JP3392444B2 - 磁性人工格子膜 - Google Patents

磁性人工格子膜

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JP3392444B2 JP28674192A JP28674192A JP3392444B2 JP 3392444 B2 JP3392444 B2 JP 3392444B2 JP 28674192 A JP28674192 A JP 28674192A JP 28674192 A JP28674192 A JP 28674192A JP 3392444 B2 JP3392444 B2 JP 3392444B2
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宏 富田
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/3222Exchange coupled hard/soft multilayers, e.g. CoPt/Co or NiFe/CoSm

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は平面インダクタ、平面ト
ランス、薄膜磁気ヘッドなどの平面磁気素子に用いられ
る磁性人工格子膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種電子機器の小形化が盛んに進
められている。しかし、これに比較して、電子機器を構
成する電源部の小形化は遅れている。このため、機器全
体に占める電源部の容積比率は増大する一方である。電
子機器の小形化は、各種回路のLSI化によるところが
大きいが、電源部に必須であるインダクタやトランスな
どの磁気部品についてはこのような小形化・集積化が遅
れており、これが容積比率を増大させる主因となってい
る。
【0003】この課題を解決するために、平面コイルと
磁性体とを組み合わせた平面型の磁気素子が提案され、
その高性能化が検討されている(例えば、白川ら;電気
学会マグネティックス研究会資料、MAG−92−1
4)。
【0004】これらの磁気素子に用いられる磁性薄膜に
は、1MHz以上の高周波領域において高透磁率かつ高
飽和磁場であることが要求される。高透磁率および高飽
和磁場を両立するためには、高飽和磁化が必要である。
さらに、このような磁性薄膜は、損失が増大すると、素
子自身のエネルギー効率、動作効率の低下、動作時の発
熱量の増大などを招き、十分な性能を発揮できなくなる
ため、低損失であることが要求される。
【0005】また、最近の磁気記録技術の分野では、記
録密度の増大、媒体の高保磁力化、高エネルギー積化お
よび動作周波数の高周波化が進んでいる。例えば、実験
室レベルでは、1平方インチ当り2Gビットの記録密度
が実現されている(H.Takano et al.;
IEEE Trans.,Magn.,MAG−27,
No.6,pp.4678−4683,1991)。
【0006】これに伴い、薄膜磁気ヘッドの磁極に用い
られる磁性薄膜は、飽和磁束密度が高く、軟磁気特性に
優れ(高い透磁率を有し)、周波数特性に優れているこ
とが要求される。これらの特性は、一般にその他の磁気
素子においても共通して要求される。
【0007】現在の技術水準では、2テスラを超える飽
和磁化を示す磁性材料が要求されている。このような要
求を満たす磁性材料として、Fe系およびFeCo系材
料が有望と考えられ、盛んに開発が進められている。特
に、FeCo合金は、金属系磁性材料中で最高の飽和磁
束密度を有する。しかし、これらの材料は結晶磁気異方
性K1 および磁歪λsがともに大きいため、十分な軟磁
気特性を得ることが困難である。
【0008】図1にFeCo合金における磁歪定数λ
s、飽和磁束密度Bsおよび結晶磁気異方性K1 の組成
依存性を示す。なお、Coが80at%以上になると、
bcc構造が不安定となり、fcc構造を示し、飽和磁
束密度が低下する。一方、Coが5at%以下になる
と、負磁歪を示すようになる。特に、Coが20〜50
at%のものは、飽和磁束密度が大きい。例えば、Fe
70Co30の諸定数は、λs=45×10-6、K1 =1.
2×104 (J/m3 )、Is=2.46Tである。
【0009】ここで、これらの材料では十分な軟磁気特
性を得ることが困難である理由についてさらに詳細に説
明する。。磁気異方性定数Kは応力σを介して誘導され
る一軸磁気異方性定数Kuと結晶磁気異方性定数K1
の和であり、 Ku=3λs・σ/2 K =K1 +Ku=K1 +3λs・σ/2 と表される。
【0010】初透磁率をμi 、飽和磁化をIs(T)と
すると、 μi 〜Is2 /(3K・μ0 )+1 となる。したがって、Fe70Co30の場合、σ=2.5
×107 N/m3 とすると、μi は100程度の低い値
になる。
【0011】一方、Fe60Co40のいわゆるパーメンジ
ュール組成では、K1 =0となるので、透磁率の向上に
は有利であると考えられる。しかし、実際にはその値は
700程度にすぎない。この理由は、パーメンジュール
組成では、磁歪λsが大きくなるためである。
【0012】また、高周波領域では透磁率は主に回転磁
化過程によってまかなわれる。このため、磁化困難軸方
向の励磁が重要になり、磁化困難軸方向の高周波透磁率
および高周波損失が重要な物性値になる。高周波損失
は、試料の様々な物性と複雑に関連した量である。損失
の主要な要素としては、ヒステリシス損失と渦電流損失
とが挙げられる。低周波側で容易軸励磁する場合には、
磁壁移動などによる異常損などが問題になることもあ
る。しかし、回転磁化過程を主とする磁化困難軸方向の
高周波励磁では、通常は異常損などを無視できる。した
がって、高飽和磁化および1MHz高周波領域での高透
磁率・低損失を実現するには、高飽和磁化と軟磁性とを
両立させつつ、ヒステリシス損失および渦電流損失を低
減することが必要である。
【0013】近年、これらの材料の軟磁性化の手段とし
て、B、N、Cなどの添加、IVA族、VA族元素など
の添加による微結晶化が試みられている。しかし、何ら
かの添加元素を用いた場合には、Fe系およびFeCo
系の材料が本来持っている高飽和磁化を劣化させる場合
が多い。
【0014】また、高周波渦電流損を低減するために、
非磁性のSiO2 やAlNなどの絶縁膜との多層化も試
みられている。この場合、磁性膜間の静磁結合により磁
区を細分化するためには絶縁膜を薄くしなければなら
