JP4988994B2 - 電子カメラ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子カメラ装置に関し、特に、レンズ交換可能な電子カメラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンズ交換可能な電子カメラにおいては、従来、撮像素子上に結像されるべき画像の大きさとして想定しているイメージサイズが、カメラ本体毎に、また交換レンズ毎に異なる。そのため、カメラ本体と交換レンズとの接合部分であるマウントの径を、イメージサイズ毎に異なる値に設定して、同一のイメージサイズのカメラ本体と交換レンズとが組み合わせ装着されるようにしているものがある。
【0003】
一方、このようなマウントの径が複数設定される交換レンズ方式では、交換レンズの汎用性が乏しいものとなるので、マウントの径を全て同一サイズにしたものもあるが、この場合には、カメラ本体のイメージサイズと交換レンズのイメージサイズとが異なる組み合わせ装着が発生する。この際、イメージサイズの大きな交換レンズがイメージサイズの小さなカメラ本体に装着された場合には支障ないが、その逆に交換レンズのイメージサイズが小さい場合には光束のケラレ(口径食)等の問題が生じる。
【0004】
これに対し、例えば特開平2−33267号及び特開平2−33268号公報に示されるように、イメージサイズの小さな交換レンズをイメージサイズの大きなカメラ本体に対して装着することを機械的構造によって不可能にし、これによって、前記ケラレ等の問題の発生を防止するようにした装置がある。また、特開平2−39777号公報に示されるように、交換レンズとカメラ本体とを電気的に接続し、交換レンズ側に記憶された交換レンズのイメージサイズに関連する情報に基づいて、カメラ本体側のイメージサイズに対して交換レンズのイメージサイズが適合するか否かを判定し、不適合とされた場合に(交換レンズ側のイメージサイズが小さい場合)、警告を発するようにした装置もある。
【0005】
上述の電子カメラはいずれも、カメラ本体に対して交換レンズのイメージサイズが適合しない場合に、その交換レンズのカメラ本体への装着を回避することによってケラレ等の問題の発生を防止するものであり、交換レンズの汎用性が十分に確保されたわけではない。そこで、カメラ本体に適合しないイメージサイズの交換レンズが装着された場合であっても、ケラレのない良好な撮影画像を得ることができる次のような電子カメラが提案されている。
【0006】
すなわち、交換レンズのイメージサイズを表わす情報をカメラ本体に入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された前記情報に基づき、前記交換レンズのイメージサイズがそのままで前記カメラ本体に適合するか否かを判定する判定手段とを備え、前記判定手段によって不適合と判定されると、前記交換レンズによって形成される撮像素子上の像を表わす画像信号に対して電子回路で信号処理を行ない、前記撮像素子上の所定の範囲に対応する像を拡大する電子ズームにより、前記交換レンズのイメージサイズに前記カメラ本体を適合させる。
【0007】
ところで、電子カメラでは、撮影画面の縦横比(アスペクト比)は備えられている撮像素子によってそれぞれ異なるものとなっており、フィルムカメラと同じ[2:3]のものもあるが、[3:4]のもの、[4:5]のものなど様々な種類のものが使用されている。これら従来の電子カメラでは、イメージサイズの異な0る交換レンズがカメラ本体に交換装着されたときでももアスペクト比はそのまま維持されるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した撮像素子上の所定の範囲の像を拡大する電子ズームを備えた従来の電子カメラにおいて、イメージサイズが撮像素子のイメージサイズよりも小さい交換レンズが装着され、且つ該電子カメラが、例えばアスペクト比が[4:5]の撮像素子を備えているとする。この場合に、電子ズームにより像を拡大することにより、上述のようにケラレが発生しないだけでなく、撮像素子のアスペクト比の制約からも開放され、元のアスペクト比[4:5]を必ずしも維持する必要はない。すなわち、撮像素子からの読み出し画像の大きさに対して有効領域の余裕があり、また一般的な銀塩フィルムカメラのアスペクト比である[2:3]に合わせたいとの要求がある場合には、むしろ、アスペクト比が変更されることが望ましい。
【0009】
また逆にイメージサイズが小さい交換レンズが装着されている状態から、イメージサイズが撮像素子に対して十分に大きなサイズの交換レンズに交換したときには、設定されていたアスペクト比が撮像素子のアスペクト比と同じとは限らないので、そのままのアスペクト比を維持すると、撮像素子の有効領域の全てを使い切ることが出来ないという問題があった。
【0010】
ところでまた、イメージサイズに関する情報を持たない交換レンズがカメラ本体に取り付けられた場合、カメラ本体で交換レンズのイメージサイズの大きさを知ることができないため、ケラレ等のある画像を撮影してしまったり、ケラレ画像を撮ることを避けるべく撮影を禁止してしまい、その結果、撮影のチャンスを逃してしまうといった問題があった。
【0011】
また、こうした問題を解決するために、イメージサイズ情報を持つ交換レンズと、持たない交換レンズとでマウント形状を変更するという方法も考えられる。しかし、これはユーザが、イメージサイズ情報を持つ交換レンズに対応したカメラ本体と、対応しないカメラ本体とを同時に所有していた場合、同じ焦点距離の交換レンズを複数持たなければならないことになり、ユーザに不利益を招いていた。
【0012】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、イメージサイズの情報を持たない交換レンズを装着された場合でも、ケラレのない撮影画像を得ることを可能にした電子カメラ装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電子カメラ装置は、レンズ交換可能な電子カメラ装置において、カメラ本体に装着された交換レンズによって前記カメラ本体内の撮像素子上に形成される画像の大きさであるイメージサイズの情報を、前記交換レンズから取得する取得手段と、前記取得手段により前記交換レンズからイメージサイズ情報を取得できたか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により、前記交換レンズのイメージサイズ情報を取得できなかったと判別されたとき、前記交換レンズによって前記カメラ本体内の撮像素子上に形成された画像の各画素毎の輝度に基づき、前記交換レンズのイメージサイズを推定する推定手段とを有することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1及び図2は、本発明に係る電子カメラシステムの第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、本電子カメラシステムは、デジタルカメラ本体1と、該デジタルカメラ本体1に着脱自在な撮影レンズ2とから構成される。撮影レンズ2は撮影光学系と撮影レンズユニットとによって構成され、撮影レンズユニットは撮影レンズ鏡筒に設けられ、撮影光学系を駆動する駆動手段や撮影光学系を透過する光束の入射光量を調整する光量制限手段等によって構成される。
