JP6734578B2 - 硬質磁性材料 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な硬質磁性材料に関する。
永久磁石や磁気記録媒体等には、高い保磁力を有する硬質磁性材料が用いられる。硬質磁性材料の高性能化のためには、該硬質磁性材料の一軸磁気異方性(Ku)を高めることが必要である。
従来、高性能な永久磁石には、希土類元素であるNd及びDyを含むFe(NdDy)Bが硬質磁性材料として主に用いられている。また、磁気記録媒体には、貴金属であるPtを含むCoCrPtやFePtが硬質磁性材料として主に用いられている。資源の安定的供給の観点から、これらの希土類元素や貴金属の使用量を低減することが望まれている。
B. Lao et al., IEEE Trans. Magn., 50, 2008704 (2014). L. Reichel et al., J. Appl. Phys. 116, 213901 (2014). Y. Kota et al., J. Magn. Soc. Jpn., 37, 17-23 (2013). B. Wang et al., J. Appl. Phys., 117, 17C709 (2015). H. Oomiya et al., J. Phys. D, 48, 475003 (2015). K. Shikada et al., J. Magn. Soc. Jpn., 33, 85-94 (2009). T. Nishiyama et al., J. Magn. Soc. Jpn., 34, 5-20 (2010) G. B. Chon et al., Mater. Trans. 51(4), 707-711 (2010).
本発明は、希土類元素や貴金属元素を用いることなく、良好な一軸磁気異方性を発現することが可能な硬質磁性材料を提供することを課題とする。また、該硬質磁性材料の製造方法を提供する。
本発明の第1の態様は、下記一般式(1)で表される組成を有する正方晶FeCoAl合金であって、正方晶FeCoAl合金の正方晶歪c/aが1を超え1.3以下である、FeCoAl合金系硬質磁性材料である。
(FeCo1−x1−yAl (1)
(一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.6を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数である。)
本明細書において「硬質磁性材料」とは、一軸磁気異方性定数Ku1が0.75×10erg/cm以上である材料を意味する。
本発明の第1の態様において、上記正方晶歪c/aが1.05以上1.3以下であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、上記正方晶FeCoAl合金のB2規則度が0.25〜1であることが好ましい。
正方晶FeCoAl合金の「B2規則度」は、非特許文献8に記載の方法と同様にして、放射光X線により測定したX線回折(XRD)スペクトルにおける基本格子線((002)面)と超格子線((001)面)のピークに対して、B2規則度を含むパラメタに基づく計算結果によりフィッティングを行うことにより求めることができる。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料からなる、硬質磁性体膜である。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子であって、粒径が100nm以下である粒子を含む、永久磁石である。
本発明の第4の態様は、(a)酸化マグネシウム単結晶基板の表面に、ロジウム層をエピタキシャル成長させる工程と、(b)前記ロジウム層の表面に、上記一般式(1)で表される組成を有するFeCoAl合金層をエピタキシャル成長させる工程とを含む、FeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法である。
本発明の第5の態様は、(a)チタン酸ストロンチウム単結晶基板の表面に、上記一般式(1)で表される組成を有するFeCoAl合金層をエピタキシャル成長させる工程と、(b)チタン酸ストロンチウム基板およびFeCoAl合金層を含む積層体を熱処理する工程とを含む、FeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法である。
本発明の第5の態様に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法は、(c)工程(a)の後かつ工程(b)の前に、FeCoAl合金層の表面に酸化防止層を形成する工程をさらに含んでもよい。
本発明の第1及び第2の態様に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料およびFeCoAl合金系硬質磁性体膜によれば、希土類元素や貴金属元素を用いることなく、良好な一軸磁気異方性を発現することが可能な硬質磁性材料および硬質磁性体膜を提供できる。
本発明の第3の態様に係る永久磁石によれば、希土類元素や貴金属を用いることなく、良好な保磁力を発現することが可能な永久磁石を提供できる。
本発明の第4及び第5の態様に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法は、本発明の第1の態様に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料の製造に好ましく採用できる。
