JP4982334B2 - 薬剤容器、及び薬剤容器の製造方法 - Google Patents

薬剤容器、及び薬剤容器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、薬剤容器、及び薬剤容器の製造方法に関する。
輸液バッグ等に代表される袋状の薬剤容器に充填される薬剤には、種類によって、酸素や湿気等のガスや近紫外光等の光により、変性、劣化してしまうものがある。そこで、バリア性や遮光性に代表される遮蔽機能を付与するために、薬剤容器の外側をアルミニウム箔等による遮蔽シートで被覆することがある。しかし、アルミニウム箔等による遮蔽シートで薬剤容器を被覆すると、薬剤容器の内部視認性が失われ、薬剤の液面確認や混合確認が不可能となる。
内部視認性を確保するため特許文献1では、アルミニウム等による遮蔽シートを薬剤容器縁部にのみヒートシールを施し、使用時に剥離する方法が開示されている。
特開2005−211481号公報
しかしながら、特許文献1記載の薬剤容器に代表される従来の薬剤容器における遮蔽シートの接着方法は、遮蔽シートを容器縁部にのみ接着する方法であり、輸液バッグと遮蔽シートの間に空気層が存在し、薬剤が変性、劣化する可能性がある。又、特許文献1の薬剤容器製袋方法は5枚ないし6枚のフィルムを組み合わせて製袋するものであり、製袋工程が煩雑である等の問題もある。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、薬剤容器が、バリア性、遮光性に代表される遮蔽機能を有し、かつ遮蔽部において視認性も有する薬剤容器を提供すること、そして、遮蔽機能と視認性を有した薬剤容器を簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の連通可能な複室に分割された袋体による薬剤容器は、その袋体を形成する少なくとも外層、内層を有する多層フィルムと、該袋体の少なくとも一室の両面を被覆する遮蔽フィルムとで形成され、該外層、該内層が下記の樹脂フィルムから形成され、該遮蔽フィルムがアルミニウム層と合成樹脂フィルム層から形成されており、該アルミニウム層が該多層フィルムの該外層に剥離可能に全面接着されていることを特徴とする。
外層 :融点120〜150℃の極性基を有する接着性オレフィン系樹脂
内層 :融点130〜165℃で、且つ上記接着性オレフィン系樹脂の融点より10℃以上融点が高いオレフィン系樹脂
前記薬剤容器において、外層の接着性オレフィン系樹脂は接着性ポリプロピレン系樹脂であると好ましく、内層のオレフィン系樹脂はポリプロピレン系樹脂であると好ましい。
本発明の薬剤容器の製造方法は、インフレーション法によって、樹脂による少なくとも外層、内層を有する多層フィルムを筒状に成形、扁平化し、該多層フィルムの該外層と、アルミニウム層と合成樹脂フィルム層からなる遮蔽フィルムの該アルミニウム層とを、140〜200℃の加熱ロールを用いて、搬送速度0.5〜10m/minでヒートシールした後、該遮蔽フィルムを有する多層フィルムを、充填口となる部分を除いてヒートシールして袋体を形成し、該袋体を更にヒートシールして連通可能な複室に分割し、該充填口より各室に薬剤を充填して密封することを特徴とする。
本発明の薬剤容器は、薬剤容器の少なくとも一室が、バリア性、遮光性に代表される遮蔽機能を有し、かつ使用時には、遮蔽フィルムを容易に剥離することができ、視認性も有する。又、本発明の薬剤容器の製造方法では遮蔽機能と視認性を有した薬剤容器を簡便に製造できる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の連通可能な複室に分割された袋体による薬剤容器は、その袋体を形成する少なくとも外層、内層を有する多層フィルムと、該袋体の少なくとも一室の両面を被覆する遮蔽フィルムとで形成され、該遮蔽フィルムがアルミニウム層と合成樹脂フィルム層から形成されており、該アルミニウム層が該多層フィルムの該外層に剥離可能に全面接着されていることを特徴とする。
