JP7313949B2 - 温度表示デバイス - Google Patents
温度表示デバイス Download PDFInfo
- Publication number
- JP7313949B2 JP7313949B2 JP2019135012A JP2019135012A JP7313949B2 JP 7313949 B2 JP7313949 B2 JP 7313949B2 JP 2019135012 A JP2019135012 A JP 2019135012A JP 2019135012 A JP2019135012 A JP 2019135012A JP 7313949 B2 JP7313949 B2 JP 7313949B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temperature
- display device
- temperature indicator
- indicator
- light
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Measuring Temperature Or Quantity Of Heat (AREA)
Description
今後、温度感受性の高い食品・医薬品の急増が予想されている。よってこれらの製品個々に対する適正な管理は、環境・資源の社会課題を解決するツールとして、多岐にわたり広い用途でますます重要である。
食品及び医薬品等に対する温度管理用としての電子計測器の利用は、バッテリー駆動型の動作原理であり、個々の食品や医薬品に対して高コストであること、更に取扱い上の簡便性がないことから、本用途に適していない。
他の温度管理用ツールとしては、示温インク材料を利用したサーモラベルがある。サーモラベルは、取扱いは簡便性ではあるが、温度検知開始機能がない。示温インク材料は、発色反応が可逆性であるため、温度検知の対象や利用状況が限定される。また、サーモラベルは、高精度な温度測定が困難である。
特許文献1には、フォトクロミック化合物を含む光機能素子と、フォトクロミズムを利用した温度管理技術が開示されている。
特許文献1に記載の光機能素子は、以下に示す3つの特徴を有している。特許文献1には、このような特徴を有する光機能素子を、温度履歴表示材として使用することが開示されている。
(i)スイッチオン機能を備える。
(ii)加熱により再生不可能な消色が起こる。
(iii)着色状態が可視化で安定である。
また、特許文献1に記載の技術は、小型で薄膜なデバイス仕様の実現が可能なことから、特許文献1に記載の技術を利用する場所や対象が限定されない。また、フレキシビリティ性が見込めることから、温度検知対象のサイズ等、種類を選ばない。
さらに、特許文献1に記載の技術を利用して、小型で薄膜なデバイスを実現する際は、ディスポーザル性、低コスト化、簡便性が期待でき、新たな温度インジケータとして有望である。
本発明は、紫外線等の光を再度照射しても再発色しにくい温度インジケータ及び温度表示デバイスを提供することを目的とする。
そこで、温度インジケータの硬度を規定すれば、フォトクロミック化合物の発色反応が阻害されにくくなるとの着想に基づき、本発明を完成するに至った。
本態様によれば、光照射によるフォトクロミック化合物の発色反応が阻害されにくく、紫外線等の光を再度照射しても再発色しにくい。よって、故意に紫外線等の光を再度照射することで、食品及び医薬品等の温度履歴を改ざんすることを防止できる。
また、本態様によれば、フォトクロミック化合物を含むので、温度逸脱履歴を正確に把握できる。しかも、構成が単純なため低コストで実現可能である。加えて、電池などの電源を必要としないため、環境負荷を軽減できる。
本態様によれば、光照射によるフォトクロミック化合物の発色反応がより阻害されにくく、紫外線等の光を再度照射してもより再発色しにくい。
本態様によれば、紫外線等の光を再度照射しても再発色しにくい温度インジケータを有するので、故意に紫外線等の光を再度照射することで、食品及び医薬品等の温度履歴を改ざんすることを防止できる。
また、本態様によれば、温度逸脱履歴を正確に把握できる。しかも、構成が単純なため低コストで実現可能である。加えて、電池などの電源を必要としないため、環境負荷を軽減できる。
なお、後述する図5~7において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
本発明の第1実施形態に係る温度表示デバイスについて、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る温度表示デバイス20の平面図である。図2は、図1の温度表示デバイス20のII-II線における断面図である。
温度表示デバイス20は、温度検知の対象となる対象物に貼付して使用することが想定される。このため、対象物の製品の仕様、サイズ、使用方法などに基づいて、基材21の形状及び大きさが選択される。
また、基材21と、参照部22及び温度インジケータ23との間に、感熱記録層(図示略)を設けてもよい。印字品質が向上する観点から、感熱記録層の厚さは、0.1μm~50μmであることが好ましく、より実用的な範囲として0.1μm~10μmであることが望ましい。
参照部22の構成は特に限定されないが、外部環境(温度、光など)の影響で変色することなく所望の色強度を維持でき、耐水性、耐光性に優れた材料(例えば顔料)を含んでいることが好ましい。
