JP2002264249A - 防水シート - Google Patents

防水シート

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JP2002264249A
JP2002264249A JP2001069824A JP2001069824A JP2002264249A JP 2002264249 A JP2002264249 A JP 2002264249A JP 2001069824 A JP2001069824 A JP 2001069824A JP 2001069824 A JP2001069824 A JP 2001069824A JP 2002264249 A JP2002264249 A JP 2002264249A
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film
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film layer
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Ichiro Araki
一郎 荒木
Daisuke Ii
大輔 伊井
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐候性、耐大気汚染性、耐薬品性に優れ、かつ
安価で施工性の良好な防水シートを提供する。 【解決手段】耐候性フィルム層、ポリエチレンテレフタ
レート系樹脂の延伸フィルムもしくはポリカーボネート
系樹脂フィルムからなる耐熱高強度フィルム層、防水性
を有するゴムアスファルト層を順次積層してなる多層シ
ートとすることで、前記の課題を解決し、高架橋等の屋
外コンクリート構造物の劣化防止工事に好適で、長期の
耐久性を有する防水シートが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンクリート構造物
からのコンクリート剥落を防止し、コンクリートを防水
する多層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンクリートの中性化、塩害、及
び施工不良等でコンクリート構造物からコンクリートが
剥落する問題が発生している。特に高架橋等では、高架
橋の下が道路や駐車場になっている場合は、コンクリー
トの剥落は人的災害を生じる可能性が高く、コンクリー
ト剥落の防止対策が重要となっている。
【0003】このような劣化や老朽化の要因としては、
コンクリートの中性化、塩素イオンの浸透、凍害、アル
カリ骨材反応などによるコンクリートの剥離や欠損、鉄
筋の発錆や破断などが、具体的な現象として認められて
いる。そして、これらの要因を引き起こす主な原因とし
て、また最も問題となっていることは、コンクリートの
外部から供給された水分、及び水分中や空気中の二酸化
炭素、塩素、酸素などの物質がコンクリート内部へと浸
透していくことにより、鉄筋が発錆ないしは破断するこ
とが挙げられている。
【0004】従って、セメント成形物を長期間の使用に
耐えられるものとして使用していくためには、これらの
水分、二酸化炭素、塩素、酸素などの物質の浸透を食い
止める、いわゆる防水(以下、防水を水分、及び水分
中、空気中の二酸化炭素、塩素、酸素等の浸透防止の総
称とする)が必要となる。
【0005】更に、塩化ビニル樹脂系やエポキシ樹脂系
などの一般の塗装材料では、セメント成形物等の基材が
置かれている日光、海水、凍結、塵埃など厳しい環境に
対する長期の耐久性が乏しいことが指摘されている。
【0006】防止対策の一つとして、カーボン繊維、ガ
ラス繊維、アラミド繊維、及びビニロン繊維等の各種繊
維をエポキシ系接着剤やアクリル系接着剤等でコンクリ
ート構造物に貼り付け、さらに各種繊維の上に、防水性
をもたせるため、ゴムアスファルト系等の防水材を配置
する方法や、防食用のエポキシ系、塩化ビニル系、ウレ
タン系、アクリル系等の塗料を塗布する方法等が行なわ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、繊維補
強と防水材を組み合わせる方法は、各種繊維をコンクリ
ート構造物に貼り付ける工程と防水材を配置する工程と
いった2工程が必要なため、二度手間を要し、施工コス
トが大幅に増加するという課題があった。
【0008】さらに、繊維補強においては、接着剤を鏝
塗りやロール塗り等して繊維を貼り付けるために、施工
効率が非常に悪いという課題があった。又、防水材はコ
ンクリート構造物表面に曝されるために耐候性が要求さ
れるが、耐候性が優れる防水材が無いという課題があっ
た。そのため、繊維補強が有する耐候性と、防水材が有
する防水性とを有し、かつ、施工性の良い施工材が求め
られるようになった。
【0009】また防食用塗料についても、コンクリート
構造物の表面処理をはじめ、下塗り、上塗りと数回に分
けて塗布する場合もあるとともに、塗布後の乾燥時間も
必要なため、施工効率が非常に悪いという問題があっ
た。また、コンクリート構造物表面は、紫外線や風雨に
曝されるため、塗料によっては表面の劣化、及び表面劣
化によるクラック等の発生により防水効果の低下が起こ
る可能性がある。
【0010】即ち、本発明は、耐候性、耐大気汚染性、
耐薬品性に優れ、かつ高強度で耐熱性に優れ、夏場の炎
天下のような厳しい条件にさらされる環境においても、
長期の耐久性を有する防水シートを提供すること、又一
方で、その施工期間が短く、安価な工事を可能とするこ
