JP2007245490A - 多層フィルム及び医療用ソフトバッグ - Google Patents

多層フィルム及び医療用ソフトバッグ Download PDF

Info

Publication number
JP2007245490A
JP2007245490A JP2006071142A JP2006071142A JP2007245490A JP 2007245490 A JP2007245490 A JP 2007245490A JP 2006071142 A JP2006071142 A JP 2006071142A JP 2006071142 A JP2006071142 A JP 2006071142A JP 2007245490 A JP2007245490 A JP 2007245490A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
multilayer film
soft bag
film
inner layer
outer layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006071142A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisatoshi Saito
寿俊 齊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
INTERMEDIC CO Ltd
Original Assignee
INTERMEDIC CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by INTERMEDIC CO Ltd filed Critical INTERMEDIC CO Ltd
Priority to JP2006071142A priority Critical patent/JP2007245490A/ja
Publication of JP2007245490A publication Critical patent/JP2007245490A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)

Abstract

【課題】 医療用輸液の単室形成に好適であって、薬液接触面がPEでありながら、滅菌温度が摂氏115度迄得ることが出来、安定した耐熱性を以って製造可能な多層フィルムを提供する。
【解決手段】 本発明の多層フィルムは、共押出フィルムからなる多層フィルムであって、液体内容物に接する内層がメタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体と少量の高圧法ポリエチレンとの配合物からなり、前記内層の外側に形成される外層がチーグラー系もしくはメタロセン系触媒で重合された結晶性ポリプロピレンからなり、前記内層の層厚が外層の層厚より厚いことを特徴とする。柔軟性と透明性に優れ、医療用ソフトバックを製造した場合の製袋能力を画期的に上げ、例えば115℃のスプレー滅菌処理に対する耐熱性にも優れる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、医療用ソフトバッグに使用される多層フィルムに関し、詳しくは、柔軟性と透明性に優れ、ポリエチレン(PE)系樹脂を利用して製袋能力を画期的に改善し、例えば115℃のスプレー滅菌処理に対する耐熱性にも優れた多層フィルムと該多層フィルムを用いた医療用ソフトバッグに関する。
各種の医療薬液を非経口(例えば静脈)投与するときに、ガラス、プラスチック製の硬質容器に代わって、軟質プラスチックフィルムから構成されたソフトバッグが多く使用されている。このソフトバッグは、投与時に内容物の薬液が排出されると、若干の陰圧となるので、大気圧によってバッグが押しつぶされて、薬液の排出速度が一定に保持されながら薬液が完全に排出されなければならない。このためにはソフトバッグには、大気圧によって容易に変形する十分な柔軟性が要求される。
また、このソフトバッグには、内容物の薬液を肉眼で容易に検査できるように高い透明性も要求される。さらに、このソフトバッグは、内容物の薬液が充填、封緘された後に、105〜110℃のオートクレーブ中で10〜60分間、スプレー−滅菌処理が施される。このためにソフトバッグには、このスチーム滅菌処理で溶融、変形あるいは液もれが発生しないような耐熱性が必要となる。また、このスプレー滅菌処理後に室温まで冷却されるときに、水分の吸着あるいはフィルムを構成するプラスチックの結晶化などにより、透明性が低下することもある。
ソフトバッグ用の軟質プラスチックフィルムの材料として、従来から塩化ビニル樹脂100重量部に各種の可塑剤を50〜100重量部添加した軟質塩化ビニル樹脂が柔軟性とともに、透明性、スチーム滅菌の耐熱性、成形性および経済性にも優れることから広汎に用いられてきた。しかしながら、近年急速に浮上してきた環境問題は、軟質塩化ビニル樹脂中の可塑剤に対する環境ホルモンの疑念および塩化ビニル樹脂に対する廃棄焼却時のダイオキシン発生の危惧から軟質塩化ビニル樹脂を直撃し、軟質塩化ビニル樹脂の使用、とりわけ食品、玩具あるいは医療器具などのように、直接人体に接触する可能性のある用途での使用は困難となってきた。