【0026】
本電子カメラシステムにおけるデジタルカメラ本体1では、シャッター13が撮像素子24への露光時間を調整し、シャッター制御回路14が、システムコントローラ3からの制御に応じてシャッター13を駆動する。
【0027】
ミラー15は、撮影レンズ2からの光束を観察光学系に向け、撮影者に撮影画像を観察させるためのものであり、ミラー駆動回路16がミラー15を駆動制御する。この観察光学系は、ピント板32と、撮像サイズに合わせてファインダー視野率を変更する透過型液晶板31と、ペンタプリズム33と、ペンタプリズム33からの射出光の一部を測光系に振り向けるためのハーフミラーからなる測光ミラー34と、撮影者が撮影画像を観察するための接眼レンズ42とから成る。
【0028】
この測光系は、測光センサー36上に被写体像を結像させるための測光レンズ35と、測光センサー36と、測光センサー36からの出力をA/D変換すると共にシステムコントローラ3からの指示により測光センサー36を制御する測光回路37とから成る。
【0029】
姿勢検知センサー22はデジタルカメラ本体1の姿勢を検知する。
【0030】
測距センサー17は、カメラから被写体までの距離を測定するためのセンサーであり、測距回路18が測距センサー17を駆動する。
【0031】
撮像素子24はCCD(Charge Coupled Device)等からなり、撮影レンズ2の撮影光学系によって結像された被写体像を受けて電気信号に光電変換し、静止画像を表わす画像信号を生成する。
【0032】
測色センサー10は、撮影した画像のホワイトバランスを調整するために外光色を測色し、ホワイトバランス用A/D回路11が、測色センサー10の出力をA/D変換し、ホワイトバランス制御回路12が、ホワイトバランス用A/D回路11からの出力を受けてホワイトバランス補正値をシステムコントローラ3に送る。
【0033】
撮像回路25は、ホワイトバランス補正値をホワイトバランス制御回路12からシステムコントローラ3経由で受け取り、撮像素子24によって生成された画像信号に対してホワイトバランス補正を行うとともに、その他の所定の画像処理等を施す。A/D変換回路26は、この撮像回路25から出力される画像信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、メモリ30に一時的に記憶する。メモリ30はDRAM等からなるバッファメモリであり、ホワイトバランス補正値等の各種データをも一時的に記憶する。
【0034】
液晶ディスプレイ装置(以下「LCD」という)41は画像を表示し、LCD制御回路40がこのLCD41を制御する。LCD制御回路40はまた、メモリ30に一時的に記憶されたデジタル画像信号を読み出して、これを画像として表示するのに最適な形態のアナログ信号に変換し、LCD41へ伝送する。さらに、透過型液晶板31を制御してファインダー視野率を制御する。
【0035】
画像処理回路29は、メモリ30に一時的に記憶されているデジタル画像信号を読み出して所定の画像処理を施し、圧縮伸長回路28が、この画像処理回路29からの出力信号を受けて、記録媒体27に記録するのに最適な形態の画像データとなるように圧縮処理等を施す。さらに、記録媒体27に圧縮された形態で記録されている画像データを読み出して、これに対して各種の画像処理を施し得る形態の画像信号となるように伸長処理等を施す。記録媒体27はメモリカード等からなり、画像信号を所定の形態の画像データとして記録する。なお、画像処理回路29にはアスペクト比設定回路53が接続される。アスペクト比設定回路53には、予め設定されたアスペクト比が格納される。
【0036】
ストロボ19は、撮影を行なう際に、必要に応じて所定の補助光束を照射する。
【0037】
システムコントローラ3は、デジタルカメラ本体1及び撮影レンズ2からなる電子カメラシステム全体の電気回路を制御する。
【0038】
外部インターフェース(I/F)38は、デジタルカメラ本体1と外部機器(図示せず)との間で送受信される制御信号等を制御してデータ転送等を行なう。接続部54は、外部インターフェース(I/F)38を介してデジタルカメラ本体1と外部機器とを電気的に接続する接続ケーブルが接続される。
【0039】
レリーズSW(1)5、レリーズSW(2)6、撮影準備SW7、ズームSW8、アスペクト比設定SW9は各々、デジタルカメラ本体1の外装部に配設された各種の操作ボタンの操作に連動して所定の指示信号を発生し、操作手段4が、これらのスイッチから出力された指示信号を受けて所定のコマンドをシステムコントローラ3に出力する。
【0040】
駆動回路21は、撮影レンズユニットの各種の駆動手段を制御する。インターフェース(I/F)手段20は、撮影レンズユニットに設けられる記憶手段49に記憶された撮影光学系に関する各種の情報を受け取るための制御を行う。電気接点1aは、デジタルカメラ本体1と撮影レンズ2とを連結した際に両者の間を電気的に接続し、記憶手段49からの出力信号をデジタルカメラ本体1側に入力するための信号経路の接点部材であり、電気接点1bは、システムコントローラ3からの制御信号等を撮影レンズ2の各駆動手段に出力するための信号経路の接点部材である。
【0041】
一方、撮影レンズ2は、以下のように構成されている。即ち、撮影レンズ2の撮影光学系は、変倍光学系であるズームレンズ群43と、合焦光学系であるフォーカスレンズ群45と、撮影光学系により集光される被写体からの光束(以下「被写体光束」という)の入射光量を制限する絞り部44とから構成される。また、撮影レンズ2の撮影レンズユニットは、ズームレンズ群43を撮影光学系の光軸Oに沿う方向へと移動させるズームモータ46と、フォーカスレンズ群45を撮影光学系の光軸Oに沿う方向へと移動させるAFモータ48と、絞り部44を駆動する絞りアクチュエータ47と、撮影レンズ2に関する固有の種々の情報、例えばイメージサークル情報やシェーディング補正情報等の各種の情報が予め記憶されているROM等からなる記憶手段49とによって構成されている。
【0042】
そして、撮影レンズ2の鏡筒の後端面の所定の位置には電気接点2a,2bが配設され、デジタルカメラ本体1側の前面に設けられた電気接点1a,1bに接触することでデジタルカメラ本体1と撮影レンズ2とを電気的に接続し、これによって、撮影レンズ2の記憶手段49から所定の情報がデジタルカメラ本体1側に出力され、また、デジタルカメラ本体1のシステムコントローラ3から制御信号が撮影レンズ2の各部に送られる。
【0043】
このように本電子カメラシステムを構成するデジタルカメラ本体1と撮影レンズ2とは、それぞれ別体に構成されてなるものであるが、デジタルカメラ本体1に対して撮影レンズ2を機械的に装着することができるようになっている。このように両者が機械的に連結されると、それぞれに設けられている電気接点1a,1bと電気接点2a,2bとがそれぞれ接触するようになっており、これによって両者間における電気的な接続が確立する。
【0044】
