JP4988713B2 - 薄膜希土類磁石及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロマシンやセンサ、及び小型の医療・情報機器向けに適する薄膜希土類磁石及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、保磁力の大きな高性能薄膜希土類磁石及びその製造方法に関する。
Nd−Fe−B系の希土類焼結磁石は、従来のフェライト磁石と比較して非常に高い磁気特性を有するために、VCM(ボイスコイルモータ)、MRI(磁気断層撮影装置)、各種のモータ他、様々な分野で使用されている。これらに用いる磁石は、一般に、一辺が数mm〜数十mmの大きさをもつ平板や円筒形状をしているが、携帯電話用振動モータには外径3mmで肉厚が約1mmの円筒状磁石が使われ、さらに小型の磁石がマイクロマシンやセンサ分野において要求されている。しかし、厚さが1mm以下の焼結体を製作するには粉末成形が困難である。また、予め大きな焼結体ブロックを製作した後に切断や研磨を行う方法においても、磁石強度や生産加工の技術上の問題により0.3mm以下の厚さの磁石を得ることが極めて難しい。
一方、最近、スパッタリングやレーザーアブレーション等の物理的成膜法により、厚さが0.3mmよりも薄い磁石が製作されるようになり、従来の磁石よりも厚さが薄いのでj薄膜磁石と称され、最大エネルギー積(BH)maxが200kJ/m、残留磁化が1T、保磁力Hcjが1MA/m以上の特性の磁石が報告されている(例えば、非特許文献1、特許文献1)。
これらの製法によれば、磁石合金成分を真空又は減圧空間内で基板や軸上に堆積させて熱処理を施し、各種条件を適切に制御することにより、薄膜状の磁石を焼結法と比べて比較的簡単なプロセスで得ることができる。しかし、薄膜磁石を実際の機器に応用する場合には、小型の機器ほど高性能な磁石特性が要請されることが多く、機器の様々な環境での長期間における安定使用を保証するには、最大エネルギー積や残留磁化の向上とともに、特に保磁力を1.5MA/m以上、好ましくは2MA/m以上にすることが強く求められている。
図1は、一般的なNd−Fe−B系磁石の残留磁化(Br)と保磁力(Hcj)の温度依存性を示したものである。図1より、Nd−Fe−B系磁石は温度の上昇によって磁気特性が大きく低下する本質的な問題をもっており、特に保磁力の低下率が大きいことがわかる。したがって、Nd−Fe−B系磁石を小型モータ等に使用した場合、通電によるコイルからの発熱により容易にモータ温度が60〜80℃まで上昇し、また車載用では周囲温度も加わって百数十度℃まで達するために、温度上昇による磁気特性の低下の影響を少なくするには、室温での保磁力を極力大きくすることが産業応用上不可欠な課題となっている。
さらに、平板や軸などの基材上に成膜した薄膜磁石は、その厚さ方向にNdFe14B結晶のC軸を成長させ、この膜厚方向に着磁をして用いられることが多い。この場合の薄膜磁石は、例えば、薄膜の厚さが数μm〜数十μm程度であり、平板の四辺の長さや軸の直径に対して数十分の1から百分の1となり、膜面に対して垂直方向に着磁する際には、反磁界が非常に大きくなってしまう第1の問題がある。また、この薄膜磁石を機器に組み込む場合には磁石の動作点が小さいために、保磁力が小さい場合には残留磁化が低下して充分な磁束が得られにくい第2の問題がある。前者の問題は、磁石形状と寸法を好適に設計する、及び鉄ヨーク材とを組み合わせるなど、反磁界を減らすような設計手法を用いることが有益となる。後者の問題は、磁石材料特性の向上によって1.5MA/m以上の保磁力を得ることが必須である。
したがって、最大エネルギー積と同様に保磁力を如何に大きくするかが、薄膜磁石を実用化する上で重要となる。保磁力増加の一例として、スパッタリング法によってNd−Fe−B合金を成膜した後に熱処理を行うことにより、所定の条件下で保磁力Hcjがおよそ1.3MA/mの薄膜が得られた例が報告されている(特許文献2)。しかし、この薄膜の残留磁化Brは0.31Tであり、焼結磁石の1.4Tと比較して極めて低いために実用化は困難である。
他方、前述と同様な手法でシリコン基板上にMo下地を形成した後に、Nd−Fe−B及びMo保護層を順次形成して、引き続き熱処理を行った総厚0.9μmの薄膜で1.82MA/mの保磁力が得られている(非特許文献2)。しかし、この薄膜の残留磁化は約0.7Tと低く且つ1μm以下の膜厚のため、超小型モータやセンサ等への応用においては、これらの機器を動作させるために必要な量の磁束が得られず実用面で問題がある。
一方、本発明者等は、先に、Nd−Fe−B系焼結磁石の表面から、NdFe14B結晶の粒界部にDyやTb金属を拡散浸透させることにより、残留磁化の低下を抑制しつつ保磁力を効果的に向上させた(特許文献3)。また、Nd−Fe−B系薄膜磁石においてNdFe14B結晶粒を単磁区粒径以上に大きくし、合わせて結晶粒界相を形成することにより、Brが0.8TでHcjが1.5MA/mの特性をもつ着磁性に優れた薄膜磁石を得ている(特許文献4)。
なお、薄膜を積層した磁石については、Nd−Fe−BとFeを積層させた交換スプリング磁石を製作した報告例(特許文献5)があるが、この例では残留磁化が向上して保磁力が低下し、またNdFe14B結晶粒径が1μm未満であるなど、本発明とは目的と構成物が異なる。さらに、Nd−Fe−BとTaを積層させた薄膜磁石の報告例(非特許文献3)があるが、この例ではTaの採用によりNdFe14B結晶の配向性を向上させたものであり、保磁力を向上させる効果はなくその値は0.9MA/mで小さい。
特開平8-83713号公報 特開平11-288812号公報 特開2005-011973号公報 WO2005/091315 A1公報 特開平11-214219号公報 日本応用磁気学会誌、27巻、10号、1007頁、2003年 Journal of Applied Physics、98巻、113905頁、2005年 電気学会研究会資料、MAG−03−150、2003年
