JP4976841B2 - 車両用パッケージトレイ - Google Patents

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Description

本発明は、乗員室と荷室とを上下に区画する車両用パッケージトレイに関するものである。
一般的な乗用自動車では、運転者等が着座する前部座席や後部座席が設置された乗員室の後方に、ラッゲージルームやトランクルーム等と称される荷室を設けて、手荷物や車両用補修部材等を収納・運搬し得るよう構成される。また、セダン型の乗用自動車では、荷室の上方に乗員室内側に傾斜するリアウィンドウが設けられて、該リアウィンドウと後部座席との間に、乗員室と荷室とを区画するパッケージトレイが配設されており、このパッケージトレイに吸音構造を適用して、走行時等に荷室側で発生する異音(タイヤ設置面からのロードノイズやマフラーの排気音、荷室内での荷物の移動音等)が乗員室内へ侵入するのを防止している。また、パッケージトレイは、乗員室内と荷室との間を空気が流通し得るよう設置されると共に、車両には荷室から車外に空気を逃がすベントダクトが設けられており、ドアを閉じたときなどに高まった乗員室内の気圧を下げ得るよう構成されている。
このようなパッケージトレイの吸音構造としては、例えば特許文献1に開示されるように、パッケージトレイの基材に凹設した部位に吸音材を埋め込むと共に、基材および吸音材の表面(乗員室)側を表皮材で被覆して装飾する構成が提案されている。このパッケージトレイでは、後端部(窓面側)に弧状に形成した凹状部を介して乗員室内と荷室とを直接連通させている。そして、この凹状部から荷室側で発生した異音が乗員室内に侵入するようになっており、侵入した音を吸音材およびリアウィンドウで反射させることにより吸音して、乗員まで到達する異音を低減している。
特開2004−25945号公報
しかしながら、前述した特許文献1のように、パッケージトレイに吸音材を配設して荷室側で発生した異音を吸音する構造では、基材に対して吸音材を別途配設すると共に、パッケージトレイの意匠性を損なわないよう表皮材を設ける必要があり、製造コストの増大に繋がる欠点を有している。また、吸音性能は、吸音材の厚みや配設面積により大きく変動することから、高い吸音効果を得るためには、厚みの大きな吸音材を広い面積に亘って設ける必要があり、コストの増大に繋がる問題を有している。
そこで、本発明は、簡単な構成で高い遮音効果を得られる車両用パッケージトレイを提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
乗員室と荷室とを上下に区画する車両用パッケージトレイであって、
前記乗員室に臨む乗員室側壁部と、乗員室側壁部との間に中空部を画成するように該乗員室側壁部から離間した状態で前記荷室に臨み、乗員室側壁部よりも薄肉に形成されると共に複数のセル部が荷室側に突出形成された荷室側壁部と、乗員室側壁部の外周部および前記荷室側壁部の外周部を繋ぐ壁部とを備え、
前記セル部は、該セル部の側面を構成する側面部と、この側面部の下端に連なると共に前記乗員室側壁部に対向する対向面部とから上方に開口する箱状に形成され、
前記荷室側壁部に、一部のセル部の側面部上端を乗員室側壁部に接合した接合部を設けて、前記中空部を吸音空間部とダクト空間部とに区分し、
前記複数のセル部における前記接合部となる側面部を除く側面部の上端が乗員室側壁部から離間して、該上端と乗員室側壁部との間の隙間を介して隣接するセル部で画成される中空部が相互に連通し、
前記ダクト空間部は、トレイ前端部で荷室に開口する第1開口部およびトレイ後端部で乗員室に開口する第2開口部の間が前記セル部および前記隙間を介して連通するよう構成されたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、荷室側壁部に設けた複数のセル部により画成された中空部が一体的に連通すると共に、該荷室側壁部の板厚を乗員室側壁部より薄肉に形成したことで、荷室内の音圧変化に追従して荷室側壁部が振動し得る。この荷室側壁部の振動により荷室から乗員室側に伝わる異音を減衰させることができ、優れた吸音効果・遮音効果を得られる。またパッケージトレイに吸音材等を別途配設する必要がないから、製造コストの増加に繋がることはない。複数のセル部で画成された中空部を吸音空間部とダクト空間部とに区分して、ダクト空間部をトレイ後端部で乗員室内に連通すると共にトレイ前端部で荷室内に連通するよう構成したことで、乗員室内の空気排出を図ると共に、ドアを閉めたときなどに高まる乗員室内の気圧を下げることができ、乗員に不快感を与えたり、ドアが閉まり難くなることはない。また、ダクト空間部に対応する荷室側壁部にも複数のセル部が形成されるから、ダクト空間部を通過して乗員室側に抜ける異音を吸音できる。
