JP2957233B2 - 磁性多層膜 - Google Patents

磁性多層膜

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    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
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    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn
    • H01F10/3281Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn only by use of asymmetry of the magnetic film pair itself, i.e. so-called pseudospin valve [PSV] structure, e.g. NiFe/Cu/Co

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、磁気抵抗効果素子に好適な磁性多層膜に関
する。
<従来の技術> 金属の原子径オーダーの厚さの薄膜が周期的に積層さ
れた構成をもつ人工格子は、バルク状の金属とは異なっ
た特性を示すために、近年注目されるようになってき
た。
このような人工格子の1種として、単結晶基体上に強
磁性金属薄膜と反強磁性金属薄膜とを交互に積層した磁
性多層膜があり、これまで、鉄−クロム型、ニッケル−
クロム型および鉄−マンガン型(特開昭60−189906号公
報)等の磁性多層膜が知られている。
また、鉄−クロム型については、極低温(4.2K)にお
いて40%を超える磁気抵抗変化を示すという報告もある
(フィジカル・レビュー・レターズ61巻、2472ページ、
1988年)。
これらの磁性多層膜の主な用途は磁気抵抗効果素子
(MR素子)であり、各種磁気センサ(MRセンサ)や磁気
ヘッド(MRヘッド)などへの適用が可能である。
MR素子は、磁場印加による磁性膜の電気抵抗変化を検
出して磁界強度やその変化を測定するものであり、一般
に、室温における磁気抵抗変化率が大きく、動作磁界強
度が小さいことが要求される。
MR素子の磁性膜としては、従来、異方性磁気抵抗効果
を利用するFe−Ni合金やCo−Ni合金の単層磁性膜が用い
られている。
しかし、Fe−Ni合金やCo−Ni合金の単層磁性膜では、
動作磁界強度は小さいが磁気抵抗変化率が2〜3%と小
さい。
また、上記した鉄−クロム型磁性多層膜は、磁気抵抗
変化率は大きいものの動作磁界強度が20kOe程度と極め
て大きいため、MR素子としての実用化が困難である。
<発明が解決しようとする課題> 本発明は、磁気抵抗変化率が大きく、しかも動作磁界
強度を小さくできる磁性多層膜を提供することを目的と
する。
<課題を解決するための手段> このような目的は、下記(1)、(2)の本発明によ
り達成される。
(1)磁気抵抗効果を有する磁性多層膜であって、 基板上に、2層以上の磁性薄膜が非磁性薄膜を介して
積層されており、 隣り合う少なくとも一方の磁性薄膜の保磁力および厚
さとそれぞれ異なる保磁力および厚さを有する磁性薄膜
が存在し、 磁性薄膜の厚さおよび非磁性薄膜の厚さがそれぞれ20
0Å以下である磁性多層膜。
(2)保磁力および厚さの相異なる2層の磁性薄膜が相
異なる組成を有する上記(1)に記載の磁性多層膜。
<作用> 本発明の磁性多層膜では、隣接する磁性薄膜間に非磁
性薄膜が存在し、これら隣接する磁性薄膜の保磁力が互
いに異なる構成となっている。そして、この構成によ
り、極めて大きな磁気抵抗変化が得られる。
本発明の磁性多層膜における磁気抵抗効果発現の作用
を説明する。
説明を簡単にするために、磁性薄膜M1、非磁性薄膜お
よび磁性薄膜M2がこの順に積層されている積層体につい
て考える。
第1図は、M1およびM2のそれぞれのB−Hカーブを示
すグラフである。
M1およびM2の保磁力は、それぞれHc1およびHc2であ
り、Hc1<Hc2である。