一の実施形態に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法S100を説明するフローチャートである。 製造方法S100の各工程における積層構造を模式的に説明する断面図である。 他の一の実施形態に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法S200を説明するフローチャートである。 製造方法S200の各工程における積層構造を模式的に説明する断面図である。 製造方法S100により作製したFeCoAl合金薄膜試料((Fe0.5Co0.51−yAl、y=0〜0.20、厚さ2.0nm)のXRDスペクトルである。 製造方法S100により作製したFeCoAl合金薄膜試料((Fe0.5Co0.51−yAl、y=0〜0.20、厚さ2.0nm)の格子定数c及び正方晶歪c/aを、Al組成(y)に対してプロットしたグラフである。 製造方法S100により作製した各FeCoAl合金薄膜試料の磁気異方性と組成との関係を表した図である。 製造方法S100により作製した(Fe0.5Co0.51−yAl合金薄膜試料(y=0〜0.20、厚さ2.0nm)におけるAl組成(y)と一軸磁気異方性Ku1及び飽和磁化Mとの関係をプロットしたグラフである。 製造方法S100により作製した(FeCo1−x0.9Al0.1合金薄膜試料(x=0〜1.0、厚さ2.0nm)におけるCo組成と一軸磁気異方性Ku1及び飽和磁化Mとの関係をプロットしたグラフである。 製造方法S100により作製した(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2.0〜20.0nm)における膜厚と一軸磁気異方性Ku1及び飽和磁化Mとの関係をプロットしたグラフである。 製造方法S200により作製した(Fe0.5Co0.51−yAl合金薄膜試料(y=0〜0.20、厚さ2.0nm、アニーリング温度200〜800℃)について、正方晶歪c/a及び飽和磁化Mとアニーリング温度との関係をプロットしたグラフである。 製造方法S200により作製した(Fe0.5Co0.51−yAl合金薄膜試料(y=0〜0.20、厚さ2.0nm、アニーリング温度200〜800℃)について、一軸磁気異方性Ku1をAl組成(y)に対してプロットしたグラフである。 製造方法S200により作製した(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2.0〜20.0nm、アニーリング温度を600℃)について、一軸磁気異方性Ku1を厚さに対してプロットしたグラフである。 製造方法S200により作製した(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2〜20nm、アニーリング温度200〜600℃)について、一軸磁気異方性Ku1とB2規則度(S)との関係をプロットしたグラフである。 FeCoAl合金薄膜試料の一軸磁気異方性Ku1を正方晶歪c/aに対してプロットしたグラフである。 製造方法S100により作製した(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2.0nm、直径30nm/50nm/100nm/連続膜)の磁化曲線である。 製造方法S100により作製した(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2.0nm、直径30nm/50nm/100nm/連続膜)の保磁力Hをドット直径に対してプロットしたグラフである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図では、符号を一部省略することがある。本明細書において、数値A及びBについて「A〜B」は、特に別途規定されない限り、「A以上B以下」を意味する。該表記において数値Aの単位を省略する場合には、数値Bに付された単位が数値Aの単位として適用されるものとする。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。
<FeCoAl合金系硬質磁性材料>
本発明のFeCoAl合金系硬質磁性材料は、下記一般式(1)で表される組成を有する正方晶FeCoAl合金である。
(FeCo1−x1−yAl (1)
(一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.6を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数である。)
一般式(1)において、yは0を超え0.15以下であり、好ましくは例えば0.05〜0.15とすることができる。
本発明のFeCoAl合金系硬質磁性材料は正方晶歪を有する。正方晶歪は、正方晶の結晶格子のc軸方向の長さ(c)のa軸方向の長さ(a)に対する比(c/a)で表される。FeCoAl合金の結晶構造は平衡状態ではbccであるが、歪の導入によって正方晶になることにより一軸磁気異方性を発現する。正方晶歪c/aは1を超え1.40未満である。
一の実施形態において、正方晶歪c/aは好ましくは1.05以上であり、より好ましくは1.1以上であり、さらに好ましくは1.15以上であり、特に好ましくは1.2以上であり、また好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.25以下である。正方晶歪c/aが上記範囲内であることにより、一軸磁気異方性を高めることが可能になる。
一の実施形態において、正方晶FeCoAl合金のB2規則度が0.25以上であることが好ましい。B2規則度は、特許文献8に記載の方法と同様にして、放射光X線により測定したX線回折(XRD)スペクトルにおける基本格子線((002)面)と超格子線((001)面)のピークに対して、B2規則度を含むパラメタに基づく計算結果によりフィッティングを行うことにより求めることができる。B2規則度はより好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上であり、1であってもよい。B2規則度が上記下限値以上であることにより、一軸磁気異方性を高めることが可能になる。
B2規則度が0.25以上である形態のFeCoAl合金系硬質磁性材料において、正方晶歪c/aは1を超え1.4未満である限りにおいて特に制限されるものではないが、好ましくは1.3以下であり、例えば1.2以下であってもよく、1.1以下であってもよく、1.05以下であってもよく、1.03以下であってもよい。B2規則度が0.25以上である形態のFeCoAl合金系硬質磁性材料によれば、正方晶歪c/aが小さくても良好な一軸磁気異方性を発現することが可能である。