NdFe14B化合物は高い飽和磁化と高い結晶磁気異方性をもつことから、焼結磁石や薄膜磁石の形態において高い残留磁化と比較的大きな保磁力が得られている。薄膜磁石は、一般的に単磁区粒子径に相当するおよそ0.3μm以下のNdFe14B結晶粒から成る。この薄膜磁石の保磁力を向上させるには、例えば、本発明者等が先に開発したように(特許文献4)、原料合金にNdより大きな磁気異方性を示すDy等を添加してNdと共に成膜させる方法があるが、この方法では(Nd,Dy)Fe14B結晶が生成して保磁力が向上するものの、結晶内でのDyとFeの磁気的な結合が反平行となるために磁気モーメントが著しく低下して、残留磁化が大きく低下する問題があった。
本発明者等は、Nd−Fe−B系薄膜磁石の保磁力を向上することを目的として、成分組成と結晶組織の研究を鋭意重ねた結果、Nd−Fe−B系合金膜とM又はM合金(ただし、Mは、Pr,Dy,Tb,Hoの一種又は二種以上)膜を積層させた後に熱処理することによって、M元素がNdと一部置換して固溶した(Nd、M)Fe14B結晶が表面部に形成されたNdFe14B結晶粒と、該NdFe14B結晶粒の粒界に(Nd、M)Fe14B結晶と界面を接して形成されたM元素を主とする結晶粒界相(又は単に「粒界相」という)とから成る薄膜磁石において、残留磁化の低下が極めて小さく且つ保磁力を大幅に向上させ、残留磁化が1.26T以上、保磁力1060kA/m以上の薄膜磁石を提供することに成功したものである。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
(1)M又はM合金(ただし、Mは、Pr,Dy,Tb,Hoの一種又は二種以上)膜とNd−Fe−B系合金膜とが交互に積層された3層以上の積層構造を熱処理してM又はM合金成分とNd−Fe−B系合金成分を相互拡散させてなる薄膜希土類磁石であって、
該熱処理によりNdFe14B結晶粒の表面部にM元素がNdと置換して固溶された(Nd、M)Fe14B結晶が形成され、かつNdFe14B結晶粒の粒界に(Nd、M)Fe14B結晶と界面を接してM又はM合金からなる結晶粒界相が形成されてなることを特徴とする薄膜希土類磁石。
(2)薄膜の厚さ方向にNdFe14B結晶相が層状に形成され、該結晶相の層間に(Nd、M)Fe14B結晶と界面を接してM又はM合金からなる結晶粒界相が形成されてなることを特徴とする上記(1)の薄膜希土類磁石。
(3)薄膜の厚さ方向にNdFe14B結晶相が層状に形成され、NdFe14B結晶粒の周囲に(Nd、M)Fe14B結晶と界面を接してNdFe14B結晶粒を取り囲むM又はM合金からなる結晶粒界相が形成されてなることを特徴とする上記(1)の薄膜希土類磁石。
(4)NdFe14B結晶粒の平均結晶粒径が0.5μm〜30μmであることを特徴とする上記(1)の薄膜希土類磁石。
(5)Nd−Fe−B系合金がNdFe14B化合物からなり、薄膜中のM元素の含有量が1〜30質量%であり、且つNdとM元素の合計含有量が28〜45質量%であることを特徴とする上記(1)の薄膜希土類磁石。
(6)NdFe14B化合物のFeの30質量%未満がCo,Ni,Ti,V,Cr,Cu,Al,Zn,Ga,V,Mo,Nb,Ta,Wの一種又は2種以上の元素で置換されていることを特徴とする上記(6)の薄膜希土類磁石。
(7)薄膜構成原料や成膜と熱処理工程から由来する不可避不純物を含むことを特徴とする上記(1)の薄膜希土類磁石。
(8)薄膜の厚さが1μm〜300μmであることを特徴とする上記(1)の薄膜希土類磁石。
(9)残留磁化Brが1.26T以上であることを特徴とする上記(1)の薄膜希土類磁石。
(10)保磁力Hcjが1060kA/m以上であることを特徴とする上記(1)の薄膜希土類磁石。
(11)減圧容器内で物理的成膜法により、Nd−Fe−B系合金とM金属又はその合金(ただし、Mは、Pr,Dy,Tb,Hoの一種又は二種以上)を交互に積層して成膜し、その後に700〜1100℃の熱処理を行うことによりM又はM合金成分とNd−Fe−B系合金成分を相互拡散させて、該NdFe14B結晶粒の表面部にM元素がNdと置換して固溶された(Nd、M)Fe14B結晶を形成し、かつNdFe14B結晶の粒界に(Nd、M)Fe14B結晶と界面を接してM又はM合金からなる結晶粒界相を形成することを特徴とする上記(1)の薄膜希土類磁石の製造方法。
(12)最初に400〜650℃でNd−Fe−B系膜中にNdFe14B化合物の結晶生成を行い、その後に700〜1100℃で熱処理する2段階の熱処理を行うことを特徴とする上記(11)の薄膜希土類磁石の製造方法。
(13)Nd−Fe−B系合金膜の一層の膜厚を0.05μm〜50μmとし、Nd−Fe−B系合金とM金属又はその合金の膜厚比を99:1〜60:40として成膜することを特徴とする上記(11)又は(12)の薄膜希土類磁石の製造方法。
本発明では、例として、Nd−Fe−B系膜とDyなどのM金属又はその合金(以下M合金という)膜を交互に積層成膜してM金属又はM合金をNd−Fe−B系膜に熱拡散させることにより、M元素の一部は形成されたNdFe14B結晶粒にNdと置換して固溶するが、残部の多くは該結晶粒の周囲又は/及びNdFe14B結晶相の層間に粒界相を形成する。また、Nd−Fe−B系膜の拡散し易いNdの一部はM金属又はM合金膜に拡散する。
この結晶組織構造により、残留磁化の低下の要因となるNdFe14B結晶粒へのM元素の過度の固溶を制限する結果、残留磁化の低下を抑制しつつ保磁力の大幅な向上を果たすことが可能となる。例えば、NdとM金属が50:50で固溶(置換)すると残留磁化が30%程度低下するため、NdFe14B結晶のNdに対するM金属固溶比率を20〜30%程度とし、保磁力を向上しながら残留磁化の低下を5〜10%以下とするのが、保磁力と残留磁化がともに高い磁気特性を得るのに好適である。
また、この結晶組織構造の形成には、薄膜磁石が基板に対して垂直に高度に配向した状態での結晶化と配向性の向上及びM元素の拡散を生じるような600±50℃と700〜1100℃の中、より好ましくは900〜1100℃の高温領域での二段熱処理が望ましく、従来のNdFe14Bの単磁区結晶粒径(0.3μm)より大きな、0.5μm〜30μm、より好適には1μm〜5μm位のNdFe14B結晶粒が熱処理により生成されて、焼結磁石と似通った磁化機構をもつようになり、薄膜磁石を機器に装着する上で重要な着磁性も向上する効果がある。
