JP4977859B2 - レーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法及び発光素子 - Google Patents

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本発明は、発光膜形成方法及び発光素子に係り、とくにSi−O−Si結合を含む化合物に発光改質層を形成し、レーザーアブレーションにより前記発光改質層と同様の薄膜を所望の基体上に形成するためのレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法及び発光素子に関する。
オプトエレクトロニクス、フォトニクスあるいはバイオ/メディカル分野において、発光素子は必要不可欠である。現在発光素子は、ケイ素やシリカガラスなどリジッドな基体上に形成されることが多い。このことが、デバイスの軽量性、耐衝撃性、耐候性、フレキシブル性などの点において使用を制限していた。また、素子の発光波長も材料によって制限され、一種類の材料から所望の色彩を得ることは困難であった。
所望の基体上の任意の位置及び形状に、所望の色彩を放つ発光素子を形成する手法の確立を課題とする。
そこで、本発明は、上記の点に鑑み、Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上波長266nm未満の光を照射することにより発光改質層を形成し、レーザーアブレーションにより発光改質層を所望の基体上に薄膜化することを可能としたレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法及び発光素子を提供することを目的とする。
本発明のその他の目的や新規の特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法は、Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の光を照射することにより発光改質層を形成した後、発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、酸化雰囲気あるいは還元雰囲気でのレーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化し、前記レーザーアブレーションにおける前記酸化雰囲気の制御あるいは前記還元雰囲気の制御によって前記基体上の形成膜の発光波長を変化させることを特徴としている。
本発明の第2の態様に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法は、Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の光を照射し、その際誘起される酸化反応を増強することにより、発光ピーク波長を長波長側にシフトした所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴としている。
本発明の第3の態様に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法は、Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の光を照射し、その際誘起される還元反応を増強することにより、発光ピーク波長を短波長側にシフトした所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴としている。
本発明の第の態様に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法は、Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の第1の光を照射し、その後、露光された前記化合物に真空中において波長190nm以上266nm未満の第2の光を照射して還元反応を増強することにより、発光ピーク波長を短波長側にシフトした所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴としている。
本発明の第の態様に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法は、Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の第1の光を照射し、その後、露光された前記化合物に、大気又は酸素を含む混合気中において第1の光よりも短い波長で波長190nm以下の第2の光を照射して酸化反応を増強することにより、発光ピーク波長を長波長側にシフトした所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴としている。
本発明の第の態様に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法は、Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の光を照射し、露光された前記化合物に、その後熱処理を加えることにより、所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴としている。
本発明の第の態様に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法は、第1乃至第6の態様において、前記レーザーアブレーションを行うためのレーザ光のエネルギー密度の制御によって、前記基体上の形成膜の発光スペクトルを変化させることを特徴としている。
本発明の第の態様に係る発光素子は、第1乃至第の態様に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法によって形成した発光膜を備えたことを特徴としている。
本発明の第の態様に係る発光素子は、第1乃至第の態様に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法によって、前記基体上の任意の位置及び形状に発光膜を形成したことを特徴としている。
なお、以上の構成要素の任意の組合せもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、材質がリジッドに限定されない所望の基体上に、所望の色彩を放つ発光膜を形成する手法を確立でき、オプトエレクトロニクス、フォトニクスあるいはバイオ/メディカル分野での素子形成の基盤技術として利用可能であるなど多機能マイクロ/ナノサイズの素子形成のための必要不可欠な技術となる。また本発明は、これら分野にとどまらず、今後マイクロ・ナノマシーニング技術を利用して発展する素子形成の分野に多大に利用可能である。
本発明に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法及び発光素子の実施の形態であって、(A)は、Si−O−Si結合を含む化合物に発光改質層を形成する工程の実験概略構成図、(B)はレーザーアブレーションにより基体に発光改質層を薄膜化する工程の実験概略構成図である。 本発明の実施例において、レーザーフルエンス(エネルギー密度)を変化させた場合の、形成膜の赤外吸収スペクトルの変化を示すグラフである。 本発明の実施例において、レーザーフルエンスを変化させた場合の、形成膜の発光の変化の様子を示す写真図である。 本発明の実施例において、レーザーフルエンスを変化させた場合の、形成膜の発光スペクトルの変化を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1で本発明に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法及び発光素子の実施の形態を説明する。図1(A)は、Si−O−Si結合を含む化合物としての固体有機ポリシロキサン表面に発光改質層を形成する工程の実験概略構成であり、固体有機ポリシロキサン(シリコーン)1表面に波長190nm以上266nm未満のレーザー光2が照射され、発光改質層が形成される。
その後、図1(B)のようにチャンバー3内に設置した発光改質層が形成された固体有機ポリシロキサン4に、光学素子としてのレンズ5を通してレーザー光6を集光照射し、チャンバー3内に対向配置された基体7に対してレーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化する(レーザーターゲットとなる発光改質層と実質同一の発光膜を成膜する)。その際、マスク8を基体7上に予め設置しておくと、任意の位置に、任意の形状、大きさの発光膜が形成される。前記基体7はガラス基板等のリジッドなものに限定されず、フレキシブルなシート等であってもよい。
図1(A)の工程において、光照射を受けた固体有機ポリシロキサン1の表面には発光改質層が形成され、この発光改質層は、酸化ケイ素であるが、化学量論組成ではない(二酸化ケイ素ではない)ものである。
照射するレーザー光波長が190nm未満になると化学量論組成の二酸化ケイ素が主に改質層として形成されるようになり、発光性が無くなるので、照射するレーザー光は190nm以上である必要がある。また、266nm以上のレーザー光照射では炭素が析出するようになり、発光改質層は得られない。
波長190nm以上266nm未満のレーザー光2を照射する際に誘起される酸化・還元反応の増強・抑制のバランスを制御することにより、固体有機ポリシロキサン表面に所望の色彩を放つ発光改質層を得ることができる。例えば、レーザー光照射時に固体有機ポリシロキサン1が設置される雰囲気を、真空中、大気中、又は大気に含まれる酸素よりも高い濃度の酸素ガス雰囲気と変えることにより、得られる発光改質層の色彩を変化させることができ、酸素濃度が高くなると発光ピーク波長が長波長側にシフトする傾向が見られる。
また、レーザー光照射前に固体有機ポリシロキサン1が置かれている雰囲気によっても発光改質層の色彩が変化する。例えば、レーザー光照射前に固体有機ポリシロキサン1が真空中に置かれている時間が長くなる程発光ピーク波長は短波長側にシフトする傾向が見られる。
波長190nm以上266nm未満のレーザー光2を大気(又は酸素を含む混合気)中で固体有機ポリシロキサン1に照射して発光改質層を形成した場合、その発光改質層を形成した試料に対して、真空中において波長190nm以上266nm未満のレーザー光(同一波長又は異なる波長であってもよい)を照射することによって発光改質層の色彩を変化させることができる。つまり発光ピーク波長を短波長側にシフトすることができる。後工程での真空中のレーザー光照射は還元反応の増強に相当する。
