JP5120889B2 - ボロンジピロロメタン誘導体及びそれを用いた過酸化脂質測定試薬 - Google Patents

ボロンジピロロメタン誘導体及びそれを用いた過酸化脂質測定試薬 Download PDF

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Description

本発明は、過酸化脂質測定試薬として有用な化合物、及びその過酸化脂質測定試薬としての用途に関する。
近年、過酸化脂質と疾病との関係が注目されている。過酸化脂質と関係がある、若しくは関係があると考えられている疾病には、癌、動脈硬化、虚血性疾患や肝機能障害等が挙げられる。これらの疾患との関連性を調べるには、生体内での過酸化脂質の種類・蓄積量・分布等を明らかにする必要がある。しかし、過酸化脂質は不安定な化合物であり、また、生体内の過酸化脂質は微量である。
これまでに、過酸化脂質を測定するために用いられてきた方法は、チオバルビツール酸法(非特許文献1,2)、ヨウ素法(非特許文献3)、FOX法(非特許文献4)、化学発光法(非特許文献5)、蛍光法(非特許文献6)等がある。
チオバルビツール酸法は、脂質過酸化によって生成する脂質ヒドロペルオキシド、マロンジアルデヒド及びその他のアルデヒド等を総合的に測定する方法である。つまり、過酸化脂質のみを測定していない。また、ヨウ素法は検出感度が低い。FOX法は高感度であるが、2価鉄を酸化する物質や鉄などの金属イオンが混入していた場合は、得られた結果の評価が難しい。また、化学発光法による検出は高感度であるが、共存物質の影響を受けたり、また、短時間における発光量を測定するため、分析条件により応答が異なる。
蛍光法にはジフェニル−1−ピレニルホスフィンを用いた方法(非特許文献6、特許文献1)があるが、励起波長・蛍光波長が共に短波長側(励起波長352nm、蛍光波長380nm)にあるため、生体試料測定時は生体試料へのダメージや生体試料由来の自己蛍光の影響等の問題や、また、測定装置の小型化が困難等の問題点がある。また、特許文献2には、ジフェニル−1−ピレニルホスフィンの蛍光基であるピレンをペリレン誘導体に置き換えた過酸化脂質測定試薬が開示されているが、前記蛍光基をジピロロメタン誘導体に置き換えた化合物はこれまで報告されていない。
特開2002−122593号公報 特開2006−342135号公報 David R. J., Free Radical Biology & Medicine, 9, 515-540(1990) J.I.Gray., Journal of the American Oil Chemists’society, 55, 539-546(1978) D.H.Wheeler., Oil and Soap, 9, 89-97(1932) Anna Grau et al., Journal of agricultural and food chemistry, 48, 4136-4143(2000) Teiki Iwaoka et al., Free Radical Biology & Medicine, 3, 329-333(1987) Kazuaki Akasaka et al., Analytical Letters, 20, 731-745(1987)
従来の過酸化脂質測定用蛍光試薬(ジフェニル−1−ピレニルホスフィン)では、波長が短いため、生体試料へのダメージ(細胞など)や生体試料由来の自己蛍光の影響や測定装置の小型化が困難などの問題があった。
本発明の課題は、ジフェニル−1−ピレニルホスフィンの励起波長及び蛍光波長よりも長波長側にシフトさせた蛍光試薬を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するために、ボロンジピロロメタン骨格と、ジフェニルホスフィノ基等の過酸化脂質と反応して酸化される官能基を含む、非又は弱蛍光性の化合物が過酸化脂質と選択的に反応して蛍光性の化合物を生じる性質を利用するものである。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)次式(I):
Figure 0005120889
(式中、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、置換又は非置換の炭化水素基、又はハロゲン原子を表すか、あるいはR10が結合しており;R及びRは、それぞれ同一又は異なって、置換又は非置換の芳香族炭化水素基を表し;R11及びR12は、ハロゲン原子、置換又は非置換の芳香族炭化水素基、又はアルコキシ基を表し;R10は、直接結合、又は置換又は非置換の炭化水素基及びアミド基から選ばれる少なくとも1つの基を含む2価の置換基を表し、R、R、R、R、R、R又はRのいずれかの位置で、直接又はR、R、R、R、R、R又はRで表される置換又は非置換の炭化水素基を介して結合している。)
で示される化合物又はその塩。
(2)前記式(I)で示される化合物が、次式(II):
