JP2656804B2 - フツ素樹脂系多層フイルム - Google Patents

フツ素樹脂系多層フイルム

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はプラスチツク、ゴム、金属板、ガラス、木
板、スレート、その他の基材表面に、表面保護、装飾等
の目的で永久もしくは半永久的に貼合せる表面保護フイ
ルムに関するものであり、耐候性、耐汚染性、耐薬品性
等の堅牢度及び各種基材との接着性に優れ、特に基材と
貼合せた後の接着耐久性にすぐれたフツ素樹脂系多層フ
イルムに関するものである。
(従来の技術) 従来建築物の内外装等に使用されるプラスチツク板や
金属板、その他の各種基材は耐久性の向上や装飾を目的
として、その表面を塗装したり、耐久性フイルム(印刷
等加工したものも含めて)をラミネートしたりして使用
されている。
表面処理される基材にはポリ塩化ビニル、ポリカーボ
ネート、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン共重合体、FRP等プラスチツク基
材の他、各種ゴム基材、アルミニウム−ステンレス−亜
鉛鋼板等金属基材、この他木板、ガラス、スレート等が
あり、その用途は壁紙やエレベーター、車輛等の内装用
の他、屋根材、壁材、雨どい、デツキ材、ガレージ、ア
ーケード、サンルーム、テント他、農業用資材、看板、
標識、防音壁、ラベル、窓ガラス、家具、家電製品等多
岐にわたつている。
ところで耐久性フイルムとしては、従来より接着剤付
きフツ素樹脂系フイルムが前記各種基材にラミネートし
て使用されていたが、このフイルムは、耐候性にはすぐ
れているが接着剤との密着強度が弱く、また光透過性に
すぐれているため接着剤自身の劣化があり、保護すべき
基材との密着強度が低下して剥離を起こすことがある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明はかかる欠点を解決するものであり、フツ化ビ
ニリデン系樹脂とメタクリル酸エステル系樹脂とを主成
分とする樹脂組成物のフイルムを用いることにより耐候
性、耐汚染性、耐薬品性等の堅牢度及び各種基材との接
着性にすぐれた耐久性のあるフツ素樹脂系多層フイルム
を完成するに至つた。
(課題を解決するための手段) すなわち本発明は、フツ化ビニリデン系樹脂100〜50
重量部とメタクリル酸エステル系樹脂0〜50重量部とを
主成分とする樹脂組成物からなる表面層フイルム、フツ
化ビニリデン系樹脂50〜0重量部とメタクリル酸エステ
ル系樹脂50〜100重量部とを主成分とする樹脂組成物か
らなる中間層フイルム及び接着剤層の順に積層してなる
ことを特徴とするフツ素樹脂系多層フイルムである。
本発明で使用するフツ化ビニリデン系樹脂(以下PVDF
という)とは、フツ化ビニリデンのホモポリマー、又は
フツ化ビニリデンと共重合可能な単量体との共重合体を
いう。共重合可能な単量体としては例えば4フツ化エチ
レン、6フツ化プロピレン、3フツ化塩化エチレン、フ
ツ化ビニルなどがある。
次にメタクリル酸エステル系樹脂(以下PMMAという)
とは、メタクリル酸メチルのホモポリマー又はメタクリ
ル酸メチルと共重合可能な単量体との共重合体、例えば
ポリメタクリル酸メチルとアクリル系ゴムとのブレンド
物等をいう。共重合可能な単量体としては、炭素数2〜
4のメタクリル酸エステル、アクリル酸ブチルをはじめ
とする炭素数1〜8のアクリル酸エステル、スチレン、
α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、
他のエチレン性不飽和モノマー等がある。
本発明の表面層となる樹脂組成物の主成分としてPVDF
100〜50重量部、PMMA0〜50重量部で好ましくはPVDF90〜
60重量部、PMMA10〜40重量部であり、PVDFが50重量部未
満では耐候性が劣り好ましくない。また中間層となる樹
脂組成物の主成分としては、PMMA100〜50重量部、PVDF0
〜50重量部であり、PVDFが50重量部を超えると表面層と
接着剤との接着性が劣り好ましくない。
次に本発明の接着剤層に用いる接着剤としては、
(A)熱可塑性接着剤、(B)ゴム系接着剤を用いるこ
とができる。
(A)熱可塑性接着剤としては、ビニル系接着剤やポリ
アミド、ポリエステル、ポリウレタンなどを含む接着剤
があり、これらの接着剤は、架橋していないポリマーか
ら成つているので、容易に溶液状となり、また加熱によ
つて溶融状態になるので、溶液状、エマルジヨン状、溶
融状でフツ素樹脂系フイルムに付着させることができ
る。使用する樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニル、メ
