JP6150297B2 - 蛍光発色剤、蛍光発色剤を含むイオン濃度センサー、蛍光発色剤を含む試薬、試薬を備える試薬キットおよび蛍光発色剤の合成方法 - Google Patents

蛍光発色剤、蛍光発色剤を含むイオン濃度センサー、蛍光発色剤を含む試薬、試薬を備える試薬キットおよび蛍光発色剤の合成方法 Download PDF

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Description

本発明は、蛍光発色団を有する化合物、化合物を含むイオン濃度センサー、化合物を含む試薬、試薬を備える試薬キット、化合物の前駆体、および化合物の合成方法に関する。
有機EL素子などの発光性材料、バイオイメージングを用いた様々な生体関連的基礎研究、医療診断の現場に至るまで、蛍光性分子は様々な研究分野や産業に幅広く用いられており、現代科学技術の根幹を支える重要な化合物群である。
蛍光性分子はその用途に応じて、様々な特徴や機能が求められる。そのため、新たな特徴や機能を有する蛍光性化合物の創製が常に必要とされており、これらの蛍光分子の開発によって、様々な基礎研究や産業の発展が強力に推進される。
これまでに数多くの蛍光分子が開発されており、クマリンやアクリジンの様々な誘導体等が用いられている。また、生体関連的基礎研究などではTAMRA(CAS登録番号:150322−06−8)などが用いられている。
また、Salviらがペンタレンの一種である1,3,5−トリ−tert−ブチルペンタレンが蛍光分子であることを報告している(非特許文献1)。
特開2003−68464号公報
A.Falchi, C.Gellini, P.R.Salvi. J.Phys. Chem. 1998, 102, 5006−5012 H.Koga, M.Hirobe, T.Okamoto. Tetrahedron Lett. 1978, No.15, pp.1291−1294 O.Tsuge, H.Samura. Chem. Lett. 1973, pp.175−180 J.H.Lee, A.Matsumoto, M.Yoshida, O.Shimomura Chem. Lett. 1974, pp.951−954 I.M.McRobbie, O.Meth−Cohn, H.Suschitzky. Tetrahedron Lett. 1976, No.12, pp.925−928
これまでに数多くの蛍光分子が開発され、様々な分野に用いられているが、既存の蛍光分子には以下のような課題があった。
蛍光分子として機能するためには長いπ共役系を有することが必要であり、芳香族官能基が導入されることが多かった。このため非常に大きな(長い)分子のサイズのものが多く、水溶性が低かった。一方、生体関連的基礎研究や水質調査試薬に適用するためには水溶性の高い蛍光分子が望まれていた。
コンパクトな蛍光分子もあるものの、そういった蛍光分子は量子収率が十分ではないものが多かった。一方、細胞内への取り込み実験などの生体関連的基礎研究や医療診断への展開のためには、コンパクトな分子でありながらも、高い量子収率を有する蛍光分子の開発が望まれていた。また、様々な生体活性化合物や機能性化合物に既存の蛍光分子を導入する際の溶媒が制限されることがあった。さらに、期待される吸収・蛍光波長を有する分子を作成するための分子デザインは容易ではなかった。
ペンタレンは、その骨格はコンパクトではあるが、8π電子系の反芳香族化合物であり、非常に不安定な化合物であることが知られており、合成が困難であることが多く、簡便かつ迅速に合成することが可能な蛍光分子が必要とされていた。
たとえば、非特許文献1に記載された1,3,5−トリ−tert−ブチルペンタレンは立体的に嵩高いtert−ブチル基を3つ導入することで合成されているが、合成は困難であり、なおかつ、嵩高い置換基の存在により、ペンタレン骨格のコンパクトな構造を活用しきれていなかった。
また、特許文献1、非特許文献2〜5に記載されたペンタレン骨格を有する化合物についても、立体的に嵩高い置換基の導入やベンゾ縮環による安定化等を利用して合成されているが、合成プロセスにおける基質の適用範囲が狭い等によって、様々な置換基を有するペンタレン骨格を有する化合物の合成は困難であった。さらに、特許文献1、非特許文献2〜5に記載のペンタレン骨格を有する化合物が蛍光分子であるとの報告はされていない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、蛍光発色団を有する化合物、化合物を含むイオン濃度センサー、化合物を含む試薬、試薬を備える試薬キット、化合物の前駆体を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記化合物の合成方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意努力の結果、一般式1に示されるトリアザペンタレン骨格が非常に優れた蛍光発色団であることを初めて見出し、また、脱離基を有する有機アジ化物と、アルキンまたはその誘導体と、を、双極子付加環化反応させるトリアザペンタレン骨格の合成方法を見出した。
一般式1
Figure 0006150297
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る化合物は、
蛍光発色団としてトリアザペンタレン骨格を有する。
前記化合物は一般式2
Figure 0006150297

で示される構造を有してもよい。
(式中、R、R、R、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、R、R、R、RおよびRのうち2つ以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい置換基を表す。)
前記R、R、R、R、Rのうち少なくとも1つの置換基が電子求引基であってもよい。
前記Rの置換基が電子供与基または電子求引基であり、前記Rおよび/またはRの置換基が電子求引基であってもよい。
前記化合物は一般式3
Figure 0006150297

で示される構成単位を有してもよい。
(式中、Rは炭素数2以上の分岐していてもよいアルキレン基、または炭素数6以上の置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)
本発明の第2の観点に係るイオン濃度センサーは、
上記化合物を含む。
本発明の第3の観点に係る試薬は、
上記化合物を含む。
本発明の第4の観点に係る試薬キットは、上記試薬を少なくとも1つ備える。
少なくとも1つの前記試薬の最大蛍光波長が、400nm以上430nm以下、430nm超過480nm以下、480nm超過530nm以下、530nm超過2000nm以下からなる群から選択される最大蛍光波長であってもよい。
本発明の第5の観点に係る、上記化合物の前駆体は、
一般式4
Figure 0006150297

で表される。
(R、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよい置換基を表す。RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよい置換基を表す。)
本発明の第6の観点に係る上記化合物の合成方法は、
脱離基を有する有機アジ化物と、アルキンまたはその誘導体と、を、双極子付加環化反応を促進させる触媒の存在下で、双極子付加環化反応させる工程を含むことを特徴とする。
一般式2
Figure 0006150297

で示される構造を有する化合物を合成する上記化合物の合成方法は、
一般式4
Figure 0006150297

で表される前記有機アジ化物と、
一般式5
Figure 0006150297

で表される前記アルキンまたはその誘導体と、を、双極子付加環化反応を促進させる触媒の存在下で双極子付加環化反応させてもよい。
(式中、R、R、R、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよい置換基を表す。また、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよい置換基を表す。)
本発明によれば、蛍光発色団を有する化合物、化合物を含むイオン濃度センサー、化合物を含む試薬、試薬を備える試薬キット、化合物の前駆体を提供することができる。
また、本発明によれば、上記化合物の合成方法を提供することができる。
本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例の結果を示すグラフ図である。
本明細書における構造式において、立体構造などが特に示されていない場合、本明細書における構造式で表される化合物には、互変異性体、幾何異性体、光学異性体等の各種の立体異性体、およびそれらの混合物が含まれる。
本発明は、蛍光発色団としてトリアザペンタレン骨格を有する化合物に係わる。トリアザペンタレン骨格は一般式1に示される構造を有しており、トリアザペンタレン骨格を有する化合物とは、骨格が、水素や、置換基や他の分子と化学結合した化合物である。
