以下、本発明の実施形態の光偏向器について説明する。
まず、図1に示した光偏向器A1の構成について説明した後(「1.光偏向器の構成」)、光偏向器A1の作動について説明する(「2.光偏向器の作動」)。その後、光偏向器A1の偏向角の減少を抑制しつつ、外側圧電アクチュエータ101,102の強度を向上できることを鑑みたときに、より良い、リブ42(図2参照)の大きさ及び位置について説明する(「3.リブ及び連結部の適切な形態」)。
「1.光偏向器の構成」
図1に示すように、本実施形態の光偏向器A1は、反射部1と、反射部1が搭載された可動部9と、反射部1を可動部9に対して第1軸X1の周りに揺動させるための圧電アクチュエータ(以下、「内側圧電アクチュエータ」という)81,82と、反射部1及び可動部9を支持基体11に対して第2軸X2(第1軸X1に直交する軸。但し、第1軸X1と第2軸X2とが正確に直交している必要はない。)の周りに揺動させるための圧電アクチュエータ(以下、「外側圧電アクチュエータ」という)101,102とを備えている。
反射部1は、円板状の反射部基体1aと、この反射部基体1a上に入射された光を反射する金属薄膜で形成された反射面1bとを備え、反射部基体1aの直径方向の両端から外側へ向かって延設された1対のトーションバー2a,2bを介して、可動部9に連結されている。
詳細には、可動部9は方形枠状に形成され、反射部1の周囲を囲むように設けられている。そして、反射部基体1aから延設されたトーションバー2a,2bの各々の先端部が、可動部9の内周部に連結されている。
反射部1を可動部9に対して揺動させる内側圧電アクチュエータ81,82は、各々が半円弧形状に形成され、互いに反射部1を囲むように空隙を隔てて配置されている。内側圧電アクチュエータ81,82は、各々の一方の端部が一方のトーションバー2aを挟んで対向して配置され、各々の他方の端部が他方のトーションバー2bを挟んで対向して配置されている。
各内側圧電アクチュエータ81,82は、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された圧電カンチレバーにより構成されている。これにより、各内側圧電アクチュエータ81,82が圧電駆動によって屈曲変形することで、トーションバー2a,2bは、軸心回りに揺動する。これにより、反射部1は、トーションバーの揺動に伴って該トーションバー2a,2bの軸心となる第1軸X1の周りに揺動可能となっている。
支持基体11は方形枠状に形成され、可動部9の周囲を囲むように設けられている。そして、反射部1及び可動部9を支持基体11に対して揺動させる一対の外側圧電アクチュエータ101,102が、支持基体11の内周部と可動部9の外周部との間で、可動部9を挟んで第2軸X2の方向に対向するようにして配置されており、これらの外側圧電アクチュエータ101,102を介して、可動部9が支持基体11に支持されている。
各外側圧電アクチュエータ101,102は、圧電駆動によって屈曲変形するように各々構成された複数(図示例では5つ)の圧電カンチレバー31〜35が、連結部41(図2参照)によって連結されることで構成されている。また、圧電カンチレバー31,35は、その長さが、圧電カンチレバー32〜34の長さの半分程度となるように形成されている。
複数の圧電カンチレバー31〜35は、支持基体11の内周部と可動部9の外周部との間で、第2軸X2と直交する方向に延在して、第2軸X2の方向に間隔を存して並ぶように配置されると共に、その各圧電カンチレバー31〜35が隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返されるように連結されている。従って、各外側圧電アクチュエータ101,102は、第2軸X2と直交する方向を振幅方向として蛇行するようにして延在している。
換言すると、外側圧電アクチュエータ101,102の各々は、各圧電カンチレバー31〜35が所謂ミアンダ形状に形成されている。
ここで、各圧電カンチレバー31〜35の配置において端に位置する2つの圧電カンチレバー31,35のうち、一方の圧電カンチレバーを先端側圧電カンチレバー31といい、他方の圧電カンチレバーを基端側圧電カンチレバー35という。また、各圧電カンチレバー31〜35のうち、先端側圧電カンチレバー31及び基端側圧電カンチレバー35の間に位置する圧電カンチレバーを、中間圧電カンチレバー32〜34という。
先端側圧電カンチレバー31は、一方の端部が可動部9(より詳細には、可動部9の外周部のうち第1軸X1に平行な辺の、第1軸X1に平行な方向における中央部付近)に連結されている。また、先端側圧電カンチレバー31は、可動部9に連結されている側とは反対側の端部が、隣り合う圧電カンチレバー32の当該反対側の端部と同一側の端部に、連結部41によって連結されている。
基端側圧電カンチレバー35は、一方の端部が支持基体11(より詳細には、支持基体11の内周部のうち第1軸X1に平行な辺の、第1軸X1に平行な方向における中央部付近)に連結されている。また、基端側圧電カンチレバー35は、支持基体11に連結されている側とは反対側の端部が、隣り合う圧電カンチレバー34の当該反対側の端部と同一側の端部に、連結部41によって連結されている。
