JP6923185B2 - 硬質磁性材料 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な硬質磁性材料に関する。
永久磁石や磁気記録媒体等には、高い保磁力を有する硬質磁性材料が用いられる。硬質磁性材料の高性能化のためには、該硬質磁性材料の一軸磁気異方性(Ku)を高めることが必要である。
従来、高性能な永久磁石には、希土類元素であるNd及びDyを含むFe(NdDy)Bが硬質磁性材料として主に用いられている。また、磁気記録媒体には、貴金属であるPtを含むCoCrPtやFePtが硬質磁性材料として主に用いられている。資源の安定的供給の観点から、これらの希土類元素や貴金属の使用量を低減することが望まれている。
H. Oomiya, et al., J. Phys. D: Appl. Phys., vol. 48, pp. 475003-1-6 (2015). 石尾俊二,長谷川崇,金谷俊介,高橋海里,熊谷洸平,正方晶FeCo基合金薄膜の一軸磁気異方性,日本磁気学会誌 まぐね Vol. 12,印刷中. K. Hono, Magnetics, 7 (2012) 290. I. S. J. Jacobs, IEEE Trans. Magn., 21 (1985) 1306. Y. Kota and A. Sakuma, Appl. Phys. Express, Vol. 5, pp. 113002-1-3 (2012). 松川潔,東京大学宇宙航空研究所報告 第3巻 (1967) 357.
本発明は、希土類元素や貴金属元素を用いることなく、良好な一軸磁気異方性を発現することが可能な硬質磁性材料を提供することを課題とする。また、該硬質磁性材料の製造方法を提供する。
本発明の第1の態様は、下記一般式(1)で表される組成を有する正方晶FeCoV基合金であって、正方晶FeCoV基合金の正方晶歪c/aが1.02を超え1.3以下である、FeCoV基合金系硬質磁性材料である。
(Fe1−xCo1−y−z (1)
(一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.7を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数であり;zは0≦z≦0.15を満たす実数であり;0<z≦0.15のとき、AはC、若しくはN、又はそれらの組み合わせを表す。)
本明細書において「硬質磁性材料」とは、一軸磁気異方性定数Ku1が0.75×10erg/cm以上である材料を意味する。
一の実施形態において、上記一般式(1)中のzは0である。
他の一の実施形態において、上記一般式(1)中のzは0<z≦0.15を満たす実数である。
本発明の第1の態様において、上記正方晶歪c/aが1.05以上1.3以下であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係るFeCoV基合金系硬質磁性材料からなる、硬質磁性体膜である。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係るFeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子であって、粒径が1000nm以下である粒子を含む、永久磁石である。
本発明の第4の態様は、(a)酸化マグネシウム単結晶基板の表面に、ロジウム層をエピタキシャル成長させる工程と、(b)前記ロジウム層の表面に、上記一般式(1)で表される組成を有するFeCoV基合金層をエピタキシャル成長させる工程とを含む、FeCoV基合金系硬質磁性材料の製造方法である。
本発明の第1及び第2の態様に係るFeCoV基合金系硬質磁性材料およびFeCoV基合金系硬質磁性体膜によれば、希土類元素や貴金属元素を用いることなく、良好な一軸磁気異方性を発現することが可能な硬質磁性材料および硬質磁性体膜を提供できる。
本発明の第3の態様に係る永久磁石によれば、希土類元素や貴金属を用いることなく、良好な保磁力を発現することが可能な永久磁石を提供できる。
本発明の第4の態様に係るFeCoV基合金系硬質磁性材料の製造方法は、本発明の第1の態様に係るFeCoV基合金系硬質磁性材料の製造に好ましく採用できる。