以下、本発明を実施するための形態に係る、蛍光発色団としてトリアザペンタレン骨格を有する化合物およびその合成方法の例として、一般式2で示される構造を有する化合物およびその合成方法について詳細を説明する。
蛍光発色団として一般式2で示される構造を有する化合物およびその合成方法において、一般式2、一般式4、一般式5における置換基(R、R、R、R、R)は本発明の目的に沿う範囲で適宜選択され、下記に限定されるものではないが、代表的な置換基(R、R、R、R、R)の例としては以下のものが挙げられる。式中、R、R、R、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、R、R、R、RおよびRのうち2つ以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。ただし、新たに結合して形成された環が芳香性を持たないことが好ましい。また、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよい。また、R、R、R,Rおよび/またはRが置換基によって置換されず、水素原子であってもよい。
一般式2で示される構造を有する化合物であるトリアザペンタレン類のR〜Rの置換基としては、置換基をさらに有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの好ましくは炭素数1〜12のアルキル基;置換基をさらに有していてもよいシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの好ましくは炭素数1〜18のシクロアルキル基等を例示することができる。
また、一般式2で示される構造を有する化合物であるトリアザペンタレン類のR〜Rの置換基としては、置換基をさらに有していてもよいフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、メチルエーテルケトンフェニル基、ビフェニル基、シアノフェニル基、ニトロフェニル基、トリル基、キシリル基などの好ましくは炭素数6〜30のアリール基;置換基をさらに有してもよいアルデヒド基、メチルケト基などのケト基、カルボキシ基、エステル基、アミド基などの好ましくは炭素数1〜12のカルボニル基;置換基をさらに有してもよいメチル基やブチル基などの鎖状アルキル基、ベンジル基などの好ましくは炭素数1〜12のアルキル基;置換基をさらに有してもよいトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基などの好ましくは炭素数3〜12のシリル基;トリフルオロメタンスルホネート(Tf)基などの好ましくは炭素数1〜12のハロアルキルスルホネート基;トルエンスルホネート(Ts)基、ベンゼンスルホネート基などの好ましくは炭素数6〜30のアリールスルホネート基;メタンスルホネート(Ms)基などの好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホネート基;アセトキシ等の好ましくは炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基;ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)などを例示することができる。
また、特に、Rの置換基としては、置換基を有していないエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの好ましくは炭素数1〜12のアルキル基;置換基をさらに有しているメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの好ましくは炭素数1〜12のアルキル基;置換基をさらに有していてもよいシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの好ましくは炭素数1〜18のシクロアルキル基;置換基を有していないメトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、メチルエーテルケトンフェニル基、ビフェニル基、シアノフェニル基、ニトロフェニル基、トリル基、キシリル基などの好ましくは炭素数6〜30のアリール基;置換基をさらに有しているフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、メチルエーテルケトンフェニル基、ビフェニル基、シアノフェニル基、ニトロフェニル基、トリル基、キシリル基などの好ましくは炭素数6〜30のアリール基;アルデヒド基、メチルケト基などのケト基、カルボキシ基、エステル基、アミド基などの好ましくは炭素数1〜12のカルボニル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基などの好ましくは炭素数3〜18のシリル基;トリフルオロメタンスルホネート(Tf)基などの好ましくは炭素数1〜12のハロアルキルスルホネート基;トルエンスルホネート(Ts)基、ベンゼンスルホネート基などの好ましくは炭素数6〜30のアリールスルホネート基;メタンスルホネート(Ms)基などの好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホネート基;アセトキシ等の好ましくは炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基;ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)などが挙げられ、なかでも後述する電子求引性を有する置換基であることが好ましい。
トリアザペンタレン骨格上に直接又は間接に導入される置換基は、電子求引性を有することが好ましく、下記に限定されるものではないが、シアノ基、好ましくは炭素数1〜12のカルボキシル基;ニトロ基;アシル基;好ましくは炭素数2〜18のアルキルオキシカルボニル基;ハロゲン原子などで置換されてもよい、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基などの好ましくは炭素数6〜30のシアノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基などの好ましくは炭素数8〜30のアルコキシカルボニルフェニル基などの好ましくは炭素数6〜30のアリール基;好ましくは炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基;好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホニル基;好ましくは炭素数6〜30のアリールスルホニル基;好ましくは炭素数1〜12のハロアルキルスルホネート基;好ましくは炭素数6〜30のアリールスルホネート基;好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホネート基;好ましくは炭素数2〜18のエステル基;好ましくは炭素数1〜18のアミド基、好ましくは炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜12のペルフルオロアルキルチオ基、好ましくは炭素数2〜18のペルフルオロアルキルカルボニル基、置換基をさらに有していてもよい好ましくは炭素数2〜18のスルホンアミド基、好ましくは炭素数2〜18のアシルオキシ基、好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基、好ましくは炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基、好ましくは炭素数2〜18のジアルキルホスホノ基、好ましくは炭素数12〜40のジアリールホスホノ基、好ましくは炭素数12〜40のジアリールホスフィニル基、好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基、好ましくは炭素数6〜30のアリールスルフィニル基、スルホニルオキシ基、好ましくは炭素数1〜12のアシルチオ基、スルフォモイル基、好ましくは炭素数2〜18のチオシアネート基、好ましくは炭素数1〜12のチオカルボニル基、好ましくは炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子等を例示できる。本明細書において、電子求引性を有する官能基(電子求引基)とは、ハメットの置換基定数σp値が正の値である官能基または原子を指す。R、R、R、R、Rのうち少なくとも1つが電子求引性を有する官能基であることによって、一般式2で示される構造を有する化合物の蛍光発色の強度を大きくすることができる。また、後述する一般式2で示される構造を有する化合物の合成の収率を高めることができる。
