JP4977512B2 - 免疫標識のための抗体複合体および方法 - Google Patents

免疫標識のための抗体複合体および方法 Download PDF

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Description

(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2001年10月12日に出願した米国特許出願第60/329,068号、2002年4月1日に出願した米国特許出願第60/369,418、および2002年4月5日に出願した米国特許出願第10/118,204(これらの開示は、本明細書中で参考として援用される)に対する優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、生物学的サンプル中の1つ以上の標的の検出および測定において使用するための免疫標識化複合体および方法に関する。本発明は、分子生物学、細胞生物学、免疫組織化学、診断および治療の分野における適用を有する。
(発明の背景)
免疫標識は、サンプル中の標的の存在を定性的および定量的に測定するための方法であり、ここで抗体は、これらの特異的な結合能力に利用される。抗体は、標的(抗原)を有する複合体を形成し、ここで検出可能な標識は、抗体上または二次抗体上に存在する。検出可能な標識は、免疫標識の重要な特徴であり、直接的または間接的に検出され得る。この標識は、結合反応がモニターされる測定可能なシグナルを提供する(但し、結合の程度の定性的および/または定量的尺度)。標識化抗体によって産生されたシグナルの相対的な量および位置は、標的の位置および/または濃度を示すのに役立ち得る。標識をまた使用して、例えば、フローソーティング(flow sorting)または磁性分離媒体を使用することによって、標識化標的を選択し得、そして単離し得る。標識の例として以下が挙げられるが、これらに限定されない:放射活性ヌクレオチド(125I、H、14C、32P)、化学発光化合物、蛍光化合物またはリン光化合物(例えば、ジオキセタン、キサンテンまたはカルボシアニン染料、ランタノイドキレート剤)、粒子(例えば、金クラスター、金コロイド、ミクロスフェア、量子ドット)および酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、グリコシダーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ)。理論上、抗体の結合特性を乱さないが、標識が適切な検出技術によって測定可能になる様式で、標識は抗体に結合される。標識の選択は、因子(例えば、検出の容易さおよび感受性、装置の利用可能性、サンプルのバックグラウンド(他の標識を含む)およびこのような標識が特定の抗体に迅速に結合する程度)によって影響される。抗体の直接的および間接的の両方の標識化は、免疫標識に利用される。直接的な標識化は、一次抗体(すなわち、標識に結合した標的に特異的な抗体)のみを利用する。対照的に、間接的な標識化は、標識に結合した二次抗体を利用し、この二次抗体は、一次抗体(例えば、ヤギ抗ウサギ抗体)に特異的である。免疫標識方法および材料の主要な差異は、標識が抗体−抗原複合体に結合される方法、使用される標識の型および抗体−抗原複合体が検出される手段に存在する。
直接的な標識の一次抗体の制限は、一級アミン、またはキャリアタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA))および他の化合物(例えば、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、グリシン、およびアンモニウムイオン)を含まない緩衝液の必要性が挙げられる。しかし、これらの材料は、抗体緩衝液および精製方法における一般的な成分であり、カップリング反応の前にそれらを除去することが可能(possible)または可能(feasible)であり得ない。特に、多くのモノクローナル抗体は、腹水として、またはハイブリドーマ培養上清にのみ利用可能であるか、またはキャリアタンパク質(例えば、アルブミン)で希釈される。従って、腹水または影響を与える化合物を含む他の媒体中の抗体の直接的な標識は、達成されない。
間接的な免疫標識方法は、代表的に、標識されていない第1の抗体(代表的に一次抗体)をサンプルに直接的に添加し、サンプル中の抗原と複合体を形成する複数工程プロセスに関する。引き続いて、一次抗体に特異的である標識化二次抗体をサンプルに添加し、一次抗体−抗原複合体に非共有結合する。あるいは、検出可能な標識は、免疫グロブリン結合タンパク質(例えば、プロテインAおよびプロテインG)に共有結合し、サンプル中に標的で以前に形成された抗体−抗原複合体を検出する。リガンド(例えば、ストレプトアビジン)を使用して、このカスケード結合をまた伸長する検出可能なシグナルが、増幅するようである。
間接的な免疫標識は、しばしば偽陽性および高いバックグラウンドを生じる。これは、二次抗体が、関連した種に対する吸着によって精製される場合でさえ、同じサンプルに使用される場合、有意な残渣の交差反応性(cross−reactivity)を示し得るという事実に起因する。例えば、マウス組織がマウスモノクローナル抗体でプローブされる場合、二次抗体は、必ず標識化抗マウス抗体でなければならない。この抗マウス抗体は、目的の抗体を検出するが、マウス組織が本来持っている無関係の、内在性のマウス免疫グロブリンを回避不能でかつさらに検出する。これは、有意なバックグラウンドの問題(特に疾患した組織において、アッセイの有用性および感受性を減少する)を原因とする。従って、この有意なバックグラウンドの干渉を除いて、サンプル中の1つを超える一次抗体の同時の検出は、二次抗体の以下の利用性に依存する:1)試験されるサンプルに本来備わっているタンパク質を交差反応しない利用性、2)一次抗体の1つのみを認識する利用性、そして3)互いを認識しない利用性(Breljeら、METHODS IN CELL BIOLOGY 38,97−181,特に111−118(1993))。
間接的な標識においてバックグラウンドの問題に取り組むために、多数のストラテジーを開発して、内因性マウス免疫グロブリンに対する抗マウス二次抗体のアクセスをブロックする。ブロッキングのためのこのようなストラテジーの1つは、選択されたビオチン化二次抗体と一次抗体を複合体化し、一次抗体と二次抗体との複合体を生成し、次いで、これは希釈された正常マウス血清と混合されることに関する(Trojanowskiら、米国特許第5,281,521号(1994))。この方法は、適切な割合の一次−二次複合体を使用する必要性によって限定される。あまりにも低い割合の一次−二次複合体は、特定の染色の減少の原因であり、そして増加したバックグラウンドのレベルは、内因性マウス抗体に結合する複合体化されていない二次抗マウス抗体に起因する。しかし、2つの抗原を同時に結合し、そして交差連結するような全IgG抗体(参照方法に使用されたような)の能力は、あまりにも高い割合を生じ、あまりにも大きく細胞または組織に侵入できない複合体を沈殿するかまたは形成するような複合体を生じる。
サンプル中の内因性免疫グロブリンへのアクセスをブロックするための別のストラテジーは、内因性の免疫グロブリンを認識する無関係の種由来の一価の抗体(例えば、Fab’フラグメント)とサンプルを予めインキュベートすることに関する。このアプローチは、多量の高いFab’フラグメントを必要とし、混合した結果を得、そして染色手順の全体にわたって少なくとも2つの工程(ブロックおよび洗浄)を加える。交差連結剤の添加は、バックグラウンドレベルの改善した減少を生じる(Tsaoら、米国特許第5,869,274号(1997))が、これは、発蛍光団(fluorophore)標識化抗体と共に使用される場合、問題がある。交差連結は、自己蛍光のレベル(従って、バックグラウンド)の増加を生じる(J.Neurosci.Meth.83,97(1998);Mosimanら、Methods 77,191(1997);Commun.Clin.Cytometry 30,151(1997);Beiskerら、Cytometry 8,235(1987))。さらに、交差連結剤とのプレインキュベーションは、しばしばその抗原への結合から抗体をマスクするかまたは阻止する(J.Histochem.Cytochem.45,327(1997);J.Histochem.Cytochem.39,741(1991);J.Histochem.Cytochem.43,193(1995);Appl.Immunohistochem.Molecul.Morphol.9,176 (2001))。
このブロッキングストラテジーのバリエーションにおいて、複数工程の連続的な標識手順を使用して、交差反応性の問題を克服する。このサンプルを、一次抗体とインキュベートし、一次抗体と複合体を形成し、次いで、発蛍光団標識ヤギFab抗マウスIgGとサンプルとのインキュイベーションによって、一次抗体を標識し、そして二次抗体が添加される場合、引く続く複合体形成をブロックする。第3工程において、二次マウス抗体は、二次抗原と複合体を形成する。なぜなら二次抗体は、一次抗体で交差反応をブロックされ、二次マウス抗体は、標準の間接的標識方法を用いて、異なる蛍光染料に結合体化したヤギ抗マウス抗体を使用して検出されるからである(J.Histochem.Cytochem.34,703(1986))。このプロセスは、複数のインキュベーション工程および洗浄工程を必要とし、そしてマウス抗体と共に、マウス組織をプローブするためになお使用され得ない。
別のブロッキング方法は、DAKOによって開発された動物検索キット(animal
research kit:ARK)に開示される。このキットにおいて、一次抗体は、ビオチン標識化ヤギFab抗マウスIgGと複合体化され、そして過剰の遊離のFabが通常のマウス血清でブロックされる。しかし、このプロセスに使用されるFabは(選択領域よりも)インタクトなIgGから生成されるので、抗原結合部位をブロックし、そして免疫標識を阻止する抗パラトープ抗体または抗イディオタイプ抗体の形成の可能性が存在する。ビオチン化抗体はまた、その引き続く可視化のために結合体化する標識化アビジンまたはストレプトアビジンの引き続く添加を必要とする。
本発明は、上記の方法および組成物よりも、生物学的サンプル中の所望の標的の決定のための直接標識の容易でかつ柔軟な間接的な標識の有益性を提供する点について有利である。本発明は、標的結合抗体に特異的な標識化一価タンパク質を提供し、これは添加の前に生物学的サンプルと複合体化される。これらの一価のタンパク質が二価の抗体でないので、沈殿および交差連結は問題でない。従って、本発明の組成物は、同一のアイソタイプまたは異なるアイソタイプのいずれかの、免疫学的に類似のモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体と使用され得る。一価の標識試薬は、標的結合抗体のFc領域に特異的であり、これらの試薬は、一次抗体の結合領域に干渉しない。さらに、一価の標識タンパク質は、BSA、ゼラチン、ハイブリドーマ培養上清または腹水のような一級アミンの存在によって負に影響を与えず、従って、これらの媒体に存在する一次抗体は、本発明の標識試薬で有効に標識化され得る。従って、本発明は、免疫標識の簡便な方法より多数の利点を提供する。
本願発明によって以下が提供される:
(1) 免疫標識複合体を形成するための方法であって、ここで該方法は、以下の工程:
a)標的結合抗体の溶液を標識試薬サブセットと接触させる工程であって、ここで該標識試薬サブセットは、i)標識対標識試薬の比またはii)該標識の物理的特徴によって区別される、工程;
b)該標的結合抗体および該標識試薬サブセットを、1つ以上の標識試薬が標的結合抗体と免疫標識複合体を形成するために十分な時間インキュベートする工程であって、ここで、該標的結合抗体の領域は、標識試薬によって選択的に結合される、工程;
c)必要に応じて、免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含む捕捉試薬を添加することによって、非結合標識試薬を除去する工程;ならびに、
d)必要に応じて、該工程a)、該工程b)、および該工程c)を繰り返して、免疫標識複合体サブセットのパネルを形成する工程であって、ここで、各サブセットは、i)標識対標識試薬の比、またはii)該標識の物理的特性、またはiii)標識試薬対該標識結合抗体の比、またはiv)該標的結合抗体によって別のサブセットから区別される工程;を包含し、但し、該標識試薬は、プロテインAを含まない、方法。
(2) 前記標的結合抗体が、マウスモノクローナル抗体、ウサギポリクローナル抗体またはヤギポリクローナル抗体ある、項目1に記載の方法。
(3) 前記標的結合抗体が、血清タンパク質または腹水タンパク質を含む溶液中に存在する、項目2に記載の方法。
(4) 前記標識試薬が、FabフラグメントまたはFab’フラグメントであり、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(5) 前記標識試薬が、プロテインG、プロテインL、レクチン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、非抗体タンパク質である、項目1に記載の方法。
(6) 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、ハプテン、酵素および放射性同位体からなる群から選択される、項目4または5に記載の方法。
(7) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目6に記載の方法。
(8) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目6に記載の方法。
(9) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテイン誘導体およびキサンテン−フィコビリプロテイン誘導体からなる群から選択される、項目6に記載の方法。
(10) 前記酵素が、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、およびルシフェラーゼからなる群から選択される、項目6に記載の方法。
(11) サンプル中の標的を検出するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)標的結合抗体の溶液を、標識試薬サブセットと接触させる工程であって、ここで該標識試薬サブセットは、i)標識対標識試薬の比またはii)該標識の物理的特徴によって区別される、工程;
b)該標的結合抗体および該標識試薬サブセットを、1つ以上の標識試薬が標的結合抗体と免疫標識複合体を形成するために十分な時間インキュベートする工程であって、ここで、該標的結合抗体の領域は、該標識試薬によって選択的に結合される、工程;
c)該サンプルを、標的結合抗体および標識試薬を含む、該免疫標識複合体と接触させる工程;
d)工程c)の該サンプルを、該免疫標識複合体が、該標的に選択的に結合させるのに十分な時間インキュベートする工程;ならびに、
e)該免疫標識複合体を照射し、それによって該標的が、検出される工程、
を包含し、但し、該標識試薬は、プロテインAを含まない、方法。
(12) 前記標的結合タンパク質が、血清タンパク質または腹水タンパク質を含む溶液中に存在する、項目11に記載の方法。
(13) 前記サンプルが、細胞集団、細胞抽出物、亜細胞成分、タンパク質、ペプチド、組織培養物、組織、体液、またはこれらの部分もしくは組み合わせを含む、項目11に記載の方法。
(14) 前記サンプルが、固体マトリクスまたは半固体マトリクス上に固定される、項目13に記載の方法。
(15) 前記マトリクスが、ゲル、膜、アレイ、ガラス表面または微粒子である、項目14に記載の方法。
(16) 工程b)のインキュベーション工程が、免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含む捕捉試薬とインキュベートする工程をさらに包含し、ここで該タンパク質またはフラグメントは、必要に応じて、マトリクスに結合される、項目11に記載の方法。
(17) 前記標識試薬が、FabフラグメントまたはFab’フラグメントであり、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目11に記載の方法。
(18) 前記標識試薬が、プロテインG、プロテインL、レクチン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、非抗体タンパク質である、項目11に記載の方法。
(19) 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、ハプテン、酵素および放射性同位体からなる群から選択される、項目17または18に記載の方法。
(20) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目19に記載の方法。
(21) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目19に記載の方法。
(22) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテイン誘導体およびキサンテン−フィコビリプロテイン誘導体からなる群から選択される、項目19に記載の方法。
(23) 前記酵素が、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、およびルシフェラーゼからなる群から選択される、項目19に記載の方法。
(24) 前記方法の前記工程e)が、比色基質、蛍光基質または化学発光酵素基質を添加する工程をさらに包含する、項目23に記載の方法。
(25) 前記工程c)の免疫標識複合体が、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、または抗Fcフラグメントである、標識試薬を含み、ここで該フラグメントは、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、フィコビリプロテイン、ボラポリアザインダセン、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、タンデム色素、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、1つ以上の標識に独立して結合される、項目11に記載の方法。
(26) サンプル中の複数の標的を検出するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)標的結合抗体の溶液を、標識試薬サブセットと接触させる工程であって、ここで該標識試薬サブセットは、i)標識対標識試薬の比またはii)該標識の物理的特徴によって区別される、工程;
b)該標的結合抗体および該標識試薬サブセットを、1つ以上の標識試薬が標的結合抗体と免疫標識複合体を形成するために十分な時間インキュベートする工程であって、ここで、該標的結合抗体の領域は、標識試薬によって選択的に結合され、ここで工程a)およびb)が繰り返され、別個の免疫標識複合体サブセットを形成する、工程;
c)該サンプルを、以下:
A)免疫標識複合体のプールされたサブセットであって、ここで各複合体は、標的結合抗体および標的試薬を含み、ここで各サブセットは、別のサブセットから、i)標識対標識試薬の比、またはii)該標識の物理的特徴、またはiii)標識試薬対該標的結合抗体の比、またはiv)該標的結合抗体によって区別される、サブセット、あるいは、
B)個々の免疫標識複合体サブセットであって、ここで複数の個々のサブセットが、該サンプルに添加される、サブセット、
を含む溶液と接触させる工程;
d)工程c)の該サンプルを、該免疫標識複合体が、該標的に選択的に結合させるのに十分な時間インキュベートする工程;ならびに、
e)該免疫標識複合体を照射し、それによって該複数の標的が、検出される工程、
を包含する、方法。
(27) 前記標的結合抗体が、血清タンパク質または腹水タンパク質を含む溶液中に存在する、項目26に記載の方法。
(28) 前記サンプルが、細胞集団、細胞抽出物、亜細胞成分、組織培養物、組織、体液、またはこれらの部分もしくは組み合わせを含む、項目26に記載の方法。
(29) 前記サンプルが、固体マトリクスまたは半固体マトリクス上に固定される、項目28に記載の方法。
(30) 前記マトリクスが、ゲル、膜、アレイ、ガラス表面または微粒子である、項目29に記載の方法。
(31) 工程b)が、免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含む捕捉試薬とインキュベートする工程をさらに包含し、ここで該タンパク質またはフラグメントは、必要に応じて、マトリクスに結合される、項目26に記載の方法。
(32) 前記標識試薬が、FabフラグメントまたはFab’フラグメントであり、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目31に記載の方法。
(33) 前記標識試薬が、プロテインG、プロテインA、プロテインL、レクチン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、非抗体タンパク質である、項目31に記載の方法。
(34) 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、電子移動因子、ハプテン、酵素および放射性同位体からなる群から選択される、項目32または33に記載の方法。
(35) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目34に記載の方法。
(36) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目34に記載の方法。
(37) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテイン誘導体およびキサンテン−フィコビリプロテイン誘導体からなる群から選択される、項目34に記載の方法。
(38) 前記標識が、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、およびルシフェラーゼからなる群から選択される酵素である、項目34に記載の方法。
(39) 前記方法の前記工程e)が、比色基質、蛍光基質または化学発光酵素基質を添加する工程をさらに包含する、項目38に記載の方法。
(40) サンプル中の複数の標的を同定および定量するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)標的結合抗体の溶液を、標識試薬サブセットと接触させる工程であって、ここで該標識試薬サブセットは、i)標識対標識試薬の比またはii)該標識の物理的特徴によって、別の標識試薬サブセットから区別される、工程;
b)該標的結合抗体および該標識試薬サブセットを、1つ以上の標識試薬が標的結合抗体と免疫標識複合体を形成するために十分な時間インキュベートする工程であって、ここで、該標的結合抗体の領域は、標識試薬によって選択的に結合され、ここで工程a)およびb)が繰り返され、免疫標識複合体サブセットを形成する、工程;
c)サンプル中の細胞集団またはそのフラグメントを、以下:
A)免疫標識複合体のプールされたサブセットを含む溶液であって、ここで各該サブセットは、もう一方のサブセットから、i)標識対標識試薬の比、またはii)該標識の物理的特徴、またはiii)標識試薬対該標的結合抗体の比、またはiv)該標的結合抗体によって区別される、溶液、あるいは、
B)個々の免疫標識複合体サブセットであって、ここで個々のサブセットを含む溶液を用いて工程c)が、繰り返される、サブセット;
と接触させる工程
d)該細胞またはそのフラグメントを、該免疫標識複合体が、該標的を結合するのに十分な時間インキュベートする工程;
e)該インキュベートされた細胞集団またはそのフラグメントを、試験ゾーンを通過させる工程;ならびに、
f)該試験ゾーンを通過させられた該細胞またはそのフラグメントからデータを収集し、それによって該複数の標的の同定および定量化を決定する工程、
を含有する、方法。
(41) 前記標的結合抗体が、血清タンパク質または腹水タンパク質を含む溶液中に存在する、項目40に記載の方法。
(42) 工程b)のインキュベーション工程が、免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含む捕捉試薬とインキュベートする工程をさらに包含し、ここで、該タンパク質またはフラグメントは、必要に応じて、マトリクスに結合される、項目40に記載の方法。
(43) 前記標識試薬が、FabフラグメントまたはFab’フラグメントであり、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目42に記載の方法。
(44) 前記標識試薬が、プロテインG、プロテインA、プロテインL、レクチン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、非抗体タンパク質である、項目42に記載の方法。
(45) 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、放射性同位体およびハプテンからなる群から選択される、項目43または44に記載の方法。
(46) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目45に記載の方法。
(47) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目45に記載の方法。
(48) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテインおよびキサンテン−フィコビリプロテインからなる群から選択される、項目45に記載の方法。
(49) 単離された標識試薬を製造する方法であって、ここで該方法は、以下:
a)インタクトな抗領域抗体を、酵素で切断し、Fabフラグメントを生成する工程;
b)工程a)の該抗領域Fabフラグメントを単離する工程;
c)該抗領域Fabフラグメントを選択的に結合する、インタクトな免疫グロブリンタンパク質またはフラグメントを含むマトリクスを、工程b)の該抗領域フラグメントを含む溶液と接触させる工程であって、ここで該抗領域フラグメントは、該マトリクス上に固定される、工程;
d)工程c)の該マトリクスを、反応性基を含む発蛍光団標識を含む溶液と接触させる工程;
e)工程d)の該マトリクスを洗浄し、非結合標識を除去する工程、および
f)該マトリクスから該標識試薬を溶出し、それによって該単離された標識試薬が製造される工程、
を包含する、方法。
(50) 前記抗領域Fabフラグメントが、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目49に記載の方法。
(51) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目49に記載の方法。
(52) 単離された標識試薬を製造する方法であって、ここで該方法は、以下:
a)非抗体タンパク質を選択的に結合する、インタクトな免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含むマトリクスを、該非抗体タンパク質を含む溶液と接触させる工程であって、ここで該非抗体タンパク質は、該マトリクス上に固定される、工程;
b)工程a)の該マトリクスを、反応性基を含む発蛍光団標識を含む溶液と接触させる工程;
c)該マトリクスを洗浄し、非結合標識を除去する工程、および
d)該マトリクスから該標識試薬を溶出し、それによって該単離された標識試薬が、発蛍光団標識を含む標識試薬として製造される工程、
を包含し、但し、該標識試薬は、プロテインAを含まない、方法。
(53) 前記非抗体タンパク質が、プロテインG、プロテインL、レクチン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目52に記載の方法。
(54) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目52に記載の方法。
(55) 単離された標識試薬を製造する方法であって、ここで該方法は、以下:
a)インタクトな抗領域抗体を、酵素で切断し、FabフラグメントまたはFab’フラグメントを生成する工程;
b)工程a)の該抗領域FabフラグメントまたはFab’フラグメントを、反応性基を含む標識を含む溶液と接触させる工程;および
c)サイズ排除クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーによって標識抗領域FabフラグメントまたはFab’フラグメントを単離し、それによって単離された標識試薬が、製造される工程、
を包含する、方法。
(56) 前記抗領域FabフラグメントまたはFab’フラグメントが、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目55に記載の方法。
(57) 前記標識が、蛍光タンパク質またはタンデム色素である、項目55に記載の方法。
(58) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目55に記載の方法。
(59) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテインおよびキサンテン−フィコビリプロテインからなる群から選択される、項目55に記載の方法。
(60) プロセスによって作製される単離された標識試薬であって、ここで該プロセスは、以下:
a)インタクトな抗領域抗体を、酵素で切断し、FabフラグメントまたはFab’フラグメントを生成する工程;
b)工程a)の該抗領域FabフラグメントまたはFab’フラグメントを、反応性基を含む標識を含む溶液と接触させる工程;
c)サイズ排除クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーによって標識抗領域FabフラグメントまたはFab’フラグメントを単離する工程、
を包含する、標識試薬。
(61) 前記抗領域FabフラグメントまたはFab’フラグメントが、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目60に記載の標識試薬。
(62) 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、放射性同位体、およびハプテンからなる群から選択される、項目60に記載の標識試薬。
(63) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目62に記載の標識試薬。
(64) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目62に記載の標識試薬。
(65) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテインおよびキサンテン−フィコビリプロテインからなる群から選択される、項目62に記載の標識試薬。
(66) プロセスによって作製される単離された標識試薬であって、ここで該プロセスは、以下:
a)インタクトな抗領域抗体を、酵素で切断し、F(ab’)フラグメントを生成する工程;
b)該抗領域F(ab’)フラグメントを、還元剤と接触させ、チオール基を含む抗領域Fab’フラグメントを生成する工程;
c)該Fab’フラグメントを、反応性基を含む標識を含む溶液と接触させる工程;
d)サイズ排除クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーによって、標識に共有結合された工程d)の該Fab’フラグメントを単離する工程、
を包含する、標識試薬。
(67) 前記抗領域Fab’フラグメントが、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目66に記載の標識試薬。
(68) 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、放射性同位体、およびハプテンからなる群から選択される、項目67に記載の標識試薬。
(69) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目68に記載の標識試薬。
(70) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目68に記載の標識試薬。
(71) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテインおよびキサンテン−フィコビリプロテインからなる群から選択される、項目68に記載の標識試薬。
(72) プロセスによって作製される単離された標識試薬であって、ここで該プロセスは、以下:
a)インタクトな抗領域抗体を、酵素で切断し、Fabフラグメントを生成する工程;
b)工程a)の該抗領域Fabフラグメントを単離する工程;
c)抗領域Fabフラグメントを特異的に結合するインタクトな免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含むマトリクスを、工程b)の該抗領域Fabフラグメントを含む溶液と接触させる工程であって、ここで該抗領域Fabフラグメントが固定される、工程;
d)工程c)の該マトリクスを、反応性基を含む発蛍光団標識を含む溶液と接触させる工程;
e)該マトリクスを洗浄し、非結合標識を除去する工程、および;
f)該マトリクスから該標識試薬を溶出し、それによって該標識試薬が、製造され、該標識試薬は、標識を含み、他のタンパク質およびそのフラグメントから単離される、工程
を包含する、標識試薬。
(73) 前記抗領域Fabフラグメントが、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目72に記載の標識試薬。
(74) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目73に記載の標識試薬。
(75) プロセスによって製造される単離された標識試薬であって、ここで該プロセスは、以下:
a)非抗体タンパク質を選択的に結合する、インタクトな免疫グロブリンタンパク質またはフラグメントを含むマトリクスを、該非抗体タンパク質を含む溶液と接触させる工程であって、ここで該非抗体タンパク質は、固定される、工程;
b)工程a)の該マトリクスを、反応性基を含む発蛍光団標識を含む溶液と接触させる工程;
c)該マトリクスを洗浄し、非結合標識を除去する工程、および
d)該マトリクスから該標識試薬を溶出し、それによって該標識試薬が、製造され、該標識試薬は、標識を含む工程、
を包含し、但し、該標識試薬は、プロテインAを含まない、標識試薬。
(76) 前記非抗体タンパク質が、プロテインG、プロテインL、レクチン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目75に記載の標識試薬。
(77) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目75に記載の標識試薬。
(78) プロセスによって生成される免疫標識複合体であって、該プロセスは、以下の工程:
a)標的結合抗体の溶液を、標識試薬サブセットと接触させる工程であって、ここで該標識試薬サブセットは、i)標識対標識試薬の比またはii)該標識の物理的特徴によって別の標識試薬サブセットから区別される、工程;
b)該標的結合抗体および該標識試薬サブセットを、1つ以上の標識試薬が標的結合抗体と免疫標識複合体を形成するために十分な時間インキュベートする工程であって、ここで、該標的結合抗体の領域は、標識試薬によって選択的に結合される、工程;および
c)必要に応じて、免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含む捕捉試薬を添加することによって、非結合標識試薬を除去し、それによって免疫標識複合体が生成される、工程、
を包含し、但し、該標識試薬は、プロテインAを含まない、免疫標識複合体。
(79) 項目78に記載の免疫標識複合体であって、ここで、前記プロセスは、前記工程a)b)およびc)を繰り返し、免疫標識複合体サブセットを形成する工程をさらに包含し、ここで各サブセットは、別のサブセットから、i)標識対標識試薬の比、またはii)該標識の物理的特徴、またはiii)標識試薬対該標的結合抗体の比、またはiv)該標的結合抗体によって区別される、免疫標識複合体。
(80) 前記標的結合抗体が、マウスモノクローナル抗体、ウサギポリクローナル抗体またはヤギポリクローナル抗体である、項目78に記載の免疫標識複合体。
(81) 前記標識試薬が、FabフラグメントまたはFab’フラグメントであり、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目78に記載の免疫標識複合体。
(82) 前記標識試薬が、プロテインG、プロテインL、レクチン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、非抗体タンパク質である、項目78に記載の免疫標識複合体。
(83) 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、ハプテン、酵素および放射性同位体からなる群から選択される、項目81または82に記載の免疫標識複合体。
(84) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目83に記載の免疫標識複合体。
(85) 前記粒子が、ミクロスフェアまたは量子ドットである、項目83に記載の免疫標識複合体。
(86) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目83に記載の免疫標識複合体。
(87) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテインおよびキサンテン−フィコビリプロテインからなる群から選択される、項目83に記載の免疫標識複合体。
(88) 前記酵素が、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、およびルシフェラーゼからなる群から選択される、項目83に記載の免疫標識複合体。
(89) 緩衝液および個々の標識試薬サブセットまたは標識試薬のプールされたサブセットのいずれかを含む標識溶液であって、ここで各サブセットは、もう一方のサブセットから、i)標識対標識試薬の比、またはii)該標識の物理的特徴によって区別される、標識溶液。
(90) 前記標識試薬が、FabフラグメントまたはFab’フラグメントであり、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目89に記載の溶液。
(91) 前記非抗体タンパク質が、プロテインG、プロテインL、レクチン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目89に記載の溶液。
(92) 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、酵素、ハプテンおよび放射性同位体からなる群から選択される、項目90または91に記載の溶液。
(93) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目92に記載の溶液。
(94) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目92に記載の溶液。
(95) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテインおよびキサンテン−フィコビリプロテインからなる群から選択される、項目92に記載の溶液。
(96) 前記粒子が、ミクロスフェアまたは量子ドットである、項目92に記載の溶液。
(97) 免疫標識複合体を調製するためのキットであって、該キットは、以下:
a)1つ以上の標識に独立して結合された標識試薬を含む標識溶液;または
b)標識溶液のパネルであって、ここで各標識溶液は、標識試薬のサブセットを含み、各サブセットは、別のサブセットから、i)標識対標識試薬の比、またはii)該標識の物理的特徴によって区別される、パネル;および
c)捕捉溶液を含む溶液、
を含む、キット。
(98) 前記標識試薬が、FabフラグメントまたはFab’フラグメントであり、抗Fc抗体フラグメント、抗κ軽鎖抗体フラグメント、抗λ軽鎖抗体フラグメント、および単鎖可変タンパク質フラグメントからなる群から選択される、項目97に記載のキット。
(99) 前記標識試薬が、プロテインG、プロテインL、レクチン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、非抗体タンパク質である、項目97に記載のキット。
(100) 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、酵素、ハプテンおよび放射性同位体からなる群から選択される、項目98または99に記載のキット。
(101) 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、項目100に記載のキット。
(102) 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、項目100に記載のキット。
(103) 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテインおよびキサンテン−フィコビリプロテインからなる群から選択される、項目100に記載のキット。
(104) 項目97に記載のキットであって、ここで該キットは、(a)細胞小器官、細胞生存性、または細胞増殖状態を特徴付けるための染色液、(b)酵素基質、および(c)酵素結合体からなる群から選択されるさらなる成分をさらに含む、キット。
(発明の要旨)
本発明は、標識試薬ならびに一次抗体を標識する方法ならびに標的結合抗体および1つ以上の標識試薬を含む免疫標識化複合体を用いてサンプル中の標的を検出する方法を提供する。この標識試薬は、単価抗体フラグメントまたは非抗体単量体タンパク質を含み、それによって標的タンパク質は標的結合抗体の特異的領域に対する親和性を有し、標識に共有結合される。代表的には、標識試薬は、抗体のFcフラグメントを用いてヤギまたはウサギを免疫することによって生成した抗Fc FabフラグメントまたはFab’フラグメントである。
標識試薬を用いて標的結合抗体を標識する方法は、以下の工程を包含する:a)標識試薬と標的結合抗体の溶液を接触させる工程。b)この標的結合抗体と標識試薬をインキュベートする工程であって、この標的結合抗体の領域が標識試薬によって選択的に結合される、工程、ならびにc)必要に応じて、免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含む捕捉試薬(必要に応じて、マトリクス上に固定される)を添加することによって結合していない標識試薬を除去する工程。標的結合抗体の標識は、溶液中に抗体が存在することとは関係なく実行され得、そして血清もしくは腹水に通常存在するタンパク質を含む。この標的結合抗体の標識プロセスの特徴は、標的結合抗体を精製および濃縮する必要性を排除する。標識試薬が標的結合抗体に選択的に結合するために必要な時間は、典型的には非常に短く、しばしば10分未満である。しばしば、標的試薬を添加し標的結合抗体と標識試薬を混合するためにかかる時間、標識試薬は標的結合抗体を結合する。
標的化結合抗体の標的工程は、サブセットのパネルを形成するために必要に応じて繰り返され、これらの免疫標識化合物サブセットは個々に使用されてもプールされてもよい。ここで、各サブセットは、以下のi)〜iv)によって別のサブセットから区別される:i)標的結合抗体、またはii)標識試薬に対する標識の比率、またはiii)標的結合抗体に対する標識試薬の割合、またはiv)標識の物理的特性。従って、広範囲のサブセットは、サブセットがサンプル中の標的を検出するために個々に使用され得るか、またはサンプル中の複数の標的を同時に検出するためにプールされ得るように形成され得る。サンプル中の複数の標的の同時検出は、フローサイトメトリーを使用する方法または表面上に細胞もしくは組織の集団を固定する方法において特に有用である。
免疫標識サブセットを用いてサンプル中の標的を測定するための方法は、以下の工程を包含する:上記のような、免疫標的複合体のサブセットを形成する工程、サンプルとこの免疫標的複合体とを接触させる工程、サンプルを免疫標識化複合体が所望の標的に選択的に結合することを可能にするために十分な時間インキュベートする工程、ならびに免疫標的複合体を照射して標的が検出される、工程。サンプルは、標的を含み得る任意の物質であり、そして代表的には、細胞の集団、細胞抽出物、亜細胞成分、タンパク質、ペプチド、組織培養物、組織、体液、またはそれらの部分もしくは組み合わせを含む。複数標的が検出される場合、免疫標識化複合体のプールされたサブセットが形成され、サンプルとともにインキュベートされるか、または個々のサブセットがサンプルに連続して添加される。フローサイトメトリーを使用する方法のために、細胞の集団が光学的試験ゾーンを通りぬけ、そして標識について収集されたデータが標識の同定および量を決定する場合に、細胞の集団が照射される。
(発明の詳細な説明)
(1.定義) 本発明を詳細に説明する前に、本発明が特定の組成物にもプロセス工程にも限定されないことが、理解されるべきである。なぜなら、そのような組成物またはプロセス工程は変化し得るからである。本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうではないと示されない限り、複数の言及物を包含することが、留意されるべきである。従って、例えば、「タンパク質標識複合体」に対する言及は、複数の複合体を包含し、「標的結合タンパク質」に対する言及は、複数のタンパク質を包含するなどである。
他のように規定されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関連する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。以下の用語は、本明細書中に記載される本発明の目的のために規定される。
