JP2006052013A - ポリオレフィン系樹脂製複室袋 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂製複室袋 Download PDF

Info

Publication number
JP2006052013A
JP2006052013A JP2004365419A JP2004365419A JP2006052013A JP 2006052013 A JP2006052013 A JP 2006052013A JP 2004365419 A JP2004365419 A JP 2004365419A JP 2004365419 A JP2004365419 A JP 2004365419A JP 2006052013 A JP2006052013 A JP 2006052013A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
layer
polyolefin
chamber bag
seal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004365419A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4644480B2 (ja
Inventor
Yasushi Itaba
康 板場
Shunji Ichikawa
俊二 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CHUEI PRODUCTS CO Ltd
Original Assignee
CHUEI PRODUCTS CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CHUEI PRODUCTS CO Ltd filed Critical CHUEI PRODUCTS CO Ltd
Priority to JP2004365419A priority Critical patent/JP4644480B2/ja
Publication of JP2006052013A publication Critical patent/JP2006052013A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4644480B2 publication Critical patent/JP4644480B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)
  • Package Specialized In Special Use (AREA)
  • Packages (AREA)

Abstract

【課題】樹脂混合物層に十分な強度を有し、しかも、均一な接合強度を有し、かつ容易に剥離可能な弱シール部で区分けされた複数の室を有するポリオレフィン系樹脂製複室袋の提供。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂積層フィルムのシール層同士を熱融着し、かつ容易に剥離可能な弱シール部を設けて複数室を有するように成形したポリオレフィン系樹脂製複室袋であって、積層フィルムのシール層を構成する樹脂層が、ポリエチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂より融点が20℃以上低い改質材とを混合した樹脂混合物層からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂製複室袋に関し、詳しくは、使用時に容易に剥離させることのできる弱シール部で分離された複数室を有するポリオレフィン系樹脂製複室袋に関する。
容器壁同士或いは容器壁と他の部材とを人手により剥離できる程度の弱シール部で形成し、必要時に該弱シール部を剥離する樹脂製袋、容器が食品、医薬品、化粧品等の分野で使用されている。例えば、ビタミン剤などを生理食塩水に混合して、患者に注射あるいは点滴するなど、複数の薬剤を混合して患者に投与する場合、薬剤の種類によってはあらかじめ混合しておくと変質してしまうことがあるため、複数の薬剤を別々に収容可能であって、使用する直前にこれらを混合する複室輸液容器があり、このような境界部分の形成方法については数多く研究されている。
容易に剥離可能な境界部分の形成方法としては、シール部の接着方法に関する技術としては、例えば、境界部分をシールする際に使用するヒートシールバーとして、特定の形状のシールエッジが形成された2本のバーを組み合わせて使用し、これらシールエッジの位置を精密に制御したうえでフィルムを挟持することによって、境界部分の剥離強度を適度な範囲とする技術(例えば、特許文献1参照。)、熱可塑性樹脂フィルムから形成された複室輸液容器の融着部のうち最も融着強度の大きな強融着部を弱シール部で分散して分布させ、その占有面積の合計が当該弱シール部の面積の25%未満であるようにする技術(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
また、シール部の材料に関する技術としては、例えば、少なくとも溶融開始温度の異なる2種類以上のポリオレフィン系の樹脂である直鎖状低密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる樹脂混合物を用い、容器内壁面を該樹脂混合物層により形成し、該樹脂混合物層を直鎖状低密度ポリエチレンの溶融温度とポリプロピレンの溶融温度との間の温度程度に加熱して容器内壁面同士を溶着することにより、複数の収容室間の仕切部を形成する方法(例えば、特許文献3参照。)、熱可塑性樹脂からなるインフレーションフィルムの樹脂チューブ内面に異種の熱可塑性樹脂を樹脂チューブの軸心方向に所定幅で筋状に2条積層してなる筋状多層部を設けた部分異種樹脂チューブで構成する方法(例えば、特許文献4参照。)、密度の2種以上異なる同系樹脂を混合した樹脂混合物層からなる弱シール部を用いる方法(例えば、特許文献5参照。)等が開示されている。