ハロゲン原子で置換された、好ましくは炭素数6〜30のアリール基としては、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基などのフルオロフェニル基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホニル基としては、メシル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数6〜30のアリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数1〜12のハロアルキルスルホネート基としては、トリフルオロメタンスルホネート(Tf)基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数6〜30のアリールスルホネート基としては、トルエンスルホネート(Ts)基、ベンゼンスルホネート基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート(Ms)基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数1〜12のペルフルオロアルキルチオ基としては、トリフルオロメチルチオ基、ペンタフルオロエチルチオ基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数2〜18のペルフルオロアルキルカルボニル基としては、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロエチルカルボニル基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数2〜18のエステル基としては、メチルエステル基、エチルエステル基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数1〜18のスルホンアミド基としては、スルホンアミド基、ジメチルアミノスルホニル基、ジエチルアミノスルホニル基、ジフェニルアミノスルホニル基等を例示することができる。
また、好ましくは炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基としては、アセトキシカルボニル基等を例示することができる。
さらに、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上である電子求引性を有する官能基がより好ましく、下記に限定されるものではないが、アシル基、アシルオキシ基、好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基、好ましくは炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基、好ましくは炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、好ましくは炭素数2〜18のジアルキルホスホノ基、ジアールホスホノ基、好ましくは炭素数12〜40のジアリールホスフィニル基、好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基、好ましくは炭素数6〜30のアリールスルフィニル基、好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、好ましくは炭素数6〜30のアリールスルホニル基、好ましくは炭素数1〜12のハロアルキルスルホネート基、好ましくは炭素数6〜30のアリールスルホネート基、好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホネート基、スルホニルオキシ基、好ましくは炭素数1〜12のアシルチオ基、スルファモイル基、好ましくは炭素数2〜18のチオシアネート基、好ましくは炭素数1〜12のチオカルボニル基等を例示することができる。電子求引性を有する官能基として、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上である官能基で置換することによって、一般式2で示される構造を有する化合物の蛍光発色の強度を、より大きくすることができる。また、後述する一般式2で示される構造を有する化合物の合成の収率を、より高めることができる。
また、トリアザペンタレン骨格のマイナス環であるRおよび/またはRの置換基が電子求引基であり、なおかつ、トリアザペンタレン骨格のプラス環であるR、Rおよび/またはRが電子供与基または電子求引基で置換されることが好ましく、RおよびRの置換基が上述の電子求引基であり、なおかつ、Rが電子供与基または電子求引基で置換されることがより好ましい。この場合、Rおよび/またはRは置換されてもよいし、置換されなくてもよい。さらに、Rの置換基が上述の電子求引基であり、なおかつ、Rの置換基が電子供与基または電子求引基であることが、より一層好ましい。この場合、R、Rおよび/またはRは、置換されてもよいし、置換されなくてもよい。さらに、Rの置換基が上述の電子求引基であり、なおかつ、Rの置換基が電子供与基であることも、より一層好ましい。本明細書において、電子供与性を有する官能基(電子供与基)とは、ハメットの置換基定数σp値が負の値である官能基または原子を指す。
および/またはRの置換基が電子求引基であり、なおかつ、Rの置換基が電子供与基であることによって、Rおよび/またはRの電子求引基の作用で、一般式2で示される構造を有する化合物の蛍光発色の色を調節しつつ、Rの電子供与基とRおよび/またはRの電子求引基との間のPush−Pull効果によって、一般式2で示される構造を有する化合物の蛍光発色の強度を、より高めることができる。すなわち、蛍光の検出力を、より高めることができる。
上述の電子供与基は、本実施形態の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの好ましくは炭素数1〜12のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの好ましくは炭素数1〜18のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基;フェニル基、メトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、メチルエーテルケトンフェニル基、ビフェニル基、トリル基、キシリル基などの好ましくは炭素数6〜30のアリール基;アミノ基、置換基をさらに有していてもよいアシルオキシ基、カルバモイル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルフォモイル基等の好ましくは炭素数1〜30の酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を含む官能基等を例示できる。
また、Rおよび/またはRの置換基が電子求引基であり、なおかつ、Rの置換基が電子求引基であることによって、Rおよび/またはRの電子求引基の作用で、一般式2で示される構造を有する化合物の蛍光発色の色を調節しつつ、Rの電子求引基によって一般式2で示される構造を有する化合物の蛍光波長を短波長側にシフトさせることが可能となり、RおよびRの両方の電子求引基によって、蛍光波長および蛍光色を調節することができる。
一般式4で示される構造を有する化合物の置換基(R、R)は本発明の目的に沿う範囲で適宜選択され、下記に限定されるものではないが、代表的な置換基(R、R)としては、トリフルオロメタンスルホネート(Tf)基などの好ましくは炭素数1〜12のハロアルキルスルホネート基、トルエンスルホネート(Ts)基、ベンゼンスルホネート基などの好ましくは炭素数6〜30のアリールスルホネート基、メタンスルホネート(Ms)基などの好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホネート基、アセトキシ等の好ましくは炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)などを例示することができる。また、Rおよび/またはRが置換されず、水素原子であってもよい。
一般式2で表される本発明の化合物は、下記反応式(1)に記載の方法により合成することができる。
Figure 0006150297
[式中、R、R、R、R、R、R、Rは、一般式2、一般式4、一般式5と同じ意味を表す]
反応式(1)において、一般式4で示される構造を有する化合物(前駆体)と、一般式5で表されるアルキンまたはその誘導体と、を、溶媒中、塩基の存在下、双極子付加環化反応を促進する触媒の存在下、および、無リガンドもしくはリガンドの存在下で双極子付加環化反応させることにより、一般式2で示される構造を有する化合物を合成することができる。双極子付加環化反応とは、分子内に正と負の両電荷を有する分子(双極子)が不飽和結合に付加して新たな炭素環をつくる反応である。