本発明により、薄膜磁石の残留磁化の低下を抑制しつつ保磁力を大幅に増加させた薄膜希土類磁石を提供することができる。
Nd−Fe−B系磁石の磁気特性と温度の関係図である。 本発明の薄膜希土類磁石の結晶相、結晶粒、結晶粒界相の構造を示す模式図である。(a)見取り図、(b)膜厚方向のA断面図、(c)B平面図。 本発明試料(6)の図面代用SEM画像である。 本発明試料(3)と比較例試料(1)のX線回折パターンである。 本発明試料(10)〜(14)と比較例試料(7)〜(9)の、Dy−Co膜厚に対する磁気特性の関係図である。 本発明試料(24)〜(30)と比較例試料(12)〜(13)の、膜厚に対する磁気特性の関係図である。
符号の説明
1 NdFe14B結晶粒
2 M又はM合金結晶粒界相
3 (Nd,M)Fe14B結晶
(合金系・結晶組織構造の説明)
本発明で対象とする薄膜磁石は、Nd−Fe−B系合金から成り、一般的には、Nd,Fe,Bを必須成分元素としたNdFe14B結晶相を主たる構成物とする。合金製作に用いるNdは、CeやPrなど他の希土類元素を不純物として、あるいは原料コスト低減のために5質量%程度まで含有して構わない。また、薄膜構成原料や成膜と熱処理工程から由来する不可避不純物を含む。
また、薄膜磁石のNdFe14B結晶粒を微細化するためやキュリー温度向上などのために、Fe成分の一部をCo,Ni,Ti,V,Cr,Cu,Al,Zn,Ga,V,Mo,Nb,Ta,Wの一種又は2種以上の元素で置換することが行われる。Feに対する置換量は各元素によって異なるが、例えば、CuやMoは1質量%程度の置換量で結晶粒の大きさの均一化と微細化に効果があり、Coは20質量%の置換量でキュリー温度が100℃程度向上する効果がある。
しかし、これらの元素の置換量が30質量%以上になるとFe原子が有する本来の磁気モーメントを薄めることになり、磁石の残留磁化と最大エネルギー積の大幅な低下を招くためにその置換量は30質量%未満とする必要がある。さらに、Nd−Fe−B系希土類合金は原料精製や成膜及び熱処理において、酸素や炭素などの不純物の混入を避けがたいが、磁石特性の確保上それら不純物を各工程で極力低減することは有益である。
一方、NdFe14B結晶相と積層させるM又はM合金結晶相におけるM元素は、Pr,Dy,Tb,Hoの一種又は二種以上であることが保磁力向上において必要である。その理由は、Rを希土類元素とした場合のRFe14B化合物の結晶磁気異方性が、RをPr,Dy,Tb,Hoとした時に、RがNdの場合より数十%から3倍程度大きいために、保磁力を向上させるにはNdFe14BのNdの一部を上記M元素で置換して固溶させることが極めて有効であり、且つNdFe14B結晶膜の層間にM元素成分を配置することも有効なためである。これらのM元素は、単体のM金属やM合金、すなわち、各種成膜法を用いて得ることができるPr,Dy,Tb,Hoの2種以上を混合した合金、及びM金属とFeやCoなど他の元素との合金であって、M元素を10重量%程度以上、好ましくは50重量%程度以上含有する合金を、磁気特性や耐食性を考慮して用いることができる。
本発明で対象とする薄膜の基本構成は、薄膜の厚さ方向にNdFe14B結晶相とM又はM合金結晶相が交互に積層した構造を有し、前者が1層で後者がその表裏に各1層、又は後者が1層で前者がその表裏に各1層の少なくとも計3層の構成とすることが必須であり、その積層数は数層から数百層としても差し支えない。
図2に、薄膜構成の代表例を模式図で示す。図2(a)は薄膜の見取り図、(b)は薄膜の厚さ方向のA断面図、(c)はB面下のNdFe14B結晶相部分の平面図である。この例は、例えば、厚さ1μm〜2μmのNd−Fe−B膜と厚さ0.1μm〜0.2μmのM膜を積層して総膜厚が50μmの薄膜を熱処理したような場合の模式図である。この場合、結晶粒は膜の厚さ方向には1層1個程度になるが、Nd−Fe−B膜の厚さを例えば、10μmとすると厚さ方向に数個のNdFe14B結晶が並ぶことになり、この場合には保磁力やc軸配向性がやや低下する。Nd−B−Fe系膜とM金属又はM合金膜を交互に成膜したままでは各膜はアモルファス又は1μm以下の微細結晶からなるが、熱処理後は、図2(b)、図2(c)に示すように、NdFe14B結晶粒1をM金属又はM合金からなる結晶粒界相2が取り囲み、且つNdFe14B結晶粒1の表面部はM金属又はM合金のM成分がNdと相互置換して部分的に固溶した(Nd,M)Fe14B結晶3となっている。図2(c)は、NdFe14B結晶粒1がほぼランダムに配置された構造を示している。
図2(b)の下図、及び上図は、それぞれNdFe14B結晶粒1が積み重なった構造を示しており、薄膜構成は、下層から上方に向かってM金属又はM合金からなる結晶粒界相2、NdFe14B結晶粒1、M金属又はM合金からなる結晶粒界相2、NdFe14B結晶粒1、M金属又はM合金からなる結晶粒界相2の5層構成となっている。なお、図2(b)の下図は、M金属又はM合金膜が比較的薄く、総膜厚に対するNdFe14B及び(Nd,M)Fe14Bの量比が大きい場合であり、NdFe14B結晶相の層間にM又はM合金からなる結晶粒界相2が配置した構造を示しており、総膜厚に対するNdFe14B及び(Nd,M)Fe14Bの量比が大きいほど残留磁化は高くなる。図2(b)の上図は、NdFe14B結晶粒1の周囲及び該結晶相の層間にM又はM合金からなる結晶粒界相2が配置した構造を示しており、これはM金属又はM合金膜が比較的厚い場合であり、NdFe14B結晶粒を結晶粒界相2及び(Nd,M)Fe14B結晶3が完全に包囲しているため保磁力は、下図の場合よりも大きくなる。
薄膜中のNdとM元素の含有量に関しては、NdFe14B化合物の理論的なNd含有量が26.7質量%に相当するため、本発明の構成では、M金属又はM合金からなる粒界相を生成させるために、NdとM元素の含有量の下限は26.7質量%に加えて少なくとも0.3質量%程度多い、すなわち、約27質量%以上であることが必要であり、それ未満ではM金属又はM合金からなる粒界相が相対的に極めて薄くなるか、又は薄膜中にα-Feが析出するなどにより、本発明の保磁力向上効果を得ることが実質的に困難となる。
