JP4970183B2 - 車両用変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、後進用歯車列および複数段の前進用歯車列の確立状態を切換えるように回転するシフトドラムと、該シフトドラムの周方向に延びるとともに両端が前記シフトドラムの周方向に間隔をあけた位置に配置されるようにして前記シフトドラムの外周に設けられる後進用カム溝と、該後進用カム溝に嵌合する側に付勢部材で付勢される後進ストッパアームとを備え、前記後進用歯車列を確立する変速位置に前記シフトドラムの回転方向一側で隣接する変速位置から前記回転方向一側に前記シフトドラムを回転させる際には、前記付勢部材による付勢力に抗する外力を前記後進ストッパアームに加えることで前記後進用カム溝の一端部から離脱する側に前記後進ストッパアームを作動せしめることを必要とする車両用変速機車両用変速機に関する。
このような車両用変速機は、たとえば特許文献1で知られており、このものではニュートラル位置にあるシフトドラムを後進用歯車列を確立する側に回転させるときには、後進ストッパアームに付勢部材の付勢力に抗する外力を作用せしめて、後進ストッパアームを後進用カム溝から離脱させて後進用カム溝の両端間でシフトドラムの外周に当接させるようにしている。
特開2001−74139号公報
ところで、上記特許文献1で開示されるような従来の車両用変速機では、シフトドラムに設定される変速位置を増加させるためには、シフトドラムの大径化によって変速機が大型化してしまう。
そこでシフトドラムに設定される変速位置が増加してもシフトドラムの大径化を防止し得るようにすべく、後進用歯車列および前進用最高速歯車列をともに確立する共用変速位置をシフトドラムに設定するようにした車両用変速機を、本出願人が既に出願(特願2007−083263号)している。しかるに後進用歯車列および前進用最高速歯車列をともに共用変速位置で確立することでシフトドラムの大径化を防止する場合、上記特許文献1に開示された技術をそのまま適用すると、前進用最高速歯車列を確立する状態にシフトドラムを回転する際にも、付勢力に抗する方向に後進ストッパアームを作動せしめる外力を後進ストッパアームに作用せしめる操作が必要となり、操作性の低下を招くことになる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、シフトドラムの大径化を防止すべく後進用歯車列および前進用最高速歯車列をともに確立する共用変速位置をシフトドラムに設定した上で、操作性の低下を招くことがないようにした車両用変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、後進用歯車列および複数段の前進用歯車列の確立状態を切換えるように回転するシフトドラムと、該シフトドラムの周方向に延びるとともに両端が前記シフトドラムの周方向に間隔をあけた位置に配置されるようにして前記シフトドラムの外周に設けられる後進用カム溝と、該後進用カム溝に嵌合する側に付勢部材で付勢される後進ストッパアームとを備え、前記後進用歯車列を確立するように前記シフトドラムを第1の回転方向に回転させる際には、前記付勢部材による付勢力に抗する外力を前記後進ストッパアームに加えることで前記後進用カム溝の一端部から離脱する側に前記後進ストッパアームを作動せしめることを必要とする車両用変速機において、複数段の前進用歯車列のうち前進用最高速歯車列および前記後進用歯車列をともに確立する共用変速位置が、その共用変速位置では前記後進ストッパアームが前記後進用カム溝の前記一端部に嵌合するようにして前記シフトドラムに設定され、前記後進ストッパアームには、前記後進用歯車列を確立した状態からの、前記第1の回転方向とは反対の前記第2の回転方向への前記シフトドラムの回転時に前記後進用カム溝の一端側端壁を乗り越えて前記後進用カム溝の他端部側に後進用ストッパアームを移動せしめる傾斜ガイド面と、前記後進用カム溝の他端部に前記後進ストッパアームが嵌合している状態からの前記シフトドラムの前記第1の回転方向への回転時に前記外力の非作用状態では前記後進用カム溝の他端側端壁に当接、係合する係合面とが設けられ、前記後進用カム溝の両側面には、前記他端部において該後進用カム溝の溝幅を拡幅させる凹面がそれぞれ形成されると共に、該他端部の、前記両凹面と連続した閉塞端面が平坦面に形成され、前記後進用歯車列を確立した状態からの前記第2の回転方向への前記シフトドラムの回転時には、前記外力の非作用状態にある前記後進ストッパアームが、前記傾斜ガイド面にガイドされて前記後進用カム溝の前記一端部から前記シフトドラムの外周を乗り越えるように離脱して該後進用カム溝の他端部側に移動能としたことを特徴とする。
さらに請求項記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記後進用歯車列および複数段の前記前進用歯車列のいずれをも未確立状態とするニュートラル位置に前記シフトドラムがあるときに、前記後進ストッパアームが前記後進用カム溝の他端部に嵌合することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、前進用最高速歯車列および前記後進用歯車列をともに確立する共用変速位置がシフトドラムに設定されるので、シフトドラムに設定される変速位置が増加してもシフトドラムの大径化を防止することができる。しかも後進用歯車列を確立すべく第1の回転方向にシフトドラムを回転させる際には後進ストッパアームに外力を加えることが必要であるが、共用変速位置では後進ストッパアームが後進用カム溝の長手方向一端部に嵌合しており、後進用歯車列を確立した状態からの第1の回転方向とは反対の第2の回転方向へのシフトドラムの回転時には、外力の非作用状態にある前記後進ストッパアームが、後進用カム溝の一端部からシフトドラムの外周を乗り越えるように離脱して後進用カム溝の他端部側に移動するので、後進用カム溝の一端部に後進ストッパアームを嵌合せしめた状態から第2の回転方向にシフトドラムを回転するときには、後進ストッパアームを付勢力に抗する方向に作動せしめる外力を後進ストッパアームに作用せしめる操作は不要であり、操作性の低下を回避することができる。
た後進ストッパアームに、傾斜ガイド面および係合面が設けられるだけの簡単な構造で、後進用カム溝の他端壁への後進ストッパアームの係合、ならびに後進用カム溝の一端部から他端部への後進ストッパアームの乗り越えを可能とすることができる。
さらに請求項記載の発明によれば、後進ストッパアームが前記後進用カム溝の他端部に嵌合している状態では、後進用歯車列および複数段の前進用歯車列のいずれもが未確立の状態にあるので、後進ストッパアームへの外力の非作用状態で後進用歯車列を確立した状態からシフトドラムを第2の回転方向に回転しても車両が発進することはない。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図20は本発明の一実施例を示すものであり、図1はエンジン本体の縦断面図であって図2の1−1線に沿う断面図、図2は図1の2−2線矢視方向から見た一部切欠き側面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図2の4−4線断面図、図5はシフトドラムの外周面の展開図、図6は第1速の運転状態での図4の6−6線拡大断面図、図7は第1速の運転状態での図4の7−7線拡大断面図、図8はシフトドラムセンターの回動途中での駆動手段の一部の状態を示す図、図9は第1速から第2速へのシフトアップ途中の状態での図6に対応した図、図10は第2速の運転状態での図6に対応した図、図11はシフトドラムが後進および第5速位置にある状態での図3の11−11線に沿う断面図、図12はシフトドラムがニュートラル位置にある状態での図11に対応した断面図、図13はシフトドラムが後進および第5速位置から第2の回転方向にわずかに回転した状態での図11に対応した断面図、図14は図13の状態からシフトドラムが第2の回転方向にさらに回転した状態での図11に対応した断面図、図15は制御系の構成を示すブロック図、図16はシフトドラムの共用変速位置で確立可能な2つの歯車列のいずれが確立状態にあるのかを判断する処理手順を示すフローチャート、図17はエンジンの始動時の始動可否判断にあたっての処理手順を示すフローチャート、図18はシフト用作動モータの制御手順を示すフローチャート、図19はシフトアップモードでの制御手順を示すフローチャート、図20はシフトアップ時のチェンジ軸の回転角変化を示す図である。
先ず図1において、たとえば荒地走行用車両(ATV)に搭載されるエンジンEのエンジン本体21は、軸線を車幅方向(図1の紙面に平行な方向)に沿わせたクランクシャフト22を回転自在に支承するクランクケース23と、該クランクケース23の上部に結合されるシリンダブロック24と、該シリンダブロック24の上部に結合されるシリンダヘッド25と、シリンダヘッド25の上部に結合されるヘッドカバー26とを備え、シリンダブロック24のシリンダボア27に摺動可能に嵌合されるピストン28が、前記クランクシャフト22にコネクティングロッド29およびクランクピン30を介して連接される。
前記クランクケース23は、前記クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面で結合される一対のケース半体23a,23bから成り、該クランクケース23の両側には、第1および第2クランクケースカバー31,32がそれぞれ締結され、クランクケース23および第1クランクケースカバー31間にはクラッチ収容室33が形成される。
クランクケース23から突出したクランクシャフト22の一端は第1クランクケースカバー31で回転自在に支承されるものであり、第1クランクケースカバー31に近接した位置でクランクシャフト22の一端部にはクラッチ収容室33に収容される遠心クラッチ34が一方向クラッチ35を介して装着される。クランクケース23から突出したクランクシャフト22の他端部には、クランクケース23および第2クランクケースカバー32間に配置される発電機(図示せず)が連結されるとともに第2クランクケースカバー32に取付けられるリコイルスタータ36が連結される。また第2クランクケースカバー32には、クランクシャフト22に始動用動力を入力するための始動用モータ37が取付けられる。
