JP4970115B2 - 導電性ダイヤモンド被覆網状電極、その製造方法及び同電極を備えたオゾン水生成装置 - Google Patents

導電性ダイヤモンド被覆網状電極、その製造方法及び同電極を備えたオゾン水生成装置 Download PDF

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Description

本発明は、オゾン水生成装置などの電解処理装置に用いられる網状電極、その製造方法などに関する。
オゾンを溶解したオゾン水は、優れた酸化力を有するため、半導体デバイスの製造や医療分野、食品分野などにおいて洗浄、殺菌などに広く利用されている。オゾン水は、比較的小型の処理装置で簡単に製造することができ、またオゾン濃度の制御も容易なことから、主に水を電気分解(電解)することにより製造される。
電解法でオゾンあるいはオゾン水を製造するオゾン水生成装置としては、例えば特許第3375904号公報(特許文献1)に記載されているように、網状の陽極電極と陰極電極との間にプロトン透過膜を挟んで電極セルを構成し、前記陽極電極と陰極電極とに直流電力を供給する直流電源を備えたものがある。前記電極に通電しながら水を流すと、水が電気分解されて陽極側にオゾンが発生する。この際に生じた水素イオンがイオン透過性を有するプロトン透過膜を透過して陰極に達し、ここで電子を受け取って水素が生成する。発生したオゾンは供給された水に溶解し、オゾン水が得られる。
このような電解処理装置において、オゾンの生成を促進するため、電極は網状に形成され、また材質としては安全性、触媒作用の観点から主に白金が用いられる。しかし、白金は比較的安定な電極材料であるが、高価な貴金属であり、また電解に伴って溶出し消耗するのでコスト面で問題がある。
このため、特開平9−268395号公報(特許文献2)に記載されているように、網状の基材に熱CVD法により導電性ダイヤモンド膜を被覆した導電性ダイヤモンド被覆網状電極を陽極電極として用いることが提案されている。このような導電性ダイヤモンド被覆網状電極は、電気抵抗が小さく、電解オゾン水生成の効率がよく、白金電極に比して材料コストも低減することができるという利点がある。また、特開2005−336607号公報(特許文献3)には、基材に導電性ダイヤモンド膜を被覆するのではなく、マイクロ波プラズマCVD法で形成した導電性ダイヤモンド板に多数の貫通孔をレーザ加工や放電加工により穿設した自立型導電性ダイヤモンド多孔電極も提案されている。
特許第3375904号公報 特開平9−268395号公報 特開2005−336607号公報
しかしながら、特許文献3に記載された自立型導電性ダイヤモンド多孔電極は、導電性ダイヤモンドを自立体となるように0.2〜1.0mmもの厚さに形成する必要があり、理想的な性能が得られるとしても、非常に高コストであり、実用性に乏しい。一方、特許文献2に記載された導電性ダイヤモンド被覆網状電極の場合、熱CVD法で導電性ダイヤモンド膜を被覆するため、フィラメントに対向する側の網状基材の表面には活性種が堆積してダイヤモンド膜が上手く被覆されるが、裏面には活性種が回り込み難いためダイヤモンド膜が成膜され難く、網状基材の表裏面を同時に導電性ダイヤモンド膜で被覆することができない。このため、生産性が低く、ひいては製造コストが高くなる。また特許文献2に記載されているように、基材のサイズも1cm2 程度と非常に小さいものに限られる。
ところで、前記熱CVD法に対して、特許文献3に記載されたプラズマCVD法は成膜効率が高く、また網状基材を包み込むようにプラズマを形成することで、その裏面側にも活性種が回り込み、表裏面を同時にダイヤモンド膜で被覆することができる。しかし、網状基材のような表面が凹凸状で角張った基材に対してプラズマCVD法を適応して成膜すると、プラズマが基材の角部を含む端縁部に集中したり、異常放電などが発生して、基材の外周端縁部が溶融したり、基材の一部にしかダイヤモンド膜が形成されないという問題がある。このため、従来、網状基材に導電性ダイヤモンド膜を被覆する手段としてプラズマCVD法は適用されていない。
