JP4976762B2 - フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムに関する。
建築物の内外装用部材に使用されるプラスチック板や金属板、その他の各種基材は耐久性の向上や装飾を目的として、その表面を塗装したり、耐久性フィルム、特にフッ化ビニリデン系樹脂製の表面保護フィルムをラミネートして使用されている。
その用途は、例えば壁紙、車輌の内外装、エレベーター等の内外装材用のほか、屋根材、壁材、雨樋、ガレージ、アーケード、サンルーム、農業用資材、テント地、看板、標識、ラベル、マーキングフィルム、家具、家電製品、トレー、屋根瓦、及び窓ガラス用等多岐にわたる。
このような用途にフッ化ビニリデン系樹脂フィルムが使用される。フッ化ビニリデン系樹脂フィルムは単独で使用される場合もあるが、フッ化ビニリデン系樹脂フィルムを各種基材の表面に接着し、基材の保護及び基材への意匠性の付与のために多く使用される。
基材としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、及びポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、CR、EPDM、及びCSMその他のゴム材料、アルミニウム箔、ステンレス、亜鉛鍍金鋼鈑等の金属、合板、フッ素塗料鋼板、及びFRP等の複合材料、木板、ガラス、印刷紙、並びにスレート等が挙げられる。
表面保護フィルムには、高級感や意匠性を高めるため特に艶消し調の低光沢表面を有するフィルムが使われる。表面を艶消し調とするには、(1)フッ化ビニリデン系樹脂フィルムを押出成形する際に押出直後にエンボスロールを通過させ表面に凹凸を形成する方法(特許文献1)、(2)艶消し剤として無機物や有機物をフッ素系樹脂自身に添加する方法、(3)フッ化ビニリデン系樹脂フィルム成型後フィルム表面にサンドブラストや研磨等の物理的な処理を施す方法、(4)フッ化ビニリデン系樹脂フィルム成型後フィルム表面に艶消し剤をコーティングする方法等が挙げられる。
(1)エンボスロールを使用する方法と(2)艶消し剤を添加する方法は、他の方法に比べ簡便であり、かつ低コストである。しかし、それらの方法を含む従来の方法では熱ラミネートした際に表面に艶が戻る場合や、艶消し剤の添加による分散性の悪化による外観不良が発生する場合や、機械強度が低下する問題があった。
艶消し剤として架橋アクリル樹脂を用い、艶消し調の表面を有し、熱ラミネートした際の艶が戻る問題と、機械強度低下に関する改善が提案されている。(特許文献2等参照)
艶消し剤を配合した表面層の厚みがある特定の厚み以下では、表面保護フィルムに求められる性能の一つである耐薬品性及び耐候性の面で問題があった。艶消し剤の架橋アクリルの平均粒子径が10μmより大きくなると、架橋アクリルの樹脂組成中での分散性が悪化する問題点があった。
特開平02−28239号公報 特開2001−205755号公報
フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム及びその製造方法を提供する。
本発明は(A)フッ化ビニリデン系樹脂85〜90質量部及びメタクリル酸エステル系樹脂15〜10質量部の合計100質量部に対して平均粒子径1〜10μmの架橋アクリル樹脂1〜10質量部を含有する樹脂組成物からなる表面層と、(B)フッ化ビニリデン系樹脂20質量部以下とメタクリル酸エステル系樹脂80質量部以上の樹脂組成物を含有する接着層を積層してなり、表面層の層の厚さが10μm以上であるフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム及びその製造方法である。
本発明のフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムは耐薬品性、耐候性、耐汚染性有し、他の基材と高い接着性を示し、特に表面が優れた艶消し調の低光沢表面を有しかつ機械的強度および熱加工性に優れるという効果を奏する。
本発明は(A)フッ化ビニリデン系樹脂85〜90質量部及びメタクリル酸エステル系樹脂15〜10質量部の合計100質量部に対して平均粒子径1〜10μmの架橋アクリル樹脂1〜10質量部を含有する樹脂組成物からなる表面層と、(B)フッ化ビニリデン系樹脂20質量部以下とメタクリル酸エステル系樹脂80質量部以上の樹脂組成物を含有する接着層を積層してなり、表面層の層の厚さが10μm以上であるフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムである。
(フッ化ビニリデン系樹脂)
