JP3532607B2 - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

磁気抵抗効果素子

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JP3532607B2 JP03691294A JP3691294A JP3532607B2 JP 3532607 B2 JP3532607 B2 JP 3532607B2 JP 03691294 A JP03691294 A JP 03691294A JP 3691294 A JP3691294 A JP 3691294A JP 3532607 B2 JP3532607 B2 JP 3532607B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、非磁性金属マトリッ
クス中に磁性微粒子が分散した磁性層を用いた磁気抵抗
効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果素
子は、磁界センサや磁気ヘッドとして広く利用されてい
る。強磁性体を用いた磁気抵抗効果素子は、温度安定性
に優れ、かつ使用温度範囲が広いという特徴をもつ。従
来より、磁性体を用いた磁気抵抗効果素子には2%程度
の磁気抵抗変化率を示すパーマロイ合金薄膜が広く用い
られているが、磁気抵抗変化率が小さいため十分な感度
が得られないという問題点がある。
【0003】これに対し、近年、磁性層と非磁性層とが
数オングストロームから数十オングストロームのオーダ
ーの周期で交互に積層された構造を有し、非磁性金属層
を介して上下の磁性層が反平行に磁気的カップリングし
た人工格子膜が巨大な磁気抵抗効果を示すとして注目さ
れ、(Fe/Cr)n (Phys.Rev.Let
t.,Vol.61,p2472(1988)),(C
o/Cu)n (J.Mag.Mag.Mat.,Vo
l.94,pL1(1991))等の人工格子膜が開発
されている。これらの巨大磁気抵抗効果は磁性層のスピ
ンの向きに依存した電子の散乱に起因している。
【0004】さらに、ごく最近、多層膜ではなく、Cu
あるいはAgのマトリックス中にCo又はFeの磁性微
粒子を分散させた膜も大きな磁気抵抗効果を示すことが
見出されている(Phys.Rev.Lett.68,
3749(1992),Phys.Rev.Let
t.,68,3745(1992)、Phys.Re
v.,46,9266(1992))。
【0005】このような磁性微粒子分散膜は人工格子膜
に比べて作製が容易であり、MR変化率も20%程度の
大きな値が得られる。さらに、微粒子は小さく単磁区の
ため、MR曲線にヒステリシスがなく、従って磁気抵抗
効果素子として用いた場合にバルクハウゼンノイズの小
さいことが期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記磁性微粒
子分散膜は、大きなMR変化率を得るために10kOe
という大きな磁界を加える必要があり、実用上大きな課
題である。本発明はこのような状況に基づいてなされた
ものであり、その目的はヒステリシス及び飽和磁界が小
さく、大きな磁気抵抗変化率を有し、小さな磁界での磁
気抵抗変化率が大きい磁気抵抗効果素子を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決しようとする手段および作用】本発明は、
上記課題を解決するために、第1に、貴金属マトリック
ス中にFe,Co,Niのうち少なくとも1種の元素を
含む非晶質の磁性金属微粒子が分散した磁性層を有する
ことを特徴とする磁気抵抗効果素子を提供する。
【0008】第2に、貴金属のマトリックス中にFe,
Co,Niのうち少なくとも1種の元素を含む結晶質又
は非晶質の磁性金属微粒子が分散した磁性層と、貴金属
を含む非磁性層との積層膜を有することを特徴とする磁
気抵抗効果素子を提供する。
【0009】第3に、貴金属のマトリックス中にFe,
Co,Niのうち少なくとも1種の元素を含む結晶質又
は非晶質の磁性金属微粒子が分散した第1の磁性層と、
Fe,Co,Niのうち少なくとも1種の元素を含む第
2の磁性層との積層膜を有することを特徴とする磁気抵
抗効果素子を提供する。
【0010】第4に、非磁性金属のマトリックスの中
に、一軸磁気異方性を有する直径200オングストロー
ム以下の磁性微粒子が分散した磁性層を有することを特
徴とする磁気抵抗効果素子を提供する。
【0011】第5に、非磁性金属のマトリックス中に、
磁性微粒子が分散した第1の磁性層と、前記第1の磁性
層よりソフトな磁性を有する第2の磁性層との積層膜を
有することを特徴とする磁気抵抗効果素子を提供する。
【0012】第6に、非磁性金属のマトリックス中に、
Fe,Co及びNiからなる磁性元素のうち少なくとも
2種類以上からなる磁性微粒子が分散した磁性層を有す
ることを特徴とする磁気抵抗効果素子を提供する。
【0013】以下、この発明について詳細に説明する。
この発明の第1態様に係る磁気抵抗効果素子は、図1に
示すように、貴金属マトリックス1中にFe,Co,N
iのうち少なくとも1種の元素を含む非晶質の磁性金属
微粒子2が分散した磁性層3を有する。
【0014】従来の磁性金属微粒子が貴金属マトリック
ス中に分散した膜において、その飽和磁界が大きい理由
