JP4985291B2 - ウェハの加工方法 - Google Patents

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本発明はウェハの加工方法に係り、詳しくは、ウェハを複数個のチップに切断分離する際の加工方法に関するものである。
従来より、レーザ光を用いてウェハ状の加工対象物を個々のチップに切断分離(分断)するダイシング(レーザダイシング)技術の開発が進められている。
例えば、ウェハ状の加工対象物の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、前記加工対象物の内部に多光子吸収による改質領域(クラック領域を含む改質領域、溶融処理領域を含む改質領域、屈折率が変化した領域を含む改質領域)を形成し、この改質領域によって、前記加工対象物の切断予定ラインに沿って前記加工対象物のレーザ光入射面から所定距離内側に、切断の起点となる領域を形成し、その領域を起点とした割断によって加工対象物を切断する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、レーザ光の集光点を加工対象物の内部に合わせて前記加工対象物にレーザ光を照射することにより、前記加工対象物の切断予定ラインに沿って前記加工対象物の内部に改質領域を形成し、かつ、前記加工対象物に照射されるレーザ光の前記加工対象物への入射方向におけるレーザ光の集光点の位置を変えることにより、前記改質領域を前記入射方向に沿って並ぶように複数形成する技術が提案されている(特許文献2参照)。
この特許文献2の技術によれば、改質領域を入射方向に沿って並ぶように複数形成しているため、加工対象物を切断する際に起点となる箇所が増すことから、加工対象物の厚みが大きい場合でも切断が可能になるとしている。
また、基板を含む平板状の加工対象物の一方の面に伸張性のフィルムを装着し、前記加工対象物の他方の面をレーザ光入射面として前記基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより多光子吸収による改質領域(溶融処理領域)を形成し、この改質領域によって、前記加工対象物の切断予定ラインに沿って前記レーザ光入射面から所定距離内側に切断起点領域を形成し、前記フィルムを伸張させることにより、前記切断起点領域を起点として前記加工対象物を複数の部分に、互いに間隔があくように切断する技術が開示されている(特許文献3参照)。
この特許文献3の技術によれば、基板の内部に切断起点領域を形成した後にフィルムを伸張させるため、切断起点領域に引張応力を好適に印加することが可能になり、切断起点領域を起点として基板を比較的小さな力で精度良く割って切断できるとしている。
特許第3408805号公報(第2〜16頁 図1〜図32) 特開2002−205180号公報(第2〜9頁 図1〜図22) 特開2005−1001号公報(第1〜15頁 図1〜図27)
近年、特許文献1〜3に開示されているようなレーザダイシング技術を用い、半導体基板を作成するためのウェハ(半導体ウェハ)の内部に改質領域(改質層)を形成し、その改質領域を切断の起点とした割断により、ウェハを個々のチップ(半導体チップ)に切断分離する試みがなされている。
この技術では、改質領域を切断の起点とした割断時や割断後に、切断面(割断面)からウェハの形成材料の微小片(パーティクル)が剥離し、その微小片の塵埃による発塵が起こるおそれがある。
ウェハの微小片がチップ上に形成された半導体装置に付着すると、半導体装置の動作不良を招くことから、ウェハから切断分離されたチップの歩留まりや品質が低下するという技術的課題がある。
例えば、半導体装置としてモノリシックIC(Integrated Circuit)が形成されている場合には、回路を構成する半導体素子や配線にウェハの微小片が付着すると、その微小片が回路の短絡故障を招くおそれがある。
また、半導体装置としてMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して作製された各種センサ素子(圧電素子や静電容量素子から成る圧力センサ,加速度センサ,超音波センサなど)やマイクロマシンが形成されている場合には、センサ素子やマイクロマシンを構成する可動部材にウェハの微小片が付着すると、その微小片により可動部材の動きが妨げられるため、センサ素子やマイクロマシンの性能低下を招くおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ウェハを複数個のチップに切断分離するとき、当該チップの切断面からウェハの形成材料の微小片が剥離するのを防止可能なウェハの加工方法を提供する。
[課題を解決するための手段]および[発明の効果]に記載する( )内の符号等は、[発明を実施するための最良の形態]に記載する構成部材・構成要素の符号等に対応したものである。
請求項1に記載の発明は、
ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離するとき、または、ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離した後に、当該チップ(12)の切断面(12a)である外周側壁面に対し、ウェハ(10)の形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって固着保持させるウェハ(10)の加工方法であって、
前記ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離し、各チップ(12)間に空隙(Z)を設ける第1工程と、
前記ウェハ(10)の外周全体または外周の一部の箇所に発塵防止液(19)を塗布し、前記各チップ(12)間の空隙(Z)に発塵防止液(19)を浸入させ、前記各チップ(12)の切断面(12a)全体を発塵防止液(19)に浸漬させる第2工程と、
前記発塵防止液(19)を蒸発させ、前記ウェハ(10)の形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって前記各チップ(12)の切断面(12a)に対して固着保持させる第3工程と
を備えたことを技術的特徴とする。
請求項2に記載の発明は、
ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離するとき、または、ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離した後に、当該チップ(12)の切断面(12a)である外周側壁面に対し、ウェハ(10)の形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって固着保持させるウェハ(10)の加工方法であって、
前記ウェハ(10)の外周全体または外周の一部の箇所に発塵防止液(19)を塗布する第1工程と、
前記ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離し、各チップ(12)間に空隙(Z)を形成する際に、その空隙(Z)に前記発塵防止液(19)を浸入させ、前記各チップ(12)の切断面(12a)全体を前記発塵防止液(19)に浸漬させる第2工程と、
前記発塵防止液(19)を蒸発させ、前記ウェハ(10)の形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって前記各チップ(12)の切断面(12a)に対して固着保持させる第3工程と
を備えたことを技術的特徴とする。
請求項3に記載の発明は、
請求項1または請求項2に記載のウェハ(10)の加工方法において、
前記発塵防止液(19)は、水、界面活性剤、溶剤からなるグループから選択されたいずれか1つを含むことを技術的特徴とする。
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェハ(10)の加工方法において、
前記第2工程では、
前記ウェハ(10)の裏面(10a)に貼着されたダイシングフィルム(11)と、そのダイシングフィルム(11)は伸長性および通気性を有することと、
前記ウェハ(10)が載置されるエキスパンド装置のステージ(SG)と、そのステージ(SG)は通気性を有することとを備え、
前記ダイシングフィルム(11)を伸張させて前記各チップ(12)間に空隙(Z)を形成し、前記ステージ(SG)の下側から前記ダイシングフィルム(11)を介して、前記各チップ(12)間の空隙(Z)に対して下方向(矢印γ方向)から吸引力を印加することを技術的特徴とする。
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のウェハ(10)の加工方法において、
前記第2工程では、前記ウェハ(10)を様々な方向に傾けて高低差を生じさせ、前記ウェハ(10)の高い箇所から低い箇所へ前記発塵防止液(19)を垂れ落ちさせることにより、前記各チップ(12)の切断面(12a)全体に前記発塵防止液(19)を行き渡らせることを技術的特徴とする。
請求項6に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のウェハの加工方法において、
前記第2工程では、前記ウェハ(10)を傾け、前記ウェハ(10)の高い箇所から低い箇所へ前記発塵防止液(19)を流下させることにより、前記各チップ(12)の切断面(12a)全体に発塵防止液(19)を行き渡らせ、その後に前記発塵防止液(19)を排出することにより、前記各チップ(12)の切断面(12a)全体を発塵防止液(19)で洗い流すことを技術的特徴とする。
請求項7に記載の発明は、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のウェハ(10)の加工方法において、
前記第2工程では、前記ウェハ(10)に塗布された前記発塵防止液(19)を吸引することにより、前記各チップ(12)の切断面(12a)全体に発塵防止液(19)を行き渡らせることを技術的特徴とする。
請求項8に記載の発明は、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のウェハ(10)の加工方法において、
前記各チップ(12)の切断面(12a)と、前記各チップ(12)の上面に形成されている素子形成領域(10c)との間に段差(12b)が形成されていることを技術的特徴とする。
請求項9に記載の発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のウェハ(10)の加工方法において、
前記各チップ(12)の切断面(12a)と、前記各チップ(12)の上面に形成されている素子形成領域(10c)との間に溝状の凹部(12c)が形成されていることを技術的特徴とする。
請求項10に記載の発明は、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のウェハ(10)の加工方法において、