本発明はかかる問題に鑑み、導電性ダイヤモンド膜の被覆手段としてプラズマCVD法を適用した導電性ダイヤモンド被覆網状電極、その製造方法を提供すること、また同電極を用いたオゾン水生成装置を提供することを目的とする。
本発明の製造方法は、融点が1300K以上の高融点金属で形成された網状基材に導電性ダイヤモンド膜をプラズマCVD法により被覆する網状電極の製造方法であって、真空容器内に前記網状基材を載置した載置台を設け、前記載置台に載置された網状基材の外周を取り囲むように前記網状基材を形成する高融点金属の融点と同等以上の融点を有する高融点金属で形成された外枠を前記載置台の外周部に設け、前記真空容器内に炭素源を含む原料ガスを供給し、前記載置台および外枠を包み込むようにプラズマを形成して前記網状基材に導電性ダイヤモンド膜を被覆する工程を備え、前記載置台は網状電極を載置する載置面が凹凸状に形成され、前記外枠はその上端面の外周部に丸味のある面取りが施される
この製造方法によると、載置台に載置された網状基材の外周に外枠が配置されるので、外枠の内側に配置された網状基材の外周端縁部に対するプラズマの集中や異常放電が抑制され、またプラズマは網状基材の表裏面に回り込むために、網状基材の外周端縁部に溶融やダイヤモンド膜の未形成域が生じることなく、網状基材の表裏面の全体に対して導電性ダイヤモンド膜を同時に効率よく被覆することができる。また、熱CVD法で成膜可能なサイズよりも大きいサイズの網状基材に対しても効率的に導電性ダイヤモンド膜を被覆することができる。このため、プラズマCVD法により導電性ダイヤモンド膜を被覆する本発明の製造方法によると、導電性ダイヤモンド被覆網状電極を効率よく製造することができ、生産性に優れる。
上記導電性ダイヤモンド被覆網状電極の製造方法において、前記網状基材はTiあるいはMoで形成することが好ましい。これらの金属は高融点であると共に、加工性が良好であるため、線材から、あるいは板材から網状基材を容易に製造することができる。
また、本発明方法によると、前記外枠は網状基材を形成する高融点金属の融点と同等以上の融点を有する高融点金属で形成される。外枠の外周部にはプラズマが集中して載置台に載置した網状基材よりも高温になる。このため、外枠を網状基材の融点と同等以上の融点の高い高融点金属で形成することにより、外枠の溶融や変形を防止することができ、優れた耐久性が得られる。
また、本発明方法によると、前記網状基材が載置される前記載置台は、その載置面を凹凸状に形成される。これにより、載置台に載置された網状基材の裏面へのプラズマの回り込みが容易になり、裏面への導電性ダイヤモンド膜の被覆を促進することができる。
また、前記外枠は載置台の外周部に隙間を介して設けることが好ましい。このような隙間を設けることにより、外枠から網状基材への熱伝導を抑制することができ、網状基材の処理温度の変動を防止し、導電性ダイヤモンド膜の成膜性を向上させることができる。
また、本発明の導電性ダイヤモンド被覆網状電極は、上記製造方法によって製造されたものであり、プラズマCVD法を用いて効率よく製造することができる。特に網状基材の線材部の円相当直径を50〜500μm とし、導電性ダイヤモンド膜の網状基材の表裏面全体における被覆率を50〜100%とし、前記導電性ダイヤモンド膜が被覆された網状基材の線材部における導電性ダイヤモンド膜の平均膜厚を800nm以下とすることが好ましく、これにより網状基材に被覆された導電性ダイヤモンド膜の耐久性を向上させることができる。