また、波長190nm以上266nm未満のレーザー光2を大気(又は酸素を含む混合気)中で固体有機ポリシロキサン1に照射して発光改質層を形成した場合、その発光改質層を形成した試料に対して、大気(又は酸素を含む混合気)中において波長190nm以下のレーザー光(最初に照射したレーザー光よりも短波長)を照射することによって発光改質層の色彩を変化させることができる。つまり、発光ピーク波長を長波長側にシフトすることができる。後工程での大気(又は酸素を含む混合気)中のレーザー光照射は酸化反応の増強に相当する。
また、波長190nm以上266nm未満のレーザー光2を1気圧の酸素ガス(又は酸素を含む混合気)中で固体有機ポリシロキサン1に照射して発光改質層を形成した場合、その発光改質層を形成した試料に対して、同じ雰囲気中で熱処理をすることで、発光改質層の色彩を変化させることができる。つまり、発光ピーク波長を長波長側にシフトすることができる。後工程の酸素含有雰囲気での熱処理は酸化反応の増強に相当する。
図1(B)の工程において、真空、酸化雰囲気あるいは還元雰囲気でのレーザーアブレーションにより、発光改質層を基体7上に薄膜化するが、酸化雰囲気あるいは還元雰囲気の制御によって基体7上の形成膜(つまり発光膜)の発光波長を変化させることが可能である。酸化雰囲気により酸化反応を増強することで、基体7上の形成膜の発光ピーク波長を長波長側にシフトすることができる。還元雰囲気では逆に形成膜の発光ピーク波長を短波長側にシフトすることができる。
また、レーザーアブレーションを行うためのレーザー光のフルエンス(エネルギー密度)の制御によっても基体7上の形成膜の発光スペクトルを変化させることが可能であり、フルエンスを大きくすることで、発光ピーク波長を長波長側にシフトすることができる。
なお、図1(A)の発光改質層を固体有機ポリシロキサン表面に形成するときのレーザー光と図1(B)のレーザーアブレーションを行うためのレーザー光の波長は同一であっても異なっていてもよい。但し、後述の実施例でも述べるように、図1(A)の発光改質層を固体有機ポリシロキサン表面に形成するときのレーザー光のフルエンスは数10mJ/cmであるのに対し、図1(B)のレーザーアブレーションを行うためのレーザー光のフルエンスは数J〜数10J/cmとなり、大きく異なる。
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
(1) 図1(A)の工程において、固体有機ポリシロキサン1表面に波長190nm以上266nm未満のレーザー光2を照射することで、発光改質層を形成することができ、その際に誘起される酸化・還元反応の増強・抑制のバランスを制御することにより、所望の色彩を放つ発光改質層を得ることができる。
(2) 図1(B)の工程において、レーザーアブレーションにより発光改質層を基体7上に薄膜化するが、レーザーアブレーションを行う雰囲気、つまりチャンバー3内の雰囲気を酸化雰囲気あるいは還元雰囲気となるように制御するよって基体7上の形成膜(つまり発光膜)の発光波長を変化させることが可能である。酸化雰囲気により酸化反応を増強することで、基体7上の形成膜の発光ピーク波長を長波長側にシフトすることができる。
(3) レーザーアブレーションを行うためのレーザー光のフルエンス(エネルギー密度)の制御によっても基体7上の形成膜の発光スペクトルを変化させることが可能であり、フルエンスを大きくすることで、発光ピーク波長を長波長側にシフトすることができる。
(4) 図1(B)のレーザーアブレーションに際して、所望開口部形状のマスク8を用いることにより、開口部位置で規定された所望の位置に、開口部形状及び大きさで規定された所望の形状及び大きさの発光膜を任意(例えば、リジッド又はフレキシブル)の基体7に形成可能である。換言すれば、基体上の任意の位置及び形状大きさに発光膜を形成した発光素子が得られる。
なお、図1(A)において波長190nm以上266nm未満のレーザー光を固体有機ポリシロキサン1に照射したが、レーザー光に限定されるものではない。波長190nm以上266nm未満のレーザー光の発生光源としては、ArFエキシマレーザーやKrFエキシマレーザーを使用することが可能である。
[実施例]
以下、本発明に係るレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法及び発光素子を実施例で詳述する。
Si−O−Si結合を含む化合物としての厚さ2mmのシリコーンゴム表面に、大気中で波長193nmのArFエキシマレーザー光を照射し、白色のフォトルミネセンスを呈する発光改質層を形成させた。ArFエキシマレーザー光の照射条件は、フルエンス(エネルギー密度)40mJ/cm、照射時間20分、繰り返し周波数10Hzとした。
発光改質層が形成されたシリコーンゴムを真空チャンバー内に設置し、ArFエキシマレーザー光を焦点距離300mmのレンズにより集光し、発光改質層に照射した。レーザーのフルエンスは7.5、10及び20J/cmと変化させた。レーザーパルス繰り返しは10Hz一定とした。その結果、レーザーアブレーションにより、基体として20mm離れた対向シリカガラス基板上に膜が形成した。
形成膜の赤外吸収スペクトルを図2に示す。比較のため、発光改質層のスペクトルも併せて示す。レーザー光のフルエンス7.5、10及び20J/cmいずれの場合も、レーザーターゲットである発光改質層とほぼ同一のスペクトルが得られた。これは、発光改質層と同じ結合状態を有する発光膜が形成されたことを意味する。レーザー照射時間は、フルエンス7.5、10及び20J/cmのときそれぞれ60分、5分及び1分45秒であった。