前記ウェハ(10)の内部へ集光点(P)を合わせてレーザ光(L)(L)を照射することにより、前記ウェハ(10)の切断予定ラインに沿って前記ウェハ(10)の内部に、多光子吸収による少なくとも1層の改質領域(R:Ga〜Gc)を形成し、その改質領域(R:Ga〜Gc)を切断の起点とした割断により、前記ウェハ(10)を切断予定ラインに沿って前記各チップ(12)に切断分離することを技術的特徴とする。
請求項11に記載の発明は、
請求項1〜10のいずれか1項に記載のウェハ(10)の加工方法において、
前記ウェハ(10)は半導体ウェハであることを技術的特徴とする。
請求項1:第1実施形態の第3変形例に該当
請求項1によれば、ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離するとき、または、ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離した後に、当該チップ(12)の切断面(12a)である外周側壁面に対し、ウェハ(10)の形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって固着保持させるため、切断分離時または切断分離後に、チップの切断面からウェハの形成材料の微小片が剥離するのを防止できる。
請求項1では、ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離し、各チップ(12)間に空隙(Z)を設ける第1工程と、ウェハ(10)の外周全体または外周の一部の箇所に発塵防止液(19)を塗布し、各チップ(12)間の空隙(Z)に発塵防止液(19)を浸入させ、各チップ(12)の切断面(12a)全体を発塵防止液(19)に浸漬させる第2工程と、発塵防止液(19)を蒸発させ、ウェハ(10)の形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって各チップ(12)の切断面(12a)に対して固着保持させる第3工程とを備える。
請求項1の第2工程では、毛細管現象により各チップ(12)間の空隙(Z)に発塵防止液(19)が浸入し、空隙(Z)が発塵防止液(19)によって満たされるため、各チップ(12)の切断面(12a)全体が発塵防止液(19)に浸漬される。
このとき、ウェハ(10)の表面(10b)を避け、ウェハ(10)の外周全体または外周の一部の箇所に発塵防止液(19)を塗布しているため、ウェハ(10)の素子形成領域(10c)に発塵防止液(19)が付着するのを防止できる。
そのため、素子形成領域(10c)に可動部材(16)などの半導体装置を形成した場合に、その半導体装置に発塵防止液(19)が付着することがなく、発塵防止液が半導体装置に悪影響を及ぼすのを防止できる。
すなわち、可動部材(16)に発塵防止液(19)が付着すると、可動部材の動作不良(スティッキング不良)を引き起こすおそれがあるが、請求項1によれば、そのような動作不良を防止できる。
また、半導体装置としてモノリシックICが形成されている場合には、モノリシックICを構成する半導体素子や配線に発塵防止液(19)が付着すると、発塵防止液により半導体素子や配線が侵されて動作不良を招くおそれがあるが、請求項1によれば、そのような動作不良を防止できる。
そして、毛細管現象により各チップ(12)間の空隙(Z)に発塵防止液(19)を浸入させる際には、各チップ(12)の切断面(12a)に対する発塵防止液(19)の濡れ性と、発塵防止液(19)の液量とを共に最適化することにより、各チップの切断面全体を発塵防止液に確実に浸漬させた上で、ウェハ(10)の素子形成領域(10c)に発塵防止液が付着するのを防止できる。
すなわち、発塵防止液(19)の濡れ性が高すぎると、各チップ(12)の切断面(12a)に付着した発塵防止液が表面張力により各チップの上面にまで這い上がって不要に拡散し、ウェハ(10)の素子形成領域(10c)に発塵防止液が付着するおそれがある。
反対に、発塵防止液(19)の濡れ性が低すぎると、各チップ(12)の切断面(12a)全体に発塵防止液が十分に付着しないおそれがある。
また、発塵防止液(19)の液量が多すぎると、各チップ(12)間の空隙(Z)から溢れ出した発塵防止液が各チップの上面にまで不要に拡散し、ウェハ(10)の素子形成領域(10c)に発塵防止液が付着するおそれがある。
反対に、発塵防止液(19)の液量が少なすぎると、各チップ(12)の切断面(12a)全体に発塵防止液が十分に付着しないおそれがある。
尚、各チップ(12)間の空隙(Z)の間隔は、発塵防止液(19)の毛細管現象による空隙(Z)への浸入が確実に起こるように、カット・アンド・トライで実験的に最適な間隔に設定すればよい。
請求項1の第3工程では、発塵防止液(19)が蒸発すると、各チップ(12)の切断面(12a)に発塵防止液が残ることはない。しかし、各チップ(12)の切断面(12a)から剥離しかかっているウェハ(10)の形成材料の微小片は、発塵防止液(19)による分子間力(イオン結合、共有結合、双極子結合、ファンデルワールス結合)および静電気力によって各チップの切断面に固着保持されるため、その微小片が各チップの切断面全体から剥離するのを確実に防止できる。
請求項2:第3実施形態の第3変形例に該当>
請求項2では、ウェハ(10)の外周全体または外周の一部の箇所に発塵防止液(19)を塗布する第1工程と、ウェハ(10)を複数個のチップ(12)に切断分離し、各チップ(12)間に空隙(Z)を形成する際に、その空隙(Z)に発塵防止液(19)を浸入させ、各チップ(12)の切断面(12a)全体を発塵防止液(19)に浸漬させる第2工程と、発塵防止液(19)を蒸発させ、ウェハ(10)の形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって各チップ(12)の切断面(12a)に対して固着保持させる第3工程とを備える。
請求項2の第2工程では、各チップ(12)間に空隙(Z)が形成されると、毛細管現象により空隙(Z)に発塵防止液(19)が浸入し、空隙(Z)が発塵防止液(19)によって満たされるため、各チップ(12)の切断面(12a)全体が発塵防止液(19)に浸漬される。
請求項2の第3工程の作用・効果は、請求項1の第3工程の前記作用・効果と同じである。
ところで、請求項1では、ウェハ(10)を各チップ(12)に切断分離するときに、ウェハ(10)の形成材料の微小片が剥離するものの、切断分離後には当該微小片の剥離を防止できる。
それに対して、請求項2では、ウェハ(10)を各チップ(12)に切断分離するときに各チップ(12)の切断面(12a)全体が発塵防止液(19)に浸漬されるため、切断分離後だけでなく、切断分離時にもウェハの形成材料の微小片が剥離するのを防止可能なことから、請求項1よりも更に効果的である。
請求項3
請求項1または請求項2では、請求項3のように、発塵防止液(19)として、水、界面活性剤、溶剤からなるグループから選択されたいずれか1つを含むものが使用できる。
ここで、発塵防止液(19)として水を用いる場合には、分子間力として特に水素の共有結合(水素結合)が強く働く。
ところで、発塵防止液(19)として水を用い、ウェハ(10)の形成材料としてシリコンを用いる場合、シリコンは撥水性を有するため、毛細管現象により各チップ(12)の空隙(Z)に水が浸入するのが撥水性によって阻害されるおそれがある。
そこで、この場合には、水に界面活性剤を添加することにより、各チップ(12)の切断面(12a)に対する発塵防止液(19)の濡れ性を高め、ウェハ(10)の撥水性に抗して毛細管現象により各チップ(12)の空隙(Z)に発塵防止液(19)が浸入するのを促進させることが可能になり、各チップの切断面全体を確実に発塵防止液に浸漬させることができる。
また、ウェハ(10)の裏面(10a)にダイシングフィルム(11)が貼着され、ダイシングフィルム(11)の接着層または粘着層(11b)を形成する接着材料(粘着材料)を溶かさない性質の溶剤を発塵防止液(19)として用いる場合には、溶剤が蒸発すると、各チップ(12)の切断面(12a)に溶剤が残ることはないため、請求項1または請求項2の前記作用・効果が得られる。
そして、ダイシングフィルム(11)の接着層または粘着層(11b)を形成する接着材料(粘着材料)を溶かす性質の溶剤を発塵防止液(19)として用いる場合、溶剤が蒸発すると、接着層または粘着層(11b)の接着材料(粘着材料)が各チップ(12)の切断面(12a)に付着し、その接着材料(粘着材料)から成る薄い被覆膜(20)によって各チップ12の切断面(12a)全体が被覆される。そのため、請求項1または請求項2の前記作用・効果に加え、被覆膜20によって各チップ12の切断面(12a)全体が被覆されることから、更に効果的になる。
尚、発塵防止液(19)として用いる溶剤には、前記作用・効果が得られるならば、どのような材料を用いてもよく、カット・アンド・トライで実験的に最適な材料を選択すればよい。
請求項4:第2実施形態に該当>
請求項4では、請求項1〜3の第2工程にて、ダイシングフィルム(11)を伸張させて各チップ(12)間に空隙(Z)を形成し、ステージ(SG)の下側からダイシングフィルム(11)を介して、各チップ(12)間の空隙(Z)に対して下方向(矢印γ方向)から吸引力を印加する。
すると、ダイシングフィルム(11)を介して発塵防止液(19)に対しても吸引力が印加され、その吸引力と毛細管現象の相乗効果により、各チップ(12)の切断面(12a)全体に発塵防止液(19)が効率的に行き渡る。
そして、各チップ(12)の切断面(12a)全体が発塵防止液(19)に浸された後も、各チップの切断面に対して下方向から吸引力を印加することにより、各チップ(12)間の空隙(Z)に浸入させた発塵防止液をダイシングフィルム(11)を介して排出する。
このとき、各チップ(12)間の空隙(Z)に浸入させた発塵防止液(19)には、各チップ(12)の切断面(12a)から剥離したウェハ(10)の形成材料の微小片が浮遊しているため、発塵防止液と共に微小片も排出され、一旦剥離した微小片が各チップの切断面に付着するのを防止できる。
その後、発塵防止液(19)を蒸発させる際にも、各チップ(12)の切断面(12a)に対して下方向から吸引力を印加することにより、各チップ(12)間の空隙(Z)に空気の流れが生じるため、発塵防止液の蒸発が促進される。
従って、請求項4によれば、請求項1〜3の前記作用・効果を更に高めることができる。
尚、前記吸引力は、前記作用・効果が確実に得られるように、カット・アンド・トライで実験的に最適値を求めて設定すればよい。
請求項5:第1実施形態または第3実施形態の第2変形例の[b]に該当>
請求項5によれば、請求項1〜4の第2工程にて、ウェハ(10)を様々な方向に傾けて高低差を生じさせ、ウェハ(10)の高い箇所から低い箇所へ発塵防止液(19)を垂れ落ちさせることにより、各チップ(12)の切断面(12a)全体に発塵防止液(19)を効率的に行き渡らせることができる。