また、本発明のオゾン水生成装置は、陽極電極と陰極電極とがプロトン透過膜を挟んで配置され、水を電気分解してオゾンを生成させると共に当該オゾンが溶解したオゾン水を製造する電解処理装置であって、少なくとも前記陽極電極として上記導電性ダイヤモンド被覆網状電極を用いたものである。特に、前記網状基材の線材部のサイズ、導電性ダイヤモンド膜の被覆率、平均膜厚を満足するものは、耐久性に優れるため、オゾン水生成装置の耐久性を向上させることができる。
本発明の製造方法によれば、載置台に載置した網状基材の外周を取り囲むように外枠を設け、載置台および外枠を包み込むようにプラズマを形成して成膜するので、従来、網状基材の角部や縁端部に生じていたプラズマの集中や異常放電を抑制することができ、プラズマCVD法により導電性ダイヤモンド膜を被覆することができ、導電性ダイヤモンド被覆網状電極を効率的に製造することができ、生産性に優れる。また、所定サイズの線材部を有する網状基材に所定の被覆率、平均膜厚の導電性ダイヤモンド膜を被覆した導電性ダイヤモンド被覆網状電極は、従来の熱CVD法で導電性ダイヤモンド膜を被覆したものに比して低コストで、膜の剥離や破損が生じにくく、耐久性に優れる。
以下、本発明の実施形態にかかる導電性ダイヤモンド被覆網状電極の製造方法について、同製造方法を実施する際に用いたプラズマCVD装置と共に説明する。先ず、前記プラズマCVD装置について簡単に説明する。図1に示すように、プラズマCVD装置は、真空容器21と、一方の電極を構成する処理テーブル22と前記処理テーブル22と対向するように配置された他方の平板電極23と、前記処理テーブル22と平板電極23とにプラズマ電力を供給する高周波プラズマ電源24と、真空容器1内を排気管25を通して真空排気する排気装置(図示省略)と、真空排気された真空容器1内にガス供給管26を通して原料ガスを供給するガス供給装置(図示省略)を備える。前記処理テーブル22の内部には図示省略した冷却水流路やヒータが設けられており、これらによりテーブル温度が制御される。27は発光分析などに利用する観察窓である。
導電性ダイヤモンド被覆網状電極の製造に際しては、先ず、図1に示すように、前記処理テーブル22に網状基材1を平面的に載置した載置台11および前記載置台11の外周を取り囲むように隙間13を介して外枠12を載置する。14は前記隙間13を確保するためのスペーサである。
前記網状基材1は、形態的には線材部の間に多数の孔が開口した平坦状のものを意味し、縦横に線材を編んで形成した金網、あるいは多数のスリットを千鳥状に設けた板材をスリット方向に対して垂直方向に引き延ばし、前記スリットを大きく開口したラス網(エキスパンドメタル)のほか、板材に多数の孔を機械的に穿設した多孔板を含む。
前記網状基材は、プラズマに曝されるので、材質的にはTi、Mo、Ta、Nbなど、融点が1300K以上の高融点金属で形成される。特にTi、Moは良好な加工性を有し、線材を編んで、あるいは板材をエキスパンドして網状材に加工し易く、また高温下で導電性ダイヤモンド膜が被覆されていない線材部の表面に酸化膜を形成し、電解反応には寄与しないものの、電解処理時に基材の溶出を防止することができる。
前記網状基材1の線材部は、円相当直径で50〜500μm 程度が好ましい。前記円相当直径とは、線材部の横断面の面積と同等の面積を有する円の直径を意味する。円相当直径を50〜500μm 程度に設定することにより、網状基材の柔軟性を確保することができ、プロトン透過膜などに隙間なく容易に密着させることができる。なお、線材部のサイズを円相当直径で表すのは、線材部の断面形状は円、方形など、種々の形態を備えるので、これらを統一的に取り扱うためである。
前記網状基材1を載置する載置台11は、プラズマCVD処理の際に網状基材1と溶着しないように、網状基材1を形成する高融点金属よりも融点の高い高融点金属で形成することが好ましい。また、載置台11の載置面(上面)は、網状基材の厚さ以上、通常1〜10mm程度の段差のある凹凸面とすることが好ましい。載置面を凹凸面とすることで、プラズマCVD処理の際に、載置面の上に載置した網状基材1の裏面(載置面がわ表面)にもプラズマが容易に回り込み、裏面側からも網状基材1に導電性ダイヤモンド膜を容易に被覆することができる。
