JP4984860B2 - 内装構造および内装部材組付方法 - Google Patents

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本発明は、骨格部材の室内側に内装部材を設けた内装構造および内装部材組付方法に関する。
従来、自動車の骨格部材であるドアインナパネルの室内側に内装部材であるトリム部材を取り付ける構造において、トリム部材のウインドウレギュレータハンドルなどの機構部品用開口の周囲に、ドアインナパネル側に突出するリブを設け、このリブをドアインナパネルに圧接させた状態とすることで、ドアインナパネルとトリム部材との間に所定の間隔を確保するようにしたものが知られている(例えば下記特許文献1参照)。
特開2002−114036号公報
ところで、上記したリブは、機構部品用開口の周囲に沿って閉ループ状に形成し、該閉ループに沿って所定間隔をおいてスリットを設けて断続的となるようにしており、スリットによって分断された一つ一つのリブは、ドアインナパネルに圧接する部分が機構部品用開口の周囲に沿って長い形状となっている。
このように、ドアインナパネルに圧接するトリム部材のリブが、機構部品用開口の周囲に沿って長い形状となっていると、内装部材は、組み付け時の初期状態からドアインナパネルに対して突っ張った状態となって比較的大きな力を受けるので、リブの撓みによるドアインナパネルとトリム部材との間隔のばらつき吸収が困難となる。
そこで、本発明は、骨格部材と内装部材との間隔のばらつき吸収を容易にすることを目的としている。
本発明は、骨格部材の室内側に内装部材を設け、この内装部材の前記骨格部材側に、これら両者相互の間隔を保持して前記骨格部材に先端が接触しつつ弾性変形する突起を設け、この突起は、前記骨格部材側に突出する板状の基板部の先端面に一体的に延長形成されて、基端側から先端に向かって連続的に先が細くなる先細形状とし、前記基板部の前記先端面における前記突起から離れた位置に、前記突起が前記骨格部材に接触して弾性変形するのを規制する規制突起を設けた内装構造であって、前記突起は、前記内装部材に形成した機構部品取付用開口の周縁近傍に該周縁に沿って複数設けられ、この複数の各突起の前記周縁に沿った方向の両側に隣接して前記規制突起を設けたことを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、骨格部材に先端が接触した状態で弾性変形する内装部材の突起を、基端側から先端に向かって連続的に先が細くなる先細形状としたので、内装部材の突起は、先端が組み付け時の初期状態では弱い反力で骨格部材に接触することになり、突起の撓みによる骨格部材と内装部材との間隔のばらつき吸収が容易となり、内装部材の組み付け作業性が向上する。
また、突起が骨格部材に接触して弾性変形するのを規制する規制突起を設けたので、規制突起は弾性変形する突起に引きずられて変形することなく、突起の所定以上の弾性変形を規制することができる。
また、突起は、内装部材に形成した機構部品取付用開口の周縁近傍に設けられているので、機構部品取付部周辺の内装部材と骨格部材との間隔を所定に確保でき、機構部品を精度よく取り付けることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる自動車の内装部材としてのドアトリム1の車外側から見た正面図である。このドアトリム1は、車外側に相当する図1中で紙面表側に、骨格部材としてのドアインナパネル3(図2参照)を取り付けるもので、図2に示してある機構部品であるウインドウレギュレータ5を取り付けるための機構部品取付用開口としての貫通孔7を設けている。
図2は、ドアトリム1をドアインナパネル3に取り付け、かつウインドウレギュレータ5をドアインナパネル3に取り付け固定した状態で、その回転軸9を前記した貫通孔7に挿入してその先端をドアトリム1の表面側(車室側)に突出させ、この突出端部にレギュレータハンドル11を取り付けた状態を断面図として示している。すなわち、このレギュレータハンドル11は車室内側に露出しており、乗員がレギュレータハンドル11を回転させることで、ドアウインドウシールドパネル(窓ガラス)が上下動する。
なお、ウインドウレギュレータ5は、その取付プレート13を、図示しない固定具を用いてドアインナパネル3に適宜固定されている。また、ドアトリム1は、図2において図示しない別の位置にて固定具を用いてドアインナパネル3に固定され、ドアインナパネル3には、車外側すなわちドアトリム1と反対側に位置する図示しないドアアウタパネルを取り付ける。
ドアトリム1の貫通孔7の周縁近傍には、図3に拡大した斜視図として示すように、貫通孔7を囲むように円筒状の基板部15を一体的に設けている。この基板部15は、貫通孔7の周縁7aから一定距離離れた位置に立設してあり、したがって、基板部15から貫通孔7の周縁7aまでの間にフランジ部7bを設けた形状となっている。
そして、基板部15の先端面15aには、突起としての三角形状のリブ19を、円周方向に沿ってほぼ等間隔に3個設けてあり、さらにこの各リブ19の両側に隣接して規制突起となる規制用リブ21,21を設けている。つまり、リブ19と二つの規制用リブ21,21とからなる突起部23を円周方向等間隔に3箇所設けていることになる。