しかしながら、汎用の非塩化ビニル系樹脂は、単独ではソフトバッグに必要とされる全ての特性、即ち、柔軟性、透明性、耐熱性などの特性を得ることが困難である。例えば、汎用ポリエチレン(PE)のうち、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)あるいはエチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メチルメタクリル酸などとの共重合体(EVA、EA、EMMA)などは柔軟性、透明性に優れるが、医薬品の求めるスプレー滅菌温度は105から107℃程度しか耐えず、耐熱性の点で問題がある。
また、例えば、ホモ、ランダムあるいはブロックタイプの汎用のプロピレン(PP)系樹脂は耐熱性には優れるが、柔軟性に劣るため、薬液の排出性に問題があるとともに、低温域での落袋強度が低下する。さらに上記の汎用のプロピレン系樹脂と、エチレン系エラストマーあるいはスチレン系エラストマーとの組成物も、柔軟性と耐熱性が相反する傾向にあり、両方の性能を満足させることは困難である。また局方で決められている滅菌後の薬液容器内のPPの10μ以下の微粒子は、PEに比べて極めて多く、PEの方が遥かに有利である。
また、積層構造とすることで単独材料フィルムが有する欠点を補う技術も知られており、例えば共押出し技術により、層間密着性を向上させた技術として、エチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするエチレン系樹脂と、プロピレン・α−オレフィン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂による積層体を形成する例も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−266616号公報
ところが、従来のプラスチックフィルムでは、柔軟性と透明性、さらに115〜121℃のスプレー滅菌処理に対する耐熱性などについて全て満足が得られるようには構成されておらず、特に医療用ソフトバッグに使用される場合には、ポートと呼ばれる液体の排出口とフィルムを溶着させる必要があるため、滅菌処理の温度に耐熱性と、ポート融着のためのシール可能な融点を備えたフィルムが必要とされている。
そこで本発明は、加工性が非常に高く、アセンブリ特性に優れた医療用ソフトバッグに用いられる多層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、柔軟性、透明性及び強度や耐衝撃性などの機械的物性に優れている、メタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体に着目し、このエチレン系樹脂を用いた多層フィルムについて鋭意検討を重ねた。このメタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体は、従来からある高圧法、中圧法あるいは低圧法で製造されているエチレン系樹脂よりもプロピレン系樹脂、とりわけメタロセン系触媒で重合されたプロピレン系樹脂との相溶性に優れており、其の中でも特定のPPとPEを使用することで多層フィルムの層間接着性が飛躍的に向上し耐熱性が飛躍的に上がることを見出した。
さらに、少なくとも2層の共押出フィルムからなり、内容物の薬液に接する内層が、メタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体との配合物であり、上記の内層に隣接する外層が、チーグラー系もしくはメタロセン系触媒で重合された結晶性ポリプロピレンである多層フィルムを使用することにより、柔軟性、耐熱性および耐寒性に優れた医療用ソフトバッグが得られることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、メタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体は、その融点が100℃前後であるために、115〜121℃のスチーム滅菌処理には耐えることができず、変形あるいは溶融してしまうが、このメタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体で内層を設け、さらに、融点が125〜170℃であるチーグラー系もしくはメタロセン系触媒で重合された結晶性ポリプロピレンからなる外層を形成し、内層の層厚が外層の層厚より厚いように設定することで、スプレー滅菌に対する耐熱性を大幅に改善でき、同時にポートなどの医療用ソフトバッグ構成材料に対する密着性も向上させることができる。
本発明の多層フィルムによれば、医療用ソフトバッグを構成した場合に、成形性に優れ、ポートとのアセンブリ加工などを良好な接着性を維持して執り行うことが出来る。すなわち、外層に融点約160℃のポリプロピレン系樹脂材、ヒートシール面となる内層には融点が約110℃の低いポリエチレン形樹脂材を使用する事で高温度で熱シールが出来る。本発明の多層フィルムを用いた工法は、熱シール時間が単なるPE材に比べて圧倒的に短くなるので生産効率が極めて高くあり、シール機械能率を30%以上改善できる。医療用ソフトバッグ製造時においては、1次・2次シールのポートとフィルムのトライアングル部の高温金型が入る時点でのフィルムの薄肉化に起因するピンホールも避けられることになる。
以下、本発明の医療用ソフトバッグに用いて好適な多層フィルムの実施の形態について詳細に説明する。