Figure 0005120889
(式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、置換又は非置換の炭化水素基、又はハロゲン原子を表し;R11及びR12は、ハロゲン原子、置換又は非置換の芳香族炭化水素基、又はアルコキシ基を表し;R10’は、直接結合、又は置換又は非置換のアルキレン基、置換又は非置換のフェニレン基及びアミド基から選ばれる少なくとも1つの基を含む2価の置換基を表す。)
で示される化合物である前記(1)に記載の化合物又はその塩。
(3)非又は弱蛍光性であり、過酸化脂質と反応して蛍光性の化合物を生じる前記(1)又は(2)に記載の化合物又はその塩。
(4)過酸化脂質と反応して、励起波長400〜700nm、蛍光波長400〜750nmの蛍光性の化合物を生じる前記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物又はその塩。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む蛍光試薬。
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む過酸化脂質測定試薬。
本発明により、照射する光による生体試料へのダメージ及び生体試料由来の自己蛍光の影響を軽減した過酸化脂質の蛍光検出も可能になる。また、本発明は、測定装置を小型化した場合にも用いることができる。
前記式(I)及び(II)において、R、R、R、R、R、R又はRで表される炭化水素基は、通常、C1−21−炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基等の直鎖状又は分岐状のC1−21−アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のC3−21−シクロアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オレイル基等のC2−21−アルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル(プロパルギル)基、3−ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等のC2−21−アルキニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ピレニル等の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;アダマンチル基等の橋かけ環炭化水素基;スピロ環炭化水素基;縮合多環式炭化水素基等が挙げられる。前記炭化水素基は、例えばハロゲン原子で置換されていてもよい。本発明において、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。また、好ましくは、R、R、R及びRはメチル基、R及びRは水素原子である。
前記式(I)及び(II)において、R、R、R11又はR12で表される芳香族炭化水素基は、通常、単環性ないし2環性の芳香族炭化水素基であり、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。前記芳香族炭化水素基は、例えばハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記式(I)及び(II)において、R11又はR12で表されるアルコキシ基は、通常、C1−4−アルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基が挙げられる。好ましくは、R及びRはフェニル基、R11及びR12はフッ素原子である。
前記式(I)において、R10で表される2価の置換基を構成する2価炭化水素基としては、例えばC1−8−アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基)、C2−8−アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基)、C2−8−アルキニレン基、フェニレン基、ナフチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられ、これらの炭化水素基は、例えばハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記式(I)において、R10で表される2価の置換基としては、例えば、前記2価炭化水素基、アミド基、及び1以上の前記2価炭化水素基とアミド基とが連結した2価の置換基(例えば、−C−CONH−C1−8−アルキレン−、−C−CONH−C−)が挙げられる。これらの2価の置換基が非対称の場合には、結合方向はいずれでもよい。