中間圧電カンチレバー32〜34の各々は、一方の端部が、隣り合う圧電カンチレバーのうち一方の圧電カンチレバー(「31又は33」,「32又は34」,「33又は35」)の当該一方の端部と同一側の端部に、連結部41によって連結されている。
また、中間圧電カンチレバー32〜34の各々は、当該圧電カンチレバーの一方の端部とは反対側の端部が、隣り合う他方の圧電カンチレバー(「33又は31」,「34又は32」,「35又は33」)の当該反対側の端部と同一側の端部に、連結部41によって連結されている。
外側圧電アクチュエータ101,102が以上のようなミアンダ形状に構成されることにより、可動部9が、外側圧電アクチュエータ101,102を介して支持基体11に支持されると共に、各外側圧電アクチュエータ101,102を構成する圧電カンチレバー31〜35の屈曲変形によって、支持基体11に対して第2軸X2の周りに揺動可能となっている。
以降の説明では、各外側圧電アクチュエータ101,102を構成する圧電カンチレバー31〜35を各々、可動部9側から順番に1番目、2番目、3番目、4番目、5番目の圧電カンチレバーということがある。また、圧電カンチレバー31,33,35を奇数番目の圧電カンチレバー、圧電カンチレバー32,34を偶数番目の圧電カンチレバーということがある。
なお、図示例の光偏向器A1では、各外側圧電アクチュエータ101,102を構成する圧電カンチレバー31〜35の個数は5個であるが、2個以上であればいずれの個数により各外側圧電アクチュエータ101,102を構成するようにしてもよいことはもちろんである。
また、連結部41には、当該連結部41から突出し、当該連結部41が連結している2つの圧電カンチレバーの幅方向において、当該2つの圧電カンチレバーの間の空隙43(図2参照)の範囲よりも広い範囲に亘って(後述する第1位置から第2位置の範囲に亘って)、前記連結部41に設けられたリブ42が設けられている。なお、リブ42は、直方体形状に形成されている。
ここで、所定のリブ42において、当該リブ42が設けられている連結部41を「対象連結部」といい、当該リブ42における対象連結部41が連結している2つの圧電カンチレバーの各々を、「対象圧電カンチレバー」という。
また、第1位置とは、対象圧電カンチレバーの幅方向(第2軸X2に平行な方向)において、2つの当該対象圧電カンチレバーの間の空隙43(図2参照)よりも一方の対象圧電カンチレバー側の所定の位置である。また、第2位置とは、対象圧電カンチレバーの幅方向(第2軸X2に平行な方向)において、2つの当該対象圧電カンチレバーの間の空隙43よりも他方の対象圧電カンチレバー側の所定の位置である。
これにより、リブ42により連結部41ひいては外側圧電アクチュエータ101,102の剛性(すなわち、強度)を向上できる。
本実施形態では、リブ42は、当該リブ42の対象圧電カンチレバーの幅方向(第2軸X2に平行な方向)において、当該リブ42の対象連結部41の一方の端部から他方の端部まで設けられている。例えば、図2には、2つの対象圧電カンチレバーが、4番目の圧電カンチレバー34と5番目の圧電カンチレバー35とであるときにおける、一方の端部34a及び他方の端部35bを示している。
内側圧電アクチュエータ81,82の各々と、外側圧電アクチュエータ101,102を構成する圧電カンチレバー31〜35の各々とは、図3に模式的な断面図で示すように、起歪体(カンチレバー本体)としての支持体4の層上に下部電極5、圧電体6及び上部電極7の層を積層した構造の圧電カンチレバーである。
このうち内側圧電アクチュエータ81,82の各々と、外側圧電アクチュエータ101,102を構成する圧電カンチレバー31〜35の各々とは、下部電極5と上部電極7との間で圧電体6に駆動電圧を印加することで、圧電体6と共に支持体4が屈曲変形するようになっている。
上記外側圧電アクチュエータ101,102の圧電カンチレバー31〜35のうち隣り合う圧電カンチレバーの連結部41は、その隣り合う圧電カンチレバーの各々の支持体4を一体に連結した部分となっている。当該連結部41には、圧電体6及び上部電極7の層は設けられていない。
また、図1を参照して、支持基体11上には、8個の電極パッド121〜126,131,132が設けられている。
これらの電極パッド121〜126,131,132のうち、2つの電極パッド131,132が、基準電位点となる電極パッド(以下、「下部電極パッド」という)である。
また、以降の説明では、下部電極パッド131,132以外の6つの電極パッド121〜126を、上部電極パッドということがある。
図1及び図3を参照して、電極パッド121は、内側圧電アクチュエータ81の上部電極7と下部電極5との間に駆動電圧を印加するための上部電極パッドである。電極パッド122は、内側圧電アクチュエータ82の上部電極7と下部電極5との間に駆動電圧を印加するための上部電極パッドである。