レンズ着脱検知手段23は、図3に示すカメラ側マウント部51の前面の一部に設けられた撮影レンズ装着検出用ピン50に配設されていて、撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1に装着されると、該撮影レンズ装着検出用ピン50が押し込まれ、これによって、レンズ着脱検知手段23がシステムコントローラ3に装着確認信号を送信するようになっている。図3は、デジタルカメラ本体1と撮影レンズ2とを示す斜視図であり、デジタルカメラ本体1から撮影レンズ2を取り外した状態を示している。
【0045】
なお図3において、デジタルカメラ本体1には、上面の一側方寄りにレリーズボタン56と、LCD部41とが配設され、前面中央にカメラ側マウント部51が配設される。また、レリーズボタン56内部にはレリーズSW(1)5、レリーズSW(2)6が配置されている。さらに、撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1に装着された際に、カメラ側マウント部51に設けられた電気接点1a,1bと、撮影レンズ2の対向する面の一部に設けられた電気接点2a,2bとが、互いに接触し、デジタルカメラ本体1と撮影レンズ2とが電気的に接続するようになっている。
【0046】
撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1に装着されると、デジタルカメラ本体1の内部に設けられたシステムコントローラ3が、デジタルカメラ本体1の内部の各種の電気回路に加え、撮影レンズ2の内部の各種の電気回路とも電気的に接続されることになり、システムコントローラ3は本電子カメラシステム全体を制御する。
【0047】
なお、本デジタルカメラ本体1における画像信号及びこれに付随する各種の画像情報を画像データファイルとして記録するための記録媒体27としては、例えばカード形状やスティック形状等の着脱自在に配設される半導体メモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、小型ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、MO(Magneto-Optical)ディスク、MD(Mini Disk)等の光磁気記録媒体、カメラ本体に固定される固定半導体メモリ等が用いられる。
【0048】
また、複数の入力スイッチ5〜9は、上述したように操作手段4を介してシステムコントローラ3に対して各種の指示信号を与えるためのものである。そして、システムコントローラ3は、この操作手段4を介して伝送される入力スイッチ5〜9からの指示信号を受けて、指示信号に応じた所定の制御を実行するようになっている。
【0049】
入力スイッチ5〜9のうちレリーズSW(1)5は、レリーズ操作部材に連動し、測光、AF(自動合焦)といった撮影準備動作を実行するための所定の指示信号を発生する。レリーズSW(2)6は、レリーズ操作部材に連動し、撮影動作等を実行するための所定の指示信号を発生する。撮影準備SW7は、撮影モード選択部材又はマクロ撮影操作部材等(共に図示せず)に連動し、近接撮影に適した動作(AF制御等)を行なう近接撮影モードと通常の撮影を行なう通常撮影モードとを切り換えるための指示信号を発生する。ズームSW8は、撮影範囲を設定するためのズーム操作部材(図示せず)に連動して、所望の変倍率に設定するための指示信号を発生する。アスペクト比設定SW9は、画像の切り出し領域のアスペクト比を変更するための指示信号を発生する。
【0050】
記憶手段49には、撮影レンズ2を構成する撮影光学系に関する各種の情報、即ち、レンズの歪曲収差等の情報やイメージサークルに関する情報が予め記憶される。イメージサークルに関する情報としては、例えば撮影光学系におけるイメージサークル(撮影レンズ2によって撮像素子面上に投影された円形の撮影画面)での範囲情報や、このイメージサークル内の所定の領域における周辺光量の低下量(減光率)等である。なお、以下の説明においては、これら撮影光学系に関する各種の情報であって、撮影光学系に固有の各種の情報をまとめて以下では「イメージサークル情報」と呼ぶものとする。
【0051】
そして、撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1に対して装着され、電気接点2a,2b及び電気接点2a,2bを介して電気的に接続されると、必要に応じてデジタルカメラ本体1側のシステムコントローラ3は、I/F手段20を介して必要な情報を記憶手段49より読み込むことができるようになっている。
【0052】
以上のように構成された電子カメラシステムにおいて、写真撮影が行なわれる際の動作処理を、以下に説明する。
【0053】
まず、デジタルカメラ本体1のカメラ側マウント部51(図3)と撮影レンズ2の撮影レンズ側マウント部52(図3)とを連結する。すると、デジタルカメラ本体1の電気接点1a,1bと撮影レンズ2の電気接点2a,2bとがそれぞれ接触状態となる。これによって両者の間は、電気的な接続が確保された状態となる。
【0054】
この状態において、デジタルカメラ本体1の主電源が投入されることによって、本電子カメラシステムは、撮影記録動作を開始し得る撮影準備状態になる。即ち、この主電源が投入されることによって、システムコントローラ3が起動して、システムコントローラ3は、本電子カメラシステムにおける回路全体の初期化を行なう。そして、この初期化処理が完了すると、システムコントローラ3はI/F手段20を制御し、電気接点1a及び電気接点2aを介して記憶手段49からイメージサークル情報を読み込む。このとき読み込まれるイメージサークル情報は、上述したように、装着された撮影レンズ2を構成する撮影光学系に関する固有の情報である。
【0055】
このようにしてシステムコントローラ3によってデジタルカメラ本体1側に読み込まれたイメージサークル情報は、デジタルカメラ本体1のメモリ30の所定の領域に一時的に記憶される。なお、メモリ30に一時的に記憶されたイメージサークル情報は、デジタルカメラ本体1の主電源がオフ状態にされたとき無効な情報として扱われ、次回のシステム起動時における初期化処理において消去される。そして、撮影レンズ2の記憶手段49からイメージサークル情報を読み込むための処理が改めて実行される。
【0056】
また、メモリ30に一時的に記憶されたイメージサークル情報は、撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1から取り外され、電気接点1aと電気接点2aとの間の電気的な接続が切り離されたときにも無効化されるようになっている。この場合には、他の撮影レンズがデジタルカメラ本体1に装着され、電気接点1aと電気接点(2a)との間の電気的な接続が新たに確立されることを待って、システムコントローラ3が、自動的に記憶手段(49)からイメージサークル情報を読み込む。これによってメモリ30では、新たなイメージサークル情報がそれまでのイメージサークル情報に対して上書きされることになる。
【0057】
以上のようにして、本電子カメラシステムが撮影準備状態になった後、撮影を行なうための所定の操作が行なわれると、所定の撮影動作処理が開始される。