請求項6:第1実施形態または第3実施形態の第2変形例の[c]に該当>
請求項6によれば、請求項1〜4の第2工程にて、ウェハ(10)を傾け、ウェハ(10)の高い箇所から低い箇所へ発塵防止液(19)を流下させることにより、各チップ(12)の切断面(12a)全体に発塵防止液(19)を効率的に行き渡らせることができる。その後に、各チップ(12)の切断面(12a)全体に行き渡らせた発塵防止液(19)を排出することにより、各チップ(12)の切断面(12a)全体を発塵防止液(19)で洗い流す。
このとき、各チップ(12)間の空隙(Z)に浸入させた発塵防止液(19)には、各チップ(12)の切断面(12a)から剥離したウェハ(10)の形成材料の微小片が浮遊している。そのため、十分な液量の発塵防止液(19)を流下させると共に、ウェハ(10)の低い箇所に流下した発塵防止液を排出し、各チップ(12)の切断面(12a)全体を発塵防止液(19)で洗い流すことにより、発塵防止液と共に微小片を流し出すことが可能になり、一旦剥離した微小片が各チップ(12)の切断面(12a)に付着するのを防止できる。
請求項7:第1実施形態または第3実施形態の第2変形例の[d]に該当>
請求項7によれば、請求項1〜6の第2工程にて、ウェハ(10)に塗布された発塵防止液(19)を吸引することにより、各チップ(12)の切断面(12a)全体に発塵防止液(19)を効率的に行き渡らせることができる。
このとき、各チップ(12)間の空隙(Z)に浸入させた発塵防止液(19)には、各チップ(12)の切断面(12a)から剥離したウェハ(10)の形成材料の微小片が浮遊しているため、発塵防止液と共に微小片も吸引され、一旦剥離した微小片が各チップ(12)の切断面(12a)に付着するのを防止できる。
請求項8:第4実施形態に該当>
請求項8では、各チップ(12)の切断面(12a)と、各チップ(12)の上面に形成されている素子形成領域(10c)との間に段差(12b)が形成されている。
そのため、各チップ(12)の切断面(12a)が発塵防止液(19)に浸漬される際に、各チップの切断面に付着した発塵防止液が表面張力により各チップの上面に向けて這い上がったとしても、その這い上がった発塵防止液は各チップの段差(12b)によって留められる。
従って、請求項8において、各チップ(12)の段差(12b)の寸法形状を、各チップ(12)の切断面(12a)に対する発塵防止液(19)の濡れ性に合わせて適宜設定しておけば、発塵防止液を各チップの段差によって確実に留め、発塵防止液がそれ以上に這い上がるのを阻止することが可能になるため、ウェハ(10)の素子形成領域(10c)に発塵防止液が付着するのを防止できる。
請求項9:第5実施形態または第6実施形態に該当>
請求項9では、各チップ(12)の切断面(12a)と、各チップ(12)の上面に形成されている素子形成領域(10c)との間に溝状の凹部(12c)が形成されている。
そのため、各チップ(12)の切断面(12a)が発塵防止液(19)に浸漬される際に、各チップの切断面に付着した発塵防止液が表面張力により各チップの上面に向けて這い上がったとしても、その這い上がった発塵防止液は各チップの凹部(12c)に流れ込んで留められる。
従って、請求項9において、各チップ(12)の凹部(12c)の寸法形状を、各チップ(12)の切断面(12a)に対する発塵防止液(19)の濡れ性に合わせて適宜設定しておけば、発塵防止液を各チップの凹部に収容して確実に留め、発塵防止液が各チップの上面に不要に拡がるのを阻止することが可能になるため、ウェハ(10)の素子形成領域(10c)に発塵防止液が付着するのを防止できる。
請求項10
レーザダイシング技術によってウェハ(10)から切断分離された各チップ(12)の切断面(12a)には、改質領域(R:Ga〜Gc)が露出しているが、改質領域はウェハが溶融後に再固化したものであるため極めて脆く崩れ易くなっていることから、当該切断面のうちでも特に改質領域からウェハの形成材料の微小片が剥離するおそれがある。
請求項10によれば、請求項1〜9の前記作用・効果により、改質領域(R:Ga〜Gc)を含めた各チップ(12)の切断面(12a)全体からウェハ(10)の形成材料の微小片が剥離するのを確実に防止できる。
請求項11
請求項11によれば、半導体ウェハ(10)から切断分離された半導体チップ(12)について、そのチップの切断面(12a)からウェハの形成材料の微小片が剥離するのを防止できる。そのため、半導体ウェハ(10)の微小片が当該ウェハ(チップ)の表面における素子形成領域(10c)に形成された半導体装置に付着するのを防止可能になり、半導体チップ(12)の歩留まりや品質を向上させることができる。
例えば、半導体装置としてMEMS技術を利用して作製された各種センサ素子(圧電素子や静電容量素子から成る圧力センサ,加速度センサ,超音波センサなど)やマイクロマシンが形成されている場合には、センサ素子やマイクロマシンを構成する可動部材(16)にウェハ(10)の微小片が付着すると、その微小片により可動部材の動きが妨げられるため、センサ素子やマイクロマシンの性能低下を招くおそれがあるが、請求項11の発明によれば、そのような性能低下を防止できる。
また、半導体装置としてモノリシックICが形成されている場合には、回路を構成する半導体素子や配線にウェハの微小片が付着すると、その微小片が回路の短絡故障を招くおそれがあるが、請求項11の発明によれば、そのような故障を防止できる。
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略してある。
<第1実施形態>
図1および図2は、第1実施形態においてウェハ10にレーザ光を照射して改質領域を形成する様子を説明するための説明図であり、図1(A)はウェハ10の一部平面図を表し、図1(B)および図2はウェハ10の一部縦断面を模式的に表したものである。
尚、図1(B)は、図1(A)に示すX−X線断面図である。
また、図2は、図1(A)に示す切断予定ラインKに相当するY−Y線断面図である。
単結晶シリコンなどから成る半導体ウェハ10の裏面10aには、ダイシングフィルム(ダイシングシート、ダイシングテープ、エキスパンドテープ)11が貼着されている。
ダイシングフィルム11は、基材11aおよび接着層(粘着層)11bから形成されており、ウェハ10の裏面10a側全面に対して接着層11bによって接着されている。
基材11aは、加熱により伸張するか又は伸張方向に力を加えることにより伸張する伸張性を有したプラスチック製フィルムによって形成されている。
接着層(粘着層)11bは、基材11aの表面側全面に塗布された接着材料または粘着材料によって形成されている。
ウェハ10の表面10bには、半導体装置(図示略)が形成された素子形成領域10cが設けられている。尚、半導体装置としては、例えば、モノリシックIC、各種半導体素子、MEMS技術を利用して作製された各種センサ素子やマイクロマシンなどがある。
レーザ加工装置(図示略)は、レーザ光Lを出射するレーザ光源(図示略)と、集光レンズCVとを備えており、レーザ光Lの光軸OAをウェハ10の表面10bに対して垂直にした状態で、レーザ光Lを集光レンズCVを介してウェハ10の表面(レーザ光Lの入射面)10bへ照射させ、ウェハ10の内部における所定位置にレーザ光Lを集光させた集光点(焦点)Pを合わせる。その結果、ウェハ10の内部における集光点Pの箇所に改質領域(改質層)Rが形成される。
尚、レーザ光Lには、例えば、YAG(Yttrium Aluminium Garnet)レーザで1064nmの赤外光領域の波長のレーザ光を用いればよい。
ここで、改質領域Rは、レーザ光Lの照射によって発生した主に多光子吸収による溶融処理領域を含むものである。
すなわち、ウェハ10の内部における集光点Pの箇所は、レーザ光Lの多光子吸収によって局所的に加熱され、その加熱により一旦溶融した後に再固化する。このように、ウェハ10の内部にて溶融後に再固化した領域が改質領域Rとなる。
つまり、溶融処理領域とは、相変化した領域や結晶構造が変化した領域である。言い換えれば、溶融処理領域とは、ウェハ10の内部にて、単結晶シリコンが非晶質シリコンに変化した領域、単結晶シリコンが多結晶シリコンに変化した領域、単結晶シリコンが非晶質シリコンおよび多結晶シリコンを含む構造に変化した領域のいずれかの領域である。尚、ウェハ10は、バルクシリコンウェハであるため、溶融処理領域は主に多結晶シリコンから成る。
ちなみに、溶融処理領域は、レーザ光Lがウェハ10の内部で吸収されること(つまり、通常のレーザ光による加熱)によって形成されたものではなく、主に多光子吸収によって形成される。
そのため、ウェハ10の内部における集光点Pの箇所以外にはレーザ光Lがほとんど吸収されず、ウェハ10の表面10bが溶融したり変質することはない。
そして、レーザ加工装置は、ウェハ10の内部における集光点Pの深さ位置を一定にした状態で、レーザ光Lをパルス状に照射しながら走査することにより、ウェハ10における直線状の切断予定ライン(割断線)Kに沿って、図示矢印α方向に集光点Pを移動させる。
ところで、レーザ加工装置がレーザ光Lを走査するのではなく、レーザ加工装置によるレーザ光Lの照射位置を一定にした状態で、ウェハ10が載置保持された載置台(図示略)をレーザ光Lの照射方向(ウェハ10の表面10bに対するレーザ光Lの入射方向)と直交する方向に移動させてもよい。
すなわち、レーザ光Lの走査またはウェハ10の移動により、ウェハ10の切断予定ラインKに沿いながら、ウェハ10に対して集光点Pを相対的に移動させればよい。
このように、ウェハ10の内部における集光点Pの深さ位置を一定にした状態で、レーザ光Lをパルス状に照射しながら、ウェハ10に対して集光点Pを相対的に移動させることにより、ウェハ10の表面10bから一定深さ位置にて(つまり、レーザ光Lの入射面から一定距離内側の位置にて)、ウェハ10の表裏面10b,10aに対して水平方向に一定の間隔をあけた複数個の改質領域Rから成る各層の改質領域群Ga〜Gcが形成されてゆく。
尚、ウェハ10の内部における集光点Pの深さは、ウェハ10の表面(レーザ光Lの入射面)10bから集光点Pまでの距離である。
そして、レーザ加工装置は、ウェハ10の内部における集光点Pの深さ位置を段階的に変えることにより、ウェハ10の切断予定ラインKに沿うと共に、ウェハ10の表面10bから深さ方向(ウェハ10の厚さ方向、ウェハ10の断面方向、ウェハ10の表裏面10b,10aに対して垂直方向)に離間または隣接または重複して配置された複数層の改質領域群Ga〜Gcを順次形成する。
言い換えれば、ウェハ10に照射されるレーザ光Lのウェハ10への入射方向(ウェハ10の深さ方向)におけるレーザ光Lの集光点Pの位置(深さ位置)を複数段階に変えることにより、複数層の改質領域群Ga〜Gcを構成する改質領域Rを前記入射方向に沿って離間または隣接または重複させた状態で並ぶように複数形成する。
