JP2007154262A - 複合基板及びその製造方法、並びに電極及び電解装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板とダイヤモンド層との密着性を高め、ダイヤモンド層の剥離、基板の浸食を防ぎ、基板の大型化やダイヤモンド厚みの増加を容易にし、ダイヤモンド被覆電極として背面側からの給電を可能にし、電力効率の向上を目的とする。
【解決手段】本発明は、多孔質の絶縁体基板上に導電性ダイヤモンド層を形成した構造の複合基板であって、前記導電性ダイヤモンド層が前記多孔質絶縁体基板の片側表面の空孔を塞いでいて、前記多孔質絶縁体基板の他方側から金属を含浸させることによって、前記導電性ダイヤモンド層を形成した側の表面と反対側の表面が電気的に導通することを特徴とする複合基板である。
【選択図】図2

Description

本発明は、分解等の性能が良く、耐久性が高く、電気抵抗が低くて給電が容易であり、大型化においても問題が生じない電気化学反応に用いる複合基板及びそれを製造する方法、並びにそれを用いた電極及び電解装置に関する。
ダイヤモンドは高い硬度や熱伝導率、優れた耐食性や光学透過率などの特徴的な性質を有しており、工具、耐食、ヒートシンク、光学用途等の分野において利用されている。また、広いバンドギャップを有しており、不純物を添加することによって電気伝導性を制御できることから、次世代のデバイス用途等の半導体材料としても盛んに研究がなされている。電気化学の分野においても、Bドープ導電性ダイヤモンド電極を用いた、廃水処理、電解合成、センサーなどの研究が盛んに行われている。
これらの用途の電極には、一般には金属製の電極が用いられるが、基板上に導電性ダイヤモンド膜をコーティングしたダイヤモンド電極は、優れた耐久性、高い分解・合成能力、センサーとしての高い感度等を有しており、これらの性能を活かした高性能電極の開発が期待されている。
Frydaらは、非特許文献1において、CVDダイヤモンド膜を被覆した様々な大きさ、形状の電極を作製し、種々の廃液の電解処理に効果があることを示しており、このようなダイヤモンド電極の優れた性能の要因として、ダイヤモンド電極が他材料電極と比較して耐食性が高いこと、電位窓が広いことを紹介している。また藤嶋らは、非特許文献2において、ダイヤモンド電極を用いれば、溶液中で様々な物質を高感度検出できることを示している。
前述のようにダイヤモンドは通常絶縁体であるが、B等の不純物を添加することによって導電性を有するものとなり、気相合成法により大面積の薄膜ダイヤモンドの形成が可能である。ダイヤモンドを被覆する基板は、合成条件からある程度材質が限定されるが、電極として用いられるものの基板としては、低抵抗のSiやNb等の金属が良く用いられている。
ダイヤモンドを被覆する基板に用いる材料としては、ステンレス等のより一般的で安価な材料や、Ti等の電極としてより好ましい材質のものを用いることができれば理想的であるが、ダイヤモンド膜を合成するときの環境、すなわち1000℃に近い温度に耐えることや、このような高温状態から室温まで冷却した時のダイヤモンドと基板との熱膨張係数の差による熱応力、成膜中の主なガス成分である水素雰囲気に耐えること、成膜中に炭素が基板の中に拡散していかないこと、電極材料としては基板が低抵抗の導電体であることが好ましいこと、などの理由によって基板材料がかなり限定されてしまう。(Tiを基板として用いた例も報告されているが、実際には成膜時に高温の水素雰囲気中にTi基板がさらされることによる水素脆化によってTi基板表面に良好なダイヤモンド層を形成することができない。また、Tiとダイヤモンドの間に中間層を挿入することで仮にダイヤモンド層を形成することができても、密着性、電気伝導性、電解耐久性の点でまだまだ問題が多いものとなっているのが実状である。)
Siはダイヤモンドの基板として最も広く用いられるものである。電極の基板としては、金属基板に比べると電気抵抗が大きいこと、脆性材料であるので使用中に割れてしまう危険性がある。また、フッ酸等の腐食性溶液の分解等に用いる場合、ダイヤモンド膜にピンホールがあると溶液が基板に接触して基板が浸食されてしまう、という問題がある。
金属をダイヤモンド被覆の基板として用いる場合、先に述べた高温や水素ガス、炭素の拡散に耐える材料であることが必要であることから、一部の高融点金属に限られる。良く用いられるのはMo、Wがある。しかし、これらの材料はダイヤモンドにピンホールがある場合、電解によって基板が腐食されてしまう。基板がNbの場合、弁金属であるので基板は腐食されない。しかし、Nbは先の2種の金属に比べると熱膨張係数が大きく、ダイヤモンド膜を被覆した際に大きな熱応力が発生し、成膜直後や使用中にダイヤモンド膜の剥離、割れが発生することが多い。基板のサイズが大きい場合はなおさらこの傾向が強くなる。このため、実用化に問題がある。
