JPH0690038A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents
磁気抵抗効果素子Info
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- JPH0690038A JPH0690038A JP4240165A JP24016592A JPH0690038A JP H0690038 A JPH0690038 A JP H0690038A JP 4240165 A JP4240165 A JP 4240165A JP 24016592 A JP24016592 A JP 24016592A JP H0690038 A JPH0690038 A JP H0690038A
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Landscapes
- Transmission And Conversion Of Sensor Element Output (AREA)
- Measuring Magnetic Variables (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、人工格子膜からなる磁気抵抗効果
素子の飽和磁界を低減することを目的とする。 【構成】 本発明の磁気抵抗効果素子は、膜面内に一軸
磁気異方性を有する磁性層と、非磁性層とが磁気抵抗効
果を呈するように積層された積層体を備え、前記非磁性
層が、Au若しくはAuを主成分として含む合金から成
ることを特徴とする、或いは膜面内に一軸磁気異方性を
有する磁性層と、非磁性層とが磁気抵抗効果を呈するよ
うに積層された積層体を備え、前記磁性層の膜厚t
M が、 5nm≦tM ≦10nm で、且つ積層数nが、 2≦n≦15 であることを特徴とする。
素子の飽和磁界を低減することを目的とする。 【構成】 本発明の磁気抵抗効果素子は、膜面内に一軸
磁気異方性を有する磁性層と、非磁性層とが磁気抵抗効
果を呈するように積層された積層体を備え、前記非磁性
層が、Au若しくはAuを主成分として含む合金から成
ることを特徴とする、或いは膜面内に一軸磁気異方性を
有する磁性層と、非磁性層とが磁気抵抗効果を呈するよ
うに積層された積層体を備え、前記磁性層の膜厚t
M が、 5nm≦tM ≦10nm で、且つ積層数nが、 2≦n≦15 であることを特徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁界センサなどに利用
される磁気抵抗効果素子に係り、特に人工格子を用いた
高感度の磁気抵抗効果素子に関する。
される磁気抵抗効果素子に係り、特に人工格子を用いた
高感度の磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果は、印加磁界により抵抗が
変化する効果である。このような磁気抵抗効果を利用し
た磁気抵抗効果素子は、磁界センサ、磁気ヘッドなどの
用途に好適である。従来、磁気抵抗効果素子としては、
パーマロイ合金薄膜が広く用いられている。しかしなが
ら、パーマロイの磁気抵抗変化率は、膜厚140A程度
でせいぜい1%であり、感度が十分でないという問題が
あった。
変化する効果である。このような磁気抵抗効果を利用し
た磁気抵抗効果素子は、磁界センサ、磁気ヘッドなどの
用途に好適である。従来、磁気抵抗効果素子としては、
パーマロイ合金薄膜が広く用いられている。しかしなが
ら、パーマロイの磁気抵抗変化率は、膜厚140A程度
でせいぜい1%であり、感度が十分でないという問題が
あった。
【0003】一方、最近、数A〜数十Aの厚さの磁性層
と非磁性とを交互に積層させた積層体、いわゆる人工格
子膜が注目されている。このような人工格子膜として
は、(Fe/Cr)n (Phys.Rev.Lett.vol 61(21)(1988)247
2)、(Co/Cu)n (J.Mag.Mag.Mat.94(1991)L1, Phys.Rev.L
ett.66(1991)2152) 等の、磁性層が非磁性層を介して反
強磁性的に結合したものが知られている。しかしなが
ら、これら人工格子膜において、磁気抵抗変化率は数十
%と大きいものの、飽和磁界Hsがパーマロイ合金薄膜
の数Oeに対して、数k〜数十kOeと大きく、これも
感度としては十分なものが得られないという問題があっ
た。
と非磁性とを交互に積層させた積層体、いわゆる人工格
子膜が注目されている。このような人工格子膜として