尚、ここで全面接着とは、該アルミニウム層が該外層に空気等の隙間が無く接着している状態を示している。
〔薬剤容器〕
図1に本発明の薬剤容器の一例を示す。図1に示されるように、薬剤を保存する室が複数の薬剤容器は、重ね合わせた多層フィルム2を縁部6でシールした袋体を、使用時に袋体に圧力をかけると開く程度の剥離強度でシールして(弱シール部5)複室とし、複室となった袋体のうち、バリア性や遮光性を必要とする室の外側両面に遮蔽フィルム3が、空気層等の隙間がなく、且つ剥離可能に全面接着されているものである。尚、図1には、薬剤を流出するための口部材7を一方の一室に設けたものを示している。
また、図示していないが、遮蔽フィルム3は、複室からなる薬剤容器の全室全面に設けても良い。
〔多層フィルム〕
図2に示すように、多層フィルム2は、外層12、内層11の少なくとも2層で構成されている。多層フィルムの厚みは50〜300μmであると好ましく、100〜200μmであると更に好ましい。多層フィルムの厚みが50μm以上であれば袋として充分な強度を有し、300μm以下であれば取り扱いが容易であるので一般的な薬剤容器としての汎用性がある。
(外層)
外層12には、極性基を有する接着性のオレフィン系樹脂、例えば極性基を有するポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂を用いる。ここでオレフィン系樹脂の融点は、120〜150℃であり、120〜135℃だと更に好ましい。また、オレフィン系樹脂の有する極性基としては、カルボニル基、水酸基、ハロゲン基、無水カルボン酸基、アミノ基等が好ましい。特にヒートシール時に熱圧にさらされる区域が薄肉化する現象が発生しにくいので、接着性のオレフィン樹脂としてはポリプロピレン系樹脂が好ましく、その極性基としては、カルボニル基、水酸基、ハロゲン基、無水カルボン酸基、アミノ基が好ましい。
融点が120℃以上であると、121℃蒸気滅菌後に多層フィルムと遮蔽フィルムが剥離しにくく、150℃以下であると、後述する製造方法において遮蔽フィルムをヒートシールした後、袋体内部の口開き性に影響を与えない。
外層の厚みは、10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであると更に好ましい。10μm以上であると遮蔽フィルムとの安定した接着が得られ、100μm以下であると多層フィルムの縁部を接着するときのばらつきが生じにくいという効果が得られる。
(内層)
内層11には、シール温度によっては、簡単に剥離する弱シールが可能で、かつ医薬的に安全なオレフィン系樹脂、例えばポリプロピレン系樹脂を使用する。ここで、該オレフィン系樹脂の融点は130〜165℃であり、145〜165℃であると更に好ましい。更に該融点は、上記外層に使用する接着性オレフィン系樹脂の融点より10℃高く、25℃以上高いと更に好ましい。
後述する製造方法において、内層の樹脂の融点が130度以上であれば、遮蔽フィルム3のアルミニウム層13と外層12とをヒートシールした際、袋体内部の口開き性に影響が少なく、又165℃以上のオレフィン系樹脂は入手しにくい。同じく後述する製造方法において、内層樹脂の融点が外層樹脂の融点より10℃以上高いと、遮蔽フィルム3のアルミニウム層13と外層12とをヒートシールする際に袋体内部の口開き性に影響が少ない。
内層の厚みは10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであると更に好ましい。10μm以上であると安定して弱シールさせることができ、100μm以下であると取り扱いが容易である。
多層フィルムは、少なくとも上記内層、外層を必要とするが、他に中間の層として、バリア層や耐熱層、柔軟層、接着層等の層を設けることが可能である。
〔遮蔽フィルム〕
図2で示されるように遮蔽フィルム3は、バリア性や遮光性を有するアルミニウム層13とアルミニウム層を保護する合成樹脂フィルム層14からなる。