しかしながら、いずれも樹脂混合物における樹脂同士の相溶性が不十分であったりして、位置によって樹脂混合物の混合割合が変化し易くて均一な樹脂層を得にくく、弱シール部の接合強度が不均一になりやすい。また、相溶性が不十分な樹脂同士を混合しているため、樹脂混合物層の強度が不足するなどの問題点があった。
特開平8−24314号公報 特開2004−476号公報 特開平2−4671号公報 特開2000−14746号公報 特開2003−40347号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、樹脂混合物層に十分な強度を有し、しかも、均一な接合強度を有し、かつ容易に剥離可能な弱シール部で区分けされた複数の室を有するポリオレフィン系樹脂製複室袋を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂より融点が20℃以上低い改質材とを混合した樹脂混合物層をシール層に用いた積層フィルムを用い、シール層同士を弱シールした弱シール部で区分けした複数の室を有する複室袋を成形すると、弱シール部が均一な接合強度を有し、しかも容易に開封可能になることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリオレフィン系樹脂積層フィルムのシール層同士を熱融着し、かつ容易に剥離可能な弱シール部を設けて複数室を有するように成形したポリオレフィン系樹脂製複室袋であって、積層フィルムのシール層を構成する樹脂層が、ポリエチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂より融点が20℃以上低い改質材とを混合した樹脂混合物層からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、積層フィルムが、外層とシール層の少なくとも2層からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、積層フィルムが、外層、中間層及びシール層からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、積層フィルムの外層を構成する樹脂の融点とシール層を構成する樹脂混合物の平均融点の差が10℃以上であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、積層フィルムが、インフレーション共押出しフィルムであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、樹脂混合物層が、直鎖状低密度ポリエチレンとエチレン−ブテン共重合体との混合物からなる層であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、樹脂混合物層が、直鎖状低密度ポリエチレンとエチレン−プロピレン共重合体との混合物からなる層であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、樹脂混合物層が、直鎖状低密度ポリエチレンとスチレン・エチレン・オレフィン結晶ブチレンブロック共重合体との混合物からなる層であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、樹脂混合物層が、直鎖状低密度ポリエチレンと低融点メタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物からなる層であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明のポリオレフィン系樹脂製複室袋からなる医療用複室袋が提供される。
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂積層フィルムのシール層同士を熱融着し、かつ容易に剥離可能な弱シール部を設けて複数室を有するように成形したポリオレフィン系樹脂製複室袋において、ポリオレフィン系樹脂積層フィルムのシール層を構成する樹脂層をポリエチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂より融点が20℃以上低い改質材とを混合した樹脂混合物層としているので、強シール部では十分な接着強度を有し、弱シール部では均一な接合強度と、容易剥離性を有するポリオレフィン系樹脂製複室袋を得ることができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂製複室袋は、外層、シール層、必要に応じて、中間層を有する少なくとも2層からなるポリオレフィン系樹脂積層フィルムのシール層同士を外周部で強熱融着による強シールを行って袋部を形成すると同時に、袋部の内部に弱シール部を設けて複数室に分割し、必要時にその弱シール部のみを剥離して複数室を結合させることのできるポリオレフィン系樹脂製複室袋である。以下に詳細を説明する。
1.ポリオレフィン系樹脂積層フィルム
(1)外層
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂積層フィルムの外層は、透明性、柔軟性を有するポリオレフィン系樹脂であれば、とくに制限無く用いることができるが、本発明の複室袋を医療用袋として用いる場合は、加熱滅菌、例えば高圧蒸気滅菌又は熱水滅菌等の温度条件や衝撃に対し耐久性があることが必要であり、このような特性を有しているポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が好ましい。
