JP4613037B2 - ポリプロピレン系樹脂製複室袋 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂製複室袋に関し、詳しくは、使用時に容易に剥離させることのできる弱シール部で分離された複数室を有するポリプロピレン系樹脂製複室袋に関する。
容器壁同士或いは容器壁と他の部材とを人手により剥離できる程度の弱シール部で形成し、必要時に該弱シール部を剥離する樹脂製袋、容器が食品、医薬品、化粧品等の分野で使用されている。例えば、ビタミン剤などを生理食塩水に混合して、患者に注射あるいは点滴するなど、複数の薬剤を混合して患者に投与する場合、薬剤の種類によってはあらかじめ混合しておくと変質してしまうことがあるため、複数の薬剤を別々に収容可能であって、使用する直前にこれらを混合する複室輸液容器があり、このような境界部分の形成方法については数多く研究されている。
容易に剥離可能な境界部分の形成方法としては、シール部の接着方法に関する技術としては、例えば、境界部分をシールする際に使用するヒートシールバーとして、特定の形状のシールエッジが形成された2本のバーを組み合わせて使用し、これらシールエッジの位置を精密に制御したうえでフィルムを挟持することによって、境界部分の剥離強度を適度な範囲とする技術(例えば、特許文献1参照。)、熱可塑性樹脂フィルムから形成された複室輸液容器の融着部のうち最も融着強度の大きな強融着部を弱シール部で分散して分布させ、その占有面積の合計が当該弱シール部の面積の25%未満であるようにする技術(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
また、シール部の材料に関する技術としては、例えば、少なくとも溶融開始温度の異なる2種類以上のポリオレフィン系の樹脂である直鎖状低密度ポリエチレンとポリプロピレンからなる樹脂混合物を用い、容器内壁面を該樹脂混合物層により形成し、該樹脂混合物層を直鎖状低密度ポリエチレンの溶融温度とポリプロピレンの溶融温度との間の温度程度に加熱して容器内壁面同士を溶着することにより、複数の収容室間の仕切部を形成する方法(例えば、特許文献3参照。)、熱可塑性樹脂からなるインフレーションフィルムの樹脂チューブ内面に異種の熱可塑性樹脂を樹脂チューブの軸心方向に所定幅で筋状に2条積層してなる筋状多層部を設けた部分異種樹脂チューブで構成する方法(例えば、特許文献4参照。)、密度の2種以上異なる同系樹脂を混合した樹脂混合物層からなる弱シール部を用いる方法(例えば、特許文献5参照。)等が開示されている。
しかしながら、いずれも樹脂混合物における樹脂同士の相溶性が不十分であったりして、位置によって樹脂混合物の混合割合が変化し易くて均一な樹脂層を得にくく、弱シール部の接合強度が不均一になりやすい。また、相溶性が不十分な樹脂同士を混合しているため、樹脂混合物層の強度が不足するなどの問題点があった。
また、ポリエチレン系樹脂からなる複室容器は、ヒートシールする際の温度範囲が狭いため生産性が劣り、かつ容器の耐熱性に劣るという問題を有している。一方、ポリプロピレン系樹脂からなる複室容器は、耐熱性には優れるものの、耐衝撃性、柔軟性に乏しく、ヒートシール性にも劣るという問題点を有している。
特開平8−24314号公報 特開2004−476号公報 特開平2−4671号公報 特開2000−14746号公報 特開2003−40347号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、ポリプロピレン系樹脂製であって、十分な耐熱性と耐衝撃性を有し、かつ均一な接合強度を有する容易に剥離可能な弱シール部で区分けした複数の室を有するポリプロピレン系樹脂製複室袋を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、内層、中間層、外層の3層からなるポリプロピレン系樹脂積層フィルムにおいて、シール層である内層として特定量のポリプロピレンと改質剤とからなるポリプロピレン樹脂組成物を用い、中間層として特定量のポリプロピレンと軟化剤とからなるポリプロピレン樹脂組成物を用いることにより、十分な耐熱性と耐衝撃性を有し、かつ均一な接合強度を有する容易に剥離可能な弱シール部で区分けした複数の室を有するポリプロピレン系樹脂製複室袋が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、内層、中間層及び外層から構成されるポリプロピレン系樹脂積層フィルムの内層同士を熱融着し、かつ容易に剥離可能な弱シール部を設けて複数室を有するように成形したポリプロピレン系樹脂製複室袋であって、積層フィルムの内層が、ポリプロピレン55〜95重量%と改質剤5〜45重量%とを含有するポリプロピレン樹脂組成物1からなり、かつ前記改質剤がエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムであり、一方、中間層が、ポリプロピレン20〜95重量%と軟化剤5〜80重量%とを含有するポリプロピレン樹脂組成物2からなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、軟化剤が、スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1又は2の発明において、積層フィルムの内層を構成するポリプロピレン樹脂の融点と外層を構成するポリプロピレンの融点の差が20℃以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、積層フィルムが、インフレーション共押出しフィルムであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂製複室袋が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明のポリプロピレン系樹脂製複室袋からなる医療用複室袋が提供される。
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂積層フィルムのシール層同士を熱融着し、かつ容易に剥離可能な弱シール部を設けて複数室を有するように成形したポリプロピレン系樹脂製複室袋において、積層フィルムの内層としてポリプロピレンと改質剤とからなるポリプロピレン樹脂組成物1を用い、中間層としてポリプロピレンと軟化剤とからなるポリプロピレン樹脂組成物2を用いているので、強シール部では十分な接着強度を有し、弱シール部では均一な接合強度と、容易剥離性を有し、さらに耐衝撃性、柔軟性に優れる複室袋を得ることができる。
本発明のポリプオピレン系樹脂製複室袋は、内層、中間層、外層からなる3種3層のポリプロピレン系樹脂積層フィルムの内層のシール層同士を外周部で強熱融着による強シールを行って袋部を形成すると同時に、袋部の内部に弱シール部を設けて複数室に分割し、必要時にその弱シール部のみを剥離して複数室を結合させることのできるポリプロピレン系樹脂製複室袋である。以下に詳細を説明する。
1.ポリプロピレン系樹脂積層フィルム
(1)内層
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂積層フィルムの内層は、強熱融着の強シールにより袋全体の外周部分をシールし、同時に弱熱融着の弱シールにより易剥離可能でかつ複数室を構成できる弱シール部を形成させる層である。内層は、ポリプロピレンに改質剤を配合したポリプロピレン樹脂組成物1を用いる。
改質剤としては、低融点で、非晶性、かつポリプロピレンと相溶性に優れる樹脂であるエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが使用される。エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1等が挙げられ、具体的な共重合体ゴムとしては、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム等が挙げられる。これらのゴムをポリプロピレンに配合することにより、シール層同士の熱融着において、低温シールと高温シールが可能となる。
ポリプロピレン樹脂組成物1におけるポリプロピレンと改質剤との配合割合は、ポリプロピレンが55〜95重量%であり、好ましくは65〜95重量%であり、改質剤が5〜45重量%であり、好ましくは5〜35重量%である。ポリプロピレンの割合が55重量%未満(改質剤が45重量%を超えると)であると、剥離可能な弱シール部を形成しにくくなり、かつ、熱変形温度が下がるため、医療用袋として用いる場合には高圧蒸気滅菌により袋が変形しやすくなり、95重量%を超える(改質剤が5重量%未満である)と剥離可能な弱シール部を形成しにくくなる。
また、内層の厚さは、好ましくは10〜80μmであり、より好ましくは40〜80μmである。内層は、積層フィルム全体の厚さの5〜30%、好ましくは15〜30%の範囲となるようにするのが好ましい。
なお、内層で用いるポリプロピレンは、特に制限されず、中間層、外層で用いるポリプロピレンと同じであっても良いが、より柔軟性等の効果を出すために、外層に用いるポリプロピレンより20℃以上融点の低いポリプロピレンが好ましく、特に、プロピレン−エチレンランダム共重合体、メタロセン系触媒で重合されたプロピレン・α−オレフィン共重合体等が好ましい。
(2)中間層
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂積層フィルムの中間層は、ポリプロピレンの欠点である低温衝撃時の改善および柔軟性を付与するために用い、得られる複室袋全体に柔軟性及び耐衝撃性をもたせる効果を付与する。したがって、中間層に用いる樹脂材料としては、ポリプロピレンに軟化剤を配合したポリプロピレン樹脂組成物2を用いる。軟化剤としては、ポリスチレンハードセグメントとポリジエンソフトセグメントを分子中に有するポリスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロックコポリマー、ランダムスチレン・ブタジエンゴムの水素添加ポリマー等を挙げることができる。