Nd−Fe−B系膜内におけるNd量を27質量%以上とすることにより少量のNdリッチ粒界相がNdFe14B結晶粒の周囲に形成されるか、又はM金属又はM合金からなる結晶粒界相内に少量のNdが共存することになる。
Nd−Fe−B系膜に対するM金属又はM合金膜の膜厚を相対的に高めることにより、NdとM元素の含有量が多くなり、その効果として保磁力を増加させることが容易になる。しかし、薄膜全体におけるNdとM元素の含有量が45質量%を超えると、保磁力の増加率が小さくなると共に残留磁化の低下が著しくなり、実用面で利用できる磁束も低下することから、それらの合計含有量は45質量%以下とすることが必要であり、より好ましくは40質量%以下が良い。
薄膜中のM元素の含有量については、1質量%未満では保磁力の向上率が数%に留まり、本発明の効果がきわめて小さい。一方、Nd−Fe−B系膜に対するM金属又はM合金膜の膜厚を相対的に高めて薄膜全体に占めるM元素含有量を多くするに従って、保磁力が大幅に向上する。しかし、30質量%を超えるとNd元素との合計含有量が45%を超えるようになり、上述同様に残留磁化が大きく低下するために、薄膜全体に占めるM元素の含有量は1〜30質量%とすることが必要である。
薄膜中のM元素含有量を把握するため、以下に具体例を記載する。27%Nd−Fe−B合金の膜厚が99に対してDy金属の膜厚を1とした場合、膜中のNdは26.3質量%でDyは1質量%となり、このときの合計含有量は27.3質量%である。また、27%Nd−Fe−B合金の膜厚が80に対してDy金属の膜厚を20とした場合、膜中のNdは20.1質量%でDyは23.4質量%となり、このときの合計含有量は43.5質量%となる。
M元素を一部固溶したNdFe14B結晶粒の粒径は、0.5μm未満では単磁区粒径に近くなって着磁性がやや低下すること、及び熱拡散による結晶成長をそれ以下に抑えることが技術的に困難となる。一方、30μmを超えると結晶内の磁区が不安定になり、大きな保磁力が得られなくなる。したがって、その平均結晶粒径は0.5μm〜30μmの範囲とすることが必要であり、大きな保磁力を得るためには1μm〜10μmとすることがより好ましい。
平均結晶粒径の求め方については、一般に結晶を多方向から輪切りにした平均寸法から求めるが、例として、本発明試料(6)のTb元素を一部固溶したNdFe14B結晶においては、図3の薄膜破断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像から見るとその結晶粒径はおよそ2μmと判断される。しかしながら、膜の平面を硝酸アルコールで微弱エッチングした試料を観察すると、結晶粒径は3μm〜4μmであった。したがって、薄膜内の異形な結晶粒径の正確な測定は困難であるために、本明細書中では膜断面若しくは膜面内で観察された結晶の任意な箇所の50μm×50μmの範囲内の全結晶粒の直径の平均寸法を平均結晶粒径と表現している。
(膜厚・成膜法・基材の説明)
本発明の薄膜希土類磁石の膜の厚さは、1μm〜300μmの範囲であるときに本発明の効果を充分発揮できる。1μm未満では、薄膜の厚さ方向にNdFe14B結晶相が層状に形成されるだけであり、該NdFe14B結晶粒の周囲又は/及び該結晶相の層間にM又はM合金からなる粒界相が配置した構造を形成させることが困難であり、また各種の応用機器においてマシンやセンサとして応用するにおいては必要な保磁力が不足する。
一方、膜の厚さを大きくすれば保磁力大きくする上で好ましいが、300μmを超えると薄膜の下部と上部の間で結晶の配向性が悪くなって残留磁化が低下する、及び薄膜面の平滑性が悪くなる、さらに成膜作業におよそ1日以上の長時間稼働が必要などの問題がある。なお、300μm超の厚さは焼結磁石を切断研磨する方法によっても比較的容易に得られるため、それを超える厚さでは薄膜磁石を製作する利点が小さい。より好ましくは、10μm〜300μmの範囲、さらに好ましくは20μm〜200μmの範囲である。
成膜方法については、減圧容器内で薄膜を構成する元素成分を各種の基材上に成膜させる、いわゆる物理的成膜法を用いることができる。具体的方法としては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、レーザーデポジション、CVD、及び微細な合金粉末粒子を塗布又は吹きつけるコーティングなどがある。これらの物理的成膜法は、不純物混入が少なく良質の結晶質膜が得られるため、Nd−Fe−B系薄膜の成膜法として好適である。
層状に形成されるNd−Fe−B系膜の層間にM元素成分として例えばDy金属膜を配置するには、スパッタリング法を例にとると、Nd−Fe−B合金とDy金属の各ターゲットを用意し、基材又はターゲットを移送又は回転させることによって、Nd−Fe−B膜とDy膜を交互に成膜させて積層構造をもつ膜を得ることができる。
各層の膜厚については、主に磁性を担うNd−Fe−B系膜をDy膜より厚くさせることが必要であり、前者の一層の膜厚は0.05μm〜50μm程度、より好ましくは0.3μm〜10μm程度とし、前者と後者の膜厚比は99:1〜60:40が良く、高い残留磁化を維持しつつ高保磁力を得る上で、より好ましくは97:3〜75:25、さらに好ましくは95:5〜85:15とするのが良い。各膜の積層形態は、基材/Dy/Nd−Fe−B/Dy、又は基材/Nd−Fe−B/Dy/Nd−Fe−Bとし、積層数をその数倍〜数百倍に任意に設定することができる。
薄膜を形成するための基材は、各種の金属や合金、ガラス、シリコン、セラミックスなどを選択して使用することができる。ただし、所望の結晶組織を得るために600℃以上の高温度での熱処理を行う必要上、セラミックスや、金属基材としてはFe,Mo,Tiなどの比較的高融点の金属を選択することが望ましい。