外層の厚さは、好ましくは50〜145μmであり、より好ましくは50〜80μmである。また、外層は、積層フィルム全体の厚さの25〜60%、好ましくは20〜45%の範囲となるようにするのが好ましい。60%を超えると袋全体が硬くなり、例えば、医療用袋として用いる場合には均一な排液流量が得られない。
(2)シール層
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂積層フィルムのシール層は、強熱融着の強シールにより袋全体の外周部分をシールし、同時に弱熱融着の弱シールにより易剥離可能でかつ複数室を構成できる弱シール部を形成させる層である。シール層は、ポリエチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂より融点が20℃以上低い改質材とを混合した樹脂混合物層である。
この樹脂混合物層を構成するポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられ、中でも直鎖状低密度ポリエチレン、特にメタロセン系触媒直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
また、改質材としては、上記ポリエチレン系樹脂より融点が20℃以上低い低融点のポリオレフィン系樹脂、低融点のスチレン系ブロック共重合体樹脂が挙げられる。低融点のポリオレフィン系樹脂としては、エチレンとコモノマーとしてプロピレン、ブテン−1等のα−オレフィンを用いる共重合体のエチレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられ、これらの中では、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、低融点のメタロセン系触媒直鎖状低密度ポリエチレン等が好ましい。また、スチレン系ブロック共重合体樹脂としては、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体等を挙げることができる。
ポリエチレン系樹脂と改質剤の融点差は、20℃以上必要であり、好ましくは25〜60℃の範囲になるように組み合わせて用いる。例えば、メタロセン系触媒直鎖状低密度ポリエチレン(93〜106℃)/エチレン−ブテン共重合体(65℃)、メタロセン系触媒直鎖状低密度ポリエチレン(93〜106℃)/エチレン−プロピレン共重合体(50℃未満)というように組み合わせて用いる。
樹脂混合物中の融点差が20℃以上あることにより、強シール(高温によるシール)では樹脂混合物は完全に溶融してシール強度が高くなり、容易に剥離せず、弱シール(低温シール)では、溶融する部分と未溶融部分が存在するようになり易剥離性が付与されるようになる。融点の温度差が小さすぎると剥離可能に溶着して弱シール部を形成する条件が狭くなる。
なお、樹脂の融点は、DSCによって測定する融点である。
上記ポリエチレン系樹脂と改質剤との混合割合は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、改質剤は、好ましくは5〜40重量部であり、より好ましくは10〜25重量部である。改質剤が5重量部未満では、剥離可能な弱シール部を形成しにくくなり、40重量部を超えると剥離可能な弱シール部を形成しにくくなり、かつ、熱変形温度が下がるため、医療用袋として用いる場合には高圧蒸気滅菌により袋が変形する。
また、シール層の厚さは、好ましくは10〜50μmであり、より好ましくは25〜35μmである。シール層は、積層フィルム全体の厚さの15〜38%、好ましくは15〜25%の範囲となるようにするのが好ましい。
なお、本発明で用いる積層フィルムにおいては、外層を構成する樹脂の融点とシール層を構成する混合樹脂の平均融点との差が10℃以上あることが好ましい。外層を構成する樹脂の融点とシール層を構成する混合樹脂の平均融点との差が10℃以上であることにより、得られる袋の安定性が増すようになる。
(3)中間層
本発明で用いるポリオレフィン系積層フィルムは、必要に応じて、中間層を設けても良い。中間層は、透明性及び柔軟性を損なわず、フィルム全体に柔軟性及び耐衝撃性をもたせる効果を付与するために用いる。したがって、中間層に用いる樹脂としては、エチレン・α−オレフィン共重合体が好ましく、その中でも直鎖状低密度ポリエチレン、特に好ましくはメタロセン系触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)等が好適に用いられる。中間層の厚さは、好ましくは30〜100μm、より好ましくは65〜95μmである。また、中間層は、積層フィルム全体の厚さの14〜50%が好ましく、より好ましくは40〜50%である。
(4)積層フィルムの製法
本発明で用いるポリオレフィン系積層フィルムは、水冷式又は空冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法、ラミネーション法など、公知の製造方法を適用して製造される。とり分け、共押出し法で同時押出し成形することが好ましく、ほぼ均一な厚さの樹脂層が成形され成形効率がアップすることに加え、成形時の樹脂の劣化が少ないので各層の特性が維持され透明性及び柔軟性のよいものが得られる。得られる積層フィルムはチューブ状の場合と、シート状の場合がある。製造における温度条件は、160〜250℃、より好ましくは165〜230℃である。各層はエチレン系樹脂であり、熱による溶融性が優れている樹脂を含有しているので、積層フィルム成型に際する各層の溶着が容易であり、層間剥離を起こしにくい。各層を構成する樹脂は、ほぼ均一な層の厚さ及び成形性を維持するために、使用する樹脂のメルトフローレート(MFR)の差を少なくするのが望ましい。更に、本発明で用いる積層フィルムは、1つの層を2層以上に分けて共押出し成型してもよく、これによりフィルム全体の透明性をより向上させることができる。
2.複室袋