は、分散粒子が超常磁性的挙動を示す程小さく、かつ分
散微粒子中に大きな磁気異方性が誘起されており、それ
らがランダムに分布しているためと考えられる。
【0015】この磁気異方性の原因は、結晶磁気異方性
や微粒子のもつ磁歪と内部応力との結合による磁気弾性
エネルギー、および微粒子の形状に基づく形状磁気異方
性によるものと考えられる。従って、これらの磁気異方
性を小さくすることにより飽和磁界を小さくすることが
できる。
【0016】この態様においては、結晶磁気異方性を小
さくするために、磁性金属微粒子が非晶質材料で構成さ
れる。非晶質合金の結晶磁気異方性は本質的に零である
からである。
【0017】貴金属マトリックス1を構成する元素とし
ては、Cu,Ag,Auなど非強磁性の貴金属元素が挙
げられ、これら単体でもこれらの少なくとも1種を含む
合金であってもよい。
【0018】非晶質の磁性金属微粒子2はFe,Co,
Niのうち少なくとも1種の元素を含み強磁性を示すも
のである。上述したようにこの磁性金属微粒子は非晶質
であればよいが、磁歪が実質的に零の非晶質合金を用い
れば磁気弾性に基づく磁気異方性も小さくなるのでより
好ましい。磁歪が実質的に零の非晶質磁性体としては、
(Nix Fey Coza100-a (ただし、x=0〜
0.10、y=0.04〜0.10、z=0.90〜
0.94、x+y+z=1、a=65〜90、およびX
はNb,Zr,Hf,Si,B,C,およびPからなる
群から選択される少なくとも1種)で表される組成のも
のが挙げられる。
【0019】また、磁性金属微粒子2の磁気異方性を小
さくする観点からは、微粒子2が偏平状であることが好
ましく、アスペクト比が5〜50程度が好ましい。磁気
抵抗変化率を大きくさせるためには、磁性金属微粒子自
体の体積を小さくすることが好ましく、粒子の長径が5
0〜200オングストロームであることが好ましい。
【0020】なお、この態様における貴金属マトリック
スと磁性金属微粒子とからなる層は全体として磁性体で
ある。このような磁性層は、典型的には薄膜状であり、
分子線エピタキシー(MBE)法、超高真空スパッタ法
など超高真空を用いる薄膜形成技術で作製することがで
きるが、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームス
パッタ法、蒸着法など初期真空度が10-7Torr以下
(すなわち圧力が10-7Torr以上)の通常の薄膜形
成技術でも作製することができる。また、必ずしも薄膜
である必要はなく、超急冷などによる薄帯であっても良
い。
【0021】次に、第2態様について説明する。本発明
の第2の態様に係る磁気抵抗素子は、図2に示すよう
に、貴金属のマトリックス11中にCo,Fe,Niの
うち少なくとも1種の元素を含む結晶質又は非晶質の磁
性金属微粒子12が分散した磁性層13と、貴金属を含
む非磁性層14との積層膜15を有する。
【0022】このような積層膜を形成することにより、
飽和磁界を低減することができる。これは、このような
積層膜では、貴金属マトリックス中に分散した磁性金属
微粒子の形状が平板状になり、形状磁気異方性が低下す
るためである。
【0023】この場合、磁性金属微粒子12としては非
晶質のものばかりでなく、結晶質のものも使用すること
ができる。また、第1の態様と同様、磁気抵抗変化率を
増大させるためには、磁性金属微粒子自体の体積を小さ
くすることが好ましく、粒子の長径が50〜200オン
グストロームであることが好ましい。さらに、この態様
においても磁性金属微粒子12は磁歪が実質的に零であ
ることが好ましく、そのような合金として結晶質のパー
マロイ、あるいは前述した(Nix Fey Coza
100-a 組成の非晶質合金を用いることができる。さらに
また、磁性微粒子12が一軸磁気異方性を有するもので
あることが好ましい。この場合に一軸磁気異方性を導入
するためには、後述する第4の態様において適用される
方法と同様の方法を用いることができる。このような磁
性微粒子12の状態は、図3に示すように、その厚さが
磁性層の厚さと略同じで、且つ磁性層13の膜面方向に
沿って配列されていることが好ましい。
【0024】この態様において貴金属マトリックス11
は第1の態様と同様である。また、このような磁性層1
3に積層されるべき貴金属を含む非磁性層14は、貴金
属マトリックス11と同様、Cu,Ag,Auなど非強
磁性の貴金属元素又はこれらを含む合金で構成される。
また、非磁性層14を介して隣接する磁性層13は互い
に静磁結合していることが好ましい。
【0025】このような積層膜15は典型的には薄膜状
であり、上述したような薄膜形成技術を用いて形成する
ことができる。また、超急冷などによる薄帯であっても
良い。また、このような積層膜15は、貴金属のマトリ
ックス中に磁性金属微粒子が分散した磁性層と貴金属を
含む非磁性層とを交互に成膜して形成してもよいが、C
o,Fe,Niのうち少なくとも1種で構成された磁性
層と非磁性層14とを交互に積層した後に熱処理し、貴
金属元素を磁性層に拡散することにより形成することも
できる。
【0026】なお、積層体を構成する各層の組成および
膜厚は同一である必要はない。また、磁性層の厚さは5
〜200オングストロームが好ましく、非磁性層の厚さ
は10〜100オングストロームが好ましい。また、積