とを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これらの課
題を鋭意検討した結果、耐候性フィルム層、耐熱高強度
フィルム層、及びゴムアスファルト層を順次積層した多
層シートが、耐候性や防水性に加えて、優れた強度と耐
熱性を保持し、接着剤を使用しなくてもコンクリートと
接着しやすいという自着性を有し、施工性が良いことを
見出し、本発明に到達した。
【0012】即ち本発明は、耐候性フィルム層(A)、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の延伸フィルム又は
ポリカーボネート系樹脂フィルムからなる耐熱高強度フ
ィルム層(B)、及びゴムアスファルト層(C)を順次
積層した多層シートからなる防水シートである。 又、
耐候性フィルム層(A)として、フッ化ビニリデン系樹
脂を50〜100部、メタクリル酸エステル系樹脂0〜
50部を含有する樹脂組成物を用いることが好ましい。
本発明で用いる(部)は、特に規定のない限り質量基準
であり、樹脂の合計を100部としたときの値である。
【0013】一方で、耐候性フィルム層(A)が少なく
とも2層より構成され、その最表面層がフッ素系樹脂5
0〜100部、メタクリル酸エステル系樹脂0〜50部
を含有する樹脂組成物からなり、その裏面層がフッ素系
樹脂0〜50部、メタクリル酸エステル系樹脂50〜1
00部を含有する樹脂組成物からなることが更に好まし
い。
【0014】又、ゴムアスファルト層(C)が、アスフ
ァルトにスチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム
及びスチレン−ブタジエンブロック共重合体から選択し
た、少なくとも1種以上のゴム成分を添加した、自着性
を有するゴムアスファルトからなるシートであることが
好ましい。又、ゴムアスファルト層(C)が、アスファ
ルトにスチレン・ブタジエンゴムを添加した、自着性を
有するゴムアスファルトからなるシートであることがよ
り好ましい。
【0015】一方で、本発明の防水シートは、通常ゴム
アスファルト層(C)の外表面に離型紙を貼付して取り
扱われる。
【0016】更に、本発明は、耐候性フィルム層
(A)、耐熱高強度フィルム層(B)、及びゴムアスフ
ァルト層(C)を順次積層する上記の防水シートの製造
方法を含む。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、耐候性、耐大気汚染性、耐薬品性に優れた熱
可塑性フィルム(以下耐候性フィルムと記載する)を表
面層(A)として使用し、該熱可塑性フィルムでセメン
ト成形物等を被履保護することを特徴とするものである
が、耐候性フィルム層(A)としては、最表面がフッ素
系樹脂を50部以上含有するフィルムが用いられる。5
0部未満では、耐候性、耐大気汚染性、耐薬品性等の効
果が十分に得られない。フッ素系樹脂を60〜95部含
有するフィルムは、耐候性や透明性が良好であり、且つ
このフィルムを製膜する工程での樹脂の熱安定性が優れ
ているので、更に好ましい。
【0018】本発明で使用されるフッ素系樹脂として
は、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキ
サフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニルのホモポリマ
ー及び共重合体が挙げられる。共重合体としては、例え
ばフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−ヘ
キサフルオロプロピレン系共重合体、エチレン−テトラ
フルオロエチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン
−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、パーフルオロ
(アルキルビニルエーテル)−テトラフルオロエチレン
系共重合体、等が挙げられる。
【0019】フッ素系樹脂には接着性等の他の性能を付
与や製膜工程での樹脂の熱安定性を改善する目的と経済
性の観点から、フッ素系樹脂と相溶性のある樹脂を混合
して用いることが出来る。例えばポリフッ化ビニリデン
系樹脂と相溶性のある樹脂としてはメタクリル酸エステ
ル系樹脂が挙げられる。メタクリル酸エステル系樹脂と
はメタクリル酸メチル(MMA)のホモポリマー又はメ
タクリル酸メチルと共重合可能な単量体との共重合体及
びポリメタクリル酸メチルとアクリル系ゴムとのブレン
ド物等をいう。共重合可能な単量体としては炭素数2〜
4のメタクリル酸エステル、アクリル酸ブチルをはじめ
とする炭素数1〜8のアクリル酸エステル、スチレン、
α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、
その他のエチレン性不飽和モノマー等がある。
【0020】フッ素系樹脂フィルムに含有されるフッ素
系樹脂以外の上記樹脂の含有量は、使用樹脂全体量中の
50重量%以下である。好ましいフッ素系樹脂フィルム
としては、特に加工性、コスト、他樹脂との相溶性か
ら、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化ビニリデ
ン系の上記共重合体(以下総称としてフッ化ビニリデン
系樹脂と記載する)、及びこれらとメタクリル酸エステ
ル系樹脂との混合物を主成分とする組成物が挙げられ
る。
【0021】フッ素系樹脂フィルムは単層でも複層でも
良いが、表層と裏面層からなる2層のものは好適であ