本発明のFeCoAl合金系硬質磁性材料によれば、良好な一軸磁気異方性Ku1を発現することが可能である。FeCoAl合金系硬質磁性材料の一軸磁気異方性Ku1は例えば0.75×10erg/cm以上とすることができ、好ましくは1.0×10erg/cm以上、より好ましくは1.5×10erg/cm以上、さらに好ましくは2.0×10erg/cm以上とすることも可能である。
本発明のFeCoAl合金系硬質磁性材料によれば、一軸磁気異方性Ku1だけでなく飽和磁化Mも高めることが可能である。FeCoAl合金系硬質磁性材料の飽和磁化MはAl濃度やCo濃度の調整によって、例えば1200emu/cm以上とすることができ、好ましくは1300emu/cm以上、より好ましくは1600emu/cm以上とすることも可能である。
<硬質磁性体膜>
本発明の第2の態様に係るFeCoAl合金系硬質磁性体膜の膜厚は特に制限されるものではないが、例えば100nm以下、好ましくは50nm以下とすることができ、また例えば1nm以上とすることができる。
<永久磁石>
本発明の第3の態様に係る永久磁石(以下において「FeCoAl合金系永久磁石」ということがある。)は、本発明の第1の態様に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子であって、粒径が100nm以下である粒子を含むことを特徴とする。FeCoAl合金系永久磁石におけるFeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子の粒径は100nm以下であり、好ましくは50nm以下であり、特に好ましくは30nm以下である。FeCoAl合金系硬質磁性材料粒子の粒径が上記の上限値以下であることにより、良好な保磁力を発現することが可能になる。一方、熱揺らぎ効果を考慮すれば、微粒子の粒径は好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。本明細書において、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子の粒径は、電子顕微鏡像の画像解析により測定される球相当径(画像中に粒子が占める面積と同一の面積を与える球の直径)を意味する。
FeCoAl合金系永久磁石は、粒径が上記100nm以下であるFeCoAl合金系硬質磁性材料粒子に加えて、粒径が100nmを超えるFeCoAl合金系硬質磁性材料粒子を含んでもよい。ただし、FeCoAl合金系永久磁石に含まれるFeCoAl合金系硬質磁性材料粒子の全量を基準(100体積%)として、粒径が上記上限値以下であるFeCoAl合金系硬質磁性材料粒子が50体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることが特に好ましく、100体積%であってもよい。
FeCoAl合金系永久磁石は、FeCoAl合金系硬質磁性材料粒子に加えて、粒子同士を結着させるバインダー(結着剤)を含んでもよい。バインダーとしては例えば、加硫性エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の公知のバインダー材料を特に制限なく用いることが可能である。
本発明のFeCoAl合金系永久磁石によれば、良好な保磁力を発現することが可能である。FeCoAl合金系永久磁石の保磁力は、好ましくは10kOe以上であり、より好ましくは20kOe以上であり、保磁力の上限は特に制限されるものではないが、例えば70kOe以下であり得る。
永久磁石から取り出し得るエネルギーは、B−H曲線の第2象限におけるBとHとの積BHの最大値(BH)max(最大エネルギー積)で表される。本発明のFeCoAl合金系硬質磁性材料によれば、一軸磁気異方性Ku1だけでなく飽和磁化Mも高めることができるので、本発明の永久磁石は最大エネルギー積(BH)maxを高めることが可能である。本発明のFeCoAl合金系永久磁石の最大エネルギー積(BH)maxは、63MGOe(500kJ/m)以上、好ましくは75MGOe(600kJ/m)以上とすることが可能である。最大エネルギー積(BH)maxの上限値は特に制限されるものではないが、例えば100MGOe(800kJ/m)以下であり得る。
<FeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法(1)>
図1は、一の実施形態に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法S100(以下において単に「製造方法S100」ということがある。)を説明するフローチャートである。図2は、製造方法S100の各工程における積層構造を模式的に説明する断面図である。
図1に示すように、製造方法S100は、Rh層成長工程S1と、FeCoAl層成長工程S2と、酸化防止層形成工程S3とをこの順に有する。
(Rh層成長工程S1)
Rh層成長工程S1(以下において単に「工程S1」ということがある。)は、酸化マグネシウム単結晶基板10(以下において「MgO基板10」ということがある。)の表面に、ロジウム層20をエピタキシャル成長させる工程である。図2(A)には工程S1前のMgO基板10が表れており、図2(B)には工程S1後の積層構造が表れている。
工程S1において、ロジウム層20を成長させるMgO基板10の結晶面は特に限定されるものではないが、例えばMgO基板10の[100]面にロジウム層20を好ましく成長させることができる。
MgO基板10の表面にロジウム層20をエピタキシャル成長させるにあたっては、スパッタリング等の公知の手法を特に制限なく用いることができる。基板10の表面にスパッタリングによってロジウム層20をエピタキシャル成長させる際の基板10の温度は、例えば100〜400℃とすることができる。
工程S1において成長させるロジウム層20の厚さは、例えば2〜50nmとすることができ、好ましくは5nm以上、また好ましくは25nm以下である。
(FeCoAl層成長工程S2)