まず、積層体に−Hmaxの外部磁界Hを印加し、次いで
外部磁界HをHmaxまで増加させ、さらにHmaxから−Hmax
まで減少させると、M1およびM2の磁化方向、すなわちス
ピンの方向は、下記表1に示されるように変化する。
なお、表1では、M1およびM2にそれぞれHmaxの外部磁
界を印加したときの磁化方向を+とし、−Hmaxの外部磁
界を印加したときの磁化方向を−とした。
上記表1に示されるように、外部磁界Hの変化がHc1
→Hc2のとき、および−Hc1→−Hc2のときは、M1の磁界
方向がM2の磁化方向と逆になる。
そして、M1の磁化方向がM2の磁化方向と逆向きである
と、すなわち、M1におけるスピンの向きがM2におけるス
ピンの向きと逆であると、この積層体に電流を流したと
きに伝導電子がスピン散乱され、積層体の電気抵抗が増
加する。
本発明の磁性多層膜では、磁化方向が逆転するHc1付
近において最も抵抗が大きくなるので、M1を保磁力の小
さい材料で構成すれば、動作磁界強度の極めて小さい磁
気抵抗効果素子が実現する。
そして、M1およびM2それぞれの保磁力を適宜選択する
ことにより、動作磁界強度を自在に設定することができ
る。
M1とM2との間に存在する非磁性薄膜は、M1とM2とに直
接はたらく交換相互作用を調節する役割を果たし、本発
明において必須のものである。
非磁性薄膜が存在しないと磁性薄膜同士が接して存在
することになるので、交換相互作用によりあたかも1種
類の磁性薄膜のような振る舞いを示し、M1とM2との間で
上記したような磁化の逆転する関係が生じなくなり、磁
気抵抗効果は発現しない。
なお、第1図に示される2種のB−Hカーブは、それ
ぞれM1およびM2単独のものであり、実際に非磁性薄膜を
介してM1とM2とを積層すると、残存する相互作用のため
に必ずしもHc1やHc2において磁化の逆転が生じるとは限
らない。残存する磁性薄膜間の相互作用の程度は非磁性
薄膜の厚さに依存するため、非磁性薄膜の膜厚を変更す
ることにより動作磁界強度を変更することができる。
以上の説明は非磁性薄膜を介して隣接する一対の磁性
薄膜についてのものであるが、3層以上の磁性薄膜が積
層されていて隣り合う磁性薄膜の保磁力が相異なってい
る場合、非磁性薄膜を介して隣り合っている一対の磁性
薄膜の全てにおいて上記したような磁化方向の逆転が生
じるので、磁気抵抗変化率の増強効果が得られる。
また、以上の説明では磁性薄膜として保磁力の異なる
2種類だけを用いているが、保磁力がそれぞれ異なる3
種以上の磁性薄膜を用いることにより、磁化方向が逆転
する外部磁界強度を2箇所以上設定でき、動作磁界強度
の範囲を拡大することができる。
また、上記したような作用による磁気抵抗効果に、各
磁性薄膜そのものに生じる異方性磁気抵抗効果が加わる
ため、磁性薄膜を構成する材料に依存してさらに大きな
磁気抵抗変化率が得られることもある。
第2図は、非磁性薄膜を介して磁性薄膜M1およびM2
積層された磁性多層膜に対し、外部磁界Hを印加したと
きの抵抗Rの変化を模式的に示すグラフである。
第2図において、R1およびR2はそれぞれM1およびM2
異方性磁気抵抗効果に起因する抵抗変化であり、R3は、
上記した磁化逆転に起因する抵抗変化である。なお、第
2図では外部磁界Hを零から+Hc1側に印加している
が、外部磁界Hを零から−Hc1側に印加していくと、
R1、R2およびR3は、第2図のR1、R2およびR3に対しそれ
ぞれR軸に対称にあらわれる。
本発明の磁性多層膜では、各磁性薄膜の保磁力、その
積層数、非磁性薄膜の厚さ等の各種条件を適当に選択す
ることにより、第2図に示されるHとRとの関係を表わ
す曲線の形状を様々に変更することができるので、磁気
抵抗変化率や動作磁界強度を種々選択でき、設計の自由
度が極めて高い。
本発明では、磁性薄膜M1およびM2を相異なる厚さとす
ることにより、両磁性薄膜の保磁力を相異なる値に設定
する。
すなわち、本発明では、M1の組成とM2の組成を同一と
することができる。
両磁性薄膜の組成を同一とすれば、製造が容易にな
り、低コストで製造可能となる。
磁性薄膜および非磁性薄膜は200Å以下と極めて薄