る。表層のフッ素系樹脂、好ましくはフッ化ビニリデン
系樹脂、またはフッ化ビニリデン系樹脂とメタクリル酸
エステル系樹脂とからなり、更にそれぞれの配合比は、
樹脂量の合計100部に対してフッ化ビニリデン系樹脂
が50〜100部、メタクリル酸エステル系樹脂が0〜
50部であり、好ましくはフッ化ビニリデン系樹脂が6
0〜100部、メタクリル酸エステル系樹脂が0〜40
部であり、更に好ましくはフッ化ビニリデン系樹脂が6
0〜95部、メタクリル酸エステル系樹脂が5〜40部
である。この樹脂組成が更に好ましい理由としては、前
記の理由に加えて後記の裏面層との接着性が優れている
ことが挙げられる。フッ化ビニリデン系樹脂が50部未
満の場合は、優れた耐候性、耐大気汚染性、耐薬品性等
が発現できない。また適宜、表層と裏面層の間に複数の
層を挿入することが出来る。
【0022】裏面層はメタクリル酸エステル系樹脂、若
しくはメタクリル酸エステル系樹脂とフッ素系樹脂とか
らなり、好ましくはメタクリル酸エステル系樹脂とフッ
化ビニリデン系樹脂とからなり、更にそのフッ化ビニリ
デン系樹脂の含有量が5部以上50部以下が好適であ
る。フッ化ビニリデン系樹脂の含有量が5部未満では表
層との層間接着性が下がり、また50部を越えると耐熱
高強度フィルム層(B)との熱ラミネートが困難となる
場合がある。
【0023】また、フッ素系樹脂フィルムには、必要に
応じて、顔料、紫外線吸収剤、安定化剤、酸化防止剤、
艶消し剤、充填材及び加工助剤等の各種添加剤を添加す
ることができる。更に本フィルムの、最表面及び裏面に
印刷処理等をほどこして意匠性を付与することができ
る。このとき印刷層が保護されるよう、裏面側に印刷処
理を行うのが好ましい。
【0024】フッ素系樹脂フィルムに使用する顔料は、
特に限定されるものではなく、無機系顔料、有機顔料、
真珠顔料等使用できる。特に耐候性の点から無機系顔料
が好適であり、例えば2種類以上の金属酸化物が焼成に
より新しい結晶構造を形成し、結晶場分裂により発色す
ると言われている複合酸化物系無機顔料を主な有色顔料
として使用できる。現在使用されている主な複合酸化物
系無機顔料には、TiO2・Sb2O3・BaO・NiOCr2O3・を主成
分とするルチル型やブリデライト型結晶のチタンイエロ
ー系、ZnO・Fe2O3・Cr2O3を主成分とするスピネル型結
晶の亜鉛−鉄系ブラウン、CoO・Al2O3・Cr2O3を主成分
とするスピネル型結晶のコバルトブルー系、TiO2・CoO
・NiO・ZnOを主成分とするグリーン系、CuO・Cr2O3やCu
O・Fe2O3・Mn2O3を成分とするスピネル型のブラック
系、CoOやMn2O3からなるバイオレット系等がある。そし
てこれらの有色顔料とともにルチル型酸化チタン、亜鉛
華、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック
その他の無機顔料が使用できる。
【0025】フッ素系樹脂フィルムにおける顔料の添加
量は、樹脂100部に対し0〜100部、好ましくは1
〜50部である。100部を超えて添加した場合、フッ
素系樹脂への分散性が著しく低下し外観不良を引き起こ
すとともに、フィルムの強度自体が低下する。また中間
層及び防水層の保護の観点からは、顔料を添加し、隠蔽
力を持たせることがより好ましい。
【0026】次に紫外線吸収剤としては、フッ素系樹脂
フィルムに使用する樹脂と相溶性のあるものであれば良
い。紫外線吸収剤の例としては、ベンゾトリアゾール
系、オキザリックアシッド系、ベンゾフェノン系、ヒン
ダードアミン系及びその他多くの種類のものが使用でき
る。更に具体的には、2−[3,5−ジ−(アロフア−ジ
メチルベンジル−2−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリ
アゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチ
ル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−
2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス
[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチ
ルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6
−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−
(ヘキシル)オキシフェノール、2−エトキシ−2'−
エチルオキザックアシッドビスアニリド、2−エトキシ
−5−t−ブチル−2'−エチルオキザックアシッドビ
スアニリド、2−ヒドロキシ−4−n−オクトオキシベ
ンゾフェノン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−
ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(1−オ
クチルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジ
ニル)セバケート、ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニル)エタノー
ル、1−[2−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)ポロピオニルオキシ]−2,2,6,6−T