フッ化ビニリデン系樹脂とは、フッ化ビニリデン単量体単位を有するビニル重合体であれば特に限定されず、フッ化ビニリデンのホモポリマであってもよく、フッ化ビニリデンと他のビニル化合物単量体の共重合体であってもよい。
フッ化ビニリデンと併用可能なビニル化合物単量体としては、例えばフッ化ビニル、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレン等のフッ素化されたビニル化合物や、スチレン、エチレン、ブタジエン、及びプロピレン等の公知のビニル単量体が挙げられる。
(メタクリル酸エステル系樹脂)
メタクリル酸エステル系樹脂は、メタクリル酸エステル単量体に基づくビニル重合体であれば特に限定されない。メタクリル酸エステル単量体としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル等が挙げられ、メタクリル酸メチルが好適に用いられる。メタクリル酸エステル単量体のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基等のアルキル基は直鎖であってもよく、枝分かれしてもよい。
メタクリル酸エステル系樹脂は、メタクリル酸エステル単量体の単量体や、複数のメタクリル酸エステル単量体の共重合体であってもよい。メタクリル酸エステル系樹脂には、メタクリル酸エステル以外の公知のビニル化合物であるスチレン、エチレン、ブタジエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、及びプロピレン等に由来する単量体単位を有してもよい。
(架橋アクリル樹脂)
架橋アクリル樹脂とはアクリル酸エステルと多官能性単量体の共重合体である。
アクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、及びメタクリル酸ブチル等が挙げられる。
多官能性単量体とは、ビニル基以外で、化学反応で他の分子と結合を形成しうる官能基の数が2個以上有する物質で、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、アミド基、アミノ基、メチロール基、スルホン酸基、スルファミン酸基、及び(亜)リン酸エステル基からなる官能基群より選ばれる官能基を2個以上有する官能基含有単量体である。
多官能性単量体は特に限定されないが、例えばエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールビスメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
架橋アクリル樹脂は、エチレン、スチレン等の公知のビニル単量体に由来する単量体単位を有してもよい。架橋アクリル樹脂はフッ化ビニリデン系樹脂及びメタクリル酸エステル系樹脂と混合しても相溶しないで分散する材質を選択することが好ましい。
架橋アクリル樹脂はJIS Z8819法によるレーザー散乱法(ミー散乱法)での平均粒子径(D50)が1〜10μmの粒状であり、平均粒子径が2〜8μmであることが好ましい。平均粒子径が小さいと表面光沢度が増して艶消し表面が得られない場合があり、平均粒子径が大きいと架橋アクリル樹脂の分散性が悪くなり、均一な艶消し表面が得られなくなるとともに、機械的強度が低下する場合がある。
架橋アクリル樹脂の粒子は表面凹凸が少ない形状であることが好ましく、例えば球状や楕円回転体等であることが好ましい。架橋アクリル樹脂の表面凹凸が多いと、フッ化ビニリデン系樹脂及びメタクリル酸エステル系樹脂に対する分散性が低下する場合がある。
(表面層)
表面層のフッ化ビニリデン系樹脂とメタクリル酸エステル系樹脂の配合比率はフッ化ビニリデン系樹脂90〜85質量部及びメタクリル酸エステル系樹脂の配合比率は10〜15質量部である。フッ化ビニリデン系樹脂の含有量が多いと、艶消し剤として配合する架橋アクリルを樹脂中に均一に分散することが困難になり、良好なフィルムの表面外観が得られない。フッ化ビニリデン系樹脂の含有量が少ないと、フッ化ビニリデン系樹脂の優れた耐候性が低下してしまい、保護膜層としての効果が減少する。
表面層の架橋アクリル樹脂の添加量は、フッ化ビニリデン系樹脂とメタクリル酸エステル系樹脂の合計量100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、2〜5質量部がより好ましい。架橋アクリル樹脂の添加量が少ないと艶消し表面が得られず、過剰に添加すると分散性が悪くなり、均一な艶消し表面が得られなくなるとともに、機械的強度が著しく低下する。
表面層の厚みは、フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムの総厚みに関係なく、10μm以上である。表層厚みが10μm未満になると、表面保護フィルムに求められる性能の一つである耐候性が低下する。