FeCoAl層成長工程S2(以下において単に「工程S2」ということがある。)は、ロジウム層20の表面に、下記一般式(1)で表される組成を有するFeCoAl合金層30をエピタキシャル成長させる工程である。
(FeCo1−x1−yAl (1)
(一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.6を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数である。)
FeCoAl合金層30の好ましい組成については上記した通りである。
図2(B)には工程S1後工程S2前の積層構造が表れており、図2(C)には工程S2後の積層構造が表れている。
ロジウム層20の表面にFeCoAl合金層30をエピタキシャル成長させるにあたっては、同時スパッタリング等の公知の手法を特に制限なく用いることができる。ロジウム層20の表面に同時スパッタリングによってFeCoAl合金層30をエピタキシャル成長させる際のMgO基板10の温度は、例えば100〜300℃とすることができる。
工程S2において成長させるFeCoAl合金層30の厚さは、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。工程S2において成長させるFeCoAl合金層30の厚さの下限値は特に制限されるものではないが、好ましくは2nm以上である。
(酸化防止層形成工程S3)
酸化防止層形成工程S3(以下において単に「工程S3」ということがある。)は、FeCoAl合金層30の表面に、酸化防止層40を形成する工程である。図2(C)には工程S2後工程S3前の積層構造が表れており、図2(D)には工程S3後の積層構造が表れている。
酸化防止層40としては、例えばSiO、Ru等の、FeCoAl合金層30の酸化を防止することが可能な材料を特に制限なく用いることができる。
酸化防止層40を形成する方法および酸化防止層40の厚さは、FeCoAl合金層30の酸化を防止できる限りにおいて特に制限されるものではないが、例えば酸化防止層40がSiO層である場合には、スパッタリング等の公知の方法を用いることができる。酸化防止層40としてSiO層をスパッタリングによって形成する場合、酸化防止層40の厚さは例えば2〜5nmとすることができる。
酸化防止層40としてSiO層をスパッタリングによって形成する際、基板10を加熱する必要はなく、基板10の温度は例えば室温〜200℃とすることができる。
工程S1〜S3を経ることにより、製造方法S100が終了する。工程S1及びS2を備える製造方法S100によれば、正方晶のFeCoAl合金層30を得ることができ、かつFeCoAl合金層30に比較的大きな正方晶歪c/aを導入することができるので、FeCoAl合金層30の一軸磁気異方性を高めることが可能になる。FeCoAl合金層30の正方晶歪c/aは好ましくは1.05以上であり、より好ましくは1.1以上であり、さらに好ましくは1.15以上であり、特に好ましくは1.2以上であり、また好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.25以下である。
製造方法S100においては、工程S2を経た後、ロジウム層20とFeCoAl合金層30との間で相互拡散を進行させないことが好ましい。かかる観点からは、工程S2を経た後に、FeCoAl合金層30及びロジウム層20を含む積層体に対して熱処理を行わないことが好ましい。
本発明に関する上記説明では、酸化防止層形成工程S3を備え、FeCoAl合金系硬質磁性材料の膜を製造する形態の、FeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法S100を例示したが、FeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法は当該形態に限定されない。
例えば、FeCoAl合金層を成長させた後、FeCoAl合金層の表面にフォトレジスト層を形成し、エッチングによりフォトレジスト層に被覆されていないFeCoAl合金層(またはFeCoAl合金層およびロジウム層)を除去した後、フォトレジスト層を除去し、その後FeCoAl合金層(またはFeCoAl合金層およびロジウム層)を分離することにより、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
また例えば、FeCoAl合金層を成長させた後、電子ビームリソグラフィーによってFeCoAl合金層(またはFeCoAl合金層およびロジウム層)の不要部分を除去し、その後FeCoAl合金層(またはFeCoAl合金層およびロジウム層)を分離することにより、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
また例えば、ロジウム層を成長させた後、ロジウム層の表面にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層に被覆されていないロジウム層表面にのみFeCoAl合金層を成長させた後、フォトレジスト層を除去し、その後FeCoAl合金層(またはFeCoAl合金層およびロジウム層)を分離することにより、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
また例えば、酸化マグネシウム基板の表面にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層に被覆されていないMgO表面にのみロジウム層および引き続いてFeCoAl合金層を成長させた後、フォトレジスト層を除去し、その後FeCoAl合金層(またはFeCoAl合金層およびロジウム層)を分離することにより、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
FeCoAl合金層(またはFeCoAl合金層およびロジウム層)を分離するにあたっては、例えば機械研磨、Arエッチング、イオンエッチング、集束イオンビーム(FIB)加工、電子ビームリソグラフィー等の公知の微細加工法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