本発明でいう、メタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体とは、エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数が3〜12のα−オレフィンのうち、好ましくは、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1およびオクテン−1よりなる群から選択される、1種類または2種類以上である。さらに好ましくは、ヘキセン−1である。
メタロセン触媒としては、次に示す一般式(I) に示されるメタロセン化合物を挙げることができる。一般式(I)ML(式中、MはZr、Ti、Hf、V、Nb、Tn及びCrからなる群から選ばれる遷移金属であり、Lは遷移金属に配位する配位子であり、少なくとも1個のLはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、該シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリローキシ基、トリアルキルシリル基、SO3 R基(但し、Rはハロゲン等の置換基を有していても良い炭素数1〜8の炭化水素基)、ハロゲン原子又は水素原子であり、xは遷移金属の原子価である。)
メタロセン系触媒は、具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロッパ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第5,055,438号明細書、および国際公開公報WO91/04257号明細書等に記載されているメタロセン触媒もしくはメタロセン/アルモキサン触媒、又は、例えば国際公開公報WO92/07123号明細書等に開示されているようなメタロセン化合物と、該メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物とからなる触媒を挙げることができる。
このメタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.880〜0.920g/cmであり、融点が90〜110℃であり、190℃、2.16kg荷重で測定したMFRが1.0〜10dg/minの範囲にあるものが好ましい。医療用ソフトバッグとして理化学・細胞毒性・微粒子の品質試験に合格し、高い透明性・柔軟性に優れ、容器としての低温落下強度とフィルムの物理特性とフィルムとバッグの製造適性を得て、滅菌温度がPEでありながら115℃に十分耐えられるには、メタロセン系触媒によって重合された高融点のエチレン・α−オレフィン共重合体と、プロピレン系樹脂、とりわけメタロセン系触媒で重合された高融点のプロピレン系樹脂とを多層フィルムにすることが好ましい。従来からある高圧法、中圧法あるいは低圧法で製造されているエチレン系樹脂よりも、メタロセン系触媒で重合された高融点のプロピレン系樹脂との共押出による多層フィルムとすることで層間接着性が飛躍的に向上し、製袋能力と耐熱性が飛躍的に上がることを見出した。
このメタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体に、密度が0.92〜0.93g/cmであり、融点が105〜115℃の範囲にある汎用の高圧法ポリエチレンを少量配合することにより、115℃でのスプレー滅菌に対する耐熱性を改良できた。高圧法ポリエチレンの配合量は、10〜40重量%の範囲が好ましく、10重量%未満であると耐熱性が乏しく、40重量%超であると透明性と柔軟性が低下する。
上記の配合物の密度は0.890〜0.930g/cm、好ましくは、0.900〜0.920g/cmと比較的高密度のものであり、また190℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、1.0〜10.0dg/min、好ましくは、2.0〜5.0dg/minである。
ここで、この配合物の密度が0.890g/cm未満であると、強度や耐熱性が著しく悪化し、密度が0.930g/cm超であると、柔軟性が低下するとともに、結晶性ポリプロピレンとの相溶性が低下し、多層フィルムの層間接着性が低下する。また、この配合物のMFRが1.0dg/min未満であると、溶融粘度が過大となり、フィルム成形時にメルトフラクチャー現象が発生し、一方、MFRが5.0g/10分超であると、溶融張力が低下し、成形加工時にバブルの安定性が損なわれる。
本発明でいう、結晶性ポリプロピレンとは、チーグラー系触媒もしくはメタロセン系触媒を用いて、一段あるいは二段以上の多段重合法により重合されたプロピレンの単独重合体あるいはプロピレンと15重量%以下、好ましくは1〜5重量%の炭素数2または4〜12のα−オレフィンとの共重合体である。ここで、共重合されるα−オレフィン含量が15重量%超であると、粘着性が増し、得られるフィルムのブロッキングが顕著となる。炭素数が2または4〜12のα−オレフィンのうち、好ましくは、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1およびオクテン−1よりなる群から選択される、1種類または2種類以上であり、さらに好ましくはエチレンである。
この結晶性ポリプロピレンは230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、0.2〜20g/10分、好ましくは、0.5〜10dg/minである。
