45度の位相差がある。したがって、上方の光ビームによる感光ドラム30Bの走査と、下方の光ビームによる感光ドラム30Aの走査は、光検出センサ141A,141B,142A,142Bからそれぞれ出力される信号に基づいて、−Y方向へ向かって交互に行われることとなる。
一方、入射光学系200Bの光源装置70から射出された光ビームLB1は、アパーチャ部材201でビーム形状が整形された後、光束分割プリズム202によって上下方向に2分割される。分割された光ビームそれぞれは、液晶素子203A,203Bを透過することで副走査方向の位置補正がなされた後、シリンダレンズ204A,204Bよりポリゴンミラー104の偏向面に集光される。そして、ポリゴンミラー104で偏向された光ビームは、fθレンズ305へ入射する。
fθレンズ305へ入射した上方の光ビームは、反射ミラー306Cで反射されトロイダルレンズ307Cへ入射する。そして、トロイダルレンズ307Cにより、反射ミラー308Cを介して感光ドラム30Cの表面に集光される。また、fθレンズ305へ入射した下方の光ビームは、反射ミラー306Dで反射されトロイダルレンズ307Dへ入射する。そして、トロイダルレンズ307Dにより、反射ミラー308Dを介して感光ドラム30Dの表面に集光される。なお、ポリゴンミラー104は上述したように上下の偏向面間に45度の位相差がある。したがって、上方の光ビームによる感光ドラム30Cの走査と、下方の光ビームによる感光ドラム30Dの走査は、光検出センサ141C,141D,142C,142Dからそれぞれ出力される信号に基づいて、+Y方向へ向かって交互に行われることとなる。
また、光源装置70では、図6に示されるように、光源10から射出され、分岐光学素子21の反射面で反射された光ビームLB2は、集光レンズ22によって受光素子18へ入射される。光源装置70では、光ビームLB2が受光素子18へ入射したときに出力される信号が常時モニタされ、光源10から射出される光ビームLBの光量制御が行なわれる。
具体的には、光ビームLB1がポリゴンミラー104の偏向面で偏向された後、感光ドラムの書き込み領域へ至るまでの間に、光ビームLB2は、受光素子18によって受光される。光源装置70では、この光ビームLB2を受光することで受光素子18から出力される光電変換信号に基づいて光源10から射出される光ビームLBの強度を検出し、光源10から射出される光ビームLBの強度が、予め設定された強度となるように、各VCSELへ供給する注入電力の値のセット(決定)を行う。これにより、分岐光学素子21の開口21aを通過した光ビームLB1は、予め設定された強度に調整された状態で感光ドラム30A〜30Dの書き込み領域に入射する。なお、上述の注入電力の値は、書き込み領域の走査が終了すると一旦リセットされ、次回の書き込み領域の走査前に再度セットされる。すなわち、書き込み領域の走査ごとに、各VCSELの出力調整が行われる。
一方、感光ドラム30A、30B、30C、30Dそれぞれの表面の感光層は、帯電チャージャ32A、32B、32C、32Dにより所定の電圧で帯電されることにより、電荷が一定の電荷密度で分布している。そして、上述したように、感光ドラム30A、30B、30C、30Dがそれぞれ走査されると、光ビームが集光したところの感光層が導電性を有するようになり、その部分では電位がほぼ零となる。したがって、図1の矢印の方向にそれぞれ回転している感光ドラム30A、30B、30C、30Dが、画像情報に基づいて変調された光ビームによって走査されるとことにより、それぞれの感光ドラム30A、30B、30C、30Dの表面には、電荷の分布により規定される静電潜像が形成される。
感光ドラム30A、30B、30C、30Dそれぞれの表面に静電潜像が形成されると、図1に示されるトナーカートリッジ33A、33B、33C、33Dの現像ローラにより、感光ドラム30A、30B、30C、30Dそれぞれの表面にトナーが供給される。このときトナーカートリッジ33A、33B、33C、33Dそれぞれの現像ローラは感光ドラム30A、30B、30C、30Dと逆極性の電圧により帯電されているため、現像ローラに付着したトナーは感光ドラム30A、30B、30C、30Dと同極性に帯電されている。したがって、感光ドラム30A、30B、30C、30Dの表面のうち電荷が分布している部分にはトナーが付着せず、走査された部分にのみトナーが付着することにより、感光ドラム30A、30B、30C、30Dの表面に静電潜像が可視化されたトナー像が形成される。