は、(Fe/Cr)n (Phys.Rev.Lett.vol 61(21)(1988)247
2)、(Co/Cu)n (J.Mag.Mag.Mat.94(1991)L1, Phys.Rev.L
ett.66(1991)2152) 等の、磁性層が非磁性層を介して反
強磁性的に結合したものが知られている。しかしなが
ら、これら人工格子膜において、磁気抵抗変化率は数十
%と大きいものの、飽和磁界Hsがパーマロイ合金薄膜
の数Oeに対して、数k〜数十kOeと大きく、これも
感度としては十分なものが得られないという問題があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の磁気抵抗効果素子において、その感度が十分でないと
いう問題があった。本発明はこのような問題を解決する
ためになされたもので、人工格子膜を用いた磁気抵抗効
果素子において、飽和磁界を低減することを目的とす
る。
の磁気抵抗効果素子において、その感度が十分でないと
いう問題があった。本発明はこのような問題を解決する
ためになされたもので、人工格子膜を用いた磁気抵抗効
果素子において、飽和磁界を低減することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】上述の目的を達
成するために、発明者らは、磁性層間の相互作用を小さ
くすることに着目した。まず、非磁性層の元素を検討し
たところ、層間相互作用を小さくするという観点のみで
は、Auが適当であることが分かったが、例えばCo/
Au系の積層膜においては、通常のガラス基板上に形成
した場合、大きな表面磁気異方性のため垂直磁化膜とな
り、反強磁性的な結合が得られていない(J.Appl.Phys.6
7,5680(1990)) 。そこで鋭意研究を行った結果、磁性層
に一軸磁気異方性を付与することにより、垂直磁化が抑
えられ、層間相互作用を小さくしたまま、反強磁性的な
結合が得られることを見出した。すなわち、第1の発明
は、膜面内に一軸磁気異方性を有する磁性層と、非磁性
層とが磁気抵抗効果を呈するように積層された積層体を
備え、前記非磁性層が、Au若しくはAuを主成分とし
て含む合金から成ることを特徴とする磁気抵抗効果素子
を提供するものである。
成するために、発明者らは、磁性層間の相互作用を小さ
くすることに着目した。まず、非磁性層の元素を検討し
たところ、層間相互作用を小さくするという観点のみで
は、Auが適当であることが分かったが、例えばCo/
Au系の積層膜においては、通常のガラス基板上に形成
した場合、大きな表面磁気異方性のため垂直磁化膜とな
り、反強磁性的な結合が得られていない(J.Appl.Phys.6
7,5680(1990)) 。そこで鋭意研究を行った結果、磁性層
に一軸磁気異方性を付与することにより、垂直磁化が抑
えられ、層間相互作用を小さくしたまま、反強磁性的な
結合が得られることを見出した。すなわち、第1の発明
は、膜面内に一軸磁気異方性を有する磁性層と、非磁性
層とが磁気抵抗効果を呈するように積層された積層体を
備え、前記非磁性層が、Au若しくはAuを主成分とし
て含む合金から成ることを特徴とする磁気抵抗効果素子
を提供するものである。
【0006】このとき磁性層は、Co,Fe,Niの少
なくとも一種またはこれらを含む合金からなり、その膜
厚は十分な磁気抵抗効果の得られる2〜100A、好ま
しくは5〜90Aである。これに一軸異方性を付与する
には、MgO,Cr,GaAs,Cu,Fe,LiF,
CaF,フェライト(110)等少なくとも表面部が立
方晶系構造を有する単結晶基板や、その高配向膜を用い
るという方法がある。或いは、磁性層成膜中若しくは成
膜後に磁界を誘導し、誘導磁気異方性を導入することも
できる。この場合は、基板としてガラス基板、樹脂基板
等の非晶質のものも用いることができる。また非磁性層
は、Au若しくはAuを主成分として含む合金で、Au
以外の添加成分としては、Cr,Ru,Cu,Ag,A
u等の非磁性元素で、非磁性層として十分小さい層間相
互作用の得られる範囲で添加することができる。その添
加量は元素により異なるものの、20at%以下であるこ
とが好ましい。但し、添加元素がCuの場合には、50
at%未満含有することができる。
なくとも一種またはこれらを含む合金からなり、その膜
厚は十分な磁気抵抗効果の得られる2〜100A、好ま
しくは5〜90Aである。これに一軸異方性を付与する
には、MgO,Cr,GaAs,Cu,Fe,LiF,
CaF,フェライト(110)等少なくとも表面部が立
方晶系構造を有する単結晶基板や、その高配向膜を用い
るという方法がある。或いは、磁性層成膜中若しくは成