MFRが0.2dg/min未満であると、溶融粘度が過大となり、一方、MFRが10dg/min超であると、溶融張力が低下し、ともに成形加工性が悪化する。
この結晶性ポリプロピレンには、その透明性および耐熱性を損なわない範囲で、エチレンとプロピレン、ブテン−1などとの共重合体エラストマーあるいはスチレンとブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンとのブロック共重合体エラストマーなどを添加しても良い。
本発明の、少なくとも2層の共押出フィルムからなる多層フィルムにおいて、フィルムの総厚さは150〜500ミクロン、好ましくは200〜300ミクロンであり、メタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体に少量の高圧法ポリエチレンを配合したものからなる内層と結晶性ポリプロピレンからなる外層との厚さ比率は、内層が60%に対して、外層が40%である。外層の比率が40%より小さくなると、多層フィルムの耐熱性が低下し、115℃でのスプレー滅菌処理に耐えることができず、また50%より大きくなると、多層フィルムの剛性が上がり、内容薬液の排出が安定しない。また50%より大きくなると、局方で言うポリエチレン(PE)材質とはならない。
この多層フィルムは、結晶性ポリプロピレンからなる外層のさらに外側に、酸素、二酸化炭素あるいは水蒸気に対するガスバリア性、透明性、柔軟性、耐熱性、強度などの要求性能に応じて、他の樹脂または樹脂組成物からなる層を設けても良い。
本発明の、少なくとも2層の共押出フィルムからなる多層フィルムは例えば、水冷もしくは空冷の多層インフレーション法、多層Tダイ法、押出ラミネート法によって得ることができる。中でも、成形加工性および透明性の点で、好ましいのは水冷式の下向き多層インフレーション法である。
こうして得られる円筒状またはフラット状の多層フィルムはヒートシール、超音波ウェルダーなどの公知の製袋手段によって、必要な形状・形態の医療薬液用の容器を形成できる。
図1は、本発明の多層フィルムを用いた医療用ソフトバッグ10を示す図である。医療用ソフトバッグ10は、概ね2枚の多層フィルムを内側層同士が接触するように重ねて周囲を熱圧着した袋状の液状内容物の提供容器である。周辺部15は後述する金型に圧着され、その圧着された内側が薬液などを充填する充填部12である。下端には、点滴などの際に吊り下げるための穴部16が形成され、上端には排出部材11が設けられている。
排出部材11は、図2に示すように、医療用ソフトバッグ10の充填部12と袋の外側を連絡するための中空筒状のポート25と、該ポート25の先端側に取り付けられたキャップ部を有している。キャップ部は、内側に配された内キャップ部24と、該内キャップ部24にゴム栓22を介して対向する外キャップ部26と、指先で引っ張ることで外キャップ部26と共に開封できるプルトップ部21と、ポート25の先端側に配されてなる熱シールフランジ部23とを有しており、熱シールフランジ部23の上面に内キャップ部24が融着されている。このような構造のキャップ部及びポート25は、特に医療用であることから粒子などの析出を抑えることができるポリエチレン系樹脂で形成されている。
特に、本発明の多層フィルムを用いた医療用ソフトバッグ10では、ポート25と多層フィルムの融着が良好になされるという利点がある。すなわち、本発明の多層フィルムでは、外側に比較的に融点の高いチーグラー系もしくはメタロセン系触媒で重合された結晶性ポリプロピレンが配されるが、内側にメタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体と少量の高圧法ポリエチレンとの配合物が比較的に厚い膜厚で形成されることから、このエチレン系樹脂からなる内層が確実に同種の材料からなるポート25の外周面に融着する。このとき、多層フィルムの全厚みを200ミクロン以上とすることで、後述する機械的な熱プレスでの作業を効率よく進めることが可能となり、歩留まりも極めて良好である。この医療用ソフトバッグ10では、2段階の熱プレスで、シールを形成することができ、1回目のシールでシール部14が形成され、更にポート25の周囲に密着させる2回目のシールでシール部13が形成される。
図3は、この2段階の熱プレス工程と、冷却工程を説明する工程断面図である。予め、フィルム30からなる医療用ソフトバッグの袋部分の上端以外を熱或いは超音波などで融着させ、充填部12を周辺部15の内側に形成する。次いで医療用ソフトバッグ10の上端で開口した部分に中空筒状のポート25を差し込み、図3の(a)のように上側金型31と下側金型32が対向する金型内セットする。これら上側金型31と下側金型32は、結晶性ポリプロピレンの融点よりは低く、エチレン系樹脂の融点よりは高い温度に昇温されており、プレスすることで概ねフィルム30の上端部が閉じられる。
次に更にポート部分での接着を強固なものとするため、図3の(b)のように、よりポート25の形状に即してさらに狭い範囲でプレスする上側金型33、下側金型34を用い、これら上側金型33、下側金型34を同様に昇温させた上で、型合わせし、ポート25の周囲にフィルム30を密着させる。