反応式(1)で表される反応に用いられる溶媒は、本発明の目的に沿う範囲で適宜選択され、特に一般式2、一般式4および一般式5と反応しない限り、下記に限定されるものではないが、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン等のエーテル類、水、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、tert−ブタノールやイソプロパノール等のアルコール類、水等を例示することができる。
反応式(1)で表される反応に用いられる塩基は、本発明の目的に沿う範囲で適宜選択され、下記に限定されるものではないが、たとえば、塩基性含窒素有機化合物を用いることができる。上記塩基性窒素含有有機化合物として、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、ルチジン、ピリジン、4−( ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、1,8− ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセ−7−エン(DBU)等を例示することができる。また、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸セシウム等の弱塩基性の無機塩基を用いることもできる。これらの塩基の使用量は特に制限されるものではなく、上記有機塩類を用いた場合には溶媒として使用することができる。
反応式(1)で表される反応に用いられる触媒は、本発明の目的に沿う範囲で適宜選択され、下記に限定されるものではないが、たとえば、銅触媒、例えば、単体の銅、ヨウ化銅(I)、塩化銅(I)、酸化銅(I)、臭化銅(I)トリストリフェニルホスフィン錯体、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)ベンゼン錯体等、および、ルテニウム触媒等の双極子付加環化反応を促進する触媒を例示することができる。ここで、ルテニウム触媒を用いた場合には、銅触媒を用いた場合と比べて、一般式2に示す構造におけるRの位置とRの位置とが逆になる。
反応式(1)で表される反応に用いられるリガンドは、溶液中で触媒がより均一になるよう、本発明の目的に沿う範囲で適宜選択され、特に一般式2、一般式4および一般式5と反応しない限り、下記に限定されるものではないが、たとえば、アミノアルコールやジアミンなどの多座配位型のアミン類等を用いることができる。多座配位型のアミン類として、下記に限定されるものではないが、ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]エーテル、N,N’−テトラメチルペンタン−1,5−ジアミン、5−ジメチルアミノ−1−ペンタノール等を例示することができる。
上記反応の反応温度および反応時間は本発明の目的に添う範囲で適宜選択され、反応はたとえば−20℃〜60℃で行うことができ、10℃〜40℃が好ましく、15℃〜25℃がより好ましい。また、反応時間はたとえば0.5時間〜10時間とすることができ、0.5時間〜5時間が好ましく、1時間〜3時間がより好ましい。
上記反応の反応雰囲気は本発明の目的に添う範囲で適宜選択され、たとえば、ヘリウム、アルゴンなどの希ガス類、または窒素ガスなどの不活性ガスを用いることができる。また、空気中で反応させてもよい。
反応式(1)の一般式4で示される構造式を有する化合物(前駆体)は、たとえば、以下のように合成することができる。
まず、市販されているクロロプロパンジオールなどのハロゲン化アルコールを、たとえば、50℃以上150℃以下の温度で、市販されているアジ化ナトリウム、4−ドデシルベンゼンスルフォニルアジド、4−アセチルアミノベンゼンスルフォニルアジド、ジフェニルリン酸アジド、トリメチルシリルアジドなどのアジド化合物とS2置換反応させることによって化合物(アジ化アルコール)を得る(アジド化)。次に、生成されたアジ化アルコールを、たとえば、ドライアイス(登録商標)−アセトン冷媒等を用いて、−100℃以上−10℃以下の温度で、市販されている無水トリフルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸とトリフラート化反応させる方法によって一般式4で示される構造式を有する化合物を合成することができる。
反応式(1)の一般式5で表されるアルキンまたはその誘導体は、市販されているもの以外は、アルケンまたはその誘導体の部分酸化などにより合成することができる。アルキンまたはその誘導体は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、内部アルキンまたはその誘導体でも末端アルキンまたはその誘導体でもよく、下記に限定されるものではないが、アセチレン、プロピン、フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、プロピオール酸メチル、ニトロフェニルアセチレン、メトキシフェニルアセチレン、シアノフェニルアセチレン、メトキシカルボニルフェニルアセチレン等を例示することができる。
トリアザペンタレン骨格を有する化合物は、窒素上の非共有電子対の効果によって10π電子系の芳香族化合物となるため、安定な化合物である。また、コンパクトな構造でありながら強い蛍光を発する蛍光分子であり、水溶性を有し、蛍光性を有する官能基を簡便に導入することができ、また、溶媒を変えることによっても蛍光波長を調節することが可能であり、簡便に効率よく合成することができるという多くの特性を兼ね備えた新しい蛍光分子である。そのため、一つの蛍光発色団で様々な波長領域での発光を可能にするトリアザペンタレン骨格を有する化合物によって、波長調節型の蛍光分子を提供することができる。
すなわち、本発明に係る蛍光発色団を有する化合物は、従来の蛍光分子と比較して、蛍光発色団としての基本構造が極めてコンパクトでありつつ、高い量子収率を有するため、蛍光の検出限界を大きく向上させることができる。
また、本発明に係る蛍光発色団を有する化合物はトリアザペンタレン骨格を有するため、吸収波長と蛍光波長との間の差(ストークスシフト)が大きい。そのため、本発明に係る蛍光発色団を有する化合物に光を当てる際、当てた光(バックグランド光)の波長と、検出される蛍光波長との間との差が大きくなるため、バックグラウンド光の色と検出される蛍光色とが重複しにくくなり、蛍光色をより明確に捉えることが可能となる。特に、本発明に係る蛍光発色団を用いることによって、たとえば、500nmを超える蛍光波長においても、たとえば、100nm以上のストークスシフトを得ることが可能となり、また、たとえば、ニトロ基等のような光を吸収する傾向のある置換基を有する場合であっても、明確な蛍光を得ることができる。
また、本発明に係る蛍光発色団を有する化合物は、分子内に双性イオンを有するトリアゾリウムイオン構造を有するため、有機溶媒と水との両方に溶解性を示す両親媒性を有する。そのため、水溶液中で用いることができる。それゆえ、生体関連機能の研究に用いる際などに、より自然な形での蛍光観察が可能となる。
また、本発明に係る蛍光発色団を有する化合物は、蛍光クリック反応によって、水を含む種々の溶媒中で、一段階で容易に導入することが可能である。すなわち、蛍光クリック反応によって生じるトリアゾール環自体が蛍光基となるために、他の標識基や機能性分子との連結を行いながら、同時に蛍光標識基を導入することも可能である。
本実施形態に係る蛍光発色団を有する化合物においては、置換基R〜Rの電子状態の違いによって、容易に蛍光波長を変化させる事ができる。本実施形態に係る蛍光分子はコンパクトな構造の中に大きな双極子モーメントを有しており、これが置換基(R、R、R、R、R)と直結しているために、置換基(R、R、R、R、R)の電子状態の変化によって、容易に遷移モーメントの変化を及ぼすことができる。すなわち、置換基(R、R、R、R、R)を変えることによって、蛍光波長を容易に変化させることができる。加えて、溶媒の種類を変えることによって溶媒の極性を変化させて、上記化合物の蛍光波長を容易に変化させることができる。
本実施形態に係る蛍光発色団を有する化合物においては、置換基のハメット定数によって蛍光波長を予測することができる。そのため、蛍光発色団(トリアザペンタレン骨格)を変えることなく置換基を変えるだけで、同じ蛍光発色団を用いて、蛍光発色団を有する化合物の蛍光波長を設計し、蛍光色を調節することができる。それゆえ、蛍光発色団を有する化合物自体の物性や生物活性などをほとんど変えることなく(すなわち、各蛍光色において蛍光発色団を有する化合物の挙動をほとんど変えることなく)、蛍光色に合わせた分子設計を容易に行うことができる。一方、従来は、蛍光発色団自体を変えることによって蛍光色を調節していたため、蛍光色に合わせた分子設計は大変困難であり、なおかつ、化合物自体の物性や生物活性などが変わってしまうことがあった。