前記遠心クラッチ34は、クランクシャフト22に固定されるドライブプレート38と、クランクシャフト22に相対回転可能に装着された駆動歯車39とともに回転するようにして前記ドライブプレート38を同軸に覆う椀状のクラッチハウジング40と、クランクシャフト22の回転に伴う遠心力の作用に応じてクラッチハウジング40の内周に摩擦係合することを可能としてドライブプレート38に回動可能に軸支されるクラッチウエイト41とを備えるものであり、一方向クラッチ35が、駆動歯車39からクランクシャフト22への動力伝達を可能とすべくクラッチハウジング40およびドライブプレート38間に設けられる。
図2および図3を併せて参照して、クランクケース23には、同一軸線まわりの相対回転を可能として同軸に配置される第1および第2メインシャフト44,45がクランクシャフト22の回転軸線と平行な軸線まわりの回転を可能として支承されるとともに、第1および第2メインシャフト44,45と平行なカウンタシャフト46が回転自在に支承される。また第1および第2メインシャフト44,45と、カウンタシャフト46との間には、後進用歯車列GRおよび複数段の前進用歯車列たとえば第1〜第5速歯車列G1〜G5が確立状態を切換え可能として設けられており、この実施例では、第1メインシャフト44およびカウンタシャフト46間に、第1速歯車列G1、第3速歯車列G3および第5速歯車列G5が設けられ、第2メインシャフト45およびカウンタシャフト46間に、第2速歯車列G2、第4速歯車列G4および後進歯車列GRが設けられる。
また第1メインシャフト44は、クランクケース23にボールベアリング47,47を介して回転自在に支承される第2メインシャフト45を、相対回転可能として同軸に貫通するものであり、第2メインシャフト45および第1メインシャフト44間には複数のニードルベアリング48…が介装される。
クラッチ収容室33内で第1メインシャフト44には、伝動筒軸49が相対回転可能に装着されており、該伝動筒軸49には、クランクシャフト22に相対回転可能に装着された前記駆動歯車39、該駆動歯車39に噛合する被動歯車50およびラバーダンパ51を介して動力が伝達される。また伝動筒軸49および第1メインシャフト44間には第1油圧クラッチ52が設けられ、伝動筒軸49および第2メインシャフト45間には第2油圧クラッチ53が設けられる。
第1油圧クラッチ52が備える皿状のクラッチアウタ52aは、前記伝動筒軸49に相対回転可能に支承されており、このクラッチアウタ52aの内周には、図2で示すように、複数の摩擦板を相対回転不能に係合せしめるようにして軸方向に延びる複数の係合凹部75…が周方向に等間隔をあけて設けられており、それらの係合凹部75…を避けた周方向複数個所で前記クラッチアウタ52aには、オイル抜き孔76…が設けられる。このように係合凹部75…を避けてオイル抜き孔76…が設けられることにより、係合凹部75…内にオイルを極力残すようにしてクラッチアウタ52aおよび前記摩擦板の接触音を軽減することが可能となる。また第2油圧クラッチ53が備えるクラッチアウタ53aも、前記第1油圧クラッチ52のクラッチアウタ52aと同様に形成される。
而して第1油圧クラッチ52が動力伝達状態にあって第1メインシャフト44にクランクシャフト22から動力が伝達されているときには、第1、第3および第5速歯車列G1,G3,G5のうち択一的に確立した歯車列を介して第1メインシャフト44からカウンタシャフト46に動力が伝達され、第2油圧クラッチ53が動力伝達状態にあって第2メインシャフト45にクランクシャフト22から動力が伝達されているときには、第2、第4および後進歯車列G2,G4,GRのうち択一的に確立した歯車列を介して第2メインシャフト45からカウンタシャフト46に動力が伝達される。
図1で示すように、図示しない駆動輪に連結されるとともに前記クランクシャフト22の回転軸線と平行な軸線を有する出力軸54が、クランクケース23の両ケース半体23a,23bのうち一方のケース半体23aおよび第2クランクケースカバー32で回転自在に支承されており、この出力軸54の両端は第1および第2クランクケースカバー31,32を液密にかつ回転自在に貫通して外方に突出する。一方、クランクケース23の両ケース半体23a,23bのうち他方のケース半体23bから突出したカウンタシャフト46の端部には駆動歯車55が固定され、この駆動歯車55に噛合する被動歯車56が前記出力軸54に設けられる。すなわち、カウンタシャフト46は、駆動歯車55、被動歯車56および出力軸54を介して駆動輪に連結される。
図3に注目して、第1速歯車列G1は、軸方向位置を一定として第1メインシャフト44に相対回転可能に支承される第1速用駆動アイドル歯車57と、カウンタシャフト46に相対回転不能に結合されるとともに第1速用駆動アイドル歯車57に噛合する第1速用被動歯車58とから成り、第3速歯車列G3は、軸方向位置を一定として第1メインシャフト44に相対回転可能に支承される第3速用駆動アイドル歯車59と、前記カウンタシャフト46に相対回転不能に結合されるとともに第3速用駆動アイドル歯車59に噛合する第3速用被動歯車60とから成る。また第5速歯車列G5は、軸方向のスライド作動を可能として第1および第3速用駆動アイドル歯車57,59間に配置されて第1メインシャフト44に相対回転不能に結合される第5速用駆動歯車61と、軸方向位置を一定としてカウンタシャフト46に相対回転可能に支承されるとともに第5速用駆動歯車61に噛合する第5速用被動アイドル歯車62とから成る。
第2速歯車列G2は、第2メインシャフト45に一体に設けられる第2速用駆動歯車63と、軸方向位置を一定としてカウンタシャフト46に回転自在に支承されるとともに第2速用駆動歯車63に噛合する第2速用被動アイドル歯車64とから成り、第4速歯車列G4は、第2メインシャフト45に一体に設けられる第4速用駆動歯車65と、軸方向位置を一定としてカウンタシャフト46に相対回転可能に支承されるとともに第4速用駆動歯車65に噛合する第4速用被動アイドル歯車66とから成る。また後進歯車列GRは、第2速用駆動歯車63と、第2速用駆動歯車63に噛合する第1後進アイドル歯車67と、第1後進アイドル歯車67と一体に形成される第2後進アイドル歯車68と、軸方向位置を一定としてカウンタシャフト46に相対回転可能に支承されるとともに第2後進アイドル歯車68に噛合する後進用被動アイドル歯車69とから成り、一体の第1および第2後進アイドル歯車67,68は、第1メインシャフト44、第2メインシャフト45およびカウンタシャフト46と平行な軸線を有してクランクケース23に両端部が支持された後進アイドル軸70で回転自在に支承されている。
第1速用駆動アイドル歯車57の第3速用駆動アイドル歯車59側の端部にはリング状の被係合部材71が固着されており、この被係合部材71および第3速用駆動アイドル歯車59間で第1メインシャフト44には、第1シフタ72が相対回転不能かつ軸方向スライド可能に支承されており、第5速用駆動歯車61は第1シフタ72に一体に設けられる。この第1シフタ72は、前記被係合部材71に係合して第1速歯車列G1を確立する位置と、第3速用駆動アイドル歯車59に係合して第3速歯車列G3を確立する位置と、第1および第3速用駆動アイドル歯車57,59のいずれにも係合しない中間位置(ニュートラル状態)とを切換えて第1メインシャフト44の軸方向にスライド可能である。
また第3速歯車列G3の第3速用被動歯車60は、第5速用被動アイドル歯車62および後進用被動アイドル歯車69間でカウンタシャフト46に相対回転不能かつ軸方向スライド可能に支承される第2シフタ73に一体に設けられており、第2シフタ73は第3速用駆動アイドル歯車59および第3速用被動歯車60の噛合状態を保持しつつ、第5速用被動アイドル歯車62に係合する位置ならびに後進用被動アイドル歯車69に係合する位置間でカウンタシャフト46の軸方向にスライド可能である。而して第1シフタ72が中間位置にある状態で第2シフタ73が第5速用被動アイドル歯車62に係合すると第5速歯車列G5が確立する。
さらに第2速用被動アイドル歯車64および第4速用被動アイドル歯車66間でカウンタシャフト46には、第3シフタ74が相対回転不能かつ軸方向スライド可能に支承されており、この第3シフタ74は、第2速用被動アイドル歯車64に係合して第2速歯車列G2を確立する位置と、第4速用被動アイドル歯車66に係合して第4速歯車列G4を確立する位置と、第2および第4速用被動アイドル歯車64,66のいずれにも係合しない中間位置(ニュートラル状態)とを切換えてカウンタシャフト46の軸方向にスライド可能である。而して第1および第3シフタ72,74が中間位置にある状態で第2シフタ73が後進用被動アイドル歯車69に係合すると後進歯車列GRが確立する。
図4を併せて参照して、第1〜第3シフタ72,73,74は、第1〜第3シフトフォーク91,92,93で回転自在に保持されており、それらのシフトフォーク91〜93は、第1および第2メインシャフト44,45ならびにカウンタシャフト46と平行な軸線を有してクランクケース23に支持されたシフトフォーク軸94で、該シフトフォーク軸94の軸方向にスライド可能に支承される。またクランクケース23には、第1および第2メインシャフト44,45ならびにカウンタシャフト46と平行な軸線を有するシフトドラム95が軸線まわりに回動することを可能として支承されており、このシフトドラム95の外周面に設けられる第1〜第3のリード溝96,97,98に第1〜第3シフトフォーク91〜93に突設されたシフトピン91a,92a,93aがそれぞれスライド可能に係合され、シフトドラム95が回動すると第1〜第3のリード溝96〜98のパターンに応じて第1〜第3シフトフォーク91〜93が軸方向にスライド作動する。
