JP2610376B2 - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

磁気抵抗効果素子

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JP2610376B2
JP2610376B2 JP4053533A JP5353392A JP2610376B2 JP 2610376 B2 JP2610376 B2 JP 2610376B2 JP 4053533 A JP4053533 A JP 4053533A JP 5353392 A JP5353392 A JP 5353392A JP 2610376 B2 JP2610376 B2 JP 2610376B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、磁気抵抗効果を発現
する、非磁性層を介して積層された磁性層を具備した磁
気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果は、印加磁界の強度により
抵抗が変化する効果である。このような磁気抵抗効果を
利用した磁気抵抗効果素子は、高感度であり比較的大き
な出力を得ることができるため、磁界センサや磁気ヘッ
ドとして広く利用されている。
【0003】従来、磁気抵抗効果型素子としてはパーマ
ロイ合金薄膜が広く用いられている。しかし、パーマロ
イ合金薄膜の磁気抵抗変化率(ΔR/R:Rは無磁場で
の電気抵抗、ΔRはRから飽和磁界印加時の電気抵抗R
S を引いた値)は2〜3%程度であり、十分な感度が得
られないという問題点がある。
【0004】一方、最近、新しい磁気抵抗効果素子とし
て、数オングストロームから数十オングストロームの厚
さの磁性層と非磁性層とを交互に積層させた積層体、い
わゆる人工格子膜が注目されている。このような人工格
子膜としては、(Fe/Cr)n (Phys.Rev.Lett.vol
61(21)(1988)2472)、(パーマロイ/Cu/Co/C
u)n (J.Phys.SOC.Jap.vol 59(9)(1990)3061)、(C
o/Cu)n (J.Mag.Mag.Mat.94(1991)L1,Phys.Rev.L
ett.66(1991)2152)が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような人工格子膜
は従来のパーマロイ薄膜と比較して格段に大きな磁気抵
抗効果を有する。しかし、十分大きな磁気抵抗効果は、
超高真空蒸着装置(UHV)、分子線エピタキシー(M
BE)装置など超高真空の処理が可能な装置を用いない
と達成することができず、通常の薄膜形成装置で形成さ
れた場合には、未だ要求を満足するに十分な値が得られ
ていないのが実情である。
【0006】この発明はこのような状況を考慮してなさ
れたものであり、その目的は、大きな磁気抵抗変化率を
有し、超高真空を用いない通常の薄膜形成装置で成膜し
ても十分に実用化することができる磁気抵抗効果素子を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】この発明は、上
記課題を解決するために、磁気抵抗効果を発現する、非
磁性層を介して積層された磁性層を具備した磁気抵抗効
果素子において、前記磁性層がFe1-x Cox (0.5
≦x<1)で表されるCo合金で構成されていることを
特徴とする磁気抵抗効果素子を提供する。
【0008】本願発明者らは、上述のいわゆる人工格子
膜を用いてさらに大きい磁気抵抗効果を有する素子を得
るべく研究を重ねた結果、上述の(Co/Cu)n のC
oの一部をFeで置換した場合に、磁気抵抗効果が非常
に大きくなることを見出した。そして、磁場が実質的に
存在しない状態で隣合う磁性層が反強磁性的に結合して
いる場合に一層大きいことを見出したのである。本発明
はこのような知見に基づいてなされたものである。以
下、この発明について詳細に説明する。
【0009】この発明に係る磁気抵抗効果素子は、磁性
層と非磁性層とを交互に積層してなる積層体であり、例
えば図1に示すように、基板1上に非磁性層2と磁性層
3とのペア4をn回積層することにより構成される。こ
の場合に、この図に示すように非磁性層を先に形成して
もよいし、磁性層3を先に形成してもよい。また、基板
1と積層体との間に、Fe等のソフト磁性材料のバッフ
ァ層を介在させてもよい。
【0010】磁性層は、Fe1-x Cox (0.5≦x<
1)で表されるCo合金から構成され、この中にはNi
等の他の元素が含まれていてもよい。
【0011】隣合う磁性層は、実質的に磁場を印加しな
い状態で、反強磁性的に結合していることが好ましい。
ここでいう反強磁性的結合とは、磁性層の磁気モーメン
トが、隣合う磁性層間で逆向きであるように結合してい
ることをいう。このように結合することにより、磁気抵
抗変化率を高めることができる。このように反強磁性的
結合力を有していることが好ましいが、その結合力は小
さいほうが好ましい。反強磁性的結合力が小さければ、
小さな磁場で磁気抵抗変化率(ΔR/R)を大きくする
ことができ、磁気ヘッドなどの用途に対して適したもの
となる。また、小さな磁場で磁気抵抗変化率(ΔR/