なお、軟化剤にはさらに、上記の内層で用いた、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム等を添加しても良い。
また、中間層で用いるポリプロピレンは、特に制限がなく、内層、外層で用いるポリプロピレンと同じであっても良いが、より柔軟性等の効果を出すために、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、特にプロピレン・エチレンランダム共重合体等が好ましい。
ポリプロピレン樹脂組成物2におけるポリプロピレンと軟化剤との配合割合は、ポリプロピレンが20〜95重量%であり、好ましくは30〜85重量%であり、軟化剤が5〜80重量%であり、好ましくは15〜70重量%である。ポリプロピレンの割合が20重量%未満(軟化剤が80重量%を超えると)であると、剥離可能な弱シール部を形成しにくくなり、かつ、熱変形温度が下がるため、医療用袋として用いる場合には高圧蒸気滅菌により袋が変形しやすくなり、95重量%を超える(軟化剤が5重量%未満である)と剥離可能な弱シール部を形成しにくくなる。
中間層の厚さは、好ましくは100〜250μm、より好ましくは125〜225μmである。また、中間層は、積層フィルム全体の厚さの30〜80%が好ましく、より好ましくは40〜75%である。
(3)外層
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂積層フィルムの外層は、袋を製造する際のヒートシール時にはシールヘッドが当たり、最も耐熱性を必要とする層である。外層に用いる樹脂材料としては、融点155℃以上の耐熱性有するポリプロピレン系樹脂であれば、特に制限はないが、本発明の複室袋を医療用袋として用いる場合は、加熱滅菌、例えば高圧蒸気滅菌又は熱水滅菌等の温度条件や衝撃に対し耐久性があることが必要であり、このような特性を有しているポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらの中では、プロピレン単独重合体が好ましく、ヒートシールにより流動しにくい層を形成することができる。
外層の厚さは、好ましくは30〜100μmであり、より好ましくは50〜80μmである。また、外層は、積層フィルム全体の厚さの10〜30%、好ましくは15〜25%の範囲となるようにするのが好ましい。30%を超えると袋全体が硬くなり、例えば、医療用袋として用いる場合には均一な排液流量が得られない。
なお、本発明で用いる積層フィルムにおいては、内層を構成するポリプロピレン樹脂の融点と外層を構成するポリプロピレン樹脂の融点の差が20℃以上であることにより、得られる袋の安定性が増すようになる。
(4)積層フィルムの製法
本発明で用いるポリプロピレン系積層フィルムは、水冷式又は空冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法、ラミネーション法など、公知の製造方法を適用して製造される。とり分け、共押出し法で同時押出し成形することが好ましく、ほぼ均一な厚さの樹脂層が成形され成形効率がアップすることに加え、成形時の樹脂の劣化が少ないので各層の特性が維持され透明性及び柔軟性のよいものが得られる。得られる積層フィルムはチューブ状の場合と、シート状の場合がある。製造における温度条件は、160〜250℃、より好ましくは165〜230℃である。各層はエチレン系樹脂であり、熱による溶融性が優れている樹脂を含有しているので、積層フィルム成型に際する各層の溶着が容易であり、層間剥離を起こしにくい。各層を構成する樹脂は、ほぼ均一な層の厚さ及び成形性を維持するために、使用する樹脂のメルトフローレート(MFR)の差を少なくするのが望ましい。更に、本発明で用いる積層フィルムは、1つの層を2層以上に分けて共押出し成型してもよく、これによりフィルム全体の透明性をより向上させることができる。
2.複室袋
本発明のポリプロピレン系樹脂製複室袋は、上記ポリプロピレン系積層フィルムから成形される。積層フィルムの内層同士を重ね合わせ、外周部で強熱融着し、袋部を形成すると同時に、袋部の内部に弱シール部を設けて複数室に分割して得られる。複室袋の一例を図で説明する。図1において、複室袋1は、積層フィルムのシール層同士を内面にして重ね合わせ、混注口4、排出口5を設けるようにして外周部11と12をヒートシールバーで強シールして全体を袋状にし、さらに、ヒートシールバーで弱シール部13を設けて、袋を室2と室3に区切って2室に分割する。室2と室3にはそれぞれ、使用時に混合される薬液等が収容される。内容物が収容された袋は、必要に応じて、高圧蒸気滅菌等を行い、使用時に一方の室に収容されている収容物に外力を加えたりすることにより、弱シール部13が剥離され室2と室3に収容されている薬液等が瞬間的に混合されるように用いられる。
