JP4976063B2 - マイクロ揺動デバイス及び光学素子 - Google Patents

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本発明は、例えばバーコードリーダや光スイッチ等に適用される光学素子及びその光学素子に適用可能なマイクロ揺動デバイスに関する。
従来より、例えばバーコードリーダ等の光学機器には、ミラーが設けられた可動板を揺動させて、そのミラーに入射した光ビーム等をスキャン動作させる光学素子が搭載されている。このような光学素子としては、例えば特許文献1に示されているような、マイクロマシニング技術を用いて成形される小型のマイクロ揺動デバイスを搭載したものが知られている。
特許文献1に示されている光学素子においては、光ビーム等を反射するためのミラーを有する回動体が、フレームにその端部が支持されている捻り梁により揺動可能に保持されている。可動板の端部及びその端部に対向するフレームには垂直静電コムを構成する電極が形成されており、捻り梁のフレームに軸支された部位には水平静電コムを構成する電極が形成されている。垂直静電コム及び水平静電コムは、互いに噛み合う櫛歯状の電極間に電圧が印加されることにより駆動される。垂直静電コムは、可動板に垂直方向に作用する静電力を発生し、この静電力により、可動板が捻り梁をねじりながら回動する。可動板は、この垂直静電コムの静電力と、捻り梁がねじられることにより発生する復元力が作用することにより揺動する。水平静電コムは、捻り梁の両端部を引っ張る方向に静電力を発生するように構成されている。この光学素子は、水平静電コムを駆動することにより、捻り梁の張力を変化させ、可動板の揺動の共振周波数を変化させることができる。
特開2005−141229号公報
しかしながら、特許文献1に示されている光学素子において、垂直静電コムの電極同士が重なっておらず可動板が略中立な姿勢ではないときには、可動板を駆動するための静電力がほとんど発生しない。従って、垂直静電コムに印加する電圧の大きさに対して、比較的可動板の揺動角が小さく、所望の揺動角を得るためには駆動電圧を高くする必要があるという問題がある。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、低い駆動電圧でも可動板を大きな揺動角で駆動可能なマイクロ揺動デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、可動板と、この可動板の両側部に形成され、前記可動板を揺動自在に保持して該可動板の回転軸となる2つの捻り梁と、前記捻り梁を支持するフレーム部と、前記可動板の自由端及びそれに対向する前記フレーム部に互いに噛み合うように形成された櫛歯形状の電極を有し、それらの電極間に電圧が印加されることにより、前記可動板に対し垂直方向の力を発生させる垂直静電コムと、を備えたマイクロ揺動デバイスにおいて、前記捻り梁は、少なくとも2本の梁片を有しており、これらの梁片のうち少なくとも2本の梁片の各々の端部近傍とそれに対向する前記フレーム部とに互いに噛み合うように形成された櫛歯形状の電極を有し、それらの電極間に電圧が印加されることにより、それぞれの梁片に、その長手方向に対して直交する方向の力を発生させる水平静電コムを備え、前記水平静電コムにより前記梁片に発生される力により、前記捻り梁の端部において、前記少なくとも2本の梁片の端部同士の間隔を広げ又は前記少なくとも2本の梁片の端部を互いに近づけ、それによって前記捻り梁の捻り剛性を増加又は減少させるように構成されているものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のマイクロ揺動デバイスにおいて、前記捻り梁及び前記可動板により構成される振動系の共振周波数の略整数倍となる周波数の電圧を、前記水平静電コムの電極間に印加するように構成したものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のマイクロ揺動デバイスを備え、前記可動板には、ミラー膜が設けられており、前記可動板が揺動することにより、前記ミラー膜に入射した光ビームをスキャン動作させるものである。