レーザーフルエンスを7.5、10及び20J/cmと変化させた場合、形成膜の発光の様子を図3に示す。これらの発光は、波長325nmのHe−Cdレーザーにより誘起されたフォトルミネセンスである。フルエンスが高くなるとともに、色彩が変化していることがわかった。レーザー照射時間は、それぞれ60分、5分及び1分45秒であった。
レーザーフルエンスを7.5、10及び20J/cmと変化させた場合、形成膜の発光スペクトルを図4に示す。レーザー照射時間はそれぞれ60分、5分及び1分45秒であり、形成膜の膜厚は異なるものの、発光スペクトルはフルエンスが高くなるとともに長波長側にシフトしていることが判明した。
発光改質層が形成されたシリコーンゴムのレーザーアブレーションを、酸素ガス(ガス圧1Pa)雰囲気中で行うと、形成膜は赤色の発光を呈した。
なお、シリコーンゴム表面に設ける発光改質層の形成条件を変更することによって、発光改質層の発光スペクトルを変化させておくことで、レーザーアブレーションの条件は同じであっても最終的に基体に形成される発光膜の発光スペクトルを変化させることができる。
以下、シリコーンゴム表面に設ける発光改質層の形成条件の変更について述べる。
大気中で波長193nmのArFエキシマレーザー光を照射する代わりに、真空中でArFエキシマレーザー光を照射してもよい。真空チャンバー内にSi−O−Si結合を含む化合物としてのシリコーンゴムを設置し、真空引き時間を0〜72時間まで変化させ、シリコーンゴム中に含有している酸素ガス分子の量に定性的に変化を与えて4種類の試料を作製した。このときレーザー光として波長193nmのArFエキシマレーザー光を用いた。ArFエキシマレーザー光の照射条件は、フルエンス(エネルギー密度)40mJ/cm、照射時間20分、繰り返し周波数10Hzとした。
真空引き時間0時間、すなわち大気中で改質した試料は、435nmをピークとするブロードな発光スペクトルを示した。一方、真空引き時間3、30及び72時間の試料は、いずれも400nmをピークとする発光スペクトルが得られた。また、発光波長400nmにおける、真空引き時間と発光強度の関係をプロットすると、真空引き時間0〜72時間までの範囲において、長時間脱ガスした試料ほど、発光強度が強くなることがわかった。また真空引き時間3〜72時間の改質試料の発光スペクトルのピーク強度を規格化すると、真空引き時間が長くなると460nm付近にショルダーを有するスペクトルとなっていることがわかった。従って、改質雰囲気を真空にすることで、波長400nmをピークとする青色発光に変化し、そのスペクトルは真空引き時間3時間のときに最もシャープになり、その強度は72時間のときに最も強くなることがわかった。
大気中で改質した試料を、さらに真空中に設置しArFエキシマレーザー光を再度照射することで、発光スペクトルが変化することを見出した。まず、シリコーンゴム表面にフルエンス40mJ/cm、照射時尚20分、繰り返し周波数10HzでArFエキシマレーザー光を照射した。この改質試料を真空チャンバー内に設置し、72時間真空引きしてシリコーンゴム内外の酸素ガス分子を除去した後、ArFエキシマレーザー光の照射時間を10〜60分まで変化させた。真空中でのArFエキシマレーザー光照射も、フルエンス40mJ/cm、繰り返し周波数10Hz一定の条件で照射した。真空中でのArFエキシマレーザー光照射前の試料と比べ、真空中でArFエキシマレーザー光を照射した試料は、500〜700nm付近の発光強度が弱くなった。一方、400〜450nm付近の強度は強くなった。また、レーザー光照射時間に対する発光スペクトルの変化は、照射時間0から10分の間での変化は著しいが、それ以降はほぼ飽和することがわかった。従って、大気中で改質した試料を、さらに真空中でArFエキシマレーザー光を再度照射することによって、改質層は405nmをピークとする青色発光を示し、そのスペクトル強度はレーザー光照射時間10分で飽和することがわかった。
改質試料にN/O(窒素ガスと酸素ガスの混合気)中でFレーザー光を照射することでも、発光スペクトルの変化を見出した。シリコーンゴムに、ArFエキシマレーザー光を照射し(フルエンス40mJ/cm、照射時間20分、繰り返し周波数10Hz)、その後Fレーザー光(波長157nm)を照射時間10〜120分まで変化させ照射した。そのときのFレーザー光の照射条件は、フルエンス10mJ/cm、繰り返し周波数10Hz一定とした。Fレーザー光を照射すると、10分のときのみ、500〜650nm付近の発光強度が強くなった。一方照射時間20分及び40分では、強度は徐々に減少し、60分以降ほとんど強度変化は認められなかった。この強度変化の際、ピーク波長は、Fレーザー光照射時間が長くなるに伴って、長波長側にシフトしていることが判明した。
改質雰囲気を1気圧の酸素ガスとし、ArFエキシマレーザー光の照射を行った。その際、照射時間を20〜60分まで変化させた。フルエンス及びパルス繰り返し周波数は、それぞれ40mJ/cm、10Hz一定とした。レーザー光照射時間30分のとき、発光強度は最も強くなった。また、酸素ガス中で改質した試料の発光ピーク位置は、大気中で改質した試料よりも長波長側に変化した。このことから、改質試料の発光スペクトルを長波長側まで広げるためには、改質雰囲気を高濃度の酸素ガスとすることが有効であることが判明した。