請求項2に係る発明は、前記セル部は、前記対向面部が前記側面部より薄肉に形成されていることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、セル部の側面部を対向面部より厚みを持たせるように形成してあるから、荷室側壁部の剛性が必要以上に低下するのを防止できる。
請求項3に係る発明は、前記ダクト空間部においてトレイ前端部に位置する前記セル部は、該トレイ前端部より後方に退避した位置に設けられて、該トレイ前端部に位置するセル部の前側側面部に開設した第1開口部を介してダクト空間部が前記荷室内に連通するよう構成したことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、パッケージトレイの前端部が座席後面に密着した状態であっても、ダクト空間部内の空気流通を確保できる。また、セル部の前側側面部に開設した第1開口部を介してダクト空間部が荷室内に連通したことで、荷室側に発生した異音がダクト空間部内に直接侵入しないから、パッケージトレイの吸音性能・遮音性能を損なうことはない。
請求項4に係る発明は、前記乗員室側壁部の表面に表皮材を設けたことを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、乗員室側壁部の表面に表皮材を設けることで、荷室側で発生した異音を表皮材で吸収できるから、乗員室内の静粛性を向上し得る。特にダクト空間部を形成する構成では、ダクト空間部を通過して乗員室内に侵入する異音を効果的に減衰させ得るから、乗員室内の静粛性向上が図られる。
請求項5に係る発明は、車両構成部材に密着する封止部をトレイ後端部に形成し
前記トレイ後端部と前記封止部との連設部位に薄肉の折り線を形成して、該封止部を該折り線に沿って上下方向に揺動可能とし、
前記封止部に、中空部を画成する第2のセル部を前記荷室に臨むよう形成したことを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、トレイ後端部に形成した封止部が折り線に沿って上下方向に揺動するから、該封止部が車両構成部材に好適に密着させ得る。これにより、パッケージトレイと車両構成部材との間隙を封止部により確実に封止できるから、荷室側で発生した異音が乗員室内に侵入するのを阻止し得る。また封止部の間に中空部を画成する第2のセル部を設けたことで、該第2のセル部で異音を吸収できる。
すなわち、本発明によれば、簡単な構成で遮音効果の高い車両用パッケージトレイを低コストで実現し得る。
次に、本発明に係る車両用パッケージトレイにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
実施例における車両は、図1に示すように、乗員室40に設けられた後部座席44の後方に荷室42が形成されており、後部座席44の背面に設けたシートバック46の上部とリアウィンドウ48の下端との間に設けられた車両構成パネル50(図1または図3参照)にパッケージトレイ10を略水平姿勢で配設し、パッケージトレイ10により乗員室40と荷室42とを上下に区画するよう構成される。このパッケージトレイ10は、乗員室40内に臨む乗員室側壁部12と、この乗員室側壁部12に所要間隔離間して対向して乗員室側壁部12との間に空間部28,28,30,30(後述)を画成した状態で荷室42内に臨む荷室側壁部14と、前後左右の壁部10a,10b,10c,10dとから中空の略矩形板形状を呈し、公知のブロー成形技術またはインジェクション成形技術等により成形される。本実施例ではパッケージトレイ10をブロー成形技術により成形したものを例示する。なおパッケージトレイ10は、図1に示すように、後壁部10bの下端に設けた封止部36がリアウィンドウ48に当接した状態でリアウィンドウ48に対向すると共に、前壁部10aが後部座席44のシートバック46に当接するように配置されている。また、車両構成パネル50には、パッケージトレイ10の空間部28,28,30,30と対応する位置に窓口50aが開設されており、該窓口50aを介して荷室側壁部14が荷室42内に臨むようになっている。