膜後に磁界を誘導し、誘導磁気異方性を導入することも
できる。この場合は、基板としてガラス基板、樹脂基板
等の非晶質のものも用いることができる。また非磁性層
は、Au若しくはAuを主成分として含む合金で、Au
以外の添加成分としては、Cr,Ru,Cu,Ag,A
u等の非磁性元素で、非磁性層として十分小さい層間相
互作用の得られる範囲で添加することができる。その添
加量は元素により異なるものの、20at%以下であるこ
とが好ましい。但し、添加元素がCuの場合には、50
at%未満含有することができる。
【0007】これら磁性層、非磁性層の積層数nは2以
上、一般的には5〜数10程度であり、磁気抵抗効果を
考慮すると大きい方が良いが、あまり大きくすると各層
の膜の不均一によりヒステリシスが大きくなるため、適
宜設定することが望ましい。さらに、発明者らは、磁性
層自体をソフト化することを検討した。磁性層をソフト
化するためには、磁性層にソフト磁性の材料を用いる、
或いは膜厚を厚くするといった方法が有効であることが
分かったが、一般に膜厚を厚くすると磁気抵抗効果が低
下することが知られている。しかしながら、膜厚をある
特定の範囲まで厚くすることにより、磁性層の結晶性が
向上し、膜としての特性が向上するため磁気抵抗効果が
大きくは低下しないことを見出した。すなわち、第2の
発明は、膜面内に一軸磁気異方性を有する磁性層と、非
磁性層とが磁気抵抗効果を呈するように積層された積層
体を備え、前記磁性層の膜厚tM が、 5nm≦tM ≦10nm で、且つ積層数nが、 2≦n≦15 であることを特徴とする磁気抵抗効果素子を提供するも
のである。
上、一般的には5〜数10程度であり、磁気抵抗効果を
考慮すると大きい方が良いが、あまり大きくすると各層
の膜の不均一によりヒステリシスが大きくなるため、適
宜設定することが望ましい。さらに、発明者らは、磁性
層自体をソフト化することを検討した。磁性層をソフト
化するためには、磁性層にソフト磁性の材料を用いる、
或いは膜厚を厚くするといった方法が有効であることが
分かったが、一般に膜厚を厚くすると磁気抵抗効果が低
下することが知られている。しかしながら、膜厚をある
特定の範囲まで厚くすることにより、磁性層の結晶性が
向上し、膜としての特性が向上するため磁気抵抗効果が
大きくは低下しないことを見出した。すなわち、第2の
発明は、膜面内に一軸磁気異方性を有する磁性層と、非
磁性層とが磁気抵抗効果を呈するように積層された積層
体を備え、前記磁性層の膜厚tM が、 5nm≦tM ≦10nm で、且つ積層数nが、 2≦n≦15 であることを特徴とする磁気抵抗効果素子を提供するも
のである。
【0008】このとき磁性層は、Co,Fe,Niの少
なくとも一種またはこれらを含む合金からなり、その膜
厚は50〜100Aであることが必要で、これより薄い
と保磁力が大きくなり、これより厚いと磁気抵抗変化率
が小さくなる。好ましくは70〜100Aである。この
ような磁性層に一軸磁気異方性を導入する方法として
は、第1の発明と同様のものが用いられる。非磁性層は
特に限定されないが、導電性のある例えばCr,Ru,
Cu,Ag,Au等の金属のうち少なくとも一種または
これらを含む合金であることが好ましく、その膜厚は5
〜100Aであることが好ましく、この範囲を越えると
磁気抵抗変化率が低下する。さらに好ましくは7〜50
Aである。積層数は十分小さな飽和磁界を得るためには
2〜15である必要があり、より好ましくは、2〜10
である。
なくとも一種またはこれらを含む合金からなり、その膜
厚は50〜100Aであることが必要で、これより薄い
と保磁力が大きくなり、これより厚いと磁気抵抗変化率
が小さくなる。好ましくは70〜100Aである。この
ような磁性層に一軸磁気異方性を導入する方法として
は、第1の発明と同様のものが用いられる。非磁性層は
特に限定されないが、導電性のある例えばCr,Ru,
Cu,Ag,Au等の金属のうち少なくとも一種または
これらを含む合金であることが好ましく、その膜厚は5
〜100Aであることが好ましく、この範囲を越えると
磁気抵抗変化率が低下する。さらに好ましくは7〜50
Aである。積層数は十分小さな飽和磁界を得るためには
2〜15である必要があり、より好ましくは、2〜10
である。
【0009】また第1、第2の発明ともその成膜方法と
しては、従来から用いられている超高真空スパッタリン
グ法、分子線エピタキシー法、RFマグネトロンスパッ
タリング法、イオンビームスパッタリング法、蒸着法等
の各種の方法を採ることができる。但し条件によっては