一の実施形態に係るFeCoV基合金系硬質磁性材料の製造方法S100を説明するフローチャートである。 製造方法S100の各工程における積層構造を模式的に説明する断面図である。 (Fe1−xCo90、(Fe1−xCo95、及び(Fe1−xCo9010合金薄膜試料(膜厚はいずれも5.0nm)の正方歪c/aと組成との関係を表したグラフである。 (Fe1−xCo90、(Fe1−xCo95、及び(Fe1−xCo9010合金薄膜試料(膜厚はいずれも5.0nm)の一軸磁気異方性定数Ku1と組成との関係を表したグラフである。 (Fe1−xCo90、(Fe1−xCo95、及び(Fe1−xCo9010合金薄膜試料(膜厚はいずれも5.0nm)の飽和磁化Mと組成との関係を表したグラフである。 (Fe0.4Co0.690及び(Fe0.4Co0.69010合金薄膜試料(膜厚5.0〜50nm)について、膜厚と一軸磁気異方性定数Ku1との関係を表したグラフである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図では、符号を一部省略することがある。本明細書において、数値A及びBについて「A〜B」は、特に別途規定されない限り、「A以上B以下」を意味する。該表記において数値Aの単位を省略する場合には、数値Bに付された単位が数値Aの単位として適用されるものとする。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。
<FeCoV基合金系硬質磁性材料>
本発明のFeCoV基合金系硬質磁性材料は、下記一般式(1)で表される組成を有する正方晶FeCoV基合金である。
(Fe1−xCo1−y−z (1)
(一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.7を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数であり;zは0≦z≦0.15を満たす実数であり;0<z≦0.15のとき、AはC、若しくはN、又はそれらの組み合わせを表す。)
一般式(1)において、yは0を超え0.15以下であり、好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.04以上である。一の実施形態においてyは0.12以下であり、他の一の実施形態においてyは0.11以下である。
本発明のFeCoV基合金系硬質磁性材料は正方晶歪を有する。正方晶歪は、正方晶の結晶格子のc軸方向の長さ(c)のa軸方向の長さ(a)に対する比(c/a)で表される。FeCoV基合金の結晶構造は平衡状態ではbccであるが、歪の導入によって正方晶になることにより一軸磁気異方性を発現する。正方晶歪c/aは1.02を超え1.30以下である。
一の実施形態において、正方晶歪c/aは好ましくは1.05以上であり、より好ましくは1.10以上であり、特に好ましくは1.15以上であり、また好ましくは1.25以下であり、一の実施形態において1.20以下である。正方晶歪c/aが上記範囲内であることにより、一軸磁気異方性を高めることが可能になる。
一の実施形態において、一般式(1)中のzは0である。zが0であるとき、上記一般式(1)は
(Fe1−xCo1−y−z (2)
となる。かかる実施形態において、一般式(1)中のxは好ましくは0.50〜0.70、yは好ましくは0.04〜0.11である。x及びyが上記範囲内であることにより、一軸磁気異方性をさらに高めることが可能になる。
一の実施形態において、一般式(1)中のzは0<z≦0.15を満たす実数である。かかる実施形態において、一般式(1)中のAはC(炭素)、若しくはN(窒素)、又はそれらの組み合わせを表す。このような軽元素を含有するFeCoV基合金によれば、正方晶構造が安定化されるので、一軸磁気異方性をさらに高めることが可能になる。zは好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、また好ましくは0.10以下、より好ましくは0.07以下である。かかる実施形態において、xは好ましくは0.45〜0.70、より好ましくは0.50〜0.70であり、yは好ましくは0.04〜0.11である。x、y、及びzが上記範囲内であることにより、一軸磁気異方性をさらに高めることが可能になる。一般式(1)中のAはCであってもよく、Nであってもよく、CとNとの組み合わせ(すなわちAが一般式C1−pで表され;pは0<p<1を満たす実数である)であってもよい。一の典型的な実施形態において、一般式(1)中のAはC(炭素)である。
本発明のFeCoV基合金系硬質磁性材料によれば、良好な一軸磁気異方性Ku1を発現することが可能である。FeCoV基合金系硬質磁性材料の一軸磁気異方性Ku1は例えば0.75×10erg/cm以上とすることができ、好ましくは1.0×10erg/cm以上、より好ましくは1.5×10erg/cm以上とすることも可能である。
本発明のFeCoV基合金系硬質磁性材料によれば、一軸磁気異方性Ku1だけでなく飽和磁化Mも高めることが可能である。FeCoV基合金系硬質磁性材料の飽和磁化MはV濃度、Co濃度、及び軽元素(一般式(1)中のA)濃度の調整によって、例えば1000emu/cm以上とすることができ、好ましくは1250emu/cm以上、より好ましくは1400emu/cm以上とすることも可能である。
<硬質磁性体膜>