層数は特に限定されるものではないが、5〜50程度が
好ましい。
【0027】このような積層体とすることにより、上述
した飽和磁界を低下させる効果が得られるばかりでな
く、磁気抵抗変化率自体を上昇させることも可能とな
る。次に、第3態様について説明する。
【0028】本発明の第3態様に係る磁気抵抗素子は、
図4に示すように、貴金属のマトリックス21中に、C
o,Fe,Niのうち少なくとも1種の元素を含む結晶
質又は非晶質の磁性金属微粒子22が分散した第1の磁
性層23と、Fe,Co,Niのうち少なくとも1種の
元素を含む第2の磁性層24との積層膜25を有する磁
気抵抗効果素子である。
【0029】このような積層膜とすることにより、第2
の態様と同様、貴金属マトリックス中に分散した磁性金
属微粒子の形状が平板状になり、形状磁気異方性が低下
し、その結果、飽和磁界を低減することができる。
【0030】この場合に、第1の磁性層23の磁性金属
微粒子22は、上記態様と同様、粒子の長径が50〜2
00オングストロームであることが好ましい。さらに、
この態様においても磁性金属微粒子は磁歪が零であるこ
とが好ましく、そのような合金として結晶質のパーマロ
イ、あるいは前述した(Nix Fey Coza
100-a 組成の非晶質合金を用いることができる。
【0031】この態様において、第1の磁性層23にお
ける貴金属マトリックス21は第2の態様と同様であ
る。また、磁性金属微粒子22が分散した第1の磁性層
23に積層されるべき第2の磁性層24はFe,Co,
Niのうち少なくとも1種の元素を含み強磁性を示すも
のである。
【0032】なお、この態様においても、積層膜25を
構成する各層の組成および膜厚は同一である必要はな
い。また、第1の磁性層23の厚さは5〜200オング
ストロームが好ましく、第2の磁性層24の厚さは20
〜300オングストロームが好ましい。また、積層数は
特に限定されるものではないが、5〜50程度が好まし
い。
【0033】この態様の磁気抵抗効果素子は、第2の態
様と同様に製造することができる。次に、第4の態様に
ついて説明する。本発明の第4の態様に係る磁気抵抗効
果素子は、図5に示すように、非磁性金属のマトリック
ス31の中に、一軸磁気異方性を有する長径が200オ
ングストローム以下の磁性微粒子32が分散した磁性層
33を有する。
【0034】この態様では非磁性金属マトリックス31
中の磁性微粒子31を一軸磁気異方性を有するものとす
ることにより、飽和磁界が小さい磁気抵抗効果素子を実
現している。すなわち、磁性粒子32に一軸磁気異方性
をもたせることにより、ランダムな磁気異方性に起因す
る大きな飽和磁界は発生せず、飽和磁界を小さくするこ
とができる。この場合に、磁性微粒子32は長径が20
0オングストローム以下のものを用いる。
【0035】この態様において、非磁性金属マトリック
ス31としては、非強磁性であり磁気抵抗効果を発揮す
ることができるものであればよく、Mo,Nb,Alな
どの非磁性元素又はこれらを含む合金であって非強磁性
を示すものであればよいが、特にCu,Au,Agなど
の貴金属元素、あるいはこれらを含む合金が好ましい。
このマトリックスは、単結晶膜あるいは多結晶膜であ
る。
【0036】また、磁性微粒子32としては、Fe,C
o,又はNiなどの強磁性元素、あるいはこれらの少な
くとも1種を含む合金であって強磁性を示すものが用い
られる。これらの微粒子はマトリックス31と部分的あ
るいは全体的に格子整合性を保っている。磁性微粒子3
2の大きさは上述したように直径200オングストロー
ム以下であるが、あまり小さくても所望の効果を得難い
ため50オングストローム以上であることが好ましい。
【0037】全体の形状としては、基板上に形成された
薄膜状、溶湯急冷法による薄帯状、あるいは線状が好ま
しい。この態様において磁気抵抗効果素子を構成する上
記磁性微粒子32は、膜面に平行なある一定の方向に一
軸性の磁気異方性を有する。ある一定の方位に一軸磁気
異方性を導入する方法としては、以下のような方法が用
いられる。
【0038】2回対称の表面を有する単結晶基板上、例
えばMgO(110)基板上に膜をエピタキシャル成長
させることによって、ヘテロエピタキシャル膜の特徴で
ある歪みに起因した磁歪の逆効果、あるいは、単結晶膜
特有の結晶磁気異方性効果により、磁化容易軸を基板面
に平行なある一定方向に導入することができ、これによ
り一軸磁気異方性が導入される。
【0039】また、膜あるいは線を形成後に10Oe〜
10kOeの磁場中で熱処理することによって一軸磁気
異方性を導入することができる。さらにまた、薄膜を膜
面に平行に印加された磁場中で成膜することによっても
一軸磁気異方性を導入することができる。
【0040】この態様の薄膜において、電気抵抗は磁場
がゼロ付近で最大になり、磁場が微粒子の磁化の向きが
お互いに揃うまでに印加されると最小となる。この時、
磁場の印加方向と平行な方向に磁化容易軸を向けて磁気
抵抗変化を測定すると、磁場に対する抵抗変化は敏感に
なり感度を上げることができる。
【0041】なお、このような磁性層は典型的には薄膜
状であり、第1及び第2の態様と同様な薄膜形成技術を
用いて形成することができる。また、超急冷などによる
薄帯であっても良い。
【0042】本発明の第5の態様は、非磁性金属のマト