請求項1の発明によれば、水平静電コムが駆動されることにより、捻り梁のうち、少なくとも2本の梁片にその長手方向に略直交する方向の力が作用するので、捻り梁の捻り剛性を大きく変化させることができる。従って、水平静電コムを駆動して、可動板の姿勢に応じて捻り梁の復元力を大きく変更することにより、垂直静電コムが発生する可動板の駆動力を補助し、低い駆動電圧でも、可動板を大きな揺動角で駆動させることができる。また、水平静電コムにより捻り梁の捻り剛性を変化させることにより、可動板の共振周波数を調整することが可能になる。
請求項2の発明によれば、水平静電コムが駆動され、捻り梁の捻り剛性が、可動板の揺動の共振周波数に応じた周波数で周期的に変化する。従って、可動板が、パラメトリック共振を伴って揺動するので、可動板の揺動角をより大きくすることができる。
請求項3の発明によれば、上述のように、水平静電コムが発生する力により垂直静電コムによる可動板の揺動を補助し、可動板を大きな揺動角で駆動させることができるマイクロ揺動デバイスを搭載しているので、低い駆動電圧でも光ビームのスキャン角を大きくすることができる。また、可動板の共振周波数を、水平静電コムにより調整することができるので、より高性能な光学素子が得られる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1(a)、(b)は、本実施形態に係る光学素子の一例を示す。光学素子1は、例えばマイクロマシニング技術を用いてシリコン基板を成形することにより構成された小型のマイクロ揺動デバイスにより構成されている。この光学素子1は、例えば、バーコードリーダ、外部のスクリーン等に画像を投影するプロジェクタ装置、又は光スイッチ等の光学機器に搭載されるものであり、外部の光源等(図示せず)から入射する光ビーム等をスキャン動作させる機能を有している。
光学素子1は、導電性を有するシリコン基板(図示せず)と絶縁性を有する酸化膜(図示せず)とで構成されたシリコン層10aと、シリコン層10aの下方に配置された、例えばガラス製の基板10bとが接合されて構成されている。シリコン層10aは、可動板2と、可動板2の周囲に設けられたフレーム部3と、可動板2とフレーム部3とを接続する梁4と、フレーム部3と可動板2に形成された垂直静電コム5と、フレーム部3と梁4に形成された水平静電コム6とを一体に有している。この光学素子1は、駆動されていない静止状態にあるとき、可動板2と梁4が略水平に並ぶように構成されている。そして、可動板2及び梁4と基板10bとの間には、シリコン層10aがエッチングされて形成された空隙が設けられており、可動板2は、その両側部に配された2つの梁4を介してフレーム部3に揺動可能に保持されている。
垂直静電コム5は、可動板2のうち、その揺動時に自由端となる側端部と、それに対向するフレーム部3のそれぞれに、互いに噛み合うように形成された櫛歯状の電極2b,3bとで構成されている。垂直静電コム5は、これらの両電極2b,3b間に電圧が印加されることにより、可動板2の側端部に、可動板2に対して略垂直に作用する力を発生し、この力により、図1(b)の矢印及び2点鎖線で示すように、可動板2が揺動駆動される。
梁4は、水平方向に並列に配された2本の梁片4aで構成され、可動板2の両側部の略中央部に互いに略同軸をなすように形成された捻り梁40と、それぞれの一端部が梁片4aの可動板2を保持する側とは反対側の端部に接続された可動電極部4bと、可動電極部4bをフレーム部3に保持する支持梁4cとを有している。可動電極部4bは、捻り梁40の長手方向が、その長手方向となるように配置され、その長手方向両端部それぞれが支持梁4cにより保持されている。すなわち、捻り梁40は、可動電極部4b及び支持梁4cを介して、フレーム部3に保持されている。捻り梁40は、可動板2が駆動されるときに、2本の梁片4aがともにねじられて、主に、ねじりばねとして動作する。支持梁4cは、可動板2が駆動されるときに、主に、捻り梁40の長手方向に略直交する方向へ撓むばねとして動作する。2つの梁4は、可動板2に対して略対称形状に形成されており、可動板2をバランス良く保持している。
可動板2は、矩形板形状に形成されている。可動板2は、その両側部の2つの捻り梁40が並ぶ軸付近にその重心が位置し、駆動されて揺動するとき、捻り梁40を回転軸としてバランスを保ち揺動する。可動板2の上面には、例えば外部から入射される光ビーム等を反射するための矩形形状のミラー膜2aが形成されている。このミラー膜2aは、光学素子1と共に用いられる光源の種類等に応じて選択された、例えばアルミニウムや金等の金属膜である。なお、可動板2やミラー膜2aの形状等は、矩形に限られず、例えば略楕円形状等であってもよい。
