JP2017057245A - 時間経過インジケータ - Google Patents
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Abstract
【課題】主に短時間での時間管理が必要な生鮮食品等に用いることのできる時間経過インジケータであって、色調が変化する時間を容易に調整でき、かつ視覚による色調変化の判断が容易となる時間経過インジケータを提供すること【解決手段】最表面に配置されて酸素及び/又は二酸化炭素を遮断する保護層と、保護層の裏面側に密着形成されている第一粘着層と、インキ層と、基材と、がこの順に配置されている、時間経過により色調が変化する時間経過インジケータであって、インキ層は、pHの値又は電位の値の変化によって色調が変化する指示染料と、酸素及び/又は二酸化炭素と接触することによりpHの値又は電位の値が変化する時間変化化合物と、指示染料と時間変化化合物とを分散することのできるバインダーと、を含有する時間経過インジケータである。【選択図】図1
Description
本発明は、主に食品、医薬品、化粧品などの製造、保管、輸送時の劣化度を表示する時間経過インジケータに関する。
食品、医薬品、化粧品などの所定の温度で管理すべき製品の製造、保管、輸送時の劣化度を確認する場合、その製品については保温庫(冷蔵庫や恒温槽など)により温度管理がなされ、輸送時なども所定の温度での輸送がなされることが通常である。
しかし、製品が保温庫への搬入、搬出される際は一度、管理されていない環境に置かれる。その製品の劣化度を確認するためには、その製品が保温庫に入れられた時間のみではなく、保温庫外に放置されていた時間をも管理する必要がある。
このような課題に対し、例えば特許文献1では、所定の温度以上の環境下で時間が経過することで変色し、また、その変色速度が温度に依存するインキを用いた温度履歴インジケータが開示されている。一定温度以上の管理下に置かれると酵素反応で変色し、経過時間を示すことが可能である。
また、特許文献2には染料の拡散で経過時間を示した温度履歴インジケータが開示されている。これは、拡散性染料と拡散層を接触させることで作動し、染料が拡散層に拡散・変色することで経過時間を示すことが可能である。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の温度履歴インジケータは、時間が経過することで変色する(色調が変化する)ことを特徴としているが、変色過程に要する時間(色調が変化する時間)が長い。そのため、例えば生鮮食品等の比較的短期間での時間管理が必要な用途で用いる場合には必ずしも有用であるとはいえない。
また、これらの温度履歴インジケータは、時間経過とともに大きく色が変化する温度履歴インジケータではなく、徐々に色が変化する温度履歴インジケータであるため、時間経過による色調差が生じにくい。そのため、色調変化の判断に個人差が生じ、視覚によって時間経過を判断するのが困難であるという問題がある。
本発明の目的は、主に短時間での時間管理が必要な生鮮食品等に用いることのできる時間経過インジケータであって、色調が変化する時間を容易に調整でき、かつ視覚による色調変化の判断が容易となる時間経過インジケータを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、インキ層にpH又は電位の変化によって色調が変化する指示染料と、酸素及び/又は二酸化炭素と接触することによりpH又は電位が変化する時間変化化合物とを含有することで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を解決するに至った。具体的には、以下のものを提供する。
(1)最表面に配置されて酸素及び/又は二酸化炭素を遮断する保護層と、前記保護層の裏面側に密着形成されている第一粘着層と、インキ層と、基材と、がこの順に配置されている、時間経過により色調が変化するインジケータであって、前記インキ層は、pHの値又は電位の値の変化によって色調を変化させる指示染料と、酸素及び/又は二酸化炭素と接触することによりPHの値又は電位の値を変化させる時間変化化合物と、前記指示染料と前記時間変化化合物とを分散することのできるバインダーと、を含有する時間経過インジケータ。
(2)前記指示染料がpHの値の変化によって色調が変化するpH指示染料であって、
前記時間変化化合物が空気中の二酸化炭素と反応することでpHの値が変化する塩基性化合物である(1)に記載の時間経過インジケータ。
前記時間変化化合物が空気中の二酸化炭素と反応することでpHの値が変化する塩基性化合物である(1)に記載の時間経過インジケータ。
(3)前記pH指示染料が前記バインダー100質量部に対して0.005質量部以上0.1質量部以下であって、前記塩基性化合物が前記バインダー100質量部に対して0.05質量部以上1質量部以下である(2)に記載の時間経過インジケータ。
(4)前記指示染料が電位の値の変化によって色調が変化する電位指示染料であって、
前記時間変化化合物が空気中の酸素と反応し酸化することで電位の値が変化する還元剤である(1)に記載の時間経過インジケータ。
前記時間変化化合物が空気中の酸素と反応し酸化することで電位の値が変化する還元剤である(1)に記載の時間経過インジケータ。
(5)前記電位指示染料が前記バインダー100質量部に対して0.005質量部以上0.1質量部以下であって、前記還元剤が前記バインダー100質量部に対して0.05質量部以上1質量部以下である(4)に記載の時間経過インジケータ。
(6)前記基材が、酸素及び/又は二酸化炭素を遮断する層を含む、(1)から(5)のいずれかに記載の時間経過インジケータ。
本発明の時間経過インジケータは、色調が変化する時間を容易に調整でき、かつ視覚による色調変化の判断が容易となる時間経過インジケータである。
以下、本発明の時間経過インジケータについて説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<時間経過インジケータ>
本発明の時間経過インジケータは、保護層と、保護層の裏面側に密着形成されている第一粘着層と、インキ層と、基材層と、がこの順に配置された時間経過インジケータである。本発明の時間経過インジケータについて、その一実施形態を表した図1を用いて詳細に説明する。
本発明の時間経過インジケータは、保護層と、保護層の裏面側に密着形成されている第一粘着層と、インキ層と、基材層と、がこの順に配置された時間経過インジケータである。本発明の時間経過インジケータについて、その一実施形態を表した図1を用いて詳細に説明する。
図1の時間経過インジケータは、保護層と、保護層の裏面側に密着形成されている第一粘着層と、インキ層と、基材層がこの順に配置された時間経過インジケータであって、保護層がインキ層を覆うように積層することで、酸素及び/又は二酸化炭素を遮断するように配置された構造である。
本発明の時間経過インジケータの一使用例について図3を用いて説明する。図3の(a)は、保護層を時間経過インジケータから剥離する前の時間経過インジケータである。保護層13が最表面であってインキ層11と酸素及び/又は二酸化炭素とを接触させないように配置することで、インキ層11は、酸素及び/又は二酸化炭素の接触に起因してインキ層11の色調が変化することはない。図3の(b)は、本発明の時間経過インジケータから保護層を剥離した直後の時間経過インジケータである。時間経過インジケータから保護層を剥離することで、インキ層11と空気中の酸素及び/又は二酸化炭素とが初めて接触する。時間経過インジケータのインキ層を一定期間酸素及び/又は二酸化炭素と接触することで色調が変化するインキ層とすれば、一定期間経過後には、インキ層11の色調は変化する(図3の(c)参照)。インキ層の色調の変化を目視で確認することにより、保護層を時間経過インジケータから剥離した時からの経過時間を確認することができる。
特に本発明の時間経過インジケータは、インキ層にpHの値又は電位の値の変化によって色調が変化する指示染料と、酸素及び/又は二酸化炭素と接触することによりpHの値又は電位の値を変化させる時間変化化合物とを含有する。pHの値又は電位の値は、中和滴定曲線や電位曲線を見れば明らかのように、その当量点や当電点から遠いときはpHの値又は電位の値の変化は小さいものの、その当量点や当電点の付近ではpHの値又は電位の値の変化は大きい。そのため、本発明の時間経過インジケータは、時間変化化合物と指示染料とを、当量点又は当電点付近で色調の変化が大きくなるように選定することにより、保護層を剥離した直後しばらくはインキ層の色調の変化はほとんど無く、且つ、一定時間経過し、空気中等に含まれる二酸化炭素及び/又は酸素を所定量吸収しインキ層内のpHの値又は電位の値が当量点又は当電点の付近になったときに、インキ層の色調の変化を大きくすることができる時間経過インジケータとすることができる。指示染料と時間変化化合物とを含有したインキ層を備えた本発明の時間経過インジケータは、時間変化に従って均一に色調が変化する時間経過インジケータとは異なり、当量点や当電点の付近で色調の変化が大きく、視覚による色調変化の判断が容易である。以下、本発明の時間経過インジケータの各層について詳細に説明する。
[インキ層]
本発明の時間経過インジケータは、インキ層を備える。インキ層には、指示染料と、時間変化化合物と、バインダーと、を含有する。本明細書において指示染料とは、pHの値又は電位の値の変化によって色調が変化する化合物を意味する。本明細書において時間変化化合物とは、酸素及び/又は二酸化炭素と接触することによりpHの値又は電位の値が変化する化合物を意味する。本明細書においてバインダーとは、インキ層中において指示染料と時間変化化合物とを分散することのできる機能を有する樹脂等の物質を意味する。以下インキ層の態様の異なる2つの実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の例示であり、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
本発明の時間経過インジケータは、インキ層を備える。インキ層には、指示染料と、時間変化化合物と、バインダーと、を含有する。本明細書において指示染料とは、pHの値又は電位の値の変化によって色調が変化する化合物を意味する。本明細書において時間変化化合物とは、酸素及び/又は二酸化炭素と接触することによりpHの値又は電位の値が変化する化合物を意味する。本明細書においてバインダーとは、インキ層中において指示染料と時間変化化合物とを分散することのできる機能を有する樹脂等の物質を意味する。以下インキ層の態様の異なる2つの実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の例示であり、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
(第一の実施形態)
本実施形態の時間経過インジケータに用いられるインキ層は、指示染料としてpH指示染料を用いる。pH指示染料とは、pHの値の変化によって色調が変化する化合物を意味する。また、本実施形態の時間経過インジケータは、時間変化化合物として、空気中等に含まれる二酸化炭素と反応することでpHの値が変化する塩基性化合物を用いる。インキ層と二酸化炭素とが接触することで、二酸化炭素がインキ層に吸収される。インキ層に二酸化炭素が吸収された場合、インキ層に含まれる水分と反応し炭酸が発生するため、インキ層内の塩基性化合物と中和反応が起き、水酸化物イオンの濃度が低下し、インキ層内のpHの値が下がる。インキ層内のpHの値が下がることで、pH指示染料の色調が変化する。
本実施形態の時間経過インジケータに用いられるインキ層は、指示染料としてpH指示染料を用いる。pH指示染料とは、pHの値の変化によって色調が変化する化合物を意味する。また、本実施形態の時間経過インジケータは、時間変化化合物として、空気中等に含まれる二酸化炭素と反応することでpHの値が変化する塩基性化合物を用いる。インキ層と二酸化炭素とが接触することで、二酸化炭素がインキ層に吸収される。インキ層に二酸化炭素が吸収された場合、インキ層に含まれる水分と反応し炭酸が発生するため、インキ層内の塩基性化合物と中和反応が起き、水酸化物イオンの濃度が低下し、インキ層内のpHの値が下がる。インキ層内のpHの値が下がることで、pH指示染料の色調が変化する。
また、中和反応において、その当量点から遠いときは二酸化炭素の吸収量に対するpHの値の変化は小さいものの、その当量点の付近では二酸化炭素の吸収量に対するpHの値の変化は大きい。そのため、本実施形態の時間経過インジケータは保護層を剥離した直後しばらくはインキ層の色調の変化はほとんど無いが、一定時間経過し二酸化炭素を吸収し、当量点の付近になったときにはインキ層の色調の変化は大きくなる。そのため、pH指示染料と時間変化化合物とを含有したインキ層を備えた時間経過インジケータは、時間変化に従って均一に色調が変化する時間経過インジケータとは異なり、視覚による色調変化の判断が容易である。
pH指示染料は、pHの変化によって発色、消色又は、色調が変化する化合物であればとくに制限されない。例えば、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、チモールブルー、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、コンゴ―レッド、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、クレゾールレッド、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、アリザリンイエロー等が挙げられる。例えば、フェノールフタレインはその色調が変化するpHの値は8.0〜8.3程度(当量点付近)、ブロモチモールブルーはその色調が変化するpHの値は6.0〜7.6程度(当量点付近)である。pH指示染料としてフェノールフタレイン又はブロモチモールブルーを用いた場合には、pHの値の変化は当量点付近にて変動が特に大きいことから、当量点付近において色調の変化が特に大きい。そのため、本発明の指示染料として特に好ましく用いることができる。
塩基性化合物は、塩基性の化合物であって、空気中等に含まれる二酸化炭素と反応することでpHの値が変化する化合物であれば特に制限されない。例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどが挙げられる。
pH指示染料は、バインダー100質量部に対して0.005質量部以上0.1質量部以下であることが好ましく、0.008質量部以上0.05質量部以下であることがより好ましい。なお、pH指示染料の濃度を調整することで、インキ層の色調が変化する時間(以下、色調変化時間と表記することがある。)を調整することができる。
塩基性化合物は、バインダー100質量部に対して0.05質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.08質量部以上0.5質量部以下であることがより好ましい。なお、塩基性化合物の濃度を調整することで、インキ層の色調変化時間を調整することができる。
(第二の実施形態)
本実施形態の時間経過インジケータに用いられるインキ層は、指示染料として電位指示染料を用いる。電位指示染料とは、電位の値の変化によって色調が変化する化合物を意味する。また、本実施形態の時間経過インジケータに用いられる時間変化化合物には、還元剤を用いる。インキ層が空気と接触することで空気中等に含まれる酸素がインキ層に吸収される。インキ層に酸素が吸収された場合、酸素と還元剤が反応することで還元剤が酸化され、インキ層内の電位の値が変化する。インキ層内の電位の値が変化することで、電位指示染料の色調が変化する。
本実施形態の時間経過インジケータに用いられるインキ層は、指示染料として電位指示染料を用いる。電位指示染料とは、電位の値の変化によって色調が変化する化合物を意味する。また、本実施形態の時間経過インジケータに用いられる時間変化化合物には、還元剤を用いる。インキ層が空気と接触することで空気中等に含まれる酸素がインキ層に吸収される。インキ層に酸素が吸収された場合、酸素と還元剤が反応することで還元剤が酸化され、インキ層内の電位の値が変化する。インキ層内の電位の値が変化することで、電位指示染料の色調が変化する。
また、酸化反応において、その当電点から遠いときは酸素の吸収量に対する電位の値の変化は小さいものの、その当電点の付近では酸素の吸収量に対する電位の値の変化が大きい。そのため、本実施形態の時間経過インジケータは保護層を剥離した直後しばらくはインキ層の色調の変化はほとんど無いが、一定時間経過し還元剤が一定量酸化された後には酸素の吸収量に対するインキ層の色調の変化は大きくなる。そのため、電位指示染料と還元剤とを含有したインキ層を備えた時間経過インジケータは、時間変化に従って均一に色調が変化する時間経過インジケータとは異なり、視覚による色調変化の判断が容易である。
電位指示染料は、電位の変化によって発色、消色又は、色調が変化する化合物であればとくに制限されない。例えば、フェノサフラニン、インジゴテトラスルホン酸、メチレンブルー、ジフェニルアミンスルホン酸、ジフェニルアミン、ジフェニルベンジジン、5,6−ジメチルフェロイン、エリオグラウシンA、5−メチルフェロイン、ニトロフェロイン、フェロイン、ブロモチモールブルーなどが挙げられる。
還元剤は、空気中の酸素と反応し、電位が変化する化合物であれば特に制限されない。例えば、金属、シュウ酸、過酸化水素、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられる。
電位指示染料は、バインダー100質量部に対して0.005質量部以上0.1質量部以下であることが好ましく、0.008質量部以上0.05質量部以下であることがより好ましい。なお、電位指示染料の濃度を調整することで、インキ層の色調変化時間を調整することができる。
還元剤は、バインダー100質量部に対して0.05質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.08質量部以上0.5質量部以下であることがより好ましい。なお、還元剤の濃度を調整することで、インキ層の色調変化時間を調整することができる。
(バインダー)
本発明の時間経過インジケータのインキ層は、さらにバインダーを含有する。ここで、バインダーとは、指示染料や時間変化化合物を分散することのできる機能を有する樹脂等の物質を意味する。バインダーは上記機能を有する物質であれば特に制限されず、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド等を用いることができる。
本発明の時間経過インジケータのインキ層は、さらにバインダーを含有する。ここで、バインダーとは、指示染料や時間変化化合物を分散することのできる機能を有する樹脂等の物質を意味する。バインダーは上記機能を有する物質であれば特に制限されず、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド等を用いることができる。
(その他の成分)
本発明の時間経過インジケータのインキ層には、中和反応又は酸化反応を制御するために触媒や酵素をさらに含有してもよい。触媒や酵素の量や種類を調整することで、中和反応又は酸化反応を制御し、インキ層の色調変化時間の制御が容易になる。
本発明の時間経過インジケータのインキ層には、中和反応又は酸化反応を制御するために触媒や酵素をさらに含有してもよい。触媒や酵素の量や種類を調整することで、中和反応又は酸化反応を制御し、インキ層の色調変化時間の制御が容易になる。
また、インキ層の印刷特性を出すために、さらに炭酸カルシウムなどの顔料や、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの高級アルコールを含んでもよい。
(インキ層の形成方法)
インキ層の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば基材に、指示染料と、時間変化化合物と、バインダーと、水等の溶媒とを含有したインキを印刷する方法により形成することができる。インキを印刷する方法は、例えば、バーコーターを用いて印刷してもよいし、また、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などによりインキ層を形成してもよい。
インキ層の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば基材に、指示染料と、時間変化化合物と、バインダーと、水等の溶媒とを含有したインキを印刷する方法により形成することができる。インキを印刷する方法は、例えば、バーコーターを用いて印刷してもよいし、また、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などによりインキ層を形成してもよい。
[保護層]
本発明の時間経過インジケータには、最外層に保護層を備える。保護層とは、図1の時間経過インジケータのようにインキ層11と酸素及び/又は二酸化炭素とを接触させないようにインキ層11を外層から覆うように積層された層である。保護層13は、pHの値や電位の値を変化させる指示染料の外的要因に応じて選択されることが好ましい。pHの値を変化させる外的要因である二酸化炭素を遮断する保護層としては、たとえば、金属、塩化ビニル、ポリカーボネイト、セロファン、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、などが挙げられる。二酸化炭素を遮断する機能性の観点からポリエチレンテレフタラートを用いることが好ましい。
本発明の時間経過インジケータには、最外層に保護層を備える。保護層とは、図1の時間経過インジケータのようにインキ層11と酸素及び/又は二酸化炭素とを接触させないようにインキ層11を外層から覆うように積層された層である。保護層13は、pHの値や電位の値を変化させる指示染料の外的要因に応じて選択されることが好ましい。pHの値を変化させる外的要因である二酸化炭素を遮断する保護層としては、たとえば、金属、塩化ビニル、ポリカーボネイト、セロファン、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、などが挙げられる。二酸化炭素を遮断する機能性の観点からポリエチレンテレフタラートを用いることが好ましい。
また、電位の値を変化させる外的要因である酸素を遮断する保護層としては、たとえば、金属、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アセチルセルロース、ポリカーボネイト、セロファン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドなどが挙げられる。酸素を遮断する機能性の観点からポリエチレンテレフタラートを用いることが好ましい。
[第一粘着層]
本発明の時間経過インジケータの保護層の裏面側には第一粘着層を備える。第一粘着層は、図1のように保護層13の裏面側に密着形成され、保護層13とインキ層11とを接着する機能を有する層である。保護層13とインキ層11とを密着する機能を有することで、インキ層11と酸素及び/又は二酸化炭素とを遮断することができる。粘着層131を形成することのできる粘着剤としては、塗布形成が容易な従来公知の水性エマルジョン糊などを用いることができ特に限定されない。
本発明の時間経過インジケータの保護層の裏面側には第一粘着層を備える。第一粘着層は、図1のように保護層13の裏面側に密着形成され、保護層13とインキ層11とを接着する機能を有する層である。保護層13とインキ層11とを密着する機能を有することで、インキ層11と酸素及び/又は二酸化炭素とを遮断することができる。粘着層131を形成することのできる粘着剤としては、塗布形成が容易な従来公知の水性エマルジョン糊などを用いることができ特に限定されない。
[基材]
本発明の時間経過インジケータには基材が備えられる。基材は、例えば図1のように単層であってもよいし、図2のように多層であって保護層同様にインキ層を酸素及び/又は二酸化炭素を遮断する層を含むものであってもよい。基材は、保護層同様にpHの値や電位の値を変化させる指示染料の外的要因に応じて選択されることが好ましく、保護層と同様のものを使用することができる。
本発明の時間経過インジケータには基材が備えられる。基材は、例えば図1のように単層であってもよいし、図2のように多層であって保護層同様にインキ層を酸素及び/又は二酸化炭素を遮断する層を含むものであってもよい。基材は、保護層同様にpHの値や電位の値を変化させる指示染料の外的要因に応じて選択されることが好ましく、保護層と同様のものを使用することができる。
基材の一例を図2に示す。図2の基材12は、インキ層と密着し、インキ層を酸素及び/又は二酸化炭素から保護することのできる基材層121と、時間経過インジケータの強度を増加する機能を有する強度増加層123と、時間経過インジケータを所定の温度で管理すべき製品等の他の媒体に接着する機能を有する第二粘着層122とを備える。
強度増加層と、第二粘着層とを備えることで、時間経過インジケータの強度を増加することのでき、かつ製品等の他の媒体に接着する機能を有するものとすることができる。
また、基材には保護層と同等のものを使用することができるが、インキ層の視覚による色調の変化の判断の容易性の観点から、例えばポリエチレンテレフタラートに白色顔料等を分散した白色ポリエチレンテレフタラート等を用いてもよい。
<時間測定方法>
本発明の時間経過インジケータを用いることで時間を計測することもできる。インキ層に含まれる指示染料と、時間変化化合物と、触媒や酵素との種類又は濃度を調整することで、これらのパラメータとインキ層の色調変化時間との関係を調べることで、所望の色調変化時間となるようにインキ層を有する時間経過インジケータとすることができる。
本発明の時間経過インジケータを用いることで時間を計測することもできる。インキ層に含まれる指示染料と、時間変化化合物と、触媒や酵素との種類又は濃度を調整することで、これらのパラメータとインキ層の色調変化時間との関係を調べることで、所望の色調変化時間となるようにインキ層を有する時間経過インジケータとすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例等に何ら限定されるものではない。
<インキAの製造>
水100質量部中に対して、水溶性のバインダーとしてゼラチン10質量部、水酸化ナトリウム(和光純薬工業製)0.05質量部、フェノールフタレイン(和光純薬工業製)0.001質量部をそれぞれ窒素雰囲気下で加え、赤色のインキAを製造した。
水100質量部中に対して、水溶性のバインダーとしてゼラチン10質量部、水酸化ナトリウム(和光純薬工業製)0.05質量部、フェノールフタレイン(和光純薬工業製)0.001質量部をそれぞれ窒素雰囲気下で加え、赤色のインキAを製造した。
<インキBの製造>
日油技研工業社製時間経過インジケータ用のインク(Fresh−Check(米国登録商標) タイプB)をインキBとした。
日油技研工業社製時間経過インジケータ用のインク(Fresh−Check(米国登録商標) タイプB)をインキBとした。
<時間経過インジケータの製造>
厚み50μmの帝人社製白色ポリエチレンテレフタラートフィルム表面に、インキA、Bをバーコーターにて膜厚1μmになるように印刷して積層し、それをインキ層とした。その後、厚み50μmの日栄化工業製透明50−SN1090(アクリル系強粘着剤付ポリエチレンテレフタラートフィルム)を接着し、実施例及び比較例の時間経過インジケータを得た。
厚み50μmの帝人社製白色ポリエチレンテレフタラートフィルム表面に、インキA、Bをバーコーターにて膜厚1μmになるように印刷して積層し、それをインキ層とした。その後、厚み50μmの日栄化工業製透明50−SN1090(アクリル系強粘着剤付ポリエチレンテレフタラートフィルム)を接着し、実施例及び比較例の時間経過インジケータを得た。
<評価>
実施例及び比較例の時間経過インジケータを大気中に静置し、保護層を剥離し、各時間毎のインキ層の光学濃度(実施例についてはシアンの光学濃度、比較例についてはマゼンタの光学濃度(OD値(Optical Density)))の変化及び目視にて色調変化を確認した。また、光学濃度は、光学濃度測定器(X−Rite社製X−Rite eXact)を用いて測定を行い、0hからの光学濃度を求めた。評価結果を図4に示す。
実施例及び比較例の時間経過インジケータを大気中に静置し、保護層を剥離し、各時間毎のインキ層の光学濃度(実施例についてはシアンの光学濃度、比較例についてはマゼンタの光学濃度(OD値(Optical Density)))の変化及び目視にて色調変化を確認した。また、光学濃度は、光学濃度測定器(X−Rite社製X−Rite eXact)を用いて測定を行い、0hからの光学濃度を求めた。評価結果を図4に示す。
図4より、実施例1の時間経過インジケータは24時間〜30時間の間でシアンの光学濃度が大幅に変化していた。それに対し、比較例1の時間経過インジケータは評価中(0時間〜50時間)の間でマゼンタの光学濃度がコンスタントに変化していることが分かる。
実施例1の時間経過インジケータは、24時間〜30時間の間で目視による色調変化(赤色から無色)が大幅に変化していた。それに対し、比較例1の時間経過インジケータは、時間の経過とともにコンスタントに色調が変化していた。
本試験結果から、本発明の時間経過インジケータは、一定時間経過後に色調が大幅に変化するため、視覚による時間経過の判断が容易となる。このため、特に短時間での時間管理が必要な生鮮食品等用の時間経過インジケータとして特に有用であることが分かる。
1 時間経過インジケータ
11 インキ層
12 基材
13 保護層
131 第一粘着層
121 基材層
122 第二粘着層
123 強度増加層
11 インキ層
12 基材
13 保護層
131 第一粘着層
121 基材層
122 第二粘着層
123 強度増加層
Claims (6)
- 最表面に配置されて酸素及び/又は二酸化炭素を遮断する保護層と、
前記保護層の裏面側に密着形成されている第一粘着層と、
インキ層と、
基材と、がこの順に配置されている、時間経過により色調が変化する時間経過インジケータであって、
前記インキ層は、pHの値又は電位の値の変化によって色調を変化させる指示染料と、酸素及び/又は二酸化炭素と接触することによりpHの値又は電位の値を変化させる時間変化化合物と、前記指示染料と前記時間変化化合物とを分散することのできるバインダーと、を含有する時間経過インジケータ。 - 前記指示染料がpHの値の変化によって色調が変化するpH指示染料であって、
前記時間変化化合物が空気中の二酸化炭素と反応することでpHの値が変化する塩基性化合物である請求項1に記載の時間経過インジケータ。 - 前記pH指示染料が前記バインダー100質量部に対して0.005質量部以上0.1質量部以下であって、
前記塩基性化合物が前記バインダー100質量部に対して0.05質量部以上1質量部以下である請求項2に記載の時間経過インジケータ。 - 前記指示染料が電位の値の変化によって色調が変化する電位指示染料であって、
前記時間変化化合物が空気中の酸素と反応し酸化することで電位の値が変化する還元剤である請求項1に記載の時間経過インジケータ。 - 前記電位指示染料が前記バインダー100質量部に対して0.005質量部以上0.1質量部以下であって、
前記還元剤が前記バインダー100質量部に対して0.05質量部以上1質量部以下である請求項4に記載の時間経過インジケータ。 - 前記基材が、酸素及び/又は二酸化炭素を遮断する層を含む、請求項1から5のいずれかに記載の時間経過インジケータ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019162869A (ja) * | 2018-03-19 | 2019-09-26 | ゼロックス コーポレイションXerox Corporation | 変色有効期限インジケータ |
KR20220111590A (ko) * | 2021-02-02 | 2022-08-09 | 경상국립대학교산학협력단 | 시각화 잉크 조성물 |
-
2015
- 2015-09-14 JP JP2015180854A patent/JP2017057245A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7093735B2 (ja) | 2018-03-19 | 2022-06-30 | ゼロックス コーポレイション | 変色有効期限インジケータ |
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KR102539206B1 (ko) * | 2021-02-02 | 2023-05-31 | 경상국립대학교산학협력단 | 시각화 잉크 조성물 |
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