JP2007030901A - 容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の容器は、例えば、ヒートシール面が対峙するように配置された熱可塑性樹脂フィルムを融着して周囲に強シール部を形成し、該強シール部によって囲繞された空隙が、液密かつ再剥離可能な易剥離シール部によって複数の区画に区分された容器であり、前記易剥離性シール部に幅方向に非対象形状の強融着部形成するか、幅方向の強融着側に強融着部を密に形成するか、幅方向に対して傾斜して強融着部を形成する。
【選択図】図1
Description
しかしながら特許文献1および特許文献2に開示されている技術では、剥離しやすい境界部分を形成するためにその部分を多層構成とせざるを得ず、単層フィルムには適用できないためにフィルム製造コストが高くなるという問題があった。また、特許文献3に記載された技術では、特定のコーティング剤が必要であり、製造工程が煩雑になり、結果として製造コストが増加するという問題があった。
特にヒートシールバーの目のピッチが狭い場合には、このような位置合わせが特に難しいうえ、仮にヒートシール温度を一定温度に維持した場合であっても、複室輸液容器ごとに隔離強度がばらつく場合があり、所望の剥離強度の複室輸液容器を安定に生産することが望まれていた。
また、本発明は、境界シール部によって包装袋内が区画された容器であって、この境界シール部が、安定した剥離強度を有し、しかもこの境界シール部の剥離性が方向性を有する容器を提供することを目的としている。
(1)該易剥離性シール部に強融着部が形成されており、該強融着部を、易剥離性シール部の幅方向に対して非対称の形状に形成する。
(2)易剥離性シール部に強融着部と弱融着部とが形成されており、該易剥離性シール部の幅方向の強融着側に強融着部を密に形成する。
(3)該易剥離性シール部に強融着部が形成されており、強融着部の融着強度が易剥離性シール部の幅方向に対して傾斜を有するように形成する。
また、本発明において融着とは、熱可塑性樹脂フィルムを加熱しながら押圧して密着させたものを意味し、熱可塑性樹脂フィルムが溶融して完全に一体化しその境界が不明である状態を指すだけでなく、液密性が保たれている限りにおいて、熱可塑性樹脂フィルム同士の境界が認められる状態をも含むものである。
薬剤室に隔てられた複室輸液容器であり、この容器を複室に分画する際に、上記のように特定の方法で形成した易剥離性シール部によって区画する。この易剥離性シール部には、所定の方法により強剥離部が形成されており、この強剥離部を形成することにより、この易剥離性シール部を一方の側からは剥離しにくく、他方の側からは剥離しやすくすることができ、この易剥離性シール部に剥離性の方向性を賦与することができる。
まず、本発明の容器である複室輸液容器を例にして本発明の容器について説明する。
図1は、本発明の複室輸液容器10の一例であって、この複室輸液容器10は、熱可塑性樹脂フィルムから形成され、薬剤が充填される2つの薬剤室11、12を備えたものである。この例の複室輸液容器10においては、一方の薬剤室11には薬剤投入部13が接続され、他方の薬剤室12には、これに薬剤を投入するとともに、薬剤を患者に投与する際にここから薬剤を排出させるための薬剤出入部14が接続されている。
この方向により剥離強度の異なるシール部15は、薬剤室11、12にそれぞれ薬剤(充填物)が充填された後、いずれかの区画部に外力を加えることによってシール部15が剥離して、所望の際に薬剤同士を迅速かつ容易に混合できるようになっている。例えば、薬剤室11(区画部11)に充填されている薬剤を、薬剤室12(区画部12)に充填されている薬剤を混入させる場合には、薬剤室11(区画部11)に圧力を加えることによって、隔壁15(シール部15)は貫通するが、薬剤室12(区画部12)に圧力が加えられた場合には、隔壁15(シール部15)に剥離は生じない。即ち、区画部11からの圧力に対しては、シール部15は、易剥離性(弱融着性)であるのに対して、区画部12からの圧力に対しては難剥離性(強融着性)である。