本実施形態においては、たとえば、3−クロロ−1,2−プロパンジオールなどの市販されている安価な化合物から2段階で容易に導かれるアジド化合物(前駆体)との反応によって、種々の置換基を有するトリアザペンタレン骨格を有する蛍光分子を、容易に、高い収率で合成することができる。そのため、様々な化合物への導入も容易であり、本発明に係る蛍光発色団を有する化合物を多くの分野に活用することができる。
本発明に係る化合物の蛍光分子は分子内に双性イオンを有するため、外部環境の変化を受けやすく、顕著なソルバトクロミック蛍光を示すことが可能である。そのため、周囲の極性の違いによって発光色の変化が観察されることから、細胞内等での蛍光発色団を有する化合物の局在化を発光色の変化によって知ることができる。従来のソルバトクロミック蛍光分子は上述のように分子サイズが大きいものが多く、細胞内への取り込みが難しいことがあったが、本実施形態に係る蛍光分子は構造が小さいため、細胞内に取り込むことが容易である。ゆえに、本実施形態に係る蛍光分子を試薬として用いることができる。試薬の用途は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、ケミカルバイオロジー、医療診断、細菌検出などに用いる生化学系試薬等を例示することができる。
また、本実施形態に係る試薬を組み合わせて試薬キットとして用いることもできる。すなわち、本実施形態においては、置換基を変えることで蛍光波長を調節できるため、置換基を変えることで様々な蛍光色を発する複数の試薬を作製し、本実施形態に係るそれらの複数の試薬、複数の試薬を溶解する溶解液、溶媒、他の試薬などを組み合わせることで試薬キットとして用いることができる。試薬キットに用いられる試薬の最大蛍光波長は、本実施形態の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、たとえば、400nm以上430nm以下の最大蛍光波長(青色の蛍光色)、430nm超過480nm以下の最大蛍光波長(緑色の蛍光色)、480nm超過530nm以下の最大蛍光波長(黄色の蛍光色)、530nm超過2000nm以下の最大蛍光波長(赤色の蛍光波長)からなる群から選択され、それらのうち少なくとも1つの範囲内の最大蛍光波長を有する試薬を、本実施形態に係る試薬キットが備えていればよい。すなわち、本実施形態に係る試薬キットは、上記の4つの範囲の蛍光波長を有する本実施形態に係る試薬を1つだけ含んでもよいし、4つの範囲の蛍光波長を有する本実施形態に係る試薬のうちの2つを含んでもよいし、3つを含んでもよいし、4つを含んでもよい。たとえば、本実施形態に係る試薬キットは、415nmの蛍光波長を有する本実施形態に係る試薬のみを含んでもよいし、420nmの蛍光波長を有する本実施形態に係る試薬と、450nmの蛍光波長を有する本実施形態に係る試薬と、500nmの蛍光波長を有する本実施形態に係る試薬と、550nmの蛍光波長を有する本実施形態に係る試薬とを含んでもよい。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
たとえば、本実施形態においては、一般式1で示されるトリアザペンタレン骨格において、一般式2で示されるようなR〜Rの置換基で置換される形態について説明したが、本発明の効果を奏する範囲で、一般式1で示されるトリアザペンタレン骨格には置換基以外が結合してもよく、下記に限定されるものではないが、たとえば、ムギネ酸類等の金属キレート剤、シデロフォア、核酸、アミノ酸、テルペン、アルカロイド、ポリエーテル、ポリフェノール等の生物活性物質や、カリックスアレーン、ロタキサン、ポルフィリン、デンドリマー等の機能性分子、リン脂質、糖鎖、ペプチド、DNA、RNA、酵素、蛋白質、天然や合成由来のポリマーなどの高分子等の分子等が結合してもよい。また、一般式1で示されるトリアザペンタレン骨格にベンゼン環などの芳香環が縮環してもよい。
また、本実施形態においては、R〜Rの置換基が、一般式2で示される構造を有する化合物の合成段階で置換される形態について説明したが、上記化合物が合成された後にR〜Rの置換基が置換されてもよい。また、一般式1で示されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物の合成段階で前述の生物活性物質等の物質や、機能性分子や高分子等の分子等を結合させてもよいし、トリアザペンタレン骨格を有する化合物が合成された後に結合させてもよい。
また、本実施形態においては、一般式4で示される構造を有する化合物と、一般式5で示されるアルキンまたはその誘導体と、を、溶媒中、塩基の存在下、双極子付加環化反応を促進させる触媒の存在下、反応させることによって化合物を合成する形態について説明したが、脱離基とアジ基とを有する有機アジ化物と、アルキンまたはその誘導体と、を双極子付加環化反応を促進させる触媒の存在下、双極子付加環化反応させることによって一般式1で示されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物を合成できればよい。脱離基を有する有機アジド化合物は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、下記に限定されるものではないが、たとえば、トリフルオロメタンスルホネート(Tf)基などのハロアルキルスルホネート基、トルエンスルホネート(Ts)基、ベンゼンスルホネート基などのアリールスルホネート基、メタンスルホネート(Ms)基などのアルキルスルホネート基と、たとえば、ムギネ酸類等の金属キレート剤、シデロフォア、核酸、アミノ酸、テルペン、アルカロイド、ポリエーテル、ポリフェノール等の生物活性物質や、カリックスアレーン、ロタキサン、ポルフィリン、デンドリマー等の機能性分子、リン脂質、糖鎖、ペプチド、DNA、RNA、酵素、蛋白質、天然や合成由来のポリマーなどの高分子等の分子等を含む有機アジド化合物等を例示することができる。
本明細書において、「脱離基」とは、有機アジ化物とアルキンまたはその誘導体との反応において放出される原子または置換基のことをいい、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、下記に限定されるものではないが、たとえば、トリフルオロメタンスルホネート(Tf)基などのハロアルキルスルホネート基、トルエンスルホネート(Ts)基、ベンゼンスルホネート基などのアリールスルホネート基、メタンスルホネート(Ms)基などのアルキルスルホネート基、アセトキシ等のアルコキシカルボニル基、およびハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)などを例示することができる。
また、一般式2で示される構造を有する化合物のRもしくはRが、一般式3で示される環状の構成単位を有する置換基であってもよい。以下、RもしくはRの置換基が一般式3で示される環状の構成単位を有する化合物について説明する。一般式3において、nは整数を表し、Rは炭素数2以上の分岐していてもよいアルキレン基、または炭素数6以上の置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Figure 0006150297
一般式3で表される環状の構成単位を有するRもしくはRは、本発明の目的に沿う範囲で適宜選択され、下記に限定されるものではないが、たとえば、ベンゾクラウンエーテル類やアルキルクラウンエーテル類等のクラウンエーテル類を例示することができる。
ベンゾクラウンエーテル類としては、ベンゾ−18−クラウン6−エーテル、ベンゾ−15−クラウン5−エーテル、ベンゾ−12−クラウン4−エーテル等を例示することができる。
アルキルクラウンエーテル類としては、メチル−18−クラウン6−エーテル、メチル−15−クラウン5−エーテル、メチル−12−クラウン4−エーテルなどのメチルクラウンエーテル類、エチル−18−クラウン6−エーテル、エチル−15−クラウン5−エーテル、エチル−12−クラウン4−エーテルなどのエチルクラウンエーテル類等を例示することができる。
一般式2で示される構造を有する化合物のRもしくはRの官能基が一般式3で示される環状の構成単位を有する化合物は、たとえば、以下の反応式(2)のように合成することができる。
Figure 0006150297
[式中、R、R、R、R、R、R、Rは、一般式2と同じ意味を表す。置換基Rは炭素数2以上の分岐していてもよいアルキレン基、または炭素数6以上の置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Xは置換基を表す。]
たとえば、反応式(2)に示すように、一般式6で表される、エチニル基と、置換基Xと、置換基Rとを分子内に有するクラウンエーテル化合物を、一般式4で表される構造を有する化合物(前駆体)と、溶媒中、塩基の存在下、触媒の存在下で反応させることによって、一般式7で表される、蛍光発色団としてのトリアザペンタレン骨格を有する蛍光分子を有する化合物が合成される。置換基Xは、本発明の目的に添う範囲で適宜選択され、下記に限定されるものではないが、水素、メチル基、フェニル基、トリメチルシリル基等を例示することができる。