図5において、第1のリード溝96は、第1シフタ72を保持する第1シフトフォーク91のスライド作動をガイドするためのものであり、第1速用駆動アイドル歯車57に固着された被係合部材71に第1シフタ72を係合させるようにしてシフトドラム95の周方向に延びる第1速歯車列確立部96aと、第3速用駆動アイドル歯車59に第1シフタ72を係合させるようにして第1速歯車列確立部96aとはシフトドラム95の軸線方向にオフセットした位置で該シフトドラム95の周方向に延びる第3速歯車列確立部96bと、第1および第3速歯車列確立部96a,96b間を結ぶ連絡部96cと、第1シフタ72を中間位置に保持するための中間位置部96dとを有してシフトドラム95の全周にわたって設けられるものであり、前記連絡部96cの中央部には、第1および第3速用駆動アイドル歯車57,59への係合を解除する位置に第1シフタ72を保持するニュートラル部96eが前記シフトドラム95の周方向にわずかに延びて形成される。
また第2のリード溝97は、第2シフタ73を保持する第2シフトフォーク92のスライド作動をガイドするためのものであり、後進用被動アイドル歯車69に第2シフタ73を係合させるようにしてシフトドラム95の周方向に延びる後進用歯車列確立部97aと、第5速用被動アイドル歯車62に第2シフタ73を係合させるようにして後進用歯車列確立部97aとはシフトドラム95の軸線方向にオフセットした位置で該シフトドラム95の周方向に延びる第5速歯車列確立部97bと、第2シフタ73を中間位置に保持するための中間位置部97cとを有する。
この第2のリード溝97は、前記シフトドラム95の1周を超えて連続するとともに両端部が前記シフトドラム95の軸線に沿う方向でずれるようにして前記シフトドラム95の外周に設けられる。すなわちシフトドラム95の周方向に沿う第2のリード溝97の一端側の後進用歯車列97aと、シフトドラム95の周方向に沿う第2のリード溝97の他端側の第5速歯車列確立部97bの一部とがシフトドラム95の軸線方向で相互にずれるようにして第2のリード溝97が形成される。しかも第2のリード溝97は、その一端部から他端部に向かうにつれて後進用歯車列確立部97aからシフトドラム95の軸方向一方側にずれた中間位置部97cとなり、さらに中間位置部97cから前記シフトドラム95の軸方向一方にずれた第5速歯車列確立部97bとなるようにして、シフトドラム95の軸線に沿う一方側に段階的にずれるように形成される。
さらに第3のリード溝98は、第3シフタ74を保持する第3シフトフォーク93のスライド作動をガイドするためのものであり、第2速用被動アイドル歯車64に第3シフタ74を係合させるようにしてシフトドラム95の周方向に延びる第2速歯車列確立部98aと、第4速用被動アイドル歯車66に第3シフタ74を係合させるようにして第2速歯車列確立部98aとはシフトドラム95の軸線方向にオフセットした位置で該シフトドラム95の周方向に延びる第4速歯車列確立部98bと、第2および第4速歯車列確立部98a,98b間を結ぶ連絡部98cと、第3シフタ74を中間位置に保持するための中間位置部98dとを有して、シフトドラム95の全周にわたって設けられるものであり、前記連絡部96cの中央部には、第2および第4速用被動アイドル歯車64,66への係合を解除する位置に第3シフタ74を保持するニュートラル部98eが、前記シフトドラム95の周方向にわずかに延びて形成される。
ところでシフトドラム95には、複数の変速位置が周方向に間隔をあけて設定されるものであり、この実施例では、共用変速位置である後進および第5速位置PR-5 、ニュートラル位置PN 、第1および第2速位置P1-2 、第2および第3速位置P2-3 、第3および第4速位置P3-4 、第4および第5速位置P4-5 の各変速位置が60度ずつの間隔をあけて順次設定されている。
而して後進および第5速位置PR-5 では、後進歯車列GRと、前進用最高速歯車列である第5速歯車列G5とを確立することが可能である。すなわち第1および第3のリード溝96,98の中間位置部96d,98dに第1および第3シフトフォーク91,93のシフトピン91a,93aを係合させるとともに第2のリード溝97の後進用歯車列確立部97aおよび第5速歯車列確立部97bの一方に第2シフトフォーク92のシフトピン92aを係合させることが可能である。またニュートラル位置PN では、第1〜第3のリード溝96〜98の中間位置部96d,97c,98dに第1〜第3シフトフォーク91〜93のシフトピン91a〜93aを係合させて各歯車列G1〜G5,GRのいずれをも未確立の状態とする。第1および第2速位置P1-2 では、第1のリード溝96の第1速歯車列確立部96aに第1シフトフォーク91のシフトピン91aを係合し、第2のリード溝97の中間位置部97cに第2シフトフォーク92のシフトピン92aを係合し、第3のリード溝98の第2速歯車列確立部98aに第3シフトフォーク93のシフトピン93aを係合して、第1および第2速歯車列G1,G2をともに確立する。第2および第3速位置P2-3 では、第1のリード溝96の第3速歯車列確立部96bに第1シフトフォーク91のシフトピン91aを係合し、第2のリード溝97の中間位置部97cに第2シフトフォーク92のシフトピン92aを係合し、第3のリード溝98の第2速歯車列確立部98aに第3シフトフォーク93のシフトピン93aを係合して、第2および第3速歯車列G2,G3をともに確立する。第3および第4速位置P3-4 では、第1のリード溝96の第3速歯車列確立部96bに第1シフトフォーク91のシフトピン91aを係合し、第2のリード溝97の中間位置部97cに第2シフトフォーク92のシフトピン92aを係合し、第3のリード溝98の第4速歯車列確立部98bに第3シフトフォーク93のシフトピン93aを係合して、第3および第4速歯車列G3,G4をともに確立する。さらに第4および第5速位置P4-5 では、第1のリード溝96の中間位置部96dに第1シフトフォーク91のシフトピン91aを係合し、第2のリード溝97の第5速歯車列確立部97bに第2シフトフォーク92のシフトピン92aを係合し、第3のリード溝98の第4速歯車列確立部98bに第3シフトフォーク93のシフトピン93aを係合して、第4および第5速歯車列G4,G5をともに確立する。
すなわちシフトアップ時には、高速段への切換前に高速段側の歯車列を予め確立することができ、シフトダウン時には、低速段への切換前に低速段側の歯車列を予め確立することができる。
ところでシフトドラム95の周方向に沿って第1および第2速位置P1-2 と第2および第3速位置P2-3 との間の中央部には、第1メインシャフト44およびカウンタシャフト46間に設けられている第1速歯車列G1および第3速歯車列G3の確立状態を切換える際に第1シフタ72をニュートラル位置に一旦保持するための第1ニュートラル位置NP1 が設定されており、第1のリード溝96のニュートラル部96eは第1ニュートラル位置NP1 に配置される。またシフトドラム95の周方向に沿って第2および第3速位置P2-3 と第3および第4速位置P3-4 との間の中央部には、第2メインシャフト45およびカウンタシャフト46間に設けられている第2速歯車列G2および第4速歯車列G4の確立状態を切換える際に第3シフタ75をニュートラル位置に一旦保持するための第2ュートラル位置NP2 が設定されており、第3のリード溝98のニュートラル部98eは第2ニュートラル位置NP2 に配置される。またシフトドラム95の周方向に沿って第3および第4速位置P3-4 と第4および第5速位置P4-5 との間に中央部には、第1メインシャフト44およびカウンタシャフト46間に設けられている第3速歯車列G3および第5速歯車列G5の確立状態を切換える際に第1シフタ72をニュートラル位置に保持する第3ニュートラル位置NP3 が設定され、第4および第5速位置P4-5 と後進および第5速位置PR-5 との間には、第3速歯車列G3および第5速歯車列G5の確立状態を切換える際に第1および第3シフタ72,74をニュートラル位置に保持するための第4ニュートラル位置NP4 が設定される。
図6および図7を併せて参照して、前記シフトドラム95の一端には、該シフトドラム95とともに回動するシフトドラムセンター99が同軸のボルト111で固定されており、このシフトドラムセンター99の外周には、第1〜第5速歯車列G1〜G5および後進歯車列GRを選択的に確立させるためにシフトドラム95で設定されている上記後進および第5速位置PR-5 、ニュートラル位置PN 、第1および第2速位置P1-2 、第2および第3速位置P2-3 、第3および第4速位置P3-4 、第4および第5速位置P4-5 の各位置に個別に対応した後進および第5速用位置決めノッチSR-5 、中立用位置決めノッチSN 、第1および第2速用位置決めノッチS1-2 、第2および第3速用位置決めノッチS2-3 、第3および第4速用位置決めノッチS3-4 、第4および第5速用位置決めノッチS4-5 が相互に等間隔をあけて設けられる。而してこの実施例では、前記各ノッチSR-5 ,SN ,S1-2 ,S2-3 ,S3-4 ,S4-5 が60度の間隔を相互間にあけてシフトドラムセンター99の外周に設けられる。
しかも第1および第2速用位置決めノッチS1-2 、第2および第3速用位置決めノッチS2-3 、第3および第4速用位置決めノッチS3-4 、第4および第5速用位置決めノッチS4-5 ならびに後進および第5速用位置決めノッチSR-5 相互間の中央部でシフトドラムセンター99の外周には、第1〜第4ニュートラル位置NP1 〜NP4 に個別に対応したニュートラル用ノッチN1 ,N2 ,N3 ,N4 が設けられる。
前記シフトドラムセンター99に設けられた各ノッチSR-5 ,SN ,S1-2 ,S2-3 ,S3-4 ,S4-5 ,N1 ,N2 ,N3 ,N4 には、ドラムストッパアーム100が選択的に係合されるものであり、このドラムストッパアーム100は、前記シフトドラム95およびシフトドラムセンター99の軸線と平行な軸線を有する支軸103でクランクケース23におけるケース半体23aに基端部が回動可能に軸支されるアーム101と、前記各ノッチSR-5 ,SN ,S1-2 ,S2-3 ,S3-4 ,S4-5 ,N1 ,N2 ,N3 ,N4 の1つに係合するようにして前記アーム101の先端に軸支されるローラ102とから成る。しかも前記各ノッチSR-5 ,SN ,S1-2 ,S2-3 ,S3-4 ,S4-5 ,N1 ,N2 ,N3 ,N4 は、ローラ102の係合状態を安定化させるために円弧状に凹んで形成される。