例えば、まず、集光点Pの深さ位置をウェハ10の裏面10a近傍に設定した状態で集光点Pを相対的に移動させることにより1層目(最下層)の改質領域群Gaを形成し、次に、集光点Pの深さ位置をウェハ10の表裏面10b,10bの略中間に設定した状態で集光点Pを相対的に移動させることにより2層目(中間層)の改質領域群Gbを形成し、続いて、集光点Pの深さ位置をウェハ10の表面10b近傍に設定した状態で集光点Pを相対的に移動させることにより3層目(最上層)の改質領域群Gcを形成する。
ところで、図1および図2に示す例では、3層の改質領域群Ga〜Gcを設けているが、改質領域群の層数についてはウェハ10の板厚に応じて適宜設定すればよく、2層以下または4層以上の改質領域群を設けるようにしてもよい。
ここで、複数層の改質領域群Ga〜Gcは、レーザ光Lが入射するウェハ10の表面(レーザ光Lの入射面)10bに対して遠い方から順番に(前記のように、Ga→Gb→Gcの順番で)形成することが好ましい。
例えば、レーザ光Lが入射するウェハ10の表面10bに対して近い位置の改質領域群Gcを先に形成し、その後にレーザ光Lが入射するウェハ10の表面10bに対して遠い位置の改質領域群Gaを形成した場合には、改質領域群Gaの形成時に照射されたレーザ光Lが先に形成された改質領域群Gcによって散乱されるため、改質領域群Gaを構成する各改質領域Rの寸法にバラツキが生じ、改質領域群Gaを均一に形成することができない。
しかし、レーザ光Lが入射するウェハ10の表面(レーザ光Lの入射面)10bに対して遠い方から順番に改質領域群Ga〜Gcを形成すれば、当該入射面10bと集光点Pとの間に改質領域Rがない状態で新たな改質領域Rを形成可能なため、既に形成されている改質領域Rによってレーザ光Lが散乱されず、複数層の改質領域群Ga〜Gcをそれぞれ均一に形成することができる。
尚、複数層の改質領域群Ga〜Gcを、レーザ光Lが入射するウェハ10の表面10bに対して近い方から順番に(Gc→Gb→Gaの順番で)形成したり、順番をランダムに設定して形成しても、ある程度均一な改質領域群を得られる場合があるため、改質領域群を形成する順番については、実際に形成される改質領域群を実験的に確かめて適宜設定すればよい。
ところで、ウェハ10の内部における集光点Pの深さ位置を変えて複数層の改質領域群Ga〜Gcを形成するには、以下の方法がある。
[ア]レーザ光Lを出射するレーザ光源と集光レンズCVから構成されたヘッド(レーザヘッド)を、ウェハ10の表裏面10b,10aに対して垂直方向に上下動させる方法。
[イ]ウェハ10が載置保持された載置台を、ウェハ10の表裏面10b,10aに対して垂直方向に上下動させる方法。
[ウ]前記[ア][イ]を組み合わせ、ヘッドおよび載置台の両方を相互に逆方向に上下動させる方法。この方法によれば、複数層の改質領域群Ga〜Gcを形成するのに要する時間を前記[ア][イ]の方法よりも短縮できる。
図3および図4は、第1実施形態においてウェハ10を切断分離する様子を説明するための説明図であり、図3はウェハ10の縦断面を模式的に表し、図4はウェハ10の平面図を表したものである。
尚、図3は、図4に示すX−X線断面図である。
また、図4では、可動部材16の図示を省略してある。
薄板略円板状のウェハ10には、同一構成の多数個の半導体チップ12が略碁盤目状に整列配置されており、矩形薄板状の各チップ12間には切断予定ラインKが配置されている。つまり、ウェハ10の表面10bには複数本の切断予定ラインKが格子状に配置されている。
貼り合わせSOI(Silicon On Insulator)構造のウェハ10は、単結晶シリコンから成る基板Si層13、埋込酸化(BOX:Buried OXide )層14、単結晶シリコンから成るSOI層15が下方から上方に向けてこの順番で積層されて形成され、絶縁層である埋込酸化層14の上にSOI層15が形成されたSOI構造を成している。
ここで、貼り合わせSOI構造のウェハ10は、例えば、貼り合わせる面(鏡面)を熱酸化して酸化膜を形成した2枚のウェハ同士を、その酸化膜を介して張り合わせた後、片側のウェハを所望の厚さになるように研削することで得られ、研磨したウェハがSOI層15になり、研磨していないウェハが基板Si層13になり、前記酸化膜が埋込酸化層14になる。
各チップ12において、ウェハ10の表面10b(各チップ12の上面)における素子形成領域10cには、可動部材16が形成されている。可動部材16は、MEMS技術を利用して作製された各種センサ素子(圧電素子や静電容量素子から成る圧力センサ,加速度センサ,超音波センサなど)やマイクロマシンを構成する。
尚、可動部材16は、高濃度に不純物が拡散されたSOI層15によって形成されている。
可動部材16を形成するSOI層15の周囲にはトレンチが形成され、そのトレンチによって可動部材16を構成する各部分は可動可能に独立されている。
図1および図2に示したようにウェハ10の内部に複数層の改質領域群Ga〜Gcを形成した後に、図3(A)および図4に示すように、円形のダイシングフィルム11の外周部分を、略円環状のダイシングフレーム17に貼着固定する。
次に、図3(B)に示すように、ウェハ10の表面10bを上向きにしてウェハ10を水平に配置した状態で、ダイシングフレーム17をエキスパンド装置(図示略)にセットする。
そして、ダイシングフレーム17の位置を保持した状態で、エキスパンド装置のステージSGを上昇させ、ステージSGの平坦な上面によりダイシングフィルム11の裏面側を押し上げ、ダイシングフィルム11を切断予定ラインKに対して水平方向(矢印β,β’方向)に伸張させることにより、各改質領域群Ga〜Gcに引張応力を印加する。
すると、ウェハ10の内部に剪断応力が発生し、まず、ダイシングフィルム11に最も近い最下層の改質領域群Gaを起点としてウェハ10の深さ方向に亀裂(割れ)が発生し、次に、中間層の改質領域群Gbを起点としてウェハ10の深さ方向に亀裂が発生し、続いて、最上層の改質領域群Gcを起点としてウェハ10の深さ方向に亀裂が発生し、各改質領域群Ga〜Gcを起点とする亀裂が成長して繋がり、その成長した亀裂がウェハ10の表裏面10b,10aに到達することにより、ウェハ10が切断分離される。
ここで、各改質領域群Ga〜Gcは切断予定ラインKに沿って形成されているため、ダイシングフィルム11を伸張させて各改質領域群Ga〜Gcに引張応力を好適に印加させることで、複数層の改質領域群Ga〜Gcを構成する各改質領域Rを切断の起点とした割断により、ウェハ10に不要な割れを生じさせることなく、ウェハ10を比較的小さな力で精度良く切断分離することができる。
そして、各チップ12はウェハ10上に略碁盤目状に整列配置され、切断予定ラインKは各チップ12間に配置され、各改質領域群Ga〜Gcは各切断予定ラインK毎に形成されているため、ダイシングフィルム11を伸張させることにより、ウェハ10を各切断予定ラインKに沿って個々のチップ12に切断分離することができる。
図5〜図7は、第1実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するための説明図であり、図5および図6はウェハ10の縦断面を模式的に表し、図7はウェハ10の平面図を表したものである。
尚、図5および図6は、図7に示すX−X線断面図である。
また、図7では、可動部材16の図示を省略してある。
図3(B)に示したようにウェハ10から各チップ12を切断分離した後に、まず、図5(A)に示すように、ダイシングフィルム11の外周部分を、略円環状のダイシングフレーム18に貼着固定する。
ここで、ダイシングフレーム18の外形寸法は、図3に示したダイシングフレーム17よりも一回り小さく設定されているため、ウェハ10から切断分離された各チップ12間に所定間隔の空隙(隙間)Zが設けられた状態で各チップ12の位置が保持される。
次に、図5(B)および図7に示すように、各チップ12が切断分離されたウェハ10の表面10bを上向きにしてウェハ10を水平に配置した状態で、ウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布する。
尚、発塵防止液19には、溶剤蒸発硬化性(溶剤乾燥硬化性)を有する液状接着剤を用いる。
すると、ウェハ10の外周全体に塗布された発塵防止液19が、毛細管現象により各チップ12間の空隙Zに浸入し、空隙Zが発塵防止液19によって満たされ、各チップ12の切断面(割断面)12a全体が発塵防止液19に浸される。
尚、各チップ12の切断面12aとは、ウェハ10から切断分離された各チップ12の外周側壁面である。
ここで、ウェハ10の表面10bにおいて、特に素子形成領域10cに形成された可動部材16には発塵防止液19が付着しないようにする。
その後、図6に示すように、発塵防止液19に含まれる溶剤(溶媒)が蒸発すると、発塵防止液19に含まれる接着材料が硬化して各チップ12の切断面12aに付着し、その硬化した接着材料から成る薄い被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体が被覆(コーティング)される。
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
[1−1]第1実施形態では、ウェハ10を各チップ12に切断分離した後に、ウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布して各チップ12の切断面12a全体を発塵防止液19に浸漬し、発塵防止液19を溶剤蒸発により硬化させて形成した被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体を被覆する。
ところで、各チップ12の切断面12aには、複数層の改質領域群Ga〜Gcを構成する多数の改質領域Rが露出しているが、改質領域Rはウェハ10が溶融後に再固化したものであるため極めて脆く崩れ易くなっていることから、切断面12aのうちでも特に改質領域Rからウェハ10の形成材料の微小片が剥離するおそれがある。
しかし、第1実施形態では、被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体を被覆するため、ウェハ10の切断分離後(割断後)に、改質領域Rを含めた各チップ12の切断面12a全体からウェハ10の形成材料の微小片が剥離するのを確実に防止できる。
従って、第1実施形態によれば、ウェハ10の微小片が各チップ12の素子形成領域10cに形成された可動部材16に付着するのを防止可能になり、各チップ12の歩留まりや品質を向上させることができる。
すなわち、センサ素子やマイクロマシンを構成する可動部材16にウェハ10の微小片が付着すると、その微小片により可動部材16の動きが妨げられるため、センサ素子やマイクロマシンの性能低下を招くおそれがあるが、第1実施形態によれば、そのような性能低下を防止できる。