また、基板を多孔質にすることによって密着性が高まる。しかし、前記のSiの腐食の問題はなお残る。大きな剥離を防ぐことはできたとしてもSiの溶出を防ぐことはできない。金属基板の場合も、剥離を防止する効果は上がるが、大きな応力を防ぐことはできないため、基板のサイズが大きくなり、ダイヤモンドの膜厚が厚くなるような場合は基板の破断などを生じる問題がある。
基板を絶縁体セラミックとすることによってこれらの問題、すなわち電解腐食や熱応力の問題を解決することができる。基板を絶縁体とすることによって電気化学的に腐食されない。また、セラミックとすることによって、ダイヤモンドに近い膨張係数の基板を選ぶことができ、そのことによって応力を低減することが可能となる。
しかし、基板を絶縁体とすることによってダイヤモンド膜への電気的な導通をとることが難しくなる。多くの電気化学セルに用いられるように、電極が液と作用する側と反対の面から電気的接触をとることができなくなる。仮に、絶縁基板のダイヤモンド被覆面の反対側にも導電層を形成し、絶縁基板の側面を通じて導通をとることはできるが、基板全体が導電体である場合のように電流が基板の中を面として流れず、導電層、ダイヤモンド層の表面のみを通るため、大電流を通すような目的の場合は、抵抗が高くなってしまい、電力効率が悪くなってしまう。
このように従来の方法では、電極の基板が腐食する、ダイヤモンド膜が基板から剥離する、ダイヤモンド膜と基板との間の応力が大きすぎる、電極としての電気抵抗が大きすぎ電力効率が悪い、などの問題があった。
New Diamond and Frontier Carbon Technology 9−3(1999)P229 化学工業,3, (2002),P186
本発明の目的は、基板とダイヤモンド層との密着性を高め、ダイヤモンド層が基板から剥離することを防ぎ、また腐食性溶液がダイヤモンド層に浸入して基板を浸食することを防ぎ、ダイヤモンド層と基板との応力を低減することによって基板の大型化やダイヤモンドの厚みの増加を容易にし、ダイヤモンド被覆面と反対側の面との電気的な抵抗を十分小さくすることでダイヤモンド被覆電極として背面側からの給電を可能にし、電力効率の向上を目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、多孔質絶縁体基板の空孔を導電性物質で埋めることによって前記多孔質絶縁体基板が実質的に導電体となることを見出し本発明を創作するに至った。すなわち本発明は以下の構成を採用する。
(1)多孔質絶縁体基板上に導電性ダイヤモンド層が形成された構造の複合基板であって、前記導電性ダイヤモンド層によって前記多孔質絶縁体基板の片側表面の空孔が塞がれており、前記多孔質絶縁体基板に導電性物質が含浸させることによって、前記導電性ダイヤモンド層が形成されている側の表面と反対側の表面とが電気的に導通することを特徴とする複合基板である。
(2)前記導電性ダイヤモンド層がCVD法によって作製された多結晶導電性ダイヤモンド層であることを特徴とする上記(1)に記載の複合基板である。
(3)前記導電性ダイヤモンド層が、B、P、Nの中から少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の複合基板である。
(4)前記導電性物質が、Cu、Au、Ag、Zn、Co、Mn、Pt、Ti、Al、Niの中から少なくとも1種以上を含むものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一に記載の複合基板である。
(5)前記多項質絶縁体基板上に前記導電性ダイヤモンド層が形成されることによって、前記多孔質絶縁体基板の片側から他方側の面への液体の通過を遮断するものであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の複合基板である。該ダイヤモンド層は、層に亀裂や穴などがなくて、多孔質絶縁体基板の片側から層の裏側に液体が通り抜けることができない連続した層になっている。
(6)前記多孔質絶縁体基板がSiC、Si34、SiO2、Al23、AlN、TiO2、MgO、Y23、CaOの中から少なくとも1種以上を含む組成のものであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか一に記載の複合基板である。