本発明の第2の態様に係るFeCoV基合金系硬質磁性体膜の膜厚は特に制限されるものではないが、例えば100nm以下、好ましくは50nm以下とすることができ、また例えば5nm以上とすることができる。
<永久磁石>
本発明の第3の態様に係る永久磁石(以下において「FeCoV基合金系永久磁石」ということがある。)は、本発明の第1の態様に係るFeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子であって、粒径が1000nm以下である粒子を含むことを特徴とする。FeCoV基合金系永久磁石におけるFeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子の粒径は1000nm以下であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下であり、特に好ましくは30nm以下である。FeCoV基合金系硬質磁性材料粒子の粒径が上記の上限値以下であることにより、良好な保磁力を発現することが可能になる。一方、熱揺らぎ効果を考慮すれば、FeCoV基合金系硬質磁性材料粒子の粒径は好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。本明細書において、FeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子の粒径は、電子顕微鏡像の画像解析により測定される球相当径(画像中に粒子が占める面積と同一の面積を与える球の直径)を意味する。
FeCoV基合金系永久磁石は、粒径が上記1000nm以下であるFeCoV基合金系硬質磁性材料粒子に加えて、粒径が1000nmを超えるFeCoV基合金系硬質磁性材料粒子を含んでもよい。ただし、FeCoV基合金系永久磁石に含まれるFeCoV基合金系硬質磁性材料粒子の全量を基準(100体積%)として、粒径が上記上限値以下であるFeCoV基合金系硬質磁性材料粒子が50体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることが特に好ましく、100体積%であってもよい。
FeCoV基合金系永久磁石は、FeCoV基合金系硬質磁性材料粒子に加えて、粒子同士を結着させるバインダー(結着剤)を含んでもよい。バインダーとしては例えば、加硫性エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の公知のバインダー材料を特に制限なく用いることが可能である。
本発明のFeCoV基合金系永久磁石によれば、良好な保磁力を発現することが可能である。FeCoV基合金系永久磁石の保磁力は、好ましくは10kOe以上であり、より好ましくは20kOe以上であり、保磁力の上限は特に制限されるものではないが、例えば30kOe以下であり得る。
永久磁石から取り出し得るエネルギーは、B−H曲線の第2象限におけるBとHとの積BHの最大値(BH)max(最大エネルギー積)で表される。本発明のFeCoV基合金系硬質磁性材料によれば、一軸磁気異方性Ku1だけでなく飽和磁化Mも高めることができるので、本発明の永久磁石は最大エネルギー積(BH)maxを高めることが可能である。本発明のFeCoV基合金系永久磁石の最大エネルギー積(BH)maxは、60MGOe(470kJ/m)以上、好ましくは75MGOe(600kJ/m)以上とすることが可能である。最大エネルギー積(BH)maxの上限値は特に制限されるものではないが、例えば90MGOe(710kJ/m)以下であり得る。
<FeCoV基合金系硬質磁性材料の製造方法(1)>
図1は、一の実施形態に係るFeCoV基合金系硬質磁性材料の製造方法S100(以下において単に「製造方法S100」ということがある。)を説明するフローチャートである。図2は、製造方法S100の各工程における積層構造を模式的に説明する断面図である。
図1に示すように、製造方法S100は、Rh層成長工程S1と、合金層成長工程S2と、酸化防止層形成工程S3とをこの順に有する。
(Rh層成長工程S1)
Rh層成長工程S1(以下において単に「工程S1」ということがある。)は、酸化マグネシウム単結晶基板10(以下において「MgO基板10」ということがある。)の表面に、ロジウム層20をエピタキシャル成長させる工程である。図2(A)には工程S1前のMgO基板10が表れており、図2(B)には工程S1後の積層構造が表れている。
工程S1において、ロジウム層20を成長させるMgO基板10の結晶面は特に限定されるものではないが、例えばMgO基板10の[100]面にロジウム層20を好ましく成長させることができる。
MgO基板10の表面にロジウム層20をエピタキシャル成長させるにあたっては、スパッタリング等の公知の手法を特に制限なく用いることができる。基板10の表面にスパッタリングによってロジウム層20をエピタキシャル成長させる際の基板10の温度は、例えば100〜400℃とすることができる。