(接着層)
接着層はフッ化ビニリデン系樹脂20質量部以下とメタクリル酸エステル系樹脂80質量部以上の樹脂組成物からなる樹脂層である。メタクリル酸エステル系樹脂の含有量が少ないと基材との接着力が不足する場合がある。接着層に紫外線吸収剤を添加する場合、メタクリル酸エステル系樹脂の含有量が少ないと紫外線吸収剤の揮散が起こりやすくなる場合がある。
接着層に添加する紫外線吸収剤の添加量は10質量部以下が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。紫外線吸収剤の添加量が0.1質量部未満では、紫外線吸収剤の効果が発現されず、また、添加量が10質量部より多い場合は、紫外線吸収剤の分散不良が生じ、フィルムの外観不良の原因となる場合がある。
紫外線吸収剤としては、各層に使用する樹脂と相溶性があり、紫外線吸収剤の揮散を防ぐためには、高分子量のものが好ましい。例えば、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッド系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系及びその他多くの種類のものが使用できる。
ベンゾトリアゾール系としては、例えば2−[3,5−ジ−(アルファ−ジメチルベンジル−2−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]、及び2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
オキザリックアシッド系としては、例えば2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール、2−エトキシ−2'−エチルオキザックアシッドビスアニリド、及び2−エトキシ−5−t−ブチル−2'−エチルオキザックアシッドビスアニリド等が挙げられる。
ベンゾフェノン系としては、例えば2−ヒドロキシ−4−n−オクトオキシベンゾフェノンが挙げられる。
その他の紫外線吸収剤としては、例えばビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニル)エタノール、及び1−[2−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ポロピオニルオキシ]−2,2,6,6−T−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤の中でも、ベンゾトリアゾール系を用いると少量で顕著な耐候性を示すため好ましい。紫外線吸収剤の使用量は特に限定されないが、フッ化ビニリデン系樹脂及びメタクリル酸エステル系樹脂の合計100質量部に対して紫外線吸収剤0.01〜5質量部とすると耐候性と機械強度のバランスが良く好ましい。
フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムの表面層には、架橋アクリル樹脂が添加されるが、表面を良好な艶消し調とするためには押出成形時に表面をエンボスロールで艶消し処理することが望ましく、その場合エンボスロールとして架橋アクリル樹脂の平均粒子径とエンボスロールの表面粗さRzの間に下式(数式A)が成立するものを用いることが好ましい。
架橋アクリル樹脂の平均粒子径≦エンボスロールの表面粗さR(数式A)
エンボスロールの表面粗さRと架橋アクリル樹脂の平均粒子径D50の比であるD50/R値は特に限定されないが、D50/R値が1以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.7〜0.2であることが最も好ましい。D50/R値が大きいと、熱ラミネート時にエンボスロールによる表面凹凸よりも架橋アクリル樹脂自身による凹凸部分が優先的にピンチ圧着等の影響を受け易くなり、艶戻りや艶斑の原因になる場合がある。D50/R値が小さいと、架橋アクリル樹脂自身による艶消し効果が小さくなり、良好な艶消し表面が得られないと共に、熱加工時の艶戻りの原因となる場合がある。
表面層及び接着層には、酸化防止剤、分散剤、カップリング剤、熱安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、及び着色剤として複合酸化物系無機顔料や無機系顔料、カーボンブラック、真珠顔料を添加又は塗布して使用することができる。
フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムは、表面層や接着層に印刷処理等をほどこして各種用途に使用することができる。
フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムの膜厚は、種々の用途に合わせて決定されるが、全体として150μm以下、好ましくは、10〜100μmの範囲である。
フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムは各種基材に積層して積層体とすることができる。基材としては例えばプラスチック、ゴム、塗料面、金属、ガラス、木、スレート等が挙げられる。積層体とするにはフィルムを基材に接着剤を用いて接着する方法が挙げられる。プラスチック樹脂基材等とフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムを接着する際には、溶融接着することができる。
フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムは溶融押出成形法で製造することができる。溶融押出成形法としては、例えば複数の層構造の場合は共押出成形法を使用することができる。複数の押出成形機を利用して樹脂を溶融状態で接着せしめて多層とするT−ダイ使用の共押出成形法にはマルチマニホ−ルドダイと称し、複数の樹脂層をシ−ト状態にしたのち、接触させて接着する方法と、フィードブロックと称する合流装置を用い複数の樹脂を合流接着後、シ−ト状に拡げる方法がある。
インフレ−ション成形法と称し、丸型ダイを使用する方法でも多層フィルムが成形できる。なお溶融押出された樹脂は、押出直後に艶消し表面がエンボスロール側に接触しながらエンボスロールと金属ロールに圧着され成形される。
フッ化ビニリデン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、架橋アクリル樹脂、紫外線吸収剤、その他の添加剤を混入する方法としては、樹脂と添加剤をあらかじめ混合しておき、単軸押出機を使用して溶融混練する方法が採用できる。フッ化ビニリデン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂に球状形状の架橋アクリル樹脂を添加する場合においても、その球状形状およびフッ化ビニリデン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂との優れた相溶性により各々をプレブレンド後単軸押出機にて溶融混練する方法により表面状態が優れ分散性の良好な原料を提供することができる。
架橋アクリル樹脂等の添加剤の樹脂成分への分散性を更に向上する方法として、フッ化ビニリデン系樹脂及び/又はメタクリル酸エステル系樹脂の一部もしくは全量を粉末状の原料で使用する方法や、高混練タイプの2軸押出機を使用する方法や高速回転型ミキサ−を用い高温下であらかじめプレミキシング後単軸押出機にて溶融混練する方法を用いることができる。
(フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムの使用方法)
フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムは各種基材に積層して積層体とする際に使用する接着剤は特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、及びウレタン樹脂系等の一般的接着剤、天然ゴム及びアクリル樹脂系等を使用した感圧性接着剤が使用可能である。フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムはあらかじめ感圧接着剤を塗布して離型紙を積層しておき、使用時に離型紙を剥がして基材に貼り合わせる事もできる。
フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムは、例えばプラスチック、ゴム、金属板、ガラス、木板、スレート、その他の基材表面に貼り合わせる表面保護フィルムとして使用可能であり、基材の保護、装飾、意匠性を向上させることができるために、建築物の内外装、自動車部材等の多岐にわたる用途、特に高い耐候性が必要とされる用途の装飾や意匠性向上として好適に使用できる。
(実施例1〜4、比較例1〜8)
表1及び表2に示す配合割合にて表面層用樹脂及び接着層用樹脂をタンブラーにてブレンドし、φ45mm2軸押出機によって混練しコンパウンドを得た。次に2台のφ50mm単軸押出機を用いたフィードブロック法により表1に示す膜厚比率の薄膜フィルムを製膜した。この際、表1に示す表面粗さのエンボスロールを使用した。
表1及び表2の中でフィルム外観の良好なフィルムについて、表中に示す接着層を使用し、表層と積層して加熱ラミネートを行った。加熱ラミネートはロールラミネーターを用い、加熱温度150℃の条件で表面層と接着層を熱接着し、積層シートを得た。