【0058】
このとき行なわれる撮影動作処理は、従来の一般的な電子カメラ等において行なわれる撮像動作処理と同様である。即ち、デジタルカメラ本体1の外装部に設けられているレリーズ操作部材(図示せず)が操作されて、レリーズSW(1)5が所定の指示信号を発生すると、この信号を受けたシステムコントローラ3が各回路を制御して、AE・AF動作等を行い、さらにレリーズ操作部材が操作されて、レリーズSW(2)6が所定の指示信号を発生すると、この信号を受けたシステムコントローラ3が各回路を制御して、所望の画像情報を記録する処理を実行する。こうした撮像動作処理については、本発明に直接関係しない部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0059】
ここで、撮像素子24、撮像回路25等の動作により取得された画像信号は、A/D変換回路26を介してデジタル信号としてメモリ30の所定の領域に一時的に記憶される。
【0060】
このメモリ30に一時的に記憶された画像信号は、画像処理回路29及び圧縮伸長回路28を介して所定の形態の画像情報として記録媒体27に記録されると同時に、LCD制御回路40を介してLCD41に送られ、画像として表示される。
【0061】
取得された画像信号がメモリ30に伝送され、これに記憶された時点においては、メモリ30に、撮影レンズ2の記憶手段49から読み込まれたイメージサークル情報が記憶されている。そこで、システムコントローラ3は、撮像素子24、画像信号を記録媒体27に記録する際に、メモリ30に記憶されているイメージサークル情報を、該画像信号に関連付けて記録媒体27に記録するようにする。すなわち、システムコントローラ3は、取得した画像信号と、この画像信号を取得するのに用いられた撮影光学系、即ち撮影時にデジタルカメラ本体1に装着されていた撮影レンズ2の撮影光学系に関するイメージサークル情報とを関連付けて、記録媒体27の所定の領域に記録することになる。
【0062】
なお、システムコントローラ3は、上述の各種の情報を記録媒体27に記録する際に、このデジタルカメラ本体1に配設された撮像素子24に関する情報、例えば受光面の対角線長さやアスペクト比等のサイズ情報等(以下「受光面サイズ情報」という)を、画像信号に関連付けを行なった上で記録媒体27に記録するようにしてもよい。この場合、撮像素子24に関する各種の情報(受光面サイズ情報)を、例えば本デジタルカメラ本体1の内部にROM等の記憶手段(図示せず)を設け、これに記憶させておくように構成すればよい。そして、本電子カメラシステムの起動時等、必要に応じて必要な情報をシステムコントローラ3の内部に設けられる内部メモリやメモリ30等に読み込むようにすればよい。
【0063】
このようにして、記録媒体27に記録された画像信号及びこれに関連する各種の情報からなる画像データファイルは、例えば本デジタルカメラ本体1の外装部に設けられる接続部54に対して電気的に接続される接続ケーブル等を介して、パーソナルコンピュータ等に代表される各種の外部情報機器(図示せず)に向けて伝送することも可能である。
【0064】
また、画像データファイルが記録された記録媒体27を、デジタルカメラ本体1に対して着脱自在に配設するようにしたPCカード等によって構成しておけば、さらに容易に外部情報機器との間でデータ移送を行なうことが可能となる。そして、画像データファイルが移送された外部情報機器等においては、この画像データファイルに基づいて、画像信号を、自己が備える表示装置等に最適な形態の画像に変換して表示することができる。
【0065】
ところで、本実施の形態の電子カメラシステムにおいては、上述したようにシステムの起動時や撮影レンズ2の交換時に、デジタルカメラ本体1のシステムコントローラ3が、デジタルカメラ本体1に装着された撮影レンズ2における記憶手段49よりイメージサークル情報を読み込んでメモリ30に一時的に記憶する。また、デジタルカメラ本体1の撮像素子24に関する各種の情報も所定の手続きを経てメモリ30に一時的に記憶される。
【0066】
一方、電子カメラシステムにおいて撮影時に取得された画像信号は、撮影時に使用されたデジタルカメラ本体1と撮影レンズ2との組み合わせによっては、例えば撮影画面周辺部においてケラレの発生が見られる場合もあり得る。つまり、撮影時にデジタルカメラ本体1に装着されていた撮影レンズ2の撮影光学系が該デジタルカメラ本体1に対して不適切なものであったことに起因して、こうしたケラレが発生する。
【0067】
本実施の形態では、こうした撮影画像の周辺部においてケラレが生ずるか否かの判断を、上述の撮影光学系のイメージサークル情報と撮像素子24の受光面サイズ情報とを比較することで行うようにする。
【0068】
すなわち、撮影光学系のイメージサークル情報と撮像素子24の受光面サイズ情報とがメモリ30に一時的に記憶された時点において、システムコントローラ3が両情報を比較し、これによって、デジタルカメラ本体1に装着された撮影レンズ2が適切なものであるか否か、ケラレを生じさせずに良好な画像信号を取得し得るものであるか否か等の判断を行う。
【0069】
そして、システムコントローラ3は、デジタルカメラ本体1に装着された撮影レンズ2が適切なものであると判断した場合には、通常の初期化処理を実行して本電子カメラシステムは撮影準備状態となる。次いで、一連の撮影動作が実行され、記録処理が実行される。このとき記録媒体27に記録される画像データファイルは、撮影動作処理によって取得された画像信号と、これに関連付けられた所定の各種の情報とによって生成される。
【0070】
このようにして記録媒体27に記録された画像データファイルに基づいて画像の再生表示を実行する場合には、画像信号に対応する所定の関連情報が参照されるが、ケラレが生じ得ないことは、上述の比較処理によって判明しているので、特に補正処理等の特別な処理はなされず、通常の画像処理が実行された後、その画像信号に基づく画像がLCD41に再生表示される。
【0071】
一方、比較処理による比較の結果、デジタルカメラ本体1に装着された撮影レンズ2が不適切なものであると判断された場合には、次に示すような制御がなされる。
【0072】
つまり、この状態でそのまま撮影を行なうと、撮影画像の周辺部において、光量不足に起因して所定の画質を維持することができず、画像の周辺部にケラレが生じる可能性が考えられる。そこで、その旨を警告手段によって撮影者に警告する。警告手段としての具体例は下記に記すが、これをデジタルカメラ本体1側に設けるようにする。そして、この警告手段による警告を受けた撮影者は、そのまま撮影動作を続行するか、または他の適切な撮影レンズへの交換を行なうかを判断することになる。
【0073】
このとき撮影者が、そのまま撮影を続行することを選択した場合、記録媒体27に記録される画像データファイルには、撮影動作処理によって取得された画像信号と、これに関連付けがなされたイメージサークル情報等の各種の情報が記録されることになる。
【0074】