ず、一方磁性膜中に発生する渦電流を十分に遮断するに
は絶縁膜を厚くしなければならない。実際には、適度の
厚さの絶縁膜を形成することにより、磁区の細分化と渦
電流の遮断を図っているが、両者の要求を満足するには
不十分である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、平面イ
ンダクタや平面トランス、磁気記録ヘッド用磁極材料と
して、高い飽和磁束密度、優れた軟磁気特性、良好な高
周波特性を有する軟磁性薄膜材料が要望されているが、
これらの全てを満足する材料は未だ開発されていない。
【0016】本発明の目的は、高い飽和磁束密度、優れ
た軟磁気特性、良好な高周波特性を有し、平面磁気素子
などへ有効に適用できる磁性人工格子膜を提供すること
にある。
【0017】
【課題を解決するための手段と作用】本願第1の発明の
磁性人工格子膜は、20〜50at%のCoを含有する
FeCo系の強磁性薄膜と、5〜50at%のRを含有
するRFeCo系合金薄膜(RはPm、Sm、Erおよ
びTmからなる群より選択される少なくとも1種の元
素)とを積層したことを特徴とするものである。
【0018】本願第2の発明の磁性人工格子膜は、20
〜50at%のCoを含有するFeCo系の強磁性薄膜
と、 1-x Fe 2+x 4 (MはMg、Mn、Co、Ni、
Cu、Liからなる群より選択される少なくとも1種の
金属元素、0≦x≦0.5)で表されるスピネルフェラ
イト磁性薄膜とを積層したことを特徴とするものであ
る。
【0019】本願第3の発明の磁性人工格子膜は、20
〜50at%のCoを含有するFeCo系の強磁性薄膜
と、Fe、CoおよびMgからなる群より選択される少
なくとも1種の元素を含むNaCl型イオン性化合物薄
とを積層したことを特徴とするものである。本願第4
の発明の磁気ヘッドは、上記第1ないし第3のいずれか
の磁性人工格子膜を具備したことを特徴とするものであ
る。
【0020】本発明にかかる磁性人工格子膜の構造を図
2に示す。図2に示されるように、基板1上に、強磁性
薄膜2、中間層3、および強磁性薄膜2が順次積層され
て磁性人工格子膜4が形成されている。なお、図2では
3層からなるサンドイッチ構造を示しているが、さらに
層数を増加させてもよいことはもちろんである。
【0021】本発明においては、Fe系またはFeCo
系の強磁性薄膜が用いられる。特に、2.4テスラ程度
の高飽和磁化が得られる、Coが20〜50at%のF
eCoを用いることが好ましい。なお、この組成範囲の
FeCo系強磁性薄膜は正の磁歪を有する。
【0022】本願第1および第2の発明の磁性人工格子
膜は、正の磁歪を有するFeCo系の強磁性薄膜と、負
の磁歪を有するRFeCo系合金薄膜またはスピネルフ
ェライト磁性薄膜からなる中間層とを積層することによ
り、膜全体として実効的な磁歪を低減するものである。
【0023】本願第1の発明において用いられる、RF
eCo系合金薄膜(RはPm、Sm、ErおよびTmか
らなる群より選択される少なくとも1種)は、大きな負
の飽和磁歪定数を有するものである。例えば、図3にS
x (Fe0.75Co0.25100-x 合金中のSm含有率と
磁歪定数との関係を示す。この図から明らかなように、
Sm含有率が5〜50at%のときに大きな負磁歪定数
を示す。一般に、RFeCo系合金に関しては、Rの含
有率が少なすぎると磁歪定数が正の値になり、Rの含有
率が多すぎると飽和磁化が小さくなる。したがって、R
の含有率は10〜40at%が好ましく、特に磁歪定数
が負の極値を示す10〜30at%がより好ましい。
【0024】本願第2の発明において用いられるスピネ
ルフェライト磁性薄膜は、M1-x Fe2+X 4 (MはM
g、Mn、Co、Ni、Cu、Liからなる群より選択
される少なくとも1種の金属元素)で表され、負の磁歪
が大きく、結晶磁気異方性が小さいことが望ましい。表
1に負の多結晶磁歪を有する代表的なスピネルフェライ
トの例を示す。表1のうちでも、CoNiフェライトが
大きな負磁歪と小さな結晶磁気異方性を有することがわ
かる。
【0025】
【表1】 本願第1および第2の発明において、FeCo系の強磁
性薄膜の膜厚は、使用する励磁周波数におけるスキンデ
プスよりも十分薄くすることが好ましい。FeCo合金
の抵抗率を20μΩ・cm程度、比透磁率μs を100
0程度とすると、スキンデプスsは、 s=(2ρ/ωμ0 ・μs 1/2 =7100/f1/2 (μm) と表される。周波数fが200MHzのとき、s=0.
5μmとなる。したがって、目安としてFeCo膜の膜
厚を0.5μm以下にすればよい。ただし、強磁性膜の
1層の膜厚が厚いと、結晶粒径が大きくなり、結晶磁気
異方性K1 の影響を無視できなくなる。そこで、図1に
おいて、K1 がほぼ0となるような組成を選択すること
が好ましい。
【0026】また、膜厚t1 の強磁性膜(磁歪定数λs
1 、誘導磁気異方性定数Ku1 )と膜厚t2 の中間層
(磁歪定数λs2 、誘導磁気異方性定数Ku2 )とを積
層したときの実効的な磁歪定数λseff は、以下のよう
に表される。
【0027】
【数1】 この実効的な磁歪定数λseff の絶対値は2×10-6
満であることが好ましい。同様に、実効的な誘導磁気異
方性定数Kueff は、以下のように表される。
【0028】
【数2】 これらの式から、強磁性膜と中間層との膜厚の関係は、 t2 /t1 =−λs1 /λs2 =−Ku1 /Ku2 となる。なお、1層ずつの強磁性膜および中間層の厚さ
を積層周期と規定すると、積層周期が小さすぎる場合に
は膜の結晶構造が乱れるため十分な軟磁性が得られず、
一方積層周期が大きすぎる場合にはそれぞれの膜の内部
応力のために十分な軟磁性が得られなくなる。したがっ
て、積層周期は5〜1000nmの範囲が好ましく、1
0〜500nmの範囲がより好ましい。以上の条件を満
たせば、膜全体としての実効磁歪定数を低下できるだけ
でなく、結晶磁気異方性も小さくできるので、透磁率を
極めて高くできる。
【0029】さらに、実効的な飽和磁束密度Bs
eff は、以下のように表される。
【0030】
【数3】 図4にFeCo膜と各種フェライト膜とを積層したとき
に、磁歪が0になる組成と飽和磁束密度との関係を示
す。例えば、図4に矢印で示す範囲の組成を有するFe
Co膜を用いた場合、0に近いK1 を示すが、磁歪が大
きいため、フェライト膜の膜厚を厚くする必要がある。
ただし、この組成範囲のFeCo膜は、依然として2.