(使用材料)
<フッ化ビニリデン系樹脂>
カイナーK720 (アルケマ社製)
カイナーK740 (アルケマ社製)
<メタクリル酸エステル系樹脂>
ハイペットHBS000(三菱レイヨン社製)
<紫外線吸収剤>
チヌビンP(チバガイギー社製)
<白色顔料>
チタン系顔料、市販品
<架橋アクリル樹脂>
MBX-8(積水化成社製)平均粒子径 5μm
MR-2G(綜研化学社製)平均粒子径 2μm
MR-10G(綜研化学社製)平均粒子径 9μm
MR-20G(綜研化学社製)平均粒子径 20μm
(評価)
実施例、比較例にて得られた薄膜フィルム及び熱接着した積層シートについて以下の項目について評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
1)外観
得られた薄膜フィルムの外観を目視にて評価した。実施例1〜4及び比較例1,6〜8の薄膜フィルムは艶消剤の分散不良もなく良好な低光沢表面を有すフィルムであった。比較例2〜5の薄膜フィルムは艶消し剤の分散不良により外観が著しく悪化した。
2)表面光沢度
得られた薄膜フィルムの表面光沢度を光沢度計(日本電色工業製グロスメーターVGS−1D)を用い測定した。実施例1〜4及び比較例1,6〜8については低光沢表面であることが確認された。比較例2〜5については外観が悪かったため評価を中止した。
3)熱加工性
得られた積層シートの表面光沢度を光沢度計(日本電色工業製グロスメーターVGS−1D)を用い加熱ラミネート後の表面光沢度を測定した。実施例1〜4については、加熱ラミネート後の光沢度変化は少なく熱加工性に優れることを確認した。比較例1については、艶戻りが生じ光沢度が著しく上昇した。
4)耐候性
得られた積層シートの耐候性をJIS A1415に準拠し、サンシャインウエザーオメーターを用い測定した。ブラックパネル温度63℃、シャワーサイクル120分間隔で18分間とし、1000時間後の積層シートの外観評価を行った。実施例1〜4、比較例1については、試験後も外観上の変化は見られないことを確認した。比較例6、8については、ヒビ割れが生じた。
Figure 0004976762
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フッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムは耐薬品性、耐候性、耐汚染性有し、他の基材と高い接着性を示し、特に表面が優れた艶消し調の低光沢表面を有しかつ機械的強度および熱加工性に優れるという効果を奏するため、建築物の内外装、自動車部材等の多岐にわたる用途、特に高い耐候性能の必要とされる用途の装飾や意匠性向上として好適に使用できる。

Claims (4)

  1. 表面層および接着層を有し、下記の(1)〜(4)の要件をすべて具備するフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム。
    (1)(A)表面層が、フッ化ビニリデン系樹脂85〜90質量部、メタクリル酸エステル系樹脂15〜10質量部の合計100質量部対して、レーザー散乱法による平均粒子径(D 50 1〜10μmの架橋アクリル樹脂1〜10質量部を含有する樹脂組成物を含有する。
    (2)(A)表面層の厚さが10〜15μmである。
    (3)(B)接着層が、フッ化ビニリデン系樹脂20質量部以下とメタクリル酸エステル系樹脂80質量部以上の樹脂組成物の合計100質量部に対して、紫外線吸収剤0.1〜10質量部を含有する。請求項1又は請求項2に記載のフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム。
    (4)(A)表面層の表面が、表面粗さRzで、前記架橋アクリル樹脂の平均粒子径(D 50 )との比(D 50 /Rz)の値が1以下であるエンボスロールにて圧着成形されている。
  2. 架橋アクリル樹脂がカルボキシル基を含有するモノマーと多官能性モノマーを重合してなる請求項1に記載のフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム。
  3. 印刷されてなる請求項1または請求項2に記載のフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルム。
  4. 少なくとも片面にエンボスロールを圧着して成形することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムの製造方法。
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