これらリブ19および規制用リブ21,21は、円筒形状の基板部15から一体的に延長形成されていて、基板部15の板厚と同等であり、したがってリブ19は、基端側から先端に向かって連続的に先が細くなる先細形状となっている。
図4は、上記した基板部15およびリブ19と二つの規制用リブ21,21とからなる突起部23の外周面の一部を展開した模式的な外側面図である。これによれば、リブ19は、基端側となる基板部15の先端面15aから前述したように三角形状に突出しており、先端19aが三角形の一つの頂点となっている。
一方、規制用リブ21,21は、リブ19から離れた位置にあり、その突出高さは、リブ19よりも低く、リブ19のほぼ1/3程度である。また、規制用リブ21,21は、先端21aを平坦面として全体が台形となっている。
ここで、リブ19の先端19aと規制用リブ21,21の先端21aとの間隔Aのほぼ中間位置Bは、ドアトリム1をドアインナパネル3に取り付けたときの、これら相互の間隔寸法のばらつきの設計中央値である。つまり、このばらつきが最大の場合には、リブ19の先端19aがほとんど変形しない状態、もしくは僅かな弾性変形でドアインナパネル3に接触する。一方、ばらつきが最小の場合には、リブ19が最大限変形して規制用リブ21,21の先端21aがドアインナパネル3に接触する。すなわち、このとき規制用リブ21,21は、その先端21aがドアインナパネル3に接触することで、リブ19がドアインナパネル3に接触して弾性変形するのを規制することになる。
なお、リブ19がドアインナパネル3に接触して弾性変形する際には、その先端19aが押し縮められるか、あるいは、貫通孔7側もしくはそれと反対側に倒れ込むようにして変形する。図2では、先端19aが貫通孔7側に倒れ込むようにして変形している状態を示している。
このように、本実施形態によれば、ドアトリム1をドアインナパネル3に取り付ける際に、ドアトリム1からドアインナパネル3に向けて突出するリブ19を、基端側から先端に向かって連続的に先が細くなる先細形状としたので、リブ19の先端19aは、ドアトリム1のドアインナパネル3への組み付け時の初期状態では弱い反力でドアインナパネル3に接触することになり、リブ19の撓みによるドアインナパネル3とドアトリム1との間隔のばらつき吸収が容易になり、組み付け作業性が向上する。
また、上記のばらつき吸収のため、リブ19がさらに押されて弾性変形する際には、リブ19は基端側ほど幅が広くなっているので、その先端19aがドアインナパネル3に接触する際の反力は、より基端側まで弾性変形するほど大きくなり、ドアトリム1のベコつき対策および低級音対策に有効となる。
また、リブ19の先細形状は、三角形状としているので、ドアトリム1のドアインナパネル3への組み付け時の初期状態では弱い反力でリブ19が接触し、さらにリブ19をインナパネル3に押し付けることで、弾性変形が三角形のリブ19の基端側の幅が広い部分に向かって進行し、反力を一定の割合で連続的に増大させることができるため、前記したドアトリム1のベコつき対策および低級音対策に対してさらに有効となるとともに、組み付け作業性もさらに向上する。なお、リブ19を三角形状とした場合に、三角の2箇所の斜面を直線ではなく、凹状もしくは凸状の曲線としてもよい。
また、リブ19は、ドアインナパネル3側に突出する板状の基板部15の先端面15aに一体的に延長形成され、基板部15の先端面15aにおけるリブ19から後述する凹部25を隔てて離れた位置に、リブ19がドアインナパネル3に接触して弾性変形するのを規制する規制用リブ21,21を設けたので、規制用リブ21,21は弾性変形するリブ19に引きずられて変形することなく、リブ19の所定以上の弾性変形を規制することができる。
上記した規制用リブ21,21の先端21aを平坦面とすることで、リブ19が所定以上に弾性変形する際に、該平坦面にドアインナパネル3が接触することによって反力が一気に大きくなり、リブ19の所定以上の弾性変形を確実に規制することができる。
また、リブ19は、ドアトリム1に形成した機構部品取付用開口である貫通孔7の周縁近傍に設けられているので、機構部品取付部周辺のドアトリム1とドアインナパネル3との間隔を所定に確保でき、機構部品であるウインドウレギュレータ5を精度よく取り付けることができる。
本発明の第2の実施形態として、前記したリブ19は、ドアインナパネル3に先端19aが接触した状態で、先端側の一部が塑性変形するものとする。
具体的には、前記図4において、間隔Aの中間位置であるばらつきの設計中央値Bを境にして、リブ19の先端側を塑性変形する一部の領域Pとし、リブ19の基端側を弾性変形領域Qとする。
この場合にも、ドアトリム1をドアインナパネル3に取り付ける際に、ドアトリム1からドアインナパネル3に向けて突出するリブ19を、基端側から先端に向かって連続的に先が細くなる先細形状としているので、リブ1の先端19aは、ドアトリム1のドアインナパネル3への組み付け時の初期状態では弱い反力でドアインナパネル3に接触することになり、リブ19の塑性変形によるドアインナパネル3とドアトリム1との間隔のばらつき吸収が容易となり、組み付け作業性が向上する。
そして、上記リブ先端19aの塑性変形は、先端19aから図4におけるばらつきの設計中央値Bまでの塑性変形領域Pでほぼ完了し、それよりさらにリブ19が押し付けられる場合には、リブ19は弾性変形領域Qにて第1の実施形態と同様にして弾性変形する。