アルミニウム層13はアルミニウム箔を合成樹脂フィルムで被覆したもの、又は合成樹脂フィルムにアルミニウムを蒸着させたもの、どちらでも良く、市販品を使用しても良い。合成樹脂フィルム層14としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂の樹脂等が好ましい。更に例えば、アルペット(パナック社製)等の市販品を使用しても良い。
アルミニウム層の厚みは8〜20μmが好ましい。アルミニウム層が8μm以上であると良好なバリア性を得ることができ、20μm以下であると袋体に遮蔽フィルムを全面接着した際、薬剤容器の柔軟性を維持できる。
合成樹脂フィルム層の厚みは20〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであると更に好ましい。合成樹脂フィルム層が20μm以上であると袋体に遮蔽フィルムを全面接着するにあたって適した厚みと硬さを得られ、100μm以下であるとハンドリング性のよい厚みとなる。
本発明の薬剤容器は、上記した多層フィルム2の外層12と遮蔽フィルム3のアルミニウム層13とを空気層等の隙間がなく、かつ剥離可能に全面接着させたものである。
ここで、アルミニウム層と外層との剥離強度が100〜500gf/15mmであると好ましく200〜500gf/15mmであると更に好ましい。剥離強度が100gf/15mm以上であれば、保存に耐えうる接着性を有し、500gf/15mm以下であれば、遮蔽フィルム3を剥がして内部を視認する際、余分な抵抗を感じにくい。
上記の剥離強度を有する遮蔽フィルム3を剥離する際は、図1のようにそのまま接着面全面を剥がす、又はミシン目や切り目などを施すことにより、部分的に剥がすことが可能である。よって、本発明の薬剤容器は薬剤容器内部の液面や混合具合の確認をすることができ、視認性を有する薬剤容器であると言える。
以下に本発明の製造方法について説明する。
薬剤容器の製造方法は、インフレーション法によって、樹脂による少なくとも外層、内層を有する多層フィルムを筒状に成形、扁平化し、該多層フィルムの該外層と、アルミニウム層と合成樹脂フィルム層からなる遮蔽フィルムの該アルミニウム層とを、140〜200℃の加熱ロールを用いて、搬送速度0.5〜10m/minでヒートシールした後、該遮蔽フィルムを有する多層フィルムを、充填口となる部分を除いてヒートシールして袋体を形成し、該袋体を更にヒートシールして連通可能な複室に分割し、該充填口より各室に薬剤を充填して密封することを特徴とする。
また、図1に示すような口部材7は、該口部材を袋体形成時に袋体の縁部(図1で示される薬剤容器の縁部6)の重ね合わせた多層フィルムの間に挟み、袋体を形成するためのヒートシールの際に共にヒートシールされて取り付けられると好ましい。更に、図示しないが、口部材7は1個に限らず、複数個設けても良い。
〔インフレーション法〕
例えば、押出機からチューブ状に押出した溶融樹脂を垂直方向に引き取りながら空気圧で膨らませて筒状フィルムを形成し、冷却しながらロールではさんで扁平化し、多層フィルムを形成するインフレーション法によって多層フィルムを形成することが好ましく、特に下向水冷方式のインフレーション装置を使用することが好ましい。
〔遮蔽フィルムのヒートシール条件〕
本発明の薬剤容器の製法では、インフレーション法によって得た多層フィルムの少なくとも一部を全面遮蔽フィルムで剥離可能にヒートシールする。
薬剤容器が2室以上の複室を有する薬剤容器であれば、例えば図1のように2室のうちの一室の両面の多層フィルム2を全面遮蔽フィルム3でヒートシールすることが好ましい。
多層フィルムと遮蔽フィルムをヒートシールする際には、図3に示すようなラミネート装置によって、多層フィルムロール22、遮蔽フィルムロール23それぞれから、一定の搬送速度でフィルムを加熱ロール21に送り、多層フィルムと遮蔽フィルムをヒートシールさせることが好ましい。