図1では、載置台11の載置面には、下駄の歯状の凸部16が等間隔に形成されているが、載置面の凹凸はこれに限らず、例えば図3に示すように、短柱状凸部17を多数突設するようにしてもよい。また、前記網状基材1は、前記載置台11に載置するだけでもよいが、凸部の適宜箇所で点溶接して載置台11に固定するようにしてもよい。
前記載置台11の外周部に、前記網状基材1および載置台11の外周の全てを連続的に取り囲むように配置される外枠12は、プラズマCVD処理の際にプラズマの集中を意図的に受けるためのもので、これにより網状基材1の角部を含む外周端縁部にプラズマが集中したり、異常放電が発生するのを防止する。このため、プラズマの集中や異常放電により溶融しないように、網状基材1よりも融点の高い高融点金属で形成することが好ましいい。例えば、網状基材1をTi(融点1675℃)で形成する場合、載置台11や外枠12はMo(融点約2622℃)、Nb(融点2467℃)、Ta(融点2977℃)、W(融点3382℃)などの高融点金属で形成することが好ましい。
図2に示すように、前記外枠の幅W1は3〜10mm程度あればよい。また前記載置台11と外枠12との間に隙間13を設けることにより、外枠12から載置台11への熱伝導は遮断され、載置台11に載置された網状基材1の処理温度の変動が防止される。隙間13の幅W2は、数mmから10mm程度でよい。また、隙間13を容易に確保するには、図例のように網状基材1よりも融点の高い高融点金属あるいはセラミックスなどで形成されたスペーサ14を載置台11と外枠12との間に設けることが好ましい。また、前記外枠12の上面は、載置台11に載置された網状基材1の上面と面一あるいはそれより高くなるように設定することが好ましい。網状基材1の方が高くなると、網状基材側にプラマが集中するおそれが生じる。また、図1及び図2に示すように、前記外枠はその上端面の外周部に丸味のある面取りが施されている。
上記のように処理テーブル22に網状基材1を載置した載置台11及び外枠12を載置した後、真空容器1を真空排気し、原料ガスを真空容器1に注入しながら、通電して前記外枠を包み込むようにプラズマを発生させる。
前記原料ガスとしては、炭素源ガス(例えば、メタンガス、一酸化炭素ガス)と水素ガスとの混合ガスが用いられ、ダイヤモンド膜に導電性を付与するために微量のホウ素源ガス(例えば、ジボラン(B26)、トリメチルボロン(B(CH3)3))が添加される。前記水素ガスに対する炭素源ガスの比率は、通常、0.1〜10 vol%程度とされ、炭素源に対するホウ素源の比率は、0.1〜105ppm程度でよい。ホウ素の添加は、プラズマCVD装置内に固体ホウ素を設置するようにしてもよい。かかる成膜ガスを用いてプラズマCVDを行うことにより、基材の表面にダイヤモンド薄膜中に不純物として微量のホウ素が含有した導電性ダイヤモンド薄膜が形成される。
また、前記導電性ダイヤモンド膜の膜厚は、網状基材1の処理温度、処理時間を調整することにより調整することができ、処理温度を高くするほど成膜速度が高まり、時間をかけるほど膜厚は厚くなる。網状基材1の処理温度は、プラズマCVD装置の供給電力、処理テーブルの温度を制御することにより調整することができる。また、網状基材とプラズマとの距離を調整することによっても膜厚を制御することができる。網状基材とプラズマの距離は、基材を載置する処理テーブルを真空容器内で上下動させることで調整することができる。また、導電性ダイヤモンド膜の被覆率(表裏面全体の被覆率)は処理時間を調整することにより調整することができ、処理時間を長くするほど被覆率は高くなる。また、網状基材の前処理(ダイヤモンド核形成促進処理)によっても被覆率を調整することができる。