リックス41中に、磁性微粒子42が分散した第1の磁
性層43と、前記第1の磁性層よりソフトな磁性を有す
る第2の磁性層44との積層膜45を有する。
【0043】この態様は磁性微粒子が分散された磁性
層、いわゆるグラニュラー層に、この層よりソフトな磁
性を有する磁性層を積層することにより、十分な磁気抵
抗変化率を維持しながら飽和磁界を低下できるという本
発明者らの知見に基づいたものである。
【0044】ここで、第1の磁性層43中の磁性微粒子
42は、例えばFe,Co,Niなどの強磁性元素、あ
るいはこれらの少なくとも1種を含む合金であって強磁
性を示すものである。非磁性金属マトリックスとして
は、非強磁性であり磁気抵抗効果を発揮することができ
るものであればよく、例えば、Cu,Ag,Au,C
r,Al,Ru等の非磁性元素又はこれらを含む合金が
用いられる。この第1の磁性層43の厚さは10〜10
0オングストロームが好ましい。
【0045】また、ソフトな磁性を有するとは、磁気モ
ーメントの向きが反転し易いことを示し、例えば強磁性
体の時保磁力(Hc)の大小で表すことができる。即
ち、Hcが小さいほどソフトな磁性を有するということ
ができる。ここでは、第1の磁性層43よりソフトな磁
性を有するとは、第1の磁性層43より小さい飽和磁界
(Hs)を有することをいう。第2の磁性層44は、こ
のようなソフトな磁性を有するために、例えばFe,C
o,Ni等の遷移金属又は遷移金属を含む合金で形成さ
れたソフト磁性を示す物質、具体的にはパーマロイ、ス
ーパーマロイやセンダストといった従来より用いられて
いるソフト磁性材料で形成されることが好ましい。この
ソフト磁性を示す第2の磁性層44の膜厚は5〜100
0オングストローム程度が好ましく、さらに好ましくは
10〜200オングストロームである。
【0046】上述した第1の磁性層43とソフトな磁性
を有する第2の磁性層44とにより積層膜45が形成さ
れる。例えば、基板上に第1の磁性層43を形成した
後、第2の磁性層44を形成してもよいし、第2の磁性
層44を形成した後第1の磁性層43を形成してもよ
い。また、第1の磁性層43は1つであっても複数であ
っても良く、例えば、図7に示すように、2つの第1の
磁性層43の間に第2の磁性層44を介在させても良
い。また、第2の磁性層44も1層であっても複数の層
であっても良く、例えば図8に示すように、第1の磁性
層43と第2の磁性層44とを交互に積層するようにし
ても良い。
【0047】磁性微粒子42が分散された第1の磁性層
43中の磁気モーメントは、このような磁気モーメント
が反転し易いソフト磁性の第2の磁性層44の相互作用
により反転し易くなると考えられる。すなわち、第1の
磁性層43自体で得られる高い磁気抵抗変化率を維持し
ながら、小さな磁界でその磁気モーメントを反転するこ
とができるので、その結果、高い感度を得ることができ
ると考えられる。
【0048】第1の磁性層43に分散される磁性微粒子
42は、長径が50〜200オングストロームであるこ
とが好ましい。さらに、磁性微粒子42は磁歪が実質的
に零であることが好ましく、そのような合金として結晶
質のパーマロイ、あるいは前述した(Nix Fey Co
za100-a 組成の非晶質合金を用いることができ
る。さらにまた、磁性微粒子42は偏平状であることが
好ましく、アスペクト比が5〜50程度が好ましい。さ
らにまた、磁性微粒子43が一軸磁気異方性を有するも
のであることが好ましい。
【0049】なお、このような積層膜は典型的には薄膜
状であり、上述した薄膜形成技術を用いて形成すること
ができる。本発明の第6の態様に係る磁気抵抗効果素子
は、図9に示すように、非磁性金属のマトリックス51
中に、Fe,Co及びNiからなる磁性元素のうち、少
なくとも2種類以上からなる磁性微粒子52が分散した
磁性層53を有する。
【0050】本発明者らが磁気抵抗効果素子について研
究を進めたところ、CuマトリックスにCo微粒子を含
むグラニュラー層のCoの一部をFeで置換した時、小
さな磁界での磁気抵抗効果が非常に大きくなることを見
出した。そして、このような効果は、Fe,Co及びN
iからなる磁性元素のうち、少なくとも2種類以上から
なる磁性粒子を用いる場合に得られることを見出したの
である。この態様はこのような知見に基づいている。
【0051】この態様において、非磁性金属マトリック
ス51は、非強磁性であり磁気抵抗効果を発揮すること
ができるものであればよく、例えば、Cu,Ag,A
u,Cr,Al,Ru等の非磁性元素又はこれらを含む
合金が用いられる。
【0052】磁性微粒子52は、Fe,Co及びNiか
らなる磁性元素のうち、少なくとも2種類以上からなる
ものであり、具体的にはFe−Co合金、Fe−Ni合
金、Co−Ni合金、Fe−Ni−Co合金で構成され
る。
【0053】また、本発明者らがさらに研究を進めたと
ころ磁歪定数λがゼロに近いCo9Feの微粒子がCu
マトリックス中に分散したグラニュラー層は、磁歪定数
λが大きいCoの微粒子がCuマトリックス中に分散し
たグラニュラー層に比べて飽和磁界が低減することを見
出した。すなわち、上述した磁性微粒子52を磁歪定数
λが小さいものとすることにより飽和磁化が一層低下す
るのである。このような効果を得るためには磁歪定数λ
が10-5以下であることが好ましい。