C軸が膜面内に存在しても配向を示さない場合もあり、
用いる材料により最適な方法及び条件を適宜選択する必
要がある。なお、積層する磁性層、非磁性層は同一であ
る必要はなく、積層方向で組成、膜厚を変調してもよ
い。
しては、従来から用いられている超高真空スパッタリン
グ法、分子線エピタキシー法、RFマグネトロンスパッ
タリング法、イオンビームスパッタリング法、蒸着法等
の各種の方法を採ることができる。但し条件によっては
C軸が膜面内に存在しても配向を示さない場合もあり、
用いる材料により最適な方法及び条件を適宜選択する必
要がある。なお、積層する磁性層、非磁性層は同一であ
る必要はなく、積層方向で組成、膜厚を変調してもよ
い。
【0010】また、必要に応じ基板上にFe等のバッフ
ァ層を形成してもよい。厚さは3A以上程度から効果を
発揮する。上限は特にないが数100A程度である。こ
のバッファー層を形成した後、磁性層から成膜すると飽
和磁界をさらに低減することができる。また、バッファ
層を形成した後、非磁性層から成膜すると、バッファ層
を成膜しないで非磁性層から成膜したときに比べ、磁気
抵抗変化率が大きくなるという傾向がある。これら第1
の発明、及び第2の発明を同時に実施してもよい。
ァ層を形成してもよい。厚さは3A以上程度から効果を
発揮する。上限は特にないが数100A程度である。こ
のバッファー層を形成した後、磁性層から成膜すると飽
和磁界をさらに低減することができる。また、バッファ
層を形成した後、非磁性層から成膜すると、バッファ層
を成膜しないで非磁性層から成膜したときに比べ、磁気
抵抗変化率が大きくなるという傾向がある。これら第1
の発明、及び第2の発明を同時に実施してもよい。
【0011】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)
る。 (実施例1)
【0012】第1の発明に係るこの実施例においては、
基板としてMgO(110)単結晶基板を用い、磁性層
としてFe0.1 Co0.9 、非磁性層としてAuを用い
て、イオンビームスパッタ法を用いて積層体を成膜した
例について示す。
基板としてMgO(110)単結晶基板を用い、磁性層
としてFe0.1 Co0.9 、非磁性層としてAuを用い
て、イオンビームスパッタ法を用いて積層体を成膜した
例について示す。
【0013】先ず、チャンバー内にMgO(110)単
結晶基板をセットし、チャンバー内を5×10-7Torrま
で排気した後、Arガスを1×10-4Torrになるまで導
入し、加速電圧700V、ビーム電流30mAの条件にて
スパッタリングを実施した。ターゲットとしてFe0.1
Co0.9 及びAuを用い、Fe0.1 Co0.9 ターゲット
及びAuターゲットを交互にスパッタして、基板に直接
磁性層が成膜されるようにして、膜厚10AのFe0.1
Co0.9 磁性層及び膜厚10AのCu非磁性層のペアを
16回積層した(積層数n=16)。このようにして得
た磁気抵抗効果素子を(Cu10A/Fe0.1 Co0.9
10A)16/MgO(110)とする。
結晶基板をセットし、チャンバー内を5×10-7Torrま
で排気した後、Arガスを1×10-4Torrになるまで導
入し、加速電圧700V、ビーム電流30mAの条件にて
スパッタリングを実施した。ターゲットとしてFe0.1
Co0.9 及びAuを用い、Fe0.1 Co0.9 ターゲット
及びAuターゲットを交互にスパッタして、基板に直接
磁性層が成膜されるようにして、膜厚10AのFe0.1
Co0.9 磁性層及び膜厚10AのCu非磁性層のペアを
16回積層した(積層数n=16)。このようにして得
た磁気抵抗効果素子を(Cu10A/Fe0.1 Co0.9
10A)16/MgO(110)とする。
【0014】この積層体のX線回折パターンを図1に示
す。図1から明らかなように、磁性層Co0.9 Fe0.1
の六方晶(110)面のピークが存在していることが確
認された。図2はこの積層膜のトルク曲線であるが、こ
の図からトルク曲線が2回対称であり、一軸異方性が膜
面内に誘起されていることが確認された。また、磁気抵
抗効果に著しい方向依存性があり、図3に示すように磁
化容易軸方向の抵抗変化率が25%と大きい値であるこ
とが確認された。これらの結果から、この磁性層は六方
晶であり、C軸が膜面内に配向していることがわかっ
た。
す。図1から明らかなように、磁性層Co0.9 Fe0.1
の六方晶(110)面のピークが存在していることが確
認された。図2はこの積層膜のトルク曲線であるが、こ
の図からトルク曲線が2回対称であり、一軸異方性が膜