用語「親和性(アフィニティ)」とは、本明細書中で使用される場合、2つの分子(例えば、抗体と抗原、または正荷電部分と負荷電部分)の結合相互作用の強度を指す。二価分子(例えば、抗体)について、親和性は、代表的には、抗原に対する1つの結合ドメイン(例えば、抗原に対する1つのFabフラグメント)の結合強度として規定される。抗原に対する両方の結合ドメインを一緒にした結合強度は、「アビディティ」と呼ばれる。本明細書中で使用される場合、「高親和性」とは、阻害ELISAにより測定した場合、10−1、代表的には10〜10−11−1より大きな親和性定数(Ka)あるいは同等な技術(例えば、ScatchardプロットによってかまたはKaの逆数であるKd/解離定数など)を使用して決定した等価な親和性を有して抗体に結合するリガンドを指す。
用語「抗体」とは、本明細書中で使用される場合、抗体−抗原複合体を形成するように特定の物質(例えば、抗原および免疫グロブリン)に非共有結合する、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのタンパク質を指す。抗体は、内因性であっても、または動物に免疫してポリクローナル抗体応答を惹起させるポリクローナルであっても、またはハイブリドーマ細胞もしくは他の細胞株から生成されるモノクローナル抗体を生じる組換え方法によっても、よい。用語「抗体」は、本明細書中で使用される場合、簡便に使用される動物のいずれかに由来する種々のクラスまたはサブクラスの免疫グロブリンのいずれかを、その範囲内に包含することが、理解される。
用語「抗体フラグメント」は、本明細書中で使用される場合、抗体全体の主要な選択的結合特徴を保持する抗体フラグメントを指す。特定のフラグメント(例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、およびF(ab’)フラグメント)が、当該分野で周知であり、これらは、種々のプロテアーゼ、ペプシンまたはパパインを用いる消化により得られ、かつインタクトな抗体のFcフラグメント、すなわちインタクトな抗体中の重鎖成分と結合するジスルフィド結合の還元的切断により得られる所謂「半分子」フラグメントを欠く。このようなフラグメントはまた、軽鎖可変領域からなる単離されたフラグメント、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメント、および軽鎖可変領域および重鎖可変領域がペプチドリンカーにより結合している組換え単鎖ポリペプチド分子を包含する。結合フラグメントの他の例としては、(i)Fdフラグメント(VHドメインおよびCH1ドメインからなる);(ii)dAbフラグメント(Wardら、Nature 341,544(1989))(VHドメインからなる);(iii)単離されたCDR領域;および(iv)上記の単鎖Fv分子(scFv)が挙げられる。さらに、抗原認識特徴を保持する任意のフラグメントを、組換え技術を使用して作製し得る。
用語「抗原」は、本明細書中で使用される場合、抗体形成を誘導する分子または抗体形成を誘導可能な分子、あるいは抗体が選択的に結合する分子(生物学的物質が挙げられるが、それに限定されない)を指す。抗原はまた、「免疫原」も指す。標的結合抗体は、抗原に選択的に結合する。従って、この用語は、用語「標的」と互換可能に本明細書中で使用され得る。
用語「抗領域抗体」とは、本明細書中で使用される場合、外来抗体フラグメント(そのフラグメントのみが、免疫原として使用される)である選択領域を用いて動物を免疫することにより生成された抗体を指す。抗領域抗体は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を包含する。用語「抗領域フラグメント」は、本明細書中で使用される場合、酵素的切断により本発明の抗領域抗体から生成された、一価フラグメントをさす。
用語「ビオチン」は、本明細書中で使用される場合、任意のビオチン誘導体(置換ビオチンおよび非置換ビオチン、ならびにそのアナログおよび誘導体が挙げられるが、それらに限定されない)、ならびにカプロイルアミドビオチン置換誘導体および非置換誘導体、ビオシチン置換誘導体および非置換誘導体、デスチオビオチン置換誘導体および非置換誘導体、デスチオビオシチン置換誘導体および非置換誘導体、イミノビオチン置換誘導体および非置換誘導体、および硫酸ビオチンの置換誘導体および非置換誘導体を指す。
用語「ビオチン結合タンパク質」は、本明細書中で使用される場合、ビオチンに高親和性で選択的に結合する任意のタンパク質(置換アビジンもしくは非置換アビジンならびにそれらのアナログおよび誘導体、ならびにストレプトアビジン置換誘導体および非置換誘導体、フェリチンアビジン置換誘導体および非置換誘導体、ニトロアビジン置換誘導体および非置換誘導体、ニトロストレプトアビジンおよびNeutravidinTMアビジン(中性付近の等電点を有する脱グルコシル化改変アビジン)の置換誘導体および非置換誘導体が挙げられるがこれらに限定されない)を指す。
用語「緩衝液」は、本明細書中で使用される場合、化学物質の付加または除去に対する溶液の酸性度または塩基性度の変化を最小にするように作用する、系を指す。
用語「捕捉試薬」とは、免疫標識複合体の形成後に過剰な標識試薬を除去するために使用される、非特異的免疫グロブリンをさす。捕捉試薬は、過剰な標識試薬の除去を容易にするために、必要に応じてマトリクスに結合される。マトリクスとしては、代表的には、過剰な標識試薬が素通りし得る、ミクロスフェア、アガロースビーズまたは任意の固体表面が挙げられる。
用語「発色団」とは、本明細書中で使用される場合、機器が補助せずとも観察され得る可視スペクトルの光を発光する標識を指す。
用語「複合体」とは、本明細書中で使用される場合、通常は非共有結合による2つ以上の分子の会合(例えば、抗体と抗原との間の会合、または標識試薬と標的結合抗体との間の会合)を指す。
用語「検出可能な応答」とは、本明細書中で使用される場合、視察または機器のいずれかにより直接的または間接的に検出可能な、シグナルの発生またはシグナル変化を指す。代表的には、検出可能な応答は、発蛍光団が固有に発光しかつ金属イオンの結合の際も生物学的化合物との結合の際もシグナル変化を生じない、シグナル発生である。あるいは、検出可能な応答は、波長分布パターンの変化、または吸収強度の変化または蛍光強度の変化、光散乱の変化、蛍光寿命の変化、蛍光偏光の変化、または上記パラメーターの組み合わせを生じる、光学的応答である。他の検出可能な応答としては、例えば、化学発光、リン光、放射性同位体からの放射、磁気誘引、および電子密度が挙げられる。
用語「検出可能に別個」とは、本明細書中で使用される場合、視察または機器のいずれかによって、物理的特性により区別可能または分離可能である、シグナルを指す。例えば、発蛍光団は、スペクトル特徴または蛍光強度、蛍光寿命、蛍光偏光、またはサンプル中の別の発蛍光団からの消光(photo−bleaching)率、ならびに必要に応じて存在するさらなる物質からの消光率のいずれかによって、容易に区別可能である。
用語「直接的に検出可能」とは、本明細書中で使用される場合、物質の存在またはその物質から生成されるシグナルの存在が、化学的改変もさらなる物質も必要とせずに、観察、機器、またはフィルムによってすぐに検出可能であることを指す。
用語「試験ゾーン」とは、本明細書中で使用される場合、細いストリームの状態で細胞が一時に本質的に1つ通り抜けて、結合した免疫標識複合体が照射され、そしてその発蛍光団の強度および励起スペクトルが検出および記録される、フローサイトメトリーまたは同様の機器の光学帯を指す。これは、励起帯が移動しサンプルが適所に保持される、機器を包含する。
用語「発蛍光団」とは、本明細書中で使用される場合、生物学的化合物または金属イオンと結合する際に固有に蛍光を発するかまたは蛍光変化を示す(すなわち、蛍光原性である)、組成物を指す。発蛍光団は、その発蛍光団の可溶性、スペクトル特性または物理的特性を変化させる、置換基を含み得る。多数の発蛍光団が、当業者に公知であり、そして発蛍光団としては、クマリン、シアニン、ベンゾフラン、キノリン、キナゾリノン、インドール、ベンザゾール、ボラポリアザインダセンおよびキサンテン(フルオレセイン、ローダミン、およびロードル(rhodol)を含む)ならびにRICHARD P.HAUGLAND,MOLECULAR PROBES HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICAL(第9版、CD−ROM、2002年9月)に記載される他の発蛍光団が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「免疫標識複合体」とは、標識試薬に非共有結合した標識結合抗体の複合体を指す。
用語「免疫標識複合体サブセット」とは、本明細書中で使用される場合、その標識の物理的特性または標識対標識試薬比、または標識試薬対標的結合抗体比、または標的結合抗体によって、別の免疫標識複合体サブセットから区別され得る、個別の均質な免疫標識複合体セットを指す。
用語「キット」とは、本明細書中で使用される場合、関連する成分(代表的には、1つ以上の化合物または組成物)のパッケージされたセットを指す。
用語「標識」とは、本明細書中で使用される場合、標識試薬に結合されそして本方法において使用される場合に、そのネイティブ特性(例えば、スペクトル特性、高次構造および活性)を保持する、化学物質部分またはタンパク質を指す。その標識は、直接的に検出可能(発蛍光団)であっても、間接的に検出可能(ハプテンまたは酵素)であってもよい。そのような標識としては、放射線計数デバイスを用いて測定され得る放射性標識;視察されうるかまたは分光光度計を用いて測定され得る、顔料、染料または他の色素原;スピン標識分析器を用いて測定され得るスピン標識;ならびに適切な分子付加物の励起により出力シグナルが生成され、その色素により吸収される光による励起により可視化され得るかまたは例えば、標準的蛍光計もしくは画像化システムを用いて測定され得る、蛍光標識(発蛍光団)が挙げられるが、これらに限定されない。その標識は、シグナル化合物の化学的改変により出力シグナルが生成される、化学発光物質;金属含有物質;またはシグナルの酵素依存性二次生成(例えば、無色物質からの有色生成物の形成)を生じる酵素であり得る。用語標識とはまた、物質とともに後に添加された場合に、検出可能なシグナルを生成するために結合体化分子が使用されるように、結合体化分子に選択的に結合し得る、「タグ」またはハプテンを指し得る。例えば、タグとしてビオチンを使用し、その後、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)のアビジン結合体またはストレプトアビジン結合体を使用してそのタグに結合させ、その後、比色定量基質(例えば、テトラメチルベンジジン(TMB))または発蛍光性基質(例えば、Amplex Red試薬(Molecular Probes,Inc.))を使用してHRPの存在を検出し得る。多数の標識が当業者に公知であり、その標識としては、粒子、発蛍光団、ハプテン、酵素およびそれらの比色定量基質、発蛍光性基質および化学発光性基質、ならびにRICHARD P.HAUGLAND,MOLECULAR PROBES HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH PRODUCTS(第9版、CD−ROM、2002年9月)(上記)に記載される他の標識が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用する場合、用語「標識試薬」は、標的結合抗体の選択された領域に対する親和性を有し、標識に共有結合された一価抗体フラグメントまたは非抗体モノマータンパク質をいう。
本明細書中で使用する場合、用語「標識試薬サブセット」は、同種であり、そして標識の物理的特性または標識試薬に対する標識の比により別のサブセットの標識試薬から識別され得る標識試薬の個別のセットをいう。
本明細書中で使用する場合、用語「標識溶液」は、免疫標識複合体を形成するために使用される溶液をいう。この溶液は、標識試薬および緩衝液を含む。
本明細書中で使用する場合、用語「マトリクス」は、生物学的分子(例えば、本発明のサンプルまたは捕捉試薬)が結合され得る固体または半固体表面をいう。例として、アガロース、ポリアクリルアミドゲル、ポリマー、ミクロスフィア、ガラス表面、プラスチック表面、膜、磁気表面、およびアレイが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書中で使用する場合、用語「一価抗体フラグメント」は、1つのみの抗原結合部位を有する抗体フラグメントをいう。一価抗体フラグメントの例としては、Fabフラグメント(ヒンジ領域を有さない)、Fab’フラグメント(重鎖ヒンジ領域を含む一価フラグメント)、および単鎖フラグメント可変(ScFv)タンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書中で使用する場合、用語「非抗体モノマータンパク質」は、Igスーパーファミリーのタンパク質のメンバー(プロテインA、G、およびL、それらのハイブリッド(A/G)、それらの組換え体、およびクローニング体、これらのタンパク質と検出可能なタンパク質標識との融合体、ならびにレクチンが挙げられるがこれらに限定されない)に選択的に、そして非共有結合により結合するが、それ自体は抗体または抗体フラグメントではないタンパク質をいう。
用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本明細書中では一般的な意味で、任意の長さのアミノ酸残基のポリマーを含むよう使用される。用語「ペプチド」は、本明細書中で、100アミノ酸残基未満を有するポリペプチド、代表的には、10アミノ酸残基未満をいうために使用される。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学アナログであるアミノ酸ポリマー、および天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。
本明細書中で使用する場合、用語「精製された」は、例えば、細胞混合物またはタンパク質もしくは複合体が内因的に見出される環境(例えば、血清タンパク質またはハイブリドーマ上清)において、通常抗体と関連して存在する混入タンパク質を本質的に含まない標的結合抗体の調製をいう。
本明細書中で使用する場合、用語「サンプル」は、以下に定義されるような標的を含み得る任意の物質をいう。代表的には、サンプルは、細胞の集団、細胞抽出物、亜細胞集団、組織培養物、体液、および組織を含む。サンプルは、水溶液、生存細胞培養物中に存在し得るかまたは固体もしくは半固体表面(例えば、ゲル、膜、ガラス表面、微粒子、またはマイクロアレイ)に固定化され得る。
本明細書中で使用する場合、用語「標的」は、標的結合抗体が親和性を有する任意の実体(例えば、エピトープまたは抗原)をいう。この標的は、標的結合抗体が親和性を有する個別のエピトープだけでなく、任意の引き続き結合される分子または構造を含む。この
ように、エピトープは、意図する標的に対するマーカーとして機能する。例えば、細胞は、標的結合抗体がT細胞上で細胞表面タンパク質(例えば、CD3)に結合する標的である(標的マーカーがCD3であり、標的がT細胞である場合)。
本明細書中で使用する場合、用語「標的結合抗体」は、本発明の方法によって使用され得る別個のエピトープまたは抗原に対する親和性を有する抗体をいう。代表的には、別個のエピトープは、標的であるが、このエピトープは、T細胞上の標的(例えば、CD3)に対するマーカーであり得る。この用語は、一次抗体の領域に結合する「二次抗体」に対して、抗原に直接的に結合する抗体を使用する方法を記載する場合、用語「一次抗体」と交換可能に使用され得る。
(II.組成物および使用法)
本発明に従って、標識試薬、標的結合抗体を標識する方法、およびサンプル中の標的を検出するために標識抗体を使用する方法が提供される。標識試薬は、本発明の標識に共有結合された一価抗体フラグメントまたは非抗体モノマータンパク質を含む。標識試薬に共有結合された標識は、直接検出可能である(例えば、発蛍光団)かまたは、さらなる成分を必要とする間接的標識(例えば、発色酵素基質または酵素結合体)として機能する。標識試薬は、標的結合抗体の特定の領域に対する親和性を有する。標的結合抗体は、サンプル中の標的に対する親和性を有する当業者に公知の任意の抗体として規定される。標的結合抗体は、免疫標識複合体を形成するための標識方法において標識試薬で標識され、次いで、標的を検出ためにサンプルに添加される。
本発明の標識試薬および方法は、サンプル中の1つまたは複数の標的の検出を提供する。複数の標的は、免疫標識複合体のプールされたサブセットまたはサブセットのパネルのいずれかがサンプルに連続的に添加される場合に検出される。免疫標識複合体のサブセットは、標識試薬のサブセットで始まる。標識試薬のサブセットは、標識試薬に対する標識の比または標識の物理的特徴により分類される。別個の標識試薬のサブセットは、標的結合抗体に添加される。抗体の親和性および標的結合抗体に対する標識試薬の比は、免疫標識複合体のサブセットを決定する。これにより、i)標的結合抗体、またはii)標識試薬に対する標識の比、またはiii)標的結合抗体に対する標識試薬の比、またはiv)標識の物理的特性により識別される無数の免疫標識複合体のサブセットが生じる。これらのサブセットは個々に、サンプルまたはプール中の単一または複数の標的を検出するために、本発明の方法において使用されるか、またはサンプル中の複数の標的を同時に検出するために使用される。これらのプールされたサブセットは、標的の検出だけでなく、同定および定量をも可能にする。
(A.標識試薬)
(1.一価抗体フラグメントおよびモノマー非抗体タンパク質)
本発明の標識試薬は、標的結合抗体の領域に対する親和性を有する一価抗体フラグメントまたは非抗体モノマータンパク質である。標識試薬が結合され得る標的結合抗体の領域としては、Fc領域、κ軽鎖もしくはλ軽鎖、または重鎖領域が挙げられる。標識試薬が抗体由来である場合、一価フラグメントは、抗Fc、抗Fcアイソタイプ、抗κ軽鎖、抗λ軽鎖、または単鎖フラグメント可変タンパク質であり得る。非抗体ペプチドまたはタンパク質である標識試薬は、例えば(しかし、限定ではなく)、可溶性Fcレセプター、プロテインG、プロテインA、プロテインL、レクチン、またはそれらのフラグメントである。代表的に、標識試薬は、標的結合抗体のFc領域に対する親和性を有するが、結合ドメインを除く任意の領域が、標識試薬の結合部位として使用され得る。標的結合抗体の結合ドメインから最も遠く、標識試薬が結合された場合に、標的に対する結合ドメインの立体構造的妨害となる可能性が低いという理由から、Fc領域が好ましい。
抗体は、抗原に応答して動物により生成され、そしてその形成を誘導する抗原と特異的に結合する特定の特性を有する可溶性物質または分泌される分子を示す、当該分野の用語である。抗体自体はまた、それらが糖タンパク質であり、従って抗種抗体を生成するのに使用されるという理由で抗原または免疫源として機能する。抗体(免疫グロブリンとしても知られている)は、5つの別個のクラス、IgG、IgA、IgM、IgD、およびIgEに分類される。塩基性のIgG免疫グロブリン構造は、2つの同一の軽ポリペプチド鎖および2つの同一の重ポリペプチド鎖(互いにジスルフィド結合により連結される)からなる。IgGが酵素パパインで処理される場合、一価抗原結合フラグメント(本明細書中で、Fabフラグメントとしても称される)が単離され得る。IgGがペプシン(別のタンパク質分解酵素)で処理される場合、より大きなフラグメント(F(ab’)が生成される。このフラグメントは、穏やかな還元緩衝液による処理によって半分に分割され得、一価Fab’フラグメントを生じる。Fab’フラグメントは、Fabよりもわずかに大きく、そしてヒンジ領域(より小さいFabフラグメントには見出されない)由来の1つ以上の遊離スルフヒドリルを含む。用語「抗体フラグメント」は、抗体のFab’部分およびFab部分の両方を定義するために本明細書中で使用される。抗体フラグメントを生成するために、抗体分子をペプシンおよびパパインで処理することは、当該分野で周知である(Gorevicら,Methods of Enzyol.,116:3(1985))。
本発明の一価Fabフラグメントは、外来抗体またはそのフラグメントによって免疫した種々の動物において生成されるマウスモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかから生成される。米国特許第4,196,265号は、モノクローナル抗体を生成する方法を開示している。代表的には、標識試薬は、ウサギまたはヤギにおいて生成されたポリクローナル抗体から得られるが、ポリクローナル抗体を生成するための当業者に公知の任意の動物が、抗種抗体を生成するために使用され得る。しかし、モノクローナル抗体は、代表的に、標的結合抗体が、当業者に周知の方法を用いてマウスハイブリドーマ細胞株から生成されるモノクローナル抗体と適合性である限り、ポリクローナル抗体と等しく、そしていくつかの場合より好ましい。実施例1は、外来抗体のFc領域で免疫した動物において惹起されたポリクローナル抗体の生成を記載する。標識試薬が外来抗体のFc領域のみに対して生成されることが、本発明の好ましい実施形態である。本質的には、動物(例えば、マウス)は、外来抗体のFc領域フラグメントのみで免疫される。ポリクローナル抗体は、その後の血液から収集され、酵素(ペプシンまたはパパイン)で処理されて、一価フラグメントが生成される。次いで、このフラグメントは、全免疫グロブリンタンパク質(動物はそのタンパク質に対して免疫されるかまたはそのFcフラグメントである)を含むカラム上でアフィニティ精製される。以下に詳細に記載されるように、標識試薬はまた、アフィニティカラムに結合される場合、発蛍光団標識で共有結合により標識され、一価フラグメントの結合ドメインへの標識の組み込みを排除する。当業者は、この方法が、標的結合タンパク質の任意の領域に対する一価フラグメントを生成するために使用され得ることを理解しており、そして標的結合抗体の選択されたペプチドフラグメントはまた、フラグメントを生成するために使用され得る。
あるいは、非抗体タンパク質もしくはペプチド(例えば、プロテインG)、または他の適切なタンパク質は、単独でか、またはアルブミンと連結して使用され得、ここで、アルブミンは、本発明の標識と結合している。本発明の好ましいアルブミンとしては、ヒトおよびウシの、血清アルブミンまたはオボアルブミンが挙げられる。プロテインA、プロテインGおよびプロテインLは、当業者に公知のこれらのタンパク質、または少なくとも1つのIgGに対する結合ドメインを含むその誘導体(すなわち、IgGに対する親和性を有するタンパク質)を含むように規定される。これらのタンパク質は、改変され得るが、必ずしも改変される必要はなく、そして本発明の一価Fabフラグメントと同じ様式で標識される。
(2.標識)
本発明の標識は、本発明の標識試薬に共有結合され得る、当業者に公知の直接的または間接的に検出可能な任意の標識を含む。標識としては、限定ではなく、色素団、発蛍光団、蛍光タンパク質、燐光色素、タンデム色素、粒子、ハプテン、酵素および放射性同位体が挙げられる。好ましい標識としては、発蛍光団、蛍光タンパク質、ハプテンおよび酵素が挙げられる。