【0054】このような非磁性金属マトリックス51に
磁性微粒子52が分散した磁性層(グラニュラー層)5
3の厚さは特に限定されるものではないが、単層膜の場
合1000〜20000オングストロームの範囲が好ま
しい。
【0055】また、磁性微粒子52は、長径が50〜2
00オングストロームであることが好ましい。さらに、
磁性微粒子は偏平状であることが好ましく、アスペクト
比が5〜50程度が好ましい。さらにまた、磁性微粒子
が一軸磁気異方性を有するものであることが好ましい。
なお、この態様における磁性層53も典型的には薄膜状
であり、上述した薄膜形成技術を用いて形成することが
できる。
【0056】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)イオンビームスパッタ装置を用い、Agタ
ーゲットとCo85Zr6 Nb9 ターゲットを用いて、膜
厚1000AのAg75Co21Zr1.5 Nb2.5 をガラス
基板上に作製した。
【0057】この際に用いたイオンビームスパッタ装置
を図10に示す。チャンバー61の排気口62は図示し
ない真空ポンプに接続され、チャンバー61内の圧力は
圧力ゲージ63により測定される。チャンバー61内に
は基板ホルダ64が設置され、この基板ホルダ64に基
板65が保持される。基板ホルダ64内には、ヒータ6
6が設けられ、基板ホルダ64付近には冷却水67が流
されており、基板ホルダ64及び基板65の温度が調節
可能となっている。基板ホルダ64の温度は熱電対68
により測定される。基板65の前面にはシャッタ69が
設けられている。基板65に対向する位置にはターゲッ
トホルダ70が回転自在に設けられ、その表面に複数の
ターゲット71が取り付けられる。ターゲットホルダ7
0は冷却水72により冷却される。ターゲット71に対
向する位置には、イオンガン73が設けられ、イオンガ
ン73には、Arガス74が供給される。
【0058】このような装置により、先ず、チャンバー
61内に石英基板65をセットし、チャンバー61内を
5×10-7Torrまで排気した後、Arガスを1×1
-4Torrになるまで導入し、スパッタArイオンの
加速電圧を600V,ビーム電流30mAの条件にてス
パッタリングを行った。この膜を真空中で350℃×1
5分熱処理した。
【0059】この膜を透過形電子顕微鏡およびX線で観
察したところ、Agマトリックス中に非晶質Co−Zr
−Nb合金の微細な粒子が分散していることが確認され
た。4端子法を用いて磁気抵抗効果を測定した結果、磁
気抵抗変化率は15%と大きく、かつ飽和磁界は50O
eと著しく小さく、ヒステリシスも小さかった。これは
Co−Zr−Nb非晶質合金の磁歪が非常に小さく、か
つ結晶磁気異方性が本質的に零であるため、ソフト磁性
が得られた結果であると思われる。 (実施例2)実施例1と同一の条件でイオンビームスパ
ッタ法を用いて(100A Ag75Co25/30A C
u)10多層膜をガラス基板上に作製した。これを真空中
で350℃×15分熱処理した。この膜を透過形電子顕
微鏡およびX線で観察したところ、Ag75Co25層はA
gマトリックス中にCo平板状粒子が分散した構造にな
っていることが観察された。4端子法を用いて磁気抵抗
効果を測定した結果、磁気抵抗変化率は15%と大きく
かつ、飽和磁界は150Oeと単層膜より小さかった。
これは析出したCo粒子が平板状のため反磁界エネルギ
ーが低下し、よりソフト磁性が得られた結果であると思
われる。 (実施例3)イオンビームスパッタ法を用いて実施例1
と同一の条件で(100A Ag75Co25/50A A
g)10多層膜をガラス基板上に作製した。これを真空中
で300℃×15分熱処理した。4端子法を用いて磁気
抵抗効果を測定した結果、磁気抵抗変化率は18%と大
きく、かつ飽和磁界は130Oeと著しく低減した。 (実施例4)イオンビームスパッタ法を用いて実施例1
と同一の条件で(100A Ag75Co25/50A F
e)10多層膜をガラス基板上に作製した。これを真空中
で300℃×15分熱処理した。4端子法を用いて磁気
抵抗効果を測定した結果、磁気抵抗変化率は15%と大
きく、かつ飽和磁界は240Oeと著しく低減した。 (実施例5)イオンビームスパッタ装置を用い、実施例
1で示した合金とAgとの多層膜、すなわち(100A
Ag75Co21Zr1.5 Nb2.5 /50A Ag)10
ガラス基板上に作製した。これを真空中で350℃×1
5分熱処理した。この膜を透過形電子顕微鏡およびX線
で観察したところ、合金層はAgマトリックス中に非晶
質Co−Zr−Nb合金の平板状粒子が分散しているこ
とが確認された。4端子法を用いて磁気抵抗効果を測定
した結果、磁気抵抗変化率は14%と実施例1の結果と
ほぼ同じであったが飽和磁界は30Oeとかなり小さか
った。これはCo−Zr−Nb非晶質合金の磁歪が非常
に小さく、かつ結晶磁気異方性が本質的に零であること
と、平板状粒子のため反磁界が低下し、よりソフト磁性
が得られた結果であると思われる。 (実施例6)イオンビームスパッタ装置を用い、実施例
1と同一の条件で (25A Co9 Fe/40A A
g)10多層膜をガラス基板上に作製した。これを真空中
で320℃×15分熱処理した。この膜を透過形電子顕
微鏡およびX線で観察したところ、平板状のCo9 Fe