上述のように画像情報に基づいて第1ステーション、第2ステーション、第3ステーション、及び第4ステーションで形成されたそれぞれのトナー像は、転写ベルト40の表面に重ねあわされた状態で転写され、給紙トレイ60から取り出された用紙61の表面に、転写チャージャ48によって転写され、定着ローラ50により定着される。そして、このように画像が形成された用紙61は、排紙ローラ58により排紙され、順次排紙トレイ501aにスタックされる。
以上説明したように、本実施形態にかかる光源装置70では、図8を参酌するとわかるように、分岐光学素子21に入射する光ビームLBのうち、主光線を含む光ビームLB1は、分岐光学素子21に形成された開口21aを通過して、カップリングレンズ11へ入射し、光ビームLB2が光分岐素子21に形成された反射面で反射され、受光素子18によって受光される。したがって、受光素子18によって受光された主光線を含まない光ビームLB2を用いて、光源10から射出される光ビームLBの光量をモニタすることが可能となる。
また、分岐光学素子21は、光源10に対して傾斜して配置され、分岐光学素子21に形成された開口21aは、光源10に近い位置から、光源10に遠い位置にかけて広がっている。このため、分岐光学素子21に形成された開口21aを通過した光ビームLB1の断面形状は、ほぼ長方形又は正方形となる。したがって、光ビームLB1がアパーチャ部材201を通過する際に生じる光量ロスを低減することが可能となる。
なお、光ビームLB1の断面A1の形状としては、x軸及びz軸の両方に対称な形状であればよく、分岐光学素子21の開口21aの形状を、光ビームLB1の断面形状が例えば、楕円形、長円、小判型等になるように形成してもよい。
以下、分岐光学素子21の実施例について説明する。
図9は、+z側から見た開口21aと、光源10の中心から射出された光ビームLB1の断面A1を中心に、−y側から見た開口21aと断面A1、−x側から見た開口21aと断面A1を示す図である。
開口21aの形状として、x軸から角度θ傾いた直線に沿う方向の寸法をB12(=B1+B2)、z軸に平行な短辺の寸法を2×H1、長辺の寸法を2×H2とし、zx面に対する傾きをθ、光源10の発光面中心からの距離をL、光源10から射出される光ビームのxy断面における発散角を2×α、zy断面における発散角を2×βとすると、光ビームLB1の断面A1の、x方向の寸法を2×B、z方向の寸法を2×Hとするためには、上記寸法、距離、角度の関係が以下の式で示される条件を満たしていればよい。
H1=L×tanβ/(1+tanθ×tanα)
H2=L×tanβ/(1−tanθ×tanα)
B1=L×tanα/(cosα+sinθ×tanα)
B2=L×tanα/(cosθ−sinθ×tanα)
B12=B1+B2
=(2×L×cosθ×tanα)/(cos2θ−sin2θ×tanα)
分岐光学素子21の開口21aを通過することにより、断面A1が長方形状となるように整形された光ビームLB1は、カップリングレンズ11により平行光束に変換された後、アパーチャ部材201にの開口に入射される。そのため、断面A1の大きさを、アパーチャ部材201の開口より(部品誤差、組付誤差を考慮し)若干大きくなるように、開口21aの形状(台形形状)を設定することで、アパーチャ部材201において光ビームLB1が遮られる光量を少なくすることが可能となる。従って、面発光型半導体レーザ(VCSEL)のような発光出力の低い光源手段に対して、有効な手段となる。すなわち、光ビームLB1の断面A1の形状が、x軸及びz軸に対して対称形状となるように、分岐光学素子21に設けられた開口21aの形状を整形することで、アパーチャ部材201で生じる光量ロスを低減することが可能となる。
なお、本実施例では、B1、B2、H1、H2、L、θの値を以下に示す値とした。
B1=1.18mm
B2=1.77mm
H1=1.17mm
H2=1.75mm
L=5.0mm
θ=45度
これにより、光ビームLB1の断面A1を規定するB、Hの値は以下ようになり、断面A1は主走査方向の寸法が2.0mm、副走査方向の寸法が1.4mmの長方形となった。
B=1.0mm(主走査方向の寸法:2.0mm)
H=0.7mm(副走査方向の寸法:1.4mm)
次に比較例を示す。
《比較例》
図10は、+z側から見た開口21aと、光源10の中心から射出された光ビームLB1の断面A1に隣接して、−y側から見た開口21aと断面A1を示す図である。
本比較例においては、分岐光学素子21の開口21aは、矩形形状に整形されている。開口21aが矩形形状の場合には、図10にされるように、光ビームLB1の断面A1の形状は台形となる。
開口21aをxz平面に投影したときの、x方向の寸法を2×B、Z方向の寸法を2×Hとし(なお、開口21aの中心はX軸上にあるものとする)、xz面に対する傾斜角をθとし、光源10から開口21aまでの距離をL、とした場合、光ビームLB1の断面A1の形状は、次の諸元の台形となる。
B1=B×(1+tanθ×tanα1)
B2=B×(1−tanθ×tanα2)
H1=2×H×(1+tanθ×tanα1)
H2=2×H×(1−tanθ×tanα2)
ただし、
tanα1=B/(L−B×tanθ)
tanα2=B/(L+B×tanθ)
断面A1が台形となった光ビームLB1は、カップリングレンズ11にて平行光束に整形されても、その断面A1は台形となる。但し、光源10から、開口21aまでの距離及びカップリングレンズ11までの距離の比に応じて比例拡大される。したがって、光ビームLB1がアパーチャ部材201を通過する際には、光ビームLB1のアパーチャ部材201で遮断される光束の割合が多くなり、光利用効率の低下に繋がる。なお、アパーチャ部材201に形成される開口部は、被走査面でのビームスポット性状を良好にするため、矩形形状(少なくとも、主走査方向及び副走査方向において、対称形状)に設定することが一般的である。
なお、本比較例では、L、B、H、θの値を以下に示す値とした。
L=5.0mm
B=1.0mm
H=0.7mm
θ=45度
これにより、光ビームLB1の断面A1を規定するB1、B2、H1、H2の値は以下ようになり、断面A1は、短辺が1.16mm、長辺が1.76mmの台形となった。
B1=1.25mm
B2=0.83mm
H1=0.88mm
H2=0.58mm
また、比較例では、光ビームLB1の断面A1が台形となるため、矩形状の開口が形成されたアパーチャ部材201では、遮断される光ビームの割合が増え、光量ロスが大きくなった。
また、本実施形態にかかる光源装置70では、分岐光学素子21の反射面は、光源10に近い位置から、光源10に遠い位置にかけて大きくなっているため、反射面に反射された光ビームLB2の断面の外縁はほぼ長方形又は正方形となる。したがって、受光素子18での受光効率を向上することが可能となる。
なお、分岐光学素子21に開口21aを形成する場合には、開口21aの面積よりも、反射面の面積を大きくするのが好ましい。その理由は、分岐光学素子21により分岐された光ビームLB2の断面A2の面積が、光ビームLB1の断面A1の面積よりも大きくなるため、受光素子18に入射する光ビームLB2の光量を確保することが可能となるためである。また、光ビームLB2の光量を確保することができるため、モニタ光量不十分となることに起因する誤動作の発生を抑制することも可能となる。一般に、ガウス分布を呈するビーム光束の中央部では強度は高く、周辺部に向かうに従い強度は低くなる。そのため、光ビームLB2の断面A1の面積を大きくすることが望ましい。
なお、被走査面を走査する走査用光ビームのビームスポット性状は、例えば画像形成装置による出力画像の品質に顕著に影響を及ぼすため、良好な状態とする必要がある。一方、検知用光ビームのスポットビーム性状は、走査用光ビームのビームスポット性状ほど良好である必要はなく、所定の光量が確保されていることが重要である。
また、分岐光学素子21の開口21aは、光源10の発光面に投影したときに、光源10に形成されたVCSELを含むような大きさにするのが望ましい。その理由は、分岐光学素子21において、光ビームLB1の光利用効率が不必要に減少することが回避されるからである。