本発明の発蛍光団は、280nmより上で最大吸収を示し、そして標識試薬に共有結合される場合には、そのスペクトル特性を保持する、任意の化学的部分である。本発明の発蛍光団としては、限定ではなく、以下が挙げられる:ピレン(米国特許第5,132,432号に開示される、任意の対応する誘導体化合物を含む)、アントラセン、ナフタレン、アクリジン、スチルベン、インドールまたはベンズインドール、オキサゾールまたはベンゾオキサゾール、チアゾールまたはベンゾチアゾール、4−アミノ−7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD)、シアニン(米国出願番号09/968,401および同09/969,853中の任意の対応する化合物を含む)、カルボシアニン(米国出願番号09/557,275;米国特許第4,981,977号;同第5,268,486号;同第5,569,587号;同第5,569,766号;同第5,486,616号;同第5,627,027号;同第5,808,044号;同第5,877,310号;同第6,002,003号;同第6,004,536号;同第6,008,373号;同第6,043,025号;同第6,127,134号;同第6,130,094号;同第6,133,445号;および公開番号WO97/40104、WO99/51702、WO01/21624;EP 1 065 250 A1中の任意の対応する化合物を含む)、カルボスチリル、ポルフィリン、サリチレート、アントラニレート、アズレン、ペリレン、ピリジン、キノリン、ボラポリアザインダセン(borapolyazaindacene)(米国特許第4,774,339号;同第5,187,288号;同第5,248,782号;同第5,274,113号;および同第5,433,896号中の任意の対応する化合物を含む)、キサンチン(米国特許第6,162,931号;同第6,130,101号;同第6,229,055号;同第6,339,392号;同第5,451,343号;および米国特許出願番号09/922,333中に開示される任意の対応する化合物を含む)、オキサジン(米国特許第4,714,763号中に開示される任意の対応する化合物を含む)またはベンゾオキサジン、カルバジン(米国特許第4,810,636号中に開示される任意の対応する化合物を含む)、フェナレノン、クマリン(米国特許第5,696,157号;同第5,459,276号;同第5,501,980号;および同第5,830,912号中に開示される任意の対応する化合物を含む)、ベンゾフラン(米国特許第4,603,209号および同第4,849,362号中に開示される任意の対応する化合物を含む)およびベンズフェナレノン(米国特許第4,812,409号中に開示される任意の対応する化合物を含む)ならびにこれらの誘導体。本明細書中で使用する場合、オキサジンは、レゾルフィン(5,242,805号中に開示される任意の対応する化合物を含む)、アミノオキサジノン、ジアミノオキサジン、およびこれらのベンゾ置換アナログ。
発蛍光団がキサンチンである場合、この発蛍光団は、必要に応じて、フルオレセイン、ロドール(rhodol)(米国特許第5,227,487号および同第5,442,045号中に開示される任意の対応する化合物を含む)またはローダミン(米国特許第5,798,276号;同第5,846,737号;米国特許出願番号09/129,015中の任意の対応する化合物を含む)である。本明細書中で使用する場合、フルオレセインとしては、ベンズフルオレセインもしくはジベンズフルオレセイン、セミナフトフルオレセイン、またはナフトフルオレセインが挙げられる。同様に、本明細書中で使用される場合のロドールには、セミナフトロダフルオル(seminaphthorhodaflu
or)(米国特許第4,945,171号に開示される任意の対応する化合物を含む)が挙げられる。あるいは、発蛍光団は、キサンチンの9位での共有単結合である連結を介して結合したキサンチンである。好ましいキサンチンとしては、9位で結合した3H−キサンチン−6−オール−3−オンの誘導体、9位で結合した6−アミノ−3H−キサンチン−3−オンの誘導体、または9位で結合した6−アミノ−3H−キサンチン−3−イミンの誘導体が挙げられる。
本発明の好ましい発蛍光団は、キサンチン(ロドール、ローダミン、フルオレセインおよびこれらの誘導体)、クマリン、シアニン、ピレン、オキサジンおよびボラポリアザインダセンが挙げられる。最も好ましいのは、スルホン化キサンチン、フッ化キサンチン、スルホン化クマリン、フッ化クマリン、およびスルホン化シアニンである。標識試薬に結合した発蛍光団の選択は、標識試薬および免疫標識複合体の吸収特性および蛍光放射特性を決定する。発蛍光団標識の物理的特性としては、スペクトル特性(吸収、放射およびストロークシフト)、蛍光強度、寿命、偏光および光退色速度が挙げられ、これらは全て、ある発蛍光団を別の発蛍光団から識別するために使用され得る。
代表的に、発蛍光団は、1つ以上の芳香族環または複素環式芳香族環を含み、これらは、必要に応じて、種々の置換基(限定ではなく、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールアルキル、アシル、アリールまたはヘテロアリール環系、ベンゾが挙げられる)によって1回以上置換されるか、あるいは、他の置換基が、代表的に、当該分野で公知の発蛍光団上に存在する。
本発明の1局面において、発蛍光団は、480nmを超えた最大吸収を有する。特に有用な実施形態において、発蛍光団は、488nmまたは488nm付近〜514nm(アルゴンイオンレーザー励起源の出力による励起に特に適する)または546nm付近(水銀アークランプによる励起に特に適する)で吸収する。
多数の発蛍光団もまた、発色団として機能し得、従って、記載された発蛍光団は、本発明の好ましい発色団でもある。
発蛍光団に加えて、酵素もまた、標識試薬についての標識としての用途を見出す。検出可能なシグナルの増幅が得られて、アッセイ感度が増大し得るので、酵素は、所望の標識である。酵素自体は、検出可能な応答を生じないが、適切な基質と接触した場合に基質を分解して、転換された基質が、蛍光シグナル、比色シグナルまたは発光シグナルを生じるように機能する。酵素は、検出可能なシグナルを増幅する。なぜなら、標識試薬上の1つの酵素が、検出可能なシグナルに転換される複数の物質を生じ得るからである。サンプル中に低量の標的が存在する場合、または酵素と適合性であるかもしくは酵素よりもより強いシグナルを生じる発蛍光団が存在しない場合に、これは有利である。しかし、発蛍光団は、さらなるアッセイ工程を必要とせず、従って、アッセイを完了するのに必要な全体の時間を低減するので、最も好ましい。酵素基質は、好ましい測定可能な産物(例えば、比色産物、蛍光産物または化学ルミネセンス)を生じるように選択される。このような基質は、当該分野で広く使用されており、これらの多くが、MOLECULAR PROBES HANDBOOK(前出)に記載されている。
好ましい比色基質または蛍光発生基質および酵素の組み合わせは、西洋ワサビペルオキシダーゼのようなオキシドレダクターゼ、ならびに3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)および3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)(これらは、識別可能な色(それぞれ、褐色および赤)を生じる)のような基質を使用する。検出可能な産物を生じる、他の比色オキシドレダクターゼ基質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:2,2−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、o−フェニレンジアミン(OPD)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、o−ジアニシジン、5−アミノサリチル酸、4−クロロ−1−ナフトール。蛍光発生基質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ホモバニリン酸または4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸、還元型フェノキサジンおよび還元型ベンゾチアジン(Amplex(登録商標)Red試薬およびその改変体(米国特許第4,384,042号)を含む)および還元型ジヒドロキサンチン(ジヒドロフルオレセイン(米国特許第6,162,931号)を含む)およびジヒドロローダミン(ジヒドロローダミン123を含む)。チラミド(米国特許第5,196,306号;同第5,583,001号および同第5,731,158号)であるペルオキシダーゼ基質は、これらが、酵素の作用前に元来検出可能であり得るが、チラミドシグナル増幅(TSA)のような記載されるプロセスにおいて、ペルオキシダーゼの作用によって「所定の位置に固定される」という点で、独自のクラスのペルオキシダーゼ基質を示す。これらの基質は、顕微鏡、フローサイトメトリー、光学走査および蛍光測定によるそれらの引き続く検出のために、細胞、組織またはアレイであるサンプル中の標的を標識するために、広く使用されている。
別の好ましい比色(およびいくつかの場合には蛍光発生)基質および酵素の組み合わせは、ホスファターゼ酵素(例えば、酸ホスファターゼ、アルカリホスファターゼまたはこのようホスファターゼの組換えバージョン)を、比色基質(例えば、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート(BCIP)、6−クロロ−3−インドリルホスフェート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート、p−ニトロフェニルホスフェートまたはo−ニトロフェニルホスフェート)または蛍光発生基質(例えば、4−メチルウンベリフェリル(methylumbelliferyl)ホスフェート、6,8−ジフルオロ−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリニルホスフェート(DiFMUP、米国特許第5,830,912号)、フルオレセインホスフェート、3−O−メチルフルオレセインホスフェート、レゾルフィンホスフェート、9H−(1,3−ジクロロ−9,9−ジメチルアクリジン−2−オン−7−イル)ホスフェート(DDAOホスフェート)またはELF 97、EFL 39あるいは関連のホスフェート(米国特許第5,316,906号および同第5,443,986号)と組み合わせて使用する。
グリコシダーゼ(特にβ−グリコシダーゼ、β−グルクロニダーゼおよびβ−グルコシダーゼ)は、さらなる適切な酵素である。適切な比色基質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド(X−gal)ならびに類似のインドリルガラクトシド、インドリルグルコシドおよびインドリルグルクロニド、o−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド(ONPG)およびp−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド。好ましい蛍光発生基質としては、レゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシド、フルオレセインジガラクトシド(FDG)、フルオレセインジグルクロニドおよびこれらの構造的改変体(米国特許第5,208,148号;同第5,242,805号;同第5,362,628号;同第5,576,424号および同第5,773,236号)、4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、カルボキシウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシドおよびフッ化クマリンβ−D−ガラクトピラノシド(米国特許第5,830,912号)が挙げられる。
さらなる酵素としては、ヒドロラーゼ(例えば、コリンエステラーゼおよびペプチダーゼ)、オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼおよびチトクロムオキシダーゼ)、および適切な基質が公知であるレダクターゼが挙げられるが、これらに限定されない。
化学発光を生じる酵素とその適切な基質とが、いくつかのアッセイのための好ましい。これらとしては、中性形態および組換え形態のルシフェラーゼおよびエクオリンが挙げられるが、これらに限定されない。ホスファターゼ、グリコシダーゼおよびオキシダーゼのための化学発光生成基質(例えば、安定なジオキセタン、ルミノール、イソルミノールおよびアクリジウムエステルを含む基質)が、さらに有用である。
酵素に加えて、ハプテン(例えば、ビオチン)もまた、好ましい標識である。ビオチンは、有用である。なぜなら、ビオチンは、検出可能なシグナルをさらに増幅するために酵素系において機能し得、そしてビオチンは、単離目的のための親和性クロマトグラフィーにおいて使用されるタグとして機能し得るからである。検出目的のために、ビオチンに対して親和性を有する酵素結合体(例えば、アビジン−HRP)が使用される。その後、ペルオキシダーゼ基質が、検出可能なシグナルを生成するために添加される。
ハプテンとしてはまた、ホルモン、天然に存在する薬物および合成薬物、汚染物質、アレルゲン、アフェクター分子、増殖因子、ケモカイン、サイトカイン、リンホカイン、アミノ酸、ペプチド、化学物質中間体、ヌクレオチドなどが挙げられる。
蛍光タンパク質にはまた、本発明の標識試薬のための標識としての用途が見出される。蛍光タンパク質の例としては、グリーン蛍光タンパク質(GFP)およびフィロビリプロテインおよびその誘導体が挙げられる。蛍光タンパク質(特に、フィコビリプロテイン)は、タンデム色素標識した標識試薬を生成するために特に有用である。これらのタンデム色素は、より大きなストークスシフトを得るために蛍光タンパク質および発蛍光団を含み、その発光スペクトルは、その蛍光タンパク質の吸収スペクトルの波長よりさらにシフトしている。これは、発光した蛍光が最大最適化されているサンプル(換言すると、その発光がほとんどまたは少しも、蛍光タンパク質により再吸収されないサンプル)中の少量の標的を検出するために特に有利である。これが作用するために、その蛍光タンパク質および発蛍光団は、エネルギー転移対として機能し、その蛍光タンパク質は、発蛍光団が吸収する波長で発光し、その後、その蛍光タンパク質のみを用いて得られ得た蛍光タンパク質から遠く離れた波長で、発蛍光団が発光する。特に有用な組み合わせは、米国特許第4,520,110号;同第4,859,582号;同第5,055,556号に開示されるフィコビリプロテイン、ならびに米国特許第5,798,276号に開示されるスルホローダミン発蛍光団、または米国特許出願番号09/968,401および同09/969,853に開示されるスルホン化シアニン発蛍光団;または米国特許第6,130,101号に開示されるスルホン化キサンテン誘導体および米国特許第4,542,104号に開示される組み合わせである。あるいは、発蛍光団は、エネルギードナーとして機能し、蛍光タンパク質は、エネルギーアクセプターである。
(3.標識試薬に対する標識の共有結合)
標識試薬は、当業者に公知の多数の方法およびそのような方法の改変形によって、本発明の1つ以上の標識に独立して結合され得る。方法としては、溶液中での標識またはアフィニティカラムでの標識が挙げられる。溶液中での標識のために、標識試薬は、必要に応じて、反応性基を含むように改変され、そして標識は、代表的には、反応性基が共有結合を容易にする蛍光標識を用いる場合、反応性基を含むように改変されるか、または反応性基を含むように合成される。反応性基を含むように標識試薬を改変することは、(1)そのような反応性基の化学的付加を包含するか、または(2)F(ab’)フラグメントのジスルフィド結合(そのフラグメントは、米国特許第5,360,895号に開示されるように、結合を破壊し、標識上の反応性基と容易に反応するチオール基を露出するように還元される)を利用する。代表的には、標識をそのフラグメントに共有結合することは、求電子基と求核基との間の化学反応の結果である。しかし、その共有結合を光活性化した標識が、標識溶液が照射される場合に使用される。
標識(特に、酵素、蛍光タンパク質、または粒子)を共有結合するための方法は、以下の工程を包含する:
(a)インタクトな抗領域抗体を酵素で切断して、F(ab’)フラグメントを生じる工程;
(b)そのF(ab’)フラグメントを還元剤と接触させて、チオール基を含むFab’フラグメントを生成する工程;
(c)そのFab’フラグメントを、反応性基を含む標識を含む溶液と接触させる工程;および
(d)サイズ排除クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーによって、標識に共有結合している工程c)のFab’フラグメントを単離する工程。
抗領域抗体全体が、ペプシンで切断されて、二価F(ab’)フラグメントを生じる。このフラグメントは、代表的には、アガロース上に固定された免疫グロブリンタンパク質(例えば、IgG)を含むカラムにてアフィニティ精製される。その後、このフラグメントは、2つのFabフラグメントを結合するヒンジ領域のジスルフィド結合を破壊するように還元されて、露出したチオール基を含むFab’フラグメントを生じる。これは、アフィニティ精製F(ab’)フラグメントに穏やかな還元緩衝液(例えば、リン酸緩衝液(PBS)中の0.01M EDTAおよび0.01Mシステインを含む緩衝液)を添加することによって、代表的には達成される。生じるチオール基は、標識上の反応性基と容易に反応して、そのフラグメントに標識を共有結合する。従って、当業者に周知の方法を使用して反応性基を含むように化学改変された標識を含む溶液が、還元されたFab’フラグメントの溶液に添加される。この方法は、酵素と他のタンパク質標識とを共有結合するために特に有用である。これは、そのFabフラグメントのサイズおよび露出したアミン基を有さないことに起因する。この方法には、Fab’フラグメントのジスルフィド結合に起因してFabフラグメントに並べられたFab’フラグメントの使用が必要とされること、および酵素パパインなどの使用によりこのようなフラグメントが生じることを、当業者は認識する。
一価抗体フラグメントおよびモノマー非抗体タンパク質の代替的標識もまた、溶液中で達成される。この方法は、以下の工程を包含する:
a)Fabフラグメントまたは非抗体モノマータンパク質を、反応性基を含む標識を含む溶液と接触させる工程;および
b)標識された抗領域Fabフラグメントまたは非抗体モノマータンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーによって単離する工程。
Fabフラグメントが標識される場合、抗体全体が、酵素(例えば、パパイン)で切断されてFab一価フラグメントが生じ、そしてそれらのフラグメントが、標識を付加する前に代表的にはアフィニティカラムで精製される。Fabフラグメントまたは非抗体モノマータンパク質は、反応性基を含むように必要に応じて化学改変される。しかし、反応性蛍光標識を共有結合するために、非抗体タンパク質のフラグメントのこの改変が必要ではないことが、見出されている。反応性標識(代表的には、発蛍光団またはハプテン)が、Fabフラグメントまたは非抗体タンパク質の溶液に添加され、標識試薬が、サイズ排除クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーによって、過剰な標識から分離される。その後、標識試薬は、適切な緩衝液中で保存される。
溶液中での標識は、特に発蛍光団によるFabフラグメントまたは非抗体タンパク質の標識の場合に、いくつかの欠点を有し得る。従って、本発明のFabフラグメントおよび非抗体タンパク質は、アフィニティカラム上に固定される場合に、好ましくは蛍光標識に共有結合される。このフラグメントおよび非抗体タンパク質は、代表的にはIgGに対す
る親和性をそのフラグメントが有するタンパク質を含む、アフィニティカラム上に固定され、固定後、反応性発蛍光団が、そのフラグメントが標識されているカラムに添加され、非反応性発蛍光団はそのカラムを通り過ぎる。
このアフィニティークロマトグラフィー方法の使用により、Fabフラグメントまたは非抗体タンパク質の結合ドメインに標識が組込まれるのが回避される。Fabフラグメントが、この方法を使用して発蛍光団で標識される場合、発蛍光団および発蛍光団対標識試薬比が一定に保持される場合に、カラム上の標識されたフラグメントからの蛍光シグナルが、溶液中の標識されたフラグメントより明るいという、予期せぬ利点が得られた。理論により拘束されることは望まないが、溶液中で標識されたフラグメントから観察される明るさの減少が、結合ドメイン中の高濃度のアミン基により結合ドメイン中または結合ドメイン付近に結合されている発蛍光団の消光に起因することが、可能である。従って、発蛍光団標識をFabフラグメントに共有結合するための本発明の好ましい実施形態は、以下の工程を包含する:
a)インタクトな抗領域抗体を、Fabフラグメントを生じる酵素で切断する工程;
b)工程a)の抗領域Fabフラグメントを単離する工程;
c)抗領域Fabフラグメントに特異的に結合するインタクトな免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含むマトリクスを、工程b)の抗領域フラグメントを含む溶液と接触させる工程であって、このFabフラグメントは固定されている、工程:
d)工程c)のマトリクスを、反応性基を含む蛍光標識を含む溶液と接触させる工程;
e)そのマトリクスを洗浄して、非結合標識を除去する工程;および
f)このマトリクスから標識試薬を溶出させ、それによって標識を含みかつ他のタンパク質およびそのフラグメントから単離されている標識試薬を製造する工程。
このマトリクスは、代表的には、選択された領域(例えば、Fc領域)または抗体全体のいずれかを含む、アガロースカラムであり、但し、その抗体またはそのフラグメントは、同じ種であり、標識試薬が生成された抗体を生成するために使用されたアイソタイプである。しかし、標識試薬の固定および蛍光標識の結合後除去を可能にする、当業者に公知の任意のマトリクスが、使用され得る。FabフラグメントおよびFab’フラグメントは両方とも、この様式で標識され得る。しかし、遊離チオール基は必要ではなく、従って、Fabフラグメントは、代表的には、この方法を使用して標識される。
標識試薬および結合した標識の特有の特性に起因して、酵素または他のタンパク質標識が、Fab’フラグメントの遊離チオール基を利用して溶液中でFab’フラグメントに共有結合されるのが、本発明の好ましい実施形態である。蛍光標識が、標識試薬がアフィニティカラム上に固定される場合にその標識試薬に共有結合され、その標識試薬が代表的には、Fabフラグメントまたは非抗体モノマータンパク質であるのが、別の好ましい実施形態である。
フラグメントまたは非抗体タンパク質への標識の結合は、標識化試薬に対する標識の比および標識の物理的特性によって識別される複数のサブセットを生じる。本明細書中で使用される標識試薬サブセットは、均質でありそして標識の物理的特性または標識試薬に対する標識の比のいずれかによって別のサブセットの標識試薬と識別され得る、別々のセットの標識試薬を示す。物理的特性としては、ある群の標識内での差異(例えば、発蛍光団の発光スペクトル)または標識の群にわたる差異(例えば、酵素と発蛍光団との間の差異)が挙げられる。発蛍光団標識について、物理的特性は、代表的に、発光スペクトルに関し、これには、同じ標識の改変(例えば、発光波長をシフトする異なる置換を有するシアニン)、または異なる発蛍光団(例えば、同じ標識試薬におけるシアニンおよびクマリン)が挙げられる。物理的特性における差異としてはまた、タンデム色素の使用が挙げられ、このタンデム色素は、エネルギー移動対(ここで、一方がタンパク質でありそして他方
が発蛍光団である)を含むか、または必ずしもエネルギー移動対ではない他の標識との対形成を含むように具体的に設計される。標識試薬サブセットの少ない例としては、抗Fc