電極パッド123は、外側圧電アクチュエータ101の奇数番目の圧電カンチレバー31,33,35の上部電極7と下部電極5との間に駆動電圧を印加するための上部電極パッドである。電極パッド124は、外側圧電アクチュエータ101の偶数番目の圧電カンチレバー32,34の上部電極7と下部電極5との間に駆動電圧を印加するための上部電極パッドである。
電極パッド125は、外側圧電アクチュエータ102の奇数番目の圧電カンチレバー31,33,35の上部電極7と下部電極5との間に駆動電圧を印加するための上部電極パッドである。電極パッド126は、外側圧電アクチュエータ102の偶数番目の圧電カンチレバー32,34の上部電極7と下部電極5との間に駆動電圧を印加するための上部電極パッドである。
下部電極パッド131は、上部電極パッド121,123,124に対して共通の下部電極パッドである。下部電極パッド132は、上部電極パッド122,125,126に対して共通の下部電極パッドである。
下部電極5と下部電極パッド131,132とは、支持体4を構成する半導体基板(例えばシリコン基板)上の金属薄膜(本実施形態では2層の金属薄膜。以下、下部電極層ということがある)を、半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより形成されている。この金属薄膜の材料としては、例えば、1層目(下層)にはチタン(Ti)を用い、2層目(上層)には白金(Pt)が用いられる。
各内側圧電アクチュエータ81,82の下部電極5は、該内側圧電アクチュエータ81,82の支持体4上のほぼ全面に形成されている。各外側圧電アクチュエータ101,102の圧電カンチレバー31〜35の下部電極5は、各々、支持体4(直線部(各圧電カンチレバー31〜35が延在する部分)と連結部とを合わせた全体)上のほぼ全面に形成されている。
そして、下部電極パッド131,132は、支持基体11上及び可動部9上に形成された下部電極層を介して、各々、内側圧電アクチュエータ81,82の下部電極5、及び外側圧電アクチュエータ101,102の下部電極5に導通される。
各内側圧電アクチュエータ81,82、及び各外側圧電アクチュエータ101,102の圧電カンチレバー31〜35の各々の圧電体6は、半導体プレーナプロセスを用いて、下部電極層上の1層の圧電膜(以下、圧電体層ということがある)を形状加工することにより、各々の下部電極5上に互いに分離して形成されている。この圧電膜の材料としては、例えば、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が用いられる。
この場合、各内側圧電アクチュエータ81,82の圧電体6は、各内側圧電アクチュエータ81,82毎に、下部電極5上のほぼ全面に形成されている。また、各外側圧電アクチュエータ101,102の圧電体6は、各圧電カンチレバー31〜35の延在部分(直線部)において、下部電極5上のほぼ全面に形成されている。
各上部電極7と、上部電極パッド121〜126と、これらを導通する上部電極配線(図示せず)は、半導体プレーナプロセスを用いて、圧電体層上の金属薄膜(本実施形態では1層の金属薄膜。以下、上部電極層ということがある)を形状加工することにより形成されている。この金属薄膜の材料としては、例えば白金(Pt)又は金(Au)が用いられる。
この場合、内側圧電アクチュエータ81,82の上部電極7は、内側圧電アクチュエータ81,82毎に、その圧電体6上のほぼ全面に形成されている。外側圧電アクチュエータ101,102の上部電極7は、圧電カンチレバー31〜35毎に、その圧電体6上のほぼ全面に形成されている。
そして、電極パッド121,122は、各々、内側圧電アクチュエータ81の上部電極7、内側圧電アクチュエータ82の上部電極7に、上部電極配線(図示せず)を介して導通される。
また、電極パッド123〜126は、各々、外側圧電アクチュエータ101の奇数番目の圧電カンチレバー31,33,35の上部電極7、外側圧電アクチュエータ101の偶数番目の圧電カンチレバー32,34の上部電極7、外側圧電アクチュエータ102の奇数番目の圧電カンチレバー31,33,35の上部電極7、及び外側圧電アクチュエータ102の偶数番目の圧電カンチレバー32,34の上部電極7の各々に、上部電極配線(図示せず)を介して導通される。
反射部1の反射面1bは、半導体プレーナプロセスを用いて、反射部基体1a上の金属薄膜(本実施形態では1層の金属薄膜)を形状加工して形成されている。その金属薄膜の材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等が用いられる。
また、反射部基体1aと、トーションバー2a,2bと、支持体4と、可動部9と、支持基体11と、連結部41と、リブ42とは、複数の層から構成される半導体基板(シリコン基板)を形状加工することにより一体的に形成されている。半導体基板を形状加工する手法としては、フォトリソグラフィ技術又はドライエッチング技術等を利用した半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスが用いられる。