工程S1において成長させるロジウム層20の厚さは、例えば2〜50nmとすることができ、好ましくは5nm以上、また好ましくは25nm以下である。
(合金層成長工程S2)
合金層成長工程S2(以下において単に「工程S2」ということがある。)は、ロジウム層20の表面に、下記一般式(1)で表される組成を有するFeCoV基合金層30(以下において単に「合金層30」ということがある。)をエピタキシャル成長させる工程である。
(Fe1−xCo1−y−z (1)
(一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.7を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数であり;zは0≦z≦0.15を満たす実数であり;0<z≦0.15のとき、AはC、若しくはN、又はそれらの組み合わせを表す。)
FeCoV基合金層30の好ましい組成については上記した通りである。
図2(B)には工程S1後工程S2前の積層構造が表れており、図2(C)には工程S2後の積層構造が表れている。
ロジウム層20の表面に合金層30をエピタキシャル成長させるにあたっては、同時スパッタリング等の公知の手法を特に制限なく用いることができる。ロジウム層20の表面に同時スパッタリングによって合金層30をエピタキシャル成長させる際のMgO基板10の温度は、例えば100〜300℃とすることができる。
工程S2において成長させる合金層30の厚さは、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下である。工程S2において成長させる合金層30の厚さの下限値は特に制限されるものではないが、好ましくは2nm以上、より好ましくは5nm以上である。
(酸化防止層形成工程S3)
酸化防止層形成工程S3(以下において単に「工程S3」ということがある。)は、合金層30の表面に、酸化防止層40を形成する工程である。図2(C)には工程S2後工程S3前の積層構造が表れており、図2(D)には工程S3後の積層構造が表れている。
酸化防止層40としては、例えばSiO、Ru等の、合金層30の酸化を防止することが可能な材料を特に制限なく用いることができる。
酸化防止層40を形成する方法および酸化防止層40の厚さは、合金層30の酸化を防止できる限りにおいて特に制限されるものではないが、例えば酸化防止層40がSiO層である場合には、スパッタリング等の公知の方法を用いることができる。酸化防止層40としてSiO層をスパッタリングによって形成する場合、酸化防止層40の厚さは例えば2〜5nmとすることができる。
酸化防止層40としてSiO層をスパッタリングによって形成する際、基板10を加熱する必要はなく、基板10の温度は例えば室温〜200℃とすることができる。
工程S1〜S3を経ることにより、製造方法S100が終了する。工程S1及びS2を備える製造方法S100によれば、正方晶のFeCoV基合金層30を得ることができ、かつ合金層30に比較的大きな正方晶歪c/aを導入することができるので、合金層30の一軸磁気異方性を高めることが可能になる。FeCoV基合金層30の正方晶歪c/aは好ましくは1.02超であり、より好ましくは1.05以上であり、さらに好ましくは1.10以上であり、特に好ましくは1.15以上であり、また好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.25以下であり、一の実施形態において1.20以下である。
製造方法S100においては、工程S2を経た後、ロジウム層20と合金層30との間で相互拡散を進行させないことが好ましい。かかる観点からは、工程S2を経た後に、合金層30及びロジウム層20を含む積層体に対して熱処理を行わないことが好ましい。
本発明に関する上記説明では、酸化防止層形成工程S3を備え、FeCoV基合金系硬質磁性材料の膜を製造する形態の、FeCoV基合金系硬質磁性材料の製造方法S100を例示したが、FeCoV基合金系硬質磁性材料の製造方法は当該形態に限定されない。
例えば、FeCoV基合金層を成長させた後、該合金層の表面にフォトレジスト層を形成し、エッチングによりフォトレジスト層に被覆されていないFeCoV基合金層(またはFeCoV基合金層およびロジウム層)を除去した後、フォトレジスト層を除去し、その後FeCoV基合金層(またはFeCoV基合金層およびロジウム層)を分離することにより、FeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
また例えば、FeCoV基合金層を成長させた後、電子ビームリソグラフィーによってFeCoV基合金層(またはFeCoV基合金層およびロジウム層)の不要部分を除去し、その後FeCoV基合金層(またはFeCoV基合金層およびロジウム層)を分離することにより、FeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