このようにして製造されたFeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子は、上記のFeCoAl合金系永久磁石に用いることができる。例えば、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子と、バインダー樹脂と、溶媒とを混合して、得られた混合物を所望の形状に成形した後、溶媒を揮発させることにより、所望の形状を有する永久磁石(ボンド磁石)を製造することが可能である。また例えば、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子と、硬化性のバインダー樹脂(例えば熱硬化性樹脂や放射線硬化性樹脂等。)とを混合して、得られた混合物を所望の形状に成形した後、バインダー樹脂を硬化させることによっても、所望の形状を有する永久磁石を製造することが可能である。
なお、永久磁石を製造する観点からは、FeCoAl合金層を必ずしも酸化マグネシウム基板から分離しなくてもよい。例えば、FeCoAl合金層を成長させた後、電子ビームリソグラフィーやフォトリソグラフィー等によってFeCoAl合金層(またはFeCoAl合金層およびロジウム層)の不要部分を除去することにより、酸化マグネシウム基板にFeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子が複数担持された積層体を製造することが可能である。当該積層体は永久磁石としての特性を有する。さらに当該積層体を複数枚積層することによっても、永久磁石を製造することが可能である。隣接する積層体の間に適当な接着剤を介在させてもよい。また積層の前に基板を研磨等により薄くしてもよい。
必要に応じて、永久磁石を磁化させる工程をさらに行ってもよい。
<FeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法(2)>
図3は、他の一の実施形態に係るFeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法S200(以下において単に「製造方法S200」ということがある。)を説明するフローチャートである。図4は、製造方法S200の各工程における積層構造を模式的に説明する断面図である。
図3に示すように、製造方法S200は、FeCoAl層成長工程S201と、酸化防止層形成工程S202と、熱処理工程S203とをこの順に有する。
(FeCoAl層成長工程S201)
FeCoAl層成長工程S201(以下において単に「工程S201」ということがある。)は、チタン酸ストロンチウム基板210(以下において単に「SrTiO基板210」ということがある。)の表面に、下記一般式(1)で表される組成を有するFeCoAl合金層230をエピタキシャル成長させる工程である。
(FeCo1−x1−yAl (1)
(一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.6を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数である。)
FeCoAl合金層230の好ましい組成については上記した通りである。
図4(A)には工程S201前のSrTiO基板210が表れており、図4(B)には工程S201後の積層構造が表れている。
SrTiO基板210の表面にFeCoAl合金層230をエピタキシャル成長させるにあたっては、同時スパッタリング等の公知の手法を特に制限なく用いることができる。SrTiO基板210の表面に同時スパッタリングによってFeCoAl合金層230をエピタキシャル成長させる際のSrTiO基板10の温度は、例えば室温〜300℃とすることができる。
工程S201において成長させるFeCoAl合金層230の厚さは、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。工程S201において成長させるFeCoAl合金層の厚さの下限値は特に制限されるものではないが、好ましくは2nm以上である。
(酸化防止層形成工程S202)
酸化防止層形成工程S202(以下において単に「工程S202」ということがある。)は、FeCoAl合金層230の表面に、酸化防止層240を形成する工程である。図4(B)には工程S201後工程S202前の積層構造が表れており、図4(C)には工程S202後の積層構造が表れている。
酸化防止層240としては、上記説明した製造方法S100における酸化防止層40と同様の材料を特に制限なく用いることができる。酸化防止層240を形成する方法および酸化防止層240の厚さは、上記説明した製造方法S100における酸化防止層40と同様とすることができる。例えば酸化防止層240としてSiO層をスパッタリングによって形成する際、SrTiO基板210を加熱する必要はなく、SrTiO基板210の温度は例えば室温〜200℃とすることができる。
(熱処理工程S203)
熱処理工程S203(以下において単に「工程S203」ということがある。)は、工程S201及び工程S202を経ることによって得られた積層体(図4(C)参照)を熱処理(アニーリング)する工程である。当該積層体は、チタン酸ストロンチウム基板210及びFeCoAl合金層230を含んでいる。
熱処理工程S203における熱処理温度は、例えば200〜800℃とすることができ、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上であり、また好ましくは700℃以下である。また熱処理工程S203における熱処理時間は、例えば5分〜6時間とすることができる。
熱処理工程S203を経ることにより、FeCoAl合金層230が一軸磁気異方性を発現する。