更に、光偏向器A1は、反射部1の揺動(偏向及び走査)を制御する制御回路(図示省略)に接続されている。制御回路は、CPU、プロセッサ、記憶装置等を含む電子回路ユニットである。制御回路は、内側圧電アクチュエータ81,82及び外側圧電アクチュエータ101,102に印加する駆動電圧を制御する。
本実施形態において、反射部1、トーションバー2a,2b、内側圧電アクチュエータ81,82、及び可動部9が、本発明におけるミラー部を構成している。外側圧電アクチュエータ101,102が、本発明における「アクチュエータ」に相当する。外側圧電アクチュエータ101,102の各圧電カンチレバー31〜35の支持体4が、本発明における「支持体」に相当する。第2軸X2が、本発明における「所定の軸」に相当する。
「2.光偏向器の作動」
次に、本実施形態の光偏向器A1の作動について説明する。
光偏向器A1は、例えば、電子写真の画像形成装置又は走査型ディスプレイ等の画像表示装置に備えられ、反射部1に入射する光を、画像投影面等に対して偏向及び走査する。
この場合、内側圧電アクチュエータ81,82を圧電駆動することで反射部1の第1軸X1周りの揺動が行われ、外側圧電アクチュエータ101,102を圧電駆動することで反射部1(もしくは、可動部9)の第2軸X2周りの揺動が行われる。反射部1の第1軸X1周りの揺動と、第2軸X2周りの揺動とは、各々、例えば水平方向の偏向及び走査、垂直方向の偏向及び走査のための揺動である。
反射部1の第1軸X1周りの揺動は、以下のように行われる。すなわち、制御回路は、内側圧電アクチュエータ81の上部電極7と下部電極5との間に第1駆動電圧を印加すると共に、内側圧電アクチュエータ82の上部電極7と下部電極5との間に第2駆動電圧を印加する。
この場合、第1駆動電圧と第2駆動電圧とは、互いに逆位相、或いは位相のずれた所定周波数の周期性信号である(例えば、正弦波等の交流信号、又は該交流電圧に直流成分が加えられてオフセットされた信号)。
これにより、内側圧電アクチュエータ81,82が、互いに逆方向に屈曲変形するように圧電駆動される。これにより、反射部1は、第1軸X1周りに揺動し、第1軸X1周りでの光の偏向及び走査が行われる。
本実施形態においては、内側圧電アクチュエータ81,82を含む反射部1の機械的な共振周波数付近の周波数の電圧信号を、内側圧電アクチュエータ81,82に印加して共振駆動させている。
なお、本実施形態においては、第1駆動電圧及び第2駆動電圧の周波数は30[kHz]である。
反射部1(もしくは可動部9)の第2軸X2周りの揺動は、次のように行われる。制御回路は、外側圧電アクチュエータ101,102の各々の奇数番目の圧電カンチレバー31,33,35を圧電駆動するための第3駆動電圧を出力すると共に、外側圧電アクチュエータ101,102の各々の偶数番目の圧電カンチレバー32,34を圧電駆動するための第4駆動電圧を出力する。
ここで、第3駆動電圧と第4駆動電圧とは、互いに逆位相、或いは位相のずれた所定周波数の周期性信号である。例えば、第3駆動電圧及び第4駆動電圧は、正弦波等の交流信号、又は該交流電圧に直流成分が加えられてオフセットされた信号である。
本実施形態では、第3駆動電圧及び第4駆動電圧として、本願出願人が特開2012−185314号公報等に提案したような所定周波数のノコギリ波状の電圧信号を用いている。
詳細には、第3駆動電圧及び第4駆動電圧は、互いに同一周波数で、且つ、互いに逆位相である。そして、第3駆動電圧は、その電圧値が極小値から極大値まで増加していく立ち上がり期間の時間幅をT1a、電圧値が極大値から次の極小値まで減少していく立ち下がり期間の時間幅をT1bとしたとき、本実施形態では、「T1a:T1b=9:1」となるようにT1a,T1bの比率があらかじめ設定されている。
また、第4駆動電圧は、第3駆動電圧の波形の逆位相の波形とされている。すなわち、第4駆動電圧は、その電圧値が極小値から極大値まで増加していく立ち上がり期間の時間幅をT2a、電圧値が極大値から次の極小値まで減少していく立ち下がり期間の時間幅をT2bとしたとき、「T2a:T2b=1:9」となるようにT2a,T2bの比率があらかじめ設定されている。換言すれば、T2a,T2bの比率は、第1駆動電圧のT1a,T1bの比率と逆の比率になるように設定されている。
また、本実施形態では、第4駆動電圧は、第3駆動電圧に対して非同期の電圧信号とされ、第4駆動電圧の立ち上がり期間の始点のタイミングが、第3駆動電圧の立ち上がり期間の始点よりも多少遅れたタイミングとなるように、第3駆動電圧と第4駆動電圧との位相差が設定されている。
なお、第4駆動電圧が第3駆動電圧に対して非同期であるということは、第4駆動電圧の電圧値が極小値となるタイミングが、第3駆動電圧の電圧値が極大値となるタイミングと一致しない(すなわち、第4駆動電圧の立ち下がり期間の始点(又は終点)が、第3駆動電圧の立ち上がり期間の始点(又は終点)と一致しない)ことを意味する。