4T以上の高い飽和磁束密度を有するので、積層化によ
っても1.5T以上の実効的な飽和磁束密度が得られ
る。
【0031】なお、本願第1の発明において、RFeC
o膜が非晶質である場合には、FeCo膜とRFeCo
膜との間の相互拡散が抑制されるとともに、比抵抗が大
きくなるため軟磁性の改善が期待できる。
【0032】また、本願第2の発明において用いられる
フェライト膜は、抵抗率が高いため渦電流損の低減に有
効であり、高周波特性の改善も期待できる。
【0033】さらに、本願第1および第2の発明におい
ては、磁界中熱処理により膜全体に一軸異方性を容易に
付与することができる。
【0034】本願第3の発明は、Fe系またはFeCo
系の強磁性膜をエピタキシャル成長させることにより、
結晶の対称性や格子定数をバルクとは大きく変化させ
る。ここでいう対称性とは、例えば面内の磁化容易軸の
軸数や相対的な方位、すなわち一軸異方性、二軸異方性
などである。例えば、結晶格子への歪みの導入による逆
磁歪効果などにより、膜面内での実効的な磁気異方性エ
ネルギーを大きく変化させ、磁化困難軸方向の高周波励
磁に有利になるようにするものである。
【0035】本願第3の発明において、基板としては、
MgOなどのNaCl型イオン性化合物、CuZn、P
tなどの金属、SrTiO3 などのペロブスカイト型酸
化物を用いることができる。中間層として用いられるN
aCl型イオン性化合物としては、FeO、CoO、M
gO、Fe1-x-y Cox Mgy Oなどが挙げられる。こ
れらの基板または中間層に対してヘテロエピタキシーに
より成長したFe系またはFeCo系の強磁性膜の結晶
構造は、体心立方格子bcc、または体心立方格子があ
る程度歪んだ体心正方格子bctである。
【0036】図5にMgO(100)面の表面構造、図
6にFe(100)面の表面構造、図7にこれらの面を
重ねた状態をそれぞれ模式的に示す。バルクで知られて
いるNaCl型イオン性化合物の格子定数は以下の通り
である。MgO:4.21オングストローム、FeO:
4.31オングストローム、CoO:4.26オングス
トロームである。一方、バルクbccFeCoは、バル
クbccFe(2.87オングストローム)に近い値の
格子定数を有する。このように、NaCl型イオン性化
合物は、Fe系またはFeCo系の体心格子とのエピタ
キシャル成長が得やすい。したがって、図7の関係は、
その他の組み合わせに対しても、ほぼ同様に成立する。
本願第3の発明においては、前記以外のヘテロエピタキ
シー関係でもよいことはもちろんである。
【0037】また、MgはFeまたはFeCoに対して
固溶しにくく、FeおよびCoはFeまたはFeCoに
対して不純物にならないため、Fe系またはFeCo系
の磁性層の飽和磁化を損なうことがない。しかも、一般
に、磁性体の諸特性は、結晶構造に大きく依存する。特
に、Fe系では磁気体積効果などにより、単位セル体積
の増大によって磁気モーメントが上昇する場合がある。
例えば、エピタキシャル成長を利用してバルクとは異な
る非平衡相を実現すれば、3テスラ級の高飽和磁化を得
ることもできる。この場合、磁性膜に元素添加を併用し
て、体心格子の一部をFe、Co以外の他の元素で置換
したり、他の元素を適当な格子間位置に侵入させてもよ
い。
【0038】なお、Fe系またはFeCo系の磁性膜の
格子定数は、2.8〜3.1オングストロームが好まし
い。格子定数が3.1オングストロームを超えると、体
心結晶格子を維持でき、かつ単位原子当りの磁気モーメ
ントがバルク値を超えたとしても、単位セル体積の増大
により単位体積当りの磁気モーメントが減少し、高飽和
磁化が得られなくなるおそれがあるため好ましくない。
【0039】まず、基板上にFe系またはFeCo系の
磁性膜をエピタキシャル成長させたときに、磁性膜の
(nmm)面が基板面に対して平行になるようにするこ
とが好ましい。ここで、n≠0、m、かつm≠0であ
る。
【0040】回転磁化過程による透磁率を高めるために
は、励磁の際に磁気モーメントが回転する面内において
磁気エネルギーの変化が小さく、かつその変化ができる
かぎり単調で可逆的であることが好ましい。前述した磁
性膜の特定の結晶面が基板面に対して平行であれば、磁
気モーメントが回転する面内において磁気エネルギーの
変化が小さくなる。その理由について説明する。
【0041】ここで、立方結晶磁気異方性Eaは以下の
式で表される。
【0042】 Ea=K1 (α1 2 α2 2 +α2 2 α3 2 +α3 2 α1 2 ) 式中、K1 は立方結晶磁気異方性定数、αは各結晶軸に
対する方向余弦である。なお、この式では高次の項を省
略している。以下の説明では便宜上K1 を正として記述
するが、K1 は負でもよいことはもちろんである。ま
た、K1 は、磁歪による自発的歪みに伴う磁気弾性エネ
ルギーの項、および応力による磁歪を介した磁気弾性エ
ネルギーの項を含む場合がある。
【0043】n=mの場合、(nmm)面は(111)
面と等価な面になり、膜面内で3回対称となる。m=
0、n≠0の場合、(nmm)面は(100)面と等価
な面になり、膜面内で4回対称となる。その他の(nm
m)面は全て2回対称になる。したがって、磁性膜のn
≠mかつm≠0を満たす(nmm)面が、基板面に対し
て平行であれば、膜面内に一軸磁気異方性を導入するこ
とができる。
【0044】n≠mかつm≠0を満たす(nmm)面で
は、互いに直交関係にある<0,−1,−1>方向と<
2m,−n,−n>方向とが存在する。これらの軸方向
は、K1 が極値を取る方向であり、一方が磁化容易軸方
向、他方が磁化困難軸方向となる。
【0045】n≠mかつm≠0を満たし、さらにn=0
を満たす(nmm)面は、(011)面と等価な面にな
る。この面は、bccのFe系またはFeCo系では一
般的な配向面である。しかし、以下に示すように、n≠
mかつm≠0を満たす(nmm)面のうち(011)面
では、<2m,−n,−n>方向と<0,−1,−1>
方向との磁気異方性エネルギーの差が最も大きくなる。
このことは、面内の一軸磁気異方性エネルギーおよび異
方性磁場が大きくなることを意味する。このため、磁化
困難軸方向において回転磁化過程による透磁率を高める
には好ましくない。
【0046】ここで、(nmm)面について、nをmで
規格化して(n/m,1,1)面と表し、面内の<2,
−n/m,−n/m>方向と<0,1,−1>方向との
1に起因する磁気異方性エネルギーの差ΔEaをK1
で規格化し、その大きさを検討する。図8に、n/mと
ΔEa/K1 との関係を示す。なお、この図においてn
/m=1の場合は前述した(111)面に等価な面であ