く、後述するように超高真空蒸着法により形成されるこ
とが好ましいが、磁性薄膜の組成が2種類以上である
と、同一真空槽内で連続して3種類以上の蒸着を行なう
ことになる。
3元系以上の蒸着装置は極めて複雑かつ大型化するた
め高価であり、また、3元系以上の蒸着では、それぞれ
の薄膜の膜厚を正確に検出することが困難である。
従って、組成を変えずに厚さを変更することで保磁力
を相異なるものとすれば、上記した磁気抵抗効果を有す
る磁性多層膜が容易、正確かつ低コストにて製造でき
る。また、製造条件が安定するため、歩留りが向上す
る。
なお、本発明では、両磁性薄膜の組成も相異なるもの
としてもよく、この場合、保磁力の変更範囲が極めて広
くなり、さらに設計の自由度が増す。
<具体的構成> 以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
本発明の磁性多層膜は、基体上に2層以上の磁性薄膜
を有し、保磁力および厚さの相異なる磁性薄膜が非磁性
薄膜を介して隣接して存在する。
第3図は、本発明の好適実施例である磁性多層膜1の
断面図である。
第3図において、磁性多層膜1は、基体2上に、磁性
薄膜M1、M2、…、Mn-1、Mnを有し、隣接する2層の磁性
薄膜の間に、非磁性薄膜N1、N2、…、Nn-2、Nn-1を有す
る。
基体2の材質に特に制限はなく、例えば、酸化マグネ
シウム、ガラス、けい素単結晶、ガリウム−ヒ素単結晶
など、通常の人工格子に用いられる基体材質から適宜選
択すればよい。
また、基体2の寸法にも特に制限はなく、適用される
素子に応じて適宜選定すればよい。
基体2の磁性薄膜が形成される側の表面には、必要に
応じて下地膜が形成されていてもよい。
下地膜としては、例えば、厚さ200Å程度のAu薄膜が
好ましく、また、このAu薄膜を真空槽中で150℃程度に
て1時間程度熱処理すると表面が原子オーダーで平滑と
なり、人工格子の下地膜としての効果が高くなる。
磁性薄膜M1、M2、…、Mn-1、Mnは、磁性体から構成さ
れる。
本発明では、隣り合う少なくとも一方の磁性薄膜の保
磁力および厚さとそれぞれ異なる保磁力および厚さを有
する磁性薄膜が存在する。
すなわち、隣り合う2層の磁性薄膜のペアのうち、保
磁力および厚さのいずれもが相異なるペアが存在する。
なお、本発明では、非磁性薄膜を介して隣接する磁性
薄膜のペアの全てについてこのような関係が成り立つこ
とが好ましい。
磁性薄膜に用いる磁性体に特に制限はないが、例え
ば、強磁性体、反強磁性体、フェリ磁性体および常磁性
体から選択でき、具体的には、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、D
y、Er、Nd、Tb、Tm、Ce等が好ましい。
また、これらの元素を含む合金や化合物も好ましく用
いることができる。合金や化合物としては、例えば、Fe
−Si、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Gd、Fe−Al−Si(センダス
ト等)、Fe−Y、Fe−Mn、Cr−Sb、Co基アモルファス合
金、Co−Pt、Fe−Al、Fe−C、Mn−Sb、Ni−Mn、Co−
O、Ni−O、Fe−O、Ni−F等が好ましい。
本発明では、これらの磁性体から1種を選択して膜厚
を変えることにより保磁力の異なる磁性薄膜を形成する
ことができるが、目的に応じて、前述したように2種、
あるいは3種以上の磁性体を用いてもよい。
磁性薄膜の厚さは200Å以下、好ましくは100Å以下と
する。厚さが前記範囲を超えても本発明の効果に向上は
みられず、また、均一な厚さで良質な磁性薄膜を形成す
るためには後述するような方法により比較的遅い速度で
成膜するので、生産性が低くなる。
なお、磁性薄膜の厚さの下限は特にないが、厚さを4
Å以上とすれば、膜厚を均一に保つことが容易となり、
膜質も良好となる。また、磁化量が小さくなりすぎるこ
ともなくなる。
各磁性薄膜の組成を同一とする場合、最も厚い磁性薄
膜の厚さを最も薄い磁性薄膜の厚さで除した値を1.2以
上、特に1.5〜20とすることが好ましい。膜厚の比をこ