また、基材が軟磁性を有する場合は薄膜磁石に加わる反磁界が小さくなる性質を示すことから、Fe,磁性ステンレス鋼,Niなどの磁性金属や合金の使用も好適である。なお、セラミックス基材を用いると高温処理における耐性は充分であるが、Nd−Fe−B膜との密着性が不足する場合があり、その対策としてTiやCrなどの下地膜を設けることが有効であることが多く、これら下地膜は基材が金属や合金でも有効の場合がある。
(熱処理の説明)
スパッタリングなどよって成膜したNd−Fe−B系単層膜は、通常アモルファスもしくは数十nm程度の微細結晶から成ることが多い。そのため、従来は500〜650℃の低温熱処理によって結晶化と結晶成長を促進して平均結晶粒径が0.3μm程度のNdFe14B結晶相を得ている。本発明では、この結晶化に加えて、NdFe14B結晶粒内へM又はM合金膜のM元素を一部拡散させ、Ndと置換させて固溶させると共に、M又はM合金から成る結晶粒界相をNdFe14B結晶粒の周囲又は/及び該NdFe14B結晶相の層間に生成させるために、700〜1100℃、より好ましくは700〜900℃の高温熱処理を行うことが必要である。熱処理は短時間処理が望ましく、1分〜1時間の範囲で充分であり、M元素の拡散量の制御は時間よりも温度変更による方が容易である。固溶量は、処理温度が高いほど、長時間ほど多くなるが、相互拡散の関係上50%位が固溶限界となる。積層膜相互の境界面は熱処理によりシャープでなくなり、各元素濃度が膜厚方向に傾斜した組成分布をもつことになるが積層膜の総厚は熱処理後も基本的に変わりない。
この熱処理においては、最初に400〜650℃でNd−Fe−B系膜中にNdFe14B化合物の結晶生成を行い、その後に700〜1100℃でNdFe14B結晶粒の成長とM又はM合金のNd−Fe−B系膜への拡散をさせる、2段階の熱処理を行っても良い。特に、この結晶化のための低温熱処理では、磁気異方性の発現に効果的なC軸に沿って配向した結晶粒の形成を促すために600±50℃が望ましい。なお、詳しくはM元素がNdFe14B結晶粒内に拡散してNd元素の一部と置換すると同時に、Nd成分がM又はM合金膜のM元素と固溶する相互拡散が積層膜中で進行する。700℃未満では、M元素の拡散に数十時間を要するために実用的でなく、所望とする結晶組織を得ることが困難である。700℃以上になるとM元素のNdFe14B結晶粒内への拡散と、NdFe14B結晶成長とM又はM合金からなる結晶粒界相の生成が進む。しかし、1100℃を超えると相互拡散により形成された合金相中の一部の低融点相が融液化しやすくなって薄膜の平滑性が損なわれること、及び薄膜表面の酸化が著しく進行するために、熱処理温度は700〜1100℃とするのが好ましい。
熱処理は、薄膜表面の酸化を防止するために真空又は非酸化性の雰囲気中で行うことが必要であり、加熱方法としては薄膜試料を電気炉へ装填する方式、赤外線加熱やレーザー照射によって急速な加熱冷却をする方式、及び薄膜に直接通電するジュール加熱方式などを適宜選択して採用することができる。
また、スパッタリング法の例では成膜と熱処理を分離して実施した方が薄膜の結晶性や磁気特性を制御し易いため好ましいが、スパッタリングの最中に基材を高温度に加熱しておく方式や、成膜時の出力を上げることによって成膜中の温度を400℃以上、好ましくは700℃以上に維持することにより、所望の結晶組織を作りこむことも可能である。さらに、Nd−Fe−B系膜はさび易いため成膜後又は熱処理後に、NiやTiなどの耐食性保護膜を形成して用いるのが通例である。
以下実施例に従って本発明を詳細に述べる。
<スパッタリング法による薄膜磁石の作製、その1>
NdFe14B化合物の組成に相当する26.7%Nd−1.0%B−残部Fe(単位は質量%)の合金Aと、Tbを予め含有させた25%Nd−11%Tb−1%B−残部Fe(単位は質量%)の合金Bをそれぞれ溶解鋳造し、平面研削を行って径60mm、厚さ3mmの合金Aと合金Bの円板状ターゲットをそれぞれ製作した。また、同じ形状と寸法をもつ純度99.5%のTb金属ターゲットを同様に製作した。また、長さ8mm、幅5mm、厚さ0.3mmの短冊形状をした純度99.9%のMo板を、溶剤脱脂と酸洗をして基板とした。
実際の成膜作業は以下の手順で行った。
<比較例試料1,2の作製>
RFスパッタ装置の減圧容器(チャンバー)上部に、Nd−Fe−Bの合金Aの円板状ターゲットを取り付け、下部側にはヒータを内蔵させたSUS製平板の上にMo基板を2個並べて配置した。スパッタ装置内を5×10-5Paまで真空排気した後、Arガスを導入して装置内圧力を1Paに維持した。
最初に、Mo基板の逆スパッタを行って表面酸化膜を除去した後、ヒータを加熱してSUS製平板面の温度を400℃に維持し、RF出力200WとDC出力300Wを加えて厚さ6μmのNd−Fe−Bの単層膜を成膜した。得られた単層膜をチャンバーから取り出した。
<比較例試料3の作製>
次に、同様に、Mo基板を1個配置しNd−Fe−Bの合金Aの円板状ターゲットの代わりにNd−Tb−Fe−Bの合金Bの円板状ターゲッを取り付けて、厚さ6μmのNd−Fe−Bの単層膜を成膜した。得られた単層膜をチャンバーから取り出した。
<比較例試料4,5及び本発明試料(1)〜(5)の作製>
さらに、同様に、Mo基板を7個並べて配置し、Nd−Fe−Bの合金Aの円板状ターゲットとTbターゲットを180度対向して取り付け、各ターゲットを交互に回転させながら、順次、厚さ0.2μmのTb、厚さ1.8μmのNd−Fe−Bを繰り返し成膜し、Tb/Nd−Fe−B/Tb/Nd−Fe−B/Tb/Nd−Fe−B/Tbの積層膜、総厚6.2μmを製作した。得られた積層膜をチャンバーから取り出した。
<熱処理>
次に、上記の方法で得られた単層膜及び積層膜を管状電気炉に装填し、酸素濃度を5ppm以下に維持したArガス気流中10分間の熱処理をそれぞれ行った。また、800℃の熱処理試料(2)については、550℃、600℃および650℃、各30分の低温熱処理を行い、更に該温度での所定の熱処理(800℃、10分)を加えた試料(2’)、(2’’)および(2’’’)も作製した。成膜及び熱処理条件と磁気特性を表1に示す。本発明試料(1)〜(5)については、それぞれ700,800,900,1000,1100℃で熱処理した。なお、結晶化のための熱処理は400℃から650℃で行うことも可能であるが、600℃の方がC軸方向の配高度が向上する点で好ましい。