ブロー成形技術によりパッケージトレイ10を成形する場合は、例えばPP(ポリプロピレン)やPPF(フィラー入りポリプロピレン)等の合成樹脂材料から、筒体形状の中間成形部材(図示せず)を成形して乗員室側壁部12と荷室側壁部14とを一体的に形成する。そして、中間成形部材を所要の金型で挟んだ状態で圧縮空気を吹き込むことで、膨張した中間成形部材を金型面と接触させて、所定の製品形状とされる。また、実施例のパッケージトレイ10では、金型に表皮材15を予めセットしたもとで成形加工され、乗員室側壁部12に表皮材15が一体成形されるよう構成してある。なお、表皮材15に関しては、成形後の乗員室側壁部12に接着剤等を用いて固定したり、熱溶着により固定することも可能である。また、表皮材15としては、不織布やファブリック、ウレタンフォーム等の吸音特性を有する素材が採用される。
パッケージトレイ10をブロー成形技術により成形するに際して、図2、図3図5または図6に示すように、乗員室側壁部12および荷室側壁部14は、接合部16,17,18,19により複数位置で接合される。ここで、実施例のパッケージトレイ10では、乗員室側壁部12および荷室側壁部14を接合する接合部として、パッケージトレイ10の左右両端部近傍に位置する第1接合部16,16と、各第1接合部16から内側(中央側)に離間して位置する第2接合部17,17と、両第2接合部17,17に連設してパッケージトレイ10の後端部に位置する第3接合部18と、両第2接合部17,17に連設してパッケージトレイ10の前後方向の中間位置に位置する第4接合部19とを設けてある。すなわち、乗員室側壁部12と荷室側壁部14との間の空間部28,28,30,30を、これら第1〜第4接合部16,17,18,19により4つの独立した空間に区分している。なお、パッケージトレイ10の外周囲においては、乗員室側壁部12と荷室側壁部14とが連続的に延設されて、パッケージトレイ10の前後左右の壁部10a,10b,10c,10dを形成するようになっている。以下の説明において、パッケージトレイ10の左右方向(車幅方向)の略中央位置に位置する空間部を吸音空間部28,28と指称し、パッケージトレイ10の左右側方に位置して前後方向に延在する空間部をダクト空間部30と称する。すなわち、実施例では、パッケージトレイ10の略中央位置には、第4接合部19を挟んだ前後の関係で2つの吸音空間部28,28が位置し、該吸音空間部28,28の左右側方にダクト空間部30,30が夫々位置している。
ここで、第1および第2接合部16,17は、パッケージトレイ10の前後方向の全長に亘って略平行に延在するよう設けられている。また、乗員室側壁部12および荷室側壁部14を第1接合部16で接合すると共にブロー成形により一体的に形成することにより、パッケージトレイ10の左右壁部10c,10dは、前後方向に延在する中空状に形成されて、この中空状の左右壁部10c,10dを車両構成パネル50で支持するようになっている(図3では車両構成パネル50の右壁部10dを支持する部位を図示)。そして、パッケージトレイ10を車両に配設した状態においては、荷室側壁部14における吸音空間部28,28およびダクト空間部30,30に対応する部位の全面が、車両構成パネル50の窓口50aを介して荷室42内に直接露出するようになっている。なお、第3接合部18は、図2に示すように、左右方向の略中央位置において前後方向に幅広な範囲で乗員室側壁部12と荷室側壁部14とを接合するよう形成されている。また、乗員室側壁部12は、第3接合部18の幅広部位に対応する位置が凹設されており、この凹状部分にハイマウントストップランプ54がリアウィンドウ48に対向する姿勢で設置される。