前記アーム101の基端部および前記ケース半体23a間にはねじりばね104が設けられており、前記アーム101すなわちドラムストッパアーム100は、ローラ102を各ノッチSR-5 ,SN ,S1-2 ,S2-3 ,S3-4 ,S4-5 ,N1 ,N2 ,N3 ,N4 の1つに係合させるべく、前記ねじりばね104が発揮するばね力により、前記シフトドラムセンター99の回動中心に向けて付勢される。
前記シフトドラムセンター99は、駆動手段105で所定角度(この実施例では60度)だけ間欠的に回動駆動されるものであり、この駆動手段105は、前記シフトドラムセンター99と同軸の軸線まわりに回動することを可能として前記シフトドラムセンター99内に少なくとも一部が配置されるドラムシフタ106と、該ドラムシフタ106の半径方向に起倒するようにして前記ドラムシフタ106に対称的に装着される一対のポール107,107と、それらのポール107…を起立方向にそれぞれ付勢する一対のばね108,108と、前記両ポール107…を係合させることを可能として前記シフトドラムセンター99の内周に周方向等間隔に設けられる係合凹部109,109…と、前記ドラムシフタ106の回動に応じた前記両ポール107…の起伏状態をガイドする固定のガイドプレート110と、前記ドラムシフタ106に回動力を付与するシフト用作動モータ120とを有する。
前記ドラムシフタ106は、前記シフトドラムセンター99をシフトドラム95の一端に同軸に結合するボルト111が同軸に備える軸部111aで、シフトドラムセンター99と同軸の軸線まわりに回動することを可能として支承されるものであり、一部をシフトドラムセンター99から外方に突出させたドラムシフタ106の大部分はシフトドラムセンター99内に相対回動可能に配置される。
またドラムシフタ106の外周部に設けられた収容凹部112,112の閉塞端と、前記ポール107…の先端部に当接するようにして収容凹部112…に摺動可能に嵌合される有底円筒状のリフタ113,113との間に前記ばね108…がそれぞれ縮設される。而してポール107…は前記ばね108…によって起立方向に付勢されるものであり、ポール107…は起立時に先端部をドラムシフタ106の外周から突出させ、倒伏時には先端部がドラムシフタ106の外周と略同一位置となる。
シフトドラムセンター99の内周には、複数個(この実施例では6個)の係合凹部109,109…が周方向に等間隔をあけて設けられており、ドラムストッパアーム100が、後進および第5速用位置決めノッチSR-5 、中立用位置決めノッチSN 、第1および第2速用位置決めノッチS1-2 、第2および第3速用位置決めノッチS2-3 、第3および第4速用位置決めノッチS3-4 ならびに第4および第5速用位置決めノッチS4-5 の1つに係合している状態で、各係合凹部109…のうち相互間に2つの係合凹部109,109を挟んだ位置にある2つの係合凹部109,109に前記両ポール107…の先端部を選択的に係合させることができる。
前記ガイドプレート110は、前記シフトドラムセンター99をクランクケース23におけるケース半体23aとの間に挟む位置で、一対のボルト116,116によって前記ケース半体23aに締結されるものであり、このガイドプレート110には、前記ドラムシフタ106に対応したガイド孔117が設けられる。
このガイド孔117は、前記シフトドラムセンター99およびドラムシフタ106の回動軸線すなわち軸部111aの軸線を中心として前記ドラムシフタ106の外周よりも大径に形成される大径円弧部117aと、該大径円弧部117aの中央部から前記ドラムシフタ106の外周よりも内方に突出する規制突部117bと、前記軸部111aの軸線を中心として前記ドラムシフタ106の外周よりも小径に形成される小径円弧部117cと、大径円弧部117aの両端および前記小径円弧部117cの両端間を結ぶ連結部117d,117dとから成るものであり、前記大径円弧部117aの周方向長さは、前記両ポール107…の先端部がそれぞれ係合している2つの係合凹部109…間に対応する長さに設定される。
しかも前記連結部117d…は、前記係合凹部109に係合しているポール107がドラムシフタ106の回動に応じて前記小径円弧部117c側に移動したときに当該ポール107に当接し、該ポール107を倒伏側に押圧する段部117e…を中間部に有するように形成されており、それらの段部117e…は、前記シフトドラムセンター99の内周よりも外方に配置されている。
また前記規制突部117bは、作動途中で一旦停止する前記シフト用作動モータ120の作動に応じて、前記ドラムシフタ106が途中で一旦停止するようにして1回作動するのに応じて、前記両ポール107…の一方の先端部に当接してドラムシフタ106の回動を規制するように形成される。
図4に注目して、第1クランクケースカバー31には、第1クランクケースカバー31との間に減速機構収容室118を形成するカバー119が締結されており、該カバー119にはシフト用作動モータ120が取付けられる。このシフト用作動モータ120は、前記シフトドラム95と平行な回転軸線を有するものであり、その出力軸120aを前記減速機構収容室118に突入させるようにして前記カバー119に取付けられる。一方、シフトドラム95と平行な軸線を有するチェンジ軸121が、前記第1クランクケースカバー31、前記カバー119および第2クランクケースカバー32を回転自在に貫通するように配置されており、前記減速機構収容室118には、前記出力軸120aおよび前記チェンジ軸121間に設けられる歯車減速機構122が収容される。
而して前記減速歯車機構122は、減速機構収容室118内でシフト用作動モータ120の出力軸120aに一体に設けられる駆動歯車123と、該駆動歯車123に噛合する第1中間歯車124と、第1中間歯車124と一体に回転する第2中間歯車125と、減速機構収容室118内で前記チェンジ軸121の一端側に固定されて第2中間歯車125に噛合する被動セクタ歯車126とから成り、シフト用作動モータ120の回転動力が減速歯車機構122で減速されてチェンジ軸121に伝達される。
前記チェンジ軸121には、前記チェンジ軸121に基端部が固定されるとともにチェンジ軸121の半径方向に沿ってドラムシフタ106側に延びるチェンジアーム127が固定されており、前記チェンジ軸121の半径方向に長く延びてチェンジアーム127に設けられる長孔状の係合孔128に、ドラムシフタ106の回動軸線からオフセットした位置で該ドラムシフタ106に植設される係合ピン129が係合される。
また前記チェンジアーム127の基端部には、チェンジアーム127と略L字状をなすようにしてチェンジ軸121の半径方向に延びるアーム130が一体に連設されており、このアーム130の先端部には、前記チェンジ軸121の軸線を中心とする円弧状の長孔131が設けられるとともに、該長孔131の周方向中心およびチェンジ軸121の軸線を結ぶ直線上に位置する突部132が突設される。
一方、クランクケース23におけるケース半体23aには、前記長孔131に挿通されるピン133が植設されており、前記突部132および前記ピン133を両側から挟む一対の挟み腕134a,134aを両端に有する挟みばね134が、チェンジ軸121を囲繞するようにして前記チェンジアーム127およびアーム130と、クランクケース23のケース半体23aとの間に配置される。これにより前記チェンジアーム127および前記アーム130は、前記長孔131の周方向中心およびチェンジ軸121の軸線を結ぶ直線上に前記突部132および前記ピン133が並ぶ中立位置に付勢されることになる。
ここで、第1速で運転している状態すなわちドラムストッパアーム100をシフトドラムセンター99の第1および第2速用位置決めノッチS1-2 に係合し、第1油圧クラッチ52を接続し、第2油圧クラッチ53を遮断している状態で第2速にシフトアップする場合について説明すると、シフト用電動モータ120の作動に応じてチェンジ軸121およびチェンジアーム127は図6の時計方向に回動し、駆動手段105のドラムシフタ106は、チェンジアーム127の長孔128に係合ピン129が係合していることにより、係合ピン129を係合孔128内でチェンジ軸121に変位させつつ図6の時計方向に回動する。
これにより2つの係合凹部109,109にそれぞれ係合しているポール107,107の一方が、ガイドプレート110のガイド孔117における大径円弧部117aに対応する部分を軸部111aの軸線まわりに回動することになり、シフトドラムセンター99を図6の時計方向に回動するように押圧する。
このようなシフトドラム95の回動駆動時に、シフトドラム95が先行して回動してしまう場合があるが、この際、図8で示すように、歯車列G1〜G5,GRの非確立状態で、両ポール107,107の他方(シフトドラムセンター99を押圧していない方)が、ガイド孔117におけるガイド孔117の連結部117dの中間部における段部117eに当接し、前記他方のポール107を係合凹部109に当接、係合させることにより、シフトドラム95の先行回動が停止することになる。
この状態では、図9で示すように、ドラムストッパアーム100のローラ102は、第1および第2速用位置決めノッチS1-2 と、ニュートラル用ノッチN1 との間の山部を乗り越えてニュートラル用ノッチN1 に係合することになり、シフトドラム95のニュートラル位置が正確に得られることなる。さらにドラムシフタ106が回動すると、前記他方のポール107は、前記段部117eによって内側に畳まれるように回動し、ドラムストッパアーム100のローラ102が、ニュートラル用ノッチN1 と、第2および第3速用位置決めノッチS2-3 との間の山部を乗り越えることになる。