タクリル酸エステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共
重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラール、
ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネ
ート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、エチレン酢
酸ビニル共重合体、ABS樹脂、ポリスチレン等がある。
(B)ゴム系接着剤としては、ポリクロロプレン、ニト
リルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、など
がある。
そして前記(A)及び(B)の接着剤が溶液状接着剤
として用いられる場合の溶剤としては、(A)及び
(B)に対しての溶解性があるものであればよく、また
溶融状で使用する場合は、例えばフツ素樹脂系フイルム
の押出成形直後に(A)及び(B)の加熱溶融物を直接
ドクターナイフを用いて塗布する方法、あるいはフイル
ム化した後ロールコーター法、ブラツシユコーター法、
スプレーコーター法等で行うことができる。
本発明のフツ素樹脂系多層フイルムには、接着剤層も
含めて紫外線吸収剤を添加することが好ましく、特に表
面層又は中間層に添加するとよい。紫外線吸収剤の添加
量は、樹脂組成物100重量部に対して0.1〜15重量部であ
り、接着剤自身及び被覆保護される基材の劣化を防止す
ることができる。紫外線吸収剤としては、使用する樹脂
と相溶性のあるものであればよく、揮散を防ぐために
は、高分子量の紫外線吸収剤が好ましい。前記吸収剤の
例としては、ベンゾトリアゾール系、オキザリツクアツ
シド系、ベンゾフエノン系、ヒンダードアミン系及びそ
の他多くの種類の公知のものが使用できる。
さらに本発明のフツ素樹脂系フイルムには、着色剤、
分散剤、カツプリング剤、等を使用することができる。
多層フイルムの着色に使用する着色剤は、耐候性の点
から無機顔料系が好ましく例えば複合酸化物系無機顔料
が特に好ましい。主な複合酸化物系無機顔料には、TiO2
・Sb2O3・BaO・NiO・Cr2O3を主成分とするルチル型やブ
リデライト型結晶のチタンイエロー系、ZnO・Fe2O3・Cr
2O3を主成分とするスピネル型結晶の亜鉛−鉄系ブラウ
ン、CoO・Al2O3・Cr2O3を主成分とするスピネル型結晶
のコバルトブルー系、TiO2・CoO・NiO・ZnOを主成分と
するグリーン系、CuO・Cr2O3やCuO・Fe2O3・Mn2O3を成
分とするスピネル型のブラツク系、CoOやMn2O3からなる
バイオレツト系等がある。そしてこれらの有色顔料とと
もにルチル型酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、硫
酸バリウム、その他の無機系顔料が使用できる。
本発明の多層フイルムの製造方法としては、例えば表
面層と中間層となるフイルムを2台の押出機を用いて共
押出して積層フイルムとし、押出し直後同一ライン上
で、溶液状接着剤又は溶融状接着剤を塗布する方法、又
は押出された積層フイルムを一度巻き取り、必要量だけ
巻き戻しながら溶融状接着剤又は溶融状接着剤を塗布す
る方法等がある。
(実施例) 以下実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1 表面層フイルム用コンパウンドとしては、ソルベイ社
製、ポリフツ化ビニリデン商品名「ソーレフ1010」80重
量部、三菱レイヨン(株)社製メタクリル酸エステル系
樹脂商品名「アクリペツトMD」20重量部をミキシングし
た後、2軸混練機で混練し、コンパウンドとした。
また中間層フイルム用コンパウンドとしては、ソーレ
フ1010、20重量部、アクリペツトMD80重量部および紫外
線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクトオキシ
ベンゾフエノン3重量部をミキシングした後、3軸混練
押出機で混練し、コンパウンドとした。次に2種類のコ
ンパウンドを原料とし40mmφ押出機2台、フイードブロ
ツクダイ、スリツト幅0.4mm幅450mmのコートハンガーダ
イを備えた装置を使用し押出成形し、厚さ40μmの積層
フイルムを得た。
得られたフイルムに接着剤層として電気化学工業
(株)製、スチレン樹脂商品名「デンカスチロールGP」
1kgをトルエン9kgに溶解した接着剤をロールコーターに
より塗布した。塗布した積層フイルムを120℃で5分間