医療用ソフトバッグでは、ピンホールなどの発生や接合部の溶着不良は患者等の生命にかかわるものであることから、極めて高い品質での溶着が必要であり、そのため図3の(c)に示すような、冷却用の上側金型35、下側金型36を用いて、冷却される。この場合、図1に示したシール部14、13とさらにその周囲を含めて共に冷却される。
以下の表1は、フィルム肉厚200μm一定とした場合での従来のPE多層フィルムと本発明にかかる多層フィルムの製袋工程での1次・2次シール金型のシール時間を比較したものである。表1からも明らかなように、シール時間を短縮することができ、本発明の多層フィルムを用いた医療用ソフトバッグの製造作業の効率は高いものとなる。
Figure 2007245490
以下、実施例を用いて、さらに具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。尚、後述の表3のデーターは厚薄精度mm・引張強度N/mm2・引張伸度%・引張弾性率Mpa・引裂強度N/mm・突刺強度は50mm/mにおいて、透明度は%とし、以下の実施例において「部」は、特に断らない限り「重量部」を示す。
以下の実施例および比較例でそれぞれ用いた樹脂ク゛レート゛名とその略称および特性すなわち一般的材質・メルトフローレイト:MFR(190℃もしくは230℃、dg/min)、密度(g/cm3)曲げ弾性率(MPa)および融点(℃)を表2に示す。
Figure 2007245490
[2層フィルムの成形]
次の表3に示す内層用樹脂2種類の配合を変更したものと、先の表2に示す外層用樹脂から選定した1種類を用いて、住友モダンマシナリー製水冷インフレフィルム製造装置により、ダイス温度、220℃、引取速度、20m/分の設定条件のもとで、折径が260mm、厚さが250ミクロンの3層フィルムを作成した。このとき、内層と外層の厚さ比率を、内層が1に対して外層を0.1〜1.5の範囲で変更して、3層共押出フィルムを成形した。
Figure 2007245490
更には表3の大枠の体系実験から、目的とするフィルムを得るには更に絞込みスプレー滅菌で全く変形の発生しない叉透明性の落ちないフィルムを表4のように絞り込んだ。
Figure 2007245490
(1)柔軟性(MDおよびTD方向の引張弾性率)
上記実施例および比較例で得られた200μ厚さのフィルムをそれぞれMD方向(押出方向)とTD方向(押出方向に対して直角方向)に、JIS2号型ダンベルで打ち抜いた引張試験用試験片について、JISK7113「プラスチックの引張試験方法」に、準拠して、チャック間距離:80mm、クロスヘッド速度:50mm/分で室温での引張試験を行い、柔軟性の目安となる弾性率を求め、結果を表2に示した。表中、弾性率はMPaを単位とする数値で、柔軟性は弾性率300MPa以下を○(柔軟性良好)、300MPaを超える場合を×(柔軟性不足)として示した。
(2)透明性
上記フィルムについて、JISK7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、ヘイズメータによりヘイズ(入射光に対する出射光の割合:%)を測定するとともに、透明性が90%以上の場合のみのフィルムを選択した。結果を表3に示す。
(3)スプレー滅菌耐熱性
折径が140mmの上記フィルムを250mm長さに切断し、500mlの水を入れて両端をヒートシールしたソフトバッグ状試料を日阪製作所製レトルト試験機中で、121℃×30分放置した後、取り出して室温まで冷却して、フィルムの変形、白化などを観察した。試験前の試料と全く変化の無いものは(◎)ほとんど変化がないものを良好(○)、フィルムの変形、アバタ跡(レトルト試験機の棚に使用されるパンチングメタルの跡)あるいは白化が見られるものを不良(×)と評価した。結果を表4に示す。
表3・表4に示す結果からもわかるように、各実施例で得られたフィルムは、柔軟性、透明性およびスチーム滅菌耐熱性にも優れるものであった。これに対して、内層のメタロセン系エチレン・αオレフィン共重合体に過少あるいは過大に高圧法ポリエチレンを添加した場合、あるいは外層の結晶性ポリプロピレンの厚さが過少あるいは過大なばあいともに、柔軟性、透明性および耐熱性のバランスが崩れる。
表3、4に示すように、少なくとも内層であるメタロセン系触媒によって重合されたポリエチレン系樹脂(PE)の融点は摂氏106度有り、叉メタロセン系触媒で重合された融点170℃以上のポリプロピレン系樹脂(PP)を多層にし、其の多層比例を事例PE:PP=60:40とPE過多とする事で求める輸液用のソフトバッグができあがった。本フィルムが出来ることで薬液が高温滅菌が必要で、ポリエチレンと同等の安全性が必要とされる製品の開発が可能となり、また一般輸液でも図り知れない適合が可能となる。
本発明の多層フィルムを用いた医療用ソフトバックの一例を示す側面図である。 本発明にかかる医療用ソフトバックに用いられる排出部材の一例を示す断面図である。 本発明にかかる医療用ソフトバックの製造工程の一部を説明する模式図であり、(a)は1次シール工程の分図、(b)は2次シール工程の分図、(c)は冷却工程の分図である。
符号の説明
10 医療用ソフトバック
11 排出部材
12 充填部
13 シール部
14 シール部
15 周辺部
16 穴部
21 プルトップ部
22 ゴム栓
23 熱シールフランジ部
24 内キャップ部
25 ポート
26 外キャップ部
30 フィルム
31 上側金型
32 下側金型
33 上側金型
34 下側金型
35 上側金型
36 下側金型