Fabフラグメントに結合した既知の比の単一の発蛍光団を含む第1サブセット;第1サブセットとは異なる既知の比でFabフラグメント上に同じ発蛍光団を含む第2サブセット;同じ発蛍光団を含むが、発蛍光団上の置換基に起因してシフトした波長を有する第3サブセットが挙げられるが、これらに限定されない。従って、標識試薬への標識の結合は、標的結合抗体と複合体化した場合、サンプル中の1つの標的または複数の標的を検出して、それによって標的を同定および定量するための独特の方法を生じる、広範な選択のサブセットを生じる。
(B.免疫標識複合体)
標識試薬のサブセットは、標的結合抗体と複合体化して、サブセットの免疫標識化複合体を産生する。免疫標識化複合体を形成するための方法は、以下の工程を包含する:
a)標的結合抗体の溶液と標識試薬サブセットとを接触させる工程であって、ここで、この標識試薬サブセットが、i)標識試薬に対する標識の比、またはii)この標識の物理的特性によって識別される、工程;
b)この標的結合抗体およびこの標識試薬を、1つ以上の標識試薬が、標的結合抗体と免疫標識複合体を形成するのに十分な時間の間、インキュベーションする工程であって、ここで、この標的結合抗体の領域が、標識試薬によって選択的に結合される、工程;
c)免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含む捕捉試薬を添加することによって、非結合標識試薬を必要に応じて除去する工程;および
d)必要に応じて、上記工程a)、b)、およびc)を繰り返して、個々のまたはプールされたサブセットの免疫標識複合体を形成する工程であって、ここで、各サブセットが、i)標識試薬に対する標識の比、またはii)この標識の物理的特性、またはiii)この標的結合抗体に対する標識試薬の比、またはiv)この標的結合抗体によって、別のサブセットと識別される、工程。
標的結合抗体を標識するための本発明の標識試薬の使用のための特定の利点は、このプロセスが、この抗体が存在する溶液に対して比較的非感受性であることである。標識試薬の物理的性質(小さな一価フラグメント)に起因して、この試薬は、高い濃度のタンパク質の存在下で、架橋せず、溶液から沈殿しない。この理由のため、標的結合抗体は、腹水液、組織培養上清、血清または他の溶液(高濃度のタンパク質が存在する)に存在する場合、複合体化され得る。これは、標識化の前に標的結合抗体タンパク質を精製する必要性を排除する。
精製された標的結合抗体を使用して免疫標識複合体を調製する場合、標識試薬および標的結合抗体の両方のストック溶液は、代表的に、適切な緩衝液中に1mg/mL近くであるが、より多くまたはより少ない濃度の溶液もまた適切である。一般的に、標識試薬は、複合体化される1モルの標的結合抗体に対して、少なくとも1〜50モルの標識試薬のモル比で混合される。より一般的に、1モルの標的結合抗体当たり、少なくとも1モル〜10モルもの多さの標識試薬の比が組み合わせられる。標的結合抗体に対する抗Fc領域Fabについて、約2〜10のモル比が、代表的であり、より代表的には、3〜5である(特に、親和性マトリックスに固定化されている間に、標識試薬が標識化される、複合体について)。複合体の形成が容易であることによって、複合体の迅速な最適化および実験パラメーターにおける変化の効果の評価が可能になる。本発明の特定の独特の利点は、複合体の化学量論が、標的結合抗体に対して異なる比の標識試薬で複合体を提供するように、容易に調節され、従って、サンプル中の標的の最終的な検出能力に対する制御が存在する。同じ色素であるが異なるモル比で標識されている複合体は、それらの強度における差異によって別々に検出され得る。
複合体形成は、ほとんど、溶液の混合時間(<1分)以内で生じるようであるが、反応は、代表的には、少なくとも5分間で進行され得、サンプルと免疫標識複合体を組み合わせる前により長くあり得る。複合体形成が同じ結合領域を含む非標識抗体の添加によって逆転し得るが、逆転は、非常に遅く;さらに、サンプル中の標的に対する免疫標識複合体の結合に続いて、サンプルは、免疫標識の当業者によって一般的に実施される方法によって、アルデヒドベースの固定剤を使用して「固定」され得る。
標識プロセスは、必要に応じて、過剰な標識試薬を除去するために、捕捉成分の添加をさらに包含する。同じ種(例えば、マウスモノクローナル抗体)または交差種(例えば、マウスおよびヒトの抗体)由来の複数の一次抗体の免疫標識複合体が同時にまたは連続的に使用される適用について、サンプルの不適切な標識を避けるために、捕捉成分の使用によって、または他の手段によって、任意の過剰な標識試薬をクエンチまたはそうでなければ除去することが必要である。過剰な標識試薬を捕捉するための最も有効な捕捉成分は、標識試薬の結合部位を含むが、それ自体が標識されていない成分(好ましくは、抗体または抗体フラグメント)である。捕捉成分は、溶液中で遊離し得るか、免疫標識複合体からの過剰な捕捉成分の分離を容易にするために、マトリクス(例えば、アガロース、セルロース、または天然ポリマーもしくは合成ポリマー)上に固定され得る。捕捉成分は、必要に応じて、ミクロスフェアまたは磁性粒子に結合される。しかし、過剰な標識試薬の分離は、特に1つの標的結合抗体を使用する場合、本発明の首尾良い利用のためには必須ではない。
標識結合抗体についての標識プロセスの工程は、個々の標的または複数の標的を検出するためのアッセイにおいて、個々に使用され得るかまたはプールされ得る別々の免疫標識複合体を形成するために繰り返され得る。本明細書中で使用される場合、用語、免疫標識複合体サブセットとは、i)標識試薬に対する標識の比、またはii)この標識の物理的特性、またはiii)この標的結合抗体に対する標識試薬の比、またはiv)この標的結合抗体によって、またはこれらの組み合わせによって、互いに識別されるサブセットをいう。例えば、パネルのサブセットは、別々のサブセットの免疫標識複合体を生じる、標識試薬上の異なる比の同じ標識のサブセットを含む標識試薬によって結合される標的結合抗体を含み得る。このサブセットの免疫標識複合体は、個々に使用され得、ここで、標的は、検出可能な標識の強度によって識別されるか、または複数の標的を同定するために標的結合抗体において異なる別のサブセットの免疫複合体と組み合わせて使用される。
(C.使用方法)
標識試薬および得られる免疫標識複合体は、広範囲の免疫アッセイ、特に、従来の二次抗体が使用される任意のアッセイ(二次抗体の大きさおよび架橋能力に起因して二次抗体が使用されないいくつかのアッセイを含む)において、使用され得る。サンプル中の標的を検出するための使用されるこのようなアッセイの例としては、イムノブロット、ゲルにおける直接的検出、フローサイトメトリー、免疫組織化学、共焦点顕微鏡、蛍光分析、ELISAおよび他の改変免疫アッセイが挙げられる。
サンプル中の単一の標的を検出するための本発明の方法は、以下の工程を包含する:
a)標的結合抗体の溶液と標識試薬サブセットとを接触させる工程であって、ここで、この標識試薬サブセットが、i)標識試薬に対する標識の比、またはii)この標識の物理的特性によって識別される、工程;
b)この標的結合抗体およびこの標識試薬サブセットを、1つ以上の標識試薬が、標的結合抗体と免疫標識複合体を形成するのに十分な時間の間、インキュベーションする工程であって、ここで、この標的結合抗体の領域が、標識試薬によって選択的に結合される、工程;
c)このサンプルを、工程b)のこの免疫標識複合体と接触させる工程;
d)この免疫標識複合体が、この標的に選択的に結合し得るのに十分な時間の間、工程c)のサンプルをインキュベートする工程;および
e)この免疫標識複合体を照射して、それによってこの標的を検出する工程。
サンプルを、標識試薬および標的結合抗体を含む、予め形成された免疫標識複合体とともにインキュベートする。この方法が単一の標識の同定を記載しているものの、同じ標的結合抗体に結合したサブセットの標識試薬は、このような標的を同定し、そしてこのような標的についてのさらなる情報を提供するために使用され得る。例えば、サブセットの標識試薬が、調製され得、ここで、2つの別々のサブセット(それらの発光スペクトルによって識別される異なる発蛍光団標識(例えば、緑色スペクトルで発光する標識および赤色スペクトルで発光する標識)を有する)が、それぞれ、作製される。次いで、標識試薬サブセットは、標的結合抗体当たり、2部のある標識試薬(緑色発光)および1部の他の標識試薬(赤色発光)の制御された比で、標的結合抗体の溶液に添加される。このように、免疫標識複合体は、標的を検出するために使用され得る。別の免疫標識複合体がサンプルに添加された場合、元の標的は、引き続いて検出される標的から区別され得る。
本発明の方法はまた、サンプル中の複数の標的の検出を提供する。複数の標的は、標的結合抗体が親和性を有する別個のエピトープ、ならびに、エピトープが結合する分子または構造体を含む。従って、複数の標的の同定は、異なった細胞上の、同じ細胞表面マーカーの濃度に基づく細胞の表現型決定を含む。この方法において、複数の標的の同定は、明らかに複数の標的が同定され得る(すなわち、標的結合抗体の親和性に基づく)方法であるが、この同定は、標的結合抗体が結合する別個のエピトープに限定されない。
それゆえに、サンプル中の複数の標的を検出する方法は、以下の工程を包含する:
a)標的結合抗体の溶液と標識化試薬サブセットとを接触させる工程であって、この標識化試薬サブセットは、i)標識化試薬に対する標識の比またはii)標識の物理的特性によって区別される、工程;
b)1つ以上の標識化試薬が標的結合抗体との免疫標識化複合体を形成するのに十分な時間でもって、標的結合抗体および標識化試薬サブセットをインキュベートする工程であって、この標的結合抗体のある領域は、標的化試薬によって選択的に結合され、ここで、工程a)およびb)を繰り返して、別個の免疫標識化複合体サブセットを形成する、工程;
c)このサンプルと以下のA)またはB)を含む溶液とを接触させる工程:A)免疫標識化複合体のプール化サブセットであって、各サブセットは、i)標識化試薬に対する標識の比、またはii)標識の物理的特性、またはiii)標識結合抗体に対する標識化試薬の比、またはiv)標的結合抗体によって別のサブセットと識別される、サブセット;B)個々のサブセットであって、個々のサブセットを含む溶液とともに工程c)が繰り返される、サブセット;
d)免疫標識化複合体が、標的に選択的に結合することを可能にするのに十分な時間、工程c)のサンプルをインキュベートする工程;ならびに、
e)免疫標識化複合体を照射し、標的を検出する工程。
選択された標的結合抗体および標識化試薬のサブセットをインキュベートし、免疫標識化複合体サブセットを形成する。この手順を繰り返して、プールされ得、サンプルに添加され得る免疫標識化複合体サブセットのパネルを形成する。あるいは、各免疫標識化複合体サブセットは、サンプルへ段階的に添加される。免疫標識化複合体サブセットは、膨大な数の免疫標識化複合体サブセットを生じる4つの特徴によって区別される。まず、(i)サブセットは、サンプルからの所望の情報について、エンドユーザーによって決定される標的結合抗体によって区別され得る。このことは、各サブセットが、標的結合抗体の親和性に基づいて区別されることを意味する。複数の標的が同定される場合に、標的結合抗
体は、代表的に、免疫標識化複合体を区別するが、通常は、このことを別の特徴と組み合わせて、サンプルについての情報を得るか、または、同時に検出され得る標的の数を増加させる。第2の(ii)使用される顕著な特徴は、上記で詳細に論じられたような、標識化試薬に対する標識の比である。この特徴に基づくサブセットは、例えば、各標識化試薬あたり2個の発蛍光団の比を有する。第3の(iii)顕著な特徴は、標的結合抗体に対する標的化試薬の比である。これは、制御された濃度の標識化試薬サブセットと混合される制御された濃度の標的都合抗体を用いて達成され、そして、このサブセットは、別個の数の標識化タンパク質によって結合される標的結合抗体を含む。第4の(iv)特徴は、標識の物理的特徴である。代表的に、これは、発蛍光団標識の物理的特性をいい、このグループのサブセットは、標識自体(例えば、赤色発光発蛍光団と比較される緑色発光発蛍光団)によって区別される。当業者は、免疫標識化複合体サブセットが、1つの特徴に基づいて区別され得、一方、顕著な特徴の組み合わせに基づいて別個に同定される場合、サブセットは、代表的にかつ最も有用であることを理解する。
複数の標的の検出の別の例は、以下の免疫標識化サブセットを利用し、これらの全ては、異なる標的結合抗体を含むが、標識および標識の比において異なる。第1のサブセットは、赤色蛍光を発光する発蛍光団標識を含み、第2のサブセットは、緑色蛍光を発光する発蛍光団標識を含み、第3のサブセットは、1:1の比の赤色発蛍光団標識と緑色発蛍光団標識を含み;第4のサブセットは、2:1の比の赤色発蛍光団標識と緑色発蛍光団標識を含み、そして、第5のサブセットは、1:2の比の赤色発蛍光団標識と緑色発蛍光団標識を含む。これらのサブセットは、サンプル中の5つの標的の同時検出を可能にする。本発明のこの局面は、利用可能な発蛍光団の制限された範囲に起因して、特に重要であり、ここで、標識化試薬を利用して、同時に検出され得る標的の数を増加させ得る。当業者は、これらのサブセットが、標識結合抗体に対する標識化試薬の比とちょうど代わって、標識化試薬に対する標識の比を変化させることによって拡張され得ることを理解し得る。この同じ方法論はまた、比が変化される単一の発蛍光団標識に対して適用され得、そして、標的は、色および別の色に対する色の比の代わりにシグナルの強度に基づいて検出される。
免疫標識化複合体サブセットの形成に続いて、サブセットは、プールされ得、そして、サンプルに添加され得るか、またはサンプルに段階的に添加され得る。これらのいずかは、エンドユーザーおよび特定のアッセイフォーマットによって決定される。本発明のこの方法は、最大の柔軟性およびサンプル中の複数の標的の決定における容易さを提供する。
本発明の別の方法は、フローサイトメトリアッセイフォーマットを特に使用して、サンプル中の複数の標的の決定を提供する。フローサイトメトリーを用いて従来のように同定された標的は、直接標識された一次抗体か、または、一次抗体に共有結合した標識化ミクロスフェア(ここで、ミクロスフェアが、標識である)かのいずれかを使用した。例としては、Luminexより販売されている、蛍光カプセル化ミクロスフェアビーズが挙げられる。標識化試薬および本発明は、直接標識された一次抗体の必要性および高価なミクロスフェアの必要性の両方を克服する。
従って、複数の標的を検出することによって、サンプル中の標的の同一性および量を決定するための、本発明の方法は、以下の工程を包含する:
a)標的結合抗体の溶液と標識化試薬サブセットとを接触させる工程であって、この標識化試薬サブセットは、i)標識化試薬に対する標識の比またはii)標識の物理的特性によって区別される、工程;
b)1つ以上の標識化試薬が標的結合抗体との免疫標識化複合体を形成するのに十分な時間でもって、標的結合抗体および標識化試薬をインキュベートする工程であって、この標的結合抗体のある領域は、標的化試薬によって選択的に結合され、ここで、工程a)お
よびb)を繰り返して、免疫標識化複合体のプールされたサブセットを形成する、工程;
c)サンプル中の細胞集団と免疫標識化複合体のプール化サブセットを含む溶液とを接触させる工程であって、各サブセットは、i)標識化試薬に対する標識の比、またはii)標識の物理的特性、またはiii)標識結合抗体に対する標識化試薬の比、またはiv)標的結合抗体によって別のサブセットと識別される、工程;
d)免疫標識化複合体が、標的に結合することを可能にするのに十分な時間、細胞をインキュベートする工程;
e)インキュベートされた細胞集団を、試験領域を通過させる工程;ならびに、
f)試験領域を通過した細胞からデータを収集する工程であって、複数の標的が検出され、それによって、標的の同一性および量が決定される、工程。
1つの局面において、標的結合抗体は、サブセットを形成するために、標的結合抗体に対して予め複合体される。そして、サブセットまたはサブセットのパネルが、サンプルに添加され、これらは、標的結合抗体によって代表的に区別される。次いで、この方法は、直接標識された一次抗体の必要性を避ける。第2に、サブセットのパネルが、例えば、標識化試薬に対する標識の比または標的結合抗体に対する標的化試薬の比によって、区別される場合、免疫標識化複合体は、Luminexのミクロスフェアビーズと同様に機能し得る。例えば、このことは、3つの免疫標識化複合体サブセットが、標的結合抗体によって区別され、そして、標識化試薬に結合し、かつサブセットのうちの1つ中にある発蛍光団が、標識化試薬に対する標識の比に基づいて区別されるサブセットの別のセットである場合に、達成される。この方法において、3つの異なるエピトープが検出され、そして、これらのエピトープのうちの1つが、さらに区別され、表現型区別が、標識化試薬に対する発蛍光団の比に基づく免疫標識化複合体サブセットから生成されたシグナルの強度に基づいてなされた。細胞集団または細胞小器官が、フローサイトメトリーの試験領域を通過する場合に、標識のこの決定は、容易となり、ここで、蛍光シグナルおよび蛍光強度が、各細胞について記録され、検出されたエピトープに基づいて細胞集団または細胞小器官のヒストグラムが得られる。
本発明の別の局面において、さらなる検出試薬が、免疫標識化複合体サブセットの添加と同時に、または添加に続いて、サンプルと合わせられる。このようなさらなる検出試薬としては、細胞もしくは非細胞成分、イオンを選択的に検出する試薬、または、細胞生存能力、生活環、もしくは増殖状態を示す試薬が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、さらなる検出試薬は、直接的にまたは間接的に検出可能な標識された標的結合抗体であり、そして、別の検出試薬は、核酸、F−アクチンまたは細胞小器官に対する染色剤である。
(1.サンプル調製)
サンプルを、抗体が親和性を有する標的を含み得る任意物質を含むと規定する。代表的に、サンプルは、起源は生物学的なものであり、そして、組織、細胞または細胞集団、細胞抽出物、細胞ホモジネート、精製されたタンパク質または再構築されたタンパク質、組換えタンパク質、体液および他の生物学的な流体、ウイルスもしくはウイルス粒子、プリオン、亜細胞成分、または合成タンパク質を含む。本発明のサンプルを調製するのに使用される細胞性物質の可能性のある供給源としては、植物、動物、真菌、細菌、古細菌(archae)、またはこのような生物由来の細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。サンプルは、生物学的な流体(全血、血漿、血清、鼻分泌物、痰、唾液、尿、汗、経皮的滲出物、脳脊髄液など)であり得る。あるいは、サンプルは、動物由来の全器官、全組織、全細胞であり得る。このようなサンプルの供給源の例としては、筋肉、眼、皮膚、性腺、リンパ節、心臓、脳、肺、肝臓、腎臓、脾臓、固形癌、マクロファージ、中皮などが挙げられる。
免疫標識複合体と組み合わせる前に、サンプルは、サンプル中の標的(これは、最終消費者によって決定される)を免疫標識複合体に接近可能にする方法で調製される。代表的に、本発明において用いられるサンプルは、組織、細胞、細胞抽出物、細胞ホモジネート、精製もしくは再構成されたタンパク質、組換えタンパク質、生物学的流体、または合成されたタンパク質を含む。大きな高分子(例えば、免疫標識複合体)は、生きている生物学的細胞の膜に不透性である傾向がある。原形質膜を透過性にする処理(例えば、エレクトロポレーション、ショック処理または高細胞外ATP)を用いて、この免疫標識複合体を細胞内に導入し得る。あるいは、この免疫標識複合体は、例えば、圧力マイクロインジェクション、引っかき負荷、パッチ−クランプ法、または食作用によって、細胞内に物理的に挿入され得る。しかし、所望の標的は、この免疫標識複合体の添加前の精製または分離を必要とし得、これは、抗原決定基がサンプル中に含まれる様式に依存する。例えば、このサンプルをSDS−ポリアクリルアミドゲルで分離すべき場合、このサンプルは、適切な緩衝液(例えば、Tris、グリセロール、DTT、SDS、およびブロモフェノールブルーを含む、SDS−サンプル緩衝)中で最初に平衡化される。
このサンプルが精製された標的物質を含む場合、この精製された標的物質は、依然として、異なる物質の混合物であり得る。例えば、精製されたタンパク質混合物または核酸混合物は、いくつかの異なるタンパク質または核酸を含み得る。あるいは、この精製された標的物質は、ゲル(例えば、アガロースゲルまたはポリアクリルアミドゲル)で電気泳動されて、ポリマー膜上にその後ブロットされ得るかまたはゲルマトリクス内で検出され得る、標的物質の個々の種を提供し得る。精製された核酸またはタンパク質を含むサンプルの調製は一般に、変性および中和を包含する。DNAは、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)または熱を用いたインキュベーションによって変性され得る。RNAはまた、塩基(ノーザンブロットについて)への曝露によってよりも、加熱(ドットブロットについて)、または変性剤(例えば、尿素、グリオキサール、またはホルムアルデヒド)の存在下での電気泳動によって変性される。タンパク質は、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)の存在下での、インキュベーションまたは電気泳動と組み合わせた加熱によって変性される。次いで、核酸は、必要に応じて、酸(例えば、塩酸)の添加によって中和されるか、冷却されるか、または緩衝液(例えば、Tris緩衝液、リン酸緩衝液またはクエン酸緩衝液)が添加される。
好ましくは、精製された標的物質を含むサンプルの調製は、固相支持体または半固体支持体上での標的物質の固定をさらに包含する。精製された核酸は一般に、DNAスポットブロットのために、適切な塩(例えば、塩化ナトリウムまたは酢酸アンモニウム)の存在下でフィルター膜(例えば、ニトロセルロースフィルターまたはナイロン膜)にスポットされる。あるいは、これらの精製された核酸は、(ノーザンブロットまたはサザンブロットのために)適切な緩衝液条件下でキャピラリーブロッティングまたは電気ブロッティングによって、ニトロセルロースフィルターに転写される。核酸をフィルター膜に永久に結合するために、標準的架橋技術が用いられる(例えば、ニトロセルロースフィルターが、減圧下で80℃にて焼き付けられる;ナイロン膜は、360nm光を用いた照射に供される)。次いで、フィルター膜は、核酸プローブの非特異的結合を防止するように設計された溶液(例えば、BSA、カゼイン加水分解産物、このプローブに関連していない種由来の1本鎖核酸など)を用いてインキュベートされ、そして同様の溶液中でプローブに対してハイブリダイズされる。精製されたタンパク質は、一般に、熱および/または界面活性剤変性の後で、ニトロセルロース膜またはナイロンフィルター膜にスポットされる。あるいは、これらの精製されたタンパク質は、(ウェスタンブロットのために)適切な緩衝液条件下でキャピラリーブロッティングまたは電気ブロッティングによってフィルター膜に転写される。非特異的に結合したプローブは、溶液(例えば、生理食塩水−クエン酸緩衝液またはリン酸緩衝液)を用いてこのフィルターから洗浄される。フィルターは再度ブロックされて、免疫標識複合体の非特異的付着を防止する。最終的に、サンプルは、免疫標
識複合体と混合される。非特異的に結合した免疫標識複合体は代表的に、洗浄によって除去される。