−テトラメチルピペリジン等がある。又、製造工程及び
フィルムとして使用する際の揮散を最小限にするために
は、前記吸収剤のうち、分子量が300以上の高分子量
タイプの紫外線吸収剤を用いる事が好ましい。
【0027】フッ素系樹脂フィルムにおける紫外線吸収
剤の添加量は、0.1〜15部、好ましくは0.5〜1
0部である。0.1部未満では紫外線吸収能力が乏し
く、紫外線による劣化を抑制することが出来ない。また
15部を超えて添加しても効果は変わらないばかりか、
分散不良の原因となる他、コストも高くなる。なお、フ
ッ素系樹脂フィルムに顔料を添加しない場合は、紫外線
吸収剤の添加が望ましい。これはフッ素系樹脂フィルム
自身の耐候性は良好であるが、顔料を添加せず使用する
場合においては、紫外線が熱可塑性フィルム層やゴムア
スファルト層、若しくはフッ素系樹脂フィルムと耐熱高
強度フィルム層を積層するために使用される接着剤層ま
で到達し、フッ素系樹脂フィルムは劣化しないまでも、
その下の層が先に劣化していまい、フッ素系樹脂フィル
ムが剥離する問題が生ずる可能性があるためである。
【0028】フッ素系樹脂フィルムの膜厚は、防水シー
トへの耐候性の付与であることから、20〜200μm
の範囲であり、好ましくは25〜100μmである。2
0μm未満ではフィルム自体の強度が低下するととも
に、十分な耐候性能が得られない。一方で200μmを
越えても耐候性能への効果は変わらないばかりかコスト
が高くなってしまう。
【0029】次に本発明で使用される耐熱高強度フィル
ム層(B)について説明する。フッ素系樹脂フィルム等
の耐候性フィルムは、その耐候性能に比例して一般的に
価格が高いため、経済的にはより薄いものが望ましい
が、前記のように、5μm以下では耐候性とともにフィ
ルム自身の強度が低下し、防水シートとしての強度も得
られなくなる。また使用される場所によっては夏場高温
に曝されるケースもあり、直接耐候性フィルム層(A)
を防水層であるゴムアスファルト層(C)に積層した場
合、ゴムアスファルト層(C)が軟化して変形し、最外
層であるフッ素系樹脂フィルム等の表面平滑性が損なわ
れる。かかる問題を解決すべく鋭意検討の結果、耐候性
を有するフッ素系樹脂フィルム等の最外層(A)と、防
水層(C)の間に耐熱高強度フィルム層(B)を設ける
事により、コストを上げることなく、使用に十分な強度
を有し、高温となる環境下においても十分な外観保持可
能な防水シートを発明するに至った。
【0030】該防水シートが、夏場の炎天下の環境にお
いても長期の使用に耐えるための目安としては、耐候性
フィルム層(A)と耐熱高強度フィルム層(B)を積層
した積層シートの破断強度が少なくとも30MPa以上
必要であり、好ましくは50MPa以上であり、一方で
耐熱性としては、屋外での使用を想定し80℃での熱伸
縮率が±0.5%の範囲に入る事が必要であり、好まし
くは±0.2%以内である。本発明の耐熱高強度フィル
ム層(B)としては、各種の熱可塑性樹脂フィルムが考
えられるが、上記特性を兼ね備えるフィルムとして、ポ
リエステル系樹脂を延伸したフィルムもしくはポリカー
ボネート系樹脂フィルムを用いることができる。ポリエ
ステル系樹脂延伸フィルムとしては、前記のように低い
熱収縮率を有したものとして、通常は延伸後に適度に熱
処理されたフィルムが用いられる。これ等のフィルム
は、いずれも市販のフィルムを用いることができる。こ
れらのフィルムを用いた防水シートは、ゴムアスファル
ト層(C)が高温時に軟化し強度が低下するのを補強す
るので、防水シートとして、極めて優れた長期耐久性を
発現することを見出し本発明に至った。
【0031】耐熱高強度フィルムと表面層である耐候性
フィルム層(A)との積層は、何れも市販のアクリル系
接着剤やウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等公知の
ものから幅広く選定し接着できる。また天然ゴム、アク
リル樹脂系等を使用した感圧性接着剤をあらかじめ表面
層若しくは耐熱高強度フィルム層(B)の接着面に塗布
しておいて使用できる。耐熱高強度フィルム層(B)が
ポリカーボネート系樹脂であり、かつ耐候性を有する耐
熱高強度フィルム層(B)がポリフッ化ビニリデン系樹
脂とメタクリル酸エステル系樹脂とからなるフッ素系樹
脂フィルムである場合は、接着剤を用いることなく、熱
ラミネート法によっての接着も可能である。
【0032】該耐熱高強度フィルム層(B)の厚さは、
防水シート、トータルとしての性能を妨げない範囲であ
れば特に限定されないが、耐候性フィルム層(A)の強
度及び高温下でのゴムアスファルト層(C)の軟化によ
る変形を抑制し、かつ経済性及び作業性を考慮すると、
一般的にはフィルムの場合、0.01mm〜1mmの範
囲であり、好ましくは0.03〜0.5mmである。
【0033】次に本発明で使用されるゴムアスファルト
層(C)について説明する。ゴムアスファルト層として
は、アスファルトにゴムを添加して改質した、自着性を
有するゴムアスファルトからなるシートが挙げられる。
【0034】ゴムとしては、スチレン・ブタジエンゴ
ム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等のスチレ
ンブタジエン系ゴム、クロロプレン系ゴム、天然ゴム、
イソプレンゴムなどが挙げられるが、コスト、性能バラ
ンスの点で、スチレン・ブタジエンゴム系が好ましい。
ゴムアスファルトの耐熱温度は、夏場の温度で融解しな
い点で、65℃以上が好ましい。ゴムアスファルト層の
厚さは、作業性、性能、及びコストの点で、1.0〜