のような範囲とすることにより、実用的な磁気抵抗効果
が得られる。
なお、組成が同一の場合、通常、膜厚が薄いほど保磁
力は高くなるが、厚さの変化と保磁力の変化との関係は
組成によっても異なる。
各磁性薄膜の保磁力は、適用される素子における外部
磁界強度や要求される磁気抵抗変化率等に応じて例えば
0.001 Oe〜10kOe程度の範囲から目的に応じて適宜設定
すればよく、特に制限はない。
また、例えば、磁性薄膜の保磁力が2種類である場
合、両磁性薄膜の保磁力の比は1.2〜50程度であること
が好ましい。
保磁力の比を小さく設定すれば、外部磁界変化に対す
る抵抗変化を急峻にでき、比を大きく設定すれば、測定
可能な磁界強度範囲を広くできる。
なお、磁性多層膜中に存在する磁性薄膜の磁気特性は
直接測定することができないため、通常、下記のように
して測定する。
測定すべき磁性薄膜を、磁性薄膜の合計厚さが200〜4
00Å程度になるまで非磁性薄膜と交互に蒸着して測定用
サンプルを作製し、これについて磁気特性を測定する。
この際、磁性薄膜の厚さ、非磁性薄膜の厚さおよび非磁
性薄膜の組成は、磁性多層膜中におけるものと同じとす
る。
保磁力以外の磁気特性に特に制限はないが、低保磁力
の磁性薄膜の角形比は0.9〜1.0であることが好ましい。
この理由は下記のとおりである。
本発明の磁性多層膜では、前述したように低保磁力の
磁性薄膜中のスピンを高保磁力の磁性薄膜中のスピンと
反平行な状態にし、伝導電子をスピン散乱させることに
より電気抵抗を増加させている。
電気抵抗は、両磁性薄膜において互いに反平行状態に
あるスピンの割合が高いほど大きくなる。
第1図において、低保磁力の磁性薄膜M1中のスピンは
外部磁界強度Hc1で半数が反転しており、さらに外部磁
界強度を増加させると反転するスピンの割合が増加し、
M1においてスピンの反転が完了したとき、高保磁力の磁
性薄膜M2中のスピンと反平行な状態であるものの割合が
最も高くなる。
そして、M1の角形比が高いほど全スピンの反転が速や
かに完了する。すなわち、Hc1に極めて近い磁界強度でM
1中のスピンの反転が完了することになる。
一方、高保磁力の磁性薄膜M2では、Hc2においてスピ
ンの半数が反転しているが、Hc2以下でもスピンの反転
は生じており、Hc1→Hc2にかけて反転したスピンの割合
は増加する。
すなわち、M2中では、Hc1→Hc2にかけて、M1中の反転
したスピンと平行なスピンの割合が増加してしまう。
このため、M1のスピン反転が迅速であるほどM1とM2
で反平行なスピンの割合が高くなり、高い抵抗値が得ら
れる。また、M2の角形比が高ければ、Hc1付近でM2のス
ピンは殆ど反転していないことになるため、さらに高い
抵抗値が得られる。
従って、M1の角形比が0.9〜1.0であれば、第2図に示
されるように外部磁界Hの強度がHc1に極めて近いとき
に抵抗Rが最大となり、しかもその値が大きくなるるた
め、動作磁界強度が小さく、しかも抵抗変化率が大きく
なる。また、外部磁界強度の変化に対してスピンの反転
が急激に生じるため、外部磁界強度の変化に対する抵抗
の変化率が高くなる。
また、M2の角形比を0.8以上、特に0.9〜1.0とすれ
ば、さらに抵抗変化率を向上させることができる。
なお、以上の説明は外部磁界強度がHc1→Hc2と変化す
るときのものであるが、−Hc1→−Hc2と変化する場合に
ついても同様である。
非磁性薄膜は、その両側に存在する磁性薄膜同士の相
互作用を緩和ないし調整するために設けられる。
非磁性薄膜は非磁性体から構成される。
用いる非磁性体に特に制限はなく、各種金属ないし半
金属非磁性体や非金属非磁性体から適宜選定すればよ
い。
金属非磁性体としては、Al、Mg、Mo、Zn、Nb、Ta、
V、Hf、Sb、Zr、Ga、Ti、Sn、Pb、Au、Ag、Cu、Ptやこ
れらの合金等が好ましく、半金属非磁性体としては、S
i、Ge、C、B等が好ましく、非金属非磁性体として
は、SiO2、SiO、SiN、Al2O3、ZnO、MgO、TiN等の金属な
いし半金属の化合物が好ましい。
また、用いる非磁性体の電気抵抗率はρは、4.0μΩ