Claims (9)

  1. 共押出フィルムからなる多層フィルムであって、液体内容物に接する内層がメタロセン系触媒によって重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体と少量の高圧法ポリエチレンとの配合物からなり、前記内層の外側に形成される外層がチーグラー系もしくはメタロセン系触媒で重合された結晶性ポリプロピレンからなり、前記内層の層厚が外層の層厚より厚いことを特徴とする多層フィルム。
  2. 薬液からなる前記液体内容物を収納する医療用ソフトバッグの構成材料であって、前記内層は前記薬液に接することを特徴とする請求項1記載の多層フィルム。
  3. 前記薬液の充填後の滅菌工程で、滅菌温度が115℃以上とされることを特徴とする請求項2記載の多層フィルム。
  4. 前記高圧法ポリエチレンは10重量%以上40重量%以下の範囲で配合されることを特徴とする請求項1記載の多層フィルム。
  5. 前記高圧法ポリエチレンは密度が0.92〜0.93g/cmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の多層フィルム。
  6. 当該多層フィルムの全肉厚構成が200μm以上あることを特徴とする請求項1記載の多層フィルム。
  7. 前記内層と前記外層の融点差が40℃以上あることを特徴とする請求項1記載の多層フィルム。
  8. 請求項1乃至請求項7記載の多層フィルムからなる医療用ソフトバッグ。
  9. ポリエチレン系の樹脂材からなるポートを融着させてなることを特徴とする請求項8記載の医療用ソフトバッグ。