反応式(2)で表される反応に用いられる溶媒、塩基、触媒、反応温度、および反応時間は、本発明の目的に沿う範囲で適宜選択され、たとえば、反応式(1)と同様とすることができる。
反応式(2)の一般式4で示される構造を有する化合物は、反応式(1)の一般式4で示される構造を有する化合物と同様に合成することができる。
またはRの置換基が一般式3で示される環状の構成単位を含む、一般式2で示される構造を分子内に有する化合物は、金属イオンが添加されることによって蛍光強度が増大する。そのため、RまたはRの置換基が一般式3で示される環状の構成単位を含む、一般式2で示される構造を分子内に有する化合物をイオン濃度センサーとして用いることができる。
本実施形態に係る、RまたはRの置換基が一般式3で示される環状の構成単位を含む、一般式2で示される構造を分子内に有する化合物は分子内に双性イオンを有するため、たとえば水溶液中におけるイオン濃度センサーとしての高い機能を有することができる。
同様に、一般式1で示されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物に、一般式3で示される環状の構成単位を含む、生物活性物質等の物質や、機能性分子や高分子などの分子が結合してもよく、同様に、一般式3で示される環状の構成単位を含む、一般式1で示される構造を分子内に有する化合物は、金属イオンが添加されることによって蛍光強度が増大する。そのため、一般式3で示される環状の構成単位を含む、一般式1で示されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物をイオン濃度センサーとして用いることができる。また、同様に、一般式3で示される環状の構成単位を含む、一般式1で示されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物は分子内に双性イオンを有するため、たとえば水溶液中におけるイオン濃度センサーとしての高い機能を有することができる。
また、一般式3で示される環状の構成単位を含まない、一般式1で示されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物や、一般式2で示される構造を分子内に有する化合物をイオン濃度センサーとして用いてもよい。この形態においても、上記化合物群は分子内に双性イオンを有するため、たとえば水溶液中におけるイオン濃度センサーとしての高い機能を有することができる。
また、本実施形態に係る蛍光発色団を有する化合物の少なくとも1つの置換基が、求核的または求電子的な置換基を有する化合物と縮合・置換・付加・クロスカップリングが可能な置換基であってもよい。縮合・置換・付加・クロスカップリングが可能な置換基は、本実施形態の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、たとえば、アミノ基、アシルアミノ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオ基、エステル基、アミド基、チオアミド基、カルボニル基、アルデヒド基、トリフルオロメタンスルホネート基、無水カルボン酸、酸塩化物、塩素、臭素、ヨウ素、ホウ酸エステル基、ホウ酸基などを含む置換基を例示することができる。上記置換基で置換された場合も、本実施形態に係る蛍光発色団を有する化合物は水溶液中で蛍光を示し得る。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。
(実施例1)
<アジドジトリフラートの合成>
化学式8で表される市販の3−クロロ−1,2−プロパンジオール(1.9g、17.3mmol)を17mLの水に溶かし、化学式9で表されるアジ化ナトリウム(1.4g、20.8mmol)を加えて、100℃で8時間加熱還流した。ついで、反応溶液を0℃に冷却した後、反応混合物に食塩を加えて、酢酸エチル30mLを用いて5回抽出した。集めた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、および減圧下で濃縮することによって、化学式10で表されるアジドジオールの粗生成物2.0gを得た(反応式(3))。
Figure 0006150297
化学式10で表されるアジドジオールの粗生成物を87mLのジクロロメタンに溶かし、この溶液をアセトン/ドライアイス(登録商標)浴中で冷却した。この反応溶液に、2,6−ルチジン(10.1mL、86.5mmol)を加え、ついで化学式11で表される無水トリフルオロメタンスルホン酸(TfO)(5.8mL、34.6mmol)をゆっくり加えた。反応溶液をアセトン/ドライアイス(登録商標)浴中で冷却しながら10分間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液50mLをゆっくりと加え、室温(約20℃)まで昇温した。この混合溶液をヘキサン50mLで3回抽出し、集めた有機層を飽和食塩水80mLで洗い、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、濾過、減圧濃縮によって、化学式12で表されるアジドジトリフラートの粗生成物を得た。アジドジトリフラートの粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=95/1、90/1 to 7/3)によって精製し、トリアザペンタレン化合物を合成する際の前駆体であるアジドジトリフラート(5.38g、収率82%)を淡黄色油状物として得た(反応式(4))。
Figure 0006150297
(実施例2)
<トリアザペンタレン化合物(置換基がCOCH)の合成>
化学式12で表されるアジドジトリフラート(390mg、1.0mmol)をテトラヒドロフラン102mLに溶かした後、化学式13で表されるプロピオール酸メチル(136mL、1.53mmol)、トリエチルアミン(717mL、5.1mmol)、ヨウ化銅(9.7mg、0.05mmol)を加え、アルゴン雰囲気下で、室温(約20℃)で2時間撹拌した。その後、反応混合溶液をロータリーエバポレーターで直接減圧濃縮し、化学式14で表されるメチルエステルトリアザペンタレンの粗生成物を得た。化学式14で表されるトリアザペンタレン類の粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=87/13、62/38 to 60/40)で精製し、化学式14で表されるメチルエステルトリアザペンタレン(152mg、収率90%)を淡黄色固形物として得た(反応式(5))。表1に示す置換基はいずれも、トリアザペンタレン骨格を有する化合物のRの位置に結合された。また、特に記載がない限り実施例1〜実施例2と同じ条件で、表1に示す官能基を有するトリアザペンタレン骨格を有する化合物を表1に示す収率で合成した。すなわち、反応式(5)の化学式13におけるCOCHの部分の置換基を、表1に示す置換基(C、OMe、TMS、COMe、フェニル基、ビフェニル基、メトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、ニトロフェニル基、メトキシペルフルオロフェニル基、トリフルオロメタンスルホン酸エステルフェニル基、メチルエステルフェニル基、O−TBS、1−シアノフェニル基、2−シアノフェニル基、クロロフェニル基)にそれぞれ代えることで、他の条件は実施例1〜実施例2と同じ条件で、表1に示す官能基がRの位置に結合されたトリアザペンタレン骨格を有するそれぞれの化合物を得た。表1中、(b)は反応溶媒中のアセチレンの濃度を0.1mol/Lとしたことを表し、(c)は溶媒に水を用いたことを表す。また、表1中、TMSはトリメチルシリル基を表し、TBSはtert−ブチルジメチルシリル基を表す。
Figure 0006150297
Figure 0006150297
(実施例3)
<トリアザペンタレン類の蛍光スペクトル測定>
実施例1および実施例2と同様の方法で合成した種々のトリアザペンタレン類の蛍光スペクトルを測定した。以下、測定方法を具体的に述べる。
トリアザペンタレン類として、置換基がフェニル基、メトキシフェニル基、2−シアノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、メチルエステル基、ジフェニル基、3−シアノフェニル基、ニトロフェニル基である化合物を用いた。
上記化合物を、ジクロロメタンを溶媒として用いて、それぞれ、表2に示す濃度の溶液とした。蛍光分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F−4500)を用いてそれぞれの紫外吸収スペクトルを測定し、表2に示すように吸収極大波長(λmax)を326nm〜412nmとした。吸収極大波長の強度(Abs.)が0.100±0.005となるようにサンプル溶液の濃度を調整して、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U−3500)を用いて、吸収極大波長と等しい励起波長(λex)=326nm〜412nmでそれぞれの蛍光スペクトルを測定した。蛍光量子収率は、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン(絶対蛍光量子収率=0.96)を基準物質として求めた。