また、各チップ12の素子形成領域10cに半導体装置としてモノリシックICが形成されている場合にも、各チップ12の歩留まりや品質を向上させることができる。
すなわち、モノリシックICを構成する半導体素子や配線にウェハ10の微小片が付着すると、その微小片が回路の短絡故障を招くおそれがあるが、第1実施形態によれば、そのような故障を防止できる。
[1−2]第1実施形態では、ウェハ10に発塵防止液19を塗布する際および毛細管現象により各チップ12間の空隙Zに発塵防止液19を浸入させる際に、ウェハ10の表面10bにおいて特に素子形成領域10cには発塵防止液19が付着しないようにしている。
そのため、発塵防止液19が素子形成領域10cに形成された可動部材16などの半導体装置に付着することがなく、発塵防止液19が半導体装置に悪影響を及ぼすのを防止できる。
すなわち、可動部材16に発塵防止液19が付着すると、発塵防止液19に含まれる接着材料により可動部材16が接着されて可動が阻害されるという動作不良(スティッキング不良)を引き起こすおそれがあるが、第1実施形態によれば、そのような動作不良を防止できる。
また、半導体装置としてモノリシックICが形成されている場合には、モノリシックICを構成する半導体素子や配線に発塵防止液19が付着すると、発塵防止液19に含まれる溶剤や接着材料により半導体素子や配線が侵されて動作不良を招くおそれがあるが、第1実施形態によれば、そのような動作不良を防止できる。
尚、ウェハ10に発塵防止液19を塗布する際には、ウェハ10の表面10bを避けてウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布することにより、ウェハ10の素子形成領域10cに発塵防止液19が付着するのを防止できる。
但し、ウェハ10の素子形成領域10cに発塵防止液19が付着するのを防止可能であるならば、ウェハ10の外周に限らず、ウェハ10の中央部に発塵防止液19を塗布してもよい。
そして、毛細管現象により各チップ12間の空隙Zに発塵防止液19を浸入させる際には、各チップ12の切断面12aに対する発塵防止液19の濡れ性と、発塵防止液19の液量とを共に最適化することにより、各チップ12の切断面12a全体を被覆膜20が確実に被覆可能にした上で、ウェハ10の素子形成領域10cに発塵防止液19が付着するのを防止できる。
すなわち、発塵防止液19の濡れ性が高すぎると、各チップ12の切断面12aに付着した発塵防止液19が表面張力により各チップ12の上面にまで這い上がって不要に拡散し、ウェハ10の素子形成領域10cに発塵防止液19が付着するおそれがある。
反対に、発塵防止液19の濡れ性が低すぎると、各チップ12の切断面12a全体に発塵防止液19が十分に付着せず、各チップ12の切断面12a全体を被覆膜20が確実に被覆できなくなるおそれがある。
また、発塵防止液19の液量が多すぎると、各チップ12間の空隙Zから溢れ出した発塵防止液19が各チップ12の上面にまで不要に拡散し、ウェハ10の素子形成領域10cに発塵防止液19が付着するおそれがある。
反対に、発塵防止液19の液量が少なすぎると、各チップ12の切断面12a全体に発塵防止液19が十分に付着せず、各チップ12の切断面12a全体を被覆膜20が確実に被覆できなくなるおそれがある。
[1−3]各チップ12間の空隙Zの間隔は、発塵防止液19の毛細管現象による空隙Zへの浸入が確実に起こるように、カット・アンド・トライで実験的に最適な間隔に設定すればよい。
[1−4]第1実施形態の発塵防止液19を構成する溶剤および接着材料には、溶剤蒸発硬化性を有するものであれば、どのような材料を用いてもよく、前記作用・効果が確実に得られるように、カット・アンド・トライで実験的に最適な材料を選択すればよい。
[第1実施形態の変形例]
第1実施形態は、以下のように変形(変更)して具体化してもよく、その場合でも、前記[1−1]〜[1−4]と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
<第1変形例>
第1実施形態の発塵防止液19として、溶剤蒸発性(溶剤乾燥性)を有する液状粘着剤を用いる。
その場合は、発塵防止液19に含まれる溶剤が蒸発すると、発塵防止液19に含まれる粘着材料の粘度が増大して各チップ12の切断面12aに付着し、その粘度が増大した粘着材料によって各チップ12の切断面12a全体が被覆されるため、ウェハ10の形成材料の微小片が剥離するのを確実に防止できる。
<第2変形例>
第1実施形態では、各チップ12が切断分離されたウェハ10の表面10bを上向きにしてウェハ10を水平に配置した状態で、ウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布している。しかし、発塵防止液19の毛細管現象による空隙Zへの浸入を確実に起こすことが可能であるならば、以下のようにしてもよい。
[a]ウェハ10を水平に配置した状態で、ウェハ10の外周の一部の箇所だけに発塵防止液19を塗布し、その発塵防止液19を塗布した箇所から各チップ12の切断面12a全体に毛細管現象だけを利用して発塵防止液19を行き渡らせる。
[b]ウェハ10を水平に配置した状態でウェハ10の外周の一部の箇所だけに発塵防止液19を塗布した後に、ウェハ10を様々な方向に適宜な角度で傾けて高低差を生じさせ、ウェハ10の高い箇所から低い箇所へ発塵防止液19を垂れ落ちさせることにより、各チップ12の切断面12a全体に発塵防止液19を効率的に行き渡らせる。
[c]ウェハ10を傾けて配置した状態で、ウェハ10の外周における高い一部の箇所だけに発塵防止液19を塗布し、ウェハ10の高い箇所から低い箇所へ発塵防止液19を流下させることにより、その流下と毛細管現象の相乗効果を利用し、各チップ12の切断面12a全体に発塵防止液19を効率的に行き渡らせる。その後に、各チップ12の切断面12a全体に行き渡らせた発塵防止液19を排出することにより、各チップ12の切断面12a全体を発塵防止液19で洗い流す。
このとき、各チップ12間の空隙Zに満たされた発塵防止液19には、各チップ12の切断面12aから剥離したウェハ10の形成材料の微小片が浮遊している。そのため、十分な液量の発塵防止液19を流下させると共に、ウェハ10の低い箇所に流下した発塵防止液19を排出し、各チップ12の切断面12a全体を発塵防止液19で洗い流すことにより、発塵防止液19と共に微小片を流し出すことが可能になり、一旦剥離した微小片が各チップ12の切断面12aに付着するのを防止できる。
[d]ウェハ10を水平に配置した状態で、ウェハ10の外周の一部の箇所だけに発塵防止液19を塗布した後に、ウェハ10の外周の適宜な箇所に吸引ポンプのノズル(図示略)を近づけて発塵防止液19を吸引することにより、その吸引力と毛細管現象の相乗効果を利用し、各チップ12の切断面12a全体に発塵防止液19を効率的に行き渡らせる。
このとき、各チップ12間の空隙Zに満たされた発塵防止液19には、各チップ12の切断面12aから剥離したウェハ10の形成材料の微小片が浮遊しているため、発塵防止液19と共に微小片も吸引され、一旦剥離した微小片が各チップ12の切断面12aに付着するのを防止できる。
[e]前記[b][c]と前記[d]を併用する。
<第3変形例>
第1実施形態では、発塵防止液19として溶剤蒸発硬化性を有する液状接着剤を用いている。しかし、発塵防止液19として以下の液体を用いてもよい。
[f]発塵防止液19として水を用いる場合、ウェハ10の外周全体に塗布された水が毛細管現象により各チップ12間の空隙Zに浸入し、空隙Zが水によって満たされ、各チップ12の切断面12a全体が水に浸漬される。
その後、水が蒸発すると、各チップ12の切断面12aに水が残ることはない。しかし、改質領域Rを含めた各チップ12の切断面12aから剥離しかかっているウェハ10の形成材料の微小片は、水による分子間力(イオン結合、共有結合、双極子結合、ファンデルワールス結合)および静電気力によって各チップ12の切断面12aに固着保持されるため、その微小片が各チップ12の切断面12a全体から剥離するのを確実に防止できる。
尚、発塵防止液19として水を用いる場合には、分子間力として特に水素の共有結合(水素結合)が強く働く。
[g]発塵防止液19として水を用いる場合、ウェハ10の形成材料である単結晶シリコンは撥水性を有するため、毛細管現象により各チップ12の空隙Zに水が浸入するのが撥水性によって阻害されるおそれがある。
そこで、発塵防止液19として水を用いる場合には、水に界面活性剤を添加することにより、各チップ12の切断面12aに対する発塵防止液19の濡れ性を高め、ウェハ10の撥水性に抗して毛細管現象により各チップ12の空隙Zに発塵防止液19が浸入するのを促進させることが可能になり、各チップ12の切断面12a全体を確実に発塵防止液19に浸漬させることができる。
[h]発塵防止液19として適宜な溶剤(有機溶剤、無機溶剤)を用いる場合、ウェハ10の外周全体に塗布された溶剤が毛細管現象により各チップ12間の空隙Zに浸入し、空隙Zが溶剤によって満たされ、各チップ12の切断面12a全体が溶剤に浸漬される。
このとき、ダイシングフィルム11の接着層(粘着層)11bを形成する接着材料(粘着材料)を溶かさない性質の溶剤を発塵防止液19として用いる場合、溶剤が蒸発すると、各チップ12の切断面12aに溶剤が残ることはない。
しかし、改質領域Rを含めた各チップ12の切断面12aから剥離しかかっているウェハ10の形成材料の微小片は、溶剤による分子間力および静電気力によって各チップ12の切断面12aに固着保持されるため、その微小片が各チップ12の切断面12a全体から剥離するのを確実に防止できる。
また、ダイシングフィルム11の接着層(粘着層)11bを形成する接着材料(粘着材料)を溶かす性質の溶剤を発塵防止液19として用いる場合、溶剤が蒸発すると、接着層(粘着層)11bの接着材料(粘着材料)が各チップ12の切断面12aに付着し、その接着材料(粘着材料)から成る薄い被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体が被覆される。そのため、溶剤による分子間力および静電気力によってウェハ10の形成材料の微小片が固着保持される作用・効果に加え、前記[1−1]と同様の作用・効果が得られることから、更に効果的である。
ここで、ダイシングフィルム11の接着層(粘着層)11bを形成する接着材料(粘着材料)には、前記作用・効果が得られるならば、どのような材料を用いてもよく、カット・アンド・トライで実験的に最適な材料を選択すればよい。
尚、発塵防止液19として用いる溶剤には、前記作用・効果が得られるならば、どのような材料を用いてもよく、カット・アンド・トライで実験的に最適な材料を選択すればよい。
例えば、有機溶剤には、アルコール、アセトン、ヘキサンなどがあり、無機溶剤には二硫化炭素などがある。