ヒートシール条件としては、加熱ロール温度が140〜200℃が好ましい。ロール温度が140℃以上であれば、好ましい剥離強度が得られ実使用に耐えることができ、200℃以下であれば、剥離強度が高くヒートシール部分が剥離しにくくなる、剥離の際にフィルムに白化が起こる等のことが起こりにくい。
又、搬送速度は0.5〜10m/minが好ましい。搬送速度が0.5m/min以上であると、ヒートシールによる内層への影響が少なく、10m/min以下であると好ましい剥離強度が得られ実使用に耐えることができる。
上述した本発明のヒートシール条件において、加熱ロール温度は内層、外層の融点より高温である。しかし、搬送速度を0.5〜10m/minとしたことにより、袋体の内部が加熱ロール温度による影響を受けにくくなった。
〔製袋条件〕
多層フィルムを図1に示されるように複室の薬剤容器として形成する際、袋体を形成するための縁部6つまり強シール部4のヒートシール条件と、袋体を連通可能な複室に分割するための弱シール部5のヒートシール条件を使い分けることが好ましい。
(強シール部)
強シール部4のヒートシール条件として、温度は150〜170℃が好ましい。温度が150℃以上であれば袋体としての十分な接着性を得られ、170℃以下であれば、フィルムの熱劣化、歪み等が発生しにくい。
ヒートシール時間は1〜5秒程度行うのが好ましく、1秒以上であれば充分なシール性を得ることができ、5秒以下であればフィルムの熱劣化、歪み等が発生しにくい。尚、このヒートシール時間は温度条件と相関関係にある。
又、圧力は0.5〜3kgf/cmが好ましく、1〜1.5kgf/cmであると更に好ましい。圧力が0.5kgf/cm以上であれば充分な接着性が得られ、3kgf/cm以下であればフィルムに対する悪影響を抑えることができる。
以上のヒートシール条件下において、剥離強度が1.5kgf/15mm以上となることが好ましく、2kgf/15mmとなることが更に好ましい。剥離強度が1.5kgf/15mm以上であれば、薬剤容器として充分な接着性を保持しているといえる。
なお、図1における口部材7の取り付け、薬剤充填後の袋体の密封操作等は強シール部4と同様のヒートシール条件で行うと好ましい。
(弱シール部)
弱シール部5のヒートシール条件として、温度は120〜140℃が好ましい。温度が120℃以上であれば、要求される接着性を得られ、140℃以下であれば、剥離性を維持できる。
ヒートシール時間は1〜5秒程度行うのが好ましく、1秒以上であれば要求される接着性を得られ、5秒以下であれば剥離性を維持できる。尚、この時間は温度条件と相関関係にある。
又、圧力は0.5〜3kgf/cmが好ましく、1〜1.5kgf/cmであると更に好ましい。圧力が0.5kgf/cm以上であれば充分な接着性が得られ、3kgf/cm以下であれば良好な外観が得られる。
以上のヒートシール条件下において、剥離強度が0.3〜1.5kgf/15mmとなることが好ましく、0.5〜1kgf/15mmであると更に好ましい。剥離強度が0.3kgf/15mm以上であれば、要求される接着性を得られ、1.5kgf/15mm以下であれば、剥離性を維持できる。
本発明の薬剤容器の製造方法において、遮蔽フィルムのヒートシールは、薬剤容器を製袋する前に行う。製袋前に遮蔽フィルムをヒートシールすると、遮蔽フィルムのアルミニウム層と袋体を形成する多層フィルムの外層との間に空気層が入りにくく、かつ、薬剤容器の強シール部において2度加熱を行うことになるため遮蔽フィルムの剥離強度が増す効果がある。一方、袋体を製袋した後に、アルミニウム層のヒートシールを行う方法では、剥離強度を弱めることができ、目的によっては製袋後にアルミニウム層のヒートシールを行うことも可能である。
本発明の袋状の薬剤容器は、袋体を形成する多層フィルムの外層と遮蔽フィルムのアルミニウム層の間に空気層等の隙間がなく、かつ剥離可能な程度に遮蔽フィルムのアルミニウム層を全面接着したことで、薬剤容器の少なくとも一室に、バリア性、遮光性に代表される遮蔽機能を備えかつ視認性を有する薬剤容器であるといえる。