また、第2の実施形態では、リブ19の先端19aが塑性変形して潰れた場合に、その潰れ屑は、規制用リブ21側に移動したとしても、リブ19と規制用リブ21との間に形成される凹部25に入り込むので、規制用リブ21の先端21a上への落下を防止でき、規制用リブ21としての機能は所望に確保することができる。
なお、上記した第1の実施形態では、リブ19の先端19aがドアインナパネル3に接触して弾性変形する一方、第2の実施形態では先端19aが塑性変形するものとしているが、このような変形形態の相違は、リブ19の板厚や先端角度の開き具合などを調整することで達成できる。例えば、リブ19の特に先端19aの板厚を厚く先端角度を大きく(鈍角化)するほど弾性変形しやすくなり、逆にリブ19の特に先端19aの板厚を薄く先端角度を小さく(鋭角化)するほど塑性変形しやすくなる。
なお、上記したリブ19および規制用リブ21は、機構部品用開口としてウインドウレギュレータ5の取付用の貫通孔7周縁に適用しているが、図1のドアトリム1に形成してある、インサイドハンドルの取付用の貫通孔27の周縁に適用してもよい。
また、内装部材として自動車用のドアトリムに本発明を適用したが、自動車用に限ることはなく、航空機、船舶、列車などの乗り物あるいは建築物に装備される内装部材に本発明を適用してもよい。
本発明の第1の実施形態に係わる自動車のドアトリムの車外側から見た正面図である。 図1のドアトリムをドアインナパネルに取り付けた状態の断面図である。 図1のドアトリムの貫通孔周縁近傍の斜視図である。 図3の貫通孔周縁に設けたリブおよび規制用リブの外周面を展開した外側面図である。
符号の説明
1 ドアトリム(内装部材)
3 ドアインナパネル(骨格部材)
7 ウインドウレギュレータ取付用の貫通孔(機構部品取付用開口)
15 基板部
15a 基板部の先端面
19 リブ(突起)
19a リブの先端
21 規制用リブ(規制突起)
21a 規制用リブの平坦面とした先端
27 インサイドハンドル取付用の貫通孔(機構部品取付用開口)

Claims (9)

  1. 骨格部材の室内側に内装部材を設け、この内装部材の前記骨格部材側に、これら両者相互の間隔を保持して前記骨格部材に先端が接触しつつ弾性変形する突起を設け、この突起は、前記骨格部材側に突出する板状の基板部の先端面に一体的に延長形成されて、基端側から先端に向かって連続的に先が細くなる先細形状とし、前記基板部の前記先端面における前記突起から離れた位置に、前記突起が前記骨格部材に接触して弾性変形するのを規制する規制突起を設けた内装構造であって、前記突起は、前記内装部材に形成した機構部品取付用開口の周縁近傍に該周縁に沿って複数設けられ、この複数の各突起の前記周縁に沿った方向の両側に隣接して前記規制突起を設けたことを特徴とする内装構造。
  2. 前記突起は、板状でかつ基端側から先端に向かって連続的に幅が狭くなる先細形状としたことを特徴とする請求項1に記載の内装構造。
  3. 前記先細形状は、三角形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の内装構造。
  4. 前記規制突起の先端を平坦面としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の内装構造。
  5. 前記機構部品は、ウインドウレギュレータであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の内装構造。
  6. 前記突起は、前記骨格部材に先端が接触した状態で塑性変形する塑性変形部を先端側の一部に備えていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の内装構造。
  7. 前記突起は、前記骨格部材に先端が接触した状態で塑性変形する塑性変形部を、前記骨格部材と前記規制突起の先端との間に備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の内装構造。
  8. 内装部材を骨格部材の室内側に組み付ける際に、前記内装部材の前記骨格部材側に設けられ、前記骨格部材側に突出する板状の基板部の先端面に一体的に延長形成されて、基端側から先端に向かって連続的に先が細くなる先細形状の突起を、前記骨格部材に先端を接触させて弾性変形させつつ、前記骨格部材と前記内装部材との間隔を保持し、かつ前記基板部の前記先端面における前記突起から離れた位置に設けた規制突起が、前記突起が前記骨格部材に接触して弾性変形するのを規制する内装部材組付方法であって、前記骨格部材と前記内装部材との間隔を、前記内装部材に形成した機構部品取付用開口の周縁近傍に該周縁に沿って複数設けた突起が保持するとともに、前記突起が前記骨格部材に接触して弾性変形するのを、前記複数の各突起の前記周縁に沿った方向の両側に隣接して設けた前記規制突起が規制することを特徴とする内装部材組付方法。
  9. 前記突起の先端側の一部を、前記骨格部材に接触した状態で塑性変形させることを特徴とする請求項8に記載の内装部材組付方法。
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