前記酸素ガス中でArFエキシマレーザー改質(フルエンス40mJ/cm、照射時間30分、パルス繰り返し周波数10Hz)した試料を熱処理したときの効果を調べた。熱処理温度300℃としたとき、発光ピーク波長は483nmと長波長側にシフトし、黄色の色彩を有する発光スペクトルが得られた。
以上本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
1 固体有機ポリシロキサン
2、6 レーザー光
3 チャンバー
4 発光改質層が形成された固体有機ポリシロキサン
5 レンズ
7 基体
8 マスク

Claims (9)

  1. Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の光を照射することにより発光改質層を形成した後、
    発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、酸化雰囲気あるいは還元雰囲気でのレーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化し、前記レーザーアブレーションにおける前記酸化雰囲気の制御あるいは前記還元雰囲気の制御によって前記基体上の形成膜の発光波長を変化させることを特徴とするレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法。
  2. Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の光を照射し、その際誘起される酸化反応を増強することにより、発光ピーク波長を長波長側にシフトした所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、
    発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴とするレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法。
  3. Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の光を照射し、その際誘起される還元反応を増強することにより、発光ピーク波長を短波長側にシフトした所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、
    発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴とするレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法。
  4. Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の第1の光を照射し、その後、露光された前記化合物に真空中において波長190nm以上266nm未満の第2の光を照射して還元反応を増強することにより、発光ピーク波長を短波長側にシフトした所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、
    発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴とするレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法。
  5. Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の第1の光を照射し、その後、露光された前記化合物に、大気又は酸素を含む混合気中において第1の光よりも短い波長で波長190nm以下の第2の光を照射して酸化反応を増強することにより、発光ピーク波長を長波長側にシフトした所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、
    発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴とするレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法。
  6. Si−O−Si結合を含む化合物に、波長190nm以上266nm未満の光を照射し、露光された前記化合物に、その後熱処理を加えることにより、所望の色彩を放つ発光改質層を形成した後、
    発光改質層形成後の前記化合物に対向した基体上に、レーザーアブレーションにより発光改質層を薄膜化することを特徴とするレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法。
  7. 前記レーザーアブレーションを行うためのレーザ光のエネルギー密度の制御によって、前記基体上の形成膜の発光スペクトルを変化させる、請求項1、2、3、4、5又は6記載のレーザーアブレーションを利用した発光膜形成方法。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の発光膜形成方法によって形成した発光膜を備えたことを特徴する発光素子。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の発光膜形成法によって、前記基体上の任意の位置及び形状に発光膜を形成したことを特徴とする発光素子。
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