また、図2〜図6に示すように、荷室側壁部14には、荷室42内へ突出する矩形箱状のセル部20が、吸音空間部28およびダクト空間部30に対応する全域に形成されている。セル部20は、側面を画成する側面部24と、側面部24の下端に連接して乗員室側壁部12(車両構成パネル50)に対向する対向面部26とから上方へ開口するよう形成されて、乗員室側壁部12との間に中空部22を画成している。また、中空部22を画成する各側面部24の上端部は、乗員室側壁部12から所要間隔離間するよう形成され、側面部24と乗員室側壁部12との間の隙間31を介して隣接するセル部20の中空部22が相互に連通している、但し、セル部20において第1〜第4接合部16,17,18,19に臨む側面部24は、乗員室側壁部12に接合されて、吸音空間部28とダクト空間部30とを画成するようになっている。すなわち、吸音空間部28およびダクト空間部30に対応して連通する中空部22の全体により、各吸音空間部28およびダクト空間部30の夫々が独立空間を画成している。
また、図2〜図6に示すように、各セル部20の対向面部26は、乗員室側壁部12より薄肉に形成される。具体的には、対向面部26は0.3〜0.5mm程度の薄膜状に形成されて、荷室42側で異音が発生した際の音圧変化に追従して対向面部26が振動して、該対向面部26の振動により異音を吸収して荷室42から乗員室40への音漏れを防止するようになっている。なお、前記対向面部26は、前述した厚み範囲に限られるものではなく、荷室42側で発生した異音の音圧変化に追従して振動し得る厚みに形成される。
図1または図4に示すように、ダクト空間部30に対応する荷室側壁部14では、パッケージトレイ10の前壁部10a(トレイ前端部)に近接して位置する最前部のセル部20が、前壁部10aから後方に退避してこの最前部のセル部20と後部座席44(シートバック46)との間に空気流通可能な間隙を形成している(図1に荷室42から乗員室40への空気流通を2点鎖線で示す)。そして、このダクト空間部30に対応する最前部のセル部20の前側側面部24に第1開口部(開口部)32が開設されており、第1開口部32を介してダクト空間部30が荷室42内に連通するようになっている。また、パッケージトレイ10の後壁部10bにおいて、ダクト空間部30に対応する位置に第2開口部34が開設されており、第2開口部34を介してダクト空間部30が乗員室40内に連通するよう構成されている。
すなわち、実施例のパッケージトレイ10のダクト空間部30は、トレイの前端部10aで荷室42内に連通すると共に、トレイの後端部10bで乗員室40内に連通するよう構成されて、荷室42側で発生した異音が直接乗員室40に抜けていかないようになっている。
また、パッケージトレイ10における後壁部10bの下端部には、下方へ延在する封止部36が一体形成されており、車両構成パネル50への組み付け時に、接着剤49aやウィンドウモール49bを介してリアウィンドウ48を固定する車両構成パネル50に封止部36が密着するよう構成される。封止部36の荷室42側には、封止部36との間に中空部22を画成する第2のセル部38が形成されており、荷室42側で発生した異音を第2のセル部38で吸収するようになっている。すなわち、荷室42側で発生した異音が、封止部36によりパッケージトレイ10と車両構成パネル50との間から乗員室40内に侵入するのを防止している。ここで、後壁部10bと封止部36との連設部位には、薄肉の折り線39が形成されており、折り線39に沿って封止部36が上下方向に揺動することで、封止部36が車両構成パネル50に確実に密着し得るようになっている。
前述のように構成したパッケージトレイ10では、荷室側壁部14の複数のセル部20により画成された中空部22を、吸音空間部28とダクト空間部30に対応して一体的に連通するよう形成したことで、荷室42側で発生した異音は吸音空間部28とダクト空間部30で吸収された後に乗員室側壁部12まで伝わるから、乗員室40まで伝わる異音が低減される。更に、各セル部20では、乗員室側壁部12と対向する対向面部26を、乗員室側壁部12より薄肉の膜状に形成したことで、荷室42側での異音発生に伴う音圧変化に追従して対向面部26が振動し、乗員室40側まで伝わる異音を減衰させることができるから、優れた吸音効果・遮音効果を得られる。すなわち、実施例のパッケージトレイ10では、パッケージトレイ10に吸音材を別途組み付けることなく荷室42側で発生した異音を吸収して、乗員室40内への異音の伝播を遮ることができるから、低コストで優れた吸音効果・遮音効果を発揮し得る。また、荷室側壁部14に形成された複数のセル部20の内、乗員室側壁部12に対向する対向面部26のみを膜状に形成し、側面部24は対向面部26より厚みを持たせるよう形成したことで、荷室側壁部14の剛性が必要以上に低下するのを防止できる。