測定の結果、図1および表2に示すように、電子求引基を導入した基質において、特に強い相対量子収率が得られる事が分かった。図1および表2において、置換基のPhはフェニル基を表し、Meはメチル基を表し、COMeはメチルエステル基を表し、OMeはメチルアルコキシ基を表し、CNはシアノ基を表す。また、表2において、λexは励起波長を表し、εはモル吸光係数を表し、λemは発光波長を表し、φは9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン(絶対蛍光量子収率=0.96)を基準としたときの相対蛍光量子収率を表し、「−」は測定データがないことを表す。
Figure 0006150297
表2に示すように、メチルエステル基のみを導入した非常に小さなトリアザペンタレン類においても、強い相対蛍光量子収率(φ=21%)を示した。相対蛍光量子収率のより好ましい範囲は10%以上であり、肉眼での観察がより容易になる。さらに、溶液中に酸を添加すると、相対蛍光量子収率がさらに向上することがわかっている。また、図1に示すように、メチルエステル基、ジフェニル基、シアンフェニル基で置換したトリアザペンタレン類において、より強い蛍光強度を得られることがわかった。
さらに、表2に示すように、従来の蛍光発色剤と異なり、置換基(R〜R)のパターンによって蛍光波長が顕著に変化したことがわかった。特に、後述の実施例6の表3および図4に示すように、置換基(R〜R)の電子求引性の上昇と共に蛍光波長が長波長側にシフトする傾向から、従来の蛍光性分子では難しかった蛍光波長のデザインが、本実施例に係る蛍光発色団としてトリアザペンタレン骨格を有する化合物においては可能である。置換する官能基のパターンと蛍光波長とをデータベース化することによって、望まれる蛍光波長を有する様々な蛍光分子の作成が可能となり、本実施例の蛍光性分子を多くの産業に広く用いることが可能となることがわかった。さらに、電子求引基の導入により、近赤外領域に波長をより容易に延長することによって、生体細胞へのダメージを低減し、かつ生体分子による消光をより抑制することができる蛍光分子を提供することができ、医療診断装置などのバイオイメージング産業に用いることができることがわかった。
(実施例4)
<トリアザペンタレン類のソルバトクロミック蛍光>
置換基が−PhCNのトリアザペンタレン化合物の蛍光を種々の溶媒の下で測定した。以下、測定方法を具体的に述べる。
溶媒としては、ジクロロメタン(純正化学社製)、アセトニトリル(関東化学社製)、ベンゼン(ナカライテスク社製)、アセトン(ナカライテスク社製)をそれぞれ用いた。
置換基が−PhCNのトリアザペンタレン化合物を上記溶媒にそれぞれ溶かした。それぞれの溶液濃度は、ジクロロメタンを溶媒として用いた溶液の濃度が5.81×10−6mol/Lであり、アセトニトリルを溶媒として用いた溶液の濃度が3.65×10−6mol/Lであり、ベンゼンを溶媒として用いた溶液の濃度が5.43×10−6mol/Lであり、アセトンを溶媒として用いた溶液の濃度が6.63×10−6mol/Lであった。蛍光分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F−4500)を用いて紫外吸収スペクトルを測定し、吸収極大波長(λmax)を382nmとした。吸収極大波長の強度(Abs.)が0.100±0.005となるようにサンプル溶液の濃度を調整して、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U−3500)を用いて、吸収極大波長と等しい励起波長(λex)=382nmで蛍光スペクトルを測定した。蛍光量子収率は、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン(絶対蛍光量子収率=0.96)を基準物質として求めた。
蛍光スペクトルを測定したところ、顕著なソルバトクロミズムが観測された(図2)。なお、図2の縦軸は標準化された強度を表す(Normalized Intensity)。
図2に示すように、溶媒の極性の変化に伴って蛍光波長が大きく変化しており、目視した際の発光色も変化していた。図2に示す各溶媒の溶媒極性パラメーターE(kcal/mol、25℃)は、ジクロロメタンがE=41.1、アセトンがE=42.3、アセトニトリルがE=46.0、ベンゼンがE=34.5であった。本測定によって、本実施例に係る蛍光発色剤はコンパクトな構造を有しながらも周囲の環境によって蛍光色を大きく変化させることがわかり、細胞内での蛍光発色剤の局在によって蛍光色を変化させるケミカルバイオロジー用試薬として用いることができることがわかった。
(実施例5)
<トリアザペンタレン類を用いたイオン濃度センサー>
市販のクラウンエーテルから2段階で誘導した、化学式15で表されるアセチレン含有クラウンエーテル(4’−エチニルベンゾ−18−クラウン6−エーテル)を、実施例1〜2で説明したトリアザペンタレン類の合成方法に適用し、化学式16で表されるトリアザペンタレン類を分子内に含有するクラウンエーテルを合成した(反応式(6))。
Figure 0006150297
化学式15で表されるアセチレン含有クラウンエーテルは以下のように合成された。
はじめに、PdCl(PPh、ヨウ化銅、トリエチルアミンの存在下で、反応温度80℃で、市販の4’−ブロモベンゾ−18−クラウン6−エーテルに、トリ(イソプロピル)シリルアセチレンを反応させた。次に、その反応物にテトラブチルアンモニウムフッ化物を反応させて、脱シリル化することによって合成することができた。
化学式16で表されるトリアザペンタレン類を分子内に含有するクラウンエーテルは種々の有機溶媒および水にも可溶であり、水溶液中でのカリウムイオンの添加による蛍光の変化を測定した。以下、測定方法を具体的に述べる。
化学式16に表されるトリアザペンタレン類を含有するクラウンエーテルを水溶液にした。ここで、上記化合物の濃度が1.84×10−4mol/Lであるサンプルを2つ準備し、上記化合物の濃度が3.07×10−4mol/Lのサンプルを1つ準備した。カリウムイオンとして、化学式17で表されるように、臭化カリウム(KBr)を添加して均一な溶液とした(反応式(7))。臭化カリウムの添加量は、0当量(トリアザペンタレン類を含有するクラウンエーテルの化合物濃度が3.07×10−4mol/Lのサンプルを使用)、10当量(トリアザペンタレン類を含有するクラウンエーテルの化合物濃度が1.84×10−4mol/Lのサンプルを使用)および100当量(トリアザペンタレン類を含有するクラウンエーテルの化合物濃度が1.84×10−4mol/Lのサンプルを使用)であった。
蛍光分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F−4500)を用いて紫外吸収スペクトルを測定し、吸収極大波長(λmax)を320nmと求めた。吸収極大波長の強度(Abs.)が0.100±0.005となるようにサンプル溶液の濃度を調整した。分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U−3500)を用いて、励起波長(λex)=320nmで蛍光スペクトルを測定した。
図3のグラフに示すように、KBrの添加量の増大とともに蛍光強度が増強することが観測された。10当量のKBrの添加で蛍光強度の増大が観測され、100当量の添加ではさらに大きな蛍光強度の増大が観測された。KBrの添加量と蛍光強度の増強との間に比例関係があることから、本実施例に係るトリアザペンタレン類を分子内に有するクラウンエーテル化合物をイオン濃度センサーとして利用することができることがわかった。
Figure 0006150297
(実施例6)
表3に示す各化合物について、最大吸収波長(λabs max)、最大蛍光波長(λem max)、蛍光量子収率(Φ)を測定した。また、置換基のHammett定数(σ)を併せて表3に記載する。表3中、「−」は測定データがないことを示す。吸収波長、蛍光波長、蛍光量子収率の測定は実施例3と同様に行われた。ここで、1oおよび1rの化合物の合成方法は実施例8において後述される。表3に示す1e、1n、1f、1g、1l、1k、1hおよび1mの化合物は、実施例1〜2に記載された方法および条件で合成された。また、表3に示す1aの化合物は、実施例1〜実施例2と同じ条件で、反応式(5)の化学式13におけるCOCHの部分を水素原子に代えることで、他の条件は実施例1〜実施例2と同じ条件で、水素原子がRの位置に結合されたトリアザペンタレン骨格を有する化合物1aを得た。
Figure 0006150297
<Hammett定数>