ドラムシフタ106のさらなる回動によって、前記他方のポール107はガイドプレート110におけるガイド孔117の小径円弧部117cに先端部を摺接させるようになり、ニュートラル用ノッチN1 と、第2および第3速用位置決めノッチS2-3 との間の山部を乗り越えてしまうまでドラムシフタ106が回動したときにシフト用電動モータ120の作動が停止され、図10で示すように、ドラムストッパアーム100のローラ102を第2および第3速用位置決めノッチS2-3 に係合するまでシフトドラムセンター99は回動することになる。すなわちシフト用電動モータ120は、第1および第2速用位置決めノッチS1-2 と、第2および第3速用位置決めノッチS2-3 との間の間隔である60度未満、たとえば53.7度だけドラムシフタ106を回動する動力を発揮すればよい。
このようにして駆動手段105は、第1速から第2速へのシフトアップの途中でシフトドラム95の回動速度を一旦緩やかに低下させることになる。このような駆動手段105の作用は、第2速から第3速へのシフトアップ時、第3速から第4速へのシフトアップ時、第4速から第5速へのシフトアップ時、ならびに第5速から第4速へのシフトダウン時、第4速から第3速へのシフトダウン時、第3速から第2速へのシフトダウン時、第2速から第1速へのシフトダウン時も同様である。
また後進および第5速用位置決めノッチSR-5 、中立用位置決めノッチSN 、第1および第2速用位置決めノッチS1-2 、第2および第3速用位置決めノッチS2-3 、第3および第4速用位置決めノッチS3-4 ならびに第4および第5速用位置決めノッチS4-5 にドラムストッパアーム100のローラ102を係合して、シフトドラム95の回動を停止した後には、チェンジアーム127は挟みばね134のばね力によって、図6および図7で示す位置まで戻り、ドラムシフタ106も図6および図7で示す位置まで戻ることになる。
前記シフトドラム95の回転角は回転角検出器135で検出されるものであり、該回転角検出器135はシフトドラム95の他端に連結されて第2クランクケースカバー32に取付けられる。またチェンジ軸121の回転角はチェンジ軸回転角検出器136で検出され、このチェンジ軸回転角検出器136はチェンジ軸121の他端に連結されて第2クランクケースカバー32に取付けられる。
図5に注目して、第1のリード溝96に関して第2のリード溝97と反対側で前記シフトドラム95の外周には、該シフトドラム95の周方向に延びる後進用カム溝141が設けられ、該後進用カム溝141の一端部141aおよび他端部141bはシフトドラム95の周方向に間隔をあけた位置に配置される。またこの後進用カム溝141の両側面には、前記他端部141bにおいて該後進用カム溝141の溝幅を拡幅させる凹面がそれぞれ形成されると共に、該他端部141bの、前記両凹面と連続した閉塞端面が、平坦面に形成されている。
また図3で明示するように、クランクケース23のケース半体23bおよび第2クランクケースカバー32には、前記シフトドラム95と平行な軸線を有する後進ストッパアーム軸142が回動自在に支承されており、該後進ストッパアーム軸142の前記ケース半体23b側端部には、前記後進用カム溝141に先端部を嵌合せしめる後進ストッパアーム143の基端が固着される。しかも後進ストッパアーム軸142を囲繞する付勢部材としてのねじりばね144の両端が前記ケース半体23bおよび後進ストッパアーム143に係合されており、後進ストッパアーム軸142および後進ストッパアーム143は、後進ストッパアーム143の先端部を前記後進用カム溝141に嵌合せしめる方向に回動付勢される。
第2クランクケースカバー32から突出した後進ストッパアーム軸142の突出端部にはレバー145が固定されており、このレバー145には、後進選択レバー(図示せず)が図示しないワイヤを介して連結される。また第2クランクケースカバー32の内面に対向するようにして前記後進ストッパアーム軸142には、スイッチ作動アーム146が固定されており、前記後進選択レバーを操作することで前記後進ストッパアーム143が前記後進用カム溝141から離脱する側に前記後進ストッパアーム軸142が回動したときに、前記スイッチ作動アーム146を検出するようにして後進検出スイッチ147が第2クランクケースカバー32に取付けられる。
ところで前記後進ストッパアーム143の先端部は、前記シフトドラム95が後進および第5速位置PR-5 にあるときには、図11で示すように、前記後進用カム溝141の一端部141aに嵌合し、前記シフトドラム95がニュートラル位置PN にあるときには、図12で示すように、前記後進用カム溝141の他端部141bに嵌合するものである。
前記シフトドラム95が、そのニュートラル位置PN から後進および第5速位置PR-5 側に向けて第1の回転方向148に回転するとき、すなわちニュートラルから後進に変速する方向に回転するときには、前記ねじりばね144による付勢力に抗する外力を後進ストッパアーム143に加えるべく前記後進選択レバーを操作することが必要となるが、後進用歯車列GRを確立した状態からの前記第1の回転方向148とは反対の第2の回転方向149へのシフトドラム95の回転時には、前記外力の非作用状態にある後進ストッパアーム143が、後進用カム溝141の前記一端部141aから前記シフトドラム95の外周を乗り越えるように離脱して該後進用カム溝141の他端部141b側に移動することが可能である。
すなわち後進ストッパアーム143の先端部には、その先端部を後進用カム溝141の一端部141aに嵌合した状態すなわち後進用歯車列GRおよび第5速歯車列G5をともに確立するようにしてシフトドラム95が後進および第5速位置PR-5 にある状態からの第2の回転方向149へのシフトドラム95の回転時に前記後進用カム溝141の一端側端壁を乗り越えて後進用カム溝141の他端側に後進ストッパアーム143を移動せしめる傾斜ガイド面143aが設けられるとともに、後進用カム溝141の他端部141bに後進ストッパアーム143が嵌合している状態すなわちシフトドラム95がニュートラル位置PN にある状態からの第1の回転方向148への前記シフトドラム95の回転時に前記外力の非作用状態では後進用カム溝141の他端側端壁に当接、係合する係合面143bとが設けられる。
これにより図11で示すように、後進ストッパアーム143の先端部を後進用カム溝141の一端部141aに嵌合した状態からシフトドラム95が第2の回転方向149に回転すると、図13で示すように、傾斜ガイド面143aが後進用カム溝141の一端側端壁に当接し、シフトドラム95が第1の回転方向148にさらに回転すると、図14で示すように、傾斜ガイド面143aでガイドされることにより、後進ストッパアーム143はその先端部がシフトドラム95の外周に乗り上げるように後進ストッパアーム軸142の軸線まわりに回動し、さらにシフトドラム95の第2の回転方向149に回転することで後進ストッパアーム143の先端部が、図12で示すように、後進用カム溝141の他端部141bに嵌合する。
一方、図12で示すように、後進ストッパアーム143の先端部を後進用カム溝141の他端部141bに嵌合している状態からシフトドラム95を第1の回転方向148に回転すると、後進ストッパアーム143の係合面143bが後進用カム溝141の他端側端壁に当接、係合するので、ねじりばね144による付勢力に抗する外力を後進ストッパアーム143を加えて後進ストッパアーム143を後進用カム溝141の他端部141bから強制的に離脱させる操作が必要となる。なお前記シフトドラム95が後進および第5速位置PR-5 にあって第5速歯車列G5が確立している状態では、第2のリード溝97の最終端97b1 に第2シフトフォーク92のシフトピン92aが係合することで、シフトドラム95の第1の回転方向148への回転は抑止される。
図15において、前記駆動手段105におけるシフト用作動モータ120は、前記回転角検出器135および前記チェンジ軸回転角検出器136の検出値、ならびにエンジン始動スイッチ137およびブレーキスイッチ138からの信号に応じて制御ユニットCにより制御される。また制御ユニットCには、前記後進検出スイッチ147からの信号が入力されており、後進歯車列GRが確立していることを示すランプ150の点灯が制御ユニットCで制御される。
しかも制御ユニットCは、エンジンEの作動中に、シフトドラム95が共用変速位置である後進および第5速位置PR-5 にある状態で、後進歯車列GRおよび第5速歯車列G5のいずれが確立状態にあるのかを図16で示す手順に従って判断する。
図16のステップS1では、現在のシフトドラム95の回転角が第4および第5速位置P4-5 にあるか否かを判断し、第4および第5速位置P4-5 ではなかったときにはシフトドラム95の回転角がニュートラル位置PN であるか否かをステップS2で判断し、シフトドラム95の回転角がニュートラル位置PN である状態でシフトダウン指令がなされたことをステップS3で確認したときにステップS4で後進位置にシフトダウンするようにシフトドラム95を回動し、その後のステップS5でシフトドラム95が後進および第5速位置PR-5 にあることを確認したときに、ステップS6で後進歯車列GRが確立していると判断して後進歯車列GRが確立していることを示すフラグを立て、この状態で制御ユニットCはランプ150を点灯させる。
またステップS1で現在のシフトドラム95の回転角が第4および第5速位置P4-5 にあると判断したときには、その状態でシフトアップ指令がなされたことをステップS7で確認し、シフトアップ指令がなされたときにはステップS8で第5速にシフトアップするようにシフトドラム95を回動し、その後のステップS9でシフトドラム95が後進および第5速位置PR-5 にあることを確認したときに、第5速歯車列G5が確立しているとステップS10で判断し、第5速歯車列G5が確立していることを示すフラグを立てる。
すなわち制御ユニットCは、エンジンEの作動時に、シフトドラム95が後進および第5速位置PR-5 にシフトアップ側で隣接する変速位置すなわちニュートラル位置PN からシフトダウン側に前記シフトドラム95が回転したのに応じて後進歯車列GRが確立されている状態と判断し、前記シフトドラム95が前記後進および第5速位置PR-5 にシフトアップ側で隣接する変速位置すなわち第4および第5速位置P4-5 からシフトアップ側に前記シフトドラム95が回転したのに応じて第5速歯車列G5が確立されている状態と判断することになる。
