JP7313950B2 - 温度表示デバイス - Google Patents
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Description
今後、温度感受性の高い食品・医薬品の急増が予想されている。よってこれらの製品個々に対する適正な管理は、環境・資源の社会課題を解決するツールとして、多岐にわたり広い用途でますます重要である。
食品及び医薬品等に対する温度管理用としての電子計測器の利用は、バッテリー駆動型の動作原理であり、個々の食品や医薬品に対して高コストであること、更に取扱い上の簡便性がないことから、本用途に適していない。
他の温度管理用ツールとしては、示温インク材料を利用したサーモラベルがある。サーモラベルは、取扱いは簡便性ではあるが、温度検知開始機能がない。示温インク材料は、発色反応が可逆性であるため、温度検知の対象や利用状況が限定される。また、サーモラベルは、高精度な温度測定が困難である。
特許文献1には、フォトクロミック化合物を含む光機能素子と、フォトクロミズムを利用した温度管理技術が開示されている。
特許文献1に記載の光機能素子は、以下に示す3つの特徴を有している。特許文献1には、このような特徴を有する光機能素子を、温度履歴表示材として使用することが開示されている。
(i)スイッチオン機能を備える。
(ii)加熱により再生不可能な消色が起こる。
(iii)着色状態が可視化で安定である。
また、特許文献1に記載の技術は、小型で薄膜なデバイス仕様の実現が可能なことから、特許文献1に記載の技術を利用する場所や対象が限定されない。また、フレキシビリティ性が見込めることから、温度検知対象のサイズ等、種類を選ばない。
さらに、特許文献1に記載の技術を利用して、小型で薄膜なデバイスを実現する際は、ディスポーザル性、低コスト化、簡便性が期待でき、新たな温度インジケータとして有望である。
本発明は、紫外線等の光を再度照射しても再発色しにくい温度表示デバイスを提供することを目的とする。
そこで、温度インジケータを通過した光を反射光として充分に活用できるようにすれば、バインダ中のフォトクロミック化合物に隈なく光が照射され、発色しないフォトクロミック化合物が残存しにくくなるとの着想に基づき、本発明を完成するに至った。
本態様によれば、温度インジケータに紫外線等の光を照射したときに、温度インジケータを通過した光を反射光として充分に活用でき、バインダ中のフォトクロミック化合物に隈なく光が照射され、発色しないフォトクロミック化合物が残存しにくく、紫外線等の光を再度照射しても再発色しにくい。よって、故意に紫外線等の光を再度照射することで、食品及び医薬品等の温度履歴を改ざんすることを防止できる。
また、本態様によれば、フォトクロミック化合物を含むので、温度逸脱履歴を正確に把握できる。しかも、構成が単純なため低コストで実現可能である。加えて、電池などの電源を必要としないため、環境負荷を軽減できる。
上記の温度表示デバイスの一例として、前記基材は、前記温度インジケータとの界面に、蛍光増白剤を実質的に含まない遮断層を有することが好ましい。
なお、後述する図5~9において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
本発明の第1実施形態に係る温度表示デバイスについて、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る温度表示デバイス20の平面図である。図2は、図1の温度表示デバイス20のII-II線における断面図である。
温度表示デバイス20は、温度検知の対象となる対象物に貼付して使用することが想定される。このため、対象物の製品の仕様、サイズ、使用方法などに基づいて、基材21の形状及び大きさが選択される。
本発明において「白色」とは、通常の目視によって白く見える範囲の色をいう。すなわち可視光領域に特異な吸収波長を持たない物質により入射光を乱反射させる事ができる色をいう。
基材21の白色度は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
白色度は、色彩計を用い、JIS P-8148に準拠して測定されるISO白色度である。
本発明において「蛍光増白剤を実質的に含まない」及び「蛍光増白剤が」実質的に含まれない」とは、蛍光増白剤の効力が現れるほどには、蛍光増白剤を含んでいないことを意味する。
基材21の総質量に対して、蛍光増白剤の含有量は、0.01質量%未満であることが好ましく、0.005質量%以下であることがより好ましい。
