JP4971056B2 - 熱水温度検知用インジケータ及び熱水消毒確認方法 - Google Patents
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Description
このような現象が生じた場合には、熱水消毒を受けたにもかかわらず、未処理という扱いになり、あらためて熱水消毒し直さなければならなくなるおそれが生じる。従って、この点において上記インジケータはさらなる改善を必要とする。
1. 基材上に1)電子供与性化合物及び電子受容性化合物を含む感熱変色層、2)透明性保護層、3)接着剤層及び4)ラミネートフィルムが順に形成されている熱水温度検知用インジケータであって、
感熱変色層が、基材及び透明性保護層により封止されており、
感熱変色層が、透明性保護層を介して接着剤層と隔離されている、
ことを特徴とする熱水温度検知用インジケータ。
2. 透明性保護層が、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル及び石油系樹脂の少なくとも1種の樹脂成分を含む樹脂組成物により形成されている、前記項1に記載の熱水温度検知用インジケータ。
3. 接着剤層が、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂の少なくとも1種の樹脂成分を含む樹脂組成物により形成されている、前記項1又は2に記載の熱水温度検知用インジケータ。
4. 被処理体を熱水で消毒するに際し、消毒済みの有無を確認する方法であって、
(1)被処理体を消毒するに先立ち、前記項1〜3のいずれかに記載のインジケータを熱水による消毒が実施される雰囲気下に配置する第1工程、
(2)熱水による消毒を経た後の感熱変色層の変色度合を調べる第2工程
を含むことを特徴とする消毒確認方法。
5. 被処理体が医療器具である、前記項4に記載の消毒確認方法。
本発明の熱水温度検知用インジケータは、1)電子供与性化合物及び電子受容性化合物を含む感熱変色層、2)透明性保護層、3)接着剤層及び4)ラミネートフィルムが順に形成されている熱水温度検知用インジケータであって、
感熱変色層が、基材及び透明性保護層により封止されており、
感熱変色層が、透明性保護層を介して接着剤層と隔離されている、
ことを特徴とする。
基材の材質は限定的でなく、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂類;アルミニウム、ステンレス鋼等の金属又は合金;アルミナ、ジルコニア等のセラミックスのほか、ガラス、紙等のいずれも使用することができる。
感熱変色層は、熱により変色する層である。感熱変色層は、1)熱により無色から有色に発色する場合、2)熱により有色から無色に消色(退色)する場合及び3)熱により有色から別の有色に変色する場合のいずれも包含する。このような機能を発揮する層として、本発明では、電子供与性化合物及び電子受容性化合物を含む感熱変色層を採用する。
式(1a)〜(1f)において、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)が挙げられる。アルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜10程度のアルキレン基が挙げられる。シクロアルキレン基としては、例えばシクロヘキシレン基等が挙げられる。アリーレン基としては、例えばフェニレン基等が挙げられる。また、nは、1〜10の整数である。
本発明の熱水温度検知インジケータでは、感熱変色層が透明性保護層により被覆されている。これにより、洗浄中に感熱変色層が剥離又は変質することを効果的に防止することができる。
接着剤層は、公知の接着剤又は粘着剤によって基材及び透明性保護層上に形成するほか、ラミネートフィルムとして一面が予め粘着加工されたもの(粘着剤による層が形成されたもの)を使用することにより形成することもできる。これらの接着剤層を形成する接着剤又は粘着剤としては、例えばアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤等を挙げることができる。特に、本発明では、アクリル系接着剤又は粘着剤に対しても変色後の経時的消色の防止効果がある。
ラミネートフィルムは、公知又は市販の樹脂フィルムから選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン等を挙げることができる。また、前記のとおり、ラミネートフィルムは、積層される面に予め接着剤層(粘着加工された層)を形成されたフィルムを使用することもできる。