参照部22は、温度検知の対象となる対象物に装着して使用することが想定される対象の製品の仕様、サイズ、使用方法などに基づいて形状及び大きさが適宜選択される。
温度インジケータ23は、光の照射により温度の検知が開始される機能を有する。温度インジケータ23は、例えば、特定の波長の光が照射されることにより初期化されて色強度が変化する。色情報を認識することで、温度表示デバイス20が曝されていた温度、曝されていた温度における経過時間を確認することができる。
すなわち、温度表示デバイス20が実際に使用される直前に、温度インジケータ23に光を照射することによって温度表示デバイス20が初期化される。よって、温度表示デバイス20が保存される温度環境、すなわち温度表示デバイス20が初期化される以前における温度環境には制約が少ない。例えば、2℃程度の低温における温度検知をするための温度表示デバイス20であっても、常温(例えば25℃)における保存が可能である。
本明細書において「熱可塑性エラストマー」とは、1分子中にハードセグメントを構成するモノマーと、ソフトセグメントを構成するモノマーとがブロック共重合されているものである。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
また、温度インジケータ23は、温度検知の対象となる対象物に装着して使用することが想定される対象の製品の仕様、サイズ、使用方法などに基づいて形状及び大きさが適宜選択される。
温度インジケータ23の硬度が60MPa以下であればフォトクロミック化合物の発色反応が阻害されにくくなる理由は定かではないが、バインダ中でのフォトクロミック化合物の分子の動きが妨げられにくくなり、フォトクロミック化合物が溶剤中に存在している状態に近づくためと考えられる。
温度インジケータ23の硬度は、温度インジケータ23に含まれるバインダの種類によって制御できる。
温度インジケータ23の損失正接が0.12以上であればフォトクロミック化合物の発色反応がより阻害されにくくなる理由は定かではないが、バインダ中でのフォトクロミック化合物の分子の動きがより妨げられにくくなり、フォトクロミック化合物が溶剤中に存在している状態により近づくためと考えられる。
温度インジケータ23の損失正接は、温度インジケータ23に含まれるバインダの種類によって制御できる。
なお、損失正接とは、材料の弾性を表す貯蔵弾性率E’で、材料の粘性を表す損失弾性率E''を除算した数値であり、E’'/E'で表される。損失正接が大きいほど粘性体に近い性質となり、損失正接が小さいほど弾性体に近い性質となる。
時間情報表示部24は、温度検知の対象となる対象物に装着して使用することが想定される対象の製品の仕様、サイズ、使用方法などに基づいて形状及び大きさが適宜選択される。
なお、図1に示す温度表示デバイス20では、時間情報表示部24に時間情報が印字されている。
本発明の一態様における温度表示デバイス20の製造方法の一例を以下に説明する。
印刷方法としては、スクリーン印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、パッド印刷、オフセット印刷、シルク印刷、バーコーターを用いた印刷等が挙げられる。
温度インジケータ23を形成する際に使用される溶剤は、温度インジケータ23や基材21の材料に応じて決定されるが、例えばミネラルスピリット、石油ナフサ、テレピン油、n-ブチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、テトラリン、酢酸、酢酸メトキシブチル、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン、ジアセトンアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、n-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、2-エトキシエタノール(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート(ブチルセロソルブアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等が挙げられる。これらの材料を二種以上混合して溶剤として用いてもよい。中でも溶剤としては、トルエン、アセトンが好ましい。
印刷方法としては、参照部22を形成する際の印刷方法と同様の方法が挙げられる。
乾燥温度は、20~100℃の間で、生産性と温度インジケータ23のダメージを考慮して決定することが好ましい。
基材21と、参照部22及び温度インジケータ23との間に、感熱記録層(図示略)を設ける場合は、基材21上に参照部22及び温度インジケータ23を形成する前に、基材21の上に感熱記録層を形成する。具体的には、基材21にロイコ染料、顕色剤及び溶剤を含む溶液を塗布し、乾燥することにより溶剤を除去し、感熱記録層を形成する。なお、感熱記録層を形成せず、市販の感熱紙を基材21及び感熱記録層として用いてもよい。
次に、温度表示デバイス20の使用方法の一例について説明する。図3は、温度インジケータ23の退色特性の一例を示す図である。図3の縦軸は、温度インジケータ23の色強度(例えば光吸収波長の光強度の吸収量や発色前を基準色とした場合の色差)であり、色強度が大きいほど濃い色である。横軸は、温度インジケータ23の初期化時からの経過時間を示す。