水平静電コム6は、可動電極部4bとそれに対向するフレーム部3のそれぞれに、互いに噛み合うように形成された櫛歯状の電極4d,3cで構成されている。水平静電コム6は、これらの両電極4d,3c間に電圧が印加されることにより、可動電極部4bが支持梁4cを撓ませながら電極3cに向けて変位するように構成されている。
フレーム部3は、支持梁4cの端部を支持する支持部3aと、電極3b,3cが配置されており、可動板2と梁4を囲むように配された部位とを備える。支持部3aと、電極3b,3cが配置されている部位とは、その境界に空隙や酸化膜が介在することにより、互いに電気的に絶縁された状態となっている。支持部3aと、電極3b,3cが配置されている部位には、それぞれ電極パッド(図示せず)が形成されており、各部位の電位を変更することができるようになっている。なお、フレーム部3のうち、電極3bが配置されている部位と、電極3cが配置されている部位とは、電極3bと電極3cとが互いに電気的に絶縁された状態となるように構成されていてもよい。
ここで、光学素子1の製造工程の一例について説明する。先ず、ウエハ状のシリコン層10aに、可動板2、梁4、フレーム部3、垂直静電コム5、水平静電コム6を成形してマイクロ揺動デバイスを形成する。このマイクロ揺動デバイスは、例えば、シリコン層10aを、いわゆるバルクマイクロマシニング技術を用いて加工することにより形成される。その後、例えばスパッタリング等の方法を用いることによって、シリコン層10aの上面に金属膜を形成する。そして、この金属膜をパターニングすることにより、可動板2の上面にミラー膜2aを形成し、フレーム部3の上面に電極パッドを形成する。ミラー膜2a及び電極パッドが形成された後、そのシリコン層10aと基板10bとを陽極接合等により接合する。このような一連の工程により、複数の光学素子1を同時に製造することができ、製造コストを低減可能になっている。なお、光学素子1の製造工程はこれに限られるものではなく、例えばレーザ加工や超音波加工等により1つずつ形成されてもよい。
次に、上記のように構成された光学素子1の動作について、図2(a)、(b)及び図3を参照して説明する。光学素子1の可動板2は、垂直静電コム5及び水平静電コム6が所定の駆動周波数で駆動力を発生して駆動される。垂直静電コム5は、例えば、支持部3aに配された電極パッドがグランド電位に接続され、可動板2の櫛歯状の電極2bが基準電位である状態で、フレーム部3の櫛歯状の電極3bが形成されている部位に配された電極パッドの電位を周期的に変化させて、電極2b,3b間に所定の駆動周波数の電圧が印加されて駆動される。垂直静電コム5において、2つの電極3bの電位が、同時に所定の駆動電位(例えば、数十ボルト)まで変化することにより、可動板2の両端部に設けられた2つの電極2bが、同時に、それぞれと対向する電極3bに、静電力により引き寄せられる。この光学素子1において、垂直静電コム5には、例えば矩形波形状の電圧が印加され、その駆動力が図3に示すように周期的に発生する。
上述のように形成された可動板2は、一般に多くの場合、その成型時に寸法誤差等が生じることにより、静止状態でも可動板2が水平姿勢ではなく、きわめて僅かであるが傾いている。そのため、静止状態からであっても、垂直静電コム5が駆動されると、可動板2にそれに略垂直な方向の駆動力が加わり、可動板2が捻り梁40を回転軸として回動する。そして、垂直静電コム5の駆動力を、可動板2が電極2b,3bが重なりあうような姿勢となったときに解除すると、可動板2は、その慣性力により、捻り梁40をねじりながら回動を継続する。そして、可動板2の回動方向への慣性力と、捻り梁40の復元力とが等しくなったとき、可動板2のその方向への回動が止まる。このとき、垂直静電コム5が再び駆動され、可動板2は、捻り梁40の復元力と垂直静電コム5の駆動力により、それまでとは逆の方向への回動を開始する。可動板2は、このような垂直静電コム5の駆動力と捻り梁40の復元力による回動を繰り返して揺動する。垂直静電コム5は、可動板2と捻り梁40により構成される振動系の共振周波数の2倍の周波数の電圧が印加されて駆動され、可動板2が共振現象を伴って駆動され、その揺動角が大きくなるように構成されている。なお、垂直静電コム5の電圧の印加態様や駆動周波数は、上述に限られるものではなく、例えば、駆動電圧が正弦波形で印加されるように構成されていても、また、電極2b,3bの電位が共に変化することにより垂直静電コム5が駆動されるように構成されていてもよい。