工程S201〜S203を経ることにより、製造方法S200が終了する。FeCoAl層成長工程S201及び熱処理工程S203を備える製造方法S200によれば、正方晶のFeCoAl合金層230を得ることができる。製造方法S200においては、熱処理工程S203を経ることにより正方晶歪c/aは減少するが、B2規則度を高めることができるので、正方晶歪c/aが小さくても一軸磁気異方性の高いFeCoAl合金層230を得ることが可能である。熱処理工程S203を経た後のFeCoAl合金層230におけるB2規則度は、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上である。B2規則度の上限値は特に制限されるものではなく、1であってもよいが、通常0.99以下である。熱処理工程S203を経た後の熱処理工程S203を経た後のFeCoAl合金層230において、正方晶歪c/aは1を超え1.3以下である限りにおいて特に制限されるものではないが、例えば1.2以下であってもよく、1.1以下であってもよく、1.05以下であってもよく、1.03以下であってもよい。
本発明に関する上記説明では、酸化防止層形成工程S202を備え、FeCoAl合金系硬質磁性材料の膜を製造する形態の、FeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法S200を例示したが、FeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法は当該形態に限定されない。
例えば、FeCoAl合金層を成長させた後、酸化防止層を形成せずに上記同様に熱処理工程を行い、FeCoAl合金層の表面にフォトレジスト層を形成し、エッチングによりフォトレジスト層に被覆されていないFeCoAl合金層を除去した後、フォトレジスト層を除去し、その後FeCoAl合金層を分離することにより、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
また例えば、FeCoAl合金層を成長させ、上記同様に熱処理工程を行った後、電子ビームリソグラフィーによってFeCoAl合金層の不要部分を除去し、その後FeCoAl合金層を分離することにより、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
また例えば、酸化ストロンチウム基板の表面にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層に被覆されていないSrTiO表面にのみFeCoAl合金層を成長させ、フォトレジスト層を除去した後、上記同様に熱処理工程を行い、その後FeCoAl合金層を分離することにより、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
FeCoAl合金層を分離するにあたっては、機械研磨、Arエッチング、イオンエッチング、集束イオンビーム(FIB)加工、電子ビームリソグラフィー等の公知の微細加工法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
このようにして製造されたFeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子は、上記のFeCoAl合金系永久磁石に用いることができる。例えば、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子と、バインダー樹脂と、溶媒とを混合して、得られた混合物を所望の形状に成形した後、溶媒を揮発させることにより、所望の形状を有する永久磁石(ボンド磁石)を製造することが可能である。また例えば、FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子と、硬化性のバインダー樹脂(例えば熱硬化性樹脂や放射線硬化性樹脂等。)を混合して、得られた混合物を所望の形状に成形した後、バインダー樹脂を硬化させることによっても、所望の形状を有する永久磁石を製造することが可能である。
なお、永久磁石を製造する観点からは、FeCoAl合金層を必ずしもチタン酸ストロンチウム基板から分離しなくてもよい。例えば、FeCoAl合金層を成長させ、上記同様に熱処理工程を行った後、電子ビームリソグラフィーやフォトリソグラフィー等によってFeCoAl合金層の不要部分を除去することにより、チタン酸ストロンチウム基板にFeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子が複数担持された積層体を製造することが可能である。当該積層体は永久磁石としての特性を有する。さらに当該積層体を複数枚積層することによっても、永久磁石を製造することが可能である。隣接する積層体の間に適当な接着剤を介在させてもよい。また積層の前に研磨等により基板を薄くしてもよい。
必要に応じて、永久磁石を磁化させる工程をさらに行ってもよい。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、FeCoAl合金の構造解析はX線回折(XRD)により行った。X線回折にはリガク製RINT2200V、RINT2100Pを用いた。FeCoAl合金の磁気特性の評価は磁気トルクメーター(玉川製作所製TW−WLF10517GR−2010‘99型)、振動試料型磁力計(VSM)(東英工業製VSM5S型―15)、及び極カー効果磁化曲線測定装置(ネオアーク製BH−618PL−AO)を用いた。スパッタリングによるエピタキシャル成長にはスパッタ装置(日本真空製マルチチャンバスパッタ装置)を用いた。マルチチャンバスパッタ装置の室温における到達真空度は5.0×10−7Paであり、装置中のArガス圧は0.1Paとした。
<試料群1>
上記説明した製造方法S100により、FeCoAl合金系硬質磁性材料を製造した。酸化マグネシウム単結晶基板(10mm×10mm×厚さ1mm、ケーアンドアール・クリエーション製)の[100]面に、スパッタリングによりロジウム層(厚さ20.0nm)をエピタキシャル成長させた。ロジウム層を成長させる間、MgO基板の温度は300℃に保持した。ロジウム層の成長を終えた後、MgO基板の温度を200℃に変更し、ロジウム層の表面にFeCoAl合金層((FeCo1−x1−yAl、0.4≦x≦0.6、0<y≦0.15、厚さ2.0〜20.0nm)をエピタキシャル成長させた。FeCoAl合金層の成長を終えた後、MgO基板の温度を室温に変更し、FeCoAl合金層の表面に酸化防止層としてSiO層(厚さ5.0nm)をスパッタリングにより成長させた。得られたFeCoAl合金層について磁気特性を評価した。