また、発塵防止液19として、水、界面活性剤、各種溶剤を適宜混合したものを用いてもよい。
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図であり、図7に示すX−X線断面図である。
第2実施形態において、第1実施形態と異なるのは以下の点だけである。
[2−1]ダイシングフィルム11を構成する基材11aおよび接着層11bは、厚み方向に多数の微細孔が貫通形成されて通気性を有する。
[2−2]ダイシングフレーム18に貼着固定されたダイシングフィルム11およびウェハ10を略円環状の吸引台21に載置保持し、各チップ12が切断分離されたウェハ10の表面10bを上向きにしてウェハ10を水平に配置する。
[2−3]図8(A)に示すように、ウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布し、各チップ12間の空隙Zに発塵防止液19を毛細管現象により浸入させることにより、各チップ12間の空隙Zを発塵防止液19によって満たし、各チップ12の切断面12a全体を発塵防止液19に浸漬させる。
このとき、吸引ポンプ(図示略)を用い、吸引台21の下側からダイシングフィルム11を介して、各チップ12間の空隙Zに対して垂直下方向(図示矢印γ方向)から吸引力を印加する。
すると、ダイシングフィルム11に貫通形成されている微細孔を介して発塵防止液19に対しても吸引力が印加され、その吸引力と毛細管現象の相乗効果により、各チップ12の切断面12a全体に発塵防止液19が効率的に行き渡る。
そして、各チップ12の切断面12a全体が発塵防止液19に浸された後も、各チップ12の切断面12aに対して垂直下方向から吸引力を印加することにより、各チップ12間の空隙Zに満たされた発塵防止液19をダイシングフィルム11に貫通形成されている微細孔を介して排出する。
このとき、各チップ12間の空隙Zに満たされた発塵防止液19には、各チップ12の切断面12aから剥離したウェハ10の形成材料の微小片が浮遊しているため、発塵防止液19と共に微小片も排出され、一旦剥離した微小片が各チップ12の切断面12aに付着するのを防止できる。
その後、図8(B)に示すように、発塵防止液19に含まれる溶剤が蒸発して硬化し、発塵防止液19に含まれる接着材料から成る薄い被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体が被覆される。
このとき、各チップ12の切断面12aに対して垂直下方向から吸引力を印加することにより、各チップ12間の空隙Zに空気の流れが生じるため、発塵防止液19に含まれる溶剤の蒸発が促進される。
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態の作用・効果を更に高めることができる。
尚、前記吸引力は、前記作用・効果が確実に得られるように、カット・アンド・トライで実験的に最適値を求めて設定すればよい。
ところで、吸引台21は、略円環状に限らず、通気性を有する構造であればどのような構造でもよく、例えば、格子状、網状、厚み方向に多数の微細孔が貫通形成された構造、全体が多孔質材料によって形成された構造などにしてもよい。
<第3実施形態>
図9〜図11は、第3実施形態においてウェハ10を切断分離する様子を説明するための説明図であり、図9および図11はウェハ10の縦断面を模式的に表し、図10はウェハ10の平面図を表したものである。
尚、図9および図11は、図10に示すX−X線断面図である。
また、図10では、可動部材16の図示を省略してある。
図1および図2に示したようにウェハ10の内部に複数層の改質領域群Ga〜Gcを形成した後に、図9(A)および図10に示すように、円形のダイシングフィルム11の外周部分を、略円環状のダイシングフレーム17に貼着固定する。
次に、図9(B)に示すように、ウェハ10の表面10bを上向きにしてウェハ10を水平に配置した状態で、ダイシングフレーム17をエキスパンド装置(図示略)にセットし、ウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布する。
そして、ダイシングフレーム17の位置を保持した状態で、エキスパンド装置のステージSGを上昇させ、ステージSGの平坦な上面によりダイシングフィルム11の裏面側を押し上げ、ダイシングフィルム11を切断予定ラインKに対して水平方向(矢印β,β’方向)に伸張させることにより、各改質領域群Ga〜Gcに引張応力を印加し、ウェハ10を各切断予定ラインKに沿って個々のチップ12に切断分離する。
このとき、ウェハ10から切断分離された各チップ12間に空隙Zが形成されると、ウェハ10の外周全体に塗布された発塵防止液19が、毛細管現象により各チップ12間の空隙Zに浸入し、空隙Zが発塵防止液19によって満たされ、各チップ12の切断面12a全体が発塵防止液19に浸漬される。
その後、図11に示すように、発塵防止液19に含まれる溶剤が蒸発すると、発塵防止液19に含まれる接着材料が硬化して各チップ12の切断面12aに付着し、その硬化した接着材料から成る薄い被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体が被覆される。
このように、第1実施形態ではウェハ10を各チップ12に切断分離した後にウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布するのに対して、第3実施形態ではウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布した後にウェハ10を各チップ12に切断分離する。
従って、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
ところで、第1実施形態では、ウェハ10を各チップ12に切断分離するときに、ウェハ10の形成材料の微小片が剥離するものの、切断分離後には当該微小片の剥離を防止できる。
それに対して、第3実施形態では、ウェハ10を各チップ12に切断分離するときに各チップ12の切断面12a全体が発塵防止液19に浸漬されるため、切断分離後だけでなく、切断分離時にもウェハ10の形成材料の微小片が剥離するのを防止可能なことから、第1実施形態よりも更に効果的である。
尚、第3実施形態についても、第1実施形態の第1変形例〜第3変形例と同様に変形して具体化してもよい。
また、第3実施形態と第2実施形態とを併用してもよい。
<第4実施形態>
図12(A)は、第4実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の要部縦断面を模式的に表した説明図である。
第4実施形態において、第1実施形態と異なるのは、ウェハ10から切断分離された各チップ12の切断面12aと、各チップ12の上面に形成されている素子形成領域10cとの間に段差12bが形成されている点だけである。
すなわち、第4実施形態では、各チップ12の外周縁部に位置する基板Si層13の外周側壁面に対して、各チップ12の外周縁部に位置する埋込酸化層14およびSOI層15の外周側壁面が後退しており、基板Si層13の外周側壁面と各層14,15の外周側壁面との間に段差12bが形成されている。
そのため、各チップ12の切断面12aが発塵防止液19(図12では図示略)に浸漬される際に、各チップ12の切断面12aに付着した発塵防止液19が表面張力により各チップ12の上面に向けて這い上がったとしても、その這い上がった発塵防止液19は各チップ12の段差12bによって留められる。
よって、各チップ12の段差12bの寸法形状を、各チップ12の切断面12aに対する発塵防止液19の濡れ性に合わせて適宜設定しておけば、発塵防止液19を各チップ12の段差12bによって確実に留め、発塵防止液19がそれ以上に這い上がるのを阻止することが可能になるため、ウェハ10の素子形成領域10cに発塵防止液19が付着するのを防止できる。
従って、第4実施形態によれば、第1実施形態の前記[1−2]の作用・効果を更に高めることができる。
特に、発塵防止液19として、ウェハ10の形成材料である単結晶シリコンに対して高い濡れ性を有するアルコールを用いた場合や、界面活性剤を添加した場合には、発塵防止液19の液量を制御するだけでは前記[1−2]の作用・効果を十分に得られないおそれがあるが、発塵防止液19の液量を最適化すると共に第4実施形態を実行すれば、前記[1−2]の作用・効果を確実に得られる。
<第5実施形態>
図12(B)は、第5実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の要部縦断面を模式的に表した説明図である。
第5実施形態において、第1実施形態と異なるのは、ウェハ10から切断分離された各チップ12の切断面12aと、各チップ12の上面に形成されている素子形成領域10cとの間に溝状の凹部(堀)12cが形成されている点だけである。
すなわち、第5実施形態では、各チップ12の上面において、素子形成領域10cを囲むように溝状の凹部12cが形成されている。
そのため、各チップ12の切断面12aが発塵防止液19に浸漬される際に、各チップ12の切断面12aに付着した発塵防止液19が表面張力により各チップ12の上面に向けて這い上がったとしても、その這い上がった発塵防止液19は各チップ12の凹部12cに流れ込んで留められる。
よって、各チップ12の凹部12cの寸法形状を、各チップ12の切断面12aに対する発塵防止液19の濡れ性に合わせて適宜設定しておけば、発塵防止液19を各チップ12の凹部12cに収容して確実に留め、発塵防止液19が各チップ12の上面に不要に拡がるのを阻止することが可能になるため、ウェハ10の素子形成領域10cに発塵防止液19が付着するのを防止できる。
従って、第5実施形態によれば、第1実施形態の前記[1−2]の作用・効果を更に高めることができる。
<第6実施形態>
図12(C)は、第6実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の要部縦断面を模式的に表した説明図である。
第6実施形態は、第4実施形態と第5実施形態を併用したものであり、各チップ12毎に段差12bおよび凹部12cを備えている。
そのため、第6実施形態によれば、第4実施形態と第5実施形態の相乗効果を得ることができる。
<第7実施形態>
図13は、第7実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図である。
第7実施形態において、第1実施形態と異なるのは以下の点だけである。
[7−1]ダイシングフレーム18に貼着固定されたダイシングフィルム11およびウェハ10を加熱容器31内に収容し、各チップ12が切断分離されたウェハ10の表面10bを上向きにしてウェハ10を水平に配置する。
[7−2]加熱容器31は上部に排気口31aが設けられている。加熱容器31内において、ダイシングフィルム11の下方には電気ヒーター32が設けられており、電気ヒーター32によってダイシングフィルム11が加熱されるようになっている。