また、実施例では、パッケージトレイ10の左右壁部10c,10dを車両構成パネル50で支持して、荷室側壁部14における吸音空間部28,28およびダクト空間部30,30に対応する部位が荷室42側に直接露出するよう構成したことで、荷室42側の音圧変化に対して各セル部20の対向面部26が柔軟に追従して優れた吸音効果・遮音効果を発揮する。また、乗員室側壁部12および荷室側壁部14を、前後に延在する第1および第2接合部16,17と、左右方向に延在する第3および第4接合部18,19とで接合したことで、パッケージトレイ10に要求される剛性を確保することが可能である。
また、パッケージトレイ10に乗員室40と荷室42とを連通するダクト空間部30を形成したことで、乗員室40の空気排出を図ると共に、ドアを閉めたときなどに高まる乗員室内の気圧を下げることができ、乗員に不快感を与えたり、ドアが閉まり難くなることはない。ここで、荷室42側で発生した異音は、ダクト空間部30に対応する最前部のセル部20に開設した第1開口部32を介して前方から侵入してダクト空間部30を後方へ伝わって、パッケージトレイ10の後端部10bに形成した第2開口部34から乗員室40内に侵入する。すなわち、ダクト空間部30の荷室42側の第1開口部32と乗員室40側の第2開口部34とをパッケージトレイ10の前後に離間して設けることで、荷室42側で発生した異音が乗員室40内にダイレクトに侵入するのを防止し得ると共に、荷室42から乗員室40に至る経路を長くでき、乗員室40まで伝わる音を低減し得る。また、前述したようにダクト空間部30に対応する荷室側壁部14に複数のセル部20を形成してあるから、該ダクト空間部30を通過する異音に対しても高い吸音効果・遮音効果を発揮でき、パッケージトレイ10の性能を損なうことはない。
また、乗員室側壁部12の表面に表皮材15を設けたことにより、荷室42側で発生した異音を表皮材15で吸収できるから、乗員室40内の静粛性を向上し得る。特にダクト空間部30を通過して乗員室40内に異音が伝わった場合でも、表皮材15により効果的に減衰させ、乗員まで異音が伝わるのを低減し得るから、乗員室40内の静粛性向上が図られる。
〔変更例〕
なお、本発明に係る車両用パッケージトレイとしては、実施例のものに限られるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、実施例では、荷室側壁部のセル部を同じ大きさ(開口面積および深さ寸法)で形成するよう構成したが、各セル部の異なる大きさで形成することも可能である。すなわち、セル部の大きさにより吸音可能な音域を変更できるから、目的とする音域に合わせてセル部の大きさを変更すればよい。
また、各セル部の形状は、上方へ開口した矩形箱状に限定されるものではなく、上方へ開口する多角柱状や円柱状等に形成することもできる。
実施例では、乗員室側壁部と荷室側壁部とを第1〜第4接合部で接合して、パッケージトレイの空間部を吸音空間部とダクト空間部とに区画するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、パッケージトレイにダクト空間部を設ける構成であれば、乗員室側壁部と荷室側壁部との間に画成される中空部を吸音空間部とダクト空間部とに区分し得るよう接合部の形状、位置および形成数を変更することが可能である。このように吸音空間部およびダクト空間部に対応する複数のセル部の一部を必要に応じて乗員室側壁部に接合することにより、パッケージトレイの大きさに応じて必要な剛性を確保することが可能である。複数のセル部の一部を接合した場合でも、吸音空間部およびダクト空間部の夫々が独立し、かつ各空間部に対応のセル部の中空部は一体的に連通するから、吸音空間部およびダクト空間部としての機能を損なうことはない
実施例では、ダクト空間部をパッケージトレイの前後方向に直線的に延在するよう設けたが、該ダクト空間部が蛇行状に延在するよう設けてもよい。蛇行状に形成することで、荷室から乗員室に至る経路をより長くでき、ダクト空間部を通過して乗員室側まで至る音をより効果的に低減可能である。