り、ここでの議論の対象外である。図8から明らかなよ
うに、n/m=0(すなわちn=0)の場合とそれ以外
例えばn/m=2の場合とでΔEa/K1 の絶対値を比
較すると、前者は後者の約3倍の非常に大きな値を示
す。このようにn/m=0の面は透磁率を高めるには不
都合である。
【0047】以上の議論に基づいて、高周波励磁におけ
る透磁率の周波数依存性を模式的に示すと、図9のよう
になると予想される。この図では、図8におけるn/m
=0,1,2の面および(001)面について透磁率の
変化を示している。ここでは、K1 の値は全て共通と
し、試料の膜厚は渦電流損が無視できるほど十分薄いと
想定している。また、印加される磁場の方向は膜面に平
行、かつそれぞれの試料において高周波励磁に適した方
向に設定することを想定している。
【0048】n/m=1の面および(001)面では、
面内異方性が一軸ではないため、膜全体を磁化困難軸励
磁することができず、膜面内のいかなる方向に高周波磁
場を印加したとしても、磁性膜の一部で回転磁化過程が
生じるだけである。このため、高周波領域においては磁
壁移動による磁化過程が追随できなくなり、高透磁率を
得ることができない。また、n/m=1の面では、K1
の面内異方性への寄与がなくなるため、より高次の異方
性に支配されたり、複雑な磁区構造を示すことが多い。
【0049】n/m=0および2の面では、一軸磁気異
方性が得られ、磁化困難軸励磁により膜全体で回転磁化
過程が生じる。ただし、前述したようにn/m=0の面
では一軸異方性エネルギーが大きく、異方性磁場が大き
くなるため、n/m=2の面と比較して約1/3の高周
波透磁率しか得られない。結局、図9の例ではn/m=
2の場合すなわち(211)面に等価な面が、最も優れ
た高周波透磁率を示す。n/mが2より大きい面で他の
磁気異方性に撹乱されずに膜面内で一軸異方性が実現で
きる場合には、図8に示したように面内異方性エネルギ
ーがより小さくなり、これに起因して高透磁率が得られ
る。
【0050】以上の議論は、厳密には立方晶に関するも
のであるが、エピタキシャル成長機構および添加元素の
効果などにより、立方晶が歪んでいても成立する。特
に、正方晶において、c軸に関する指数がnで、a軸に
関する指数が2つのmに相当する場合には、対称性の条
件は前記と全く同一である。
【0051】ただし、単層の磁性膜を用いた場合に損失
を低減するには、膜厚を薄くすることが考えられるが、
これは実際には困難である。例えば、平面インダクタに
代表されるような平面磁気素子などでは、所定の性能を
得るために磁性膜が担うべき磁束の総量が規定されてい
る。このため、磁束密度をある程度高いレベルに保った
としても、膜の断面積をあまり減らすことができない。
したがって、総膜厚をあまり薄くすることはできず、損
失の低減にも限度がある。
【0052】本願第3の発明においては、さらにヘテロ
エピタキシーによりNaCl型イオン性化合物からなる
中間層、および磁性膜を順次積層し、膜全体にわたって
結晶成長面と格子定数を制御する。Fe、CoおよびM
gからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含
むNaCl型イオン性化合物を用いれば、前述したよう
にFe系またはFeCo系の磁性膜とのヘテロエピタキ
シーを実現できる。なお、NaCl型イオン性化合物の
組成は、化学量論比からずれていてもさしつかえない。
むしろ、格子定数を制御するために、意図的に組成を化
学量論比からずらす場合もあり得る。
【0053】なお、NaCl型イオン性化合物からなる
中間層と積層化された磁性膜においても、基板面または
膜面に対して、磁性膜のn≠0,mかつm≠0を満たす
(nmm)面が平行になるようにすることが好ましい。
例えば、前述したように、人工格子膜全体を高周波にお
いて一様な交番磁場で駆動するには、一軸異方性を付与
して磁化困難軸方向に励磁するのが適当であり、(21
1)面などを成長させることが好ましい。ただし、基板
面または膜面に対して、磁性膜の(100)面が平行で
あり二軸異方性を取るような場合でも、膜全体を適当な
形状に加工して磁化困難軸方向にのみ励磁するようにす
れば、所期の効果を得ることができる。
【0054】本願第3の発明の磁性人工格子膜において
は、以上のような手段により、磁性膜の磁気異方性と飽
和磁化とを積極的に制御でき、対象となる磁気素子に適
した磁気特性を得ることができる。このように磁性層間
に中間層を介在させた積層構造を採用すれば、表皮深さ
に比べて単位磁性層の厚みを薄くできるため、単層膜を
用いる場合と比較して高周波損失を大幅に抑えることが
できる。
【0055】本発明において、磁性膜の成膜方法は特に
限定されず、RFスパッタリング法、イオンビームスパ
ッタッリング法、真空蒸着法、MBE、CVD、ゾル−
ゲル法などを用いることができる。また、NaCl型イ
オン性化合物を成膜する場合には、前記のような方法に
よる成膜時に適当な分圧の酸素を供給してもよい。
【0056】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0057】実施例1 ガラス基板上にFeCo膜およびSmFeCo膜を交互
に積層した人工格子膜を作製した例について説明する。
【0058】本実施例では、通常のスパッタリング装置
を用い、以下の条件でスパッタリングを行った。
【0059】A:FeCoの成膜 ターゲット:Fe Co Arガス圧:0.67Pa 出力: Fe;DCマグネトロンスパッタ、2.5
A Co;DCマグネトロンスパッタ、1.42A 基板温度: 室温 この条件でのFeCo膜の組成はFe60.9Co39.1(a
t%)、成膜速度は23nm/minであった。この条
件で膜厚20nmのFeCo膜を成膜した。
【0060】B:SmFeCoの成膜 ターゲット:Fe Co Sm Arガス圧:0.67Pa 出力: Fe;DCマグネトロンスパッタ、2.5
A Co;DCマグネトロンスパッタ、1.42A Sm;RFマグネトロンスパッタ、178W 基板温度: 室温 この条件でのSmFeCo膜の組成はSm9.9 Fe53.6
Co36.5(at%)、成膜速度は28nm/minであ
った。この条件で膜厚6.8nmのSmFeCo膜を成
膜した。
【0061】以上のA工程およびB工程を交互に8回繰
り返し行い、図10に示すように、ガラス基板11上
に、FeCo膜12およびSmFeCo膜13が交互に
8層ずつ積層された合計膜厚214nmの人工格子膜1
4を形成した。この人工格子膜14を構成するFeCo
膜およびSmFeCo膜の物性はそれぞれ以下の通りで
ある。