本発明のポリオレフィン系樹脂製複室袋は、上記ポリオレフィン積層フィルムから成形される。積層フィルムのシール層同士を重ね合わせ、外周部で強熱融着し、袋部を形成すると同時に、袋部の内部に弱シール部を設けて複数室に分割して得られる。複室袋の一例を図で説明する。図1において、複室袋1は、積層フィルムのシール層同士を内面にして重ね合わせ、混注口4、排出口5を設けるようにして外周部11と12をヒートシールバーで強シールして全体を袋状にし、さらに、ヒートシールバーで弱シール部13を設けて、袋を室2と室3に区切って2室に分割する。室2と室3にはそれぞれ、使用時に混合される薬液等が収容される。内容物が収容された袋は、必要に応じて、高圧蒸気滅菌等を行い、使用時に一方の室に収容されている収容物に外力を加えたりすることにより、弱シール部13が剥離され室2と室3に収容されている薬液等が瞬間的に混合されるように用いられる。
なお、弱シール部の幅、本数、位置等は、特に制限されず、内容物により適宜変更できる。また、積層フィルムとして、チューブ状のフィルムを用いた場合は、12の強シール部を設ける必要がない場合もある。
ここで、強シール部を形成させるヒートシールバーの温度は、使用する樹脂にもよるが、125〜145℃が好ましく、弱シール部を形成するヒートシールバーの温度は、105〜115℃が好ましい。このような温度条件でヒートシールすることにより、上記積層フィルムからの複室袋の弱シール部は、剥離強度が5N〜20Nとなり、必要時のみに容易に易剥離できて、瞬時に内容物を混合して用いることができる。
また、本発明の複室袋は、各層が保有する透明性並びに柔軟性により、フィルム全体に優れた透明性並びに柔軟性を与えることができると共に、中間層と外層から優れた耐衝撃性、および耐高圧蒸気滅菌性を、またシール層から優れた易剥離性をそれぞれ得ることができ、かつ、本発明で用いるポリオレフィン系樹脂多層フィルムは、弱シールによって仕切られた別々の室に、同時に配合すると経時変化を起こしてしまう薬剤を保存し、使用時に混合あるいは溶解することができる医療用複室袋として用いることができる。
本発明の複室袋に封入する材料は、とくに制限されないが、例えば、薬剤としては、粉末剤、液剤或いは固形剤のいずれでも良く、粉末剤としては、例えば抗生剤、抗癌剤、ステロイド剤、血栓溶解剤又はビタミン剤などの吸湿性、易酸化性及び易熱変性の物質が挙げられ、また液剤としては、例えば生理食塩液、ブドウ糖液、注射用蒸留水、電解質液、アミノ酸液、脂肪乳剤等が挙げられる。
なお、抗生物質を該複室袋内に収容保存する場合は、本発明で用いる積層フィルムの原料樹脂に含まれる低分子量物質(炭素数70以下、特に炭素数22〜28)が、抗生物質と結合して不溶性微粒子を形成する虞がある。従って、原料樹脂を予め減圧下で加熱したり、フィルム成型中に減圧下を保つことで低分子量物質を除去したり、或いはn−ヘキサンや熱水で抽出又は洗い流したりすることで対処すれば好ましい。
以下に本発明の実施例を記載し、本発明を具体的に説明する。なお、シール条件及びシール強度は以下のようにして測定し評価した。
(1)シール条件
(i)実施例1〜5、比較例1:ヒーター幅8mm、シール長15mm、時間1.5秒
(ii)実施例6〜9、比較例2:シールヘッド長120mm、シール幅18mm、試験片15mm幅、プレス圧力0.4MPa、時間2.4秒
(2)シール強度:シール部を切り取り、強シール部は、引張り試験機で剥離強度を測定した。弱シール部は、手による剥離テストを行った。それぞれの評価基準は、以下の通りである。
(i)強シール部(引張り試験機による剥離強度)
2:剥離強度が 〜20N
3:剥離強度が 21〜30N
4:剥離強度が 31〜35N
5:破断する 36〜40N
(ii)弱シール部(手による剥離試験:剥離強度)
1:接着せず (〜5N)
2:剥離弱い (6〜9N)
3:易剥離状態 (10〜15N)
4:剥離するがきつい (16〜20N)
5:完全融着 (21N以上)
(実施例1)
水冷式共押出インフレーション成型機によって、外層として高密度ポリエチレン(HDPE:日本ポリケム社製HY540、融点135℃)、中間層としてメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE:日本ポリケム社製カーネルKF271、融点102℃)、シール層としてメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE:日本ポリケム社製カーネルKF271、融点102℃)100重量部とエチレン−ブテン共重合体(EBM:JSR社製、融点65℃未満)20重量部からなる混合物を用い、外層140μm、中間層75μm、シール層75μmの積層フィルムを得た。この積層フィルムのシール層同士を重ね合わせ、強シールと弱シールを行い、図1に示すような複室袋を製造した。得られた袋の各シール部を切り出し、引張試験機(強シール部)及び手による剥離試験(弱シール部)を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)
シール層のメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレンとEBMの組成を100重量部:40重量部にする以外は実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
シール層のメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレンとEBMの組成を100重量部:10重量部にする以外は実施例6と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
シール層として、メタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE:日本ポリケム社製カーネルKF271、融点102℃)100重量部とエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR:三井化学社製タフマーP、融点50℃未満℃)20重量部からなる混合物を用いる以外は実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