シールすることにより形成することができる。すなわち、シールバーの凹凸が加熱されたフィルムに所定の圧力及び時間で接触することにより、熱可塑性樹脂フィルムが加熱圧着され、この加熱圧着の際に凸部はより強い圧力で熱可塑性樹脂フィルムを相互に密着するため強融着部になり、他方、凹部は圧着力が弱いので熱可塑性樹脂フィルムの密着力が低くなり、弱融着部となる。
また、凹凸は上下のヒートシールバーそれぞれに形成しても良いし、どちらか一方だけに形成することも可能である。また、上下のヒートシールバーに、それぞれに凹凸を形成する場合、上下のヒートシールバーにそれぞれ違う形状の凹凸を形成することもできるし、また上下のヒートシールバーに形成された凹凸配置により、強融着部および弱融着部を所望の位置に配置することもできる。
当然であるが強融着部と弱融着部との間に中間的な強度を有する融着部ができることもある。
1)強融着部を形成する部分の形状自体を幅方向に対し非対称とする方法。
2)強融着部と弱融着部の割合を幅方向に対し非対称とする方法。すなわち、易剥離シール部に強融着部と弱融着部とを形成するが、剥離強度を高くする側に強融着部を多数形成し、逆に剥離強度を低くする側には弱融着部を多数形成して、易剥離シール部の幅方向に剥離強度の勾配を形成する方法。
3)強融着部の融着強度に幅方向に対しテーパーをつけて非対称とする方法。
4) 上記1)〜3)を任意に組み合わせ非対称とする方法。
一般に融着部分の形状が三角形の場合に、開封に要する強度は、三角形の底辺底辺側から頂点頂点側に向かうに従って大きくなる。そこで、上記図3に示すように強融着部を三角形とした場合には、図3(a)に剥離方向(a)で示すように、三角形の頂点から底部に向か
って剥離する際の融着強度は大きくなり、これとは逆に図3(b)に剥離方向(b)で示すよう
に、三角形の底辺から頂部に向かって剥離する際の融着強度は小さくなる。従って、図3(a)に示すように、三角形の頂部側から底部側に向かって剥離する際には、難剥離である
のに対して、図3(b)に示すように、三角形の底部から頂部に向かって剥離する際には、
易剥離である。なお、、図3では強融着部の形状が三角となっているが、これに制限されることはなく、例えば半円や台形、あるいはこれらを組み合わせた駒形状でも線の組み合わせによる形状でも構わない。
図4では、強融着部は四角形で表されており、図4の上部では、強融着部が多数形成されているのに対して、下部には強融着部の数が少ない。したがって、図4に剥離方向(a)
で示す方向からの剥離は易剥離であるのに対して、図4に剥離方向(b)で示す方向からの
剥離は難剥離である。このように、強融着部の分布に差をつけることにより、剥離強度に方向性が生じる。なお、強融着部の形状は、四角に制限されず、他の形状でも構わない。また、強融着部は連続せずに独立して形成されていることが望ましい。
図5に示すように、強融着部を形成するヒートシールバーの形状にテーパーを設けることにより、圧着強度がシール部の幅方向に対し非対称となり剥離強度に方向性が生じる。強融着部は四角形に制限されず、他の形状でも構わない。例えば、図6に示すように一方のヒートシールバーに三角形状の凸部を、それぞれ独立に、多数形成し、他方のヒートシールバーをフラットに形成することにより図2あるいは図3に示すような三角形状の強融着部を形成することができる。
フィルムを上記例示されたような形状のヒートシールバーを用いて、溶着させる場合、上下2本のヒートシールバーの温度設定については特に制限がなく、樹脂が半溶融状態となるように設定すればよい。
シール部の幅方向の一方の端部から剥離したときの開封強度をF1、もう一方から剥離したときの開封強度をF2とし、F1<F2の関係が成り立つ、すなわち、開封強度F2がF1よりも大きい時、このF1の剥離強度は初期値で好ましくは1〜6Nmm/15幅、より好ましくは2〜6N/15mm幅である。
ピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂およびこれらの混合物などを例示できる。また、本発明の容器が上述のような複室輸液容器10である場合には、上述したように、シール強度に方向性を持たせられれば特定の樹脂を選択して使用する必要は特にないので、熱可塑性樹脂フィルムとして医療の分野で用いられるものであれば特に限定されず使用可能であり、塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエーテルサルホン、環状ポリオレフィン、環状ポリオレフィン共重合体、水素化スチレンエチレンブタジエン共重合体などのスチレン系エラストマー、これらの樹脂の混合物、さらにはこれらと上記ポリオレフィン系樹脂との混合物などからなるフィルムも使用できる。また、これらの樹脂は耐熱性向上等の目的で一部架橋されていても構わない。
本発明で使用される熱可塑性フィルムの製造方法については特に限定されず、Tダイ成
形、水冷インフレーション成形、空冷インフレーション成形、ブロー成形、ラミネーション成形などによる製造方法が挙げられる。透明性の観点からはTダイ成形、水冷インフレ
ーション成形が好ましい。
上記のような熱可塑性樹脂フィルムから形成される複室輸液容器は、4方向に強シール部が形成され、この強シール部で囲繞された空隙内に単一方向剥離性融着部が形成され、この単一方向剥離性融着部によって区画された区画部1からの剥離強度F1と区画部2からの剥離強度F2とが異なり、一方の区画部に圧力をかけたときに単一方向剥離性融着部が連通して区画部1と区画部2とが連結状態になるが、本発明の容器はこのような態様のほかに、3方向を強シール部として、他の一方を易剥離性シール部とする容器であってもよい。
図12(a)には、区画部11内に小容器20が収容された複室輸液用沖の正面図の例が
示されている。また、図12(b)、図12(c)は、図12(a)におけるX−X断面図である
。図12において、図1に示す部材と共通の部材には同一の付番が付されている。
ことが好ましい。このように小容器が収容されていない区画部に圧力を加えるようにすることで、シール部15全体に圧力が加わり、確実に剥離貫通させることができる。
とが好ましい。このようにすれば、小容器の易剥離部が、目的とする方向に確実に剥離可能となる。例えば、図12(d)の形態の単一方向剥離部を形成すれば、図の下から上方向に剥離が容易であるようにすることができ、小容器の易剥離部35の剥離の確実性が増す。
本発明の容器は、上述のように複数の区画部が単一方向剥離性融着部(易剥離性シール部)で区画された形態であることが好ましいが、区画部が1つであってもよい。即ち、図11および図13に示すように、単室容器の開口部を上述のような易剥離性シール部で形成し、この開口部を形成する易剥離性シール部を、開封する側からの剥離が容易になるように単一方向剥離性融着部とすることが好ましい。図11(a)は単室容器の開口部として、易剥離性シール部が形成された容器を示す模式図であり、図11(b)は、a-a断面
図であり、一部に易剥離性シールからなる剥離開始部17が形成されており、図11(b)には開封が開始される側に、一部が易剥離シールからなる剥離開始部17が示されている。この剥離開始部17には、上述のように強融着部と弱融着部とが形成されており、この容器の内部からの剥離が容易になる。この容器は、剥離開始部の少し下の樹脂フィルムを持って両方向に引っ張ると、剥離開始部から剥離が開始され、容易にこの容器を開封することができる。しかも、開封開始部が形成されているので、開封開始位置が常にこの剥離開始部であり、常に一定した状態で容器を開封することができる。
ルからなる剥離開始部が形成された容器が模式的に示されており、図13(b)はb−b断面図である。この単室容器においては、容器を形成する熱可塑性樹脂フィルムが、シール部から外側に長く延設されており、この容器を開封する際には、この延設された熱可塑性樹脂フィルム18を持って外側に引っ張ることにより、剥離開始部17から剥離して、この容器を開封することができる。
℃)、密度920kg/m3)からなる厚さ300μmのフィルムを作成した。
このフィルムを2枚重ね、2本のヒートシールバーでこれを挟持することにより、剥離強度に異方性を持つシール部を作成した。