面内に誘起されていることが確認された。また、磁気抵
抗効果に著しい方向依存性があり、図3に示すように磁
化容易軸方向の抵抗変化率が25%と大きい値であるこ
とが確認された。これらの結果から、この磁性層は六方
晶であり、C軸が膜面内に配向していることがわかっ
た。
【0015】なお、図3から(Au10A/Fe0.1 C
o0.9 10A)16/MgO(110)の飽和磁界Hsが
0.4kOeであることがわかり、磁気抵抗変化率が大
きく飽和磁界Hsが小さい素子が得られたことが確認さ
れた。また、抵抗変化が0.3kOe程度から始まり、
その傾きが急峻であるので、この領域を使用すれば非常
に高感度の磁界測定が可能になる。一方、同様の積層膜
をSiO2 基板上に形成した場合にはMR効果は殆ど観
測されなかった。
o0.9 10A)16/MgO(110)の飽和磁界Hsが
0.4kOeであることがわかり、磁気抵抗変化率が大
きく飽和磁界Hsが小さい素子が得られたことが確認さ
れた。また、抵抗変化が0.3kOe程度から始まり、
その傾きが急峻であるので、この領域を使用すれば非常
に高感度の磁界測定が可能になる。一方、同様の積層膜
をSiO2 基板上に形成した場合にはMR効果は殆ど観
測されなかった。
【0016】参考のため、積層順を逆にして積層膜を形
成した場合の磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果を測定し
たが、配向が確認されず、また、磁気抵抗変化率も本実
施例では25%であったのに対し、1%と小さいもので
あった。 (実施例2)
成した場合の磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果を測定し
たが、配向が確認されず、また、磁気抵抗変化率も本実
施例では25%であったのに対し、1%と小さいもので
あった。 (実施例2)
【0017】この実施例においては、基板としてMgO
(110)単結晶基板を用い、磁性層としてCoを、非
磁性層としてAuを用い、基板上に、最初にCo次にA
uという順番でこれらを交互に積層して積層体を形成し
た。Coの厚さを10A、Auの厚さを10Aとし、磁
性層と非磁性層とのペアを16回積層した(積層数n=
16)。このようにして得た磁気抵抗効果素子を(Au
10A/Co10A)16/MgO(110)とする。な
お、この実施例においても成膜はイオンビームスパッタ
法を用いて行い、成膜条件は実施例1と同一とした。
(110)単結晶基板を用い、磁性層としてCoを、非
磁性層としてAuを用い、基板上に、最初にCo次にA
uという順番でこれらを交互に積層して積層体を形成し
た。Coの厚さを10A、Auの厚さを10Aとし、磁
性層と非磁性層とのペアを16回積層した(積層数n=
16)。このようにして得た磁気抵抗効果素子を(Au
10A/Co10A)16/MgO(110)とする。な
お、この実施例においても成膜はイオンビームスパッタ
法を用いて行い、成膜条件は実施例1と同一とした。
【0018】この積層体のX線回折パターンを図4に示
す。図4から明らかなように、磁性層Coの六方晶(1
10)面のピークが存在していることが確認された。図
5はこの積層膜のトルク曲線であるが、この図からトル
ク曲線が2回対称であり、一軸異方性が膜面内に誘起さ
れていることが確認された。また、磁気抵抗効果に著し
い方向依存性があり、図6に示すように磁化容易軸方向
の抵抗変化率が18%と大きい値であることが確認され
た。こらの結果から、この磁性層は六方晶であり、C軸
が膜面内に配向していることがわかった。
す。図4から明らかなように、磁性層Coの六方晶(1
10)面のピークが存在していることが確認された。図
5はこの積層膜のトルク曲線であるが、この図からトル
ク曲線が2回対称であり、一軸異方性が膜面内に誘起さ
れていることが確認された。また、磁気抵抗効果に著し
い方向依存性があり、図6に示すように磁化容易軸方向
の抵抗変化率が18%と大きい値であることが確認され
た。こらの結果から、この磁性層は六方晶であり、C軸
が膜面内に配向していることがわかった。
【0019】なお、図6から(Au10A/Co10
A)16/MgO(110)の飽和磁界Hsが0.2kO
eであることがわかり、磁気抵抗変化率が大きく飽和磁
界Hsが小さい素子が得られたことが確認された。一
方、同様の積層膜をSiO2 基板上に形成した場合には
MR効果は殆ど観測されなかった。
A)16/MgO(110)の飽和磁界Hsが0.2kO
eであることがわかり、磁気抵抗変化率が大きく飽和磁