前記導電性ダイヤモンド膜の被覆率は50〜100%とし、前記導電性ダイヤモンド膜が被覆された網状基材の線材部における導電性ダイヤモンド膜の平均膜厚は800nm以下とすることが好ましい。被覆率が50%未満では被覆領域が過少となり、電解用電極としての電解作用が低下する。一方、プラズマCVD法により導電性ダイヤモンド膜を成膜した際、基材との熱膨張率差により同膜には必然的に圧縮残留応力が発生するが、その平均膜厚を800nm以下とすることにより、前記線材部の円相当直径が50〜500μm の下で膜の剥離や破損を防止することができ、電解用電極としての耐久性を向上させることができるようになる。なお、網状基材1としてTiやMoなどの酸化し易い高融点金属では、導電性ダイヤモンド膜が被覆されていない線材部はプラズマCVD処理の際に酸化膜が形成され、電解反応に寄与しないようになるため、電解処理時の溶出も抑制される。
上記製造方法によって製造された導電性ダイヤモンド被覆網状電極は、各種の電解処理装置、例えばオゾン水生成装置の電極、特に電解液への溶出が生じ易い陽極として好適に用いることができる。
ここで、オゾン水生成装置の実施形態を図4を参照して説明する。オゾン水生成装置は、プロトン透過膜(イオン交換膜)31と、当該プロトン透過膜31の両面に隙間が形成されないように密に配置した陽極電極32および陰極電極33と、これらを封入するケーシング34と、前記陽極電極32と陰極電極33とに直流電圧を印加する直流電源35を備える。前記ケーシング34には、陽極側及び陰極側の一端(図例では下端)に水供給口37が設けられ、陽極側の他端(上端)にオゾン水流出口38が、陰極側の他端に水素含有水流出口39が設けられる。
そして前記陽極電極32として上記導電性ダイヤモンド被覆網状電極が用いられ、一方陰極電極33には例えば白金網状電極が用いられる。陰極電極33としては白金電極に限らず導電製ダイヤモンド被覆網状電極を用いてもよく、他の貴金属製の網状電極でもよい。前記水供給口37には図示省略した給水管が接続され、これを通して水が供給される。供給する水は純水であることが好ましいが、水道水を原料水として用いることもできる。この場合、例えば活性炭層などの濾過層を通して塩素や不純物を除去して用いることが好ましい。また、前記給水管には、供給水量を制御するために流量制御弁が設けることができる。
上記オゾン水生成装置によると、水供給口37から供給された水は、陽極側で電気分解されてオゾンとプロトンが発生する。オゾンは水に溶解してオゾン水流出口38から排出される。一方、プロトンはプロトン透過膜31を透過して陰極から電子を受け取って水素となり、水に溶解して水素含有水となる。この水素含有水は水素含有水流出口39から外部へ排出される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によて限定的に解釈されるものではない。
線径が30〜1000μm のチタン丸線材を縦横に編んで作成したチタン金網(厚さ1mm、目開き300μm 角)から長方形(56×18mm)の網状基材を採取した。この網状基材をほぼ同様の平面形状の載置台に載置し、この載置台を外枠と共に、図1に示すように、マイクロ波プラズマCVD装置の真空容器1の処理テーブル22に設置した。そしてこれらをプラズマが包み込むようにしてプラズマCVD法により前記網状基材に導電性ダイヤモンド膜を被覆して、導電性ダイヤモンド被覆電極を製作した。また、比較のため、一部の網状基材については外枠を用いることなく、載置台のみ用いてプラズマCVD法を適用した。使用した載置台11の平面サイズは60×18mmであり、載置面には高さ0.8mmの下駄の歯状の凸部を1mmのピッチで形成した。また、図2に示すように、外枠12の幅W1は5mm、載置台11との隙間W2は3mmとした。また、外枠12の上面は載置台11に載置した網状基材と面一になるようにした。