JP2006071142A 2006-03-15 2006-03-15 多層フィルム及び医療用ソフトバッグ Pending JP2007245490A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006071142A JP2007245490A (ja) 2006-03-15 2006-03-15 多層フィルム及び医療用ソフトバッグ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006071142A JP2007245490A (ja) 2006-03-15 2006-03-15 多層フィルム及び医療用ソフトバッグ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007245490A true JP2007245490A (ja) 2007-09-27

Family

ID=38590275

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006071142A Pending JP2007245490A (ja) 2006-03-15 2006-03-15 多層フィルム及び医療用ソフトバッグ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007245490A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011049031A1 (ja) * 2009-10-20 2011-04-28 株式会社細川洋行 プラスチックフィルム及び輸液バッグ
WO2012036237A1 (ja) 2010-09-17 2012-03-22 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂シートおよびそれを用いた加熱処理用包装体
WO2012036063A1 (ja) 2010-09-14 2012-03-22 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂多層シートおよびそれを用いた加熱処理用包装体
JP2012509119A (ja) * 2008-11-20 2012-04-19 フレゼニウス メディカル ケア ドイチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 多層フィルムを含む使い捨てバッグ
US8859062B2 (en) 2009-03-17 2014-10-14 Japan Polypropylene Corporation Multilayer propylene resin sheet and heat-treatable packaging material using same
JPWO2016002764A1 (ja) * 2014-07-01 2017-04-27 旭化成株式会社 ポリオレフィン系樹脂組成物、フィルム、医療用バッグ及びチューブ
JP2017107927A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 不二越機械工業株式会社 ワーク加工装置およびこれに用いる薬液収納バッグ
WO2020245251A2 (en) 2019-06-05 2020-12-10 Borealis Ag Multilayer polyproplyene film
WO2022189335A1 (de) 2021-03-09 2022-09-15 Polycine Gmbh Flexible hitzesterilisierbare non-pvc mehrschichtfolie für medizinische verpackungen

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000202002A (ja) * 1998-11-13 2000-07-25 Tosoh Corp 医療用耐熱容器
JP2005053131A (ja) * 2003-08-06 2005-03-03 Japan Polypropylene Corp 積層体及びこれを用いた医療用袋
JP2006027653A (ja) * 2004-07-15 2006-02-02 Chuei Products Co Ltd ポリプロピレン系樹脂製複室袋

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000202002A (ja) * 1998-11-13 2000-07-25 Tosoh Corp 医療用耐熱容器
JP2005053131A (ja) * 2003-08-06 2005-03-03 Japan Polypropylene Corp 積層体及びこれを用いた医療用袋
JP2006027653A (ja) * 2004-07-15 2006-02-02 Chuei Products Co Ltd ポリプロピレン系樹脂製複室袋