ダイシングフィルム11が加熱されると、ダイシングフィルム11の接着層(粘着層)11bを形成する接着材料(粘着材料)が気化し、その気化した接着材料(粘着材料)が各チップ12の切断面12aに付着することにより、その接着材料(粘着材料)から成る薄い被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体が被覆されるため、第1実施形態の前記[1−1]と同様の作用・効果が得られる。
このとき、吸引ポンプ(図示略)を用い、加熱容器31の排気口31aから加熱容器31内の空気を排気することにより、加熱容器31内には垂直上方向(図示矢印δ方向)の気流を生じさせる。
すると、ダイシングフィルム11の接着層(粘着層)11bから気化した接着材料(粘着材料)が加熱容器31内の気流に乗って巻き上げられ、各チップ12の切断面12a全体に接着材料(粘着材料)が効率的に行き渡るため、その接着材料(粘着材料)から成る被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体を確実に被覆できる。
また、ダイシングフィルム11の接着層(粘着層)11bから気化した接着材料(粘着材料)が加熱容器31内の気流に乗って加熱容器31の排気口31aから速やかに排出されるため、ウェハ10の表面において特に素子形成領域10cに気化した接着材料(粘着材料)が付着するのを防止可能になり、素子形成領域10cに形成された可動部材16などの半導体装置に対し、気化した接着材料(粘着材料)が悪影響を及ぼすのを防止できる。
すなわち、可動部材16に気化した接着材料(粘着材料)が付着すると、接着材料(粘着材料)により可動部材16が接着されて可動が阻害されるという動作不良を引き起こすおそれがあるが、第7実施形態によれば、そのような動作不良を防止できる。
また、半導体装置としてモノリシックICが形成されている場合には、モノリシックICを構成する半導体素子や配線に気化した接着材料(粘着材料)が付着すると、接着材料(粘着材料)により半導体素子や配線が侵されて動作不良を招くおそれがあるが、第7実施形態によれば、そのような動作不良を防止できる。
尚、ダイシングフィルム11の加熱の制御および加熱容器31内の気流の制御は、前記作用・効果が確実に得られるように、カット・アンド・トライで実験的に最適な制御状態を求めて設定すればよい。
また、ダイシングフィルム11の接着層(粘着層)11bを形成する接着材料(粘着材料)には、前記作用・効果が得られるならば、どのような材料を用いてもよく、カット・アンド・トライで実験的に最適な材料を選択すればよい。
ところで、電気ヒーター32を赤外線ランプに置き換え、赤外線ランプからダイシングフィルム11に赤外光を照射して加熱するようにしてもよい。
<第8実施形態>
図13は、第8実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図である。
第8実施形態において、第7実施形態と異なるのは、ダイシングフィルム11が加熱されると、ダイシングフィルム11の接着層(粘着層)11bを形成する接着材料(粘着材料)が溶融して液化する点だけである。
そして、接着層(粘着層)11bの接着材料(粘着材料)が液化すると、その液化した接着材料(粘着材料)が表面張力により各チップ12の切断面12aに這い上がって付着することにより、その接着材料(粘着材料)から成る薄い被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体が被覆される。
従って、第8実施形態においても、第7実施形態と同様の作用・効果が得られる。
尚、各チップ12の切断面12aに対する接着層(粘着層)11bの接着材料(粘着材料)の濡れ性を最適化することにより、各チップ12の切断面12a全体を被覆膜20が確実に被覆可能にした上で、ウェハ10の素子形成領域10cに接着層(粘着層)11bの接着材料(粘着材料)が付着するのを防止できる。
すなわち、接着層(粘着層)11bの接着材料(粘着材料)の濡れ性が高すぎると、各チップ12の切断面12aに付着した接着材料(粘着材料)が表面張力により各チップ12の上面にまで這い上がって不要に拡散し、ウェハ10の素子形成領域10cに接着材料(粘着材料)が付着するおそれがある。
反対に、接着層(粘着層)11bの接着材料(粘着材料)の濡れ性が低すぎると、各チップ12の切断面12a全体に接着材料(粘着材料)が十分に付着せず、各チップ12の切断面12a全体を被覆膜20が確実に被覆できなくなるおそれがある。
<第9実施形態>
図13は、第9実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図である。
第9実施形態において、第7実施形態と異なるのは以下の点だけである。
[9−1]第1実施形態と同様に、ウェハ10を各チップ12に切断分離した後にウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布する。または、第3実施形態と同様に、ウェハ10の外周全体に発塵防止液19を塗布した後にウェハ10を各チップ12に切断分離する。
そして、ウェハ10の外周全体に塗布された発塵防止液19を、毛細管現象により各チップ12間の空隙12aに浸入させる。
このとき、第1実施形態および第3実施形態とは異なり、各チップ12間の空隙12aを発塵防止液19によって満たすのではなく、空隙12aから露出したダイシングテープ11上に発塵防止液19が拡がる程度に発塵防止液19の液量を少なくしておく。
[9−2]加熱容器31内において、電気ヒーター32を用い、ダイシングフィルム11を介して発塵防止液19を加熱する。
発塵防止液19が加熱されると、発塵防止液19に含まれる接着材料(粘着材料)が気化し、その気化した接着材料が各チップ12の切断面12aに付着することにより、その接着材料から成る薄い被覆膜20によって各チップ12の切断面12a全体が被覆される。
従って、第9実施形態においても、第7実施形態と同様の作用・効果が得られる。
尚、発塵防止液19に含まれる接着材料(粘着材料)には、前記作用・効果が得られるならば、どのような材料を用いてもよく、カット・アンド・トライで実験的に最適な材料を選択すればよい。
また、発塵防止液19の液量は、前記作用・効果が確実に得られるように、カット・アンド・トライで実験的に最適な液量に設定しておく。
<第10実施形態>
図14は、第10実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図である。
第10実施形態において、第1実施形態と異なるのは以下の点だけである。
[10−1]ウェハ10から各チップ12を切断分離した後に、ダイシングフィルム11の外周部分をダイシングフレーム18に貼着固定し、そのダイシングフレーム18に貼着固定されたダイシングフィルム11およびウェハ10を、選択CVD(Chemical Vapor Deposition)装置(図示略)にセットする。
[10−2]選択CVD法を用い、各チップ12の切断面12a全体を被覆する被覆膜41を形成する。
このとき、選択CVD法の成膜条件を適宜設定することにより、各チップ12の上面に形成されている素子形成領域10cの表面上には被覆膜41が形成されないようにした上で、各チップ12の切断面12aの表面上にだけ被覆膜41が形成されるようにする。
従って、第10実施形態では、各チップ12の切断面12a全体を被覆する被覆膜41により、第1実施形態の前記[1−1]と同様の作用・効果が得られる。
尚、被覆膜41の材質は、各チップ12の切断面12a全体を確実に被覆してウェハ10の形成材料の微小片の剥離を防止可能な膜であれば、どのような材質の膜であってもよく、カット・アンド・トライで実験的に最適な材質を選択すればよい。
<第11実施形態>
図14および図15は、第11実施形態においてウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図である。
第11実施形態において、第1実施形態と異なるのは以下の点だけである。
[11−1]ウェハ10から各チップ12を切断分離した後に、ダイシングフィルム11の外周部分をダイシングフレーム18に貼着固定する。
そして、図15(A)に示すように、各チップ12の上面に形成されている素子形成領域10cを覆うマスク42をウェハ10上に載置する。
図16は、マスク42の一部平面図である。
薄板状のマスク42は、各チップ12の素子形成領域10cを覆う矩形状の本体部42aと、各本体部42aの角部分をそれぞれ連結固定する十字状の接続部42bとから形成されている。
[11−2]マスク42が載置されたウェハ10を、CVD装置またはPVD(Physical Vapor Deposition)装置(図示略)にセットする。
そして、図15(B)に示すように、CVD法またはPVD法を用い、ウェハ10の表面上に被覆膜41を形成する。
このとき、各チップ12の切断面12aの表面上に被覆膜41が形成されるだけでなく、マスク42の表面上にも被覆膜41が形成される。
そこで、マスク42をウェハ10から取り外すと、図14に示すように、各チップ12の素子形成領域10cに被覆膜41を形成することなく、各チップ12の切断面12a全体を被覆する被覆膜41を形成することができる。
従って、第11実施形態によれば、第10実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<別の実施形態>
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
[1]上記各実施形態は貼り合わせSOI構造のウェハ10に適用したものであるが、本発明の適用はこれに限られるものではなく、単結晶シリコンのバルク材から成るウェハ(バルクシリコンウェハ)や、多層構造の半導体基板を作成するための半導体材料から成る種々のウェハに適用してもよい。
その場合、ウェハとしては、例えば、SIMOX(Separation by IMplanted OXygen)構造のウェハ、ガラスなどの絶縁基板上に多結晶シリコンまたは非晶質シリコンを固相成長法や溶融再結晶化法により形成したSOI構造のウェハ、サファイアなどの基板上にIII−V族化合物半導体層を結晶成長させた半導体発光素子に用いられるウェハ、陽極接合を用いてシリコン基板とガラス基板とを貼り合わせて形成したウェハなどがある。
[2]上記各実施形態は貼り合わせSOI構造のウェハ10に適用したものであるが、本発明の適用はこれに限られるものではなく、半導体基板(例えば、ガリウム砒素基板など)を作成するための半導体材料(例えば、ガリウム砒素など)から成るウェハであれば、どのようなウェハに適用してもよい。
また、本発明は、半導体基板を作成するための半導体材料から成るウェハに限らず、種々の材料(例えば、ガラスを含む材料など)から成るウェハに適用してもよい。