このサンプルが細胞性核酸(例えば、細胞、RNAウイルスもしくはDNAウイルスまたはマイコプラズマ感染細胞内の染色体由来遺伝子またはプラスミド由来遺伝子、あるいは細胞内RNA)またはタンパク質を含む場合、このサンプルの調製は、既に記載された変性および中和に加えて、この細胞の溶解または透過化を包含する。細胞は、薬剤(例えば、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、Tween、サルコシル、またはTriton)、リゾチーム、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、または水酸化カリウム)、クロロホルム、または熱への曝露によって溶解される。細胞は、従来の方法によって(例えば、緩衝液中のホルムアルデヒドによって)透過性にされる。
精製された標的物質を含むサンプルについては、細胞性の標的物質を含むサンプルの調製は、代表的に、表面(例えば、固体または半固体のマトリクス)への標的物質の固定化をさらに含む。これらの標的は、支持体上に、規則的パターンで、またはランダムに整列され得る。これらの支持体としては、スライド、ポリマービーズ(ラテックスを含む)、光ファイバー、および膜のような材料が挙げられる。このビーズは好ましくは、蛍光ポリスチレンまたは非蛍光ポリスチレンであり、スライドおよび光ファイバーは好ましくは、ガラスまたはプラスチックであり、そしてこの膜は好ましくは、ポリ(ビニリデンジフルオリド)またはニトロセルロースである。従って、例えば、このサンプルが、溶解した細胞を含む場合、懸濁した細胞は、ニトロセルロース膜もしくはナイロン膜上にスポットされるか、またはニトロセルロース膜もしくはナイロン膜を通して濾過されるか、または細胞のコロニーを、適切な増殖培地と接触した膜上に直接的に増殖させ、そして細胞成分(例えば、タンパク質および核酸)を上記の通りにフィルターに永久に結合させる。透過性にされた細胞は代表的に、インサイチュハイブリダイゼーションおよび染色体「スカッシュ(squash)」または「スプレッド(spread)」へのハイブリダイゼーションのために用いられる既知の技術を用いて(例えば、緩衝化溶液中の試薬(例えば、ホルムアルデヒド)を用いて)顕微鏡スライドに固定される。あるいは、用いられるサンプルは、ゲルまたは溶液中にあり得る。
本発明の特定の局面では、このサンプルは、流体(例えば、腹水、ハイブリドーマ上清、または血清)中の細胞を含み、ここで、このような細胞中でのこの標的の存在または不存在は、このような細胞に結合した免疫標識複合体中の検出可能部分の検出可能な蛍光応答によって細胞を選別する自動化機器を用いることによって(例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって)検出される。フローサイトメトリーを用いる方法については、細胞集団は代表的に、当該分野で周知の手段によって他のタンパク質および結合組織から単離された、単離細胞を含む。例えば、リンパ球は、遠心分離および密度勾配を用いて、血液から単離される。これらの細胞は洗浄され、そしてペレット化され、そして標識溶液がこのペレット化細胞に添加される。
(2.照射)
このサンプルへの免疫標識複合体の添加後の任意の時点で、このサンプルには、検出可能な光学的応答を生じるように選択された波長の光が照射され、そしてこの光学的応答を検出するための手段を用いて観察される。本発明の蛍光化合物を照射するために有用である装置としては、携帯型紫外ランプ、水銀アーク、キセノンランプ、レーザーおよびレーザーダイオードが挙げられるがこれらに限定されない。これらの照射源は、レーザースキャナ、蛍光マイクロプレートリーダーまたは標準的フルオロメーターもしくはマイクロフルオロメーターに光学的に一体化されている。標準的な応答または予測される応答と比較してのシグナルの程度および/または位置は、サンプルが所定の特徴(すなわち、所望の標的)を保有するか否かおよびサンプルがこの所望の特徴をどの程度保有するかを示す。
この光学的応答は、目視検査によって、または以下のデバイスのうちのいずれか使用によって、必要に応じて検出される:CCDカメラ、ビデオカメラ、写真フィルム、レーザースキャニングデバイス、フルオロメーター、フォトダイオード、量子カウンター、落射型(epifluorescence)顕微鏡、スキャニング顕微鏡、フローサイトメーター、蛍光マイクロプレートリーダー、またはシグナルを増幅するための手段(例えば、光電子増倍管)。フローサイトメーターを用いてこのサンプルを調べる場合、サンプルの検査は必要に応じて、サンプルの一部をそれらの蛍光応答に従って選別することを包含する。
間接的に検出可能な標識を用いるならば、照射する工程は代表的に、検出可能なシグナルを促進する試薬(例えば、比色酵素基質)の添加を包含する。放射性同位体もまた、間接的に検出可能とみなされ、ここで、さらなる試薬は必要とされないが、その代わり、放射性同位体は、X線フィルム、またはこの放射性同位体シグナルを記録および測定するための何らかの他の機構に曝露されなければならない。これはまた、フィルムへの曝露後に最も良く観察されるいくつかの化学発光シグナルについても当てはまり得る。
(III.本発明のキット)
免疫標識複合体を調製するためおよびサンプル中の標的の検出のために適切なキットはまた、本発明の一部を形成する。このようなキットは、容易に入手可能な物質および試薬から調製され得、そして種々の実施形態に入り得る。このキットの内容物は、アッセイプロトコルの設計または検出もしくは測定のための試薬に依存する。一般に、これらのキットは、指示書、適切な試薬および標識、ならびに必要に応じて固体支持体を備える。代表的に、指示書は、試薬濃度または少なくとも1つのアッセイ方法パラメーター(例えば、混合されるべき、試薬とサンプルとの相対量、試薬/サンプル混合物についての維持期間、温度、緩衝液条件など)を記載する、有形の表現を備えて、上記に記載される方法または調製のうちの任意の1つを使用者が実施するのを可能にする。
本発明の好ましいキットは、以下を備える:a)1以上の標識に対して独立して結合される標識試薬を含む標識溶液、およびb)捕捉試薬を含む溶液。このキットの好ましい実施形態は、抗Fc Fabフラグメント、プロテインGまたはアルブミンと複合体化したプロテインGである、標識試薬を提供する。このキットのより特定の実施形態では、この捕捉成分は、精製されたマウスIgGまたは非免疫マウス血清であり、このアルブミンはヒトアルブミン、ウシ血清アルブミン、またはオボアルブミンである。より好ましい実施形態では、このアルブミンは、オボアルブミンである。この標識溶液は、標識試薬の均質混合物であるか、または標識試薬のプールされたサブセットを含むかのいずれかである。あるいは、このキットは、免疫標識複合体のサブセットを作製するために用いられ得る標識試薬サブセットのパネルを備える。
さらに、これらのキットは、以下を含む、1以上のさらなる成分を含み得る:(a)細胞器官、細胞生存率、または細胞増殖状態の特徴付けのための染料、(b)酵素基質、または(c)酵素結合体(例えば、アビジン−HRP)。
広範な種々のキットおよび成分が、そのキットの意図される用途および使用者の特定の要求に依存して、本発明に従って調製され得る。本発明によって企図される任意の標識試薬が、キットに含まれる標識溶液中で使用され得ることが、当業者によって理解される。標識試薬は、記載される好ましい実施形態のみに限定されることを意図されない。
(IV.適用)
本発明は、基礎研究、ハイスループットスクリーニング、免疫組織化学、蛍光インサイ
チュハイブリダイゼーション(FISH)、マイクロアレイ技術、フローサイトメトリー、診断、および医療において、有用な適用を有する。本発明は、微生物学、免疫学、血液学および輸血、組織病理学、法医学的病理学、ならびに獣医学的な病理学の分野における診断適用のための、種々のアッセイ形式において使用され得る。本発明は、ハイブリドーマ上清由来の最適化された抗体の特徴付けおよび選択において、特に有用である。さらに、本発明は、特定の標的に治療剤を送達するために使用され得る。一般に、本発明は、抗体を検出方法の一部として使用する、任意のアッセイを増強するための、用途の広い便利な方法を提供する。
本発明は、生物学的現象(例えば、細胞増殖、細胞におけるシグナル伝達、またはアポトーシスなど)を研究するために使用され得る。説明の目的のみであって限定ではなく、チミジンアナログである5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BrdU)の取り込みを研究し得る。BrdUは、細胞増殖とアポトーシスとの両方についてのマーカーである。なぜなら、BrdUは、細胞周期のS期にわたって増殖する新たに合成されたDNAにおいて容易に取り込まれ、そしてまた、デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によるDNA破壊部位に容易に取り込まれるからである。抗BrdU抗体は、BrdU取り込みによってマークされる細胞を検出するために使用される。抗BrdU抗体を直接標識し得ることによって、本発明は、必要とされる検出方法に依存して、従来の免疫組織化学または蛍光によって、取り込まれたBrdUの検出を可能にする、便利な方法を提供する。
さらに、本発明は、1つのカクテルにおいて複数の標的の染色を可能にし、これによって、1回の実験あたりのより多くのサンプルまたは処理工程に対する必要性を減少させるという利点を有する。このことは、希少なサンプル(例えば、小児科学的サンプル、生検から単離された白血球、希少な抗原特異的リンパ球および少数の細胞を与えるマウス組織)を分析する場合に、特に重要である。フローサイトメトリーのハードウェア、ソフトウェア、および色素化学における、入り組んだ一連の新規な開発によって、11の異なる蛍光色を同時に測定することが、現在可能であるが、これらの利点の使用は、分光学的に異なる、直接標識された一次抗体および二次抗体の市場での入手可能性の欠如により、厳しく制限されている。個々のアイソタイプ特異的標的抗体(例えば、抗IgGアイソタイプ抗体)に対する標識された二次抗体が存在するが、交差反応性に起因して、この型の標識抗体を使用して、単一サンプル中の1つより多い同一アイソタイプの抗体(例えば、IgGアイソタイプ抗体)を検出することは、不可能である。本発明は、例えば、多色フローサイトメトリーおよびウェスタンブロットにおいて使用される、同一アイソタイプの一次抗体を含む、少量または多量のいずれかの任意の一次抗体を迅速に標識するための、便利かつ非常に用途の広い方法を提供することによって、これらの制限を克服する。多色システムにおけるこの利点は、現在の2色または3色のフローサイトメトリー測定より優れた多数の利点を有する。例えば、単色染色のいずれの組み合わせも、CD3 CD4 CD8 T細胞(例えば、CD3 CD4 CD8 T細胞および小さいCD4単球を除く)を正確に評価し得ないか、またはこれらを単離するために使用され得ない。血液および組織中の白血球組成を研究するための、細胞膜マーカーの使用は、特にフローサイトメトリーと組み合わせて、分析モノクローナル抗体適用の例として働く。これはまた、免疫系の研究に最も関連する例である。なぜなら、血液およびリンパ組織の細胞組成は、「ウィンドウ」を提供し、免疫系の分析およびモニタリングを可能にするからである。
本発明の方法はまた、免疫蛍光組織化学において使用され得る。この技術は、標本中の物質を検出するために、発蛍光団で標識された抗体の使用を包含する。病理学者は、組織の薄い断片を顕微鏡で試験することによって、診断値の多量の情報を得る。組織病理学は、例えば、癌または前悪性状態の早期の診断、および免疫学的に媒介される障害(炎症お
よび移植拒絶が挙げられる)の評価に特に関連する。しかし、免疫蛍光組織化学に関連する問題は、このような適用において使用するために現在利用可能な方法の制限から生じる。例えば、抗体を直接標識することは、抗体の不活性化を生じ得、そして比較的多量の抗体および結合体化を行うための比較的長い時間を必要とする。様々な程度の標識置換を有する、直接標識された抗体を調製することはまた、高価かつ非実用的である。同様に、抗体の間接的な標識化は、問題(例えば、二次抗体の特異性の欠如、および多色標識を行うための一次抗体に対する信頼の欠損(抗体アイソタイプおよび利用可能な発蛍光団が挙げられる))を有する。二次抗体の標識は、一次抗体が同じ種由来であるかまたは同じアイソタイプのものである場合に、実用的ではない。同一の標的結合抗体上の発蛍光団または他の検出可能な標識の組み合わせ(これは、本発明の方法によって、複数の混合物中で容易に調製される)は、多色プロトコルにおける区別可能な信号の数を大いに増加させる。二次抗体特異性の欠如は、標的部分および標的結合抗体を含む標本が同種の種由来である場合に生じる。例えば、げっ歯類組織におけるBrdU標識されたDNAは、免疫組織化学的染色によって検出される。標的結合抗体は、好都合には、マウス抗BrdUであり、そしてこの検出抗体系は、フルオレセインで標識された抗マウス免疫グロブリン抗体を使用する。マウス免疫グロブリンと、多くのげっ歯類種(例えば、ラット、マウス、ハムスターなど)由来の免疫グロブリンとの間には、相同性が存在するので、検出抗体は、標的結合抗体に結合するのみでなく、組織中の免疫グロブリンにもまた非特異的に結合する。本発明は、免疫標識複合体を予め形成することによって、この問題を排除し、そして1つの実験で2つ、3つまたはより多くの蛍光抗体によって標識することで進行する、単純かつ迅速かつ便利な方法を可能にする。非常に有意なことに、これは、同じアイソタイプまたは異なるアイソタイプのいずれかの一次抗体とともに常に使用され得、そして一次抗体と同じ種または類似の種の組織において常に使用され得る。
本発明はまた、マイクロアレイの分野において適用を有する。マイクロアレイ技術は、生物学的診査のための強力なプラットフォームである(Schena(編)、Microarray Biochip Technology,(2000))。多くの現在のアレイ(「バイオチップ」としてもまた公知)の適用が、機能的ゲノム学において使用され得る。なぜなら、科学者は、異なる生理学的病理状態または組織における遺伝子発現の特徴的パターンを求めるからである。遺伝子およびタンパク質のマイクロアレイ技術において使用される通常の方法は、エピトープまたは「タグ」(例えば、オリゴヒスチジン、グルタチオントランスフェラーゼ、血球凝集素(HA)、またはc−myc)としての、ビオチン、ジゴキシゲニン(DIG)、またはジニトロフェニル(DNP)の使用を包含する。この場合、検出可能に標識された抗ビオチン、抗DIG、抗DNP、抗オリゴヒスチジン、抗グルタチオントランスフェラーゼ、抗HA、または抗c−mycは、検出試薬として使用される。本発明は、発蛍光団または酵素で標識された複数の抗体の使用を可能にし、これによって、検出モダリティーを大いに拡張させ、そしてまた、多重化または二次元分析の増強された能力を提供する。
同様に、本発明は、タンパク質マイクロアレイと共に、そしてウェスタンブロットにおいて使用され得る。タンパク質マイクロアレイは、臨床適用または研究適用において、数十万の異なるタンパク質におけるバリエーションのパターンを特徴付けるための、実用的な手段を提供し得る。複雑な混合物中の複数のタンパク質の検出および定量のために、115の抗体/抗原対のセットを使用して、抗体アレイは、首尾よく使用されている(Haabら、Genome Biology,2,4.1(2001))。しかし、タンパク質マイクロアレイは、非常に低いサンプル体積を使用し、このことは、従来、この適用のための抗体技術の使用を有意に制限してきた。本願発明は、この制限を容易に克服し、そして低いサンプル体積を使用して抗体を蛍光色素で標識するため、ならびに染色複合体の形成および染色プロセスを自動化するための手段を提供する。
本発明はまた、疾患の特異的な検出、モニタリング、および/または処置のための手段を提供し、そして特定の標的の存在をインビトロで検出するための、免疫標識複合体の使用を企図する。このような免疫アッセイにおいて、サンプルは、液相でか、ゲル中でか、または固相キャリア(例えば、発蛍光団標識されたミクロスフェアのアレイ)に結合させて、利用され得る(例えば、米国特許第5,981,180号および同第5,736,330号)。例えば、サンプルを不溶性支持体(例えば、ポリマーコーティングされたビーズ、プレートまたはチューブ)に結合させるために、サンプルは、ポリマー(例えば、アミノデキストラン)に結合され得る。例えば、限定としてではないが、本発明の方法をインビトロアッセイにおいて使用することによって、特定の疾患の抗原を特異的に認識する抗体が、この抗原の存在および量を決定するために使用される。
同様に、本発明の免疫標識複合体は、組織学的標本から調製された組織断片において特定の標的の存在を検出するために使用され得る。好ましくは、アッセイされるべき組織は、手術手順(例えば、生検)によって得られる。この切除された組織は、当該分野において一般的に公知の方法(例えば、免疫組織化学)によって、上記のように免疫標識複合体によって認識される所望の標的の存在についてアッセイされる。この組織は、組織学的切断を可能にするために、固定または凍結され得る。免疫標識された複合体は、例えば、色素または蛍光標識、化学物質、重金属あるいは放射性マーカーで標識されて、アッセイされる組織における標的結合抗体の検出および位置確認を可能にし得る。インサイチュ検出は、検出可能な免疫標識複合体を組織切片に塗布することによって、達成され得る。インサイチュ検出は、特定の標的の存在を決定するため、および試験される組織における標的の分布を決定するために、使用され得る。インサイチュ検出の一般的な技術は、当業者に周知である。例えば、Ponder「Cell Marking Techniques
and Their Application」、MAMMALIAN DEVELOPMENT:A PRACTICAL APPROACH、Monk(編)115(1987)を参照のこと。
疾患型を診断および分類するために、組織は、上で定義されるような、免疫標識された複合体(これは、その疾患に関連する標的抗原に対する標的結合抗体を含む)で、例えば、免疫組織化学的方法によって、プローブされる。疾患抗原が体液中に存在する場合、このような、この疾患抗原に対する標的結合抗体を含む免疫標識された複合体は、好ましくは、分泌された疾患抗原標的を検出するために、免疫アッセイにおいて使用される。
検出は、例えば、フローサイトメトリーおよび画像診断法を含むがこれらの限定されない種々の方法によって、行われ得る。検出方法としてフローサイトメトリーを使用する場合に、抗原または、血清または他の体液中の抗体を検出するための抗原抗体反応のための固体支持体としてミクロスフェアビーズまたは他の粒子の使用が、特に魅力的なものである。フローサイトメトリーは、粒径および光散乱の差異を検出するための能力を有し、かつ、高感度の蛍光検出器である。微量流体デバイスによって、非常に少量のサンプルに関して、流れに基づく分析を実施するための手段を提供する。
あるいは、画像診断法を使用し得る。放射性抗体を用いた画像診断法が、周知である。例えば、以下を参照のこと:Srivastava(編),RADIOLABELED MONOCLONAL ANTIBODIES FOR IMAGING AND THERAPY,Plenum Press(1988);Chase,「Medical Applications of Radioisotopes」,REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18版,Gennaroら(編)Mack Publishing Co.,624(1990);ならびにBrown,
「Clinical Use of Monoclonal Antibodies」,BIOTECHNOLOGY AND PHARMACY,Pezzutoら(編),C
hapman & Hall,227(1993)。この技術は、免疫シンチグラグフィ
として知られており、抗体に結合されたγ線放射する放射性同位体の位置を検出するためのガンマ線カメラを使用する。画像診断法は、特に、心臓血管疾患および感染症を診断するために使用される。
従って、本発明は、心臓血管疾患を診断するための免疫標識複合体の使用を企図する。例えば、抗ミオシン抗体を含む免疫標識複合体は、急性心筋梗塞に関連する心筋壊死を画像化するために使用され得る。血小板およびフィブリンに結合する抗体を含む免疫標識複合体が、深部の静脈における血栓症を画像化するために使用され得る。さらに、活性化された血小板に結合する抗体を含む免疫標識複合体は、アテローム硬化型の斑を画像化するために使用され得る。
本発明の免疫標識複合体はまた、感染症の診断に使用され得る。例えば、細菌性抗原に特異的に結合する抗体を含む免疫標識複合体は、膿腫の局在化のために使用され得る。さらに顆粒球および炎症性の白血球に結合する抗体を免疫標識複合体は、細菌性感染症の部位を局在化するために使用され得る。同様に、本発明の免疫標識複合体は、細胞におけるシグナル伝達、シグナル伝達の産物、ならびにシグナル伝達の欠損、インヒビターおよびアクチベータを検出するために使用され得る。
多くの研究によって、癌のシンチグラグラフィ検出のための抗体の使用が評価されてきた。調査によって、黒色腫、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、肉腫および肺癌のような固形腫瘍の主要な型がカバーされる。従って、本発明は、癌を検出するための腫瘍マーカー(標的)に結合する抗体を含む免疫標識複合体を使用する癌の検出を企図する。このような腫瘍マーカーの例としては、癌胎児性抗原、α−フェトプロテイン、発癌遺伝子産物、腫瘍関連細胞表面抗原および壊死関連細胞内抗原が挙げられる。診断することに加え、抗体画像化は、治療応答をモニタリングし、疾患の再発を検出し、そして、その後の臨床的判断および外科手順に指針を与えるために、使用され得る。近赤外の光線を吸収しそして発光する蛍光複合体(例えば、Alexa Fluor 700色素およびAlexa Fluor 750色素)を使用するインビボ画像診断法がまた、公知である。
以下の実施例は、本発明を例示しそして、当業者にこの方法の説明を提供するために本発明の具体的な局面を記載する。これらの実施例は、本発明を限定するものとして扱われるべきではなく、これらの実施例は、本発明を理解し、そして実施することにおいて有用な具体的な方法を提供するのみである。
(実施例1)
(マウスFc抗原の調製)
精製したマウスおよびウサギのIgGおよびを、タンパク質分解性酵素パパインを用いてフラグメント化した(CURRENT PROTOCOLS IN CELL BIOLOGY,16.4.1−16.4.10(2000))。マウスIgGの12mL溶液
を、リン酸緩衝化生理食塩水中で約2mg/mLで調製した。消化した緩衝液(PBS)中の0.1mgのパパインを含む溶液(PBS,0.02M EDTA,0.02Mシステイン)を、抗体に添加し、37℃で16時間、反応することを可能にした。この消化を、PBS中の0.3Mのヨードアセトアミドを20μL添加することによって終了させた。これらのフラグメントを、2LのPBSに対して、4℃で、16時間透析した。このFcフラグメントを、プロテインG−Sepharose CL−4Bカラムで精製した。Fcフラグメントを含む、結合画分が、50〜100mMのグリシン/HCl緩衝液(pH2.5〜2.8)を使用してこのカラムから溶出した。この溶出物は、1mL画分において回収した。このタンパク質画分のpHは、100μLの500mMリン酸緩衝液また