【0062】FeCo膜 飽和磁束密度Is=2.2T 飽和磁歪λs=51×10-6 保磁力Hc=6400A/m SmFeCo膜 飽和磁束密度Is=1.4T 飽和磁歪λs=−150×10-6 保磁力Hc=28800A/m なお、(1)式の計算結果は以下の通りである。
【0063】 |(51×20−150×6.8)/(20+6.8)|×10-6=0 得られた人工格子膜の物性はそれぞれ以下の通りであっ
た。
【0064】飽和磁束密度Is=2.0T 飽和磁歪λs<10-6 保磁力Hc=5920A/m この膜を8×104 A/mの直流磁界中、250℃で3
0分間熱処理することにより得られた人工格子膜の物性
は以下の通りであった。
【0065】飽和磁束密度Is=2.1T 飽和磁歪λs<10-6 困難軸方向の保磁力Hc=600A/m 以上のように2.1Tという高い飽和磁束密度および1
-6以下の低い飽和磁歪を有する人工格子膜が得られ
た。
【0066】実施例2 ガラス基板上にFeCo膜およびSmFeCo膜を交互
に積層した人工格子膜を作製した別の例について説明す
る。
【0067】本実施例では、通常のスパッタリング装置
を用い、以下の条件でスパッタリングを行った。
【0068】A:FeCoの成膜 実施例1と同一。
【0069】B:SmFeCoの成膜 ターゲット:Fe Co Sm Arガス圧:0.67Pa 出力: Fe;DCマグネトロンスパッタ、2.5
A Co;DCマグネトロンスパッタ、1.42A Sm;RFマグネトロンスパッタ、283W 基板温度: 室温 この条件でのSmFeCo膜の組成はSm15.7Fe48.4
Co35.9(at%)、成膜速度は32nm/minであ
った。この条件で膜厚4.0nmのSmFeCo膜を成
膜した。
【0070】以上のA工程およびB工程を交互に9回繰
り返し行い、図11に示すように、ガラス基板11上
に、FeCo膜12およびSmFeCo膜13が交互に
9層ずつ積層された合計膜厚216nmの人工格子膜1
5を形成した。この人工格子膜15を構成するFeCo
膜およびSmFeCo膜の物性はそれぞれ以下の通りで
ある。
【0071】FeCo膜 実施例1と同一。
【0072】SmFeCo膜 飽和磁束密度Is=1.1T 飽和磁歪λs=−250×10-6 保磁力Hc=55000A/m なお、(1)式の計算結果は以下の通りである。
【0073】 |(51×20−250×4)/(20+4)|×10-6=0.8×10-6 得られた人工格子膜の物性はそれぞれ以下の通りであっ
た。
【0074】飽和磁束密度Is=2.0T 飽和磁歪λs<10-6 保磁力Hc=4400A/m この膜を8×104 A/mの直流磁界中、350℃で3
0分間熱処理することにより得られた人工格子膜の物性
は以下の通りであった。
【0075】飽和磁束密度Is=2.1T 飽和磁歪λs<10-6 困難軸方向の保磁力Hc=472A/m 以上のように2.1Tという高い飽和磁束密度および1
-6以下の低い飽和磁歪を有する人工格子膜が得られ
た。
【0076】実施例3 ガラス基板上にFeCo膜およびスピネルフェライト膜
を交互に積層した人工格子膜を作製した例について説明
する。
【0077】本実施例では、通常のRFスパッタリング
装置を用い、以下の条件でスパッタリングを行った。
【0078】A:FeCoの成膜 ターゲット:Fe60Co40(at%)合金 スパッタリングガス:Ar 全圧:0.3Pa RF電力密度:4W/cm2 この条件で膜厚100nmのFe60Co40を成膜した。
【0079】B:スピネルフェライトの成膜 ターゲット:Co0.05Ni0.95Fe2 4 焼結体 スパッタリングガス:ArとO2 (濃度10%)との混
合ガス 全圧:0.3Pa RF電力密度:4W/cm2 この条件で、Co0.05Ni0.95Fe2 4 の膜厚を10
〜200nmの範囲で変化させて成膜した。
【0080】以上のA工程およびB工程を交互に4回繰
り返し行い、図12に示すように、ガラス基板21上
に、Fe60Co40膜22およびCo0.05Ni0.95Fe2
4 膜23が交互に4層ずつ積層された人工格子膜24
を形成した。この人工格子膜24の各層は多結晶であっ
た。断面TEM観察によれば、FeCo層の平均結晶粒
径は30nm程度であり、フェライト層の平均結晶粒径
は膜厚にほぼ一致していた。
【0081】図13に、フェライト層の膜厚と10MH
zにおける初透磁率μi および飽和磁束密度Bsとの関
係を示す。この図から明らかなように、フェライト層の
厚さが90nm付近で初透磁率が最大となり、3600
程度の高い値を示す。このように、FeCo単層膜では
700程度の初透磁率しか得られないのと比較すると、
本実施例の人工格子膜では最大で約5倍の初透磁率が得
られる。
【0082】また、膜厚100nmのFe60Co40と膜
厚120nmのCo0.05Ni0.95Fe2 4 とを交互に
積層した人工格子膜について、8の字コイル法により初
透磁率の周波数特性を100MHzまで測定した。その
結果、100MHzにおける初透磁率は依然として10
00以上の値を有し、高周波特性にも優れていることが
わかった。
【0083】次に、本実施例の人工格子膜を上部および
下部の磁性体として用い、図14に示す平面インダクタ
を作製した。図14において、ガラス基板21上には、
人工格子膜24、SiO2 からなる絶縁膜25、平面ス
パイラルコイル26、SiO2 からなる絶縁膜25、人
工格子膜24が順次積層されている。
【0084】この平面インダクタについて、10MHz
において特性を調べた結果、インダクタンスが5μH、
品質係数が15であり、90%以上の効率が得られた。
【0085】さらに、この平面インダクタを、図15に
示す3W出力の10MHzスイッチングDC−DCコン
バータに適用したところ、正常な動作が確認された。
【0086】実施例4 シリコン基板の表面に熱酸化SiO2 膜を介してFeC
o膜とスピネルフェライト膜とを交互に積層した人工格
子膜を作製した例について説明する。
【0087】本実施例では2個のカウフマンイオンガン
を持つイオンビームスパッタ装置を用い、以下の条件で
スパッタリングを行った。基板は赤外線ヒーターで加熱
できるようになっている。また、基板ホルダ内に設けら
れた永久磁石によって基板表面に一軸性の200Oeの
直流磁界を印加し、磁界中成膜によって磁性膜に一軸磁
気異方性を付与した。
【0088】A:FeCoの成膜 ターゲット:Fe80Co20(at%)合金 スパッタリングガス:Ar 加速エネルギー:500eV 基板温度:300℃ この条件で膜厚10nmのFe80Co20膜を成膜した。