2.消毒確認方法
本発明は、前記インジケータを用いる消毒確認方法も包含する。すなわち、被処理体を熱水で消毒するに際し、消毒済みの有無を確認する方法であって、
(1)被処理体を消毒するに先立ち、前記のインジケータを熱水による消毒が実施される雰囲気下に配置する第1工程、
(2)熱水による消毒を経た後の感熱変色層の変色度合を調べる第2工程
を含むことを特徴とする消毒確認方法。
第1工程では、被処理体を消毒するに先立ち、前記のインジケータを熱水による消毒工程が実施される雰囲気下に配置する。
第2工程では、熱水による消毒を経た後の感熱変色層の変色度合を調べる。変色度合いは、市販の色差計を用いて色差保持率を求めることにより測定できる。試験前後の変色を、JIS Z 8729に準じて、L*a*b*表色系にて、下記式(1)を用いた色差保持率により評価する。完全に変消色したときのL*a*b*における明度L*をL1,赤方向の色度a*をa1,黄方向の色度b*をb1とし、テスト前の塗膜のL*a*b*のL*をLs,a*をas,b*をbsとし、テスト後の塗膜のL*a*b*のL*をLt,a*をat,b*をbtとして、テスト前後の変色色差保持率を下記式(1)により求める。なお、色差保持率は高いほど、変色が少ない。
(1)熱変色性組成物の調製
クリスタルバイオレットラクトン、ビスフェノールA又はステアリン酸アミドの20gを5%ポリビニルアルコール水溶液100gとともに一昼夜かけてボールミルで攪拌し、3つの分散液をそれぞれ得た。また、炭酸カルシウム30gを5%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにホモジナイザーで分散し、炭酸カルシウム分散液を得た。
(2)透明保護層用インキの調製
表1に示す成分を均一に混合することにより、透明保護層用インキを調製した。樹脂成分は、溶剤又は水に溶解させて用いた。
ポリエチレンテレフタレート製シート(5cm×5cm×厚み188μm)に対して、熱水温度検知用インキを用いてシルクスクレーン印刷(100メッシュ)を行い、50℃で乾燥して感熱変色層(1.5cm×1.5cm×厚み10μm)を形成した。感熱変色層及び前記シートの上に、透明保護層用インキを用いてシルクスクレーン印刷(100メッシュ)を行い、50℃で乾燥して透明性保護層(2cm×2cm×厚み20μm)を形成した。次いで、片面が粘着加工されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(リンテック製、製品名「PET25 PAT1」、5cm×5cm×厚み25μm)を粘着加工面が透明性保護層と接するように貼着して積層した。こうして、試験用サンプル(熱水温度検知用インジケータ)を得た。
透明性保護層を形成しなかったほかは、実施例1と同様にしてインジケータを作製した。
各実施例及び比較例で得られた試験用サンプルを90℃の熱水に1分、10分及び30分間浸漬した。その後、それぞれのサンプルを取り出して変色色差を測定した。その結果を表1に示す。
2 感熱変色層
3 透明性保護層
4 接着剤層
5 ラミネートフィルム
Claims (5)
- 基材上に1)電子供与性化合物及び電子受容性化合物を含む感熱変色層、2)透明性保護層、3)接着剤層及び4)ラミネートフィルムが順に形成されている熱水温度検知用インジケータであって、
感熱変色層が、基材及び透明性保護層により封止されており、
感熱変色層が、透明性保護層を介して接着剤層と隔離されている、
ことを特徴とする熱水温度検知用インジケータ。 - 透明性保護層が、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル及び石油系樹脂の少なくとも1種の樹脂成分を含む樹脂組成物により形成されている、請求項1に記載の熱水温度検知用インジケータ。
- 接着剤層が、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂の少なくとも1種の樹脂成分を含む樹脂組成物により形成されている、請求項1又は2に記載の熱水温度検知用インジケータ。
- 被処理体を熱水で消毒するに際し、消毒済みの有無を確認する方法であって、
(1)被処理体を消毒するに先立ち、請求項1〜3のいずれかに記載のインジケータを熱水による消毒が実施される雰囲気下に配置する第1工程、
(2)熱水による消毒を経た後の感熱変色層の変色度合を調べる第2工程
を含むことを特徴とする消毒確認方法。 - 被処理体が医療器具である、請求項4に記載の消毒確認方法。
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