はTris緩衝液(pH7.6)のいずれかを各1mLの画分に添加することによって即座に中性にした。次いで、この溶液を、Sephacryl S−200 Superfineサイズ排除カラムに充填して、そして、分子量約50kDaに対応する画分を回収し、そして、SDS−PAGEおよびHPLCによって分析した。
(実施例2)
(抗Fc抗体の産生)
抗体のFc領域に特異的なポリクローナル抗体は、種々の種に由来する抗体の精製したFC領域に対してヤギにおいて惹起した(実施例1を参照のこと)。動物を免疫する方法は、当該分野で周知であり、そして適切な免疫プロトコルおよび免疫原濃度は、当業者によって容易に決定され得る(Current Protocols in Immunology 2.4.1−9(1995);ILAR Journal 37,93(199
5))。簡潔には、個々のヤギを、精製したマウスFcフラグメントまたは精製したウサギFcフラグメントで免疫した。50%フロイント完全アジュバント(1000μg結合体(半皮下、半筋内))の初期免疫のあとに、ヤギ1頭に対してフロイントの不完全アジュバント中の500μg結合体によって、2週間および4週間後に、その後は、1月ごとに免疫した。抗体を、プロテインA Sepharoseクロマトグラフィーを使用して血清から精製した。マウスFcアイソタイプに対する抗体は、アイソタイプ選択マウスFc抗原を用いて開始することによって調製され得る。ウサギは、単一のFcアイソタイプを有している。アイソタイプ特異性抗体の選択性および交差反応性の特徴は、HPLCを含む標準的技術による。
(実施例3)
(Fabフラグメントの調製)
一価Fabフラグメントに対するヤギ抗(マウスFc)抗体のフラグメント化を、実施例1において記載されるように、タンパク質分解酵素であるパパインを使用して実施した。PBSに対する透析の後に、このFabフラグメントを、プロテインA−Sepharose CL−4Bカラム上で精製した。Fabフラグメントおよびパパインを含む非結合画分を回収した。次いで、この溶液を、Sephacryl S−200 Superfineサイズ排除カラムに充填して、そして、約50kDaの分子量に対応する画分を回収し、そしてSDS−PAGEによって分析した。ヤギ抗(ウサギFc)のFabフラグメントは、同様に調製され得る。
(実施例4)
(均質な溶液中の、標識した抗体免疫グロブリン結合タンパク質または非抗体免疫グロブリン結合ペプチドおよびにタンパク質結合体の調製)
低分子量色素およびハプテン(例えば、ビオチンまたはジゴキシゲニン)を有する、抗体免疫グロブリン結合タンパク質または、非抗体免疫グロブリン結合ペプチドまたはタンパク質の結合体は、代表的には、これらの色素またはハプテンのスクシンイミドエステルから調製され得るが、他のタンパク質反応性の官能基を有する反応性色素およびハプテンはまた、適切である。スクシンイミドエステルとのタンパク質結合のための代表的な方法は、以下のとおりである。色素 対 タンパク質のモル比、タンパク質濃度、時間、温度、緩衝組成物、および当該分野で周知の変数におけるバリエーションが可能であり、これによって、有用な結合体が産生される。
ヤギ抗(ウサギFc)、ヤギ抗(マウスFc)、プロテインA、プロテインGまたはプロテインLあるいは免疫結合ペプチド(例えば、ペプチドのライブラリーをスクリーニングすることによって同定されるペプチド)のFabフラグメントのタンパク質溶液を、0.1M炭酸水素ナトリウム(pH8.3)中で10mg/mLにて調製する。これらの標識化試薬を、約10mg/mLのDMFのような適切な溶媒中に溶解する。所定量の標識
試薬を、攪拌しつつタンパク質溶液に添加する。1モルのタンパク質に対して10モルの色素というモル比が代表的であり、この最適量は、特定の標識試薬、標識されるタンパク質およびそのタンパク質の濃度で変化され得ると考えられる。この最適比は、経験的に決定され得る。蛍光発生を最適化し、かつ結合体の輝度に対する置換率(degree of substitution)(DOS)の効果を決定する場合に、数倍の範囲を超えて、タンパク質に対する反応性色素の比を変化することは典型的である。この反応混合物を、室温で、代表的には1時間に亘って、または氷上で数時間に亘って、インキュベートする。この色素−タンパク質結合体は、代表的には、代表的には、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、PBSで平衡化したBIO−RAD P−30樹脂)によって未反応試薬から分離される。初期の、タンパク質含有バンドを回収し、そして、そのDOSを、遊離発蛍光団の吸光係数を使用して、各々の発蛍光団の吸収極大での吸光度から決定した。非発色団標識(例えば、ビオチン)のDOSを、Haugland(Hauglandら,Meth.Mol.Biol.45,205(1995);Haugland,Meth.Mol.Biol.45,223(1995);Haugland,Meth.Mol.Biol.45,235(1995);Haugland,Current Protocols
in Cell Biol.16.5.1−16.5.22(2000))に記載されるように決定した。上記の手順を使用して、ヤギ抗(マウスFc)およびヤギ抗(ウサギFc)の結合体を、数個の異なるAlexa Fluor色素、Oregon Green色素、ビオチン−スクシンイミジルエステル、デスチオビオチン(desthiobiotin)−Xスクシンイミジルエステル、スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)およびスクシンイミジルtrans−4−(マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)を用いて調製する。
プロテインAおよびプロテインGの数個の色素結合体(いくつかのAlexa Fluor色素の結合体を含む)は、(例えば、Molecular Probes.Inc.(Eugene,Oreg.)から)市販されている。標的抗体のセグメントに結合するいくつの他の非抗体免疫グロブリン結合タンパク質の種間の特異性およびおよその親和性(例えば、プロテインAおよびプロテインGの親和性)は、公知である(Langone,Adv.Immunol.32,157(1982);Suroliaら,Trends Biochem.Sci.7,74(1982);Notaniら,J.Histochem.Cytochem.27,1438(1979);Goding,J.Immunol.Met
h.20,241(1978);J.Immunol.Meth.127,215(1990);Bjorckら.,J.Immunol.133,969(1984))。
さらに、アロフィコシアニン(APC)、フィコビリプロテインと化学色素(いくつかのAlexa Fluor色素、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、Coprinus cinereusペルオキシダーゼ、Arthromyces ramosusペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼ(AP)が挙げられる)とのタンデム結合体という検出可能な標識に結合体化した、標識タンパク質(ヤギFab抗(マウスFc)、ヤギFab抗(マウスλ軽鎖)、ヤギFab抗(マウスκ軽鎖)、プロテインA、プロテインG、プロテインL、レクチン、R−フィコエリトリン(R−PE)単鎖フラグメント可変抗体(ScFv)を、標準的手段(Hauglandら、Meth.Mol.Biol.45:205(1995);Haugland,Meth.Mol.Biol.45,223(1995);Haugland,Meth.Mol.Biol.45,235(1995);Haugland,Current
Protocols in Cell Biol 16.5.1−16.5.22(2000))によって調製したか、またはこれらを標準的手段により調製しうる。本発明の実施に適切な、例えば、検出可能な標識(例えば、ルシフェリン、エクオリン、グリーン蛍光タンパク質およびアルカリホスファターゼ)との、(例えば、プロテインGまたはプロテインAの)融合タンパク質もまた、公知である(Sunら、J.Immunol.M
eth.152,43(1992);Eliassonら、J.Biol.Chem.263,4323(1988);Eliassonら、J.Immunol.142,575(1989))。
ほとんどの分泌タンパク質および膜結合タンパク質と同様に、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖は、N結合型グリコシル化が生じる粗面小胞体において膜結合型リボソーム上で合成される。糖質(N結合型糖タンパク質を含む)に対するレクチンの特異性もまた、公知である(EY laboratories,Inc.,Lectin Conjugates Catalog,1998)。
(実施例5.アフィニティマトリクスに結合体化した、標識抗体免疫グロブリン結合タンパク質または非抗体免疫グロブリン結合ペプチド結合体および非抗体免疫グロブリン結合タンパク質結合体の調製)
ヤギ抗(マウスFc)についての非標識Fabフラグメント(実施例3におけるように調製した)を、アガロース固定マウスIgGに1時間結合させた。重炭酸緩衝液(pH8.3)を用いる洗浄工程の後、固定IgGと非標識Fabとの複合体を、アミン反応性標識のスクシンイミジルエステルを用いて室温で1時間標識した。非結合体化色素を、重炭酸緩衝液を用いて溶出させ、その後、共有結合標識Fabフラグメントを、50〜100mMグリシン/HCl緩衝液(pH2.5〜2.8)を用いて溶出した。この溶出物を、1mL画分として収集した。これらのタンパク質画分のpHを、500mMリン酸緩衝液またはTris緩衝液(pH7.6)のいずれか100μLを各1mL画分に添加することによって、すぐに中性まで上昇させた。等価な結果を生じ得る、試薬濃度、標識時間、緩衝液組成、溶出方法および他の変数の変化が、可能である。ヤギ抗(ウサギFc)のFabフラグメントの結合体ならびにプロテインGおよびプロテインAの結合体を、同様に調製した。
(実施例6.実施例4におけるように調製したAlexa Fluor 488色素標識したヤギ抗(マウスFc)のFabフラグメントと実施例5におけるように調製したAlexa Fluor 488色素標識したヤギ抗(マウスFc)のFabフラグメントとの比較)
Alexa Fluor 488スクシンイミジルエステルとヤギ抗(マウスFc)Fabフラグメントとの結合体を、実施例4および実施例5において記載されるように別個に調製した。これらの結合体は、推定置換度それぞれ約1.9(実施例4においてのように標識した)および約3.0(実施例5においてのように標識した)を有し、事実上同一の吸収スペクトル最大値および発光スペクトル最大値を有した。488nmにて励起された場合、実施例5に記載されるように調製したフラグメントを使用して調製した結合体は、Jurkat T細胞上のCD3に結合した場合のフローサイトメトリーにより検出すると、実施例4において調製したフラグメントを使用して調製した結合体よりも約3.2倍蛍光性が高かった(図8)。同様の結果が、他の色素を用いて観察された。
(実施例7.プロテインGおよびアルブミンからの標識タンパク質の調製)
ネイティブプロテインGは、アルブミン(特に、オボアルブミン)に対する高親和性結合(ナノモラー)部位を有する。等重量のプロテインGおよびTexas Redオボアルブミン(Molecular Probes,Inc.)を、PBS(pH7.5)中に溶解した。1時間後、生じた複合体を、Sephacryl S−200 Superfineサイズ排除カラムで分離し、そしてSDS−PAGEおよびHPLCにより分析した。あるいは、プロテインGを、標識アルブミンと組み合わせ、同時にそのプロテインGを、そのプロテインGが結合する数種の免疫グロブリンのうちのいずれかに固定し、過剰な標識アルブミンを、アルブミン標識プロテインG複合体を溶出する前に、マトリクスから洗い流す。
(実施例8.非常に小さいスケールでの免疫標識複合体の調製)
μg未満の量の標識結合抗体を、μg未満の標識タンパク質と、約1:1と1:20との間の種々のモル比で複合体化して、サンプルを染色するために適切な免疫標識複合体を調製した。例えば、0.1%BSAを含む1μL PBS中の0.1μgのマウスモノクローナル抗α−チューブリンを、(実施例4におけるように調製した)0.5μgのAlexa Fluor 488色素標識ヤギ抗(マウスFc)のFabフラグメント、または(実施例5におけるように調製した)0.1μgのAlexa Fluor 488色素標識ヤギ抗(マウスFc)のFabフラグメントと、5μLのPBS中で室温にて10分間結合体化した。この免疫標識複合体を、固定細胞調製物(実施例16)中でチューブリンを染色するためにすぐに使用し得るか、またはその免疫標識複合体中の任意の過剰な非結合Alexa Fluor 488色素標識ヤギ抗(マウスFc)のFabフラグメントを、他の抗体結合体(他の標識に直接結合体化した標的抗体の抗体結合体が挙げられる)と組み合わせるために非免疫マウスIgG(実施例9)を用いて捕捉し得る。ウサギ抗体を、標識ヤギ抗(ウサギFc)を用いて同様に標識した。標識プロテインA、プロテインL、プロテインG、標識アルブミンまたは他の免疫グロブリン結合ペプチドもしくは免疫グロブリン結合タンパク質と結合体化したプロテインGを用いての標的化抗体の標識は、同様に進行する。マウス(またはラット)モノクローナル抗体の場合、一次抗体の特定のアイソタイプについて選択的な標識タンパク質(例えば、マウスIgGアイソタイプ一次抗体に対する抗(マウスIgG))を使用することが、好ましい。マウスIgGアイソタイプモノクローナル抗体について選択的なヤギ抗体を使用して、他のマウス(またはラット)アイソタイプについていくらかの交差反応性が観察されたが、非適合マウスアイソタイプを標識するための慣用的かつ最適な使用には、より多量の免疫標識複合体が必要であり、いくらか信頼度が低かった。
(実施例9.捕捉成分による過剰な免疫グロブリン結合タンパク質の捕捉)
免疫標識複合体を、実施例8に記載されるように調製した。その免疫標識複合体に、過剰な免疫標識複合体を捕捉するために非標識マウスIgGの14.1mg/mLストック溶液25μLを、各チューブに添加した。図1に示されるように、その免疫グロブリン結合タンパク質のうちのすべての量が、標的結合抗体と必ず結合体化して免疫標識複合体を形成するわけではない。結果として、同じ種由来の複数の一次抗体(例えば、マウスモノクローナル抗体)または交差反応性種由来の複数の一次抗体(例えば、マウス抗体およびヒト抗体、図2、表1)の標識複合体が同時にかまたは連続して使用される適用について特に、そのサンプルの不適切な標識を回避するために捕捉成分の使用または他の手段によって、過剰な免疫グロブリン結合タンパク質すべてをクエンチまたは除去することが、必要である。過剰な免疫グロブリン結合タンパク質を捕捉するために最も有効な捕捉成分は、標的因子の結合部位を含む捕捉成分である。例えば、マウスIgG全体またはマウス血清は、免疫グロブリン結合タンパク質がマウスモノクローナル抗体セグメントに結合した場合に、有効かつ安価な試薬であることが示された。マウスIgGを、免疫グロブリン結合タンパク質量に対して過剰に添加し、そして約1〜5分間以上インキュベートした。
免疫標識複合体を調製し、その後、実験の少し前に捕捉成分を添加することが好ましい。迅速なクエンチング効果によって、免疫標識複合体によるサンプルの標識を数分以内に実施することが可能になる。望ましい場合、過剰な捕捉成分を、サンプルの標識後に、簡単な洗浄工程によって除去し得る。あるいは、免疫標識複合体とのインキュベーション後に、アルデヒドベースの固定剤または他の試薬もしくは方法によって染色サンプルを固定することにより、免疫標識複合体をサンプル中のその標的上に持続的に固定し得る。免疫標識複合体に可溶性捕捉成分を添加する代わりとして、その捕捉成分を、不溶性マトリクス(例えば、アガロース)上に固定し得、そして免疫標識複合体をそのマトリクスと接触させ得る。マウス抗原に対するマウス抗体を標識する場合に好ましいマトリクスは、アガロース上に固定されたマウスIgGである。過剰な標識抗ウサギ抗体を、溶液中にて遊離しているかまたは固定されたウサギIgGを使用して捕捉し得る。あるいは、免疫標識複合体を、クロマトグラフィー手段または電気泳動手段によって、どの捕捉成分からも分離し得る。
(実施例10.標識複合体のHPLC分析)
標識タンパク質と標的結合抗体との複合体形成の首尾および程度を分析するために、サンプルのサイズ排除HPLCを実施した。例えば、Alexa Fluor 488色素標識ヤギ抗Fab抗(マウスFc)とモノクローナルマウス抗チューブリンとのモル比約1:1、3:1、5:1および10:1の複合体。これらを、BioSep S−3000カラムを使用し、そして0.1M NaPi、0.1M NaCl、pH6.8を用いて流速0.25mL/分にて溶出する、分析的HPLCにより分離した。5:1モル比を使用する分離例(図6)は、このモル比を使用すると、標識複合体形成が本質的に定量的であることを示す。
(実施例11.他の種のIgGに対するヤギFab抗(マウスFc)の交差反応性)
マイクロプレートを、マウス種または非マウス種由来のIgGを用いて一晩平衡化し、その後、BSAを用いてさらにブロックした。種々の量のビオチニル化ヤギ抗(マウスFc)Fabフラグメントを、各ウェルに添加し、そして結合させた。洗浄後、ストレプトアビジン−HRPおよびAmplex Redペルオキシダーゼ基質を添加した。HRP活性を、Amplex Red Peroxidase Assay Kit(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR)を使用してHの添加によって検出した。50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)中に200μM Amplex Red試薬、1U/mL HRPおよび1mM H(3%溶液)を含む反応物を、室温にて30分間インキュベートした。560±10nmでの励起および590±10nmでの蛍光検出を使用して、蛍光マイクロプレートリーダーを用いて蛍光を測定した。Hを含まないコントロール反応物について測定したバックグラウンド蛍光を、各値から差引いた(表1および図2)。表1は、抗体のFc領域が非常に保存された構造であることに起因して、ヤギ抗(マウスFc)抗体が、他の非マウス抗体(ラット抗体およびヒト抗体が挙げられる)と複合体形成するために使用され得ることを示す。マウス抗体とのヤギ抗マウスIgG抗体の反応を100%に設定した。交差反応性抗体を、マウス対マウスデータと比較したパーセンテージとして表した。表1におけるデータは、本発明のヤギ抗(マウスFc)抗体のFabフラグメントが、ヤギFcドメインともヒツジFcドメインとも強力には結合しないことを示す。しかし、当業者は、ヤギFcドメインおよびヒツジFcドメインまたは他の任意の種のFcドメインと反応する抗体を作製し得る。この実施例においてビオチニル化Fabヤギ抗(マウスFc)を使用した。なぜなら、ビオチニル化Fabヤギ抗(マウスFc)は、従来の方法において交差反応性量を定量するための簡便な方法を提供したからであるが、しかしこの方法は、発蛍光団Fab標識ヤギ抗(マウスFc)を使用して達成され得る。(実施例10におけるような)HPLCによって、Alexa Fluor 488色素標識ヤギ抗(ウサギFc)がウサギ一次抗体に結合したことが示された。
(実施例12:マイクロプレートアッセイを使用した、免疫グロブリン結合タンパク質
対 標的抗体の最適モル比の決定)
8.0μL PBS中の1.6μgのマウスモノクローナル抗ビオチン(MW 約145,000)に、種々の量の、ヤギ抗(マウスFc)(MW 約50,000)(実施例4にて調製した)のAlexa Fluor 488色素標識Fabフラグメントを添加して、免疫標識複合体を形成した。20分間の平衡後、100μLのアリコートを、ビオチン化BSAで被覆した96ウェルマイクロプレートに添加した。30分後、そのプレートを洗浄し、485+/−10nmでの励起および530+/−12.5nmでの検出発光を用いる蛍光マイクロプレートリーダーを使用して、残りの蛍光を定量した。図3に示されるように、ヤギ抗(マウスFc)のAlexa Fluor 488色素標識Fabフラグメント 対 抗ビオチンのモル比(5〜20の間)は、かなりの程度の検出可能な複合体を形成するに十分であった(図3;蛍光を定量した(三連で行った(丸);コントロール実験を行ったが、一次抗ビオチン抗体を加えなかった(黒四角)))。免疫グロブリン結合タンパク質および標的抗体のこの対に関しては、約5〜約10のモル比が好ましかった。この比は、シグナルを増大もしくは減少させるため、または高価な試薬の消費に影響を及ぼすために、いくらか変更され得る。免疫グロブリン結合タンパク質 対 標的結合抗体の重量比は、免疫グロブリン結合タンパク質の実際の分子量に特に影響を受ける。
例えば、等重量の色素標識ヤギFab抗(マウスFc)(実施例5にて調製された)およびインタクトなマウス一次抗体(これは、約3:1のモル比に対応する)は、通常、適切な標識複合体を生じる。免疫標識複合体の蛍光強度(または酵素的活性)は、使用される標識Fabフラグメントの量の対応する調節によって、容易に調節される。
他の標識タンパク質(標識されたプロテインA、プロテインG、プロテインL、IgG結合ペプチドおよび一次抗体の他のセグメントに対する抗体を含む)に対する比、ならびにAlexa Fluor 488色素(適切な酵素基質と組み合わせた酵素を含む)以外の標識の結合体に対する比の同様な分析は、本質的には、この実施例に記載されるように行われる。
(実施例13:免疫標識複合体の解離速度)
予め平衡化した免疫標識複合体を、ヤギ抗(マウスFc)のAlexa Fluor 488色素標識Fabフラグメント50μgおよび抗ビオチンモノクローナル抗体(mAb)15μgから調製した。免疫標識複合体を、抗ビオチンmAbに対して6.2モル過剰を与えるに十分な捕捉成分を用いて迅速に希釈した。種々のときに、アリコートを採取し、過剰のビオチン化BSAを含有するマイクロプレートウェルに添加した。30分後、そのプレートを洗浄し、残りの蛍光を定量した。標識タンパク質の標識結合抗体からの交換を介する置換を、マイクロプレートウェル中の蛍光の任意の時間依存性減少によって測
定した。例えば、実施例4に記載されるように調製したフラグメントは、実施例5に従って調製したフラグメントに87%結合したのと比較して、30分後に標的結合抗体に68%のフラグメントが結合した。1時間で、それぞれ、56%および68%の類似の減少が見られた。標識タンパク質は、標的結合抗体との安定な相互作用を受けることが示され、半分の交換の寿命は、これらの条件下では、3.5時間であった。解離速度を、実施例4に従って調製した標識タンパク質および実施例5に従って調製した標識タンパク質について測定すると、実施例5に従って調製した標識タンパク質を使用して、より大きな安定性の免疫標識複合体を作製したことが実証された。
(実施例14:培養細胞を単一の免疫標識複合体で染色するためのプロトコル)