前記式(II)において、R10’で表される2価の置換基を構成するC1−8−アルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
前記式(II)において、R10’で表される2価の置換基としては、例えば、前記C1−8−アルキレン基、アミド基、及び1以上の前記C1−8−アルキレン基とアミド基とが連結した2価の置換基(例えば、−CONH−C1−8−アルキレン−、−C1−8−アルキレン−CONH−C1−8−アルキレン−)、前記C1−8−アルキレン基とフェニレン基とアミド基とが連結した2価の置換基(例えば、−CONH−フェニレン−)が挙げられる。これらの2価の置換基が非対称の場合には、結合方向はいずれでもよい。R10’としては、直接結合、−CONH−メチレン−又は−CONH−エチレン−が好ましい。
前記式(I)又は(II)で示される化合物の塩としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、ピロ硫酸、メタリン酸等の無機酸、又はクエン酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸)等の有機酸との塩が挙げられる。
本発明のジピロロメタン構造を有する過酸化脂質測定試薬は、窒素原子が−BR1112で置換されたジピロロメタン骨格を有し、かつカップリング可能な官能基を有する化合物と、RP−R10−骨格を有し、かつ前記官能基とカップリング可能な官能基を有する化合物とをカップリングさせることにより製造することができる。
例えば前記式(I)において、R=R=R=R=CH、R=R=H、R=R=C、R11=R12=F、R10=C−CONH−CHCH−であり、R10がRの位置で直接結合している化合物については、以下のようにして製造することができる。
Figure 0005120889
本発明のジピロロメタン誘導体は、過酸化脂質、特にヒドロペルオキシド類と反応して蛍光性の化合物(酸化物)を生じる、蛍光試薬又は過酸化脂質測定試薬として有用である。この蛍光性化合物は、特に制限されないが、励起波長400〜700nm、蛍光波長400〜750nmの蛍光特性を有していることが好ましい。このように励起波長及び蛍光波長が長波長領域にあると、細胞内成分由来の自己蛍光が測定系に与える影響を抑制しながら、かつ生きた細胞を用いる測定系においては励起光の照射が細胞に与えるダメージを抑制しながら蛍光検出を行うことができる。
本発明の試薬は、前記ジピロロメタン誘導体を含むことを特徴とする。本発明の試薬は、ジピロロメタン誘導体のほか、必要に応じて溶媒や添加剤を含むこともできる。使用できる溶媒としては、前記ジピロロメタン誘導体及び過酸化脂質に不活性なものであれば特に制限はなく、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトニトリル、クロロホルムなどが挙げられる。
本発明の試薬の対象となる試料としては、例えば、溶液試料、生体試料が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)ボロンジピロロメタン誘導体及びその酸化体の合成
(1)化合物3の合成
Figure 0005120889
テレフタルアルデヒド酸メチル4.31g(26.25mmol)と2,4−ジメチルピロール5g(52.55mmol)をジクロロメタン(脱水)100mlに溶解し、窒素雰囲気下30分間、室温で攪拌後、トリフルオロ酢酸を数滴添加し、更に窒素雰囲気下15時間、室温で攪拌した。
テトラヒドロフラン25ml(脱水)とジクロロメタン25ml(脱水)の混合溶液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンを5.97g(26.26mmol)溶解し、前記反応混合物中に15分間で滴下した。薄層クロマトグラフィーにより、反応が終了したことを確認後(反応時間4時間)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出を行い、更に飽和塩化ナトリウム水溶液で、ジクロロメタン相を洗浄後、ジクロロメタン相を減圧濃縮した。
アミノプロピル化処理したシリカゲルカラム(溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=15/1)にて精製を行った。
MSとNMRにより生成物の確認を行った。
収量1.71g(収率19.5%)
1H-NMR(400 MHz, TMS, CDCl3): 1.27(s, 6H, CH3), 2.34(s, 6H, CH3), 3.96(s, 3H, CH3), 5.89(s, 2H, CH), 7.40-7.42(d, 2H, benzene), 8.11-8.13(d, 2H, benzene)
MS m/z 335.20 (M+H)+
(2)化合物4の合成
Figure 0005120889