なお、連結部41にリブ42を設けて、外側圧電アクチュエータ101,102を含むミラー部(可動部9等)の機械的な共振周波数fを600[Hz]以上とした場合、第3駆動電圧と第4駆動電圧を、以下に示されるような駆動電圧として外側圧電アクチュエータ101,102を駆動してもよい。
詳細には、第3駆動電圧は、遮断周波数が600[Hz]のローパスフィルタを通過させた本実施形態の第3駆動電圧(「T1a:T1b=9:1」)である。また、第4駆動電圧は、当該第3駆動電圧(当該ローパスフィルタを通過した本実施形態の第3駆動電圧)の最小値及び最大値における中央値に対して、線対称な駆動電圧である。
以下、本実施形態の説明に戻る。
外側圧電アクチュエータ101,102の各々の奇数番目の圧電カンチレバー31,33,35を上記のような第3駆動電圧により圧電駆動した場合には、基本的には、該第3駆動電圧の電圧値の立ち上がり期間において、1番目の圧電カンチレバー31の先端部(可動部9との連結部分)と、3番目の圧電カンチレバー33の先端部(2番目の圧電カンチレバー32との連結部分)と、5番目の圧電カンチレバー35の先端部(4番目の圧電カンチレバー34との連結部分)とが、各々の圧電カンチレバー31,33,35の基端部に対して同じ向き(上向き又は下向き)に変位するように、奇数番目の圧電カンチレバー31,33,35が屈曲変形する。
また、外側圧電アクチュエータ101,102の各々の偶数番目の圧電カンチレバー32,34を上記のような第4駆動電圧により圧電駆動した場合には、基本的には、該第4駆動電圧の電圧値の立ち下がり期間において、2番目の圧電カンチレバー32の先端部(1番目の圧電カンチレバー31との連結部分)と、4番目の圧電カンチレバー34の先端部(3番目の圧電カンチレバー33との連結部分)とが、各々の圧電カンチレバー32,34の基端部に対して、奇数番目の圧電カンチレバー31,33,35の場合と逆向き(下向き又は上向き)に変位するように、偶数番目の圧電カンチレバー32,34が屈曲変形する。
これにより、外側圧電アクチュエータ101,102では、各圧電カンチレバー31〜35の屈曲変形の大きさを累積した大きさの角度変位が発生する。
なお、外側圧電アクチュエータ101,102は、各圧電カンチレバー31〜35の屈曲変形の大きさを累積するように構成されている。これにより、第3電圧信号及び第4電圧信号として、外側圧電アクチュエータ101,102を含む可動部9の機械的な共振周波数ではない非共振周波数の電圧信号、又は直流の電圧信号を用いた場合であっても、充分に光走査可能な偏向角を得ることができる。
第3電圧信号及び第4電圧信号として、直流電圧を用いた場合には、各圧電カンチレバー31〜35は、直流電圧の大きさに応じて線形的に変化する。従って、例えば周期性を有する電圧信号を印加して圧電カンチレバーを共振駆動させる場合と異なり、直流電圧の大きさを制御することで外側圧電アクチュエータ101,102から任意の出力を得ることができる。
このように、光偏向器A1では、第2軸X2周りに揺動する場合には、駆動電圧として印加した直流電圧の大きさに応じて線形的に偏向角を制御することができるので、任意の速度で任意の偏向角を得ることができる。
なお、第3電圧信号及び第4電圧信号として、駆動電圧として外側圧電アクチュエータ101,102を含む可動部9の機械的な共振周波数付近の周波数の電圧信号を印加して共振駆動させた場合には、外側圧電アクチュエータ101,102には、より大きな偏向角で光走査することができる。
なお、本実施形態においては、第3駆動電圧及び第4駆動電圧の周波数は60[Hz]である。
以上のように構成されて作動する光偏向器A1において、リブ42によって連結部41の剛性が向上することにより、圧電カンチレバー31〜35の屈曲変形による振動が当該連結部41に伝達されたときに、連結部41にリブ42が設けられていない場合に比べて、当該振動による連結部41の変形が少なくなる。
従って、連結部41は、当該連結部41が連結している2つの圧電カンチレバーの屈曲変形を、効率よく累積することができる。これにより、連結部41にリブ42が設けられていない場合に比べて、外側圧電アクチュエータ101,102による可動部9の第2軸X2回りの揺動角度を増加できる。
更に、リブ42は、連結部41から突出しており、圧電カンチレバー31〜35からは突出していない。このため、駆動電圧が印加されたときの圧電カンチレバー31〜35の屈曲変形を、リブ42によって妨げられることがない。これにより、連結部41にリブ42が設けられた場合であっても、外側圧電アクチュエータ101,102による可動部9の第2軸X2回りの揺動角度の低下を抑制でき、ひいては、光偏向器A1の第2軸X2回りの偏向角の減少を抑制できる。
以上のように、光偏向器A1の第2軸X2回りの偏向角の減少を抑制しつつ、外側圧電アクチュエータ101,102の強度を向上できる。