培養可能な細胞(例えば、ウシ肺動脈内皮細胞(BPAEC))を、22×22mmのガラスカバースリップ上で増殖させた。その細胞を、ウシ胎仔血清(FCS)補充DMEM中の3.7% ホルムアルデヒドを用いて、37℃にて10分間固定した。この固定した細胞を、PBSで3回洗浄した。その細胞を、PBS中の0.02% Triton X−100で10分間透過性にし、PBSで3回洗浄し、PBS中の1% BSAで30分間ブロックした。細胞型および細胞調製物、固定および透過化方法のバリエーション(抗原回収の方法を含む)は、当業者に周知である。免疫標識複合体を、実施例8に記載されるように調製した。この免疫標識複合体を、サンプル中に存在する一次抗体に対する結合部位が存在する場合には検出可能なシグナルを与えるに十分な量にて、その固定および透過性にした細胞に直接添加した。代表的には10〜60分(通常は、約15〜30分)のインキュベーション時間後、その細胞を、新たな培地で洗浄し、標識を、標識の検出に適切な方法により評価した。免疫標識複合体による染色の前に、その染色後に、またはその染色と組み合わせて、青色の蛍光性核を生じるさらなる試薬(例えば、DAPI)による染色が行われ得る。
(実施例15:培養細胞を複数の免疫標識複合体で染色するためのプロトコル)
実施例14に記載のように、細胞を固定および透過性にした。複数の免疫標識複合体を、実施例8に記載の手順に従って、種々の標識タンパク質から個々に調製した。その複数の免疫標識複合体を、実施例14に記載の手順に従って、細胞を染色するために、個々にもしくは連続的に使用したかのいずれかであったか、または2以上の免疫標識複合体を、単一の染色溶液中で形成し、次いで混合し、サンプルを同時に染色するために使用した。細胞固定および透過化のための最適な方法ならびに免疫標識複合体の組み合わせの最適な比を、代表的には、単一の免疫標識複合体または組み合わせで使用される複数の免疫標識複合体を使用する予備実験により決定する。第1の免疫標識複合体を、ヤギ抗(マウスFc)のAlexa Fluor 488色素標識Fabフラグメントおよびマウスモノクローナル抗α−チューブリンから調製し、第2の免疫標識複合体を、ヤギ抗(マウスFc)のAlexa Fluor 568色素標識Fabフラグメントおよびマウスモノクローナル抗ビメンチン(抗ビメンチンは、腹水調製物であった)から調製し、第3の免疫標識複合体を、ヤギ抗(マウスFc)のAlexa Fluor 647色素標識Fabフラグメントおよびマウスモノクローナル抗cdc6ペプチド抗体(Molecular Probes)から調製した。この3つの異なる免疫標識複合体のアリコートを合わせ、これを使用して、BPAE細胞を30分間染色し、新たな培地で洗浄し、3つの色素について適切な光学フィルターを使用する蛍光顕微鏡により観察した。この実施例において、いくつかの細胞は、抗ビメンチン抗体による細胞質染色、抗cdc6ペプチド抗体による核染色および有糸分裂状態にある細胞の指標である、抗αチューブリン抗体による紡錘体の染色を示した。免疫標識複合体による染色のさらに前に、その染色の後に、またはその染色と組み合わせて、上記の実施例において青色蛍光アクチンフィラメントを生じるさらなる試薬(例えば、Alexa Fluor 350ファロイジン)による染色が行われ得る。
組み合わせて使用される免疫標識複合体は、同じ種に由来する抗体を標的としなくてもよい。例えば、Alexa Fluor 488色素標識ヤギ抗(マウスIgG Fc)とマウスIgGモノクローナル標的結合抗体との複合体およびAlexa Fluor 594色素標識ヤギ抗(ウサギFc)とウサギ一次標的結合抗体との複合体が、調製され得、組み合わせ染色プロトコルにおいて使用され得る。
(実施例16:組織を単一の免疫標識複合体で染色するためのプロトコル)
約16μm厚切片のマウス腸凍結切片(University of Oregon histology core facility)を、スライドにマウントした。腸を灌流し、切り出し、包埋、および切片化する前に、4% ホルムアルデヒドで固定した。組織切片を、PBS中で20分間再水和した。免疫標識複合体を、実施例8に記載のように調製した。簡潔には、0.1% BSAを含有する1μL PBS中の0.1μgのマウスモノクローナル抗cdc6ペプチド(核抗原)を、室温にて10分間、5μL PBS中のヤギ抗(マウスIgG Fc)のAlexa Fluor 350色素標識Fabフラグメント(実施例4のように調製した)0.5 μgと複合体化した。過剰のヤギ抗(マウスIgG Fc)のFabフラグメントを、非標識マウスIgGの14.1mg/mLストック25μlで捕捉した。その組織を、0.1% Triton X−100で10分間透過性にした。組織を、PBSで2回洗浄し、1% BSA中で30分間ブロックした。その免疫標識複合体を、直接、その組織に30分間添加し、PBS中で3回洗浄した。そのサンプルを、Molecular ProbesのProlong antifadeマウンティング媒体にてマウントし、Alexa Fluor 350色素に適切な光学フィルターを使用する蛍光顕微鏡によって観察した。結果により、マウスモノクローナル抗cdc6ペプチド免疫標識複合体が、マウス腸組織切片において特異的な核標識を示すことが示された。組織型および組織調製物、固定および透過化方法、マウンティング方法(抗原回収のための方法を含む)のバリエーションは、当業者に周知である。
(実施例17:チラミドシグナル増幅(TSA)と組み合わせた組織標的の染色)
マウス脳凍結切片を、モノクローナル抗体に対する標識タンパク質のモル比 3を使用して、本質的に実施例8のように調製した西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ヤギ抗(マウスIgG Fc)抗体とマウスIgGモノクローナル抗(グリア線維性酸性タンパク質(GFAP))との予め形成した複合体で標識した。マウス組織の染色は、本質的に、実施例16のとおりであった。染色の局在化および強度を、(a)ヤギ抗マウスIgG HRP結合体およびマウス抗GFAP、(b)ヤギ(抗マウスIgG Fc)抗体のAlexa Fluor 488色素標識Fabフラグメントのマウス抗GFAPとの複合体、(c)Alexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG二次抗体およびマウス抗GFAP、ならびに(d)Alexa Fluor 488色素とマウス抗GFAPとの直接の結合体の、局在化および強度と比較した。HRP結合体化プローブを、TSAキット#2(Molecular Probes,Inc.)を使用して、標準的な手順に従って、Alexa Fluor 488チラミドとともにインキュベートした。各場合における組織染色パターンは、マウス抗GFAPの推定される染色パターンと類似および一致しており、染色は、本質的に、非特異的バックグラウンドを含まなかった。デジタル画像化により測定される染色の相対的蛍光強度は、以下の順番のとおりであった:HRPヤギ抗(マウスIgG Fc)とマウス抗GFAPとの複合体についての541相対強度単位および(上記の文字によって示される組み合わせを使用する):(a)539相対強度単位、(b)234相対強度単位、(c)294相対強度単位、および(d)255相対強度単位。
(実施例18.多重免疫標識複合体による生きた細胞の染色)
第1の免疫標識複合体を、ヤギ抗(マウスIgG Fc)およびマウスモノクローナ
ル抗(ヒトCD8)のAlexa Fluor 488色素標識Fabフラグメントから調製し、第2の免疫標識複合体を、ヤギ抗(マウスIgG Fc)およびマウス抗(ヒトCD3)のR−フィコエリスリン結合体化Fabフラグメントから調製し、そして第3の免疫標識複合体を、ヤギ抗(マウスIgG Fc)およびマウス抗(ヒトCD4)のAlexa Fluor 647色素標識Fabフラグメントから調製した。これらの複合体を、実施例8に記載されるようにして調製し、そして各々を、20μg(14.1μg/mLで1.3μL)のマウスIgGで、室温で10分間ブロックした。第1の免疫標識複合体を、100μLの全血に加え、そして15分間インキュベートした。この細胞を、PBSで洗浄し、そして280.5μLの第2の免疫標識複合体を添加し、そして15分間インキュベートした。この細胞を、サイド洗浄し、そして46.2μLの第3の標識複合体を添加し、そして15分間インキュベートした。最後のインキュベーションの後、赤血球細胞を、細胞溶解緩衝液を用いて溶解した。この細胞を、1% ホルムアルデヒド/PBSに再懸濁し、そしてFACS Vantageフローサイトメーターで、488nmのアルゴンイオンレーザーを使用して、第1および第2の免疫標識複合体の励起について分析し、そして633nmの赤色He−Neレーザーを使用して、第3の免疫標識複合体の励起について分析した(図5a、5b)。色素の検出のために使用した励起バンドパスフィルターは、Alexa Fluor 488(CD8)について、525+/−10nmであり、R−PE(CD3)について、585+/−21nmであり、そしてAlexa Fluor 647色素(CD4)について、675+/−10nmである。図5aおよび5bは、本発明が、末梢血リンパ球を使用する3色免疫表現型決定実験において使用され得ることを示す。CD3陽性T細胞を、ヤギ抗(マウスFc)およびマウス抗(ヒトCD3)のR−フィコエリスリン結合体化Fabフラグメントで染色した(左US(UL)象限、図5a)。T細胞サブセットのCD4陽性細胞を、ヤギ抗(マウスIgG FC)およびマウス抗ヒト(CD4)のAlexa Fluor 647色素標識Fabフラグメントを使用して同定し(UL象限、図5b)、そしてT細胞サブセットのCD8陽性T細胞を、ヤギ抗(マウスIgG FC)およびマウスモノクローナル抗(ヒトCD8)のAlexa Fluor 488色素標識Fabフラグメントを使用して同定する(右下(LR)象限、図5b)。
生きた細胞(培養細胞および脳脊椎液のような生物学的流体由来の細胞を含む)の曝露された抗原は、免疫標識複合体(2つ以上の別個に検出可能な免疫グロブリン結合タンパク質で標識された同じ標的に対する抗体を含む)の組合せによって、同時にまたは連続して染色され得る。
(実施例19)
ヤギ抗(マウスFc)の色素標識Fabは、多数の着色標的を作製するための、一次抗体をコンビナトリアル標識のために使用され得る。
第1の免疫標識複合体を、実施例4に記載の手順に従って、ヤギ抗(マウスIgG Fc)のAlexa Fluor 488色素標識Fabフラグメント(2.5μg)を、0.5μgのマウス抗ヒトCD3(Caltag、200μg/mL)と合わせることによって、作製した。第2の免疫標識複合体を、実施例4の手順に従って、ヤギ抗(マウスIg G1 Fc)のAlexa Fluor 647色素標識Fabフラグメント(5.0μg)を、0.5μgのマウス抗ヒトCD3と合わせることによって、作製した。各複合体を、別々に、室温で5分間インキュベートし、次いで、各複合体を、別々に、過剰のマウスIgG(14.1mg/mL)と、室温で5分間合わせて、過剰の結合していない色素標識Fabフラグメントを捕捉した。次いで、2種の免疫標識複合体を、異なる割合の組合せ(表2を参照のこと)で、洗浄してヘパリン処理した血液(100μL)に添加した。この細胞を、それぞれの複合体の組合せと共に、20分間氷上でインキュベートした。次いで、赤血球細胞を、細胞溶解緩衝液を用いて溶解した。この細胞を、1%
ホルムアルデヒド/PBSに再懸濁し、そして励起のための488nmアルゴン633HeNeレーザー、ならびに530+/−10nmバンドパス発光フィルター(FL1)および640ロングパスフィルター(FL4)を使用して、FacVantageフローサイトメーターで分析した。異なる組合せ割合の5個のサンプル(表2)を、フローサイトメトリーにより比較し、シグナルを、FL1およびFL4で収集した。各タイプの発光により演出された細胞の割合を決定するために、各割合の組合せのFL1およびFL4の強度を、このような組合せのFL1およびFL4のチャネル強度を、それぞれ、100% Alexa Fluor 488色素標識細胞の強度および100% Alexa Fluor 647色素標識細胞の強度で割ることによって、正規化した。
(表2.理論的 対 回収されたヤギ抗(マウスIgG Fc)の色素標識Fabフラグメントのコンビナトリアル実験)
(実施例20:免疫標識複合体は、ウェスタンブロットで抗原を検出するために使用され得る)
ウシ心臓ミトコンドリアを単離した(Hansonら、Electrophoresis 22,950(2001))。この単離したミトコンドリアを、100mMのTris−HCl(pH7.8)、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(プロテアーゼインヒビター)、2%のSDS中に約10mg/mLまで再懸濁し、不溶性物質を、テーブルトップ遠心分離器で、10,000×gで10分間遠心分離することによって除去した。この溶解物のタンパク質濃度を、BCAアッセイ(Pierce,Rockford,IL)により検査した。ゲル電気泳動のためのサンプルを、溶解物、水および装填緩衝液を適切な濃度まで混合し(サンプル中の装填緩衝液の最終濃度:58mM Tris/HCl、10% グリセロール、2% SDS、0.02mg/mL ブロモフェノールブルー、50mM DTT、pH8.6)。次いで、このサンプルを、90℃で5分間加熱し、その後、ゲルに装填し、そして13% SDS−PAGEゲルで分離した。8μgの抽出物から0.03μgまでの抽出物の2倍段階希釈物を、SDS−PAGEゲルに装填した。これらのタンパク質を、製造業者の指示に従って、半乾燥移行システムを使用して、1.5時間にわたって、PVDF膜に移動させた(The W.E.P.Company,Concord,CA)。このPVDF膜を、5%乳汁中で1時間ブロックした。
免疫標識複合体を、2つの異なるミトコンドリアタンパク質を認識するマウスモノクローナル抗体を用いて作製した。ヤギ抗(マウスIgG Fc)のAlexa Fluor 647色素標識Fabフラグメント(実施例4のように調製した、5μLの1mg/mLストック)を、21μL(0.88mg/mL)のマウス抗(CV−α)と共にインキュベートし、そして(マウスIgG Fc)のAlexa Fluor 488色素標識Fabフラグメント(実施例4のように調製した、5μLの1mg/mLストック)を、19μL(0.88mg/mL)のマウス抗(CIII−コア2)(Molecul
ar Probes,Eugene,OR)と共にインキュベートした。30分間のインキュベーションの後、14.1mg/mLの未標識マウスIgG(25μL)を、各管に添加した。次いで、これらの免疫標識複合体を、一緒に混合し、そして5%乳汁中で5mLにした。ブロットを、免疫標識複合体の混合物と共に、室温で1時間インキュベートした。このブロットを、2回、それぞれPBST(0.1% Tweenを含むPBS)で、5秒間洗浄し、そして1回、PBSTで15分間洗浄した。このブロットを、空気乾燥し、そして適切なフィルターを備えるEG&G Wallac Imagerで画像化した。ウエスタンブロッドは、適切な分子量の2つの異なるバンドを示した。ウェスタンブロットはまた、抗体の交差標識が生じなかったことを示し、そして検出限界は、125ngであった。
(実施例21:高親和性および高いIgG産生因子を同定するためのハイブリドーマのハイスループットスクリーニング)
1蛍光色標識の蛍光標識抗原および異なる蛍光色のヤギ抗(マウスFc)の蛍光標識Fabフラグメントの両方を含むマイクロプレートを、実施例4および5に記載される方法によって作製した。ハイブリドーマ上清を、収集し、そしてウェルに添加した。このハイブリドーマが、所望の抗体(すなわち、標識抗原に結合する抗体)を産生する場合、この標識抗原に対応する蛍光の偏光は、抗原特異的抗体を含むウェルの可視化を可能にする。さらに、ハイブリドーマを産生するIgGの量は、標識Fabフラグメントに対応する蛍光の偏光によって同時に同定され得る。従って、この方法は、特定の量のハイブリドーマ上清中に存在する抗体の量、および抗原に対するモノクローナル抗体の親和性の両方の定量を可能にする。
上記の実施例で用いられる試薬は、市販されているか、または市販の機器、方法または当該分野で公知であるかもしくはその調製がこれらの実施例で記載されている試薬を使用して調製され得る。上記の説明および結果から、本発明が、生物学的サンプル中の標的の存在を検出するための現在利用可能な方法よりもはるかに優れていることが明らかである。本発明は、無制限の媒体中で、特異性および感度を維持しつつ、少量の抗体の標識を可能にすることによって、現在使用されている方法の欠点を克服する。これらの実施例は、本発明の多くの異なる実施形態の網羅的な説明を提供することを意図しない。従って、上記の発明は、例示および理解をより明確にする目的のための例としていくぶん詳細に記載されているが、当業者は、多くの変更および改変が、添付の特許請求の範囲の意図または範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解する。
本明細書中で記載される全ての刊行物、特許および特許出願は、各々個々の刊行物、特許または特許出願が、詳細かつ個別に参考として援用されることが示されるかのように、本明細書中で参考として援用される。
図1は、免疫標的複合体(標的結合抗体および標識試薬)の形成の模式図を示す。 図2は、多様な種のIgGでコートしたマイクロプレートを用いて観察されるようなヤギFab抗(マウスFc)の種特異性を示す。多様な種をBSAでブロッキングし、ビオチン化したヤギFab抗(マウスFc)と反応させ、洗浄し、次いでストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で処理し、次に過酸化水素(H)およびAmplex Redペルオキシダーゼ検出試薬で処理した。 図3は、ヤギFab抗(マウスFc)標識試薬の好ましいモル比を示す。種々の量のヤギ抗(マウスFc)のAlexa Fluor 488色素標識化Fabフラグメントを、一定量の抗ビオチンモノクローナル抗体(mAb)に添加した。この混合物を20分間平衡化し、次いでマイクロプレートウェル中のビオチン化BSAに添加した。この混合物を20分間平衡化し、次いでマイクロウェルプレート中のビオチン化BSAに添加した。結合を可能にした後、このプレートを洗浄し、残留する蛍光を定量した。この分析を3連で実施した(丸)コントロール実験を、一次抗ビオチン抗体を添加することを除いて、上記のように実施した(黒四角)。 図4は、均質な溶液において調製した標識試薬(実施例4)とカラムで調製した標識試薬(実施例5)についての蛍光強度(実施例6)の比較を示す。 CD3陽性T細胞を検出するためのR−フィコエリトリン(R−PE)(図5A)、CD4陽性T細胞を検出するためのAlexa Fluor 647色素(図5B)およびCD8陽性Alexa Fluor 488色素(図5B)に結合された標識試薬を用いる、T細胞上の複数標的の検出を示す(実施例18)。このCD−3検出T細胞は左上(UL)クワドラントおよび右上(UR)クワドラントにおいて示される。CD3陽性細胞である全リンパ球の相対%は、83.3%(UL+UR)である。CD8陽性T細胞を検出するためのAlexa Fluor 488色素で染色されたリンパ球およびCD3陽性R−PE色素で染色されたリンパ球の相対%は、35.1%である(URクワドラント)。左下クワドラント(LL、20.4%)は、CD3陰性リンパ球(すなわち、非T細胞)(NK細胞、B細胞およびいくつかの単球を含む)を示す。右下(LR、2.7%)領域は、非T細胞であり、これは非特異的に染色されている。図5Bはさらに、Alexa Fluor 647色素CD4陽性およびAlexa Fluor 488色素CD8陽性に再分類されるCD3陽性T細胞を示す。全リンパ球のうちのCD4陽性細胞は50.9%(ULクワドラント)および全リンパ球のうちCD8陽性細胞は24.5%(LRクワドラント)を示す。LLクワドラント内の細胞(23.1%)は非T細胞であり、一方URクワドラント内の細胞(1.5%)は、おそらく非特異的に染色されたリンパ球である。 図6は、マウスIgG標的結合抗体に対するAlex Fluor 488色素で標識したヤギFab抗(マウスFc)標識試薬結合の、高分解能サイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。この標識試薬は、単独で、38分にピークを示し;標的結合抗体は、単独で、33分にピークを示す。標識試薬および標的結合抗体が約5:1(標識試薬:標的結合抗体)のモル比で一緒に混合される場合、得られる免疫標識複合体は、29分にピークを示した(実施例10)。 図7は、カラムに固定した場合に、標識が標識試薬に結合する、標識試薬の製造を示す。

Claims (10)

  1. 免疫標識化合物を形成するための方法であって、ここで該方法は、以下の工程:
    a)標的結合抗体の溶液を標識試薬サブセットと接触させる工程であって、ここで該標識試薬サブセットは、i)標識対標識試薬の比またはii)該標識の物理的特徴によって区別される、工程;および
    b)該標的結合抗体および該標識試薬サブセットを、該標識試薬の1つ以上の分子が標的結合抗体と免疫標識複合体を形成するようにインキュベートする工程であって、ここで、該標的結合抗体のFc領域は、標識試薬によって選択的に結合される、工程;
    を包含し、但し、該標識試薬はプロテインAを含まず、さらに該標識試薬はFabフラグメントおよび標識を含み、かつ該Fabフラグメントの結合ドメインには標識が組み込まれていない、方法。
  2. 免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントを含む捕捉試薬を添加することによって、非結合標識試薬を除去する工程、をさらに含み、ここで、該標識試薬は前記免疫グロブリンタンパク質またはそのフラグメントに結合することができる、請求項1に記載の方法。
  3. 該工程a)および該工程b)を繰り返して、免疫標識複合体サブセットのパネルを形成する工程であって、ここで、各サブセットは、i)標識対標識試薬の比、またはii)該標識の物理的特性、またはiii)標識試薬対該標的結合抗体の比、またはiv)該標的結合抗体、によって別のサブセットから区別される工程、をさらに含む請求項2に記載の方法。
  4. 前記標的結合抗体が、マウスモノクローナル抗体、ウサギポリクローナル抗体またはヤギポリクローナル抗体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記標的結合抗体が、血清タンパク質または腹水タンパク質を含む溶液中にある、請求項4に記載の方法。
  6. 前記標識が、発色団、発蛍光団、蛍光タンパク質、りん光色素、タンデム色素、粒子、ハプテン、酵素および放射性同位体からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  7. 前記発蛍光団が、クマリン、キサンテン、シアニン、ピレン、ボラポリアザインダセン、オキサジン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記蛍光タンパク質が、フィコビリプロテインである、請求項6に記載の方法。
  9. 前記タンデム色素が、シアニン−フィコビリプロテイン誘導体およびキサンテン−フィコビリプロテイン誘導体からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  10. 前記酵素が、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、およびルシフェラーゼからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
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