また、撮影者が、他の適切な撮影レンズに交換することを選択した場合は、撮影ミス等の可能性を未然に防ぐことができる。つまり、この場合には、撮影者が適切な撮影レンズへと交換することになるので、以後の撮影動作処理によって取得される画像信号には問題がなく、したがって、その後の記録処理において補正処理等は行われない。かくして、ケラレの要因が未然に取り除かれて、常に良質な画像を表わす画像信号を取得することができると共に、デジタルカメラ本体1内部における画像処理が簡略化されるので、記録処理の高速化が図られる。
【0075】
なお、上述の警告手段の具体的な例としては、次のようなものがある。
【0076】
例えば、撮影すべき画像を観察するためのファインダー部における観察画像枠の外周縁部等にLED等を警告手段として設ける。これを点灯表示させることで所定の警告表示を行なう。これは一般的な光学ファインダー部に対して適用し得る手段である。
【0077】
また、電子カメラシステムにおいては、撮影すべき画像を観察するためのファインダー部としてLCD41を利用することが一般的に行われている。このような場合には、LCD制御回路40によってLCD41の表示画面枠内の所定の領域に所定の警告表示を表示するようにする。これによって、所望の警告手段とすることができる。
【0078】
さらに、こうした視覚的な警告手段とは別に、あるいは視覚的な警告手段に加えて、発音体39(図2)に所定の時間だけ警告音等を発生させるようにしてもよい。
【0079】
他方、装着された撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1にとって不適切なものであると、システムコントローラ3が判断した場合には、次に示すような処理を実行するようにしてもよい。
【0080】
まず、通常の撮影動作処理が実行された後の記録処理において、撮影動作処理によって取得されメモリ30に記憶された画像信号は、システムコントローラ3により制御される画像処理回路29において、表示に適した形態となるように所定の画像処理を施される。すなわち、対象となる画像信号に対して切出処理が実行され、画像信号に対応するイメージサークル情報が参照されて、その画像信号のうち所定の光量が得られる領域部分が切り出される。その後、この切出処理が施された画像信号に対しては、受光面サイズ情報が参照されて、これに応じた表示解像度となるように拡大処理が施され、最後に、この画像信号と、対応するイメージサークル情報、受光面サイズ情報等の各種情報とを関連付けた画像データファイルが記録媒体27の所定の領域に記録される。
【0081】
つまりこの場合には、ケラレが発生していない領域を切り出した後、拡大処理を施した画像信号を記録するようにしている。これによって、常に良質な画像を表す画像信号が記録媒体27に記録されることになる。
【0082】
このように、撮影動作処理の直後に実行される画像信号の記録処理において上記の所定の画像処理が施されるので、画像の再生表示を行なう際には特別に補正処理等の画像処理を実行する必要がない。これによって所望の画像を再生表示する際の処理速度を高速化することができる。
【0083】
また、アスペクト比設定SW9の操作によって、画像切り出し領域のアスペクト比の変更が指示されると、予め設定されている第1のアスペクト比(例えば、一般的な銀塩フィルムカメラのアスペクト比である[2:3])を、アスペクト比設定回路53に記憶されている第2のアスペクト比(例えば、撮像素子24の受光面と同じアスペクト比)に変更するようにする。図4は第1のアスペクト比に基づく画像切り出し領域を、図5は第2のアスペクト比に基づく画像切り出し領域を示す図である。
【0084】
図6は、アスペクト比変更を行う画像切出処理の手順を示すフローチャートである。
【0085】
撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1に装着されると(S1)、撮影レンズ2の記憶手段49からデジタルカメラ本体1へI/F手段20を介してイメージサークル情報が伝達され、イメージサークル情報からイメージサークルの大きさが検出される(S2)。そして、イメージサークル内に撮像素子24の受光面の全てが位置するか否かが判別され(S3)、イメージサークル内に撮像素子24の受光面の全てが位置するとき、適合と判定してステップS8に進み、それ以外を不適合と判定してステップS4に進む。
【0086】
ステップS8では、画像処理回路29によって画像処理を行い、得られた画像信号と、対応するイメージサークル情報、受光面サイズ情報等の各種情報とを関連付けて画像データファイルを生成する。生成された画像データファイルは記録媒体27の所定の領域に記憶される(S9)。
【0087】
ステップS4では、アスペクト比設定SW9の操作によって、画像切り出し領域のアスペクト比の変更が指示されたか否かが判別され、アスペクト比の変更が指示されていない場合は、ステップS5へ進んで、所定の光量が得られる領域部分を、予め設定された第1のアスペクト比によって切り出す切出処理が行われる。一方、アスペクト比の変更が指示された場合は、ステップS6へ進んで、所定の光量が得られる領域部分を、アスペクト比設定回路53に記憶された第2のアスペクト比によって切り出す切出処理が行われる。
【0088】
各切出処理の終了した後のステップS7では、切出処理が施された画像信号に対して、受光面サイズ情報を参照して、これに応じた表示解像度となるように拡大処理が施される。ここでの拡大処理は、切出処理が施された画像信号に対してデジタル信号処理により拡大を行う。そして、この拡大処理が施された画像信号と、対応するイメージサークル情報、受光面サイズ情報等の各種情報とを関連付けた画像データファイルが生成され(S8)、生成された画像データファイルが記録媒体27の所定の領域に記憶される(S9)。
【0089】
このようにして、撮像素子24の受光面の全てをイメージサークル内に収容しきれない撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1に装着されて撮影が行われる場合において、任意のアスペクト比で画像を切り出し、拡大処理を施すことにより、ケラレのない撮影画像を得ることができる。
【0090】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を説明する。
【0091】
第2の実施の形態の構成は、基本的に第1の実施の形態の構成と同じである。そのため、第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付してその説明を省略し、異なる部分だけを説明する。ただし、第2の実施の形態のLCD41では、後述のように撮像範囲が決定されたときに、該撮像範囲のマークを画像とともに表示する。また、LCD制御回路4は、撮像範囲が決定されたときに、ファインダ視野枠を決定して透過型液晶板31に表示する。
【0092】
図7は、第2の実施の形態における電子カメラシステムの一部の構成を示すブロック図であり、図2に示す第1の実施の形態における構成に対応するものである。
【0093】
第2の実施の形態では、イメージサイズ判別スタートSW55が操作手段4に対して新たに設けられる。第1の実施の形態におけるアスペクト比設定SW9及びアスペクト比設定回路53は存在しない。
【0094】
イメージサイズ判別スタートSW55は、撮影レンズ2のイメージサイズ情報判別シーケンスをスタートさせるためのスイッチである。