蛍光増白剤としては、例えばジアミノスチルベンジスルホン酸、ビス(トリアジニルアミド)スチルベンジスルホン酸、ビススチルベンジスルホン酸等のスチレン系、チオフェノン系、クマリン系、オキサゾール系、ピラゾリン系の化合物などが挙げられる。
基材21としては市販品を用いることができ、例えば株式会社のユポ・コーポレーショ製のユポシリーズ、東洋紡株式会社製のクリスパーシリーズ、東レ株式会社製の「ルミラー S10」などが挙げられる。
参照部22の構成は特に限定されないが、外部環境(温度、光など)の影響で変色することなく所望の色強度を維持でき、耐水性、耐光性に優れた材料(例えば顔料)を含んでいることが好ましい。
参照部22は、温度検知の対象となる対象物に装着して使用することが想定される対象の製品の仕様、サイズ、使用方法などに基づいて形状及び大きさが適宜選択される。
温度インジケータ23は、光の照射により温度の検知が開始される機能を有する。温度インジケータ23は、例えば、特定の波長の光が照射されることにより初期化されて色強度が変化する。色情報を認識することで、温度表示デバイス20が曝されていた温度、曝されていた温度における経過時間を確認することができる。
すなわち、温度表示デバイス20が実際に使用される直前に、温度インジケータ23に光を照射することによって温度表示デバイス20が初期化される。よって、温度表示デバイス20が保存される温度環境、すなわち温度表示デバイス20が初期化される以前における温度環境には制約が少ない。例えば、2℃程度の低温における温度検知をするための温度表示デバイス20であっても、常温(例えば25℃)における保存が可能である。
バインダとしては、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本明細書において「熱可塑性エラストマー」とは、1分子中にハードセグメントを構成するモノマーと、ソフトセグメントを構成するモノマーとがブロック共重合されているものである。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
また、温度インジケータ23は、温度検知の対象となる対象物に装着して使用することが想定される対象の製品の仕様、サイズ、使用方法などに基づいて形状及び大きさが適宜選択される。
時間情報表示部24は、温度検知の対象となる対象物に装着して使用することが想定される対象の製品の仕様、サイズ、使用方法などに基づいて形状及び大きさが適宜選択される。
なお、図1に示す温度表示デバイス20では、時間情報表示部24に時間情報が印字されている。
本発明の一態様における温度表示デバイス20の製造方法の一例を以下に説明する。
印刷方法としては、スクリーン印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、パッド印刷、オフセット印刷、シルク印刷、バーコーターを用いた印刷等が挙げられる。
温度インジケータ23を形成する際に使用される溶剤は、温度インジケータ23や基材21の材料に応じて決定されるが、例えばミネラルスピリット、石油ナフサ、テレピン油、n-ブチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、テトラリン、酢酸、酢酸メトキシブチル、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン、ジアセトンアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、n-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、2-エトキシエタノール(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート(ブチルセロソルブアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等が挙げられる。これらの材料を二種以上混合して溶剤として用いてもよい。中でも溶剤としては、トルエン、アセトンが好ましい。
印刷方法としては、参照部22を形成する際の印刷方法と同様の方法が挙げられる。
乾燥温度は、20~100℃の間で、生産性と温度インジケータ23のダメージを考慮して決定することが好ましい。
次に、温度表示デバイス20の使用方法の一例について説明する。図3は、温度インジケータ23の退色特性の一例を示す図である。図3の縦軸は、温度インジケータ23の色強度(例えば光吸収波長の光強度の吸収量や発色前を基準色とした場合の色差)であり、色強度が大きいほど濃い色である。横軸は、温度インジケータ23の初期化時からの経過時間を示す。
まず、後述する発行装置を用いて、温度表示デバイス20の温度インジケータ23を初期化し、初期化された時刻を時間情報表示部24に印字する。なお本実施形態において、温度インジケータ23が初期化され、初期化された時刻等が時間情報表示部24に印字された状態の温度表示デバイス20を温度履歴管理ラベルと定義する。
なお、基材供給部55は、予め所定の大きさに切断された温度表示デバイスを供給できる方式(枚葉式)を採用してもよい。
印字記録部52は、温度表示デバイス20Aに、時刻や温度履歴管理ラベル40が取り付けられる対象物の情報等の表示情報を、温度表示デバイスにおける時間情報表示部に印字する。
照射制御部は、照射部53による温度表示デバイス20Aへの光の照射を制御する。印字制御部は、印字記録部52による温度表示デバイス20Aへの表示情報の印字を制御する。前記表示情報は、例えば、温度表示デバイス20Aの温度検知の開始時間になる時間情報、すなわち温度インジケータ23に光を照射することにより温度表示デバイス20Aを初期化した時刻情報や、商品情報等である。
情報取得部は、時間情報、商品情報を取得する。計時部は、照射部53において温度インジケータに光を照射する照射時刻を計時し、時刻情報(照射時刻)を出力する。この構成によれば、正確な時刻を温度表示デバイス20Aに印字できる。
位置制御部は、例えば基材供給部55から供給される温度表示デバイス20Aの搬送を制御する。位置制御部は、温度表示デバイス20Aの位置に合わせて照射制御部及び印字制御部に制御信号を出力し、印字記録部52及び照射部53を動作させる。
上述した本実施形態の温度表示デバイス20は、基材21が蛍光増白剤を実質的に含まないため、温度インジケータ23に紫外線等の光を照射したときに、温度インジケータ23を通過して基材21まで到達した光を効率よく反射できる。その反射光がバインダ中のフォトクロミック化合物に到達することでもフォトクロミック化合物が発色するため、温度インジケータを通過した光を基材21からの反射光として充分に活用できる。よって、バインダ中のフォトクロミック化合物に隈なく光が照射され、発色しないフォトクロミック化合物が残存しにくく、紫外線等の光を再度照射しても再発色しにくい。具体的には、再発色率を20%以下にまで低減できる。よって、故意に紫外線等の光を再度照射することで、食品及び医薬品等の温度履歴を改ざんすることを防止できる。
また、本実施形態の温度インジケータ23はフォトクロミック化合物を含むので、温度逸脱履歴を正確に把握できる。しかも、構成が単純なため低コストで実現可能である。加えて、電池などの電源を必要としないため、環境負荷を軽減できる。
温度表示デバイス20は、温度インジケータ23の一部が基材21の一部に染み込んでいてもよい。
温度インジケータ23が基材21の一部に染み込む程度は、温度インジケータ23の形成方法に依存する。そのため、所望の温度インジケータ23の形態を得るには、温度インジケータ23の形成方法を適宜選択すればよい。例えば、温度インジケータ23の位置を制御するために、フォトクロミック化合物、バインダ及び溶剤を含む溶液の粘度を規定してもよい。
複数の参照部及び複数の温度インジケータを有していれば、温度表示デバイス20が貼付された対象物が管理温度範囲からどの程度逸脱したかを目視により容易に判定することが可能であり、本来管理されるべき温度範囲からどの程度逸脱したかを把握する必要がある場合に有用である。
読取処理装置は、撮像機能を有する、例えばスマートフォン、タブレット端末、専用装置等である。読取処理装置は、その撮像手段を介して温度履歴管理ラベルの情報(温度インジケータ23、時間情報表示部24を含む画像)を読み取り、読み取った情報に基づいて温度履歴管理ラベル(温度表示デバイス20)が貼付されている対象物が曝されていた温度と経過時間等を求める。読取処理装置は、求めた対象物が曝されていた温度と温度履歴管理ラベルの初期化時からの経過時間等を表示部に表示させる。
このように、読取処理装置を用いて温度履歴管理ラベルの情報を読み取って温度検知を行うことにより、温度履歴管理ラベルを初期化してからの任意の経過時間において、簡便に、より正確に温度履歴管理ラベルが貼付されている対象物の温度管理を行うことが可能である。
本発明の第2実施形態に係る温度表示デバイスについて、図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る温度表示デバイス20Bの断面図である。
本実施形態の温度表示デバイス20Bは、基材21の参照部22、温度インジケータ23及び時間情報表示部24が位置している面とは反対側の面に、粘着層31と、剥離層32とを有している以外は、第1実施形態に係る温度表示デバイスと同じである。
粘着層31の材料は、温度検知対象物に温度表示デバイス20Bを貼付することが可能であれば特に限定されない。
剥離層32の材料は、粘着層31から容易に剥離することが可能であれば特に限定されない。
温度表示デバイス20Bを使用する直前に剥離層32を粘着層31から剥がし、剥離層32が剥離された温度表示デバイス20Bを対象物に貼付して使用することができる。
本発明の第3実施形態に係る温度表示デバイスについて、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る温度表示デバイス20Cの断面図である。
本実施形態の温度表示デバイス20Cは、温度インジケータ23上に保護層33を有している以外は、第1実施形態に係る温度表示デバイスと同じである。
保護層33の形成方法としては、例えば、保護層33としてシリコーン塗布層を用いる場合、温度インジケータ23全体を覆うようにシリコーン塗布層を形成するための溶液を塗布して乾燥することにより形成することができる。他の方法として、保護層33としてラミネート層を用いる場合、温度インジケータ23全体を覆うようにラミネート層を配置し、圧着することでラミネート層を固定することで保護層33を形成することができる。
また、本実施形態において、基材21の参照部22、温度インジケータ23、時間情報表示部24及び保護層33が位置している面とは反対側の面に、粘着層及び剥離層(いずれも図示略)がこの順で設けられていてもよい。
本発明の第4実施形態に係る温度表示デバイスについて、図7を参照して説明する。
図7は、本発明の第4実施形態に係る温度表示デバイス20Dの断面図である。
本実施形態の温度表示デバイス20Dは、基材21Dと、参照部22と、温度インジケータ23と、時間情報表示部24とを有する。平面視において、参照部22と、温度インジケータ23と、時間情報表示部24とは、基材21D上の面方向に並んで形成されている。
基材本体211は、白色である。
基材本体211は、蛍光増白剤を含んでいてもよいし、実質的に蛍光増白剤を含んでいなくてもよい。基材本体211の白色度が高まる観点では、基材本体211は蛍光増白剤を含むことが好ましい。
基材本体211が蛍光増白剤を含む場合、蛍光増白剤の含有量は、基材本体211の総質量に対して0.01~5質量%であることが好ましく、0.1~1質量%であることがより好ましい。
蛍光増白剤としては、本発明の第1実施形態の説明において先に例示した蛍光増白剤が挙げられる。
遮断層212は、蛍光増白剤を実質的に含まない。遮断層212の面積は、温度インジケータ23の面積より大きい。よって、基材本体211が蛍光増白剤を含んでいたとしても、基材21Dにおける温度インジケータ23との界面には、蛍光増白剤が実質的に含まれない。
基材21Dが、温度インジケータ23との界面に遮断層212を有していれば、温度インジケータ23に紫外線等の光を照射したときに、温度インジケータ23を通過した光が遮断層212で反射される。そのため、基材本体211が蛍光増白剤を含んでいても、温度インジケータ23を通過した光を遮断層212からの反射光として充分に活用できる。加えて、遮断層212を配置することにより、温度インジケータ23を形成するための溶剤やバインダ等が基材本体211に染み込むことで基材本体211が変色することを防ぐことができる。
このような材料としては、例えば塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ニトロセルロース(硝化綿)、エチルセルロース樹脂、ポリアミド、イソプレンゴム等の環化ゴム、塩素化ポリオレフィン、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート等が挙げられる。上記の材料は、紫外線硬化性等の光硬化性の樹脂であってもよい。遮断層の材料として、アクリル樹脂が好ましい。
まず上述の遮断層212の材料及び溶剤を含む溶液を調製する。遮断層212は、基材本体211上の温度インジケータ23が形成される箇所に、遮断層212の材料及び溶剤を含む溶液を印刷して乾燥することにより形成される。印刷方法としては、参照部22を形成する際の印刷方法と同様の方法が挙げられる。
あるいは、光の反射をより効果的に利用できる観点から、遮断層212としてアルミニウムなどの金属薄膜を用いてもよい。その場合は、基材本体211上の温度インジケータ23が形成される箇所に、接着剤を介してアルミニウム箔などの金属箔を接着することにより金属薄膜からなる光反射層を形成する。
本発明の第5実施形態に係る温度表示デバイスについて、図8を参照して説明する。
図8は、本発明の第5実施形態に係る温度表示デバイス20Eの断面図である。
本実施形態の温度表示デバイス20Eは、基材21Dの参照部22、温度インジケータ23及び時間情報表示部24が位置している面とは反対側の面に、粘着層31と、剥離層32とを有している以外は、第4実施形態に係る温度表示デバイスと同じである。
粘着層31の材料は、温度検知対象物に温度表示デバイス20Eを貼付することが可能であれば特に限定されない。
剥離層32の材料は、粘着層31から容易に剥離することが可能であれば特に限定されない。
温度表示デバイス20Eを使用する直前に剥離層32を粘着層31から剥がし、剥離層32が剥離された温度表示デバイス20Eを対象物に貼付して使用することができる。
本発明の第6実施形態に係る温度表示デバイスについて、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第6実施形態に係る温度表示デバイス20Fの断面図である。
本実施形態の温度表示デバイス20Fは、温度インジケータ23上に保護層33を有している以外は、第4実施形態に係る温度表示デバイスと同じである。
保護層33は、本発明の第3実施形態の温度表示デバイスに備わる保護層と同じである。
なお、本実施形態において、基材21Dの参照部22、温度インジケータ23、時間情報表示部24及び保護層33が位置している面とは反対側の面に、粘着層及び剥離層(いずれも図示略)がこの順で設けられていてもよい。
実施例及び比較例における測定方法は以下の通りである。
<再発色率の測定>
色彩計(コニカミノルタ株式会社製、「FD-5」)を用い、照明条件をD50(色濃度5003k)とし、視野を2°視野として、光照射前の温度インジケータについてL*a*b*色空間におけるL*、a*、b*を測定した。
次いで、温度インジケータに紫外線を照射して発色させ、照射直後の温度インジケータのL*、a*、b*を同様に測定し、下記式(i)より色差(ΔE1)を求めた。
次いで、温度インジケータが完全に消色したことを確認した後に、再度、温度インジケータに紫外線を照射し、照射直後の温度インジケータのL*、a*、b*を同様に測定し、下記式(ii)より色差(ΔE2)を求めた。
下記式(iii)より再発色率を求めた。なお、再発色率が20%以下であれば目視による再発色は認められないことから、再発色率が20%以下の場合を合格とする。
ΔE1={(L0 *-L1 *)2+(a0 *-a1 *)2+(b0 *-b1 *)2}1/2 ・・・(i)
ΔE2={(L0 *-L2 *)2+(a0 *-a2 *)2+(b0 *-b2 *)2}1/2 ・・・(ii)
再発色率[%]=(色差(ΔE2)/色差(ΔE1))×100 ・・・(iii)
ただし、L0 *、a0 *、b0 *は、光照射前の温度インジケータの表面のL*、a*、b*であり、L1 *、a1 *、b1 *は、1回目の光照射直後の温度インジケータの表面のL*、a*、b*であり、L2 *、a2 *、b2 *は、2回目の光照射直後の温度インジケータの表面のL*、a*、b*である。
溶剤としてトルエン27gに、フォトクロミック化合物として上記一般式(1)で示す化合物(式(1)中、Xは硫黄原子であり、Zはいずれもフッ素原子であり、R及びR’はそれぞれ-CH(Pr)2であり、Prはn-プロピル基である化合物)0.15gと、バインダとしてポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製、「エスレックBL-1」、ブチラール樹脂)3gを添加し、撹拌して溶液(塗工液)を調製した。
基材として蛍光増白剤を実質的に含まないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、「ルミラー S10」、汎用ポリエステルフィルム)上に塗工液を乾燥後の厚さが1μmとなるようにバーコーターを用いて塗工し、自然乾燥させ、基材上にフォトクロミック化合物及びバインダを含む温度インジケータが形成された温度表示デバイスを得た。
得られた温度表示デバイスについて、温度インジケータの再発色率を測定した。これらの結果を表1、図10に示す。
なお、再発色率の測定では、基材の下に合成紙(株式会社ユポ・コーポレーション製、「ユポタック SGS110」、白色度97%)を敷いて、測定した。
バインダとしてポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製、「エスレックBM-S」、ブチラール樹脂)を用いた以外は、実施例1と同様にして温度表示デバイスを製造し、再発色率を測定した。結果を表1、図10に示す。
バインダとしてアクリル樹脂溶液(楠本化成株式会社製、「HIPLAAD ER2800」)を固形分換算で3g用いた以外は、実施例1と同様にして温度表示デバイスを製造し、再発色率を測定した。結果を表1、図10に示す。
バインダとしてアクリル樹脂溶液(楠本化成株式会社製、「HIPLAAD ER2600」)を固形分換算で3g用いた以外は、実施例1と同様にして温度表示デバイスを製造し、再発色率を測定した。結果を表1、図10に示す。
基材として蛍光増白剤を含むPETフィルム(東レ株式会社製、「ルミラー E20」、白色高遮蔽ポリエステルフィルム)を用いた以外は、実施例1と同様にして温度表示デバイスを製造し、再発色率を測定した。結果を表1、図10に示す。
基材として蛍光増白剤を含むPETフィルム(東レ株式会社製、「ルミラー E20」、白色高遮蔽ポリエステルフィルム)を用いた以外は、実施例2と同様にして温度表示デバイスを製造し、再発色率を測定した。結果を表1、図10に示す。
基材として蛍光増白剤を含むPETフィルム(東レ株式会社製、「ルミラー E20」、白色高遮蔽ポリエステルフィルム)を用いた以外は、実施例3と同様にして温度表示デバイスを製造し、再発色率を測定した。結果を表1、図10に示す。
基材として蛍光増白剤を含むPETフィルム(東レ株式会社製、「ルミラー E20」、白色高遮蔽ポリエステルフィルム)を用いた以外は、実施例4と同様にして温度表示デバイスを製造し、再発色率を測定した。結果を表1、図10に示す。
一方、蛍光増白剤を含む基材を用いた比較例1~4で得られた温度表示デバイスは、再発色率が20%を超えており、再発色しやすかった。
Claims (3)
- 白色の基材と、
前記基材上に形成された温度インジケータと、
時間情報が印字される領域として前記基材上に前記温度インジケータと面方向に並んで形成された時間情報表示部と、
を有し、
前記温度インジケータはフォトクロミック化合物を含み、
前記基材における前記温度インジケータとの界面には、蛍光増白剤が実質的に含まれない、温度表示デバイス。 - 前記基材が蛍光増白剤を実質的に含まない、請求項1に記載の温度表示デバイス。
- 前記基材は、前記温度インジケータとの界面に、蛍光増白剤を実質的に含まない遮断層を有する、請求項1又は2に記載の温度表示デバイス。
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2019
- 2019-07-23 JP JP2019135013A patent/JP7313950B2/ja active Active
Patent Citations (3)
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JP2016070731A (ja) | 2014-09-29 | 2016-05-09 | 大日本印刷株式会社 | 自動認識コードラベルおよび品質管理方法 |
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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西村 光平 Kohei NISHIMURA,紙面への発色型映像投影技術の多色化 Multiple Color Representation on Projection Based Color-forming Display,日本バーチャルリアリティ学会論文誌 第19巻 第3号 Transactions of the Virtual Reality Society of Japan,日本,特定非営利活動法人日本バーチャルリアリティ学会 The Virtual Reality Society of Japan,第19巻 |
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