3.0mmが好ましい。
【0035】またスチレン・ブタジエン系ゴムを用いた
ゴムアスファルト層(C)の組成は、特に限定されるも
のではないが、好ましい配合組成として、アスファルト
成分、プロセス油及びスチレン・ブタジエン系ゴム成分
の合計を100部とした場合、アスファルト成分20〜
60部、プロセス油20〜55部、スチレン・ブタジエ
ン系ゴム成分10〜50部からなるゴムアスファルト層
(C)が好適に使用される。
【0036】次に本防水シートのゴムアスファルト層
(C)に貼り付けられる離型紙を貼付した構成で取り扱
われる。本発明でいう離型紙とは、ゴムアスファルト層
(C)より容易に剥離するものであれば特に限定される
ものではなく、市販の表面にシリコン等が塗布された樹
脂フィルムや紙を含み、公知のものから広く選定し使用
することができる。
【0037】本発明の防水シートの特徴は、耐候性に優
れたフッ素系樹脂等のフィルムを表面層(A)とする防
水シートを被履して保護することにより、セメント成形
物等の建築基材の耐久性、即ち耐候性、耐大気汚染性、
耐薬品性、高温条件下での形状の維持等を著しく向上せ
しめることはこれまで述べてきたと通りである。それに
加え、安価で施工性に優れることも大きな特徴である。
一般にフッ素系樹脂フィルム等の耐候性フィルムは高価
であることが広く知られており、一見矛盾しているよう
に考えられる。しかしながら、本防水シートは自着性を
有するゴム変性アスファルト系の防水層(C)を有して
おり、かつ離型紙が貼り付けられているため、ロール形
状で施工現場まで運搬する事ができ、施工作業としては
離型紙を剥がした後、何の前処理も施すことなく、その
まま簡便に貼付施工する事ができ、施工時間を著しく短
縮する事が可能となる。塗装等による防水処理と比較し
た場合にも、前処理時間や乾燥時間が全く必要なく施工
可能となり、更には長期の耐久性を有しているため使用
期間の延長にも大きく寄与する事を考慮しても、総合的
なコストダウンとなる。
【0038】次に本防水シートの製造方法について述べ
る。先ず該耐候性フィルム層の製造方法については溶融
押出成形、溶剤キャスト成形等にてにて実施できる。ま
た該耐候性フィルム層が2層以上の構成の際には、複数
の層を一体に結合する共押出成形法を採用することが望
ましい。複数の押出成形機を利用して樹脂を溶融状態で
接着せしめて多層とするT−ダイ使用の共押出成形法に
はマルチマニホ−ルドダイと称し、複数の樹脂層をシ−
ト状態にしたのち、接触させて接着する方法と、フィー
ドブロックと称する合流装置を用い複数の樹脂を合流接
着後、シ−ト状に拡げる方法がある。またインフレ−シ
ョン成形法と称し、丸型ダイを使用する方法でも多層フ
ィルムが成形できる。
【0039】また該耐候性フィルム層に各種顔料、紫外
線吸収剤等の添加剤を混入する方法としては、樹脂と添
加剤をあらかじめ混合しておき一般に使用される単軸押
出機を使用して溶融混練する方法でもよいが、一般には
添加剤の樹脂中への分散が十分でなく、高混練タイプの
2軸押出機を使用する方法や高速回転型ミキサ−を用い
高温下であらかじめプレミキシング後単軸押出機にて溶
融混練する方法により表面状態の優れた原料を提供する
ことができる。各種顔料を主体とする添加剤の樹脂成分
への分散性を向上する方法としては特に限定されるもの
ではないが、例えば耐候性の熱可塑性樹脂の一部もしく
は全量を粉末状の樹脂原料を使用して混合することが望
ましい。
【0040】次に耐熱高強度フィルムの製造方法及び耐
候性フィルムとの積層体の製造方法について述べる。耐
熱高強度フィルムの製造方法としては、耐候性フィルム
製造方法と同様に溶融押出成形にてフィルムを成形する
ことができる。耐熱高強度フィルムがポリエステル系樹
脂の場合は、溶融押出成形直後もしくは溶融押出成形で
得た厚手のフィルムを延伸及び熱処理することにより得
ることができる。なお、いずれも上記方法で製造された
市販のフィルムを用いることもできる。
【0041】耐熱高強度フィルムと耐候性フィルムとの
積層体の製造方法を述べる。耐熱高強度フィルムがポリ
カーボネート系樹脂の場合は、先に述べた耐候性フィル
ムを製造する際に採用する複数の層を一体に結合する共
押出成形法を採用し、耐候性フィルムと耐熱高強度フィ
ルムとを同時に得ることも可能である。また、耐熱高強
度フィルム層(B)となる市販のポリカーボネート系樹
脂フィルムを予め用意し、耐候性フィルムを溶融押出成
形しながら、T−ダイより押し出された該熱可塑性樹脂
フィルムが冷却固化する直前に、各種シートもしくはフ
ィルムを繰り出し、ニップロールにより一体化させる、
いわゆる押出ラミネート法を用いることや、全く逆にポ
リカーボネート系樹脂フィルムを溶融押出成形しなが
ら、予め用意しておいた耐候性フィルムを繰り出し、押
出ラミネート法にて一体化する方法も可能である。当
然、ポリカーボネート系樹脂フィルム若しくは耐候性フ
ィルムに予め接着剤を塗布しておき一体化させる方法
や、熱ラミネートにより一体化させる方法を採用するこ
とが可能である。なお耐熱高強度フィルムがポリエステ
ル系樹脂を延伸したフィルムの場合は、ポリエステル系
樹脂フィルム若しくは耐候性フィルムに予め接着剤を塗
布した上で、上記の様な各種方法により一体化する事が
できる。
【0042】続いてゴムアスファルト層(C)の製造方
法及び耐候性フィルム層(A)と耐熱高強度フィルム層
(B)との積層体とゴムアスファルト層(C)を一体化
させ、防水シートとする製造方法について述べる。防水
層(C)であるゴムアスファルトシートの製法は、特に