例えば、図11(A)に示されるように、光源における発光部(VCSEL)が、4行4列のマトリクス状に2次元配列されている場合について考える。発光部から射出される光ビームの主光線は、配列面(紙面)に垂直である。このような場合には、図11(B)に示されるように、すべての発光部から射出される光ビームの主光線が、分岐光学素子21の開口21aに含まれる構成とすることで、全ての光ビームの光利用効率が不必要に低下することを回避することが可能となる。
一方、開口21aの大きさが小さい場合、又は、分岐光学素子21と光源10との距離が近い場合には、全ての発光部から射出される光ビームの主光線が、開口21aを通過しなくなる恐れがある。例えば、図11(C)では、開口21aが投影された領域に、4行目の右端及び左端の2つ発光部の一部が含まれない。このような場合は、走査用の光ビームの光利用効率が低下するため望ましくない。
また、本実施形態にかかる光走査装置100は、カップリングレンズ11によってカップリングされた光ビームLB1のビーム形状(光束の断面形状)を整形するための開口を備えたアパーチャ部材201を備えている。したがって、アパーチャ部材201の開口により、高精度に光ビームLB1の整形が可能となり、被走査面で良好なビームスポット性状を確保することができる。
また、アパーチャ部材201は開口の中心が、カプリングレンズ11の焦点位置又はその近傍に配置されている。したがって、光ビームLB1の主光線上にアパーチャ部材201の開口の中心が位置し、アパーチャ部材201での光量ロスを抑制することができる。
また、本実施形態にかかる画像形成装置500では、分岐光学素子21は、光源10の各VCSELから射出された光ビームLBの主光線を含む光ビームLB1を通過させ、それ以外の光ビームLB2を反射することで、光源10からの光ビームLBの分岐を行う。これにより、開口21aを通過した強度が高い光ビームLB1で、感光ドラム30A〜30Dを走査するとともに、走査に寄与しない光ビームLB2に基づいて、光源10からの光ビームLBの強度をモニタすることができる。このため、光ビームの利用効率を向上することが可能となる。
また、開口21aはアパーチャとしての機能も兼ねているため、アパーチャ部材201を必ずしも別途備える必要はない。しかし、経時変化、温度変化等に伴い、分岐光学素子21の位置が変化した場合には、光ビームLB1のビーム径も変化し、被走査面でのビームスポット径が変化する恐れがある。そのため、アパーチャ部材201を別途配備することが望ましい。
また、上記実施形態では、複数の感光体30A〜30Bを備えた多色画像を形成する画像形成装置500について説明したが、これに限らず、本発明は、例えば1つの感光体を複数の光ビームで走査することにより、単色の画像を形成する画像形成装置などにも適用することができる。
また、上記実施形態では、本発明の光走査装置100がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも好適である。
10…光源、11…カップリングレンズ、18…受光素子、20…導光光学系、21…分岐光学素子、21a…開口、22…集光レンズ、23…反射ミラー、30A〜30B…感光ドラム、31A〜31D…クリーニングケース、32A〜32D…帯電チャージャ、33A〜33D…トナーカートリッジ、40…転写ベルト、40a,40c…従動ローラ、40b…駆動ローラ、48…転写チャージャ、50…定着ローラ、52…第2レジストローラ、54…給紙コロ、56…第1レジストローラ、58…排紙ローラ、60…給紙トレイ、61…用紙、70…光源装置、72…第2ホルダ、72a…環状凸部、72b…円形開口、72c…レンズ支持部、74…第1ホルダ、76…基板、100…光走査装置、104…ポリゴンミラー、105,305…fθレンズ、106A,106B,108A,108B,306C,306D,308C,308D…反射ミラー、107A,107B,307C,307D…トロイダルレンズ、141A,141B,141C,141D、142A,142B,142C,142D…光検出センサ、201…アパーチャ部材、202…光束分割プリズム、203A,203B…液晶素子、204A,204B…シリンダレンズ、500…画像形成装置、501…ハウジング、501a…排紙トレイ。