図5に、厚さを2.0nmの(Fe0.5Co0.51−yAl(0≦y≦0.20)合金薄膜試料のXRDスペクトルを示す。図6は、得られた5つの試料における格子定数c及び正方晶歪c/aを、Al組成(y、原子%)に対してプロットしたグラフである。図6から、Al組成(y)の変化に対して正方晶歪c/aの値は比較的安定していること、及び1.2〜1.25という大きな正方晶歪c/aを導入できたことが判る。なお格子定数cは、図5に示した垂直XRDの結果(2θ≒57°近傍に現れる(002)面の基本格子線)から、格子定数aは面内XRDの結果により算出した。なお図5において「B.G.」のスペクトルは、酸化マグネシウム基板およびロジウム層のみを有する試料の測定結果である。
図7は、厚さ2.0nmの(Fe0.5Co0.51−yAl合金薄膜試料の磁気異方性と組成との関係を表した図である。FeCoAl合金層の組成(FeCo1−x1−yAlにおいて、0.4≦x≦0.6、0<y≦2.0のときに膜面垂直に磁化容易軸を持つ一軸磁気異方性が発現することが判る。
図8は、厚さ2.0nmの(Fe0.5Co0.51−yAl(0≦y≦0.20)合金薄膜試料におけるAl組成(y)と一軸磁気異方性Ku1及び飽和磁化Mとの関係をプロットしたグラフである。図8から、Al組成yが0<y≦0.15のときに良好な一軸磁気異方性および飽和磁化が得られることが判る。
図9は、厚さ2.0nmの(FeCo1−x0.9Al0.1(0≦x≦1.0)合金薄膜試料におけるCo組成(1−x)と一軸磁気異方性Ku1及び飽和磁化Mとの関係をプロットしたグラフである。図9から、Co組成が0.4≦1−x≦0.6のとき、すなわち0.4≦x≦0.6のときに良好な一軸磁気異方性および飽和磁化が得られることが判る。
図10は、(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2.0〜20.0nm)について、膜厚と一軸磁気異方性Ku1及び飽和磁化Mとの関係をプロットしたグラフである。全ての厚さにおいて概ね10erg/cmオーダの良好な一軸磁気異方性および1500emu/cm以上の良好な飽和磁化が得られていることが判る。
<試料群2>
上記説明した製造方法S200により、FeCoAl合金系硬質磁性材料を製造した。チタン酸ストロンチウム単結晶基板(10mm×10mm×厚さ1mm、信光社製)の(100)面に、スパッタリングによりFeCoAl合金層((Fe0.5Co0.51−yAl、0<y≦0.15、厚さ2.0〜20.0nm)をエピタキシャル成長させた。FeCoAl合金層を成長させる間、SrTiO基板の温度は200℃に保持した。FeCoAl合金層の成長を終えた後、SrTiO基板の温度を室温に変更し、FeCoAl合金層の表面に酸化防止層としてSiO層(厚さ5.0nm)をスパッタリングにより成長させた。得られた積層体に対して熱処理(熱アニーリング)(200〜800℃、5分ないし6時間)を施した。得られたFeCoAl合金層について磁気特性を評価した。
図11は、厚さ2.0nmの(Fe0.5Co0.51−yAl合金薄膜試料(0≦y≦0.20、アニーリング温度200〜800℃)について、正方晶歪c/a及び飽和磁化Mの、アニーリング温度との関係をプロットしたグラフである。正方晶歪c/aはアニーリング温度を上げると歪緩和により小さくなった一方で、飽和磁化MsはどのAl添加量でもアニーリング温度600℃で最大となった。
図12は、これらの合金薄膜試料について、一軸磁気異方性Ku1をAl組成(y)に対してプロットしたグラフである。なお一軸磁気異方性Ku1は式:
u1=(M・H)/2+2πM
(式中、Hは異方性磁界を表す。)
により算出した。一軸磁気異方性Ku1はアニーリング温度600℃、Al組成y=0.10のとき最大値1.7×10erg/cmとなった。
図13は、(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2.0〜20.0nm、アニーリング温度600℃)の一軸磁気異方性Ku1を厚さに対してプロットしたグラフである。厚さを増大させても良好な一軸磁気異方性Ku1が発現していることが判る。図13中には、製造方法S100によりロジウム薄膜上に作製した(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(FeCoAl/Rh/MgO、厚さ2.0〜20.0nm)のデータを併せて示している。
図14は、上記同様にSrTiO基板上に作製した(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2〜20nmm)について、一軸磁気異方性Ku1とB2規則度(S)との関係をプロットしたグラフである。なおB2規則度は、特許文献8に記載の方法と同様にして、放射光X線により測定したX線回折(XRD)スペクトルにおける基本格子線((002)面)と超格子線((001)面)のピークに対して、B2規則度を含むパラメタに基づく計算結果によりフィッティングを行うことにより求めた。B2規則度が1に近付くほど一軸磁気異方性は増大することが判る。なお図14には、製造方法S100によりロジウム薄膜上に作製した(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料のデータも併せて示している。ロジウム薄膜上に作製した(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料の一軸磁気異方性はB2規則度が高まるとむしろ低下しているが、これは正方晶歪が低下したためである。
図15は、FeCoAl合金薄膜試料の一軸磁気異方性Ku1を正方晶歪c/aに対してプロットしたグラフである。正方晶歪が小さくても、B2規則度を高めることによって一軸磁気異方性Ku1が増大することが判る。