【0089】B:フェライトの成膜 ターゲット:Co0.1 Ni0.9 Fe2 4 焼結体 スパッタリングガス:Ar 加速エネルギー:1keV 基板温度:300℃ なお、フェライト成膜時には、ターゲットのチャージア
ップを防止するために電子線を照射するとともに、基板
の近傍に0.5Paの酸素ガスを供給して反応性雰囲気
中で成膜した。この条件で、膜厚4.5nmのCo0.1
Ni0.9 Fe24 を成膜した。
【0090】以上のA工程およびB工程を交互に70回
繰り返し行い、図16に示すように、シリコン基板31
上に形成された膜厚1μmのSiO2 膜32上に、膜厚
10nmのFe80Co20膜33および膜厚4.5nmの
Co0.1 Ni0.9 Fe2 434が交互に70層ずつ積
層された合計膜厚約1μmの人工格子膜35を形成し
た。この人工格子膜35の各層の結晶粒径はいずれも膜
厚以下であった。
【0091】この人工格子膜については、飽和磁束密度
が1.8T、初透磁率が1000であった。Fe80Co
20単層膜の結晶磁気異方性が2×104 (J/m3 )に
達し、これから見積もられる初透磁率が数10にすぎな
いのと比較すると、この初透磁率は非常に大きな値であ
る。これは、フェライトとの積層による磁歪の低減とと
もに、フェライトがバリアとして作用することによるF
eCo結晶粒成長の抑制(いわゆる微結晶効果)が寄与
していると考えられる。この人工格子膜を困難軸励磁し
たときの初透磁率は100MHzまでほぼフラットであ
り、周波数特性に優れていることが確認された。
【0092】また、この人工格子膜の磁気特性の熱処理
温度依存性を500℃まで調べた。その結果、成膜直後
の特性とほとんど変わらず、耐熱性にも優れていること
が示された。500℃で熱処理した後の磁性膜につい
て、AESにより深さ方向に元素分析を行った。その結
果、FeCo層とフェライト層との界面において相互の
反応層が確認されたが、その厚さは1nm程度と見積も
られ、全体に及ぼす影響は少ないことが確認できた。こ
のように耐熱性に優れているため、磁気デバイスの作製
プロセスによる熱履歴の影響は軽微である。
【0093】参考例 MgO(110)単結晶基板またはMgO(100)単
結晶基板上に形成されたFeCo単層膜の膜面内の一軸
磁気異方性について本発明者らが独自に検討した例につ
いて説明する。
【0094】イオンビームスパッタリング装置内に、M
gO(110)単結晶基板およびFe75Co25合金ター
ゲットを設置し、予備排気した。真空度が3×10-7
orrに到達した後、前処理としてターゲットプリスパ
ッタおよび基板プリスパッタを順次行った。次に、以下
の条件でスパッタリングを行った。
【0095】基板温度:室温(制御せず) スパッタリングガス:Ar 成膜時真空度:1.4×10-4(Torr) イオンビーム加速電圧Va:600(V) 以上の条件で、基板上に0.1μm厚のFeCo薄膜を
成膜した。成膜後、真空中、290℃で無磁場中熱処理
を行った。
【0096】薄膜の組成を、ICP発光分析により測定
したところ、Fe72Co28であった。薄膜の結晶構造お
よび配向を、CuKα線を使用したX線回折および反射
高速電子線回折(RHEED、電子線加速電圧:100
kV)により解析した。その結果、薄膜の結晶構造はb
cc相であり、エピタキシャル成長が実現していること
が確認された。基板とFeCo薄膜との方位関係は以下
の通りであった。これは、前述した図8においてn/m
=2の場合に対応する。
【0097】 面:(211)bccFeCo//(110)MgO 軸:<111>bccFeCo//<110>MgO <110>bccFeCo//<100>MgO 薄膜の磁気特性を測定するために、湿式エッチングによ
って直径約4.7mmの円板状に成形した。これは形状
磁気異方性の影響を取り除くためである。
【0098】振動試料型磁力計を用いて膜面内の磁化曲
線を測定した。図17に成膜されたままの膜の磁化曲線
を、図18に熱処理後の膜の磁化曲線を示す。図17に
示されるように、熱処理を施していない膜では、<−
1,1,1>が容易軸、<0,1,−1>が困難軸であ
った。これは、バルクの磁気異方性定数の値(文献値K
1 =+(3+δ)×105 erg/cm3 )から予想さ
れる容易軸の方向とは90゜異なっており、エピタキシ
ャル膜特有の磁気異方性を示している。図18に示され
るように、熱処理後の膜では、<−1,1,1>が困難
軸、<0,1,−1>が容易軸となった。
【0099】飽和磁化Isは2.4Tであった。この値
は同組成のバルクの値とほぼ一致する。また、磁化困難
軸方向の保磁力は0.9Oeであった。これらの試料で
は、エピタキシャル成長により導入された応力による磁
気弾性エネルギーが保磁力を減じる方向に寄与している
と考えられる。
【0100】また、薄膜磁気トルク計を用いて10kO
eの外部磁場を膜面内で回転させながら印加し、磁気ト
ルク曲線を測定した。図19に成膜されたままの膜の磁
気トルク曲線を、図20に熱処理後の膜の磁気トルク曲
線を示す。
【0101】得られた磁気トルク曲線をフーリエ変換し
て解析し、飽和磁化ベクトルIsの方位変化による磁気
異方性エネルギーEaの変化量などを求めた。Eaは、
磁気トルク曲線をフーリエ変換した各次数のトルク振幅
値を用いて解析的に積分して算出した。算出された磁化
容易軸方向と磁化困難軸方向との磁気異方性エネルギー
の差ΔEaは、1.9×105 erg/cm3 であっ
た。このΔEaの値は、バルクの異方性定数から予想さ
れる値よりも大きいが、これはエピタキシャル薄膜に特
有の異方的な格子歪みによる逆磁歪効果およびすべり誘
導磁気異方性などの寄与によるものと推定される。前述
したように、基板面に対して(011)面が平行になっ
ている場合には、より大きいΔEaが生じると考えられ
る。このように(nmm)面で高周波励磁に適した面内
一軸磁気異方性が得られる効果が確認できた。
【0102】次に、MgO(110)単結晶基板の代わ
りに、MgO(100)単結晶基板を用いた以外は、前
記と同一の方法および条件でFe72Co28膜を成膜し
た。前記と同様の解析によりbccFe72Co28のエピ
タキシャル成長が実現していることが確認された。基板
とFeCo薄膜との方位関係は以下の通りであった。
【0103】 面:(100)bccFeCo//(100)MgO 軸:<110>bccFeCo//<100>MgO <100>bccFeCo//<110>MgO これは基板面に対して、m=0の場合の(nmm)面す
なわち(100)面に等価な面が平行な場合に相当す
る。飽和磁化の値は2.4Tとなった。図21にこの膜
についての磁気トルク曲線を示す。この図から明らかな