合金粒子がAgマトリックス中に分散した膜とAgとの
多層膜になっていることが認められた。このAgマトリ
ックス中にCo9 Fe合金粒子が分散した膜は、熱処理
によりAg原子がCo9 Fe層内に拡散してできたもの
と思われる。Co9 Fe合金粒子の大きさは約150オ
ングストロームであった。4端子法を用いて磁気抵抗効
果を測定した結果、磁気抵抗変化率は18%と大きく、
かつ飽和磁界は50 Oeと小さいことが確認された。 (実施例7)イオンビームスパッタ装置を用い、実施例
1と同一の条件で (25A Ni80Fe20/40A
Ag)10多層膜をガラス基板上に作製した。これを真空
中で320℃×15分熱処理した。この膜を透過形電子
顕微鏡およびX線で観察したところ、平板状のNi80
20合金粒子がAgマトリックス中に分散した膜とAg
との多層膜になっていることが認められた。このAgマ
トリックス中にNi80Fe20合金粒子が分散した膜は、
熱処理によりAg原子がNi80Fe20層内に拡散してで
きたものと思われる。Ni80Fe20合金粒子の大きさは
約200オングストロームであった。4端子法を用いて
磁気抵抗効果を測定した結果、磁気抵抗変化率は5%と
大きく、かつ飽和磁界は10 Oeと小さいことが確認
された。 (実施例8)図10に示すイオンビームスパッタ装置を
用いて、表1に示す条件でCu−Co合金膜をガラス基
板およびMgO(110)基板上に作製した。
【0060】先ずチャンバー内を真空度5×10-7To
rrまで排気した後、Arガスを分圧が1×10-4To
rrになるまで導入した。ターゲットにはCoおよびC
uを用意し、これを同時にスパッタして合金膜を形成し
た。CoおよびCuに投入するパワーを変えることによ
ってCoの組成比が10〜20原子%の範囲になるよう
に制御した。基板温度は室温及び300℃に設定した。
加熱基板の場合には基板の両側に永久磁石を配置し、磁
石中で成膜を行った。また、室温で成膜した膜の一部は
成膜後、水素雰囲気中で300℃の熱処理を磁場をかけ
ながら行った。得られた膜をエッチングにより1mm×
1cmの長方形に加工し、直流4端子法にて磁気抵抗効
果を測定した。10%磁気抵抗変化率が得られるときの
印加磁場H10% の値を表1に併記する。
【0061】
【表1】
【0062】磁気異方性の導入されていないガラス上の
無磁場成膜・無磁場熱処理膜ではH10% は6kOe以上
と大きいが、単結晶基板上成膜、あるいは磁場中成膜、
あるいは磁場中熱処理によって、容易軸方向に測定した
場合のH10% が小さくなっており、一軸磁気異方性の効
果が出ていることがわかる。特に単結晶基板上に成膜し
た場合には効果が大きかった。 (実施例9)図10に示したイオンビームスパッタ装置
を用いて、グラニュラー層とソフト磁性層との積層膜を
有する磁気抵抗効果素子の試料、及びその比較試料を作
製した。先ず、チャンバー内を4×10-7Torrの真
空度まで排気した後、イオンガスにArガス(純度9
9.99%)を分圧が1.3×10-4Torrになるま
で導入し、Arをイオン化し、加速電圧が700Vでビ
ーム電流が30mAのイオンビームとしてターゲットに
照射した。ターゲットは、磁性微粒子を形成する磁性金
属のCo、非磁性マトリックスを形成する非磁性金属の
Cu、及びソフト磁性層を形成する磁性金属のFeの3
種類準備し、2つのイオンガンを用いて同時スパッタを
行った。最初に、Co(20原子%)−Cuを2000
Aの厚さで成膜した後、Fe層(膜厚50A)を成膜し
た試料を作製した(試料1)。次に、Co(20原子
%)−Cuを2000AのみでFe層を形成しない試料
を比較例として作製した(試料2)。ここで基板として
はSiO2 基板を用い、基板温度は室温とした。これら
を成膜した後、これらを5×10-7Torrの真空中2
40℃で30分間アニールした。
【0063】このようにして作製した磁気抵抗効果素子
試料の外部磁界に対する磁気抵抗効果を、通常の4端子
法によって測定した。図11及び図12は、それぞれ試
料1及び試料2の磁気抵抗変化率(ΔR/Rs)の外部
磁界(H)に対する影響を示したものである。この図よ
り、ソフト磁性層がない比較例の磁気抵抗変化率(ΔR
/Rs)は7%で飽和磁界(Hs)が10kOe以上で
あるのに対し、試料番号1の磁気抵抗変化率(ΔR/R
s)は7%で飽和磁界(Hs)が約7kOeとなってお
り、磁気抵抗変化率はほとんど変化せずに飽和磁界が大
幅に小さくなっていることがわかる。このように、ソフ
ト磁性層を設けることにより良好な磁気抵抗効果を示す
ことが確認された。同様に測定した他の試料について
も、同様の結果が得られた。
【0064】さらに、ソフト磁性層、グラニュラー膜の
膜厚を変えた試料を作製し、その磁気抵抗効果を測定し
たが同様の効果が得られた。 (実施例10)実施例9とほぼ同様の方法でソフト磁性
層として80重量%Ni−20重量%Fe合金(パーマ
ロイ)を用い、グラニュラー膜としてCo(25原子
%)−Agを用いた実施例を示す。
【0065】図10に示すイオンビームスパッタ装置に
より、Co及びAgのターゲットを2つのガンを用いて
同時スパッタし、Co(25原子%)−Ag膜を300
0Aの厚さで基板上に形成した後、5×10-7Torr
真空中420℃で30分アニールし、その上に80重量