界Hsが小さい素子が得られたことが確認された。一
方、同様の積層膜をSiO2 基板上に形成した場合には
MR効果は殆ど観測されなかった。
【0020】参考のため、積層順を逆にして積層膜を形
成した場合の磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果を測定し
たが、配向が確認されず、また、磁気抵抗変化率も本実
施例では18%であったのに対し、1%と小さいもので
あった。 (実施例3)
成した場合の磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果を測定し
たが、配向が確認されず、また、磁気抵抗変化率も本実
施例では18%であったのに対し、1%と小さいもので
あった。 (実施例3)
【0021】第1の発明に係るこの実施例においては、
基板としてMgO(110)単結晶基板を用い、磁性層
としてCo0.8 Fe0.1 Ni0.1 を、非磁性層としてA
uを用い、基板上に、最初にCo0.8 Fe0.1 Ni0.1
次にAuという順番でこれらを交互に積層して積層体を
形成した。Co0.8 Fe0.1 Ni0.1 の厚さを15A、
Auの厚さを10Aとし、磁性層と非磁性層とのペアを
16回積層した(積層数n=16)。このようにして得
た磁気抵抗効果素子を(Au10A/Co0.8Fe0.1
Ni0.1 10A)16/MgO(110)とする。なお、
この実施例においても成膜はイオンビームスパッタ法を
用いて行い、成膜条件は実施例1と同一とした。
基板としてMgO(110)単結晶基板を用い、磁性層
としてCo0.8 Fe0.1 Ni0.1 を、非磁性層としてA
uを用い、基板上に、最初にCo0.8 Fe0.1 Ni0.1
次にAuという順番でこれらを交互に積層して積層体を
形成した。Co0.8 Fe0.1 Ni0.1 の厚さを15A、
Auの厚さを10Aとし、磁性層と非磁性層とのペアを
16回積層した(積層数n=16)。このようにして得
た磁気抵抗効果素子を(Au10A/Co0.8Fe0.1
Ni0.1 10A)16/MgO(110)とする。なお、
この実施例においても成膜はイオンビームスパッタ法を
用いて行い、成膜条件は実施例1と同一とした。
【0022】この積層体のX線回折パターンを図7に示
す。図7から明らかなように、磁性層Co0.8 Fe0.1
Ni0.1 の六方晶(110)面のピークが存在している
ことが確認された。図8はこの積層膜のトルク曲線であ
るが、この図からトルク曲線が2回対称であり、一軸異
方性が膜面内に誘起されていることが確認された。ま
た、磁気抵抗効果に著しい方向依存性があり、図9に示
すように磁化容易軸方向の抵抗変化率が15%と大きい
値であることが確認された。これらの結果から、この磁
性層は六方晶であり、C軸が膜面内に配向していること
がわかった。
す。図7から明らかなように、磁性層Co0.8 Fe0.1
Ni0.1 の六方晶(110)面のピークが存在している
ことが確認された。図8はこの積層膜のトルク曲線であ
るが、この図からトルク曲線が2回対称であり、一軸異
方性が膜面内に誘起されていることが確認された。ま
た、磁気抵抗効果に著しい方向依存性があり、図9に示
すように磁化容易軸方向の抵抗変化率が15%と大きい
値であることが確認された。これらの結果から、この磁
性層は六方晶であり、C軸が膜面内に配向していること
がわかった。
【0023】なお、図9から(Au10A/Co0.8 F
e0.1 Ni0.1 10A)16/MgO(110)の飽和磁
界Hsが0.2kOeであることがわかり、磁気抵抗変
化率が大きく飽和磁界Hsが小さい素子が得られたこと
が確認された。一方、同様の積層膜をSiO2 基板上に
形成した場合にはMR効果は殆ど観測されなかった。
e0.1 Ni0.1 10A)16/MgO(110)の飽和磁
界Hsが0.2kOeであることがわかり、磁気抵抗変
化率が大きく飽和磁界Hsが小さい素子が得られたこと
が確認された。一方、同様の積層膜をSiO2 基板上に
形成した場合にはMR効果は殆ど観測されなかった。
【0024】参考のため、積層順を逆にして積層膜を形
成した場合の磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果を測定し
たが、配向が確認されず、また、磁気抵抗変化率も本実
施例では15%であったのに対し、1%と小さいもので
あった。 (実施例4)
成した場合の磁気抵抗効果素子の磁気抵抗効果を測定し
たが、配向が確認されず、また、磁気抵抗変化率も本実