ように、基板面に対して(100)面に等価な面が平行
になっている膜の場合には、互いに直交する2つの方向
が磁化容易軸となっている。このため、膜面内で一軸異
方性が得られず、磁化困難軸励磁に適さない。
【0104】ただし、基板面に対して(211)面が平
行なFeCo膜でも、単層膜では必ずしも良好な高周波
特性が得られないことを以下に示す。MgO(110)
単結晶基板上に、前記と同一の条件で280分間成膜し
て、膜厚1.2μmのFeCo薄膜を形成した。この試
料の組成、飽和磁化、および保磁力は、前述した値とほ
ぼ同一であった。
【0105】この試料について、磁化困難軸方向に高周
波励磁したときの励磁周波数と透磁率との関係を図22
に示す。図22から明らかなように、低周波側では高透
磁率が得られているが、励磁周波数が1MHzを超える
高周波領域では透磁率が急激に低下している。これは、
FeCo単層膜の抵抗率が低いため、渦電流損が増加し
たことによるものと考えられる。このように、膜厚の厚
いFeCo単層膜では良好な高周波特性が得られない。
【0106】実施例5 MgO(110)単結晶基板上に、FeCoエピタキシ
ャル膜およびFeCoOエピタキシャル膜を交互に積層
した例について説明する。
【0107】イオンビームスパッタリング装置内に、M
gO(110)単結晶基板およびFe75Co25合金ター
ゲットを設置し、予備排気した。真空度が3×10-7
orrに到達した後、前処理としてターゲットプリスパ
ッタおよび基板プリスパッタを順次行った。次に、以下
の工程により積層膜を形成した。
【0108】A:FeCoの成膜 基板温度:室温(制御せず) スパッタリングガス:Ar 成膜時真空度:1.4×10-4(Torr) イオンビーム加速電圧Va:600(V) 以上の条件で、40分間成膜を行い、膜厚172nmの
FeCo膜を形成した。
【0109】B:FeCoOの成膜 (1)基板近傍に酸素を流して圧力を10-5Torrに
維持し、2分間放置することによりFeCo膜面を酸化
する。(2)Aと同一の条件でシャッターを2.6秒間
だけ開いてFeCoを成膜する。これらの(1)および
(2)の処理を連続して14回繰り返した。これにより
膜厚4.2nmのFeCoO膜を形成した。
【0110】以上のA工程およびB工程の交互に6回繰
り返し、最後にA工程を1回行った。このようにして、
図23に示すように、MgO基板41上にFeCo膜4
2およびFeCoO膜43が交互に積層された人工格子
膜44を形成した。この人工格子膜44について、基
板、FeCo膜およびFeCoO膜の面方位関係は以下
の通りであった。
【0111】 (211)bccFeCo//(110)MgO (211)bccFeCo//(110)FeCoO この試料について、振動試料型磁力計により測定した磁
化曲線を図24に示す。積層膜の全体積に対して2.3
5Tという高飽和磁化を示した。また、この試料につい
て、基板面に対して平行なbccFeCo(211)面
内の<0,1,−1>方向(磁化困難軸方向)に高周波
励磁したときの、励磁周波数と比透磁率との関係を図2
5に示す。図25に示されるように、高周波領域におい
ても高い透磁率が維持された。
【0112】なお、この試料を真空中、290℃で無磁
場中熱処理したところ、薄膜面内で磁化容易軸および困
難軸が90゜回転し、<−1,1,1>方向が磁化困難
軸となった。この試料を<−1,1,1>方向に高周波
励磁したところ、図25に類似した優れた高周波特性が
得られた。
【0113】実施例6 基板としてMgO(110)単結晶基板の代わりにMg
O(100)単結晶基板41´を用いた以外は、実施例
5と全く同様にして図23に示される構造を有する人工
格子膜44´を形成した。この試料について、基板、F
eCo膜およびFeCoO膜の面方位関係は以下の通り
であった。
【0114】 (100)bccFeCo//(100)MgO (100)bccFeCo//(100)FeCoO この試料について、飽和磁化を測定したところ、2.3
T以上の高飽和磁化が得られた。
【0115】次に、この試料の人工格子膜44´の部分
をウェットエッチングして、図26に示すように短冊型
に分割した試料、または図27に示すように額縁型に分
割した試料を作製した。これらの試料はいずれも、互い
に直行する2つの磁化容易軸のうち、<001>方向が
図中の縦方向、<010>方向が図中の横方向を向くよ
うに加工されている。
【0116】図26の試料では磁区を1つの磁化容易軸
方向に安定して揃えることができる。この試料は長方形
スパイラルコイルを用いた薄膜インダクタに適した構造
である。図27の試料は正方形スパイラルコイルを用い
た薄膜インダクタに適した構造である。
【0117】これらの試料を困難軸方向に高周波励磁し
たときの励磁周波数と比透磁率との関係を図28に示
す。励磁方向は<010>すなわち図中の横方向とし
た。図28に示されるように、実施例5の場合(図2
5)と同様な優れた高周波特性が得られた。ただし、額
縁型試料の透磁率は短冊型試料の約1/2の値であっ
た。これは、額縁型試料では磁化容易軸方向に励磁され
るドメインが存在し、高周波励磁に寄与しないためであ
る。なお、実際に正方形スパイラルコイルを用いた薄膜
インダクタの磁性薄膜として、図27の額縁型試料を適
用した場合には、人工格子膜のほぼ全領域を磁化困難軸
励磁できるため、短冊型試料と同等の透磁率が得られる
と期待できる。
【0118】比較例1 FeCoO膜の代わりにアモルファスSiO2 膜を形成
した以外は、実施例5と同一の装置を用い、ほぼ同一の
操作により図23に示される構造を有する人工格子膜を
作製した。なお、アモルファスSiO2 膜は、SiO2
ターゲットをイオンビームスパッタして形成した。
【0119】この試料については、MgO(110)単
結晶基板と第1層のbccFeCo膜との方位関係は実
施例1と同一であった。しかし、第2層以降のbccF
eCo膜においてはエピタキシャル成長は実現せず、基
板面に平行に(110)面が配向した多結晶膜が得られ
た。
【0120】この試料について、第1層のbccFeC
o膜の<−1,1,1>方向および<0,1,−1>方
向に磁場を印加して磁化曲線を測定した結果をそれぞれ
図29(a)および(b)に示す。これらの図から明ら
かなように、この試料ではいずれの方向に励磁した場合
でも保磁力が高いため、保磁力よりも十分大きな大振幅
磁場を与えない限り実用的な透磁率が得られず、良好な
軟磁性を得ることが困難である。このため、薄膜インダ
クタに代表される各種薄膜磁気素子には不適である。
【0121】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、高