特に、本実施形態においては、リブ42は、当該リブ42の対象圧電カンチレバーの幅方向(第2軸X2に平行な方向)において、当該リブ42の対象連結部41の一方の端部から他方の端部まで設けられている。この構成により、リブ42は、より外側圧電アクチュエータ101,102の強度を向上させることができる。このため、外側圧電アクチュエータ101,102による可動部9の第2軸X2回りの揺動角度の低下をより抑制でき、ひいては、光偏向器A1の偏向角の減少をより抑制できる。
「3.リブ及び連結部の適切な形態」
本願発明者は、光偏向器A1の偏向角の減少を抑制しつつ、外側圧電アクチュエータ101,102の強度を向上することを鑑みたときに、リブ42及び連結部41のより好ましい形態を求めるために、リブの配置形態を求める予備実験を行った。
本願発明者は、この予備実験によって、上述した本実施形態のように、リブ42の形態としては、連結部41のみから突出させる(圧電カンチレバーからは突出させない)形態が、光偏向器A1の偏向角の減少を抑制しつつ外側圧電アクチュエータ101,102の強度を向上させるという目的を達成するのに、最適であることを導出した。
そして、当該予備実験で最適となったリブの配置形態において、より適切なリブの形態を求める本実験として、4種類の実験を行った。
「3−1.予備実験」
図4を参照して、予備実験について説明する。なお、図4では、圧電カンチレバーを便宜上「30」という符号で表している。
予備実験は、以下の3つのリブの配置形態についての実験である。
第1の予備実験は、図4(a)に示されるように、本実施形態で説明したリブ42(すなわち、連結部41上のみから突出しているリブ)の配置形態である。
第2の予備実験は、図4(b)に示されるように、2つのリブ42bが、連結部41によって連結されている2つの圧電カンチレバー30上から1つずつ突出している配置形態である。すなわち、リブ42bは、連結部41上からは突出していない配置形態である。
第3の予備実験は、図4(c)に示されるように、1つのリブ42cが、「連結部41」及び「当該連結部41によって連結されている2つの圧電カンチレバー30」に亘って突出している配置形態である。
これら3つのリブの配置形態において、「外側圧電アクチュエータ101,102及びミラー部(反射部1、トーションバー2a,2b、内側圧電アクチュエータ81,82、及び可動部9)により構成される構造体の共振周波数f(以下、単に「共振周波数f」という)」と、「反射面1bの第2軸X2回りの偏向角θ(以下、単に「偏向角θ」という)」について計測した結果が図4(d)である。
なお、共振周波数fが大きいということは、外側圧電アクチュエータ101,102の剛性が大きいということである。
図4(d)より、共振周波数fが最も高いのは、リブ42c(図4(d)の右端)であるが、当該リブ42cは、偏向角θが最も小さい。これは、リブ42cが連結部41に加え圧電カンチレバー30上からも突出しているので、圧電カンチレバー30の屈曲変形を抑制しているのが原因と考えられる。
偏向角θが最も大きいのは、リブ42b(図4(d)の中央)であるが、当該リブ42bは、共振周波数fが最も低い。これは、リブ42bが、屈曲変形する圧電カンチレバー30からのみ突出しているので、連結部41の剛性への寄与が極端に小さくなっているのが原因と考えられる。
これらに対して、本実施形態のリブ42が、共振周波数fが高く、偏向角θが大きい。これは、リブ42が、連結部41から突出していることで連結部41の剛性を向上させると共に、圧電カンチレバー30から突出していないことで圧電カンチレバー30の屈曲変形を抑制しているからと考えられる。
以上の予備実験から、本実施形態のリブ42が、他のリブ42b,42cに比べて、光偏向器A1の偏向角の減少を抑制しつつ、外側圧電アクチュエータ101,102の強度を向上することを鑑みたときに、より好ましい形態であることが導出された。
「3−2.本実験」
まず、図5を参照して、本実験としての4種類の実験で用いられる寸法について説明する。なお、図5においても、圧電カンチレバーを便宜上「30」という符号で表している。
また、下記の説明では、第1方向Y、第2方向Z、及び第3方向Xという3つの方向が用いられている。
第1方向Yとは、各圧電カンチレバー31〜35が配置されている方向(すなわち、第2軸X2に平行な方向)である。第3方向Xとは、各圧電カンチレバー31〜35の長手方向(すなわち、第1軸X1に平行な方向)である。第2方向Zとは、第1方向Y及び第3方向Xに直交する方向である。従って、第1方向Y、第2方向Z、及び第3方向Xは、互いに直交している。
これらの実験では、適切な形態を選定するためのパラメータとして、連結部奥行きx41、連結部厚z41、リブ幅x42、リブ厚z42、リブ距離x04、及びリブはみ出し距離x05が用いられている。
ここで、連結部奥行きx41とは、「連結部41の第3方向Xにおける長さ」である。連結部厚z41とは、「連結部41の第2方向Zにおける長さ」である。
リブ幅x42とは、「リブ42の第3方向Xにおける長さ」である。リブ厚z42とは、「リブ42の第2方向Zにおける長さ」である。リブ距離x04とは、「連結部41と該連結部41が連結している2つの圧電カンチレバー30との境界Lから、リブ42までの第3方向Xにおける長さ」である。