なおシール強度はASTM F88に準拠して測定を行った。具体的にはヒートシールバーに
て融着した部位を含むフィルムを15mm幅に切り出し、引っ張り試験機の冶具にシールしていない部位を挟み込む。200mm/分の速度で上側に引っ張り融着部が剥離したときの力をシール強度とした。結果を表1および図8に示す。
実施例1で使用したヒートシールバーの代わりに、図7に示す様な菱形形状のシールバーを用いて実施例1と同様にしてシールを行い剥離強度の異方性を測定した。結果を表3および図10に示す。バー形状、配列が対称な場合は、剥離強度に異方性を持たせることが出来なかった。
11・・・薬剤室(区画部)
12・・・・薬剤室(区画部)
13・・・薬剤投入部
14・・・薬剤出入部
15・・・シール部(単一方向剥離性融着部)
15a・・・強融着部
15b・・・弱融着部
16・・・強シール部
17・・・剥離開始部
18・・・延設された熱可塑性樹脂フィルム
20・・・第3の区画部
35・・・易剥離部
Claims (7)
- ヒートシール面が対峙するように配置された熱可塑性樹脂フィルムを融着し、再剥離可能な易剥離性シール部が形成されて密閉された区画部を少なくとも1つ有する容器であって、該易剥離性シール部が下記(1)〜(3)よりなる群から選ばれる少なくとも1つの方法により形成されていることを特徴とする容器:
(1)該易剥離性シール部に強融着部が形成されており、該強融着部を、易剥離性シール部の幅方向に対して非対称の形状に形成する;
(2)易剥離性シール部に強融着部と弱融着部とが形成されており、該易剥離性シール部の幅方向の強融着側に強融着部を密に形成する;
(3)該易剥離性シール部に強融着部が形成されており、強融着部の融着強度が易剥離性シール部の幅方向に対して傾斜を有するように形成する。 - 上記易剥離性シール部の強融着部および弱融着部が、熱融着する際に加える圧力および/または温度を調整して融着強度を変化させることにより形成されてなることを特徴とする請求項1記載の容器。
- 一部に易剥離性シールからなる剥離開始部が形成されていることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の容器。
- ヒートシール面が対峙するように配置された熱可塑性樹脂フィルムを融着して周囲に強シール部を形成し、該強シール部によって囲繞された空隙が、液密かつ再剥離可能な易剥離シール部によって複数の区画に区分された容器であり、前記易剥離性シール部が下記の(1)〜(3)のいずれかによって形成されていることを特徴とする容器;
(1)該易剥離性シール部に強融着部が形成されており、該強融着部を、易剥離性シール部の幅方向に対して非対称の形状に形成する;
(2)易剥離性シール部に強融着部と弱融着部とが形成されており、該易剥離性シール部の幅方向の強融着側に強融着部を密に形成する;
(3)該易剥離性シール部に強融着部が形成されており、強融着部の融着強度が易剥離性シール部の幅方向に対して傾斜を有するように形成する。 - 上記易剥離性シール部には、所定の方向からは易剥離性になり、該方向とは逆の方向からは難剥離性になるように融着強度を調整して単一方向剥離性が賦与されていることを特徴とする請求項第4項記載の容器。
- 上記易剥離性シール部には、強融着部と、該強融着部よりも融着強度の低い弱融着部とが形成されており、該強融着部及び弱融着部は、該易剥離性シール部を形成する際に該ヒートシール部にかける圧力および/または温度を調整して形成されてなり、該易剥離性ヒートシール部の易剥離方向からの易剥離性シール部の剥離を容易ならしめるように該強融着部と弱融着部とが易剥離性シール部に配置されていることを特徴とする請求項第4項記載の容器。
- 上記剥離性シール部における易剥離方向からの開封強度F1の初期値が1〜6N/15mmの範囲内または100〜650Nの範囲内にあり、易剥離性シール部の強剥離方向からの剥離強度F2の初期値が6N/15mmまたは650Nを超えることを特徴とする請求項第4項記載の容器。
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