施例では15%であったのに対し、1%と小さいもので
あった。 (実施例4)
【0025】第2の発明に係るこの実施例においては基
板としてMgO(110)単結晶基板を用い、磁性層と
してNi0.8 Fe0.2 (パーマロイ)を非磁性層として
Cuを用い、基板上に最初にNi0.8 Fe0.2 、次にC
uという順番でこれらを交互に積層して積層体を形成し
た。Ni0.8 Fe0.2 磁性層の厚さを70A、Cu非磁
性層の厚さを11Aとした試料a、Ni0.8 Fe0.2 磁
性層の厚さを70A、Cu非磁性層の厚さを22Aとし
た試料bの2種類を作成し、積層数nを2〜16まで変
化させた。
板としてMgO(110)単結晶基板を用い、磁性層と
してNi0.8 Fe0.2 (パーマロイ)を非磁性層として
Cuを用い、基板上に最初にNi0.8 Fe0.2 、次にC
uという順番でこれらを交互に積層して積層体を形成し
た。Ni0.8 Fe0.2 磁性層の厚さを70A、Cu非磁
性層の厚さを11Aとした試料a、Ni0.8 Fe0.2 磁
性層の厚さを70A、Cu非磁性層の厚さを22Aとし
た試料bの2種類を作成し、積層数nを2〜16まで変
化させた。
【0026】図10に試料a、bの積層数と、磁化容易
軸方向の磁気抵抗変化率及び飽和磁界Hsの関係を示
す。試料aにおいてはn=2のとき、磁気抵抗変化率は
6.5%、Hsは64Oeであるのに対し、n=10の
とき、磁気抵抗変化率は10.8%、Hsは87Oeで
ある。また試料bにおいてはn=2のとき磁気抵抗変化
率は2.7%、Hsは20Oeであるのに対し、n=1
0のとき磁気抵抗変化率は6.8%、Hs50Oeとな
っており、ともに積層数nが増加するにつれて増大し、
またn=10〜15でほぼ飽和していることが分かる。
軸方向の磁気抵抗変化率及び飽和磁界Hsの関係を示
す。試料aにおいてはn=2のとき、磁気抵抗変化率は
6.5%、Hsは64Oeであるのに対し、n=10の
とき、磁気抵抗変化率は10.8%、Hsは87Oeで
ある。また試料bにおいてはn=2のとき磁気抵抗変化
率は2.7%、Hsは20Oeであるのに対し、n=1
0のとき磁気抵抗変化率は6.8%、Hs50Oeとな
っており、ともに積層数nが増加するにつれて増大し、
またn=10〜15でほぼ飽和していることが分かる。
【0027】このように、磁性層の膜厚を70A程度と
比較的厚くしても、その積層数を15以下に抑えること
により、良好な磁気抵抗変化率を持ちながら、飽和磁界
Hsの小さくすることが可能となる。 (実施例5)
比較的厚くしても、その積層数を15以下に抑えること
により、良好な磁気抵抗変化率を持ちながら、飽和磁界
Hsの小さくすることが可能となる。 (実施例5)
【0028】第2の発明に係るこの実施例においては、
実施例4と同様にして、Ni0.8 Fe0.2 磁性層の厚さ
とCu非磁性層の厚さを表1のように調整した試料a〜
dを作成した。なお、試料bは積層変調構造、試料c,
dは磁性層の種類を変えたものである。
実施例4と同様にして、Ni0.8 Fe0.2 磁性層の厚さ
とCu非磁性層の厚さを表1のように調整した試料a〜
dを作成した。なお、試料bは積層変調構造、試料c,
dは磁性層の種類を変えたものである。
【0029】
【表1】 試料 膜構造 a (2.2nmCu / 7nmNi0.8 Fe0.2 )2 / MgO(110) b (2.2nmCu / 7nmNi0.8 Fe0.2 / 2.2nmCu / 3nm Ni0.8 Fe0.2 )/ MgO(110) c (2.2nmCu / 7nmNi0.8 Fe0.2 / 2.2nmCu / 1nm Co9 Fe)/ MgO(110) d (2.2nmCu / 7nmNi0.8 Fe0.2 / 2.2nmCu / 1nm Co9 Fe)2 / MgO(110)
【0030】これら試料a〜dについて磁気抵抗効果と
飽和磁界を測定した結果を表2に、試料a,b,dにつ
いては併せて磁気抵抗曲線をそれぞれ図11,12,1
3に示す。
飽和磁界を測定した結果を表2に、試料a,b,dにつ
いては併せて磁気抵抗曲線をそれぞれ図11,12,1
3に示す。
【0031】
【表2】 試料 磁気抵抗変化率(%) 飽和磁界(Oe) a 2.4 20 b 4.1 10 c 3.2 25 d 3.2 13 このように、磁性層を厚くすることにより、非常に低い
飽和磁界で、良好な磁気抵抗変化率を有することが分か
る。
飽和磁界で、良好な磁気抵抗変化率を有することが分か
る。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