また例えば、ロジウム層を成長させた後、ロジウム層の表面にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層に被覆されていないロジウム層表面にのみFeCoV基合金層を成長させた後、フォトレジスト層を除去し、その後FeCoV基合金層(またはFeCoV基合金層およびロジウム層)を分離することにより、FeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
また例えば、酸化マグネシウム基板の表面にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層に被覆されていないMgO表面にのみロジウム層および引き続いてFeCoV基合金層を成長させた後、フォトレジスト層を除去し、その後FeCoV基合金層(またはFeCoV基合金層およびロジウム層)を分離することにより、FeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子を製造することも可能である。
FeCoV基合金層(またはFeCoV基合金層およびロジウム層)を分離するにあたっては、例えば機械研磨、Arエッチング、イオンエッチング、集束イオンビーム(FIB)加工、電子ビームリソグラフィー等の公知の微細加工法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
このようにして製造されたFeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子は、上記のFeCoV基合金系永久磁石に用いることができる。例えば、FeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子と、バインダー樹脂と、溶媒とを混合して、得られた混合物を所望の形状に成形した後、溶媒を揮発させることにより、所望の形状を有する永久磁石(ボンド磁石)を製造することが可能である。また例えば、FeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子と、硬化性のバインダー樹脂(例えば熱硬化性樹脂や放射線硬化性樹脂等。)とを混合して、得られた混合物を所望の形状に成形した後、バインダー樹脂を硬化させることによっても、所望の形状を有する永久磁石を製造することが可能である。
なお、永久磁石を製造する観点からは、FeCoV基合金層を必ずしも酸化マグネシウム基板から分離しなくてもよい。例えば、FeCoV基合金層を成長させた後、電子ビームリソグラフィーやフォトリソグラフィー等によってFeCoV基合金層(またはFeCoV基合金層およびロジウム層)の不要部分を除去することにより、酸化マグネシウム基板にFeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子が複数担持された積層体を製造することが可能である。当該積層体は永久磁石としての特性を有する。さらに当該積層体を複数枚積層することによっても、永久磁石を製造することが可能である。隣接する積層体の間に適当な接着剤を介在させてもよい。また積層の前に基板を研磨等により薄くしてもよい。
必要に応じて、永久磁石を磁化させる工程をさらに行ってもよい。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、FeCoV基合金の構造解析はX線回折(XRD)により行った。X線回折にはリガク製RINT2200V、RINT2100Pを用いた。FeCoV基合金の磁気特性の評価は磁気トルクメーター(玉川製作所製TW−WLF10517GR−2010‘99型)、振動試料型磁力計(VSM)(東英工業製VSM5S型―15)、及び極カー効果磁化曲線測定装置(ネオアーク製BH−618PL−AO)を用いた。スパッタリングによるエピタキシャル成長にはスパッタ装置(日本真空製マルチチャンバスパッタ装置)を用いた。マルチチャンバスパッタ装置の室温における到達真空度は5.0×10−7Paであり、装置中のArガス圧は0.1Paとした。
<実施例>
上記説明した製造方法S100により、FeCoV基合金系硬質磁性材料を製造した。酸化マグネシウム単結晶基板(10mm×10mm×厚さ1mm、ケーアンドアール・クリエーション製)の[100]面に、スパッタリングによりロジウム層(厚さ20.0nm)をエピタキシャル成長させた。ロジウム層を成長させる間、MgO基板の温度は300℃に保持した。ロジウム層の成長を終えた後、MgO基板の温度を200℃に変更し、ロジウム層の表面にFeCoV基合金層((Fe1−xCo1−y−z;0.4≦x≦0.7;0<y≦0.15;0≦z≦0.15;厚さ5.0〜50.0nm)をエピタキシャル成長させた。FeCoV基合金層の成長を終えた後、MgO基板の温度を室温に変更し、FeCoV基合金層の表面に酸化防止層としてSiO層(厚さ5.0nm)をスパッタリングにより成長させた。得られたFeCoV基合金層について磁気特性を評価した。