Figure 0004988713
各試料の磁気特性は超電導型VSM(振動試料型磁力計)を用い、膜面に垂直方向に±6Tの磁界を加えて測定した。その後に、各試料のX線回折を行ってNdFe14B結晶の配向方向、及び多層膜試料ではTb元素のNdFe14B結晶粒への固溶状態を調べた。さらに、各試料の表面を硝酸アルコールで軽くエッチングした後に膜表面をSEM(走査型電子顕微鏡)によって観察し、その画像から前述の測定法により平均結晶粒径を求めた。
表2に、各試料の熱処理温度、平均結晶粒径、磁気特性の関係を示す。なお、比較例試料1、2と同様に作製したNd−Fe−B単層膜を熱処理しない場合は、平均結晶粒径が0.1μm、保磁力が784kA/m、残量磁化が1.29Tを示した。表2から明らかなように、Nd−Fe−B単層膜を熱処理した比較例試料(1)及び比較例試料(2)は、いずれも平均結晶粒径がNdFe14B化合物の単磁区粒径に相当する0.3μmに近く、保磁力が700kA/m前後と低い値を示した。
一方、積層膜を用いた本発明試料(1)〜(5)では高温度の熱処理によってNdFe14B化合物の平均結晶粒径が0.5μm〜28μmの範囲に成長し、且つTb元素のNdFe14B結晶粒内への一部固溶と、Tbを主とする結晶粒界相の形成効果によって保磁力が1060kA/m〜1730kA/mと大幅に増加し、本発明試料(3)のそれは1730kA/mであり、比較例試料(1)の724kA/mの2.4倍に増加した。
Figure 0004988713
また、本発明試料(1)〜(5)の残留磁化は1.26T〜1.32Tであり、比較例試料(1)と比較して低下していないことから、Tb元素の多くはNdFe14B結晶粒内へ固溶せずに主に結晶粒界相の形成に寄与していると考えられる。この残留磁化の低下が小さいか、又は若干増加する理由としては、保磁力が著しく増加することに伴って減磁曲線の角形性が向上する結果、残留磁化の低下が抑制されたためでもある。
さらに、Tbを予め含有させた合金Bのターゲットを用いて成膜した比較例試料(3)では、保磁力の増加は見られるが残留磁化の低下が大きいために、本発明で目的とする残留磁化の抑制効果が得られない。
一方、熱処理温度が低すぎる比較例試料(4)では、NdFe14B結晶粒へのTb元素の固溶とNdFe14Bの結晶成長が不充分なために保磁力の向上がわずかしか認められない。他方、熱処理温度が高すぎる比較例試料(5)では、NdFe14B結晶粒が大きすぎること、及び薄膜が部分的に溶融したために保磁力及び残留磁化が激減した。
図4に、比較例試料(1)及び本発明試料(3)のX線回折パターンを示す。図4によれば、Cu-Kα線を試料表面に当てた場合のNdFe14Bの(006)面の回折ピークの位置が、比較例試料では44.4度であるのに対して、本発明試料では44.7度にシフトしていることがわかる。これは、Ndより原子半径の小さいTbがNdFe14B結晶粒のNd原子の一部と置換して固溶することによって、結晶格子が縮んで回折線が高角度側にシフトしたことを意味しており、積層膜の片方のTb膜のTb元素がもう一方のNd−Fe−B膜と拡散反応を起こした証拠である。
なお、薄膜中のNd及びTb元素含有量(質量%)を、単層膜の比較例試料(1)と比較例試料(3)、及び積層膜の本発明試料(3)について蛍光X線分析法によって測定した結果、下記のとおりであった。
比較例試料(1);Nd=26.2%
比較例試料(3);Nd=24.3%+Tb=10.5%(合計=34.8%)
本発明試料(3);Nd=24.5%+Tbが10.8%(合計=35.3%)
<スパッタリング法による薄膜磁石の作製、その2>
<比較例試料6及び本発明試料6の作製>
RF出力を150W、DC出力を250Wに変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例試料6として厚さ3μmのNd−Fe−B合金の単層膜を作製し、さらに同様の方法で、本発明試料6として厚さ0.2μmのTb金属と、厚さ0.8μmのNd−Fe−B合金を繰り返し成膜し、Tb/Nd−Fe−B/Tb/Nd−Fe−B/Tb/Nd−Fe−B/Tbの積層膜を製作した。
<本発明試料7,8の作製>
さらに、本発明試料6の作製に用いたTb金属の代わりにDy金属ターゲットとPr金属ターゲットをそれぞれ用いて、本発明試料6の作製と同様の条件下でNd−Fe−Bとの同構成の積層膜をそれぞれ製作した。
<熱処理>
次に、得られた単層膜及び積層膜をそれぞれ管状電気炉に装填し、Arガス気流中で10分間の熱処理を行った。成膜及び熱処理条件を表3に示す。次いで、実施例1と同様に得られた試料の磁気特性をVSMによって、平均結晶粒径をSEMによって測定した。
Figure 0004988713
表4に、各試料の平均結晶粒径と磁気特性の関係を示す。表4から、本発明試料(5)〜(7)は比較例試料(6)に比べて、高い保磁力と大きなエネルギー積が得られ、Nd−Fe−B単層膜に対してTb,Dy,Prいずれの金属を積層させても磁気特性の大幅な向上をもたらすことが明らかになった。
Figure 0004988713
<スパッタリング法による薄膜磁石の作製、その3>
<比較例試料7〜9及び本発明試料9〜14の作製>
実施例1で用いたNd−Fe−B合金(合金A)ターゲットを用い、装置内圧力を3Paとし、SUS平板面の温度を350℃、RF出力を100W、DC出力を250Wとした他は実施例1と同様の方法で厚さ25μmのNd−Fe−B単層膜を製作した。さらに、実施例1で用いたTbターゲットの代わりに90%Dy−10%Co組成(単位は質量%)の合金ターゲットを用い、厚さ0.01μm〜0.8μmのDy−Co金属と、厚さ2μmのNd−Fe−B合金を各10回順次成膜し、Dy−CoとNd−Fe−Bの積層膜を製作した。
<熱処理>