R)を大きくする観点からは、素子の飽和磁界HS が小
さいことが好ましい。
【0012】非磁性層は、磁気抵抗効果を発揮できる材
料で形成されていれば特に限定されない。非磁性層の例
としては、Cu,Cr,Au,Ag,Ruなどがあり、
これら単体でも、これらを含む合金でも用いることがで
きる。非磁性層としてCu−Au合金を用いた場合には
反強磁性的結合力を小さくする効果が得られる。
【0013】磁性金属層と非磁性層との組み合わせに
は、種々のものが考えられるが、好ましい組み合わせと
しては、例えば以下のようなものがあり、その組み合わ
せにより大きな磁気抵抗効果を得ることができる。 1)磁性層を構成する合金がFe1-x Cox で表され、
xが0.5≦x<1の範囲であり、非磁性層がCuであ
るもの。
【0014】
【0015】十分に大きな磁気抵抗変化率(ΔR/R)
を得るためには、磁性層の厚さtM(オングストロー
ム;以下Aで表す)を2A≦tM ≦100A、非磁性層
の厚さtN を2A≦tN ≦100Aにすることが好まし
く、7A≦tM ≦90A、9≦tN ≦50Aが一層好ま
しい。
【0016】なお、非磁性層の厚さと磁気抵抗変化率と
は図2に示すような関係となり、磁気抵抗変化率が非磁
性層の厚さに対して振動するため、非磁性層の厚さtN
は上述の範囲内で大きな磁気抵抗変化率が得られるよう
に規定することが好ましい。また、図3に示すように、
飽和磁界も非磁性層の厚さに対して振動し、そのピーク
の位置は、磁気抵抗変化率のピークの位置と重なってい
る。従って、用途に従って、磁気抵抗変化率と飽和磁界
とがバランスするように非磁性層の厚さを決定すること
が望ましい。なお、図2及び図3は、磁性層として厚さ
10AのFe0.1 Co0.9 を用い、非磁性層として各厚
さのCuを用いて、このペアを16回積層した積層体に
ついて室温で測定したものである。
【0017】積層数nは一般的には5〜数10程度であ
り、磁気抵抗効果を考慮すると大きいほうがよいが、余
り大きくても磁気抵抗効果が飽和してしまうため、飽和
する範囲までの間で適宜設定することが好ましい。本発
明の積層体を形成するための基板は特に限定されるもの
ではない。例えば、SiO,MgO,スピネル,Siな
どを用いることができる。
【0018】このような積層体は、分子線エピタキシー
(MBE)法、超真空スパッタ法など超高真空で行う処
理はもちろんのこと、RFマグネトロンスパッタ法、イ
オンビームスパッタ(IBS)法、蒸着法など初期真空
度が10-7Torr以下(すなわち圧力が10-7Torr以上)
の通常の薄膜形成技術で形成した場合でも、大きな磁気
抵抗変化率を得ることができる。
【0019】従来の人工格子膜を利用した磁気抵抗効果
素子、例えば(Co/Cu)n 、(Fe/Cr)n
ど、磁性層として単一元素を用いた素子の場合には、M
BEなどの超高真空装置で成膜すると20〜50%の磁
気抵抗変化率が得られるが、通常の初期真空度の成膜装
置を用いた場合には磁気抵抗変化率が数%と不十分であ
る。これに対して、本発明に係る磁気抵抗効果素子の場
合には、通常の成膜装置を用いても実用上十分な磁気抵
抗変化率を得ることができる。なお、積層体を構成する
各層の組成及び膜厚は同一である必要はない。
【0020】
【実施例1】以下に、この発明の実施例について説明す
る。 (実施例1)
【0021】この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をCuとして、イオンビームス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。
【0022】先ず、チャンバー内に石英基板をセット
し、チャンバー内を5×10-7Torrまで排気した後、A
rガスを1×10-4Torrになるまで導入し、加速電圧5
00V、ビーム電流30mAの条件にてスパッタリング
を実施した。ターゲットとしてFe、Fe0.1 Co0.9
合金及びCuを用い、最初にFeターゲットをスパッタ
して石英基板上に50AのFeバッファ層を形成し、続
けてCuターゲット及びFe0.1 Co0.9 合金ターゲッ
トを交互にスパッタして、図1に示すように、膜厚9A
のCu非磁性層及び膜厚7AのFe0.1 Co0.9 磁性層
のペアを15回積層した(積層数n=15)。これを
(Fe0.1 Co0.9 7A/Cu9A)15とする。なお、
この実施例ではバッファ層を設けたが、本発明の実施に
際しバッファ層は必ずしも必要はない。
【0023】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、この発明の分野で一般的に用いられる四端子法
によって磁気抵抗効果を測定した。その結果を図4に示
す。図4は横軸に磁場の大きさをとり、縦軸に磁場0の
際の電気抵抗を1として規格化した電気抵抗値(R/R
(H=0))をとって、それらの関係を示すグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは7.5%と大きな値となり、磁性層としてF
0.1 Co0.9 、非磁性層としてCuを用いた積層体が
磁気抵抗効果素子として適していることが確認された。 (実施例2)
【0024】この実施例においては、磁性層をFe0.25