【0095】
なお、第2の実施の形態では、図3に示すように、レリーズボタン56近傍にイメージサイズ判別スタートSW55を配置する。
【0096】
図8は、視野枠の切換え可能なファインダー光学系及び測光光学系の構成を示す側面図である。
【0097】
このファインダー光学系は、撮影レンズ2(ズームレンズ群43、絞り部44、フォーカスレンズ群45)と、可動ミラー15と、透過型液晶板31と、ピント板32と、ペンタプリズム33と、ハーフミラー34と、接眼レンズ42とから構成される。また測光光学系は、撮影者に向かう光束の一部を測光センサー36に導くハーフミラー34と、測光レンズ35と、測光センサー36とで構成される。透過型液晶板31は、ペンタプリズム33の入射面とピント板32との間に設けられており、LCD制御回路40に接続されて表示状態を制御され、撮像サイズに合わせた大きさの画面サイズ視野枠が電気的に表示されるようになっている。この透過型液晶板31に表示される大画面時の視野枠aと中画面時の視野枠bと小画面時の視野枠cとを、図9の(A)、(B)、(C)にそれぞれ示す。視野枠の切り換えは、撮影画面サイズが決定された段階においてシステムコントローラ3の指示により行われる。
【0098】
図10は、イメージサイズ情報に応じてLCD41に表示されるアイコンを示す図である。
【0099】
このLCD41でのアイコン表示は、撮影レンズ2のイメージサイズ情報に連動しており、イメージサイズ情報が「大」、「中」、「小」の時、アイコン「L」、「M」、「N」が図10(A)、(B)、(C)に示すようにそれぞれ表示される。また、イメージサイズ情報を持たない撮影レンズが装着された時には、同図10(D)に示すように、アイコン「L」、「M」、「N」が全て点滅表示され、撮影者に対してイメージサイズ情報のない撮影レンズが取り付けられていることを警告する。また、警告は画像表示だけでなく発音体39を使って同時に音声によっても行われる。
【0100】
ここで、デジタルカメラ本体1側のシステムコントローラ3と撮影レンズ2側のシステムコントローラ(図示せず)との間で行われる信号の送受信について簡単に説明する。
【0101】
まず、デジタルカメラ本体1側のシステムコントローラ3が、撮影レンズ装着検出用ピン50の押し込みによってレンズ着脱検知手段23から出力された装着確認信号を読み込むと、装着された撮影レンズ2のイメージサイズ情報を得るためのコマンドを撮影レンズ2側のシステムコントローラヘ送信する。このコマンドを受信した撮影レンズ2側のシステムコントローラ3は、自撮影レンズのイメージサイズ情報をデジタルカメラ本体1側のシステムコントローラ3ヘ送信する。
【0102】
次に、デジタルカメラ本体1に装着された撮影レンズ2がイメージサイズ情報を持たないときにそのイメージサイズを推定し、その推定されたイメージサイズに基づき画像切り出しを行う処理を、図11〜図14を参照して説明する。
【0103】
図11及び図12は、デジタルカメラ本体1のシステムコントローラ3において実行される撮影レンズのイメージサイズ推定処理及び画像切出処理の手順を示すフローチャートである。
【0104】
まず、デジタルカメラ本体1の主電源が投入されると、本電子カメラシステムは、撮影記録動作を開始し得る撮影準備状態になる。即ち、この主電源が投入されることによって、システムコントローラ3が起動し、システムコントローラ3は、本電子カメラシステムの回路全体の初期化を行なう(ステップS11)。
【0105】
デジタルカメラ本体1のカメラ側マウント部51と撮影レンズ側マウント部52とを連結すると、デジタルカメラ本体1の電気接点1a,1bと撮影レンズ2の電気接点2a,2bとが接触状態となる。これによって両者の間は、電気的な接続が確保された状態となる。撮影レンズ装着検出用ピン50の押し込みによってレンズ着脱検知手段23から出力される装着確認信号を監視し、撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1に装着されているか否かを判断する(ステップS12)。撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1に装着されている場合、ステップS13へ進む。
【0106】
ステップS12において撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1に装着されていると判断された場合、システムコントローラ3はI/F手段20を制御し、電気接点1a及び電気接点2aを介して撮影レンズ2の記憶手段49からイメージサークル情報を読み込む。このとき読み込まれるイメージサークル情報は、上述したように、装着された撮影レンズ2の撮影光学系に関する固有の情報である。このとき、システムコントローラ3は、撮影レンズ2がイメージサイズ情報を持っていたか否かを判別する(S13)。撮影レンズ2がイメージサイズ情報を持っていればステップS25に進む。イメージサイズ情報を持たない場合、ステップS14に進む。
【0107】
このようにしてシステムコントローラ3によってデジタルカメラ本体1側に読み込まれたイメージサークル情報は、本デジタルカメラ本体1のメモリ30の所定領域に一時的に記憶される。なお、メモリ30に一時的に記憶されたイメージサークル情報は、本デジタルカメラ本体1の主電源がオフ状態にされたときに無効な情報として扱われ、次回のシステム起動時に初期化処理によって消去される。そして、撮影レンズ2の記憶手段49から所定のイメージサークル情報を読み込むための制御が改めて実行される。また、メモリ30に一時的に記憶されたイメージサークル情報は、撮影レンズ2がデジタルカメラ本体1から取り外され、電気接点1a及び電気接点2aの間の電気的な接続が切り離されたときにも無効化されるようになっている。この場合には、他の撮影レンズがデジタルカメラ本体1に装着され、電気接点1a及び電気接点2aの間の電気的な接続が新たに確立されることを待って、システムコントローラ3が、該他の撮影レンズの記憶手段からイメージサークル情報を読み込む制御を実行する。これによってメモリ30には、新たなイメージサークル情報が無効化された情報に上書きされることになる。
【0108】
次にステップS14において、撮影者に対して、イメージサイズ情報を持たない撮影レンズが装着されたことを警告するために、LCD41において撮影画面サイズマーク(アイコン「L」、「M」、「N」)全てを点滅表示させ、かつ発音体39に警報音を出力させる。
【0109】
次にステップS15において、イメージサイズ判別スタートSW55が操作されたか否かを判別する。操作された場合ステップS18に進み、操作されない場合、ステップS16に進む。
【0110】
ステップS16においては、レリーズSW(1)5が操作されたか否かを判別する。操作されていないければステップS15に戻り、操作されていればステップS17に進み、レリーズシーケンスを実行する。レリーズシーケンスについては図13及び図14を参照して後述する。
【0111】
ステップS18においては、ミラー15、シャッター13を駆動し、撮像素子24の全画素の画像データを取り込む。取り込まれた全画素のデータは、撮像回路25、A/D変換回路26を介してメモリ30の所定の領域に一時的に記憶される。