なお、弱シール部の幅、本数、位置等は、特に制限されず、内容物により適宜変更できる。また、積層フィルムとして、チューブ状のフィルムを用いた場合は、12の強シール部を設ける必要がない場合もある。
ここで、強シール部を形成させるヒートシールバーの温度は、使用する樹脂にもよるが、130〜155℃が好ましく、弱シール部を形成するヒートシールバーの温度は、110〜130℃が好ましい。このような温度条件でヒートシールすることにより、上記積層フィルムからの複室袋の弱シール部は、剥離強度が3〜7kgfとなり、必要時のみに容易に易剥離できて、瞬時に内容物を混合して用いることができる。
また、本発明の複室袋は、各層が保有する透明性並びに柔軟性により、フィルム全体に優れた透明性並びに柔軟性を与えることができると共に、中間層と外層から優れた耐衝撃性、および耐高圧蒸気滅菌性を、また内層から優れた易剥離性をそれぞれ得ることができ、かつ、本発明で用いるポリプロピレン系樹脂製複室袋は、弱シールによって仕切られた別々の室に、同時に配合すると経時変化を起こしてしまう薬剤を保存し、使用時に混合あるいは溶解することができる医療用複室袋として用いることができる。
本発明の複室袋に封入する材料は、とくに制限されないが、例えば、薬剤としては、粉末剤、液剤或いは固形剤のいずれでも良く、粉末剤としては、例えば抗生剤、抗癌剤、ステロイド剤、血栓溶解剤又はビタミン剤などの吸湿性、易酸化性及び易熱変性の物質が挙げられ、また液剤としては、例えば生理食塩液、ブドウ糖液、注射用蒸留水、電解質液、アミノ酸液、脂肪乳剤等が挙げられる。
なお、抗生物質を該複室袋内に収容保存する場合は、本発明で用いる積層フィルムの原料樹脂に含まれる低分子量物質(炭素数70以下、特に炭素数22〜28)が、抗生物質と結合して不溶性微粒子を形成する虞がある。従って、原料樹脂を予め減圧下で加熱したり、フィルム成型中に減圧下を保つことで低分子量物質を除去したり、或いはn−ヘキサンや熱水で抽出又は洗い流したりすることで対処すれば好ましい。
以下に本発明の実施例を記載し、本発明を具体的に説明する。なお、シール条件及びシール強度は以下のようにして測定し評価した。
(1)シール条件:強シール部を145〜146℃で3秒間、弱シール部を125〜126℃で3秒間、シール幅7mmで行った。
(2)シール強度:シール部を切り取り、引張り試験機で剥離強度を測定した。その評価基準は、以下の通りである。
5:剥離しない (11以上kgf)
4:剥離するが、やや力を有する (7〜11未満kgf)
3:剥離しやすく、シール強度も十分 (5〜7未満kgf)
2:剥離しやすいが強度不十分 (3〜5未満kgf)
1:シール強度が不十分 (3未満kgf)
(実施例1)
水冷式共押出インフレーション成型機によって、外層としてホモポリプロピレン(HPP:グランドポリマー社製E−102、MFR2g/10分、融点160℃)、中間層としてプロピレン・エチレンランダム共重合体(RPP:グランドポリマー社製F226、MFR6g/10分、融点140℃)50重量%とスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIPS:クラレ社製ハイブラー7125)50重量%からなる樹脂組成物、内層としてプロピレン・エチレンランダム共重合体(RPP:グランドポリマー社製F226、MFR6g/10分)60重量%とエチレン−ブテン共重合体(EBM:JSR社製EBM、融点65℃)40重量%からなる樹脂組成物を用い、外層75μm、中間層140μm、内層75μmの積層フィルムを得た。この積層フィルムのシール層同士を重ね合わせ、強シールと弱シールを行い、バッグサイズが240mm×350mmで、弱シール部の位置が190mmの図1に示すような複室袋を製造した。得られた袋の各室に水を800mlと200m充填し、オートクレーブを用い121℃、20分間高圧蒸気滅菌を行った。その後、外気温5℃で1mの高さから、落下させ破袋の有無を調べると同時に、袋の各シール部を切り出し、引張試験機で強シール部と弱シール部の剥離試験を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)
中間層のRPPとSIPSの組成割合を30重量%/70重量%にし、内層のRPPとEBMの組成割合を90重量%/10重量%にする以外は実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度、耐衝撃性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