一方、水平静電コム6も、垂直静電コム5と略同様に、電極4d,3c間に、例えば矩形波形状の電圧が印加されて駆動される。図2(a)に示すような静止状態から、水平静電コム6が駆動されると、図2(a)の矢印方向に駆動力が発生し、図2(b)に示すように、可動電極部4bが、支持梁4cと、捻り梁40の梁片4aを撓ませながら、捻り梁40の長手方向に略直交し捻り梁40から離れる方向に向けて変位する。水平静電コム6は、捻り梁40の2本の梁片4aのそれぞれの端部を保持する可動電極部4bに設けられていることから、水平静電コム6の駆動力が発生することにより、捻り梁40の端部において、2本の梁片4aの端部同士の間隔が広がる。すなわち、水平静電コム6が駆動され、梁片4aにその長手方向に対し直交する方向の力が発生することにより、2本の梁片4aを併せた捻り梁40の全体としての捻り剛性が増加する。
図3は、可動板2の揺動角と、そのとき垂直静電コム5及び水平静電コム6がそれぞれ発生する駆動力とを示す。図において、可動板2の揺動角と共に、可動板2の揺動の1/4周期毎(時刻t1,t2,t3,…,t7)に、可動板2の姿勢を、その側面図A1,A2,A3,…,A7により示している。この光学素子1において、水平静電コム6は、垂直静電コム5が発生する駆動力に対応して駆動され、可動板2の揺動が水平静電コム6により補助されながら駆動される。水平静電コム6は、垂直静電コム5と同じ駆動周波数で同位相の矩形波形の電圧が印加されて駆動され、垂直静電コム5と水平静電コム6は、それぞれ、可動板2の揺動角に応じたタイミングで駆動力を発生する。
図に示すように、可動板2の揺動角の絶対値が増加していくとき(時刻t0乃至t1、t2乃至t3、t4乃至t5,…)、垂直静電コム5の電極2b,3b間の間隔が大きくなっていくので、垂直静電コム5が駆動されず、また、水平静電コム6も駆動されない。この期間において、可動板2は、その慣性力により、捻り梁40を捻りながら回動する。反対に、可動板2の揺動角の絶対値が減少していくときには、(時刻t1乃至t2、t3乃至t4、t5乃至t6,…)、垂直静電コム5の電極2b,3b間の間隔が近づく方向に回動するので、垂直静電コム5が駆動され、また、水平静電コム6も駆動される。この期間においては、可動板2は、垂直静電コム5の駆動力と捻り梁40の復元力により、その角速度を加速させながら回動する。この光学素子1は、水平静電コム6を駆動することにより、可動板2の回動を加速させるときには、捻り梁40の捻り剛性を増加させた状態でその復元力を大きくし、可動板2が慣性力により回動するときには、捻り梁40の捻り剛性が小さい状態のままとして、その復元力を変更しない。これにより、可動板2は、その慣性力を有効に利用して、いわゆるパラメトリック共振を伴い、大きな揺動角で揺動する。
なお、この可動板2の揺動の運動方程式は、可動板2の揺動角をθとし、可動板2の完成モーメントをIとし、可動板2の周囲の空気の粘性係数をcとし、静止状態での捻り梁40の捻り剛性をkとし、可動板2に作用するトルクをMとすると、水平静電コム6の駆動力が最大のときの、通常時と比較した捻り梁40の捻り剛性の増加分をαとしたとき、次式のように示すことができる。
Figure 0004976063
図4は、上記数式について、αがゼロのとき(図の実線)と、αが例えば0.05のとき(図の点線)とにおける、可動板2の駆動を開始してからの可動板2の揺動角の推移を示す。この場合、αがゼロのときは、水平静電コム6の駆動力が働かないときに対応し、αが0.05のときは、水平静電コム6の駆動力が作用して可動板2がパラメトリック共振を伴い揺動するときに対応する。可動板2の揺動角は、時刻0に駆動開始されてから徐々に大きくなり、次第にその定常駆動時の揺動角に漸近していく。この図より、水平静電コム6の駆動力が作用する場合の揺動角は、作用しない場合の揺動角よりも、明らかに大きいことがわかる。
このように、本実施形態においては、水平静電コム6が捻り梁40の梁片4aにその長手方向に対し略垂直方向の力を加えて捻り梁40の捻り剛性を増加させることにより、垂直静電コム5による駆動力を補助し、可動板2をパラメトリック共振を伴い揺動させることができるので、低い駆動電圧であっても、可動板の揺動角を大きくすることができる。従って、光学素子1の光ビームのスキャン角をより大きくすることが可能になる。また、水平静電コム6の駆動力を利用して捻り梁40の捻り剛性を変化させることにより、可動板2の共振周波数を調整し、より高性能な光学素子1を得ることができる。