化合物3を1.6g(4.78mmol)と、ボロントリフルオリド−エチルエーテルコンプレックス9.2mlと、トリエチルアミン9.2mlをトルエン(脱水)65mlに溶解し、室温で3時間攪拌し、薄層クロマトグラフィーにより化合物3がなくなり反応が終了したことを確認後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出を行い、更に飽和塩化ナトリウム水溶液でジクロロメタン相を洗浄後、ジクロロメタン相を減圧濃縮した。
アミノプロピル化処理したシリカゲルカラム(溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=7/1)にて精製を行った。
MSとNMRにより生成物の確認を行った。
収量1.76g(収率96.2%)
1H-NMR(400 MHz, TMS, CDCl3): 1.36(s, 6H, CH3), 2.56(s, 6H, CH3), 3.97(s, 3H, CH3), 5.99(s, 2H, CH), 7.40-7.42 (d, 2H, benzene), 8.17-8.19(d, 2H, benzene)
MS m/z 405.21 (M+Na)+
(3)化合物5の合成
Figure 0005120889
化合物4を0.5g(1.31mmol)と、炭酸カリウム300mg(2.17mmol)を、テトラヒドロフラン60mlと純水60mlの混合溶液に溶解し、50℃で10時間、室温14時間攪拌し、ジエチルエーテルを加え水相を抽出し、その後水相をジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン相を減圧濃縮した。
MSにより生成物の確認を行った。
粗収量0.48g
MS m/z 367.23 (M-H)-
(4)化合物6の合成
Figure 0005120889
化合物5を0.48gと、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.89g(4.64mmol)と、4−ジメチルアミノピリジン0.31g(2.54mmol)と、2−(ジフェニルホスフィノ)エチルアミン1g(4.36mmol)をアセトニトリル(脱水)75ml中、窒素雰囲気下、0℃で30分間攪拌後、室温で4日間攪拌した。その後、純水を加えジクロロメタンで抽出し、減圧濃縮した。シリカゲルカラム(溶媒;クロロホルム)にて精製し、ジエチルエーテルから再結晶した。
収量160.26g(収率21.1%)(化合物4からの収率)
1H-NMR(400 MHz, TMS, CDCl3): 1.34(s, 6H, CH3), 2.46-2.50(t, 2H, CH2), 2.56(s, 6H, CH3), 3.67-3.75(m, 2H, CH2), 5.98(s, 2H, CH), 6.30(s, 1H, NH), 7.32-7.38(m, 8H, benzene), 7.47-7.52(m, 4H, benzene), 7.70-7.72(d, 2H, benzene)
MS m/z 602.11(M+Na)+
(5)化合物6の酸化体(化合物7)の合成
Figure 0005120889
化合物6を34.6mg(59.71μmol)と濃度30%の過酸化水素水0.4mlを、クロロホルム10mlとメタノール10mlの混合溶液中、室温で一昼夜攪拌した。その後、純水を加えジクロロメタンで抽出し、減圧濃縮した。シリカゲルTLC(溶媒;酢酸エチル)にて精製し、アセトン/ヘキサンにより再結晶を行った。
収量17.2mg(収率48.4%)
1H-NMR(400 MHz, TMS, CDCl3): 1.35(s, 6H, CH3), 2.56(s, 6H, CH3), 2.63-2.68(m, 2H, CH2), 3.87-3.95(m, 2H, CH2), 5.98(s, 2H, CH), 7.35-7.37(d, 2H, benzene), 7.48-7.57(m, 6H, benzene), 7.75-7.80(m, 4H, benzene), 7.93-7.95(d, 2H, benzene), 8.12(s, 1H, NH)
MS m/z 618.15(M+Na)+
(実施例2)励起スペクトル及び蛍光スペクトル測定
実施例1で得た化合物6及び化合物7の励起及び蛍光スペクトル測定を行うため、抗酸化剤2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)を含むクロロホルム溶液(3mg BHT/10ml CHCl)で、化合物6及び化合物7の62.5μM溶液を調製し、さらにクロロホルムでそれぞれを希釈し、1μMの溶液にした。励起及び蛍光スペクトルの測定は、λex/λem=502nm/515nm、バンド幅(励起/蛍光)=3nm/1nmで行った。図1は1μMの濃度の化合物6(細線)及び化合物7(太線)の励起スペクトルと蛍光スペクトルを測定したものであり、化合物6の酸化体である化合物7は、化合物6より蛍光強度が高かった。
(実施例3)過酸化脂質の測定