その場合、多光子吸収による改質領域Rは、上記各実施形態のような溶融処理領域を含むものに限らず、ウェハの形成材料に合わせた適宜なものにすればよい。例えば、ウェハの形成材料がガラスを含む場合には、多光子吸収による改質領域Rを、クラック領域を含むものか又は屈折率が変化した領域を含むものにすればよい。
尚、クラック領域または屈折率が変化した領域を含む改質領域については、特許文献1に開示されているため、説明を省略する。
[3]上記各実施形態では、ダイシングフィルム11を伸張させることによりウェハ10を個々のチップ12に切断分離している。
しかし、曲率を有した物(例えば、半球状の物)の曲面(膨らんだ方の面)をウェハ10の切断予定ラインに押し当てて押圧力を印加することにより、複数層の改質領域群Ga〜Gcに剪断応力を発生させ、ウェハ10を切断分離するようにしてもよい。
[4]上記各実施形態では、レーザダイシング技術を用いてウェハ10の内部に改質領域Rを形成することにより、ウェハ10を個々のチップ12に切断分離している。
しかし、ウェハ10の切断分離方法は限定する必要がなく、例えば、ダイヤモンド砥粒を埋め込んだダイシングブレードを高速回転させてウェハを切断するブレードダイシング技術を利用してもよい。
本発明を具体化した第1実施形態において、ウェハ10にレーザ光を照射して改質領域を形成する様子を説明するための説明図であり、図1(A)はウェハ10の一部平面図を表し、図1(B)はウェハ10の一部縦断面を模式的に表した図1(A)に示すX−X線断面図。 第1実施形態において、ウェハ10にレーザ光を照射して改質領域を形成する様子を説明するための説明図であり、図1(A)に示す切断予定ラインKに相当するY−Y線断面図。 第1実施形態において、ウェハ10を切断分離する様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図であり、図4に示すX−X線断面図。 第1実施形態において、ウェハ10を切断分離する様子を説明するための説明図であり、ウェハ10の平面図。 第1実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図であり、図7に示すX−X線断面図。 第1実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図であり、図7に示すX−X線断面図。 第1実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するための説明図であり、ウェハ10の平面図。 本発明を具体化した第2実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図であり、図7に示すX−X線断面図。 本発明を具体化した第3実施形態において、ウェハ10を切断分離する様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図であり、図10に示すX−X線断面図。 第3実施形態において、ウェハ10を切断分離する様子を説明するための説明図であり、ウェハ10の平面図。 第3実施形態において、ウェハ10を切断分離する様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図であり、図10に示すX−X線断面図。 図12(A)は、本発明を具体化した第4実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の要部縦断面を模式的に表した説明図。図12(B)は、本発明を具体化した第5実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の要部縦断面を模式的に表した説明図。図12(C)は、本発明を具体化した第6実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の要部縦断面を模式的に表した説明図。 本発明を具体化した第7〜第9実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図。 本発明を具体化した第10実施形態および第11実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図。 第11実施形態において、ウェハ10を切断分離した後の様子を説明するためにウェハ10の縦断面を模式的に表した説明図。 第11実施形態で用いられるマスク42の一部平面図。
符号の説明
10…ウェハ
10a…ウェハ10の裏面
10b…ウェハ10の表面
10c…素子形成領域
11…ダイシングフィルム
11a…ダイシングフィルム11の基材
11b…ダイシングフィルム11の接着層
12…チップ
12a…チップ12の切断面
12b…チップ12の段差
12c…チップ12の凹部
13…基板Si層
14…埋込酸化層
15…SOI層
16…可動部材
17,18…ダイシングフレーム
19…発塵防止液
20,41…被覆膜
21…吸引台
31…加熱容器
31a…排気口
32…電気ヒーター
42…マスク
42a…マスク42の本体部
42b…マスク42の接続部
L…レーザ光
CV…集光レンズ
P…集光点
R…改質領域
Ga〜Gc…改質領域群
K…切断予定ライン
Z…各チップ12間の空隙
SG…エキスパンド装置のステージ

Claims (11)

  1. ウェハを複数個のチップに切断分離するとき、または、ウェハを複数個のチップに切断分離した後に、当該チップの切断面である外周側壁面に対し、ウェハの形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって固着保持させるウェハの加工方法であって、
    前記ウェハを複数個のチップに切断分離し、各チップ間に空隙を設ける第1工程と、
    前記ウェハの外周全体または外周の一部の箇所に発塵防止液を塗布し、前記各チップ間の空隙に発塵防止液を浸入させ、前記各チップの切断面全体を発塵防止液に浸漬させる第2工程と、
    前記発塵防止液を蒸発させ、前記ウェハの形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって前記各チップの切断面に対して固着保持させる第3工程と
    を備えたことを特徴とするウェハの加工方法。
  2. ウェハを複数個のチップに切断分離するとき、または、ウェハを複数個のチップに切断分離した後に、当該チップの切断面である外周側壁面に対し、ウェハの形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって固着保持させるウェハの加工方法であって、
    前記ウェハの外周全体または外周の一部の箇所に発塵防止液を塗布する第1工程と、
    前記ウェハを複数個のチップに切断分離し、各チップ間に空隙を形成する際に、その空隙に前記発塵防止液を浸入させ、前記各チップの切断面全体を前記発塵防止液に浸漬させる第2工程と、
    前記発塵防止液を蒸発させ、前記ウェハの形成材料の微小片を分子間力および静電気力によって前記各チップの切断面に対して固着保持させる第3工程と
    を備えたことを特徴とするウェハの加工方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のウェハの加工方法において、
    前記発塵防止液は、水、界面活性剤、溶剤からなるグループから選択されたいずれか1つを含むことを特徴とするウェハの加工方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェハの加工方法において、
    前記第2工程では、
    前記ウェハの裏面に貼着されたダイシングフィルムと、そのダイシングフィルムは伸長性および通気性を有することと、
    前記ウェハが載置されるエキスパンド装置のステージと、そのステージは通気性を有することと
    を備え、
    前記ダイシングフィルムを伸張させて前記各チップ間に空隙を形成し、前記ステージの下側から前記ダイシングフィルムを介して、前記各チップ間の空隙に対して下方向から吸引力を印加することを特徴とするウェハの加工方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のウェハの加工方法において、
    前記第2工程では、前記ウェハを様々な方向に傾けて高低差を生じさせ、前記ウェハの高い箇所から低い箇所へ前記発塵防止液を垂れ落ちさせることにより、前記各チップの切断面全体に前記発塵防止液を行き渡らせることを特徴とするウェハの加工方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のウェハの加工方法において、
    前記第2工程では、前記ウェハを傾け、前記ウェハの高い箇所から低い箇所へ前記発塵防止液を流下させることにより、前記各チップの切断面全体に発塵防止液を行き渡らせ、その後に前記発塵防止液を排出することにより、前記各チップの切断面全体を発塵防止液で洗い流すことを特徴とするウェハの加工方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のウェハの加工方法において、
    前記第2工程では、前記ウェハに塗布された前記発塵防止液を吸引することにより、前記各チップの切断面全体に発塵防止液を行き渡らせることを特徴とするウェハの加工方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のウェハの加工方法において、
    前記各チップの切断面と、前記各チップの上面に形成されている素子形成領域との間に段差が形成されていることを特徴とするウェハの加工方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のウェハの加工方法において、
    前記各チップの切断面と、前記各チップの上面に形成されている素子形成領域との間に溝状の凹部が形成されていることを特徴とするウェハの加工方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のウェハの加工方法において、
    前記ウェハの内部へ集光点を合わせてレーザ光を照射することにより、前記ウェハの切断予定ラインに沿って前記ウェハの内部に、多光子吸収による少なくとも1層の改質領域を形成し、その改質領域を切断の起点とした割断により、前記ウェハを切断予定ラインに沿って前記各チップに切断分離することを特徴とするウェハの加工方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のウェハの加工方法において、
    前記ウェハは半導体ウェハであることを特徴とするウェハの加工方法。
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