まず、後述する発行装置を用いて、温度表示デバイス20の温度インジケータ23を初期化し、初期化された時刻を時間情報表示部24に印字する。なお本実施形態において、温度インジケータ23が初期化され、初期化された時刻等が時間情報表示部24に印字された状態の温度表示デバイス20を温度履歴管理ラベルと定義する。
なお、基材供給部55は、予め所定の大きさに切断された温度表示デバイスを供給できる方式(枚葉式)を採用してもよい。
印字記録部52は、温度表示デバイス20Aに、時刻や温度履歴管理ラベル40が取り付けられる対象物の情報等の表示情報を、温度表示デバイスにおける時間情報表示部に印字する。
照射制御部は、照射部53による温度表示デバイス20Aへの光の照射を制御する。印字制御部は、印字記録部52による温度表示デバイス20Aへの表示情報の印字を制御する。前記表示情報は、例えば、温度表示デバイス20Aの温度検知の開始時間になる時間情報、すなわち温度インジケータ23に光を照射することにより温度表示デバイス20Aを初期化した時刻情報や、商品情報等である。
情報取得部は、時間情報、商品情報を取得する。計時部は、照射部53において温度インジケータに光を照射する照射時刻を計時し、時刻情報(照射時刻)を出力する。この構成によれば、正確な時刻を温度表示デバイス20Aに印字できる。
位置制御部は、例えば基材供給部55から供給される温度表示デバイス20Aの搬送を制御する。位置制御部は、温度表示デバイス20Aの位置に合わせて照射制御部及び印字制御部に制御信号を出力し、印字記録部52及び照射部53を動作させる。
上述した本実施形態の温度インジケータ23を備えた温度表示デバイス20は、ナノインデンターを用いて測定した硬度が60MPa以下であるため、光照射によるフォトクロミック化合物の発色反応が阻害されにくく、紫外線等の光を再度照射しても再発色しにくい。具体的には、再発色率を20%以下にまで低減できる。よって、故意に紫外線等の光を再度照射することで、食品及び医薬品等の温度履歴を改ざんすることを防止できる。
また、本実施形態の温度インジケータ23はフォトクロミック化合物を含むので、温度逸脱履歴を正確に把握できる。しかも、構成が単純なため低コストで実現可能である。加えて、電池などの電源を必要としないため、環境負荷を軽減できる。
温度表示デバイス20は、温度インジケータ23の一部が基材21の一部に染み込んでいてもよい。
温度インジケータ23が基材21の一部に染み込む程度は、温度インジケータ23の形成方法に依存する。そのため、所望の温度インジケータ23の形態を得るには、温度インジケータ23の形成方法を適宜選択すればよい。例えば、温度インジケータ23の位置を制御するために、フォトクロミック化合物、バインダ及び溶剤を含む溶液の粘度を規定してもよい。
遮断層の材料としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ニトロセルロース(硝化綿)、エチルセルロース樹脂、ポリアミド、イソプレンゴム等の環化ゴム、塩素化ポリオレフィン、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート等が挙げられる。上記の材料は、紫外線硬化性等の光硬化性の樹脂であってもよい。遮断層の材料として、アクリル樹脂が好ましい。
遮断層の形成方法としては、以下の方法が挙げられる。まず上述の遮断層の材料及び溶剤を含む溶液を調製する。遮断層は、温度インジケータ23を形成する前に、基材21に遮断層の材料及び溶剤を含む溶液を印刷して乾燥することにより形成される。印刷方法としては、参照部22を形成する際の印刷方法と同様の方法が挙げられる。
複数の参照部及び複数の温度インジケータを有していれば、温度表示デバイス20が貼付された対象物が管理温度範囲からどの程度逸脱したかを目視により容易に判定することが可能であり、本来管理されるべき温度範囲からどの程度逸脱したかを把握する必要がある場合に有用である。
読取処理装置は、撮像機能を有する、例えばスマートフォン、タブレット端末、専用装置等である。読取処理装置は、その撮像手段を介して温度履歴管理ラベルの情報(温度インジケータ23、時間情報表示部24を含む画像)を読み取り、読み取った情報に基づいて温度履歴管理ラベル(温度表示デバイス20)が貼付されている対象物が曝されていた温度と経過時間等を求める。読取処理装置は、求めた対象物が曝されていた温度と温度履歴管理ラベルの初期化時からの経過時間等を表示部に表示させる。
このように、読取処理装置を用いて温度履歴管理ラベルの情報を読み取って温度検知を行うことにより、温度履歴管理ラベルを初期化してからの任意の経過時間において、簡便に、より正確に温度履歴管理ラベルが貼付されている対象物の温度管理を行うことが可能である。
本発明の第2実施形態に係る温度表示デバイスについて、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る温度表示デバイス20Bの断面図である。
本実施形態の温度表示デバイス20Bは、基材21の参照部22、温度インジケータ23及び時間情報表示部24が位置している面とは反対側の面に、粘着層31と、剥離層32とを有している以外は、第1実施形態に係る温度表示デバイスと同じである。
粘着層31の材料は、温度検知対象物に温度表示デバイス20Bを貼付することが可能であれば特に限定されない。
剥離層32の材料は、粘着層31から容易に剥離することが可能であれば特に限定されない。