限定されるものではないが、例えば特開平2−2290
33に記載されている方法として、プロセス油を有する
アスファルトをヒーターで加熱し、スチレン・ブタジエ
ン系ゴムを塊状化しないよう添加し、攪拌機で混合した
後、離型紙上に注ぎ込む方法や、予めヒーターで加熱し
たプロセス油にスチレン・ブタジエン系ゴムを添加し、
ゴム粒子が見えなくなるまで攪拌混合し、続いてアスフ
ァルトを添加し混合した後、離型紙上に注ぎ込んで作製
する方法等で得ることができる。
【0043】更に前記の耐候性フィルム層(A)と耐熱
高強度フィルム層(B)の積層体に、該ゴム・アスファ
ルトシートを積層する方法は、一般的な方法で行う事が
できるが、例えば互いのシートを繰り出し、ロールでピ
ンチする方法やプレス機を用いた方法で積層できる。又
予め耐熱高強度フィルム層(B)とゴムアスファルト層
(C)を一体化させた後、耐候性フィルム層(A)を熱
ラミネート法や接着剤を用いる方法及び押出ラミネート
法により、一体化させ防水シートとする事も出来る。
【0044】
【実施例】以下実施例及び比較例にて本説明をさらに詳
細に説明する。但し本発明は以下の説明に限定されるも
のではない。 (実施例1)表1に示す配合割合にて2層(表層及び裏
面層)の耐候性フィルム用の樹脂及び添加剤を、それぞ
れヘンシェルミキサーにてブレンドし、φ45mm2軸
押出機によって混練しコンパウンドを得た。次に2台の
φ50mm単軸押出機を用いたフィードブロック法によ
り、表1に示す膜厚比率のフィルムを製膜し、耐候性フ
ィルム層(A)とした。次に表1に示す市販のポリカー
ボネートフィルムを耐熱高強度フィルム層(B)とし
て、市販のアクリル系接着剤を用い積層し、該積層シー
トより試験片を作成した。さらにゴムアスファルト層
(C)として、プロセス油を含むアスファルトをヒータ
ーで加熱し、スチレン・ブタジエン系ゴムを塊状化しな
いよう添加、攪拌機で混合した後、市販の離型紙に厚さ
1mmとなるように注ぎ込み、表1に示す配合のスチレ
ン・ブタジエン系ゴムアスファルトを作製した。さらに
該耐候性フィルム層(A)とポリカーボネートフィルム
層(B)が積層されたシートの(B)層側にスチレン・
ブタジエンゴム系アスファルト層(C)をロールにて貼
付け防水シートを得た。本防水シートの離型紙を剥ぎ取
った後、コンクリート試験片に貼り付け、試験片とし
た。
【0045】(実施例2)表1に示す配合割合に従って
実施例1と同様にして2層の耐候性フィルム用樹脂のコ
ンパウンドを得た。次に2台のφ50mm単軸押出機を
用いたフィードブロック法により表1に示す膜厚比率の
フィルムを得て、耐候性フィルム層(A)とした。次に
耐熱高強度フィルム層(B)として、表1に示す市販の
二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィル
ムをアクリル系接着剤を用い積層し試験片とした。さら
にゴムアスファルト層(C)として表1に示す配合のス
チレン・ブタジエン系ゴムアスファルトを、プロセス油
を加熱後にスチレン・ブタジエン系ゴムを添加し、ゴム
粒子が見えなくなるまで攪拌混合し、続いてアスファル
トを添加し混合した後、市販の離型紙に厚さ1mmとな
るように注ぎ込み作製した。該耐候性フィルム層(A)
と二軸延伸PETフィルム層(B)が積層されたシート
の(B)層側にスチレン・ブタジエン系ゴムアスファル
ト層(C)をロールにて貼付け防水シートを得た。本防
水シートの離型紙を剥ぎ取った後、コンクリート試験片
に貼り付け、試験片とした。
【0046】(実施例3)表1に示す配合割合に従って
実施例1と同様にして2層の耐候性フィルム用樹脂のコ
ンパウンドを得た。次に2台のφ50mm単軸押出機と
マルチマニホールドダイを用いた共押出法により表1に
示す膜厚比率のフィルムを得て、耐候性フィルム層
(A)とした。次に実施例1と同様に、耐熱高強度フィ
ルム層(B)として、表1に示す市販の二軸延伸PET
フィルムを積層し試験片とした。さらに実施例1と同様
にして、ゴムアスファルト層(C)を積層し防水シート
を得た。本防水シートの離型紙を剥ぎ取った後、コンク
リート試験片に貼り付け、試験片とした。
【0047】
【比較例】(比較例1)表3に示す通り、耐熱高強度フ
ィルム層(B)を含まない以外は全て実施例1と同様に
して防水シートを得た。本防水シートの離型紙を剥ぎ取
った後、コンクリート試験片に貼り付け試験片とした。
なお、本比較例の引張強度及び加熱伸縮性の評価につい
ては、耐候性フィルムのみを試験片として評価した。
【0048】(比較例2)表3に示す通り、耐候性フィ
ルム層(A)とゴムアスファルト層(C)の間に中間層
としてポリプロピレンフィルム層を用いた以外は全て実
施例2と同様にして、耐候性フィルム層(A)と中間フ
ィルム層の積層シート試験片及び防水シートを得た。本
防水シートの離型紙を剥ぎ取った後、コンクリート試験
片に貼り付け、試験片とした。
【0049】(比較例3)コンクリート試験片に、直
接、市販の防食用エポキシ系塗料を一般的に行われてい
る方法である刷毛による塗布を行い、試験片とした。な
お塗布厚みは、約100μmに調整した。
【0050】(評価)実施例にて得られた耐候性フィル
ム層(A)と耐熱高強度フィルム層(B)の積層シート
試験片、及び比較例で得られた、耐候性フィルム試験
片、耐候性フィルムと中間フィルム層との積層シート試
験片について、以下の1)、2)の項目について評価を
行った。また実施例、比較例にて得られた防水処理を施
したコンクリート試験片について以下の3)、4)、
5)の項目について評価を行った。実施例及び比較例の