又、本発明の薬剤容器の製造方法は、多層フィルム2に遮蔽フィルム3をヒートシールし、その上で、強シール部4によって袋体を形成し、弱シール部5で袋体を複室に分割するものであり、多層フィルムを構成する樹脂の融点、及び遮蔽フィルムヒートシール時の加熱ロール温度と搬送速度を調節することで、遮蔽フィルムを剥離可能な程度に一度に全面ヒートシールすることを可能にし、極めて簡便に、剥離可能な遮蔽部を有する薬剤容器を製造することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
又、各実施例、比較例での諸物性の測定、及び評価は次の方法による。
〔接着性〕
成形した薬剤容器を高圧蒸気滅菌法にて消毒した後、薬剤容器の多層フィルムと遮蔽フィルムの接着状態を観察し、以下の基準で判定した。
○:高圧蒸気滅菌後も異常なし
×:高圧蒸気滅菌後、膨れ、剥がれ等の異常発生
なお、高圧蒸気滅菌はオートクレーブを使用し、121℃で20分加熱することにより行った。但し、加熱時間はオートクレーブ中が121℃に達してからの時間である。
〔イージーピール性〕
接着性を評価した薬剤容器を用い、薬剤容器の多層フィルムと遮蔽フィルムとを手作業で剥離し、容易に剥離できるか以下の基準で判定した。
○:フィルムの破損がなく容易に剥離
×:完全な剥離が困難で、無理に力を入れるとフィルムが破損する
〔口開き性〕
図2に示す様な複室を有する薬剤容器の製造過程において、薬剤を充填する際に、充填口の開きやすさを以下の基準で判定した。
○:充填口が抵抗なく開く
×:室内が融着してしまい剥離困難
〔剥離強度〕
ヒートシールを行った多層フィルムの外層と遮蔽フィルムのアルミニウム層を、180℃剥離試験により、オートグラフ(島津製作所製)を用いて測定を行った。ここで、剥離強度が100gf/15mm以上であれば、保存時に多層フィルムと遮蔽フィルムが剥離することがなく、500gf/15mm以下であれば、遮蔽フィルムを剥がして使用する際に、余分な抵抗を感じない。
下記の実施例、及び比較例において、多層フィルムの形成に用いた樹脂を以下に示す。
(A):極性基含有ポリプロピレン系樹脂「モディック(三菱化学製)」(MP:134℃,メルトフローレート(MFR):3.2g/10mim(230℃,21.2N))
(B):極性基含有ポリプロピレン系樹脂「モディックMC721AP(三菱化学製)」(MP:158℃,MFR:3.1g/10min(230℃,21.2N))
(C):ポリプロピレン系共重合エラストマー「ゼラス(三菱化学製)」(MP:165℃,MFR:2.0g/10min(230℃,21.2N))
(D):ランダムポリプロピレン樹脂「エクセレンFH1711A(住友化学製)」(MP:135℃,MFR:1.2g/10min(230℃,21.2N))
(E):ブロックポリプロピレン樹脂「エクセレン3711(住友化学製)」(MP:140℃,MFR:2.5g/10min(230℃,21.2N))
又、各実施例、比較例における多層フィルムは厚さ100μmのものとし、外層50μm、内層50μmを有する。
〔実施例1〕
樹脂(A)を外層、樹脂(C)を内層とし、押出機を用いて溶融させた後、下向方式のインフレーション装置を用いて、押出機からチューブ状に押出した溶融樹脂を垂直方向に引き取りながら空気圧で膨らませて筒状フィルムを形成し、水冷しながらロールではさんで扁平化し、多層フィルムを形成した。
次に、図3のように多層フィルムロール22の両側に、厚さ10μmのアルミニウム層と厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート層からなる遮蔽フィルム(アルペット、パナック社製)による遮蔽フィルムロール23のアルミニウム層を重ね合わせ、200℃の加熱ロール21を用い、搬送速度5m/min、圧力3kg/cmでヒートシールさせた。
その後、充填口を除く強シール部を温度160℃、圧力1kgf/cmで3.5秒、弱シール部を温度130℃、圧力1kgf/cmで3.5秒ヒートシールし、充填口から各室内に水を充填し、充填口を上記強シールと同条件でヒートシールさせることで薬剤容器として製袋し各評価を行った。