また制御ユニットCは、エンジンEの点火・始動時には図17で示す手順で始動の可否を判断するものであり、ステップS11では現在のシフトドラム95の回転角が後進および第5速位置PR-5 にあるか否かを判断し、後進および第5速位置PR-5 ではなければステップS12に進んで現在のシフトドラム95の回転角から現在確立している歯車列を読み込み、さらにステップ13では現在確立している歯車列での始動の可否を判断する。この始動可否判断にあたっては、たとえばいずれかの歯車列が確立した状態でブレーキスイッチ138からブレーキ操作がなされたことを示す信号が入力されたときに、エンジンEの始動を許可することになる。
前記ステップS11で現在のシフトドラム95の回転角が後進および第5速位置PR-5 にあることを確認したときには、ステップS14でエンジンEの始動を禁止し、さらに次のステップS15で1段だけシフトアップ側にシフトドラム95を回転させる指令を出し、ステップS16においてシフトドラム95の回転角がニュートラル位置PN にあることを確認したときにはステップ17でエンジンEの始動を許可する。
ステップS16で現在のシフトドラム95の回転角が後進および第5速位置PR-5 にあることが確認されなかったときには、ステップS18で1段だけシフトダウン側にシフトドラム95を回転する指令が出力されることになり、ステップS19でシフトドラム95が第4および第5速位置P4-5 となったことが確認されたときに、ステップS13に進んで始動可否を判断し、またステップS19で第4および第5速位置P4-5 を確認できなかったときにステップS20に進んでフェール状態であると判断する。
すなわち制御ユニットCは,エンジンEの始動可否を判断するにあたっては、シフトドラム95が前記共用変速位置にある状態でエンジンEの始動を禁止する第1のステップと、前記シフトドラム95を1段だけシフトアップ側に回転させるように前記駆動手段105を作動せしめる第2のステップと、第2のステップのシフトアップ処理で前記シフトドラム95が前記共用変速位置にシフトアップ側で隣接するニュートラル位置PN に回転したか否かを判断する第3のステップと、第2のステップのシフトアップ処理によってニュートラル位置PN に回転したと第3のステップで判断したときにはエンジンEの始動を許可する第4のステップと、第2のステップのシフトアップ処理で前記ニュートラル位置PN に回転しなかったと第3のステップで判断するのに応じて前記シフトドラム95をシフトダウン側に回転させるように前記駆動手段105を作動せしめる第5のステップと、第5のステップのシフトダウン処理で前記シフトドラム95が前記共用変速位置にシフトダウン側で隣接した変速位置(第4および第5速位置P4-5 )に回転したか否かを判断する第6のステップと、第6のステップで前記共用変速位置にシフトダウン側で隣接した変速位置に前記シフトドラム95が回転したことを確認するのに応じて複数変速段の歯車列G1〜G5,GRのうち前記共用変速位置にシフトダウン側で隣接した変速位置に対応した歯車列すなわち第4速および第5速歯車列G4,G5が確立している状態であると判断する第7のステップと、前記シフトドラム95が第4および第5速位置P4-5 に回転しなかったことを第6のステップで確認したときにフェール状態であると判断する第8のステップとを実行することになる。
しかも制御ユニットCは、上述の始動可否判断処理の後でエンジン始動スイッチ137からエンジン始動信号が入力されたときに、シフトドラム95がニュートラル位置PN にある状態ではエンジンEを始動し、複数変速段の歯車列G1〜G5,GRの少なくとも1つが確立している状態ではブレーキスイッチ138からブレーキ操作信号が入力されている間だけエンジンEを始動する。
また前記シフト作動用モータ120の作動は図18で示す手順に従って実行されるものであり、ステップS21では、シフト作動用モータ120の作動を開始するか否かを判断し,チェンジ軸121の回転角を「0」に初期補正し、次のステップS22で電源電圧すなわちバッテリの出力電圧が所定値を超えた正常な状態にあるか否かを判断し、電源電圧が不足していると判断したときにはステップS23に進んでシフト用作動モータ120の作動を停止する。また電源電圧が正常であると判断したときには、ステップS22からステップS24に進んでシフトアップか否かを判断し、シフトアップのときにはステップS25のシフトアップモードの処理を実行し、シフトアップではなかったときにはステップS26でシフトダウンモードの処理を実行する。
シフトアップモードでは図19で示す処理を実行し、このシフトアップモードの処理によってチェンジ軸121の回転角は図20で示すように変化する。すなわちステップS31では、チェンジ軸回転角検出器136で検出されるチェンジ軸121の回転角がα1となるようにチェンジ軸121を回動せしめるべくシフト用作動モータ120を作動せしめる。このステップS31の処理は、チェンジ軸121の回動方向および所要時間を確認するためのものであり、時刻t1で回転角α1に達したことを確認したときに、ステップS32に進み、チェンジ軸回転角検出器136で検出されるチェンジ軸121の回転角がα2となるようにチェンジ軸121を回動せしめるべくシフト用作動モータ120を作動せしめる。この回転角α2は、シフトドラム95を、後進および第5速位置PR-5 、ニュートラル位置PN 、第1および第2速位置P1-2 、第2および第3速位置P2-3 、第3および第4速位置P3-4 、第4および第5速位置P4-5 の各位置に順次回動するのに必要な回転角(この実施例では60度)の略半分に設定されるものであり、この実施例では略30度であり、この回転角α2までのチェンジ軸121の回動によるシフタの作動によってそれまで確立されていた歯車列が未確立の状態、すなわちニュートラル状態となる。
チェンジ軸121の回転角がα2に達した時刻t2ではステップS33に進み、シフト用作動モータ120の作動を一旦停止し、時刻t3までの所定時間ΔTだけその停止状態を保持する。
時刻t3ではステップS34においてチェンジ軸121を回転角α3に達するまで前記回転角α1,α2の回転角を得るのと同一方向方向に回動せしめるべくシフト用作動モータ120を同一方向に回転させる。而して前記回転角α3は、シフトドラム95を、後進および第5速位置PR-5 、ニュートラル位置PN 、第1および第2速位置P1-2 、第2および第3速位置P2-3 、第3および第4速位置P3-4 、第4および第5速位置P4-5 の各位置に順次回動するのに必要な回転角、この実施例では60度であり、このチェンジ軸121の回転角α3までの回動により、確立すべき歯車列が確立状態となる。この際、前記両ポール107…の一方の先端部が規制突部117bに当接することでドラムシフタ106の回動が規制される。
時刻t4でチェンジ軸121が回転角α3まで回動した後のステップS35では、回転角検出器135によってシフトドラム95が所定の回動位置となっているか否かを確認し、時刻t5では、ステップS36に進んで、チェンジ軸121をゆっくりと逆方向に回動させる。この処理はシフトドラムセンター99のノッチS2-3 ,S3-4 ,S4-5 へのドラムストッパアーム100の選択的な係合が解除されることを防止するためのものであり、時刻t6ではステップS37において、チェンジ軸121を通常の速度で「0」度に戻るまで逆方向に回動すべくシフト用作動モータ120を作動せしめる。
なお始動時のシフトアップおよびシフトダウン時には、図20の鎖線で示すように、回転角度は直線的に変化することになる。
ここで、第2速で運転している状態すなわちドラムストッパアーム100をシフトドラムセンター99の第1および第2速用位置決めノッチS1-2 に係合し、第2油圧クラッチ53を接続し、第1油圧クラッチ52を遮断している状態で第3速にシフトアップするにあたり、予備変速によってシフトドラムセンター99の第2および第3速用位置決めノッチS2-3 にドラムストッパアーム100を係合する場合について説明すると、シフト用作動モータ120の作動に応じてチェンジ軸121およびチェンジアーム127は図6の時計方向に回動し、駆動手段105のドラムシフタ106は、チェンジアーム127の長孔128に係合ピン129が係合していることにより、係合ピン129を係合孔128内でチェンジ軸121に変位させつつ図6の時計方向に回動する。
これにより2つの係合凹部109,109にそれぞれ係合しているポール107,107の一方が、ガイドプレート110のガイド孔117における大径円弧部117aに対応する部分を軸部111aの軸線まわりに回動することになり、シフトドラムセンター99を図6の時計方向に回動するように押圧する。而してシフトドラムセンター99すなわちシフトドラム95が約30度回動すると、図9で示すように、ドラムストッパアーム100のローラ102は、第1および第2速用位置決めノッチS1-2 と、ニュートラル用ノッチN1 との間の山部を乗り越えてニュートラル用ノッチN1 に係合することになり、この状態で、シフト用作動モータ120の作動が一旦停止され、その停止状態が所定時間ΔTだけ保持される。
前記所定時間ΔTの経過後にシフト用作動モータ120の作動が再び開始され、ドラムシフタ106は、ドラムストッパアーム100のローラ102が、第2および第3速用位置決めノッチS2-3 に係合するまで回動することになり、この状態で第1油圧クラッチ52を接続することにより第3速へのシフトアップが完了する。而してシフト用作動モータ120の作動が停止すると、チェンジアーム127は挟みばね134のばね力によって、図6および図7で示す位置まで戻り、ドラムシフタ106も図6および図7で示す位置まで戻ることになる。
すなわちシフト用作動モータ120を有する駆動手段105は、第1および第2速用位置決めノッチS1-2 にドラムストッパアーム100を係合させた状態から、第2および第3速用位置決めノッチS2-3 にドラムストッパアーム100を係合させるまでシフトドラムセンター99を回動するにあたっては、その回動途中での一旦停止によってドラムストッパアーム100をニュートラル用ノッチN1 に係合させた状態を一時的に維持し、第1シフタ72のニュートラル状態を一時的に維持するものである。