い飽和磁束密度、および高周波励磁に適した軟磁性を有
する磁性人工格子膜を提供でき、高出力の平面インダク
タ、平面トランス、および高密度磁気記録に最適な磁気
記録ヘッドを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FeCo膜について、組成と、飽和磁歪定数λ
s、結晶磁気異方性定数K1 、および飽和磁束密度Bs
との関係を示す特性図。
【図2】本発明に係る磁性人工格子膜を示す断面図。
【図3】Smx (Fe0.75Co0.25100-x 合金中のS
m含有率と飽和磁歪定数λsとの関係を示す特性図。
【図4】FeCo膜とフェライト膜とを積層した人工格
子膜について、FeCo膜の組成と人工格子膜の飽和磁
束密度Bsとの関係を示す特性図。
【図5】MgO(100)面の表面構造を示す模式図。
【図6】bccFe(100)面の表面構造を示す模式
図。
【図7】図5と図6とを重ね合わせた状態を示す模式
図。
【図8】FeCo膜の結晶面の指数n/mとΔEa/K
1 との関係を示す特性図。
【図9】基板面に平行な結晶面が異なる各種のFeCo
膜を、磁化困難軸方向に高周波励磁したときの励磁周波
数と透磁率との関係を示す特性図。
【図10】本発明の実施例1における磁性人工格子膜を
示す断面図。
【図11】本発明の実施例2における磁性人工格子膜を
示す断面図。
【図12】本発明の実施例3における磁性人工格子膜を
示す断面図。
【図13】同実施例3の磁性人工格子膜について、フェ
ライト層の膜厚と10MHzにおける初透磁率μi およ
び飽和磁束密度Bsとの関係を示す特性図。
【図14】同実施例3の磁性人工格子膜を用いて作製さ
れた平面インダクタの断面図。
【図15】図14の平面インダクタを適用したDC−D
Cコンバータの回路図。
【図16】本発明の実施例4における磁性人工格子膜を
示す断面図。
【図17】参考例においてMgO(110)単結晶基板
上に形成されたFeCo単層膜について、成膜されたま
まの膜の磁化曲線を示す図。
【図18】参考例においてMgO(110)単結晶基板
上に形成されたFeCo単層膜について、熱処理後の膜
の磁化曲線を示す図。
【図19】参考例においてMgO(110)単結晶基板
上に形成されたFeCo単層膜について、成膜されたま
まの膜の磁気トルク曲線を示す図。
【図20】参考例においてMgO(110)単結晶基板
上に形成されたFeCo単層膜について、熱処理後の膜
の磁気トルク曲線を示す図。
【図21】参考例においてMgO(100)単結晶基板
上に形成されたFeCo単層膜について、成膜されたま
まの膜の磁気トルク曲線を示す図。
【図22】参考例においてMgO(110)単結晶基板
上に形成されたFeCo単層膜について、磁化困難軸方
向に高周波励磁したときの励磁周波数と透磁率との関係
を示す特性図。
【図23】本発明の実施例5における磁性人工格子膜を
示す断面図。
【図24】本発明の実施例5の磁性人工格子膜の磁化曲
線を示す図。
【図25】本発明の実施例5の磁性人工格子膜を磁化困
難軸方向に高周波励磁したときの励磁周波数と比透磁率
との関係を示す特性図。
【図26】本発明の実施例6における短冊状に加工され
た磁性人工格子膜を示す平面図。
【図27】本発明の実施例6における額縁状に加工され
た磁性人工格子膜を示す平面図。
【図28】本発明の実施例5の2種の磁性人工格子膜を
磁化困難軸方向に高周波励磁したときの励磁周波数と比
透磁率との関係を示す特性図。
【図29】(a)および(b)は、比較例1の磁性人工
格子膜について、第1層のFeCo膜の<−1,1,1
>方向および<0,1,−1>方向にそれぞれ磁場を印
加して測定された磁化曲線を示す図。
【符号の説明】
1…基板、2…強磁性薄膜、3…中間層、4…人工格子
膜、11…ガラス基板、12…FeCo膜、13…Sm
FeCo膜、14、15…人工格子膜、21…ガラス基
板、22…Fe60Co40膜、23…Co0.05Ni0.95
2 4 膜、24…人工格子膜、25…絶縁膜、26…
平面スパイラルコイル、31…シリコン基板、32…S
iO2 膜、33…Fe80Co20膜、34…Co0.1 Ni
0.9 Fe2 4 、35…人工格子膜、41…MgO(1
10)基板、41´…MgO(100)基板、42…F
eCo膜、43…FeCoO膜、44、44´…人工格
子膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富田 宏 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 福家 ひろみ 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 澤邊 厚仁 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 特開 平5−267057(JP,A) 特開 昭62−103842(JP,A) 特開 昭64−24403(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 10/00 - 10/32 G11B 5/31 - 5/325

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 20〜50at%のCoを含有するFe
    Co系の強磁性薄膜と、5〜50at%のRを含有する
    RFeCo系合金薄膜(RはPm、Sm、ErおよびT
    mからなる群より選択される少なくとも1種の元素)と
    を積層したことを特徴とする磁性人工格子膜。
  2. 【請求項2】 20〜50at%のCoを含有するFe
    Co系の強磁性薄膜と、 1-x Fe 2+x 4 (MはMg、
    Mn、Co、Ni、Cu、Liからなる群より選択され
    る少なくとも1種の金属元素、0≦x≦0.5)で表さ
    れるスピネルフェライト磁性薄膜とを積層したことを特
    徴とする磁性人工格子膜。
  3. 【請求項3】 20〜50at%のCoを含有するFe
    Co系の強磁性薄膜と、Fe、CoおよびMgからなる
    群より選択される少なくとも1種の元素を含むNaCl
    型イオン性化合物薄膜とを積層したことを特徴とする磁
    性人工格子膜。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の磁性人工格子膜を具備したことを特徴とする磁気ヘッ
    ド。
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