図4は、表3に示す1f、1g、1h、1k、1l、1mおよび1nの各化合物のHammett定数と最大蛍光波長とをプロットしてグラフ化した図である。図4に示されるように、本実施例に係る化合物の最大蛍光波長は、置換基のHammett定数の増加に従って長い波長となる傾向があることがわかった。そのため、置換基を変えることで蛍光色を調節することができることがわかった。
<ストークスシフト>
表3に示す各化合物について、最大吸収波長と最大蛍光波長とのそれぞれの蛍光スペクトルを図5〜図14に示す。図5〜図14に示すように、本実施例に係るトリアザペンタレン骨格を有する化合物は、最大吸収波長と最大蛍光波長との間の差(ストークスシフト)が大きいことがわかった。
(実施例7)
<二置換体の合成>
化学式18で表されるアジド(20mg、0.068mmol)を入れた10mLのナス型フラスコにテトラヒドロフラン(0.68mL)を加え、均一の溶液になるまで室温で撹拌した。その溶液に、予め調製しておいたヨウ化銅・アミノエーテル錯体THF溶液(341mL、0.034mmol、0.01M)および化学式19で表されるアルキン(8.7mg、0.068mmol)を順次加え室温で12時間撹拌した。ここで、ヨウ化銅・アミノエーテル錯体THF溶液は、ヨウ化銅・アミノエーテル錯体溶液(0.01M):ヨウ化銅(19mg、0.01mmol)および(MeNCHCH)O(19mL、0.01mmol)をTHF(10mL)に加えた後、ソニケーションを1分間行い、ついで室温で10分間撹拌することでヨウ化銅・アミノエーテル錯体THF溶液錯体を得た。ついでその混合物を更に12時間加熱還流した後、−78℃に冷却し、KHMDS(0.55mKL、1MのTHF溶液)を加え5分間撹拌した。−78℃で酢酸を加えて反応を停止させた後、エーテルで反応溶液を薄め、エーテル層を水で洗浄した。エーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、ロータリーエバポレーターによる濃縮によって化学式20で表される粗生成物を得た。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(展開溶媒=ヘキサン/酢酸エチル=5/1から3/1)によって、化学式20で表される化合物(9.7mg、60%)を淡黄色固体として得た(反応式(8))。
Figure 0006150297
<二置換体の蛍光>
表4〜表5に、二置換体の、吸収波長、蛍光波長、量子収率を示す。化学式20で表される二置換体以外の二置換体は、化学式20で表される二置換体と同様の方法で合成される。表4〜表5の数値は、CHCl溶液中で、励起波長370nmの条件下で得られた。
Figure 0006150297
Figure 0006150297
表4〜表5に示すように、電子供与基がRに入り、電子求引基がRに入った2,5−置換体の量子収率はそれ以外の化合物よりも一層大きくなり、蛍光強度が一層大きくなることがわかった。また、電子求引基がRおよびRの両方に入った2,5−置換体は、電子求引基がRの位置だけに入った2,5−置換体よりも蛍光波長が短波長側にシフトすることがわかった。
(実施例8)
<ヘテロ原子を含む官能基との置換>
化学式21で表されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物(57.1mg、0.35mmol)をメタノール(1.3mL)および水(0.4mL)溶媒に溶かし、その溶液を0℃において、LiOH・HO(14.5mg、0.35mmol)に加えた。混合物は室温において16時間攪拌された後、減圧下で濃縮され、赤い非晶質材料として化学式22で表されるトリアザペンタレン骨格を有するリチウム塩を得た。濃縮物はDMF(1.7mL)に溶解され、0℃まで冷却された。混合物にEDCI(148mg、0.77mmol)、DMAP(14mg、0.11mmol)およびグリシンエチルエステル塩酸塩(97mg、0.69mmol)を加えた。混合物は室温において18時間攪拌された後、5%のクエン酸水溶液(pH5以下)とともに冷却され、酢酸エチル(x2)によって抽出された。混合有機層は塩水によって洗浄され、無水硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮された。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(展開溶媒=ヘキサン/酢酸エチル=3/2)によって精製し、化学式23で表されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物を黄色の結晶として得た(42.1mg、0.178mmol、52%)(反応式(9))。
Figure 0006150297
他のヘテロ原子を含む官能基で置換されたトリアザペンタレン骨格を有する化合物も上述の方法と同様の方法で合成される。また、表3の化学式1kで表されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物のメチルエステル基を酸塩化物に置換する方法などを用いて合成することもできる。
CHCl水溶液中で、励起波長340nmの光を当てたところ、本実施例で合成された化学式23で表されるトリアザペンタレン骨格を有する化合物も水溶液中で蛍光を示すことが確認された(蛍光波長:418nm)。
なお、本発明は上記実施例に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
本出願は、2011年3月10日に出願された日本国特許出願特願2011−053009号に基づく。本明細書中にその明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
本発明に係る蛍光発色団としてトリアザペンタレン骨格を有する化合物は、イオン濃度センサーとしての利用によって生体細胞内でのイオン濃度の測定などの基礎研究および医療診断に利用することができる。また、水質調査用の試薬として利用することができる。さらに、蛍光標識基として未知タンパクの探索や、低分子化合物の生体内での局在を明らかにするなどのケミカルバイオロジー用試薬として利用することができる。さらに、固体でも蛍光を発することから、発光性材料として利用することができる。

Claims (8)

  1. 蛍光発色団として一般式2
    Figure 0006150297
    で示される構造を有する蛍光発色剤。
    (式中、R、R、R、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、前記R、R、R、R、Rのうち少なくとも1つの置換基が電子求引基であり、前記Rおよび/またはRの置換基が電子求引基であり、R、R、R、RおよびRのうち2つ以上の基が互いに結合して新たに環を形成しない置換基を表す。)
  2. 前記Rの置換基が電子供与基または電子求引基である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光発色剤。
  3. 一般式3
    Figure 0006150297
    で示される構成単位を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光発色剤。
    (式中、Rは炭素数2以上の分岐していてもよいアルキレン基、または炭素数6以上の置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光発色剤を含むイオン濃度センサー。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光発色剤を含む試薬。
  6. 請求項5に記載の試薬を少なくとも1つ備える試薬キット。
  7. 少なくとも1つの前記試薬の最大蛍光波長が、400nm以上430nm以下、430nm超過480nm以下、480nm超過530nm以下、530nm超過2000nm以下からなる群から選択される最大蛍光波長である、
    ことを特徴とする請求項6に記載の試薬キット。
  8. 一般式4
    Figure 0006150297
    で表される有機アジ化物と、
    一般式5
    Figure 0006150297
    で表されるアルキンまたはその誘導体と、を、双極子付加環化反応を促進させる触媒の存在下で、双極子付加環化反応させる工程を含む、
    ことを特徴とする、
    一般式2
    Figure 0006150297
    で示される構造を有する蛍光発色剤の合成方法。
    (式中、R、R、R、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよく、前記R、R、R、R、Rのうち少なくとも1つの置換基が電子求引基であり、前記Rおよび/またはRの置換基が電子求引基であり、R、R、R、RおよびRのうち2つ以上の基が互いに結合して新たに環を形成しない置換基を表す。また、RおよびRは、同一であっても、異なっていてもよい置換基を表し、OR およびOR は、脱離基である。)
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