リブはみ出し距離x05とは、「リブ42の図5の右側の端部が、連結部41の図5の右側の端部よりどの程度右側に出ているかを表す長さ」である。図5においては、「リブ42の図5の右側の端部が、連結部41の図5の右側の端部より左側に位置しているのでマイナスとなっているが、図12(b)に示されるように、「リブ42の図5の右側の端部が、連結部41の図5の右側の端部より右側に位置している場合にはプラスとなる。
各実験1〜5では、これらのパラメータのうちいずれかのパラメータ(以下、「対象パラメータ」という)が、所定の範囲(以下、「計測範囲」という)で変化したときの、外側圧電アクチュエータ101,102及びミラー部による構造体の共振周波数fと、反射面1bの第2軸X2回りの偏向角θとを測定している。
なお、実験1(詳細には、実験1−1〜実験1−3)の結果は図6〜図8に、実験2の結果は図9に、実験3(詳細には、実験3−1及び実験3−2)の結果は図10〜図11に、実験4の結果は図12に示されている。図6〜図12においては、(a)が、対象パラメータが計測範囲の最小値のときの、圧電カンチレバー30、連結部41及びリブ42を示す。また、(b)が、対象パラメータが計測範囲の最大値のときの、圧電カンチレバー30、連結部41及びリブ42を示す。なお、(a)及び(b)の各々は、概略図であり、図の見易さを優先するために、各寸法の比率は大まかなものとなっている。
また、(c)が、対象パラメータが計測範囲で変化したときの、共振周波数f(各図の(c)内の実線)、偏向角θ(各図の(c)内の破線)を示す。また、(c)は、横軸が対象パラメータを示す。
以下、これらの4種類の実験の内容及び結果について説明する。
「3−2−1.実験1」
図6〜図8を参照して、実験1について説明する。実験1は、「リブ厚z42」と「連結部厚z41」との適切な関係を求めるための実験である。
実験1では、連結部厚z41が異なる形態において、リブ厚z42と連結部厚z41との適切な関係を求める3種類の実験(実験1−1、実験1−2及び実験1−3)を行っている。
以下に示される実験1−1〜実験1−3より、「リブ厚z42」は、「連結部厚z41」の3倍以上6倍以下であることが好ましいことが導出された。
なお、以下の実験1−1〜実験1−3では、対象パラメータがリブ厚z42であり、計測範囲が0[μm]〜300[μm]であり、連結部奥行きx41が500[μm]、リブ幅x42が100[μm]、リブ距離x04が0[μm]である点が共通している。なお、実験1−1〜実験1−3では、リブはみ出し距離x05については考慮していないことも共通している。
「3−2−1−1.実験1−1」
本実験では、連結部厚z41が40[μm]である。
図6(c)に示されるように、共振周波数fがある程度の高さとなるリブ厚z42が、120[μm](すなわち、連結部厚z41(40[μm])の3倍)以上240[μm](すなわち、連結部厚z41(40[μm])の6倍)以下である。このとき、偏向角θは、充分な大きさである。
本実験より、「リブ厚z42」は、「連結部厚z41」の3倍以上6倍以下であることが好ましいことが導出された。
「3−2−1−2.実験1−2」
本実験では、連結部厚z41が37[μm]である。
図7(c)に示されるように、共振周波数fがある程度の高さとなるリブ厚z42が、111[μm](すなわち、連結部厚z41(37[μm])の3倍)以上222[μm](すなわち、連結部厚z41(37[μm])の6倍)以下である。このとき、偏向角θは、充分な大きさである。
本実験より、「リブ厚z42」は、「連結部厚z41」の3倍以上6倍以下であることが好ましいことが導出された。
「3−2−1−3.実験1−3」
本実験では、連結部厚z41が50[μm]である。
図8(c)に示されるように、共振周波数fがある程度の高さとなるリブ厚z42が、150[μm](すなわち、連結部厚z41(50[μm])の3倍)以上300[μm](すなわち、連結部厚z41(50[μm])の6倍)以下である。このとき、偏向角θは、充分な大きさである。
本実験より、「リブ厚z42」は、「連結部厚z41」の3倍以上6倍以下であることが好ましいことが導出された。
「3−2−2.実験2」
図9を参照して、実験2について説明する。実験2は、「リブ幅x42」と「連結部厚z41」との適切な関係を求めるための実験である。
本実験では、対象パラメータがリブ幅x42であり、計測範囲が0[μm]〜500[μm]である。そして、連結部奥行きx41が500[μm]、連結部厚z41が40[μm]、リブ厚z42が150[μm]、リブ距離x04が0[μm]である。なお、本実験では、リブはみ出し距離x05については考慮していない。
図9(c)に示されるように、リブ幅x42が、100[μm](すなわち、連結部厚z41(40[μm])の5倍)以上200[μm](すなわち、連結部厚z41(40[μm])の2.5倍)以下のときには、共振周波数f及び偏向角θがある程度の大きさとなっている。更に、リブ幅x42が200[μm]を超えると、共振周波数fが著しく減少する傾向がある。また、リブ幅x42が100[μm]を下回ると、共振周波数f及び偏向角θが共に減少する傾向がある。