プラズマCVD処理に際して、真空容器内を真空排気した後、炭素源としてメタン(CH4 )を水素(H2 )で希釈した混合ガスに、ホウ素源として微量のトリメチルボロンを添加した原料ガスを真空容器内に注入し、真空容器内のガス圧を5×103〜1×104Paに制御して成膜した。この際、プラズマ電力を調整して網状基材の処理温度を900〜1100Kに調整することで導電性ダイヤモンド膜の膜厚を調整した。また処理時間を調整して被覆率を調整した。
プラズマCVD処理中における外枠を用いた場合の成膜状態を観察したところ、外枠表面はプラズマが集中して薄紫色に、網状基材は全領域がオレンジ色になっていた。一方、外枠を用いないものでは、網状基材の外周端縁部のみがオレンジ色に熱せられていた。
プラズマCVD処理後、網状基材に被覆された導電性ダイヤモンド膜の平均膜厚、被覆率(表裏全面に対する被覆率)を測定した。平均膜厚は以下の要領で求めた。網状基材の幅方向の中央部位で、長さ方向に沿ってほぼ等間隔で5箇所からダイヤモンド膜が被覆された線材部を採取し、その横断面を顕微鏡観察し、断面写真を画像解析することにより各採取部位での膜厚を測定し、その平均値を求めた。また、被覆率は、処理後の網状基材の表面および裏面の写真を画像解析して求めた。これらの調査結果を表1に併せて示す。なお、比較例の試料No. 13は、被覆率が80%の試料No. 5と同様の基材処理温度(1100K)、処理時間で成膜したものである。また、比較例については、被覆率が非常に低いので膜厚測定は省略した。
また、試料No. 4(基材処理温度900K)、試料No. 5(基材処理温度1100K)について導電性ダイヤモンド膜の表面を電子顕微鏡観察したところ、図5((A)は試料No. 4、(B)は試料No. 5)に示すようにCVDダイヤモンド特有の表面形態が観察された。また試料No. 5の導電性ダイヤモンド膜をラマン分光分析したところ、図6に示すように、導電性ダイヤモンド特有のスペクトルが観察された。
また、網状基材に被覆された導電性ダイヤモンド膜の導電性は、網状基材の影響を受けるために直接測定することができないが、導電性ダイヤモンド膜中のホウ素原子密度を測定することにより、絶縁性基材(例えば石英)に成膜した、同量のホウ素を含むダイヤモンド膜の電気抵抗から導電性を評価することができる。試料No. 5の導電性ダイヤモンド膜のホウ素原子密度を二次イオン質量分析で測定すると8×1020〜2×1021cm-3であり、絶縁性基材に成膜したホウ素原子密度が同程度の導電性ダイヤモンド膜の電気抵抗が10-3Ωcm程度であるこから、この程度の導電性を有することが確認された。
次に、導電性ダイヤモンド被覆電極の各試料を陽極電極として用い、図4に示すオゾン水生成装置を用いてオゾン水生成試験を行った。陰極電極は陽極電極と厚さ、開口サイズが同等の白金網状電極を用いた。プロトン透過膜はデュポン社製の「ナフィオン」(商品名)を用いた。通水量は約2Liter/min、電解時の電流密度を約2.0A/cm2 とした。なお、外枠を用いずに成膜した比較例の試料No. 13)は、被覆率が非常に低いためオゾン水生成試験は実施しなかった。
この試験によって、100hr運転後の導電性ダイヤモンド被覆網状電極のダイヤモンド膜の剥離率を求めた。剥離率は、100hr運転後の被覆率をC2%、当初の被覆率をC1%とするとき、下記式から求めた。
剥離率=(C1−C2)/C1×100(%)
また、100hr運転後のオゾン水の含有量を測定し、オゾン水生成性能を評価した。所定時間運転後のオゾン水中のオゾン量が2ppm以上の場合を「良」、1ppm以上、2ppm未満の場合を「可」と判断した。これらの測定結果を表1にまとめて示す。