Co0.75とし、非磁性層をCuとして、イオンビームス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。
【0025】実施例1と同一の成膜条件で、先ず石英基
板上にFeバッファ層を50Aの厚さで形成し、続けて
Cuターゲット及びFe0.25Co0.75合金ターゲットを
交互にスパッタして、図1に示すように、膜厚9AのC
u非磁性層及び膜厚7AのFe0.25Co0.75磁性層のペ
アを15回積層した(積層数n=15)。これを、(F
0.25Co0.757A/Cu9A)15とする。
【0026】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図5に示す。図5は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは11.1%と大きな値となり、磁性層として
Fe0.25Co0.75、非磁性層としてCuを用いた積層体
が磁気抵抗効果素子として適していることが確認され
た。 (実施例3)
【0027】この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をCuとして、イオンビームス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。な
お、基板としてはSi上に1000A程度の酸化被膜を
有するものを用いた。
【0028】実施例1と同一の成膜条件で、Cuターゲ
ット及びFe0.1Co0.9 合金ターゲットを交互にスパ
ッタして、図1に示すように、膜厚9AのCu非磁性層
及び膜厚15AのFe0.1 Co0.9 磁性層のペアを15
回積層した(積層数n=15)。これを、(Fe0.1
0.9 15A/Cu9A)15とする。
【0029】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図6に示す。図6は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは8.15%と大きな値となり、この実施例で
製造した積層体が磁気抵抗効果素子として適しているこ
とが確認された。 (実施例4)
【0030】この実施例においては、磁性層をFe0.75
Co0.25とし、非磁性層をCrとして、イオンビームス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。な
お、基板としては、MgO(100)単結晶を用いた。
【0031】実施例1と同一の成膜条件で、MgO(1
00)単結晶基板上に、Crターゲット及びFe0.75
0.25合金ターゲットを交互にスパッタして、図1に示
すように、膜厚13AのCr非磁性層及び膜厚20Aの
Fe0.75Co0.25磁性層のペアを15回積層した(積層
数n=15)。これを、(Fe0.75Co0.2520A/C
u13A)15とする。
【0032】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図7に示す。図7は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは6.8%と大きな値となり、この実施例で製
造した積層体が磁気抵抗効果素子として適していること
が確認された。 (実施例5)
【0033】この実施例においては、磁性層をNi0.4
(Fe0.5 Co0.5 0.6 とし、非磁性層をCuとし
て、イオンビームスパッタ法を用いて積層体を成膜した
例について示す。なお、基板としてはSi上に1000
A程度の酸化被膜を有するものを用いた。
【0034】実施例1と同一の成膜条件で、Cuターゲ
ット及びNi0.4 (Fe0.5 Co0.5 0.6 合金ターゲ
ットを交互にスパッタして、図1に示すように、膜厚9
AのCu非磁性層及び膜厚15AのNi0.4 (Fe0.5
Co0.5 0.6 磁性層のペアを15回積層した(積層数
n=15)。これを(Ni0.4 (Fe0.5 Co0.5
0.6 15A/Cu9A)15とする。
【0035】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図8に示す。図8は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは7.8%と大きな値となり、この実施例で製
造した積層体が磁気抵抗効果素子として適していること
が確認された。 (実施例6)
【0036】この実施例においては、磁性層をNi0.25
(Fe0.75Co0.250.75とし、非磁性層をCrとし
て、イオンビームスパッタ法を用いて積層体を成膜した
例について示す。なお、基板としてはMgO(100)
単結晶を用いた。
【0037】実施例1と同一の成膜条件で、Crターゲ
ット及びNi0.25(Fe0.75Co0.250.75合金ターゲ
ットを交互にスパッタして、図1に示すように、膜厚1
3AのCr非磁性層及び膜厚20AのNi0.25(Fe
0.75Co0.250.75磁性層のペアを15回積層した(積
層数n=15)。これを、(Ni0.25(Fe0.75Co
0.250.7520A/Cu13A)15とする。