また、実施例では、セダンタイプの乗用車を例にして説明したが、ハッチバックタイプの乗用車や、その他乗員室と荷室と備えた乗用車に対して本発明の車両用パッケージトレイを採用することができる。
実施例では車両に対するパッケージトレイの支持構造として、窓口を開設した車両構成パネルにパッケージトレイの左右壁部を載置する構成を例示したが、これに限られるものではなく、パッケージトレイのセル部を荷室側に臨ませた状態で支持し得る構造であればよい。例えば、車両構成パネルに複数の貫通孔を形成して、該パネルにパッケージトレイを載置する構成も好適に採用できる。この場合には、該支持突部にパッケージトレイを載置して支持する場合には、該パネルと対向面との間に隙間が形成されるよう構成するのが好ましい。なお、パネルと対向面との間に隙間を形成する構成としては、例えばパッケージトレイの前後左右の壁部をセル部の対向面より下方に突出するよう形成することが考えられる。また、車両の左右側部に支持突部を前後方向に延在するよう形成して、該支持突部にパッケージトレイの左右壁部を載置支持する構成も好適に採用し得る。
本発明の実施例に係るパッケージトレイを車両に取り付けた状態を概略で示す側断面図である。 実施例に係るパッケージトレイを示す底面図である。 図2におけるA−A線断面図である。 図2におけるB−B線断面図である。 図2におけるC−C線断面図である。 図2におけるD−D線断面図である。
符号の説明
10 パッケージトレイ,10a 前端部(トレイ前端部)
10b 後端部(トレイ後端部),12 乗員室側壁部,14 荷室側壁部
15 表皮材,20 セル部,16 第1接合部(接合部),17 第2接合部(接合部)
22 中空部,24 側面部,26 対向面部,28 吸音空間部,30 ダクト空間部
32 第1開口部,34 第2開口部,36 封止部,38 第2のセル
39 折り線,40 乗員室,42 荷室

Claims (5)

  1. 乗員室と荷室とを上下に区画する車両用パッケージトレイであって、
    前記乗員室に臨む乗員室側壁部と、乗員室側壁部との間に中空部を画成するように該乗員室側壁部から離間した状態で前記荷室に臨み、乗員室側壁部よりも薄肉に形成されると共に複数のセル部が荷室側に突出形成された荷室側壁部と、乗員室側壁部の外周部および前記荷室側壁部の外周部を繋ぐ壁部とを備え、
    前記セル部は、該セル部の側面を構成する側面部と、この側面部の下端に連なると共に前記乗員室側壁部に対向する対向面部とから上方に開口する箱状に形成され、
    前記荷室側壁部に、一部のセル部の側面部上端を乗員室側壁部に接合した接合部を設けて、前記中空部を吸音空間部とダクト空間部とに区分し、
    前記複数のセル部における前記接合部となる側面部を除く側面部の上端が乗員室側壁部から離間して、該上端と乗員室側壁部との間の隙間を介して隣接するセル部で画成される中空部が相互に連通し、
    前記ダクト空間部は、トレイ前端部で荷室に開口する第1開口部およびトレイ後端部で乗員室に開口する第2開口部の間が前記セル部および前記隙間を介して連通するよう構成された
    ことを特徴とする車両用パッケージトレイ。
  2. 前記セル部は、前記対向面部が前記側面部より薄肉に形成されている請求項1記載の車両用パッケージトレイ。
  3. 前記ダクト空間部においてトレイ前端部に位置する前記セル部は、該トレイ前端部より後方に退避した位置に設けられて、該トレイ前端部に位置するセル部の前側側面部に開設した第1開口部を介してダクト空間部が前記荷室内に連通するよう構成した請求項1または2記載の車両用パッケージトレイ。
  4. 前記乗員室側壁部の表面に表皮材を設けた請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用パッケージトレイ。
  5. 車両構成部材に密着する封止部をトレイ後端部に形成し
    前記トレイ後端部と前記封止部との連設部位に薄肉の折り線を形成して、該封止部を該折り線に沿って上下方向に揺動可能とし、
    前記封止部に、中空部を画成する第2のセル部を前記荷室に臨むよう形成した請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用パッケージトレイ。
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