乾燥し、8μmの接着層の塗布された3層フイルムを得
た。物性の測定結果を表に示す。
実施例2 表面層フイルム用コンパウンドとしては、実施例1と
同様とし、中間層フイルム用コンパウンドとしてはアク
リペツトMD単独及び紫外線吸収剤を用いた以外は、実施
例1と同様の操作で積層フイルムを得た。次に接着剤層
として電気化学工業(株)製塩ビ・酢ビ共重合体、商品
名「デカンビニール#1000」1kgを酢酸エチル9kgに溶解
したものを用いた以外は、実施例1同様に行い3層フイ
ルムを得た。
実施例3 接着剤層として電気化学工業(株)製クロロプレンゴ
ム、商品名「デンカクロロプレンA−70」を用いた以外
は、実施例1と同様の操作を行い3層フイルムを得た。
実施例4 表面層フイルム用コンパウンドとしては、ソーレフ10
10 65重量部、アクリペツトMD35重量部および顔料混合
物として調色しておいた2.5 Y 8.0/2.0(クリーム)顔
料10重量部からなるコンパウンドとした以外は、実施例
1と同様の操作を行い積層フイルムを得た。次に接着剤
層として電気化学工業(株)製、塩化ビニル樹脂、商品
名「デンカビニールSS−110」100重量部、DOP50重量部
および安定剤からなる組成物を混練物、加熱溶融しロー
ルコーターにて積載フイルム上に塗布した以外は、実施
例1と同様に行い3層フイルムを得た。
実施例5 接着剤層として電気化学工業(株)製、ABS樹脂商品
名「デンカABS GR−2000」1kgをトルエン9kgに溶解した
溶液状物を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行い
3層フイルムを得た。
実施例6 接着剤層として電気化学工業(株)製、ポリエステル
系接着剤商品名「デンカハードロックLC−090」を用い
た以外は、実施例4と同様の操作を行い3層フイルムを
得た。
実施例7 実施例1で得た積層フイルムを用い、接着剤層として
電気化学工業(株)製、スチレン−ブタジエンブロツク
共重合体商品名「デンカSTR」を使用して150℃に加熱溶
融し、ロールコーターにて積層フイルムに塗布し3層フ
イルムを得た。
比較例1 実施例1において表面層フイルム用コンパウンドとし
てソーレフ1010 25重量部アクリペツトMD75重量部の組
成物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い3層フ
イルムを得た。
比較例2 実施例1の表面層および中間層の2層からなる積層フ
イルムを得た。
試験方法 1)フイルム厚さ:1/1000mm目盛のピーコツク厚さ計を
使用して測定。
なお2層構成の場合の上層と下層の厚さは各押出機の
押出量比より計算した。
2)耐汚染性:JIS K−6902に準じて行い汚染度合を肉眼
で判定した。但しアセトンを除く。
全く変化ないもの:○ 軽微な変化:△ 3)耐薬品性:フイルム上層に滴下し、室温(23℃)24
時間後の外観を肉眼で判定した。
使用薬品:10%HCl、10%H2SO4、10%CaCl2、10%NaOH 全く変化ないもの:○ 軽微な変化:△ 4)耐候性:デユーサイクルウエザーメーター法による
促進試験 ブラツクパネル63℃、スプレー有 1000時間経過時にブランクサンプルと比較し、基材の
変色の有無を肉眼で判定した。
5)接着耐久性:基材と接着したフイルム側にゴバン目
を入れたデユーサイクルウエザーメーター法で試験 1000時間経過後、ゴバン目、セロテープ剥離試験 剥離が全くないもの:100/100全部 剥離したもの:0/100 6)基材との接着:ロールラミネーターを使用し温度14
0〜170℃にて熱接着した。
(発明の効果) 以上の説明からも明らかのように、本発明の多層フイ
ルムは、積層体は、耐汚染性や耐薬品性にすぐれ、しか
もフツ化ビニリデン樹脂の有する優れた長期耐候性を備
え、加えて基材との接着性が長期にわたり低下しない特
徴を有している。したがつて建築物の内外装、とりわけ
直照日光の影響が厳しい外装用途に有効に使用できる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フツ化ビニリデン系樹脂100〜50重量部と
    メタクリル酸エステル系樹脂0〜50重量部とを主成分と
    する樹脂組成物からなる表面層フイルム、フツ化ビニリ
    デン系樹脂50〜0重量部とメタクリル酸エステル系樹脂
    50〜100重量部とを主成分とする樹脂組成物からなる中
    間層フイルム及び接着剤層の順に積層してなることを特
    徴とするフツ素樹脂系多層フイルム。
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