温度表示デバイス20Bを使用する直前に剥離層32を粘着層31から剥がし、剥離層32が剥離された温度表示デバイス20Bを対象物に貼付して使用することができる。
本発明の第3実施形態に係る温度表示デバイスについて、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る温度表示デバイス20Cの断面図である。
本実施形態の温度表示デバイス20Cは、温度インジケータ23上に保護層33を有している以外は、第1実施形態に係る温度表示デバイスと同じである。
保護層33の形成方法としては、例えば、保護層33としてシリコーン塗布層を用いる場合、温度インジケータ23全体を覆うようにシリコーン塗布層を形成するための溶液を塗布して乾燥することにより形成することができる。他の方法として、保護層33としてラミネート層を用いる場合、温度インジケータ23全体を覆うようにラミネート層を配置し、圧着することでラミネート層を固定することで保護層33を形成することができる。
また、本実施形態において、基材21の参照部22、温度インジケータ23、時間情報表示部24及び保護層33が位置している面とは反対側の面に、粘着層及び剥離層(いずれも図示略)がこの順で設けられていてもよい。
本発明の第4実施形態に係る温度表示デバイスについて、図7を参照して説明する。
図7は、本発明の第4実施形態に係る温度表示デバイス20Dの断面図である。
本実施形態の温度表示デバイス20Dは、剥離層32と、剥離層32上の温度インジケータ23Dと、温度インジケータ23D上の透明基材34とを有する。
フォトクロミック化合物としては、本発明の第1実施形態の説明において先に例示したフォトクロミック化合物が挙げられる。
バインダとしては、温度検知対象物に温度表示デバイス20Dを貼付することが可能であり、かつ、ナノインデンターを用いて測定した温度インジケータ23Dの硬度が60MPa以下となるような粘着剤が挙げられる。このような粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。
また、温度インジケータ23Dの厚さ、硬度、損失正接についても、本発明の第1実施形態の温度表示デバイスに備わる温度インジケータと同様である。
透明基材34としては、ガラス基材、透明樹脂基材などが挙げられる。透明樹脂基材を形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
温度インジケータ23Dを形成する方法としては、本発明の第1実施形態の説明において、基材上に温度インジケータを形成する方法と同様である。
透明基材34の形成方法としては、別途作製しておいた透明基材34を温度インジケータ23Dに貼り付ける方法、透明樹脂基材を形成する樹脂と溶剤とを含む溶液を塗布して乾燥する方法などが挙げられる。
また、透明基材34上に温度インジケータ23Dを形成しておき、この温度インジケータ23D上に剥離層32を貼り付けてもよい。
温度表示デバイス20Dの使用方法としては、本発明の第1実施形態で説明した読取処理装置を用いた温度検知方法が挙げられる。
実施例及び比較例における測定方法は以下の通りである。
<硬度の測定>
ナノインデンター(KLA-Tencor社製、「iMicro型ナノインデンター」)を用い、高分解能DCM-IIヘッド(最大荷重:50mN)、バーコビッチ圧子を用い、連続剛性測定法(Thin Film)で温度インジケータの硬度を測定した。測定条件を以下に示す。
(測定条件)
・測定温度:23℃
・最大押し込み深さ:温度インジケータの厚さの50%
・ひずみ速度:0.2
・測定サンプルのポアソン比:0.3
・基材(ガラス)のヤング率:70GPa
・基材(ガラス)ののポアソン比:0.18
・硬度・ヤング率計算深さ:温度インジケータの厚さの10%±0.5%
ナノインデンター(KLA-Tencor社製、「iMicro型ナノインデンター」)を用い、高分解能InForce50ヘッド(最大荷重:50mN)、フラットパンチ圧子(直径約20μm)を用い、粘弾性試験で温度インジケータの貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E''を測定し、損失正接(E’'/E')を求めた。測定条件を以下に示す。
(測定条件)
・測定温度:23℃
・押し込み深さ:0.5μm
・クリープ待機:あり
・周波数範囲:1~200Hz
・周波数点数:7点
・測定サンプルのポアソン比:0.35
分光光度計(株式会社島津製作所製、「UV-2600」)を用い、測定波長を200~800nm、参照試料を大気として、光照射前の温度インジケータについて光吸収波長の光強度(L0)を測定した。
次いで、温度インジケータに紫外線を照射して発色させ、照射直後の温度インジケータの光強度(L1)を同様に測定した。光照射前の温度インジケータの光強度(L0)を基準とし、1回目の光照射後の温度インジケータの光強度(L1)の差(L0-L1)を色強度(C1)とした。
次いで、温度インジケータが完全に消色したことを確認した後に、再度、温度インジケータに紫外線を照射し、照射直後の温度インジケータの光強度(L2)を同様に測定した。光照射前の温度インジケータの光強度(L0)を基準とし、2回目の光照射後の温度インジケータの光強度(L2)の差(L0-L2)を色強度(C2)とした。
下記式(i)より再発色率を求めた。なお、再発色率が20%以下であれば目視による再発色は認められないことから、再発色率が20%以下の場合を合格とする。