【0112】
ステップS19においては、メモリ30上に一時的に記憶された画像データをシステムコントローラ3によって解析を行う。解析は以下のように行われる。
【0113】
まず、画像データ全体の輝度分布を求め、図15に示すような輝度マップを作る。図15は、輝度マップの一例を示す図である。
【0114】
そして、作成された輝度マップを基にして、システムコントローラ3が全画素の画像データの中の最大輝度値を求める。
【0115】
ステップS20では、求めた最大輝度値を所定値と比較し、最大輝度値が所定値(例えばEV6)よりも大きい場合ステップS21へ進み、一方、最大輝度値が所定値以下である場合ステップS22へ進んで、撮影レンズ2のイメージサイズが小であると見なして撮影レンズ2のイメージサイズを小に設定する。すなわち、最大輝度値が所定値以下である(画像輝度レベルが全体的に低い)と、この画像データを基に撮影レンズ2のイメージサイズを推定しても、イメージサイズ小の撮影レンズを大と誤判定する可能性がある。そのため、本実施の形態では、最大輝度値が所定値以下である場合、全画素撮像データによる撮影レンズ2のイメージサイズ判別の信頼性が低い。そこで最大輝度値が所定値以下である場合、ステップS22に進んで、撮影レンズのイメージサイズを「小」であると見なすようにしている。
【0116】
ステップS21において、ステップS19で作成した輝度マップにおける中央部の輝度と周辺部の輝度とを比較する。この時、中央部と周辺部とで輝度差が例えばEV3未満の場合、撮影レンズ2のイメージサイズは「大」であると判定してステップS24に進む。また、中央と周辺部の輝度差がEV3以上の場合、輝度マップの中央(X16,Y10)を通るX軸、Y軸方向の輝度変化を求める。図16は、図15の輝度マップに基づき作成されたX軸、Y軸方向の輝度変化を示す図である。
【0117】
そして画面中央部の最大輝度値と画面周辺部の最小輝度値とを基にして有効撮像範囲を設定する。図16に示す例では、最大輝度値10と最小輝度値1との差の80%の値を最大輝度値から最小輝度値側にとったところに閾値を設定し、この閾値よりも輝度が大きい範囲を有効撮像画素範囲とする。こうして得られたX軸、Y軸方向の有効撮像画素範囲の画素アドレスからイメージサイズの直径を求める。そして、求められたイメージサイズ直径を、予め決められている撮像範囲「中」と「小」とを区別する所定値と比較し、イメージサイズ直径が所定値よりも大きいならば、撮影レンズのイメージサイズは「中」であると判定してステップS23に進み、イメージサイズ直径が所定値以下であるならば、撮影レンズ2のイメージサイズは「小」であると判定してステップS22に進む。
【0118】
ステップS22、ステップS23、ステップS24ではそれぞれ、撮影レンズのイメージサイズを「小」、「中」、「大」であるとするイメージサイズ情報をメモリ30に記憶する。
【0119】
ステップS25において、システムコントローラ3は、撮影レンズ2のイメージサイズ情報の判別を行う。イメージサイズが「大」の時にはステップS28に、イメージサイズが「中」の時にはステップS27に、イメージサイズが「小」の時にはS26に進む。
【0120】
ステップS26において、システムコントローラ3は撮像範囲を「小」に設定する。
【0121】
ステップS27において、システムコントローラ3は撮像範囲を「中」に設定する。
【0122】
ステップS28において、システムコントローラ3は撮像範囲を「大」に設定する。
【0123】
ステップS29において、ステップS14でイメージサイズ情報なし撮影レンズの警告を行っていた場合には、警告を終了すると共に、LCD41の表示を、撮影レンズ2のイメージサイズ情報に連動させ、イメージサイズが「大」の時はアイコン「L」を、「中」の時はアイコン「M」を、「小」の時はアイコン「N」をLCD41に表示する。
【0124】
そしてステップS30において、電子カメラシステムはスタンバイ状態へと移行する。
【0125】
図13及び図14は、ステップS17で実行されるレリーズシーケンスの詳細な手順を示すフローチャートである。
【0126】
ステップS101において、レリーズシーケンスがスタートする。
【0127】
ステップS102において、図11のステップS13で撮影レンズがイメージサイズ情報を持っていたと判別されたか否か、または図12のステップS22〜S24においてイメージサイズ情報がメモリ30に記憶されたか否かを判別する。イメージサイズ情報を持っていたと判別された場合またはイメージサイズ情報がメモリ30に記憶された場合、ステップS120に進み、それ以外の場合ステップS103に進む。
【0128】
撮影レンズのイメージサイズが未だ確定していない場合、ステップS103において、レリーズSW(1)5がオンされたか否かを判別する。レリーズSW(1)5がオンしていない場合、撮影動作が中断されたと見なしてステップS119に進み、電子カメラシステムをスタンバイ状態にする。レリーズSW(1)5がオンしていればステップS104に進む。
【0129】
ステップS104においては、測光、AFの撮影準備動作を行う。
【0130】
ステップS105においては、レリーズSW(2)6がオンしたか否かを判別する。オンしていなければステップS103に戻る。オンしていればステップS106に進む。
【0131】
ステップS106においては、ミラー15、シャッター13を駆動する。
【0132】
この後のステップS107〜S118の各処理は、図11、図12に示すステップS18〜S29の各処理と同じ内容である。そのため、それらの説明を省略する。
【0133】
ステップS120では、レリーズSW(1)5がオンされたか否かを判別する。レリーズSW(1)5がオンしていない場合、撮影動作が中断されたと見なしてステップS119に進み、電子カメラシステムをスタンバイ状態にする。レリーズSW(1)5がオンしている場合ステップS121に進む。
【0134】
ステップS121においては、測光、AFの撮影準備動作を行う。
【0135】
ステップS122においては、レリーズSW(2)6がオンしたか否かを判別する。オンしていなければステップS120に戻る。オンしていればステップS123に進む。
【0136】
ステップS123においては、ミラー15、シャッター13を駆動し、そしてステップS124において撮像素子24の全画素における画像データの取り込みを行う。取り込まれた全画素のデータは、撮像回路25、A/D変換回路26を介してメモリ30の所定の領域に一時的に記憶される。
【0137】
ステップS125において、撮像素子24の全画素から得られた画像データを基に、イメージサイズ情報に基づき設定された撮像範囲に位置する画像データをシステムコントローラ3が切り出す。そして、切り出された画像信号に対して、拡大処理を施す。
【0138】
そしてステップS126において、切り出され拡大処理された画像データを記録媒体27に記録し、ステップS127において電子カメラシステムをスタンバイ状態にする。
【0139】
上記の切出処理及び拡大処理は、第1の実施の形態における切出処理及び拡大処理とそれぞれ同じである。
【0140】