%Ni20重量%Fe(パーマロイ)を50Aの厚さで
成膜した試料3と、パーマロイ膜は形成しない試料4を
作製した。
【0066】その時の試料4の磁気抵抗変化率を図13
に、試料3の磁気抵抗変化率を図14に示す、これらの
図よりソフト磁性層がない比較例の磁気抵抗変化率は2
3%で飽和磁界は約13kOeであるのに対し、試料3
の磁気抵抗変化率は図14に示すように23.5%で飽
和磁界は約8kOeとなっており、磁気抵抗変化率はほ
とんど変化せずに飽和磁界が小さくなっていることがわ
かる。このようにソフト磁性層を設けることにより、良
好な磁気抵抗効果を示すことが確認された。ソフト磁性
層、グラニュラー膜の膜厚を変えた材料を作製し、その
磁気抵抗効果を測定したが同様の効果が得られた。 (実施例11)この実施例では、磁性微粒子としてFe
1 Co9 を用い、非磁性金属マトリックスとしてCuを
用い、図10のイオンビームスパッタ装置により同時ス
パッタによってグラニュラー膜を作製した。
【0067】まずチャンバー内を真空度5×10-7To
rrまで排気した後、Arを1.3×10-4Torrに
なるまで導入し、700V−30mAの条件にてスパッ
タリングを行った。ターゲットとしてはFe1 Co9
金、およびCuを用意し、石英基板上に同時に積層して
Fe1 Co9 (20原子%)−Cuグラニュラー膜を形
成した。3000Aの膜厚まで成膜した後、50×10
-7Torrの真空中430℃で10分アニールを行っ
た。
【0068】この試料の磁気抵抗効果を通常の四端子法
によって測定した。その結果である磁気抵抗変化率を図
15に示す。比較のために微粒子をCoとし、非磁性マ
トリックスをCuとして上記条件と同じ条件で作成した
Co(20原子%)−Cuグラニュラー膜の磁気抵抗変
化率を図16に示す。
【0069】Fe1 Co9 合金を磁性微粒子として用い
た場合、8.0%という大きな上記抵抗変化率が得られ
たとともに飽和磁界も減少し磁気抵抗効果素子に適した
特性を示すことが確認された。 (実施例12)この実施例では、磁性微粒子としてFe
2 Co8 を用い、非磁性金属マトリックスとしてCuを
用いて、図10のイオンビームスパッタ装置により実施
例9と同様の成膜条件による同時スパッタによって、F
2 Co8 −Cu(20原子%)グラニュラー膜を作製
した。
【0070】この試料の磁気抵抗変化率を図17に示
す。Fe2 Co8 合金を磁性微粒子として用いた場合、
7.8%という大きな磁気抵抗変化率が得られ、磁気抵
抗効果素子に適した特性を示した。 (実施例13)この実施例では、磁性微粒子としてFe
1 Co9 を用い、非磁性金属マトリックスとしてAgを
用いて、図10のイオンビームスパッタ装置により実施
例11と同様の成膜条件による同時スパッタによってF
1 Co9 (20原子%)−Agグラニュラー膜を作製
した。
【0071】なお、成膜条件は上述のように実施例11
と同様であるが、アニーリング温度は350℃と実施例
11と異なる温度とした。なお、基板としてはSi上に
1000A程度の酸化被膜を形成したものを用いた。
【0072】この試料の磁気抵抗変化率を図18に示し
た。なお、比較として同条件で作製したCo(20原子
%)−Agグラニュラー膜を作製し、磁気抵抗変化率を
測定したその結果を図19に示す。
【0073】その結果、Fe1 Co9 合金を磁性微粒子
として用いた場合、27%と比較例よりも大きな磁気抵
抗変化率が得られ、飽和磁界も比較例よりも小さい値と
なった。すなわち、Fe1 Co9 合金を磁性微粒子を用
いることにより磁気抵抗効果素子に適した特性を示すこ
とが確認された。 (実施例14)この実施例は、磁性粒子としてFe25
75を用い、非磁性金属マトリックスとしてAgを用い
て、図10のイオンビームスパッタ装置によりアニール
条件も含めて実施例13と同様の条件で、Co75Fe25
(20原子%)−Agグラニュラー膜を作製した。な
お、基板としてはSi(100)単結晶基板を用いた。
【0074】この試料の磁気抵抗変化率を図20に示
す。Fe25Co75合金を磁性微粒子として用いることに
より、比較的小さな飽和磁界を示し、かつ24.5%と
いう大きな磁気抵抗変化率が得られ、磁気抵抗効果素子
に適した特性を示すことが確認された。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、ヒステリシス及び飽和
磁界が小さく、大きな磁気抵抗変化率を有し、小さな磁
界での磁気抵抗変化率が大きい磁気抵抗効果素子が提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の態様に係る磁気抵抗効果素子を
示す断面図。
【図2】本発明の第2の態様に係る磁気抵抗効果素子を
示す断面図。
【図3】本発明の第2の態様に係る磁気抵抗効果素子の
好ましい例を示す断面図。
【図4】本発明の第3の態様に係る磁気抵抗効果素子を
示す断面図。
【図5】本発明の第4の態様に係る磁気抵抗効果素子を
示す断面図。
【図6】本発明の第5の態様に係る磁気抵抗効果素子を
示す断面図。
【図7】本発明の第5の態様に係る磁気抵抗効果素子の
他の例を示す断面図。
【図8】本発明の第5の態様に係る磁気抵抗効果素子の
他の例を示す断面図。
【図9】本発明の第6の態様に係る磁気抵抗効果素子を
示す断面図。