〔比較例1〕
実施例1において、内層における樹脂を(D)に変えた他は、同様にして各評価を行った。
〔比較例2〕
実施例1において、外層における樹脂を(B)に変えた他は、同様にして各評価を行った。
〔比較例3〕
実施例1において、外層における樹脂を(B)に、内層における樹脂を(C)に変えた他は同様にして各評価を行った。
〔比較例4〕
実施例1において、内層における樹脂を(E)に変えた他は、同様にして各評価を行った。
〔比較例5〕
実施例1において、ヒートシール時の加熱ロールの温度を230℃と変えた他は、同様にして各評価を行った。
〔比較例6〕
実施例1において、ヒートシール時の加熱ロールの温度を130℃と変えた他は、同様にして各評価を行った。
Figure 0004982334
表1に示されるように、実施例1では接着性、イージーピール性、口開き性及び剥離強度が共に期待された条件を満たした薬剤容器となった。
対して、比較例1では内層と外層の融点が近いため遮蔽フィルムをヒートシールする際に袋体内部が接着し、口開き性に問題が生じた。比較例2では外層の融点が高いためヒートシールさせた遮蔽フィルムの接着性及び剥離強度に問題が生じた。比較例3では内層の融点を低く、外層の融点を高くしたため、すべての試験項目に問題が生じた。比較例4では内層の融点が若干低いため、蒸気滅菌後内層と外層が接着し、イージーピール性に問題が生じた。
又、ヒートシールする際のロール温度を変化させた比較例5,6についても試験項目に問題が生じており、温度を高くすると剥離強度が増し、口開き性及びイージーピール性が低下するのに対し、温度を低くすると、剥離強度が減少し接着性が低下した。
本発明の薬剤容器の一例を示す平面図である。 図1の薬剤容器における多層フィルムと遮蔽フィルムを重ね合わせた一部の断面図である。 ラミネート装置の平面図である。
符号の説明
1:薬剤容器
2:多層フィルム
3:遮蔽フィルム
11:内層
12:外層
13:アルミニウム層
14:合成樹脂フィルム層

Claims (3)

  1. 連通可能な複室に分割された袋体による薬剤容器が、その袋体を形成する少なくとも外層、内層を有する多層フィルムと、該袋体の少なくとも一室の両面を被覆する遮蔽フィルムとで形成され、
    該外層、該内層が下記の樹脂フィルムから形成され、
    該遮蔽フィルムがアルミニウム層と合成樹脂フィルム層から形成されており、
    該アルミニウム層が該多層フィルムの該外層に剥離可能にヒートシールにより全面接着されていることを特徴とする薬剤容器。
    外層 :融点120〜150℃の極性基を有する接着性オレフィン系樹脂
    内層 :融点130〜165℃で、且つ上記接着性オレフィン系樹脂の融点より10℃以上融点が高いオレフィン系樹脂
  2. 外層の接着性オレフィン系樹脂が接着性ポリプロピレン系樹脂であり、内層のオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である、請求項1記載の薬剤容器。
  3. 請求項1又は2に記載の薬剤容器を製造する方法であって、
    インフレーション法によって、樹脂による少なくとも前記外層、前記内層を有する多層フィルムを筒状に成形、扁平化し、
    該多層フィルムの該外層と、アルミニウム層と合成樹脂フィルム層からなる遮蔽フィルムの該アルミニウム層とを、140〜200℃の加熱ロールを用いて、搬送速度0.5〜10m/minで剥離可能にヒートシールにより全面接着した後、
    該遮蔽フィルムを有する多層フィルムを、薬剤の充填口となる部分を除いてヒートシールして袋体を形成し、
    該袋体を更にヒートシールして連通可能な複室に分割し、
    該充填口より各室に薬剤を充填して密封することを特徴とする、薬剤容器の製造方法。
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