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012509119A (ja) * 2008-11-20 2012-04-19 フレゼニウス メディカル ケア ドイチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 多層フィルムを含む使い捨てバッグ
US8859062B2 (en) 2009-03-17 2014-10-14 Japan Polypropylene Corporation Multilayer propylene resin sheet and heat-treatable packaging material using same
JP5608670B2 (ja) * 2009-10-20 2014-10-15 株式会社細川洋行 プラスチックフィルム及び輸液バッグ
US9096040B2 (en) 2009-10-20 2015-08-04 Hosokawa Yoko Co., Ltd. Plastic film and infusion bag
WO2011049031A1 (ja) * 2009-10-20 2011-04-28 株式会社細川洋行 プラスチックフィルム及び輸液バッグ
CN102574387A (zh) * 2009-10-20 2012-07-11 株式会社细川洋行 塑料膜及输液袋
AU2010309023B2 (en) * 2009-10-20 2014-03-27 Hosokawa Yoko Co., Ltd. Plastic film and infusion bag
US8877310B2 (en) 2010-09-14 2014-11-04 Japan Polypropylene Corporation Propylene resin multi-layer sheet, and packaging body for heat treatment using same
WO2012036063A1 (ja) 2010-09-14 2012-03-22 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂多層シートおよびそれを用いた加熱処理用包装体
WO2012036237A1 (ja) 2010-09-17 2012-03-22 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系樹脂シートおよびそれを用いた加熱処理用包装体
JPWO2016002764A1 (ja) * 2014-07-01 2017-04-27 旭化成株式会社 ポリオレフィン系樹脂組成物、フィルム、医療用バッグ及びチューブ
JP2017107927A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 不二越機械工業株式会社 ワーク加工装置およびこれに用いる薬液収納バッグ
US10632590B2 (en) 2015-12-08 2020-04-28 Fujikoshi Machinery Corp. Work processing apparatus and liquid chemical bag for the same
WO2020245251A2 (en) 2019-06-05 2020-12-10 Borealis Ag Multilayer polyproplyene film
WO2020245251A3 (en) * 2019-06-05 2021-01-14 Borealis Ag Multilayer polyproplyene film
US11752743B2 (en) 2019-06-05 2023-09-12 Borealis Ag Multilayer polypropylene film
CN113924211B (zh) * 2019-06-05 2023-09-22 北欧化工公司 多层聚丙烯膜
WO2022189335A1 (de) 2021-03-09 2022-09-15 Polycine Gmbh Flexible hitzesterilisierbare non-pvc mehrschichtfolie für medizinische verpackungen

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007245490A (ja) 多層フィルム及び医療用ソフトバッグ
EP2004745B1 (en) Retortable composition
JP5317513B2 (ja) 多層フィルム、薬液バッグとその製造方法、および薬液バッグの滅菌処理方法
JP4144904B2 (ja) 多層フィルムおよび容器
JP2002011839A (ja) 医療用液体容器用プラスチックフィルム
JP6873925B2 (ja) 縦方向に配向される多層フィルム及びそれらを含む物品
JP4571328B2 (ja) 多層フィルムおよびそれを用いた容器
JP2018521879A (ja) 縦方向に配向される多層フィルム及びそれらを含む物品
EP1153742B1 (en) Multilayered film and container
JPH09262948A (ja) 樹脂積層体およびその用途
JP2018521880A5 (ja)
MXPA02005804A (es) Pelicula multicapas libre de pvc, que puedes ser autoclave, en particular para el empaque de liquidos, productos medicinales, procedimiento de produccion, y uso.
JP2022500277A (ja) 装備を備えたリサイクル可能な包装
JP6675609B2 (ja) 菌床栽培袋用フィルム及び菌床栽培袋
JP4249817B2 (ja) 輸液容器
JP4840721B2 (ja) レトルトパウチ
JP2006027653A (ja) ポリプロピレン系樹脂製複室袋
JP4644480B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂製複室袋
JP2011079307A (ja) 樹脂シートおよび樹脂製容器
JP4101465B2 (ja) 高圧蒸気滅菌可能で薬液を保存する医療用容器
JP2005178244A (ja) 医療容器用積層フィルム並びにこの積層フィルムを用いた医療用容器及びその製造方法
JP4287966B2 (ja) 積層体及びそれからなる医療用袋
CN115556448B (zh) 生物工艺袋用多层膜及其应用
JP4906159B2 (ja) 積層体及び医療用袋
JPH07164604A (ja) 医療容器用基材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110105

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110906