このようにして駆動手段105は、第2速走行時に第1速から第3速へのシフトアップである予備変速によってシフトドラムセンター99の第2および第3速用位置決めノッチS2-3 にドラムストッパアーム100を係合する際に、シフトドラム95の回動速度を一旦停止することになる。このような駆動手段105の作用は、第3速から第5速へのシフトアップ、第2速から第4速へのシフトアップである予備変速時も同様である。
第4速から第2速へのシフトダウン、第5速から第3速へのシフトダウン、第3速から第1速へのシフトダウンである予備変速時には、図18におけるステップS26のシフトダウンモードを実行するものであり、このシフトダウンモードでは、上記シフトアップモードとはシフト用作動モータ120の回転方向を逆にしてシフトアップ時と同様の処理が行われる。
次にこの実施例の作用について説明すると、第1メインシャフト44およびカウンタシャフト46とともに回転する第1および第3シフタ72,74を、それらの第1および第3シフタ72,74の両側にある第1速用駆動アイドル歯車57および第3速用駆動アイドル歯車59ならびに第2速用被動アイドル歯車64および第4速用被動アイドル歯車66の一方との係合を解除して他方のアイドル歯車に係合させる側にスライドさせる際に、シフトドラム95の外周に設けられる第1および第3のリード溝96,98が有する連絡部96c,98cの中央部に形成されてシフトドラム95の周方向に延びるニュートラル部96e,98eで、第1および第3シフトフォーク91,93をガイドするようにしている。したがって前記連絡部が直線状であるものに比べて、シフトドラム95の回動に対して、第1速用駆動アイドル歯車57および第3速用駆動アイドル歯車59ならびに第2速用被動アイドル歯車64および第4速用被動アイドル歯車66の前記他方への第1および第3シフタ72,74の係合タイミングを遅らせることができる。
しかも第1〜第3シフタ72〜74を、各歯車列G1〜G5,GRの確立状態を切換えるべくスライドさせる際に、駆動手段105は、前記シフトドラムセンター99を所定角度だけ回動して前記シフタ72〜74をスライドさせる途中のシフタ72〜74のニュートラル状態でシフトドラムセンター99の回動を速度低下状態または一旦停止状態とすべく構成され、また歯車列の確立途中ではシフトドラム95の回動すなわち前記第1〜第3シフタ72〜74のスライド作動が一旦停止して第1〜第3シフタ72〜74がニュートラル状態となり、さらにシフトドラムセンター99の外周に、ドラムストッパアーム100を選択的に係合させて歯車列G1〜G5のうち選択された歯車列を確立するための複数の位置決めノッチS1-2 ,S2-3 ,S3-4 ,S4-5 が相互間に等間隔をあけて設けられるとともにドラムストッパアーム100の係合を可能として各位置決めノッチS1-2 ,S2-3 ,S3-4 ,S4-5 間の中央部に配置されるニュートラル用ノッチN1 ,N2 ,N3 が設けられているので、歯車列の確立途中ではドラムストッパアーム100からドラムシフタ106に作用する回動抵抗が一旦大きくなることでシフトドラム95の回動速度すなわち前記第1〜第3シフタ72〜74のスライド速度が一旦緩められる。
したがって前記リード溝96,98が有する連絡部96c,98cの中央部に形成されるニュートラル部96e,98eの働きと相まって、第1および第3シフタ72,74と、それらのシフタ72,74を係合させる歯車との速度差を比較的小さくし、係合音が大きくなるのをより効果的に防止することができる。
また第1メインシャフト44とともに回転する第1シフタ72を、第1メインシャフト44へのエンジンEからの動力伝達を遮断するとともに第2メインシャフト45にエンジンEからの動力を伝達している状態で第1シフタ72の両側にある第1速用駆動アイドル歯車57および第3速用駆動アイドル歯車59の一方との係合を解除して他方に係合させる側にスライドさせる際に、シフトドラム95の外周に設けられる第1のリード溝96の連絡部96cの中央部に形成されてシフトドラム95の周方向に延びるニュートラル部96fで第1シフトフォーク91をガイドするので、シフトドラム95の回動に対して両アイドル歯車57,59への第1シフタ72の係合タイミングを遅らせることができる。また駆動手段105による所定角度の送り作動の途中での一旦停止、ガイドプレート110によってポール107を係合凹部109に係合させることでシフトドラム95の回動途中での一旦停止、ならびにシフトドラム99の外周のニュートラル用ノッチN1 へのドラムストッパアーム100の係合により、シフトドラムセンター99の回動はその回動途中で一旦停止される。したがって第2メインシャフト45およびカウンタシャフト46間に設けられている第2速歯車列G2の確立によって両アイドル歯車57,59が回転している状態で、第1および第2メインシャフト44,45間に設けられているニードルベアリング48…間に満たされた潤滑油の粘性もしくは第1油圧クラッチ52および伝動筒軸49間の潤滑油の粘性による第1メインシャフト44のつれ回りに伴う第1シフタ72の回転速度と、前記両アイドル歯車57,59との相対回転速度差を比較的小さくすることができ、係合音が大きくなるのを防止することができる。
さらにカウンタシャフト46とともに回転する第3シフタ74を、第2メインシャフト45へのエンジンEからの動力伝達を遮断するとともに第1メインシャフト44にエンジンEからの動力を伝達している状態で第3シフタ74の両側にある第2速用被動アイドル歯車64および第4速用被動アイドル歯車66の一方との係合を解除して他方に係合させる側にスライドさせる際に、シフトドラム95の外周に設けられる第3のリード溝98の連絡部98cの中央部に形成されてシフトドラム95の周方向に延びるニュートラル部98eで、第3シフトフォーク93をガイドするので、シフトドラム95の回動に対して両アイドル歯車64,66への第3シフタ74の係合タイミングを遅らせることができる。また駆動手段105による所定角度の送り作動の途中での一旦停止、ガイドプレート110による回動抵抗、ならびにシフトドラムセンター99の外周のニュートラル用ノッチN2 へのドラムストッパアーム100の係合により、シフトドラムセンター99の回動はその回動途中で一旦停止される。したがって第1メインシャフト44およびカウンタシャフト46間に設けられている第3速歯車列G3の確立によってカウンタシャフト46および第3シフタ74が回転している状態で、第1および第2メインシャフト44,45間に設けられているニードルベアリング48…間に満たされた潤滑油の粘性もしくは第2油圧クラッチ53および伝動筒軸49間の潤滑油の粘性による第2メインシャフト45のつれ回りに伴う前記両アイドル歯車64,66の回転速度と、第3シフタ74との相対回転速度差を比較的小さくすることができ、係合音が大きくなるのをより効果的に防止することができる。
またシフトドラム95の外周に設けられているリード溝96〜98のうち少なくとも1つの特定リード溝である第2リード溝97がシフトドラム95の1周を超えて連続するとともに両端部がシフトドラム95の軸線に沿う方向で相互にずれて配置されるようにして前記シフトドラム95の外周に設けられ、シフトドラム95の周方向に沿って前記第2リード溝97の両端部に対応する1個所に、相互に異なる2つの変速段、この実施例では後進用変速段および第5速変速段の歯車列GR,G5を確立するための共用変速位置である後進および第5速位置PR-5 が設定されるので、シフトドラム95の大径化による変速機の大型化を回避するとともに、リード溝96〜98の形状の大幅な変更を不要として設計工数の増加を回避して、シフトドラム95に設定される変速位置を増加することができる。
しかも第2リード溝97が、その一端部から他端部に向かうにつれて前記シフトドラム95の軸線に沿う一方側に段階的にずれるように形成されるので、第2リード溝97の両端部がシフトドラム95の軸線に沿う方向で相互にずれて配置されるようにしつつ、シフトフォーク92の作動に影響を及ぼすことなくシフトドラム95の軸方向大型化を防止することができる。
またシフトドラム95の回転角を検出する回転角検出器135の回転角検出に応じて駆動手段105の作動を制御する制御ユニットCは、エンジンEの作動時には、シフトドラム95が前記後進および第5速位置PR-5 にシフトアップ側で隣接する変速位置(ニュートラル位置PN )からシフトダウン側に前記シフトドラム95が回転するのに応じて後進歯車列GRが確立されている状態と判断し、前記シフトドラム95が前記後進および第5速位置PR-5 にシフトダウン側で隣接する変速位置(第4および第5速位置P4-5 )からシフトアップ側に前記シフトドラム95が回転するのに応じて第5速歯車列G5が確立されている状態と判断するので、シフトドラム95の周方向同一位置で、後進歯車列GRと、最高変速段である第5速変速段用の第5速歯車列G5とが確立するようになっていても、単一の回転角検出器135で後進歯車列GRを用いた変速段および最高変速段のいずれの状態にあるかを確実に判断することができる。
また制御ユニットCは、エンジンEの始動時に、前記回転角検出器135の検出結果に基づいてシフトドラム95が共用変速位置にあると判断したときにエンジン始動の可否を判断するので、共用変速位置にある場合も確実に変速位置を確認することができる。
また前記制御ユニットCは、エンジンEの始動の可否を判断するにあたって、シフトドラム95が前記共用変速位置にある状態でエンジンEの始動を禁止する第1のステップと、前記シフトドラム95を1段だけシフトアップ側に回転させるように前記駆動手段105を作動せしめる第2のステップと、第2のステップのシフトアップ処理で前記シフトドラム95が前記共用変速位置にシフトアップ側で隣接するニュートラル位置PN に回転したか否かを判断する第3のステップと、第2のステップのシフトアップ処理によってニュートラル位置PN に回転したと第3のステップで判断したときにはエンジンEの始動を許可する第4のステップと、第2のステップのシフトアップ処理で前記ニュートラル位置PN に回転しなかったと第3のステップで判断するのに応じて前記シフトドラム95をシフトダウン側に回転させるように前記駆動手段105を作動せしめる第5のステップと、第5のステップのシフトダウン処理で前記シフトドラム95が前記共用変速位置にシフトダウン側で隣接した変速位置(第4および第5速位置P4-5 )に回転したか否かを判断する第6のステップと、第6のステップで前記共用変速位置にシフトダウン側で隣接した変速位置に前記シフトドラム95が回転したことを確認するのに応じて複数変速段の歯車列G1〜G5,GRのうち前記共用変速位置にシフトダウン側で隣接した変速位置に対応した歯車列すなわち第4速および第5速歯車列G4,G5が確立している状態であると判断する第7のステップと、前記シフトドラム95が第4および第5速位置P4-5 に回転しなかったことを第6のステップで確認したときにフェール状態であると判断する第8のステップとを実行する。