以上のように、第2の実施の形態では、装着された撮影レンズがイメージサイズ情報を持たない場合でも、撮像データを基に装着レンズのイメージサイズを推定して、撮像データを適切な画像サイズにて切り出すとともに、拡大処理を施すようにする。これにより、イメージサイズ情報を持たない撮影レンズがカメラ本体に装着された場合でも、ケラレのない撮影が可能となる。
【0141】
(他の実施の形態)
なお、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても、本発明が達成されることは言うまでもない。
【0142】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が、前述の実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体が本発明を構成することになる。
【0143】
プログラムコードを供給するための記憶媒体として、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0144】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【0145】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
【0146】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、装着された撮影レンズがイメージサイズ情報を持たない場合でも、撮像データを基に装着レンズのイメージサイズを推定する。更に、撮像データを適切な画像サイズにて切り出すとともに、拡大処理を施すようにする。これにより、イメージサイズ情報を持たない撮影レンズがカメラ本体に装着された場合でも、ケラレのない撮影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子カメラシステムの第1の実施の形態の構成を示すブロック図(1/2)である。
【図2】本発明に係る電子カメラシステムの第1の実施の形態の構成を示すブロック図(2/2)である。
【図3】デジタルカメラ本体と撮影レンズとを示す斜視図である。
【図4】第1のアスペクト比に基づく画像切り出し領域を示す図である。
【図5】第2のアスペクト比に基づく画像切り出し領域を示す図である。
【図6】アスペクト比変更を行う画像切出処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態における電子カメラシステムの一部の構成を示すブロック図である。
【図8】視野枠の切換え可能なファインダー光学系及び測光光学系の構成を示す側面図である。
【図9】透過型液晶板に表示される3つの異なる視野枠を示す図である。
【図10】イメージサイズ情報に応じてLCDに表示されるアイコンを示す図である。
【図11】デジタルカメラ本体のシステムコントローラにおいて実行される撮影レンズのイメージサイズ推定処理及び画像切出処理の手順を示すフローチャート(1/2)である。
【図12】デジタルカメラ本体のシステムコントローラにおいて実行される撮影レンズのイメージサイズ推定処理及び画像切出処理の手順を示すフローチャート(2/2)である。
【図13】図11のステップS17で実行されるレリーズシーケンスの詳細な手順を示すフローチャート(1/2)である。
【図14】図11のステップS17で実行されるレリーズシーケンスの詳細な手順を示すフローチャート(2/2)である。
【図15】輝度マップの一例を示す図である。
【図16】図15の輝度マップに基づき作成されたX軸、Y軸方向の輝度変化を示す図である。
【符号の説明】
1:デジタルカメラ本体
2:撮影レンズ
3:システムコントローラ(取得手段、判定手段、判別手段、推定手段、決定手段)
4:操作手段
5:レリーズSW(1)
6:レリーズSW(2)
7:撮影準備SW
8:ズームSW
9:アスペクト比設定SW
10:測色センサー
11:ホワイトバランス用A/D回路
12:ホワイトバランス制御回路
13:シャッター
14:シャッター制御回路
15:ミラー
16:ミラー制御回路
17:測距センサー
18:測距回路
19:ストロボ
20:I/F手段(取得手段)
21:駆動回路
22:姿勢検知センサー
23:レンズ着脱検知手段
24:撮像素子
25:撮像回路
26:A/D変換回路
27:記録媒体(記憶装置)
28:圧縮伸長回路
29:画像処理回路(切出手段、拡大手段、格納手段)
30:メモリ
31:透過型液晶板
32:ピント板
33:ペンタプリズム
34:測光ミラー
35:測光レンズ
36:測光センサー
37:測光回路
38:外部I/F
39:発音体
40:LCD制御回路
41:LCD
42:接眼レンズ
43:ズームレンズ
44:絞り部
45:フォーカスレンズ
46:ズームモータ
47:絞りアクチュエータ
48:AFモータ
49:記憶手段
50:撮影レンズ装着検出用ピン
51:カメラ側マウント
52:撮影レンズ側マウント
53:アスペクト比設定回路(保持手段)
54:接続部
55:イメージサイズ判別スタートSW
56:レリーズボタン

Claims (5)

  1. レンズ交換可能な電子カメラ装置において、
    メラ本体に装着された交換レンズによって前記カメラ本体内の撮像素子上に形成される画像の大きさであるイメージサイズの情報を、前記交換レンズから取得する取得手段と、
    前記取得手段により前記交換レンズからイメージサイズ情報を取得できたか否かを判別する判別手段と、
    前記判別手段により、前記交換レンズのイメージサイズ情報を取得できなかったと判別されたとき、前記交換レンズによって前記カメラ本体内の撮像素子上に形成された画像の各画素毎の輝度に基づき、前記交換レンズのイメージサイズを推定する推定手段
    を有することを特徴とする電子カメラ装置。
  2. 前記推定手段によって推定されたイメージサイズに基づき、撮像範囲を決定する決定手段と、
    前記交換レンズによって形成された前記撮像素子上の画像を、前記決定手段によって決定された撮像範囲で切り出す切出手段と、
    前記切出手段によって切り出された画像を拡大する拡大手段と、
    前記拡大手段により拡大された画像を撮影画像として記憶装置に格納する格納手段と
    を更に有することを特徴とする請求項1記載の電子カメラ装置。
  3. 前記決定手段は、前記推定手段によって推定されたイメージサイズが大きいほど、前記撮像範囲を大きく設定することを特徴とする請求項2記載の電子カメラ装置。
  4. 前記推定手段は、前記各画素毎の輝度のうち少なくとも最大値を用いて、前記交換レンズのイメージサイズを推定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子カメラ装置。
  5. 前記拡大手段は、前記切出手段によって切り出された画像をデジタル信号処理により拡大することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子カメラ装置。
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