再発色率[%]=(色強度(C2)/色強度(C1))×100 ・・・(i)
溶剤としてトルエン85gに、フォトクロミック化合物として上記一般式(1)で示す化合物(式(1)中、Xは硫黄原子であり、Zはいずれもフッ素原子であり、R及びR’はそれぞれ-CH(Pr)2であり、Prはn-プロピル基である化合物)0.75gと、バインダとしてアクリル系熱可塑性エラストマー(株式会社クラレ製、「クラリティLA2250」、ポリメタクリル酸メチル-ポリアクリル酸ブチル-ポリメタクリル酸メチルのトリブロック共重合体)15gを添加し、撹拌して溶液(塗工液)を調製した。
基材としてガラス上に塗工液を乾燥後の厚さが2μmとなるようにバーコーターを用いて塗工し、ベーク炉内にて75℃で乾燥させ、基材上にフォトクロミック化合物及びバインダを含む温度インジケータが形成された温度表示デバイスを得た。
得られた温度表示デバイスについて、温度インジケータの硬度及び損失正接と、再発色率を測定した。これらの結果を表1に示す。また、硬度と再発色率の結果を図8に示し、損失正接を再発色率の結果を図9に示す。
バインダとしてアクリル系熱可塑性エラストマー(株式会社クラレ製、「クラリティLA2330」、ポリメタクリル酸メチル-ポリアクリル酸ブチル-ポリメタクリル酸メチルのトリブロック共重合体)を用いた以外は、実施例1と同様にして温度表示デバイスを製造し、各種測定を行った。結果を表1、図8及び図9に示す。
なお、「クラリティLA2330」は、「クラリティLA2250」に比べ、トリブロック共重合体中のポリメタクリル酸メチルの割合が低い材料である。
バインダとしてアクリル系熱可塑性エラストマー(株式会社クラレ製の「クラリティLA2250」と「クラリティLA1140」とを質量比1:1で混合した混合物(M))を用いた以外は、実施例1と同様にして温度表示デバイスを製造し、各種測定を行った。結果を表1、図8及び図9に示す。
なお、「クラリティLA1140」は、ポリメタクリル酸メチル-ポリアクリル酸ブチル-ポリメタクリル酸メチルのトリブロック共重合体であり、「クラリティLA2250」に比べ、トリブロック共重合体中のポリメタクリル酸メチルの割合が低い材料である。混合物(M)は、「クラリティLA2250」に比べ、柔らかい材料である。
バインダとしてアクリル樹脂溶液(楠本化成株式会社製、「HIPLAAD ER2800」)を固形分換算で15g用いた以外は、実施例1と同様にして温度表示デバイスを製造し、各種測定を行った。結果を表1、図8及び図9に示す。
バインダとして焼結用アクリル樹脂(共栄社化学株式会社製、「オリコックスKC-7000」)を用いた以外は、実施例1と同様にして温度表示デバイスを製造し、各種測定を行った。結果を表1、図8及び図9に示す。
一方、硬度が60MPaを超える温度インジケータを有する比較例1、2で得られた温度表示デバイスは、再発色率が20%を超えており、再発色しやすかった。
Claims (2)
- フォトクロミック化合物とバインダとを含み、ナノインデンターを用いて測定した硬度が60MPa以下である温度インジケータと、
前記インジケータが表面上に形成された紙からなる基材と、
備えた温度表示デバイス。 - 前記温度インジケータは、ナノインデンターを用いて測定した損失正接が0.12以上である、請求項1に記載の温度表示デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019135012A JP7313949B2 (ja) | 2019-07-23 | 2019-07-23 | 温度表示デバイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019135012A JP7313949B2 (ja) | 2019-07-23 | 2019-07-23 | 温度表示デバイス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021018188A JP2021018188A (ja) | 2021-02-15 |
JP7313949B2 true JP7313949B2 (ja) | 2023-07-25 |
Family
ID=74563144
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019135012A Active JP7313949B2 (ja) | 2019-07-23 | 2019-07-23 | 温度表示デバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7313949B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008001578A1 (fr) | 2006-06-30 | 2008-01-03 | Hoya Corporation | Film photochrome, lentilles photochromes ayant ce dernier et procédé de fabrication d'une lentille photochrome |
JP2019066210A (ja) | 2017-09-29 | 2019-04-25 | セイコーインスツル株式会社 | 温度表示デバイス及び温度履歴管理ラベル |
-
2019