結果を表3及び表4に示す。 1)積層シート引張強度 得られた耐候性フィルム層と耐熱高強度フィルム層の積
層シート等の試験片の引張破断強度を評価した。評価は
JIS K6732記載の引張試験法に準拠し、引張速
度200mm/分にて実施した。引張試験機はオリエン
テック社製「テンシロンUTA−500」を用いた。実
施例1〜3は何れも巻方向、幅方向ともに引張破断強度
50MPa以上であり良好な結果となった。比較例1の
耐候性フィルムのみでは幅方向の強度が30MPaを下
回り、比較例2では巻方向、幅方向ともに30MPaを
下回る結果となった。 2)積層シート加熱伸縮性 得られた耐候性フィルム層(A)と耐熱高強度フィルム
層(B)の積層シート等の試験片の加熱伸縮性を評価し
た。評価はJIS K6745記載の加熱伸縮性試験法
に準拠し、加熱温度は実際の使用環境を想定し80℃と
し、加熱時間は30分及び24時間、120時間後の伸
縮性を調べた。実施例1〜3は何れも巻方向、幅方向と
もに加熱時間に依らず伸縮率が±0.1%の範囲に入っ
ており良好な結果となった。比較例1の耐候性フィルム
のみでは巻方向は良好なものの、幅方向の伸縮率が12
0時間後に±0.5%を越える結果となった。比較例2
も同様の傾向があり巻方向は良好なものの、幅方向の伸
縮率が120時間後に±0.2%を越え、長期の耐熱性
が懸念される結果となった。 3)施工性 得られた防水シートをコンクリート試験片に貼り付ける
際の施工性について評価した。(比較例3については塗
布時の施工性)なお、コンクリート試験片は、後述の耐
候性評価で使用する、厚さ2cm、幅7cm、高さ15
cmの板状で、表5に示す配合組成で作製したもの、及
び防水性評価で使用する直径10cm、高さ20cmの
円柱形状で表5に示す配合組成で作製したものを用い
た。実施例1〜3及び比較例2の防水シートは、程良い
剛性感があり、容易に貼り付け事が可能であった。比較
例1の防水シートは剛性感が乏しく、柔らかいため、容
易に貼り付けることがやや困難であった。比較例3防食
用エポキシ系塗料の塗布では、コンクリート板の表面に
微妙な凹凸があり、塗布に手間取った。また乾燥するま
でに時間を要した。
【0051】4)耐候性 得られた防水処理を施したコンクリート試験片は、スガ
試験機社製「サンシャインスーパーロングライフウエザ
ーメーター」促進耐候試験機を用い、JISA1415
に準拠したSWOM促進耐候試験を実施した。その際の
条件は以下の通りである。
【0052】ブラックパネル温度:63℃ 降雨時間/
降雨サイクル=18分/120分 評価は、1000時間、2000時間、4000時間経
過時の防水シート表面外観の目視評価、及び色差(△
E)を色差計(スガ試験機(株)SMカラーコンピュー
ターSM−5−IS−2B)を用い測定した。なお、コ
ンクリート試験片は、大きさが厚さ2cm、幅7cm、
高さ15cmの板状で、表5に示す配合組成で作製した
ものであり、防水シート及び防食塗装は、7cm×15
cmの面に貼り付け処理、及び塗布処理を行い、この面
を曝露面とした。
【0053】実施例1〜3の試験片は、4000時間の
試験を行った後も、表面の変形やチョーキング、クラッ
ク等の発生もなく良好であり、何れの色差(△E)も3
以下と色調変化も抑えられており、長期耐候性を有する
ことが確認された。比較例1の試験片は1000時間経
過後、防水シートが波状に著しく変形しており、色差測
定が困難となった。しかしながら、目視による色調の簡
易評価では、大きな色調変化は確認されなかった。なお
比較例1は1000時間で試験を中止した。
【0054】比較例2は4000時間後の色差は3以下
で良好な結果となったものの、1000時間、2000
時間では認められなかった軽微な変形が防水シート端部
に確認された。比較例3は2000時間後の色差が非常
に大きく、退色していることが確認された。また表面に
チョーキングの発生が確認され、長期耐候性が乏しく、
長期の防水性も懸念される結果となった。なお、比較例
3は2000時間で試験を中止した。
【0055】5)コンクリート試験片、防水性評価 得られた防水処理を施したコンクリート試験片の防水性
評価として、塩素イオンの透過試験及び二酸化炭素によ
る中性化促進試験を行った。なお、コンクリート試験片
は表5に示す配合組成で、直径10cm、高さ20cm
の円柱形状とし、各防水シート及び塗装を円周方向に沿
って全面に被覆した。但し、実施例、比較例とも上下面
からの塩素イオン及び二酸化炭素の浸透深さは無視し
た。
【0056】5−1 塩素イオン透過試験 防水処理された円柱コンクリート試験片をNaCl5%
溶液に浸漬し、10日、30日、90日後に取り出し、
これを割裂によって二分割したのち、分割した破断面
に、フルオレアセインナトリウム0.2%溶液と硝酸銀
0.1N溶液を噴霧し、白色に変色した部分を塩素イオ
ンの浸透領域と判定し、この深さをノギスにて計測し
た。
【0057】実施例1〜3は10日、30日、90日何
れも浸透は確認されず良好な防水性能を持つことが確認
された。また比較例1,2も浸透は確認されなかった。
比較例3は10日での浸透は確認されなかったが、3
0,90日後では浸透が進んでいることが確認された。
【0058】5−2 中性化促進試験 防水処理された円柱コンクリート試験片を耐圧容器内に
静置し、真空ポンプを用いて、10mmHg以下で15
分脱気した後、二酸化炭素を注入し、3kg/cm2
圧力で4時間加圧した。この後、円柱試験片を取り出し
て、割裂によって二分割し、分割した破断面にフェノー
ルフタレイン溶液を噴霧した。フェノールフタレイン溶