<試料群3>
上記説明した製造方法S100により、FeCoAl合金系硬質磁性材料を製造した。酸化マグネシウム単結晶基板(10mm×10mm×厚さ1m、ケーアンドアール・クリエーション製)の(100)面に、スパッタリングによりロジウム層(厚さ20.0nm)をエピタキシャル成長させた。ロジウム層を成長させる間、MgO基板の温度は300℃に保持した。ロジウム層の成長を終えた後、MgO基板の温度を200℃に変更し、ロジウム層の表面に微細加工により円形のFeCoAl合金層((Fe0.5Co0.50.9Al0.1、厚さ2.0nm、直径30〜100nm)をエピタキシャル成長させた。FeCoAl合金層の成長を終えた後、MgO基板の温度を室温に変更し、FeCoAl合金層の表面に酸化防止層としてSiO層(厚さ5.0nm)をスパッタリングにより成長させた。得られたFeCoAl合金層について磁気特性を評価した。
図16は、作製した円形の(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2.0nm、直径30nm/50nm/100nm)の磁化曲線である。試料群1で得られた連続膜の(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2.0nm)の磁化曲線を併せて示してある。図17は、作製した円形の(Fe0.5Co0.50.9Al0.1合金薄膜試料(厚さ2.0nm、直径30nm/50nm/100nm)の保磁力Hをドット直径に対してプロットしたグラフである。直径100nm以下の試料で保磁力Hが増大し、直径30nmの試料において3.5kOeを超える結果となった。保磁力Hの理論値は、一軸磁気異方性Ku1及び飽和磁化Msから、式:
=2Ku1/M
で算出される。該理論式により算出される保磁力の理論値は約10kOeであるから、これに近い値が実現されているといえる。これらの結果から、本発明のFeCoAl硬質磁性材料は、高い保磁力を発現できることが示された。
10 酸化マグネシウム単結晶基板
20 ロジウム層
30、230 FeCoAl合金層
40、240 酸化防止層
210 チタン酸ストロンチウム単結晶基板

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される組成を有する正方晶FeCoAl合金であって、
    前記正方晶FeCoAl合金の正方晶歪c/aが1を超え1.3以下であり、
    前記正方晶FeCoAl合金のB2規則度が0.25〜1である、
    FeCoAl合金系硬質磁性材料。
    (FeCo1−x1−yAl (1)
    (一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.6を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数である。)
  2. 前記正方晶歪c/aが1.01以上1.3以下である、
    請求項1に記載のFeCoAl合金系硬質磁性材料。
  3. 請求項1又は2に記載のFeCoAl合金系硬質磁性材料からなる、
    硬質磁性体膜。
  4. 請求項1又は2に記載のFeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子であって、粒径が100nm以下である粒子を含む、永久磁石。
  5. FeCoAl合金系硬質磁性材料の粒子であって、粒径が100nm以下である粒子を含む、永久磁石であって、
    前記FeCoAl合金系硬質磁性材料は、下記一般式(1)で表される組成を有する正方晶FeCoAl合金であって、
    前記正方晶FeCoAl合金の正方晶歪c/aが1を超え1.3以下である、
    永久磁石。
    (Fe Co 1−x 1−y Al (1)
    (一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.6を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数である。)
  6. (a)酸化マグネシウム単結晶基板の表面に、ロジウム層をエピタキシャル成長させる工程と、
    (b)前記ロジウム層の表面に、下記一般式(1)で表される組成を有するFeCoAl合金層をエピタキシャル成長させる工程と
    (c)前記FeCoAl合金層から、前記FeCoAl合金の粒子であって、粒径が100nm以下である粒子を得る工程と
    を含む、FeCoAl合金系永久磁石の製造方法。
    (FeCo1−x1−yAl (1)
    (一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.6を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数である。)
  7. (a)チタン酸ストロンチウム単結晶基板の表面に、下記一般式(1)で表される組成を有するFeCoAl合金層をエピタキシャル成長させる工程と、
    (b)前記チタン酸ストロンチウム基板および前記FeCoAl合金層を含む積層体を熱処理する工程と
    を含み、
    前記熱処理後の前記FeCoAl合金層のB2規則度が0.25以上である、
    FeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法。
    (FeCo1−x1−yAl (1)
    (一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.6を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数である。)
  8. (c)前記工程(a)の後かつ前記工程(b)の前に、前記FeCoAl合金層の表面に酸化防止層を形成する工程
    をさらに含む、請求項7に記載のFeCoAl合金系硬質磁性材料の製造方法。
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