図3は、(Fe1−xCo90、(Fe1−xCo95、及び(Fe1−xCo9010合金薄膜試料(膜厚はいずれも5.0nm)の正方歪c/aと組成との関係を表した図である。図4は、これらの合金薄膜試料の一軸磁気異方性定数Ku1と組成との関係を表した図である。図5は、これらの合金薄膜試料の飽和磁化Mと組成との関係を表した図である。図3〜5から、0.4≦x≦0.7の範囲において良好な正方歪c/a、一軸磁気異方性Ku1、及び飽和磁化Mが得られることが判る。また0.55≦x≦0.7の範囲においては、特に良好な正方歪c/aが得られた。また一般式(1)においてz>0である(Fe1−xCo90合金薄膜試料は、一般式(1)においてz=0である(Fe1−xCo95及び(Fe1−xCo9010合金薄膜試料に対して、より安定して大きな正方歪c/a(図3)、及びより高い一軸磁気異方性定数Ku1(図4)を示した。この結果は、FeCoV基合金が軽元素であるC(炭素)を含むことにより、正方晶構造が安定化されることを示している。
図6は、(Fe0.4Co0.690及び(Fe0.4Co0.69010合金薄膜試料(膜厚5.0〜50nm)について、膜厚と一軸磁気異方性定数Ku1との関係をプロットしたグラフである。上記一般式(1)においてz=0である(Fe0.4Co0.69010合金薄膜においては、膜厚の増加とともに一軸磁気異方性定数Ku1は減少する傾向を示した。その一方で、(Fe0.4Co0.690合金薄膜においては、膜厚が増加しても1MJ/m超の良好な一軸磁気異方性定数が保たれていた。これはFeCoV基合金が軽元素であるC(炭素)を含むことにより正方晶構造が安定化されることに起因する。このような軽元素添加による正方晶構造の安定化は、軽元素がC(炭素)である場合だけでなく、N(窒素)である場合においても観察される。
10 酸化マグネシウム単結晶基板
20 ロジウム層
30 FeCoV基合金層
40 酸化防止層

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される組成を有する正方晶FeCoV基合金であって、
    前記正方晶FeCoV基合金の正方晶歪c/aが1.05以上1.3以下であるFeCoV基合金系硬質磁性材料からなり、
    膜厚が5nm以上であることを特徴とする、硬質磁性体膜
    (Fe1−xCo1−y−z (1)
    (一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.7を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数であり;zは0z≦0.15を満たす実数であり;AはC、若しくはN、又はそれらの組み合わせを表す。)
  2. 前記yが0.04以上0.15以下であり、
    前記zが0.01以上0.15以下である、
    請求項1に記載の硬質磁性体膜。
  3. 前記膜厚が20nm以上である、
    請求項1又は2に記載の硬質磁性体膜。
  4. 下記一般式(1)で表される組成を有する正方晶FeCoV基合金であって、前記正方晶FeCoV基合金の正方晶歪c/aが1.05以上1.3以下であるFeCoV基合金系硬質磁性材料の粒子であって、粒径が1000nm以下である粒子を含む、永久磁石。
    (Fe 1−x Co 1−y−z (1)
    (一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.7を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数であり;zは0<z≦0.15を満たす実数であり;AはC、若しくはN、又はそれらの組み合わせを表す。)
  5. (a)酸化マグネシウム単結晶基板の表面に、ロジウム層をエピタキシャル成長させる工程と、
    (b)前記ロジウム層の表面に、下記一般式(1)で表される組成を有する膜厚5nm以上のFeCoV基合金層をエピタキシャル成長させる工程と
    を含む、FeCoV基合金系硬質磁性体膜の製造方法。
    (Fe1−xCo1−y−z (1)
    (一般式(1)中、xは0.4≦x≦0.7を満たす実数であり;yは0<y≦0.15を満たす実数であり;zは0z≦0.15を満たす実数であり;AはC、若しくはN、又はそれらの組み合わせを表す。)
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