【0038】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図9に示す。図9は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは5.7%と大きな値となり、この実施例で製
造した積層体が磁気抵抗効果素子として適していること
が確認された。 (比較例1)
【0039】ここでは、磁性層をCoとし、非磁性層を
Cuとして、イオンビームスパッタ法を用いて積層体を
成膜した例について示す。なお、基板としては石英を用
いた。
【0040】実施例1と同一の成膜条件で、先ず石英基
板上にFeバッファ層を50Aの厚さで形成し、続けて
Cuターゲット及びCoターゲットを交互にスパッタし
て、図1に示すように、膜厚9AのCu非磁性層及び膜
厚7AのCo磁性層のペアを15回積層した(積層数n
=15)。これを、(Co7A/Cu9A)15とする。
【0041】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図10に示す。図10は図4と同様のグラフで
あり、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気
抵抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化
率ΔR/Rは4.4%と実施例よりも小さいことが確認
された。 (比較例2)
【0042】ここでは、磁性層をFeとし、非磁性層を
Crとして、イオンビームスパッタ法を用いて積層体を
成膜した例について示す。なお、基板としてはMgO
(100)単結晶を用いた。
【0043】実施例1と同一の成膜条件で、Crターゲ
ット及びFeターゲットを交互にスパッタして、図1に
示すように、膜厚13AのCr非磁性層及び膜厚20A
のFe磁性層のペアを15回積層した(積層数n=1
5)。これを、(Fe20A/Cr13A)15とする。
【0044】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図11に示す。図11は図4と同様のグラフで
あり、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気
抵抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化
率ΔR/Rは2.4%と実施例よりも小さいことが確認
された。 (実施例7)
【0045】この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をCuとして、イオンビームス
パッタ法を用いて積層体を成膜するに際し、成膜条件を
実施例1とは異なる条件とした例について示す。
【0046】本願発明者らは、磁気抵抗変化率が、成膜
の際の加速電圧に非常に敏感であることを見出した。こ
のため、この実施例では加速電圧を600Vに上昇さ
せ、ビーム電流は30mAに維持して成膜を行った。到
達真空度及びAr分圧は実施例1と同様にした。
【0047】MgO(110)単結晶基板上に、先ず、
Fe0.1 Co0.9 磁性層を10Aの厚さで成膜し、その
上にCu非磁性層を10Aの厚さで成膜し、このペアを
16回積層して積層体を製造した。これを(Fe0.1
0.9 10A/Cu10A)16とする。
【0048】比較のため、磁性層をCoにした他は、上
と同様にして磁性層及び非磁性層のペアを16回積層し
て積層体を製造した。これを(Co10A/Cu10
A)16とする。
【0049】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、実施例1と同様に、四端子法によって磁気抵抗
変化率ΔR/Rを測定した。その結果、(Fe0.1 Co
0.910A/Cu10A)16ではΔR/Rが39.4%
であり、(Co10A/Cu10A)16では31.5%
であった。この結果から、磁性層を合金化した(Fe
0.1 Co0.9 10A/Cu10A)16のほうが磁気抵抗
変化率が高いことが確認された。 (実施例8)
【0050】この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をCuAuとして、イオンビー
ムスパッタ法を用いて積層体を成膜した例について示
す。
【0051】成膜条件を実施例7と同様に設定して、先
ず石英基板上に厚さ50AのFeバッファ層を成膜し、
次いでその上にCuAu非磁性層を10Aの厚さで成膜
し、その上にFe0.1 Co0.9 磁性層を20Aの厚さで
成膜し、これら非磁性層及び磁性層のペアを16回積層
して積層体を製造した。これを(Fe0.1 Co0.9 20
A/CuAu10A)16とする。
【0052】比較のため、磁性層をCoにした他は、上
と同様にして磁性層及び非磁性層のペアを16回積層し
て積層体を製造した。これを(Co20A/CuAu1
0A)16とする。
【0053】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、実施例1と同様に、四端子法によって磁気抵抗
変化率ΔR/Rを測定した。その結果、(Fe0.1 Co
0.920A/CuAu10A)16ではΔR/Rが20.
2%であり、(Co20A/CuAu10A)16では1
7.8%であった。この結果から、磁性層を合金化した
(Fe0.1 Co0.9 20A/CuAu10A)16のほう
が磁気抵抗変化率が高いことが確認された。 (実施例9)
【0054】この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をAuとして、イオンビームス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。
【0055】成膜条件を実施例7と同様に設定して、先
ず、石英基板上に厚さ50AのFeバッファ層を成膜
し、次いで、その上にAu非磁性層を10Aの厚さで成
膜し、その上にFe0.1 Co0.9 磁性層を20Aの厚さ
で成膜し、これら非磁性層及び磁性層のペアを16回積
層して積層体を製造した。これを(Fe0.1 Co0.9
0A/Au10A)16とする。
【0056】比較のため、磁性層をCoにした他は、上
と同様にして磁性層及び非磁性層のペアを16回積層し
て積層体を製造した。これを(Co20A/Au10
A)16とする。
【0057】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、実施例1と同様に、四端子法によって磁気抵抗
変化率ΔR/Rを測定した。その結果、(Fe0.1 Co
0.920A/Au10A)16ではΔR/Rが15.3%
であり、(Co20A/Au10A)16では10.8%
であった。この結果から、磁性層を合金化した (F
0.1 Co0.9 20A/Au10A)16のほうが磁気抵
抗変化率が高いことが確認された。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【発明の効果】この発明によれば、大きな磁気抵抗変化
率を有し、超高真空を用いない通常の薄膜形成装置で成
膜しても十分に実用化することができる磁気抵抗効果素
子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一態様に係る磁気抵抗効果素子を示
す断面図。
【図2】非磁性層の厚さと磁気抵抗変化率との関係を示
す図。
【図3】非磁性層の厚さと飽和磁界との関係を示す図。
【図4】実施例1における磁気抵抗変化率を示す図。
【図5】実施例2における磁気抵抗変化率を示す図。
【図6】実施例3における磁気抵抗変化率を示す図。
【図7】実施例4における磁気抵抗変化率を示す図。
【図8】実施例5における磁気抵抗変化率を示す図。
【図9】実施例6における磁気抵抗変化率を示す図。
【図10】比較例1における磁気抵抗変化率を示す図。
【図11】比較例2における磁気抵抗変化率を示す図。
【図12】
【図13】
【符号の説明】
1…基板、2…非磁性層、3…磁性層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 進 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 特開 平4−48708(JP,A)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗効果を発現する、非磁性層を介
    して積層された磁性層を具備した磁気抵抗効果素子にお
    いて、前記磁性層がFe1-x Cox (0.5≦x<1)
    で表されるCo合金で構成されていることを特徴とする
    磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 前記多層構造を支持する基板をさらに具
    備する請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 軟磁性材料からなり、前記基板と前記多
    層構造との間に設けられたバッファ層をさらに具備する
    請求項2記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 前記基板がSiO2 ,MgO,またはS
    iからなる請求項2記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 前記磁性層は2〜100オングストロー
    ムの厚さを有する請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 前記磁性層は7〜90オングストローム
    の厚さを有する請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】 前記非磁性層は2〜100オングストロ
    ームの厚さを有する請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 前記非磁性層は9〜50オングストロー
    ムの厚さを有する請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 前記磁性層は層内に一軸磁気異方性を有
    する請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 【請求項10】 前記磁性層はさらにNiを含む請求項
    1記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】 前記非磁性層はCuを含む請求項1記
    載の磁気抵抗効果素子。
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