本実験より、「リブ幅x42」は、「連結部厚z41」の2.5倍以上5倍以下であることが好ましいことが導出された。
「3−2−3.実験3」
図10〜図11を参照して、実験3について説明する。実験3は、「リブ距離x04」と「リブ幅x42」との適切な関係を求めるための実験である。
実験3では、連結部奥行きx41及びリブ幅x42が異なる形態において、リブ距離x04とリブ幅x42との適切な関係を求める2種類の実験(実験3−1及び実験3−2)を行っている。
以下に示される実験3−1及び実験3−2より、「リブ距離x04」は、「リブ幅x42」以下であることが好ましいことが導出された。
なお、以下の実験3−1及び実験3−2では、対象パラメータがリブ距離x04、連結部厚z41が40[μm]、リブ厚z42が150[μm]である点が共通している。なお、実験3−1及び実験3−2では、リブはみ出し距離x05については考慮していないことも共通している。
「3−2−3−1.実験3−1」
本実験では、計測範囲が0[μm]〜400[μm]、連結部奥行きx41が500[μm]、リブ幅x42が100[μm]である。
図10(c)に示されるように、リブ距離x04が、100[μm](すなわち、リブ幅x42(100[μm]))以下のときには共振周波数f及び偏向角θがある程度の大きさとなっている。更に、リブ距離x04が100[μm]を超えると、共振周波数f及び偏向角θが共に著しく減少する傾向がある。
本実験より、「リブ距離x04」は、「リブ幅x42」以下であることが好ましいことが導出された。
「3−2−3−2.実験3−2」
本実験では、計測範囲が0[μm]〜800[μm]、連結部奥行きx41が1000[μm]、リブ幅x42が200[μm]である。
図10(c)に示されるように、リブ距離x04が、200[μm](すなわち、リブ幅x42(200[μm]))以下のときには共振周波数f及び偏向角θがある程度の大きさとなっている。更に、リブ距離x04が200[μm]を超えると、共振周波数f及び偏向角θが共に著しく減少する傾向がある。
本実験より、「リブ距離x04」は、「リブ幅x42」以下であることが好ましいことが導出された。
「3−2−4.実験4」
図12を参照して、実験4について説明する。実験4は、適切な「リブはみ出し距離x05」を求めるための実験である。
本実験では、対象パラメータがリブはみ出し距離x05であり、計測範囲が0[μm]〜250[μm]である。そして、連結部奥行きx41が500[μm]、連結部厚z41が40[μm]、リブ幅x42が500[μm]、リブ厚z42が150[μm]、である。なお、本実験では、リブ距離x04については考慮していない。
図12(c)に示されるように、リブはみ出し距離x05が0より増加するに従って、共振周波数fが著しく減少することが確認された。
本実験より、「リブはみ出し距離x05」は0であることが好ましいことが導出された。すなわち、第3方向Xにおいて、リブ42の両端部が、当該リブ42が設けられた連結部41上に位置していることが好ましい。
「4.変形例」
なお、本実施形態においては、先端側圧電カンチレバー31及び基端側圧電カンチレバー35と、中間圧電カンチレバー32〜34との長さが異なるように形成されている。しかしながら、アクチュエータの態様としては、全てのカンチレバーの長さが同一となるように構成されている態様も取り得る。
また、本実施形態では、アクチュエータを、第1軸X1について線対称な一対の外側圧電アクチュエータ101,102として構成している。しかしながら、アクチュエータの態様としては、第1軸X1及び第2軸X2の交点について点対称な一対の圧電アクチュエータとして構成されている態様も取り得る。
また、アクチュエータの態様としては、本実施形態の外側圧電アクチュエータ101,102のいずれか片方のみで構成されるような態様も取り得る。
また、本実施形態では、光偏向器を第1軸X1及び第2軸X2の二軸周りで揺動するような態様であるが、これに限らず、光偏向器の態様としては、本実施形態の内側圧電アクチュエータ81,82を省略して、一軸(第2軸X2)周りのみに揺動するような態様も取り得る。この場合、可動部9に対して反射部1が固定されるように構成される。
また、光偏向器の他の態様の例としては、本実施形態の光偏向器A1において、内側圧電アクチュエータ81,82が、外側圧電アクチュエータ101,102のように、複数の圧電カンチレバーがミアンダ形状に形成されて、第1軸X1回りに揺動されるように構成された態様も挙げられる。
この場合には、内側圧電アクチュエータの各圧電カンチレバーの連結部に、外側圧電アクチュエータの各圧電カンチレバーの連結部に設けられているリブと同様のリブを設けることで、光偏向器の第1軸X1回りの偏向角の減少を抑制しつつ、内側圧電アクチュエータの強度を向上できる。