中間層としてRPP30重量%と水添スチレン−ブタジエンゴム(H−SBR:JSR社製ダイナロン1320P)70重量%からなる樹脂組成物、内層としてRPP70重量%とエチレン−ブテン共重合体ゴム(タフマーA:三井化学社製)30重量%からなる樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度、耐衝撃性を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
中間層としてRPP20重量%とスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS:クレイトンケミカル社製クレイトンG1652)80重量%からなる樹脂組成物、内層としてRPP95重量%とエチレン−プロピレン共重合体ゴム(タフマーP:三井化学社製)5重量%からなる樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度、耐衝撃性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
中間層がRPPのみからなり、内層としてRPP80重量%とタフマーA20重量%からなる樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度、耐衝撃性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
中間層としてRPP30重量%とH−SBR70重量%からなる樹脂組成物を用い、内層としてRPP50重量%とEBM50重量%からなる樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様にして複室袋を製造し、そのシール強度、耐衝撃性を測定した。結果を表1に示す。この積層フルムでは内層の改質剤の組成が多すぎるため、袋状にすると内面同士がブロッキングし、開封できず、さらにオートクレーブ滅菌により内層が熱変形して使用に耐えられなかった。
Figure 0004613037
表1より明らかなように、中間層に軟化剤を加え、内層に改質剤を加えた3種3層のポリプロピレン系樹脂積層フィルムからの袋は、シール温度が145℃の強シールでは完全に融着し、シール温度が125℃の弱シールで易剥離性の弱シール部を容易に形成できることがわかる(実施例1〜4)。一方、中間層に軟化剤を用いない場合は、耐衝撃性、柔軟性に乏しく、破袋し易く(比較例1)、内層に改質剤を多く入れすぎるとブロッキングで開封性が失われると同時にオートクレーブ滅菌等で変形し易い等の欠点を有している(比較例2)。
本発明のポリプロピレン系樹脂製複室袋は、強シール部では十分な接着強度を有し、弱シール部では均一な接合強度と、容易剥離性を有するので、同時に配合すると化学変化を起こしてしまうような薬剤を保存し、使用時に混合あるいは溶解することができる医療用複室袋等として用いることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂製複室袋の一例を示す図である。
符号の説明
1 複室袋
2、3 室
4 混注口
5 排出口
11、12 強シール部
13 弱シール部

Claims (5)

  1. 内層、中間層及び外層から構成されるポリプロピレン系樹脂積層フィルムの内層同士を熱融着し、かつ容易に剥離可能な弱シール部を設けて複数室を有するように成形したポリプロピレン系樹脂製複室袋であって、
    積層フィルムの内層が、ポリプロピレン55〜95重量%と改質剤5〜45重量%とを含有するポリプロピレン樹脂組成物1からなり、かつ前記改質剤がエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムであり、一方、中間層が、ポリプロピレン20〜95重量%と軟化剤5〜80重量%とを含有するポリプロピレン樹脂組成物2からなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂製複室袋。
  2. 軟化剤が、スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂製複室袋。
  3. 積層フィルムの内層を構成するポリプロピレン樹脂の融点と外層を構成するポリプロピレンの融点の差が20℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂製複室袋。
  4. 積層フィルムが、インフレーション共押出しフィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂製複室袋。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂製複室袋からなる医療用複室袋。
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