シール層のメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレンとタフマーPの組成を100重量部:40重量部にする以外は実施例4と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
シール層として低融点樹脂を用いない以外は実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
外層として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:出光興産社製モアテック0278、融点128℃)、中間層としてメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE:日本ポリエチレン社製カーネルKF283)、シール層として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:出光興産社製モアテック0278、融点128℃)90重量%とスチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC:JSR社製DYNARON4600P、融点85℃)10重量%からなる混合物を用い、外層70μm、中間層150μm、シール層80μmの積層フィルムを得た。この積層フィルムを実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表2に示す。
(実施例7)
シール層として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:出光興産社製モアテック0278、融点128℃)95重量%とスチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC:JSR社製DYNARON4600P、融点85℃)5重量%からなる混合物を用いる以外は実施例9と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表2に示す。
(比較例2)
シール層として低融点樹脂を用いない以外は実施例9と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表2に示す。
(実施例8)
外層として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:出光興産社製モアテック0278、融点128℃)、中間層としてメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE:日本ポリエチレン社製カーネルKF283)、シール層として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:出光興産社製モアテック0278、融点128℃)90重量%とメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE:日本ポリエチレン社製カーネルKF271、融点102℃)10重量%からなる混合物を用い、外層70μm、中間層150μm、シール層80μmの積層フィルムを得た。この積層フィルムを実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表2に示す。
(実施例9)
シール層として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:出光興産社製モアテック0278、融点128℃)80重量%とメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE:日本ポリエチレン社製カーネルKF271、融点102℃)20重量%からなる混合物を用いる以外は実施例11と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2006052013
Figure 2006052013
表1より明らかなように、シール層樹脂として、ポリエチレン系樹脂と融点が20℃以上異なるポリエチレン系樹脂との混合物層を用いると、シール温度が125℃の強シールでは完全に融着し、シール温度が95〜110℃の弱シールで易剥離性の弱シール部を容易に形成できることがわかる(実施例1〜8)。一方、シール層樹脂に融点の異なる樹脂を混合しない場合は、シール温度を10℃さげても弱シール部を形成できない(比較例1)。また、表2より明らかなように、ポリエチレン系樹脂と融点が20℃以上異なるスチレン系ブロック共重合体の改質剤との混合物層を用いると、易剥離性の弱シール部を容易に形成できることがわかる(実施例6、7)。一方、シール層樹脂に融点の異なる樹脂を混合しない場合は、シール温度を10℃下げても弱シール部を形成できない(比較例2)。さらに、ポリエチレン系樹脂と融点が20℃以上異なるメタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレンの改質剤との混合物層を用いると、弱シール部を得る温度範囲が3℃と広く設定できる(実施例8、9)。
本発明のポリオレフィン系樹脂製複室袋は、強シール部では十分な接着強度を有し、弱シール部では均一な接合強度と、容易剥離性を有するので、同時に配合すると化学変化を起こしてしまうような薬剤を保存し、使用時に混合あるいは溶解することができる医療用複室袋等として用いることができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂製複室袋の一例を示す図である。
符号の説明
1 複室袋
2、3 室
4 混注口
5 排出口
11、12 強シール部
13 弱シール部

Claims (10)

  1. ポリオレフィン系樹脂積層フィルムのシール層同士を熱融着し、かつ容易に剥離可能な弱シール部を設けて複数室を有するように成形したポリオレフィン系樹脂製複室袋であって、積層フィルムのシール層を構成する樹脂層が、ポリエチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂より融点が20℃以上低い改質材とを混合した樹脂混合物層からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂製複室袋。
  2. 積層フィルムが、外層とシール層の少なくとも2層からなることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂製複室袋。
  3. 積層フィルムが、外層、中間層及びシール層からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂製複室袋。
  4. 積層フィルムの外層を構成する樹脂の融点とシール層を構成する樹脂混合物の平均融点の差が10℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂製複室袋。
  5. 積層フィルムが、インフレーション共押出しフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂製複室袋。
  6. 樹脂混合物層が、直鎖状低密度ポリエチレンとエチレン−ブテン共重合体との混合物からなる層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂製複室袋。
  7. 樹脂混合物層が、直鎖状低密度ポリエチレンとエチレン−プロピレン共重合体との混合物からなる層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂製複室袋。
  8. 樹脂混合物層が、直鎖状低密度ポリエチレンとスチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体との混合物からなる層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂製複室袋。
  9. 樹脂混合物層が、直鎖状低密度ポリエチレンと低融点メタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物からなる層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂製複室袋。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂製複室袋からなる医療用複室袋。
JP2004365419A 2004-07-13 2004-12-17 ポリオレフィン系樹脂製複室袋 Active JP4644480B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004365419A JP4644480B2 (ja) 2004-07-13 2004-12-17 ポリオレフィン系樹脂製複室袋