【図10】本発明の実施例に用いられたイオンビームス
パッタ装置を示す模式図。
【図11】実施例9に係る磁気抵抗効果素子試料の磁気
抵抗変化を示す図。
【図12】実施例9において比較例として用いた磁気抵
抗効果素子試料の磁気抵抗変化を示す図。
【図13】実施例10に係る磁気抵抗効果素子試料の磁
気抵抗変化を示す図。
【図14】実施例10において比較例として用いた磁気
抵抗効果素子試料の磁気抵抗変化を示す図。
【図15】実施例11に係る磁気抵抗効果素子試料の磁
気抵抗変化を示す図。
【図16】実施例11において比較例として用いた磁気
抵抗効果素子試料の磁気抵抗変化を示す図。
【図17】実施例12に係る磁気抵抗効果素子試料の磁
気抵抗変化を示す図。
【図18】実施例13に係る磁気抵抗効果素子試料の磁
気抵抗変化を示す図。
【図19】実施例13において比較例として用いた磁気
抵抗効果素子試料の磁気抵抗変化を示す図。
【図20】実施例14に係る磁気抵抗効果素子試料の磁
気抵抗変化を示す図。
【符号の説明】
1,11,21…貴金属マトリックス、2,12,22
…磁性金属微粒子、3,13,23,24,33,4
3,44…磁性層、14…非磁性層、15,25,45
…積層膜、23…第1の磁性層、24…第2の磁性層、
31…非磁性金属マトリックス、32,42…磁性微粒
子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥野 志保 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 柚須 圭一郎 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平6−101000(JP,A) 特開 平5−29172(JP,A) 特開 平6−140687(JP,A) 特開 平6−326377(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 43/08 H01L 43/10

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貴金属及びCuからなる群より選択され
    る少なくとも1種の元素を含むマトリックス中に、アス
    ペクト比が5〜50の範囲にあり、長径が200オング
    ストローム以下であり、Fe,Co及びNiからなる群
    より選択される少なくとも1種の元素を含む偏平状の磁
    性金属微粒子が分散した磁性層と、貴金属及びCuから
    なる群より選択される金属を含む少なくとも1つの非磁
    性層との積層膜を有することを特徴とする磁気抵抗効果
    素子。
  2. 【請求項2】 貴金属及びCuからなる群より選択され
    る少なくとも1種の元素を含むマトリックス中に、アス
    ペクト比が5〜50の範囲にあり、長径が200オング
    ストローム以下であり、Fe,Co及びNiからなる群
    より選択される少なくとも1種の元素を含む偏平状の磁
    性金属微粒子が分散した第1の磁性層と、Fe,Co及
    びNiからなる群より選択される少なくとも1種の元素
    を含む第2の磁性層との積層膜を有することを特徴とす
    る磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 前記磁性金属微粒子が結晶質又は非晶質
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気
    抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 前記磁性金属微粒子は磁歪が実質的に零
    であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項
    に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 前記磁性金属微粒子は長径が50〜20
    0オングストロームの範囲であることを特徴とする請求
    項1ないし3いずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 前記磁性金属粒子は一軸異方性が誘起
    されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか
    1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】 非磁性金属のマトリックス中に、磁性微
    粒子が分散した第1の磁性層と、前記第1の磁性層より
    ソフトな磁性を有する第2の磁性層との積層膜を有する
    ことを特徴とする請求項2記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 マトリックス中に、Fe,Co及びNi
    からなる群より選択される少なくとも2種類以上の磁性
    微粒子が分散した磁性層を有することを特徴とする請求
    項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。
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