- 2019-07-23 JP JP2019135012A patent/JP7313949B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008001578A1 (fr) | 2006-06-30 | 2008-01-03 | Hoya Corporation | Film photochrome, lentilles photochromes ayant ce dernier et procédé de fabrication d'une lentille photochrome |
JP2019066210A (ja) | 2017-09-29 | 2019-04-25 | セイコーインスツル株式会社 | 温度表示デバイス及び温度履歴管理ラベル |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021018188A (ja) | 2021-02-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6998168B2 (ja) | 温度表示デバイス及び温度履歴管理ラベル | |
US8629081B2 (en) | Time/temperature indicators | |
KR102071093B1 (ko) | 이중 기능 열 표시기 및 이의 제조 방법 | |
US11426974B2 (en) | Thermal transfer of active ink with dynamic environmental data | |
KR20090082258A (ko) | 광변색성 시스템을 위한 광 흡수층 | |
SE0501607L (sv) | Etikett, samt metod och anordning för att i en varuförpackning tillhandahålla en temperaturövervakande funktion | |
KR20040055599A (ko) | 비접촉형 리라이트서멀라벨의 기록 및 소거방법 | |
JP7313949B2 (ja) | 温度表示デバイス | |
WO2022076793A1 (en) | Thermal transfer ribbons and direct thermal print media including environmental exposure indicator material | |
JP7313950B2 (ja) | 温度表示デバイス | |
JP6933913B2 (ja) | 温度表示デバイス発行装置 | |
CN114902315A (zh) | 双面可印刷psa热敏标签 | |
US20100127491A1 (en) | Laminate Labels | |
US20220412933A1 (en) | Activatable print medium | |
JP7136604B2 (ja) | 温度検知デバイス | |
US11472214B1 (en) | Shielded direct thermal label and methods | |
JP2000006271A (ja) | ラベルの製造方法及びラベル用ラミネート材並びにラベル | |
JP2003121271A (ja) | 温度履歴表示体 | |
US20230019981A1 (en) | Shielded direct thermal label and methods | |
JP2017057245A (ja) | 時間経過インジケータ | |
KR20180008457A (ko) | 비밀로 유지될 데이터가 도포될 수 있는 지지체 및 비밀로 유지될 도포된 데이터를 갖는 데이터 지지체 | |
JP7338901B2 (ja) | ジアリールエテン化合物、温度インジケータ、温度表示デバイス及び包装体 | |
US20240185743A1 (en) | Direct thermal label and method of use | |
FR3128405A1 (fr) | Fournitures personnalisables pour la surveillance d’exposition aux températures élevées | |
JP4971056B2 (ja) | 熱水温度検知用インジケータ及び熱水消毒確認方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220513 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230118 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230220 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230417 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230620 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230712 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7313949 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |