JP3742705B2 - 温度履歴インジケーターシート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度の履歴を表示する温度履歴インジケータであってシート状に形成されたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍食品など、低温流通食品やその原材料は、一度その流通温度が上昇すると、品質の低下を招き、さらには腐敗や食中毒の一因となる、一方、食品の高級嗜好化、核家族化等により食の提供形態が変化し、チルド食品の流通が増加している。最近では、大腸菌O−157による大規模な食中毒の集団発生もある。こうした状況下で、食品を細菌の繁殖しない温度で流通させることは、食品の安全性を確保する上で重要な意味を持つことになる。また医療分野においても特殊な医薬品や血液、検体などは温度管理を怠ると使用できなくなってしまうものがある。そのため、冷凍食品や医薬品は、保存や流通時に厳しい温度管理およびその記録が必要である。
【0003】
従来、温度履歴を表示するものとして温度履歴インジケータが利用されている。温度履歴インジケータで冷凍食品や医薬品等の被検物の温度履歴を監視するには、監視開始時点で染料を含有するインジケーターインクをインク浸透層に接触保持させて被検物の近傍におき、被検物の温度が上昇したとき、インジケーターインクがインク浸透層に浸透(マイグレーション)し、インク浸透層に染料色が現れ、温度履歴のあったことを観察できる。常温下で保管してある温度履歴インジケータで、インジケーターインクをインク浸透層に接触保持させると、インジケーターインクが徐々にマイグレーションを開始し染料色が現れてしまっているので、それから冷凍食品などに貼り付けても、温度履歴を正しく表示したことにはならない。したがって温度履歴インジケータを使用するには、使用開始時にインジケーターインクとインク浸透層を接触させるか、さもなければインジケーターインクとインク浸透層を予め接触させておく場合はマイグレーションがおきないように冷却状態にしておくかのいずれかである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の温度履歴インジケータでは、この接触保持の作業は目印などを頼りに貼り合わせで行っており、使い勝手のよいものはない。実際の作業でもインジケーターインクとインク浸透層とがズレて貼り合わされ、温度履歴インジケータとして正しく動作しないことも多い。
【0005】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、冷却下で保管する必要がなく、しかも素早く温度監視状態にセットすることができるシート状の温度履歴インジケータを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するためになされた本発明の温度履歴インジケーターシートは、図1に示すように、染料を含むインジケーターインク層2が部分的に付着している基材シート1に、温度上昇と時間経過とにより該染料を浸透させて吸収し該染料の色すなわち染料色を現すインク浸透シート3が接着した温度履歴インジケーターシート10であって、基材シート1とインク浸透シート3との間に、少なくともインジケーターインク層2を覆って剥離可能に介在する離型シート4を有している。
【0007】
本発明の温度履歴インジケーターシートは、基材シート1の外表面に、粘着層1aとそれを覆う剥離シート7が設けられていることが好ましい。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面により詳細に説明する。
図1には本発明を適用する温度履歴インジケーターシート10の一実施例が示してある。同図の(A)は温度履歴インジケーターシート10の未使用時の断面、(B)は同じく使用開始時の作業途中の断面、(C)は同じく使用中の断面である。
【0009】
図1の(A)に示すように、本発明の温度履歴インジケーターシート10は、基材シート1の上に、インジケーターインク層2が印刷により部分的に付着している。印刷されているパターンは、例えば図2に示すような『X』である。このインジケーターインク層2の印刷パターン『X』を覆って離型シート4が重ねられる。離型シート4は端の部分5では途切れている。そして離型シート4には、片面に粘着剤3aが塗布されたインク浸透シート3が貼り付けられる。端の部分5では、離型シート4が途切れているので、基材シート1に直接接着する。
【0010】
温度履歴インジケーターシート10は、基材シート1の下側の外表面に粘着層1aが塗布され、それを覆って剥離シート7が貼り付けられている。
【0011】
図1に示す温度履歴インジケーターシート10は以下のように使用される。
【0012】
温度履歴インジケーターシート10を温度履歴を監視状態にする前は、(A)の状態である。使用を開始するとき、すなわち被検物温度履歴を監視状態にするには、離型シート4を矢印イ方向に曳き剥がすと、(B)の状態となるので、さらに離型シート4を矢印ロ方向に曳き剥がして取り去る。そしてインク浸透シート3を鎖線矢印ハ方向に戻すと、粘着剤3aで基材シート1およびインジケーターインク層2の上にインク浸透シート3が接着される。この状態で温度履歴インジケーターシート10は、インジケーターインク層2とインク浸透シート3が接触しているので被検物の温度履歴を監視できる。
【0013】
この状態で温度履歴インジケーターシート10を被検物の近傍におき、被検物の温度が上昇し時間が経過すると、染料を含むインジケーターインク2がインク浸透シート3にマイグレーションし、以後、インク浸透シート3に染料色が現れ、高温度履歴のあったことを観察できる。図2には温度履歴インジケーターシート10の正面図が示してあり、(A)は温度履歴を経る前の状態で印刷パターン『X』は顕在化していない、(B)は温度履歴を経てインク浸透シート3に染料がマイグレーションして印刷パターン『X』が観察できるようになっている状態を各々示している。
【0014】
インジケーターインク層2とインク浸透シート3が接触した状態から、図1の(B)に示すように基材シート1から剥離シート7を矢印ニ方向に曳き剥がして取り去り、(C)に示すように基材シート1の粘着層1aを使って温度履歴インジケーターシート10を被検物8に貼り付けて温度履歴を監視できる。
【0015】
基材シート1の材質は、インジケーターインク層2の印刷のりがよく、また粘着加工が可能で耐溶剤性を有する材質、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、非変成ポリプロピレン、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルフォイド、ポリスルホン、ポリウレタン、トリフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニデンが使用できる。
【0016】
このインジケーターインク層2を構成するインクは、その組成によりマイグレーション速度を調整するとともに着色のための染料が含まれる。その組成成分は、例えば樹脂(天然樹脂およびその誘導体、合成樹脂)、溶剤、および可塑剤などの添加剤と混合したものである。染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料が使用できる。インクにしめる染料の濃度は、インク浸透シート3にインジケーターインク層2が接触した際に浸透すれば良く、0.1〜5重量%の濃度が好ましく、浸透速度の異なる染料を組み合わせて混合し、経時的に色差が得られるようにしても良い。
【0017】
インク浸透シート3の材質は、インジケーターインク層2中の染料を吸収するもので、例えば超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1、ブタジエン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体ブタジエン系ゴム分散樹脂、ポリメタクリル酸、各種ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、尿素樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ−ウレタン、不飽和ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリロ−ニトリル、ポリアセタールを採用できる。吸収浸透性を向上するためにコロナ処理等の表面加工を行っても良く、染料浸透前の隠蔽性を向上するために白色系に着色することが望ましい。
【0018】
離型シート4および剥離シート7としては、例えばポリエチレン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースでアンカーコートされたクラフト紙、シリコーン処理されたクラウン紙、パーチメント紙である。
【0019】
基材シート1に着けられる粘着層1aおよびインク浸透シート3に着けられる粘着層3aは再剥離性を有するもので、アクリル樹脂系、ゴム系、シリコン系の粘着剤であり、必要に応じ可塑剤を添加しても良い。
【0020】
図3には本発明の温度履歴インジケーターシートの別な一実施例が示してある。この例における基材シート1、インジケーターインク層2、インク浸透シート3、離型シート4、剥離シート7の各構成部材及び積層順は、図1の実施例の温度履歴インジケーターシートと同一であるが、離型シート4に切断用ミシン線4aが入れてあり、そのミシン線4aの外側部分4bに必要な文字や記号等の情報を印刷しておく。離型シート4を曳き剥がして取り去る際に、この外側部分4bは温度履歴インジケーターシート側に残して、必要な情報の遺失を防ぐことができる。さらに、この外側部分4bを剥がして必要な情報の保管に供することもできる。
【0021】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の温度履歴インジケーターシートは、使用開始前にはインジケーターインク層とインク浸透シートとの間に離型シートが介在するので、常温で保管しても不測のマイグレーションにより温度履歴インジケーターシートしての機能を滅失してしまうことがない。勿論、冷却保存をする必要もない。また温度履歴インジケーターシートを温度監視状態にセットするには、離型シートを剥離するだけでインジケーターインク層とインク浸透シート接触保持されるので作業が簡単かつに短時間でき、使い勝手もよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する温度履歴インジケーターシートの一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明を適用する温度履歴インジケーターシートの一実施例を示す正面図である。
【図3】本発明を適用する温度履歴インジケーターシートの別の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1は基材シート、2はインジケーターインク層、3はインク浸透シート、4は離型シート、5は端の部分、7は剥離シート、8は被検物、10は温度履歴インジケーターシート、1a・3aは粘着層、4aはミシン線、4b外側部分である。

Claims (2)

  1. 染料を含むインジケーターインク層が部分的に付着している基材シートに、温度上昇と時間経過とにより該染料を浸透させて吸収し該染料の色を現すインク浸透シートが接着した温度履歴インジケーターシートであって、該基材シートと該インク浸透シートとの間に、少なくとも該インジケーターインク層を覆って剥離可能に介在する離型シートを有することを特徴とする温度履歴インジケーターシート。
  2. 該基材シートの外表面に、粘着層とそれを覆う剥離シートが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の温度履歴インジケーターシート。
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