・cm以上、特に12.0μΩ・cm以上であることが好まし
い。この場合の電気抵抗率は、バルク状態におけるもの
であり、また、20℃にて測定されたものである。
このような電気抵抗率を有する非磁性体から非磁性薄
膜を構成すれば、磁性薄膜中を通る電子の割合が増加
し、その結果、散乱される電子の割合が増加して大きな
抵抗変化率が得られる。
非磁性薄膜の厚さは、200Å以下、好ましくは80Å以
下、より好ましくは60Å以下とする。厚さが前記範囲を
超えると磁性多層膜全体としての初期抵抗が増大し、そ
の結果、磁気抵抗変化率が小さくなってしまう。また、
上記した磁性薄膜と同様に生産性が低くなる。
また、非磁性薄膜の厚さは、4Å以上とすることが好
ましく、より好ましくは8Å以上、さらに好ましくは12
Å以上とする。厚さが前記範囲未満であると隣り合う磁
性薄膜間の交換相互作用が強くなり、両磁性薄膜の磁化
方向が相異なる状態に生じにくくなる。すなわち、第1
図において、Hc1とHc2とが分離しなくなる。
なお、磁性多層膜中において、非磁性薄膜の厚さは全
て同じである必要はない。非磁性薄膜の厚さを2種以上
とすることにより、さらに種々の設計が可能となる。
磁性薄膜や非磁性薄膜の厚さは透過型電子顕微鏡、走
査型電子顕微鏡、オージェ電子分光分析等により測定す
ることができ、また、その結晶構造等はX線回折や高速
反射電子線回折等により確認することができる。
本発明の磁性多層膜において、磁性薄膜の数nに特に
制限はなく、目的とする磁気抵抗変化率等に応じて適宜
選定すればよいが、十分な磁気抵抗変化率を得るために
は、nを3以上、特に6以上とすることが好ましい。ま
た、積層数を増加するにしたがって抵抗変化率も増加す
るが、上記したように生産性が低くなることから、通
常、nを150以下とすることが好ましい。
なお、最上層の磁性薄膜の表面には、窒化けい素や酸
化けい素等の酸化防止膜が設けられてもよく、電極引き
出しのための金属導電層が設けられてもよい。
また、第3図では最上層および最下層は磁性薄膜とな
っているが、最上層や最下層を非磁性薄膜としてもよ
い。
本発明の磁性多層膜の製造方法に特に制限はなく、蒸
着法やスパッタ法等の各種気相成膜法から選択すること
ができるが、前記した程度の厚さの薄膜が均一な厚さで
得られ、しかも良質な質が得られることから、分子線エ
ピタクシー(MBE)法を用いることが好ましい。
MBE法は、超高真空蒸着法の1種であり、超高真空中
で蒸着源から蒸発した分子を基体表面に付着させて薄膜
を成長させる方法である。
具体的には、シャッタの開閉により蒸着源を選択し、
膜厚計で測定しながら磁性薄膜と非磁性薄膜とを交互に
蒸着する。
本発明の磁性多層膜製造には通常のMBE法を用いれば
よく、成膜条件に特に制限はないが、通常、10-11〜10
-9Torr程度の到達圧力とし、蒸着中の圧力10-10〜10-8T
orr程度にて、成膜速度0.2〜1.0Å/sec程度で成膜する
ことが好ましい。
また、薄膜の結晶構造を整えるために、必要に応じ、
成膜時に基体を加熱してもよい。加熱温度は、各薄膜間
での拡散を防ぐため800℃以下とすることが好ましい。
なお、磁性薄膜を磁界中で成膜し、磁気異方性を付与
してもよい。
本発明の磁性多層膜は、MRセンサやMRヘッドなどの各
種MR素子に好ましく適用され、使用する際には、必要に
応じてバイアス磁界が印加される。
<実施例> 以下、具体的実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説
明する。
[実施例1] マグネシア単結晶基体上に磁性薄膜と非磁性薄膜とを
交互に蒸着し、磁性多層膜サンプルを作製した。
磁性薄膜と非磁性薄膜とからなる多層膜の構成を、下
記表2に示す。
なお、表2において、例えば [Fe(30)−Zn(20)−Co(30)−Zn(20)]10 と表示されている場合、30Å厚のFe薄膜、20Å厚のZn薄
膜、30Å厚のCo薄膜および20ÅのZn薄膜を順次蒸着する
工程を、10回繰り返したことを意味する。各薄膜の厚さ
は、透過型電子顕微鏡により測定した。