なお、本発明は上記各実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、水平静電コム6は、例えば、正弦波形状の駆動電圧により駆動されてもよく、水平静電コム6の駆動周波数は、垂直静電コム5の駆動周波数と同じでなくても、可動板2と捻り梁40により構成される振動系の共振周波数の1倍や3倍等、略整数倍であってもよい。このような場合であっても、垂直静電コム5の駆動力を水平静電コム6の駆動力により補助して可動板2を揺動させ、光ビームのスキャン角をより大きくすることが可能である。また、水平静電コムは、例えば2本の梁片4aの端部を互いに近づけて捻り梁40の捻り剛性を減少させるように駆動力を発生させることができるように構成されていてもよい。この場合、例えば、水平静電コムを垂直静電コム5と略逆位相で駆動することにより、上述と同様に効果的にパラメトリック共振現象を発生させ、可動板2をより大きな揺動角で駆動させることができる。さらにまた、捻り梁は、3本以上の梁片が並列して配置されて構成されていてもよく、水平静電コムは、それらの梁片のうち少なくとも2本の各々に、その長手方向に略直交する方向の力を加えるように配置されていればよい。
また、マイクロ揺動デバイスを構成する材質はシリコンやその酸化物等に限られず、一体に構成されていなくてもよい。すなわち、マイクロ揺動デバイスは、レーザ微細加工、超音波加工等により加工された各部材を組み合わせて形成されるようなものであってもよい。このような場合であっても、水平静電コムにより捻り梁の捻り剛性を変化させることにより、可動板の揺動角をより大きくすることが可能になる。
さらにまた、上述のように可動板を水平静電コムの駆動力により駆動する構造のマイクロ揺動デバイスは、可動板にミラー膜を形成した光学素子として用いられるものに限られず、例えば、可動板に発光体を搭載して用いられてもよい。
(a)は本発明の一実施形態に係る光学素子を示す平面図、(b)は(a)のI−I線における側断面図。 (a)は上記光学素子の静止状態を示す平面図、(b)は同光学素子が駆動されているときの平面図。 上記光学素子の動作を示すタイムチャート。 上記光学素子の可動板の揺動角の推移を示すグラフ。
符号の説明
1 光学素子(マイクロ揺動デバイス)
2 可動板
2a ミラー膜
2b,3b (垂直静電コムを構成する)電極
3 フレーム部
3c,4d (水平静電コムを構成する)電極
4a 梁片
5 垂直静電コム
6 水平静電コム
40 捻り梁

Claims (3)

  1. 可動板と、この可動板の両側部に形成され、前記可動板を揺動自在に保持して該可動板の回転軸となる2つの捻り梁と、前記捻り梁を支持するフレーム部と、前記可動板の自由端及びそれに対向する前記フレーム部に互いに噛み合うように形成された櫛歯形状の電極を有し、それらの電極間に電圧が印加されることにより、前記可動板に対し垂直方向の力を発生させる垂直静電コムと、を備えたマイクロ揺動デバイスにおいて、
    前記捻り梁は、少なくとも2本の梁片を有しており、
    これらの梁片のうち少なくとも2本の梁片の各々の端部近傍とそれに対向する前記フレーム部とに互いに噛み合うように形成された櫛歯形状の電極を有し、それらの電極間に電圧が印加されることにより、それぞれの梁片に、その長手方向に対して直交する方向の力を発生させる水平静電コムを備え、
    前記水平静電コムにより前記梁片に発生される力により、前記捻り梁の端部において、前記少なくとも2本の梁片の端部同士の間隔を広げ又は前記少なくとも2本の梁片の端部を互いに近づけ、それによって前記捻り梁の捻り剛性を増加又は減少させることを特徴とするマイクロ揺動デバイス。
  2. 前記捻り梁及び前記可動板により構成される振動系の共振周波数の整数倍となる周波数の電圧を、前記水平静電コムの電極間に印加するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ揺動デバイス。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のマイクロ揺動デバイスを備え、
    前記可動板には、ミラー膜が設けられており、
    前記可動板が揺動することにより、前記ミラー膜に入射した光ビームをスキャン動作させることを特徴とする光学素子。
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