実施例1で得た化合物6の過酸化脂質測定能の評価を行うため、抗酸化剤2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)を含むクロロホルム溶液(3mg BHT/10ml CHCl)に化合物6を溶解し、酸化したリノール酸メチルを化合物6と同様に、抗酸化剤を溶解したクロロホルム溶液に溶解し過酸化脂質の試料として用い測定した。
測定条件は、55.23μMの化合物6の溶液50μlに、0−61.76μMの濃度の過酸化脂質溶液100μlを加えて密栓し、暗所で37℃で60分間反応させ、反応後、氷冷した。この反応溶液をクロロホルムを3ml加えてλex/λem=502nm/515nm、バンド幅(励起/蛍光)=3nm/1nmで蛍光測定した。図2は過酸化脂質と化合物6の反応後の過酸化脂質量と蛍光強度との関係を示したものである。過酸化脂質量の増加に伴い蛍光強度は上昇し、過酸化脂質量0−2.76nmolの間では直線関係が成り立つ。実施例2の結果から、過酸化脂質との反応により蛍光強度の高い酸化体(化合物7)が生成していることが示唆された。
また、52.93μMの化合物6の溶液50μlを、0μM及び27.6μMの過酸化脂質溶液100μlと同様に反応させて、反応溶液中の化合物6及び化合物7の分子量を測定した。その結果、0μMの過酸化脂質溶液の反応溶液では、反応前と比べて、殆ど化合物6が残っていたが、27.6μMの過酸化脂質溶液の反応溶液では、化合物6の分子量ピークは観察されず、化合物7の分子量のみが観察された。以上の結果から、化合物6は過酸化脂質の測定を定量的に行える試薬であると考えられる。
本発明は、過酸化脂質の高感度分析法として利用できる。また、定量分析だけでなく、細胞と本発明の試薬をインキュベーションすることにより細胞内に取り込ませ、細胞内の過酸化脂質のイメージングを行うことや、本発明の試薬をガラスやプラスチックなどの基板に固定化し、過酸化脂質センサーとして用いたり、また、医療分野においては、口腔や鼻腔などから挿入できる器具の先端に過酸化脂質センサーを取り付けた、患部の正確な過酸化脂質量を把握可能な過酸化脂質診断機器などへも応用可能である。
化合物6及び化合物7の励起スペクトルと蛍光スペクトルを示す図である。 過酸化脂質量と過酸化脂質測定試薬との反応から生じる蛍光強度を示す図である。

Claims (6)

  1. 次式(I):
    Figure 0005120889
    (式中、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基、又はハロゲン原子を表すか、あるいはR10が結合しており;R及びRは、それぞれ同一又は異なって、ハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表し;R11及びR12は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又はアルコキシ基を表し;R10は、直接結合、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基及びアミド基から選ばれる少なくとも1つの基を含む2価の置換基を表し、R、R、R、R、R、R又はRのいずれかの位置で、直接又はR、R、R、R、R、R又はRで表されるハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基を介して結合している。)
    で示される化合物又はその塩。
  2. 前記式(I)で示される化合物が、次式(II):
    Figure 0005120889
    (式中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基、又はハロゲン原子を表し;R11及びR12は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又はアルコキシ基を表し;R10’は、直接結合、又はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニレン基及びアミド基から選ばれる少なくとも1つの基を含む2価の置換基を表す。)
    で示される化合物である請求項1記載の化合物又はその塩。
  3. 非又は弱蛍光性であり、過酸化脂質と反応して蛍光性の化合物を生じる請求項1又は2記載の化合物又はその塩。
  4. 過酸化脂質と反応して、励起波長400〜700nm、蛍光波長400〜750nmの蛍光性の化合物を生じる請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含む蛍光試薬。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含む過酸化脂質測定試薬。
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