蒸着は、到達圧力10-9〜10-10Torrの真空槽内におい
て、MBE法により行なった。
成膜速度は約0.5Å/secとし、基体を30rpmで回転させ
ながら蒸着を行なった。
蒸着の際の基体温度は200℃とし、約500 Oeの磁界を
基体の面内方向に印加して磁性薄膜に磁気異方性を付与
した。
各磁性薄膜の磁気特性を、表2に併記する。
なお、各サンプル中における磁性薄膜の磁気特性は直
接測定することができないため、下記のようにして測定
した。
まず、測定すべき磁性薄膜とそのサンプルに用いた非
磁性薄膜とを、磁性薄膜の合計厚さが400Åになるまで
交互に蒸着して測定用サンプルを作製し、これについて
磁気特性を測定した。なお、磁性薄膜および非磁性薄膜
の厚さは、そのサンプル中における厚さと同じとした。
保磁力および角形比は、B−Hループトレーサーと振
動型磁力計により測定した。
表2に示されるサンプルを0.3mm×1.0mmの短冊状と
し、外部磁界を最大−7〜+7kOeまで変化させたときの
抵抗を4端子法により測定し、磁気抵抗変化率ΔR/Rを
求めた。
抵抗変化率ΔR/Rは、最大抵抗値をRmax、最小抵抗値
をRminとし、 として計算した。
結果を表2に示す。また、Rmaxとなるときの外部磁界
強度HRmaxも表2に示す。なお、外部磁界の印加方向
は、磁性薄膜の面内方向でかつ蒸着時に磁界を印加した
方向に対し直角方向(磁化困難軸方向)とした。
上記表2に示される結果から、本発明の効果が明らか
である。
すなわち、本発明の磁性多層膜では、磁性薄膜の保磁
力をその膜厚を変えることにより変更させて磁気抵抗効
果を発現させることができる。
また、磁性薄膜の厚さや組成、非磁性薄膜の厚さ等を
選択することにより、極めて高い抵抗変化率が実現し、
しかも、抵抗が最大となる磁界強度を比較的自由に設定
することができる。
なお、基体として、ガラス、ガリウム−ヒ素単結晶、
シリコン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウ
ムまたはフェライトを用いた場合でも、上記各サンプル
と同等の効果が認められた。
<発明の効果> 本発明の磁性多層膜は、磁気抵抗変化率が大きく、し
かも動作磁界強度を小さく設定できるため、MR素子に好
適である。
また、動作磁界強度を比較的自由に設定できるなど、
設計の自由度が高いため、MRセンサやMRヘッドなど種々
の用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の作用を説明するB−Hカーブの模式
図である。 第2図は、本発明の磁性多層膜における外部磁界Hと抵
抗Rの変化との関係を模式的に示すグラフである。 第3図は、本発明の磁性多層膜の一部省略断面図であ
る。 符号の説明 1……磁性多層膜 2……基体 M1、M2、…、Mn-1、Mn……磁性薄膜 N1、N2、…、Nn-2、Nn-1……非磁性薄膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−91482(JP,A) 特開 平1−300504(JP,A) 特開 平2−116181(JP,A) 特開 平2−249210(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01F 10/08 H01L 43/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気抵抗効果を有する磁性多層膜であっ
    て、 基体上に、2層以上の磁性薄膜が非磁性薄膜を介して積
    層されており、 隣り合う少なくとも一方の磁性薄膜の保磁力および厚さ
    とそれぞれ異なる保磁力および厚さを有する磁性薄膜が
    存在し、 磁性薄膜の厚さおよび非磁性薄膜の厚さがそれぞれ200
    Å以下である磁性多層膜。
  2. 【請求項2】保磁力および厚さの相異なる2層の磁性薄
    膜が相異なる組成を有する請求項1に記載の磁性多層
    膜。
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