人工格子膜を用いた磁気抵抗効果素子において、飽和磁
界を低減することができる。
人工格子膜を用いた磁気抵抗効果素子において、飽和磁
界を低減することができる。
【図1】 実施例1における素子のX線回折パターンを
示す図。
示す図。
【図2】 実施例1における素子のトルク曲線を示す
図。
図。
【図3】 実施例1における素子の磁気抵抗曲線を示す
図。
図。
【図4】 実施例2における素子のX線回折パターンを
示す図。
示す図。
【図5】 実施例2における素子のトルク曲線を示す
図。
図。
【図6】 実施例2における素子の磁気抵抗曲線を示す
図。
図。
【図7】 実施例3における素子のX線回折パターンを
示す図。
示す図。
【図8】 実施例3における素子のトルク曲線を示す
図。
図。
【図9】 実施例3における素子の磁気抵抗曲線を示す
図。
図。
【図10】 実施例4における積層数と磁化容易軸方向
の磁気抵抗変化率及び飽和磁界の関係を示す図。
の磁気抵抗変化率及び飽和磁界の関係を示す図。
【図11】 実施例5における試料aの磁気抵抗曲線を
示す図。
示す図。
【図12】 実施例5における試料bの磁気抵抗曲線を
示す図。
示す図。
【図13】 実施例5における試料dの磁気抵抗曲線を
示す図。
示す図。
Claims (2)
- 【請求項1】 膜面内に一軸磁気異方性を有する磁性層
と、非磁性層とが磁気抵抗効果を呈するように積層され
た積層体を備え、前記非磁性層が、Au若しくはAuを
主成分として含む合金から成ることを特徴とする磁気抵
抗効果素子。 - 【請求項2】 膜面内に一軸磁気異方性を有する磁性層
と、非磁性層とが磁気抵抗効果を呈するように積層され
た積層体を備え、前記磁性層の膜厚tM が、 5nm≦tM ≦10nm で、且つ積層数nが、 2≦n≦15 であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4240165A JPH0690038A (ja) | 1992-09-09 | 1992-09-09 | 磁気抵抗効果素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4240165A JPH0690038A (ja) | 1992-09-09 | 1992-09-09 | 磁気抵抗効果素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0690038A true JPH0690038A (ja) | 1994-03-29 |
Family
ID=17055464
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4240165A Pending JPH0690038A (ja) | 1992-09-09 | 1992-09-09 | 磁気抵抗効果素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0690038A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5661621A (en) * | 1994-09-08 | 1997-08-26 | Fujitsu Limited | Magnetoresistive head |
US6074535A (en) * | 1994-09-09 | 2000-06-13 | Fujitsu Limited | Magnetoresistive head, method of fabricating the same and magnetic recording apparatus |
-
1992
- 1992-09-09 JP JP4240165A patent/JPH0690038A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5661621A (en) * | 1994-09-08 | 1997-08-26 | Fujitsu Limited | Magnetoresistive head |
US6074535A (en) * | 1994-09-09 | 2000-06-13 | Fujitsu Limited | Magnetoresistive head, method of fabricating the same and magnetic recording apparatus |
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