次に、得られた単層膜及び積層膜をそれぞれ2×10-4Pa以下に排気した真空炉に装填し、30分間の熱処理を行った。成膜及び熱処理条件を表5に示す。単層膜を熱処理したものを比較例試料(7)とした。積層膜を熱処理したものについては、Dy−Co膜厚が0.01,0.02,0.05,0.1,0.2,0.4,0.6,0.8μmの順に、比較例試料(8)、本発明試料(9)〜(14)、比較例試料(9)とした。次いで、各試料の磁気特性をVSMによって測定し、Nd及びDyの含有量を蛍光X線分析によって求めた。
Figure 0004988713
表6に、Nd−Fe−B/Dy−Co積層試料の、Dy−Co膜厚に対するDy及びDyとNdの合計含有量、及び磁気特性との関係を示す。
Figure 0004988713
また、図5に、Dy−Co膜厚に対する磁気特性の関係グラフを、Nd−Fe−B単層膜試料と比較して示す。表6から、単層膜の比較例試料(7)に対して、積層膜の本発明試料(9)〜(14)はDyの導入によって保磁力が著しく増加し、残留磁化の低下も小さいことが明らかになり、Dy金属のみでなくCoを含んでも良好な磁気特性が得られることがわかった。しかし、Dy−Co膜厚が非常に薄い0.01μmの比較例試料(8)は、Dy含有量が1質量%未満であるために保磁力の効果的な増加が見られなかった。また、Dy−Co膜厚が厚すぎる比較例試料(9)は、Dy含有量が好ましい範囲の30質量%を超えるとともに、Ndとの合計含有量も45質量%を超えたため、残留磁化の低下が大きく、且つ保磁力の増加が停滞した。
<パルスレーザーデポジション(PLD)法による薄膜磁石の作製>
パルスレーザーデポジション(PLD)装置の減圧容器(チャンバー)内に、直径40mmの28%Nd−1.0%B−残部Fe(単位は質量%)の円板状合金ターゲットと、同寸法のTb金属ターゲットを装着し、さらに該合金ターゲット上に一辺が5mmの四角片形状をしたCo,Cr,Cu,Al,V,Nbの各金属片を、適宜選択して所定個数積載した。また、溶剤脱脂と酸洗浄をした長さ8mm、幅5mm、厚さ0.3mmのTa基板を、取り付け治具を用いてアルミナ基盤上に固定設置した。
<比較例試料10、11及び本発明試料15〜22の作製>
最初に、チャンバー内を1×10-4Paまで排気後に、Nd:YAGレーザーをNd−Fe−Bターゲットに照射し、Ta基板上に単層膜を作製した。得られた単層膜をチャンバーから取り出した。次に、TbターゲットとCu金属片を積載したNd−Fe−Bターゲットに所定時間ずつ交互にレーザーを照射してCu元素を解離放出させ、Ta基板上に積層膜を作製した。得られた積層膜をチャンバーから取り出した。同様の方法で順次金属片をAl,V,Nb,Cr,Coに変更してTa基板上に積層膜を作製した。なお、添加量の調整は金属片の使用枚数によって行なった。例えば、添加金属量がおよそ2質量%の場合は金属片1枚を、5〜6質量%の場合は金属片3枚を使用した。
なお、ターゲットと基板間の距離は25mmとし、レーザー出力を一定としてTbを0.3μm、Nd−Fe−B-X(ここで、Xは、Co,Cr,Cu,Al,V,Nb,Wから選ばれる添加金属を1μmとし、各層を積み上げて20層とし、最後にTbを成膜して合計21層の積層膜を作製した。
<熱処理>
得られた積層膜を2×10-4Pa以下に排気した真空炉に装填し、30分間の熱処理を行った。成膜及び熱処理条件を表7に示す。Nd−Fe−B単層膜を熱処理したものを比較例試料(10)、Coを過剰に含有する積層膜を熱処理したものを比較例試料(11)とし、各金属を添加した積層膜を熱処理したものを本発明試料(15)〜(22)とした。次いで、各試料の磁気特性をVSMによって測定し、各添加金属の含有量を蛍光X線分析によって求めた。
Figure 0004988713
表8に、単層膜、及び添加金属を含む積層膜を熱処理した場合の磁気特性を示す。表8から、単層膜の比較例試料(10)に対して、積層膜の本発明試料(15)〜(23)は各添加金属を導入しても保磁力がおよそ2〜3倍に増加することから、添加金属の一部はNdFe14B結晶粒に固溶し、他方はその結晶粒界相に固溶するか、又は化合物を形成することによって、保磁力を効果的に向上させたと推測される。
Coを含有した試料では、他の添加金属と比較してやや保磁力が小さいものの、充分大きな値を示しており、別効果としてキュリー温度を向上させる働きがある。ただし、比較例試料(11)のようにCo含有量が約35質量%になると保磁力の低下が大きくなるため、これら添加金属の含有量は30質量%を超えない範囲が好ましい。なお、表8中の残留磁化の値がいずれも1Tに満たない理由は、各試料のX線回折による解析結果、NdFe14B結晶が膜内において等方的に分散した状態となっているためであり、その理由としては成膜中のTa基板を加熱していないためと推察される。
Figure 0004988713
<スパッタリング法による薄膜磁石の作製、その4>
外径60mm、内径34mm、厚さ12mmの28%Nd−1.0%B−残部Fe(単位は質量%)の円環状合金ターゲットと、同寸法のTb金属ターゲットを製作し、他方、直径が0.6mmで長さ12mmのアルミナシャフトを基材とした。スパッタリング装置として公知の3次元スパッタリング装置を用いた。この3次元スパッタリング装置の構成と原理については、特開2004-304038号公報に開示されている。3次元スパッタリング装置の左室に、対向するTbターゲットの中間に高周波発生用Cuコイルを配置し、右室にも同様にNd−Fe−BターゲットとCuコイルを配置した。また、左室の左側から右側に伸びるモータ回転軸の先端部にアルミナシャフトを取り付けた。
<比較例試料12の作製>
スパッタ装置内を5×10-5Paまで真空排気した後、Arガスを導入して装置内圧力を3Paに維持した。最初に、対向するNd−Fe−Bターゲットの中間位置にアルミナシャフトを位置決めし、6rpmでシャフトを回転させながら、RF出力150WとDC出力300Wを加えて厚さ80μmのNd−Fe−B合金の単層膜を成膜した。
<比較例試料13及び本発明試料24〜30の作製>