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004206289 2004-07-13
JP2004365419A JP4644480B2 (ja) 2004-07-13 2004-12-17 ポリオレフィン系樹脂製複室袋

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006052013A true JP2006052013A (ja) 2006-02-23
JP4644480B2 JP4644480B2 (ja) 2011-03-02

Family

ID=36029742

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004365419A Active JP4644480B2 (ja) 2004-07-13 2004-12-17 ポリオレフィン系樹脂製複室袋

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4644480B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006027653A (ja) * 2004-07-15 2006-02-02 Chuei Products Co Ltd ポリプロピレン系樹脂製複室袋
US20100163446A1 (en) * 2006-06-28 2010-07-01 Fujimori Kogyo Co., Ltd. Liquid container
WO2012150704A1 (ja) 2011-05-02 2012-11-08 株式会社モリモト医薬 投薬用容器
JP2015009829A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 ニプロ株式会社 医療用複室容器の梱包体及び同容器の梱包方法
CN108340647A (zh) * 2018-01-23 2018-07-31 湖北华强科技有限责任公司 一种液液多室袋用五层共挤输液膜及其制备方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08229101A (ja) * 1995-02-28 1996-09-10 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 複室容器用フィルム及び複室容器
JPH0999526A (ja) * 1995-07-31 1997-04-15 Kureha Chem Ind Co Ltd 多層フィルム、それからなる包装容器および包装製品

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08229101A (ja) * 1995-02-28 1996-09-10 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 複室容器用フィルム及び複室容器
JPH0999526A (ja) * 1995-07-31 1997-04-15 Kureha Chem Ind Co Ltd 多層フィルム、それからなる包装容器および包装製品

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006027653A (ja) * 2004-07-15 2006-02-02 Chuei Products Co Ltd ポリプロピレン系樹脂製複室袋
JP4613037B2 (ja) * 2004-07-15 2011-01-12 ベスパック株式会社 ポリプロピレン系樹脂製複室袋
US20100163446A1 (en) * 2006-06-28 2010-07-01 Fujimori Kogyo Co., Ltd. Liquid container
WO2012150704A1 (ja) 2011-05-02 2012-11-08 株式会社モリモト医薬 投薬用容器
JP2015009829A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 ニプロ株式会社 医療用複室容器の梱包体及び同容器の梱包方法
CN108340647A (zh) * 2018-01-23 2018-07-31 湖北华强科技有限责任公司 一种液液多室袋用五层共挤输液膜及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4644480B2 (ja) 2011-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2890143B2 (ja) 医療用多層フィルム及び複室容器
US9132615B2 (en) Retortable composition
CN101903002B (zh) 医疗容器用多层体和医疗容器
WO2006050105A1 (en) Multi-compartment pouch having a frangible seal
JPH09262948A (ja) 樹脂積層体およびその用途
JP4460372B2 (ja) 複室輸液バッグ
JP4749057B2 (ja) 複室輸液容器及びその製造方法
WO2000051544A1 (en) Multi-chamber medical container
JP2006198250A (ja) 容器用フィルムおよび複室容器
JP4613037B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂製複室袋
TW200902322A (en) Multilayered tape, its manufacturing method and packaging bag
JP4644480B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂製複室袋
JP6106891B2 (ja) 多層フィルム、薬液容器およびその製造方法
US6713137B1 (en) Medical containers
JP3573091B2 (ja) 易剥離性フィルムおよびこれを用いた医療用包装容器
JP6091156B2 (ja) 医療用容器、医療用容器の製造方法およびそれに用いられるシール金型
JP3543456B2 (ja) イージーピールシール用フィルムおよび容器
JPH06286087A (ja) 多層フィルム及び容器
JP4902149B2 (ja) 容器
JP3692516B2 (ja) 樹脂組成物及びこれを用いて形成された易剥離性フィルム、可撓性容器
EP1140494A1 (en) Improvements related to medical containers
JP3309191B2 (ja) 医療用多層フィルム及び複室容器
JP4695866B2 (ja) 小袋付き樹脂製複室袋
CN107427409A (zh) 医疗用袋
JPH06190990A (ja) 多層フィルム及び容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100903

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101116

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4644480

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141210

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250