表1より、発明例の導電性ダイヤモンド被覆電極の内でも網状基材の線径(円相当直径)が50〜500μm 、導電性ダイヤモンド膜の被覆率が50〜100%、平均膜厚が800nm以下の網状電極は、特に電極としての耐久性に優れていた。
さらに、前記オゾン水生成装置の陽極電極として発明例に係る試料No. 4及びNo. 5の導電性ダイヤモンド被覆電極を用いて、1.5〜2Liter/minの流速で通水しながら電解し、電解時に通電する電流を0.05〜3.0A/cm2 の範囲で段階的に定電流制御し、通電に必要な電圧を見ながら、得られたオゾン水のオゾン濃度を測定した。図7はその結果であり、印加電圧と電流およびオゾン濃度との関係を示す。図中、「試料A」は表1中の試料No. 4であり、「試料B」は試料No. 5である。
図7より、電流密度に応じて必要な印加電圧が6〜21Vの範囲で増減し、電流密度に応じて0.2〜24ppmのオゾン濃度でオゾン水が得られた。特に、従来、白金電極では得られ難いとされていた低電流密度領域(0.05〜0.3A/cm2 )でもオゾン水が生成することが確認された。
実施形態に係る導電性ダイヤモンド被覆網状電極の製造方法を実施するために用いたプラズマCVD装置の断面説明図である。 実施形態に係る製造方法で用いた載置台および外枠の平面図である。 載置台の他例を示す斜視図である。 実施形態に係るオゾン水生成装置の断面説明図である。 実施例に係る導電性ダイヤモンド膜の表面の電子顕微鏡写真である。 実施例に係る導電性ダイヤモンド膜のラマンスペクトルである。 実施例に係るオゾン水生成における電極間の印加電圧と電流およびオゾン濃度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 網状基材
2 載置台
3 外枠
21 真空容器

Claims (6)

  1. 融点が1300K以上の高融点金属で形成された網状基材に導電性ダイヤモンド膜をプラズマCVD法により被覆する導電性ダイヤモンド被覆網状電極の製造方法であって、
    真空容器内に前記網状基材を載置した載置台を設け、前記載置台に載置された網状基材の外周を取り囲むように前記網状基材を形成する高融点金属の融点と同等以上の融点を有する高融点金属で形成された外枠を前記載置台の外周部に設け、前記真空容器内に炭素源を含む原料ガスを供給し、前記載置台および外枠を包み込むようにプラズマを形成して前記網状基材に導電性ダイヤモンド膜を被覆する工程を備え、前記載置台は網状電極を載置する載置面が凹凸状に形成され、前記外枠はその上端面の外周部に丸味のある面取りが施された、導電性ダイヤモンド被覆網状電極の製造方法。
  2. 前記網状基材はTiあるいはMoで形成された、請求項1に記載した製造方法。
  3. 前記外枠は載置台の外周部に隙間を介して設けられた、請求項1又は2項に記載した製造方法。
  4. 融点が1300K以上の高融点金属で形成された網状基材に導電性ダイヤモンド膜が被覆された導電性ダイヤモンド被覆網状電極であって、
    請求項1からのいずれか1項に記載された製造方法によって製造された、導電性ダイヤモンド被覆網状電極。
  5. 前記網状基材の線材部の円相当直径が50〜500μm であり、前記導電性ダイヤモンド膜の網状基材の表裏面における被覆率が50〜100%であり、前記導電性ダイヤモンド膜が被覆された網状基材の線材部における導電性ダイヤモンド膜の平均膜厚が800nm以下である、請求項に記載した導電性ダイヤモンド被覆網状電極。
  6. 陽極電極と陰極電極とがプロトン透過膜を挟んで配置され、水を電気分解してオゾンを生成させると共に当該オゾンが水に溶解したオゾン水を製造するオゾン水生成装置であって、
    少なくとも前記陽極電極として請求項又はに記載された導電性ダイヤモンド被覆網状電極を用いた、オゾン水生成装置。
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