このようなエンジンEの始動可否判断によれば、エンジンEの始動時に、シフトドラム95がニュートラル位置PN にあるときだけ始動が許可され、後進歯車列GRが確立した状態からのシフトアップ処理によってもニュートラル位置PN に移行せず、また最高変速段である第5速歯車列G5が確立した状態からのシフトダウン処理によっても最高変速段から1段だけ低い変速段すなわち第4速が確立された状態に移行しないときには異常が生じているとしてフェール処理を行うことができる。
さらに前記制御ユニットCは、エンジンEの始動可否判断処理の後でエンジン始動信号が入力されたときに、シフトドラム95がニュートラル位置PN にある状態ではエンジンEを始動し、複数変速段の歯車列G1〜G5,GRの少なくとも1つが確立している状態ではブレーキ操作信号が入力されている間だけエンジンEを始動するようにしているので、後進歯車列GRもしくは前進用歯車列の確立状態でエンジンEを停止した後、エンジンEを始動する操作を行っても、前進もしくは後進しないように制御することができる。
またシフトドラム95の外周には、該シフトドラム95の周方向に延びるとともに両端部141a,141bがシフトドラム95の周方向に間隔をあけた位置に配置されるようにして後進用カム溝141が設けられ、この後進用カム溝141に嵌合し得る後進ストッパアーム143がねじりばね144で後進用カム溝141に嵌合する側にばね付勢されているのであるが、第5速歯車列G5および後進用歯車列GRをともに確立する共用変速位置である後進および第5速位置PR-5 では後進ストッパアーム143が後進用カム溝141の一端部141aに嵌合するようにして後進および第5速位置PR-5 がシフトドラム95に設定されており、後進用歯車列GRを確立するようにシフトドラム95を第1の回転方向148に回転させる際には前記ねじりばね144による付勢力に抗する外力を後進ストッパアーム143に加えることが必要であるのに対し、後後進用歯車列GRを確立した状態からの第1の回転方向48とは反対の第2の回転方向149へのフトドラム95の回転時には、外力の非作用状態にある後進ストッパアーム143が、後進用カム溝141の前記一端部141aからシフトドラム95の外周を乗り越えるように離脱して該後進用カム溝141の他端部141b側に移動することが可能である。
したがって後進用カム溝141の一端部141aに後進ストッパアーム143を嵌合せしめた状態から第2の回転方向149にシフトドラム95を回転するときには、後進ストッパアーム143をねじりばね144の付勢力に抗する方向に作動せしめる外力を後進ストッパアーム143に作用せしめる操作は不要であり、操作性の低下を回避することができる。
また後進ストッパアーム143の先端部には、後進用歯車列GRを確立した状態からの第2の回転方向149へのシフトドラム95の回転時に後進用カム溝141の一端側端壁を乗り越えて後進用カム溝141の他端部141b側に後進用ストッパアーム143を移動せしめる傾斜ガイド面143aと、後進用カム溝141の他端部141bに後進ストッパアーム143が嵌合している状態からのシフトドラム95の第1の回転方向148への回転時に前記外力の非作用状態では後進用カム溝141の他端側端壁に当接、係合する係合面143bとが設けられるので、後進ストッパアーム143に、傾斜ガイド面143aおよび係合面143bが設けられるだけの簡単な構造で、後進用カム溝141の他端壁への後進ストッパアーム143の係合、ならびに後進用カム溝141の一端部141aから他端部141bへの後進ストッパアーム143の乗り越えを可能とすることができる。
さらに後進用歯車列GRおよび第1〜第5速歯車列G1〜G5のいずれをも未確立状態とするニュートラル位置PN にシフトドラム95があるときに、後進ストッパアーム143が後進用カム溝141の他端部141bに嵌合するものであるので、後進ストッパアーム143への外力の非作用状態で後進用歯車列GRを確立した状態からシフトドラム95を第2の回転方向149に回転しても車両が発進することはない。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
エンジン本体の縦断面図であって図2の1−1線に沿う断面図である。 図1の2−2線矢視方向から見た一部切欠き側面図である。 図2の3−3線断面図である。 図2の4−4線断面図である。 シフトドラムの外周面の展開図である。 第1速の運転状態での図4の6−6線拡大断面図である。 第1速の運転状態での図4の7−7線拡大断面図である。 シフトドラムセンターの回動途中での駆動手段の一部の状態を示す図である。 第1速から第2速へのシフトアップ途中の状態での図6に対応した図である。 第2速の運転状態での図6に対応した図である。 シフトドラムが後進および第5速位置にある状態での図3の11−11線に沿う断面図である。 シフトドラムがニュートラル位置にある状態での図11に対応した断面図である。 シフトドラムが後進および第5速位置から第2の回転方向にわずかに回転した状態での図11に対応した断面図である。 図13の状態からシフトドラムが第2の回転方向にさらに回転した状態での図11に対応した断面図である。 制御系の構成を示すブロック図である。 シフトドラムの共用変速位置で確立可能な2つの歯車列のいずれが確立状態にあるのかを判断する処理手順を示すフローチャートである。 エンジンの始動時の始動可否判断にあたっての処理手順を示すフローチャートである。 シフト用作動モータの制御手順を示すフローチャートである。 シフトアップモードでの制御手順を示すフローチャートである。 シフトアップ時のチェンジ軸の回転角変化を示す図である。
95・・・シフトドラム
141・・・後進用カム溝
141a・・・後進用カム溝の一端部
141b・・・後進用カム溝の他端部
143・・・後進ストッパアーム
143a・・・傾斜ガイド面
143b・・・係合面
144・・・付勢部材であるねじりばね
148・・・第1の回転方向
149・・・第2の回転方向
G1・・・第1速歯車列
G2・・・第2速歯車列
G3・・・第3速歯車列
G4・・・第4速歯車列
G5・・・前進用最高速歯車列である第5速歯車列
GR・・・後進用歯車列

Claims (2)

  1. 後進用歯車列(GR)および複数段の前進用歯車列(G1〜G5)の確立状態を切換えるように回転するシフトドラム(95)と、該シフトドラム(95)の周方向に延びるとともに両端部(141a,141b)が前記シフトドラム(95)の周方向に間隔をあけた位置に配置されるようにして前記シフトドラム(95)の外周に設けられる後進用カム溝(141)と、該後進用カム溝(141)に嵌合する側に付勢部材(144)で付勢される後進ストッパアーム(143)とを備え、前記後進用歯車列(GR)を確立するように前記シフトドラム(95)を第1の回転方向(148)に回転させる際には、前記付勢部材(144)による付勢力に抗する外力を前記後進ストッパアーム(143)に加えることで前記後進用カム溝(141)の一端部(141a)から離脱する側に前記後進ストッパアーム(143)を作動せしめることを必要とする車両用変速機において、
    複数段の前進用歯車列(G1〜G5)のうち前進用最高速歯車列(G5)および前記後進用歯車列(GR)をともに確立する共用変速位置が、その共用変速位置では前記後進ストッパアーム(143)が前記後進用カム溝(144)の前記一端部(141a)に嵌合するようにして前記シフトドラム(95)に設定され、
    前記後進ストッパアーム(143)には、前記後進用歯車列(GR)を確立した状態からの、前記第1の回転方向(148)とは反対の前記第2の回転方向(149)への前記シフトドラム(95)の回転時に前記後進用カム溝(141)の一端側端壁を乗り越えて前記後進用カム溝(141)の他端部側に後進用ストッパアーム(143)を移動せしめる傾斜ガイド面(143a)と、前記後進用カム溝(141)の他端部(141b)に前記後進ストッパアーム(143)が嵌合している状態からの前記シフトドラム(95)の前記第1の回転方向(148)への回転時に前記外力の非作用状態では前記後進用カム溝(141)の他端側端壁に当接、係合する係合面(143b)とが設けられ、
    前記後進用カム溝(141)の両側面には、前記他端部(141b)において該後進用カム溝(141)の溝幅を拡幅させる凹面がそれぞれ形成されると共に、該他端部(141b)の、前記両凹面と連続した閉塞端面が平坦面に形成され、
    前記後進用歯車列(GR)を確立した状態からの前記第2の回転方向(149)への前記シフトドラム(95)の回転時には、前記外力の非作用状態にある前記後進ストッパアーム(143)が、前記傾斜ガイド面(143a)にガイドされて前記後進用カム溝(141)の前記一端部(141a)から前記シフトドラム(95)の外周を乗り越えるように離脱して該後進用カム溝(141)の他端部(141b)側に移動可能としたことを特徴とする車両用変速機。
  2. 前記後進用歯車列(GR)および複数段の前記前進用歯車列(G1〜G5)のいずれをも未確立状態とするニュートラル位置に前記シフトドラム(95)があるときに、前記後進ストッパアーム(143)が前記後進用カム溝(141)の他端部(141b)に嵌合することを特徴とする請求項1に記載の車両用変速機。
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