一方、対向するTbターゲットの中間位置にまず該シャフトを位置決めし、比較例試料12の作製と同じ回転数と成膜出力下で厚さ0.2μmのTb膜を成膜し、引き続いてモータ取り付け棒を自動的に右に移送して該シャフトをNd−Fe−Bターゲットの中間に位置決めし、厚さ0.8μmのNd−Fe−B膜を成膜し、再度このシャフトを左に移送して厚さ0.2μmのTbを成膜して、総厚1.2μmの積層膜を製作した。さらに、同様の方法によって積層数を増やし、総厚が約5,10,40,80,160,280,360μmの各積層膜を製作した。
<熱処理>
得られた単層及び積層膜を2×10-4Pa以下に排気した真空炉に装填し30分間の熱処理を行った。成膜及び熱処理条件を表9に示す。
Figure 0004988713
積層膜を熱処理したものを、膜厚が1.2,5,10,40,80,160,280μmの順に従って、本発明試料(24)〜(30)とし、膜厚が360μmのものを比較例試料(13)とした。次いで、成膜された円筒状試料の径方向に磁界を掃引させながらその磁気特性をVSMによって測定した。図6に、単層膜及び積層膜の総膜厚に対する磁気特性の関係を示す。図6から、80μmの膜厚に関して、図中黒印で示した単層膜の比較例試料(12)に対して、積層膜の本発明試料(28)では残留磁化の低下はわずかで、保磁力が著しく増加した。
また、本発明試料(24)〜(30)では、いずれも比較的高い残留磁化を保ちながら高保磁力が得られており、超小型モータ等の駆動用などに充分適用可能な磁気特性が得られた。しかし、総膜厚が360μmになると結晶性の低下や結晶配向性の乱れなどに起因する磁気特性の低下が見られるため、好適には300μm以下とするのが良い。
なお、本発明試料(28)について、膜の長手方向の磁気測定を行った結果、径方向と比較して残留磁化がその1/3程度であったことから、該試料ではNdFe14B結晶が膜の円周ラジアル方向に配向していることが明らかになった。
マイクロマシンを駆動させるためのアクチュエータや微小な磁気センサ用等々として、小型で高性能な永久磁石が必要とされている。本発明は、上記の強い要請に基づき、所望の高保磁力高性能の薄膜永久磁石を提供するもので、マイクロマシンなど各種応用機器に搭載されることにより、機器の高出力化、小型化、さらに高保磁力特性に基づく様々な使用環境での耐熱安定性の実現に大いに貢献する。また、本発明の薄膜永久磁石は、高い保磁力が得られると同時に、比較的大きな結晶粒径を有するNdFe14B結晶粒からなる結晶相と該結晶粒の周囲又は/及び該結晶相の層間に存在するM又はM合金の結晶粒界相の複合組織構造によって着磁性が向上し、応用機器への使用が容易となる。

Claims (13)

  1. M又はM合金(ただし、Mは、Pr,Dy,Tb,Hoの一種又は二種以上)膜とNd−Fe−B系合金膜とが交互に積層された3層以上の積層構造を熱処理してM又はM合金成分とNd−Fe−B系合金成分を相互拡散させてなる薄膜希土類磁石であって、
    該熱処理によりNdFe14B結晶粒の表面部にM元素がNdと置換して固溶された(Nd、M)Fe14B結晶が形成され、かつNdFe14B結晶粒の粒界に(Nd、M)Fe14B結晶と界面を接してM又はM合金からなる結晶粒界相が形成されてなることを特徴とする薄膜希土類磁石。
  2. 薄膜の厚さ方向にNdFe14B結晶相が層状に形成され、該結晶相の層間に(Nd、M)Fe14B結晶と界面を接してM又はM合金からなる結晶粒界相が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の薄膜希土類磁石。
  3. 薄膜の厚さ方向にNdFe14B結晶相が層状に形成され、NdFe14B結晶粒の周囲に(Nd、M)Fe14B結晶と界面を接してNdFe14B結晶粒を取り囲むM又はM合金からなる結晶粒界相が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の薄膜希土類磁石。
  4. NdFe14B結晶粒の平均結晶粒径が0.5μm〜30μmであることを特徴とする請求項1記載の薄膜希土類磁石。
  5. Nd−Fe−B系合金がNdFe14B化合物からなり、薄膜中のM元素の含有量が1〜30質量%であり、且つNdとM元素の合計含有量が28〜45質量%であることを特徴とする請求項1記載の薄膜希土類磁石。
  6. NdFe14B化合物のFeの30質量%未満がCo,Ni,Ti,V,Cr,Cu,Al,Zn,Ga,V,Mo,Nb,Ta,Wの一種又は2種以上の元素で置換されていることを特徴とする請求項5記載の薄膜希土類磁石。
  7. 薄膜構成原料や成膜と熱処理工程から由来する不可避不純物を含むことを特徴とする請求項1記載の薄膜希土類磁石。
  8. 薄膜の厚さが1μm〜300μmであることを特徴とする請求項1記載の薄膜希土類磁石。
  9. 残留磁化Brが1.26T以上であることを特徴とする請求項1記載の薄膜希土類磁石。
  10. 保磁力Hcjが1060kA/m以上であることを特徴とする請求項1記載の薄膜希土類磁石。
  11. 減圧容器内で物理的成膜法により、Nd−Fe−B系合金とM金属又はその合金(ただし、Mは、Pr,Dy,Tb,Hoの一種又は二種以上)を交互に積層して成膜し、その後に700〜1100℃の熱処理を行うことによりM又はM合金成分とNd−Fe−B系合金成分を相互拡散させて、該NdFe14B結晶粒の表面部にM元素がNdと置換して固溶された(Nd、M)Fe14B結晶を形成し、かつNdFe14B結晶の粒界に(Nd、M)Fe14B結晶と界面を接してM又はM合金からなる結晶粒界相を形成することを特徴とする請求項1記載の薄膜希土類磁石の製造方法。
  12. 最初に400〜650℃でNd−Fe−B系膜中にNdFe14B化合物の結晶生成を行い、その後に700〜1100℃で熱処理する2段階の熱処理を行うことを特徴とする請求項11記載の薄膜希土類磁石の製造方法。
  13. Nd−Fe−B系合金膜の一層の膜厚を0.05μm〜50μmとし、Nd−Fe−B系合金とM金属又はその合金の膜厚比を99:1〜60:40として成膜することを特徴とする請求項11又は12記載の薄膜希土類磁石の製造方法。
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