液によって、赤変しない部分が中性化したところ、すな
わち二酸化炭素に侵されたところとして、その位置まで
の深さをノギスにて計測した。実施例1〜3は何れも浸
透は確認されず中性化は起こっておらず良好であった。
また比較例1,2も浸透は確認されなかった。比較例3
は浸透深さが4mmとなり、二酸化炭素による中性化が
進んでいることが確認された。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【発明の効果】本発明によっては得られる防水シート
は、耐候性、耐大気汚染性、耐薬品性、等が優れている
ことに加えて、耐熱性に優れ高い強度が保持されること
から、優れた長期間の耐久性を有する。又、その施工が
容易で、短期間で安価な施工工事が可能となる。従って
建築構造物の表面、高架橋、トンネル、高速道路高欄
部、床版部等の広範囲で使用されているセメント成型物
の表面、屋根材等の多岐にわたる用途で有用であり、特
に炎天下で高い耐候性能の必要とされる用途の防水保護
シートとして、長期間メンテナンスフリーでの使用が可
能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 33:10) C08L 33:10) Fターム(参考) 4F100 AK17C AK19A AK25A AK25C AK25G AK28D AK28K AK42B AK45B AK73D AL02D AL05A AL05C AM00D AN00D AN02D AR00A BA03 BA04 BA07 BA10A BA10D CB00 EA061 EC052 EC181 EJ192 EJ37B EJ912 GB90 JB02 JD05 JJ03B JK01B JL00 JL09A JL11D YY00A YY00C 4J002 AC08X AG00W BD121 BD141 BG052 GF00 GL00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐候性フィルム層(A)、ポリエチレンテ
    レフタレート系樹脂の延伸フィルム又はポリカーボネー
    ト系樹脂フィルムからなる耐熱高強度フィルム層
    (B)、及びゴムアスファルト層(C)を順次積層した
    多層シートからなる防水シート。
  2. 【請求項2】耐候性フィルム層(A)として、フッ化ビ
    ニリデン系樹脂を50〜100部、メタクリル酸エステ
    ル系樹脂0〜50部を含有する樹脂組成物を用いた、請
    求項1に記載の防水シート。
  3. 【請求項3】耐候性フィルム層(A)が少なくとも2層
    より構成され、その最表面層がフッ素系樹脂50〜10
    0部、メタクリル酸エステル系樹脂0〜50部を含有す
    る樹脂組成物からなり、その裏面層がフッ素系樹脂0〜
    50部、メタクリル酸エステル系樹脂50〜100部を
    含有する樹脂組成物からなる事を特徴とする、請求項1
    に記載の防水シート。
  4. 【請求項4】ゴムアスファルト層(C)が、アスファル
    トにスチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム及び
    スチレン−ブタジエンブロック共重合体から選択した、
    少なくとも1種以上のゴム成分を添加した、自着性を有
    するゴムアスファルトからなるシートである、請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の防水シート。
  5. 【請求項5】ゴムアスファルト層(C)が、アスファル
    トにスチレン・ブタジエンゴムを添加した、自着性を有
    するゴムアスファルトからなるシートであることを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防水シー
    ト。
  6. 【請求項6】ゴムアスファルト層(C)の外表面に離型
    紙を貼付した、請求項1〜5のいずれか1項に記載した
    防水シート。
  7. 【請求項7】耐候性フィルム層(A)、耐熱高強度フィ
    ルム層(B)、及びゴムアスファルト層(C)を順次積
    層することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に
    記載した防水シートの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009524537A (ja) * 2006-01-25 2009-07-02 アルケマ フランス フッ素重合体をベースにした可撓性フィルム
EP2351891A1 (en) 2010-01-11 2011-08-03 Armacell Enterprise GmbH Insulation material with mechanical strength and building elements and composites made thereof
WO2018147357A1 (ja) * 2017-02-13 2018-08-16 デンカ株式会社 多層シート、太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュール
KR102662377B1 (ko) * 2023-07-14 2024-04-30 최이범 아스팔트용 개질첨가제 및 이를 이용한 개질 아스콘 조성물

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