(7)前記多孔質絶縁体基板の空孔径が0.5μm以上50μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか一に記載の複合基板である。
(8)前記導電性ダイヤモンド層の層厚が1μm以上100μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか一に記載の複合基板である。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか一に記載の複合基板が液体を電気化学的に分解、生成、改質するための電気化学電極の陽極又は/及び陰極として用いられたことを特徴とする電極である。
(10)前記(9)に記載の電極が用いられたことを特徴とする電解装置である。
(11)多孔質絶縁体基板上に導電性ダイヤモンド層を形成し該導電性ダイヤモンド層が前記多孔質絶縁体基板の片側表面の空孔を塞ぐようにした後、前記多孔質絶縁体基板の表面であって前記導電性ダイヤモンド層が形成されていない面に導電性物質を配置した後、熱により導電性物質を溶融させて前記多孔質絶縁体基板の空孔中に導電性物質を含浸させることによって、前記導電性ダイヤモンド層が形成された側の表面と反対側の表面とが電気的に導通することを特徴とする複合基板の製造方法である。
(12)前記導電性ダイヤモンド層をCVD法によって作製することを特徴とする(11)に記載の複合基板の製造方法である。
(13)前記導電性ダイヤモンド層がB、P、Nの中から少なくとも1種以上を含有して作製されることを特徴とする(11)又は(12)に記載の複合基板の製造方法である。
(14)前記導電性物質がCu、Au、Ag、Zn、Co、Mn、Pt、Ti、Al、Niの中から少なくとも1種以上を含むものであることを特徴とする(11)〜(13)のいずれか一に記載の複合基板の製造方法である。
(15)前記多孔質絶縁体上に前記導電性ダイヤモンド層が形成されることによって、前記多孔質絶縁体基板の片側から他方側の面への液体の通過を遮断するものであることを特徴とする(11)〜(14)のいずれか一に記載の複合基板の製造方法である。
(16)前記多孔質絶縁体基板がSiC、Si34、SiO2、Al23、AlN、TiO2、MgO、Y23、CaOの中から少なくとも1種以上を含む組成のものであることを特徴とする(11)〜(15)のいずれか一に記載の複合基板の製造方法である。
(17)前記多孔質絶縁体基板の空孔径が0.5μm以上50μm以下であることを特徴とする(11)〜(16)のいずれか一に記載の複合基板の製造方法である。
(18)前記導電性ダイヤモンド層の層厚が1μm以上100μm以下であることを特徴とする(11)〜(17)のいずれか一に記載の複合基板の製造方法である。
本発明により、基板とダイヤモンド層との密着性を高め、ダイヤモンド層の基板からの剥離を防止する効果を奏する。更に、腐食性溶液がダイヤモンド層に浸入して基板を浸食することを防ぎ、ダイヤモンド層と基板との応力を低減することによって基板の大型化やダイヤモンドの厚みの増加が容易になる。また、ダイヤモンド被覆面と反対側の面との電気的な抵抗を十分小さくできるため、ダイヤモンド被覆電極として背面側からの給電が可能であり、かつ、電力効率を向上させるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る複合基板の作製方法の一例を示した断面図である。図1(a)は、多孔質絶縁体基板1を示し、図1(b)は、多孔質絶縁体基板1上に導電性ダイヤモンド層2が形成された状態を示し、図1(c)は、多孔質絶縁体基板に導電性物質3が含浸された状態を示す断面図である。また図2は、本発明に係るダイヤモンド被覆基板を作製する際に、導電性物質を多孔質絶縁体基板1の空孔に含浸させる工程の一例を示した概念図である。以下、本発明に係る複合基板の構成及び製造工程を説明する。
<基板:セラミック、多孔質>
図1に示す多孔質絶縁体基板1としては、セラミックスの多孔体を利用することが有効である。セラミックスの材質、組成としては特に限定されるものではないが、SiC、Si34、SiO2、Al23、AlN、TiO2、MgO、Y23、CaOの中から少なくとも1種以上を含むものであることが好ましい。
多孔体の空孔のサイズは大きすぎても小さすぎても良くない。大きすぎると基板の強度が低下し、ダイヤモンド層を被覆した際に基板が破断してしまう。小さすぎると、基板のダイヤモンド被覆面の裏側から金属等の導電性物質を含浸させる際に金属の浸透が悪くなり、ダイヤモンド層と金属との電気的な導通がとれなくなってしまうため好ましくない。
このため、多孔体の気孔径は0.5μm以上50μm以下であることが好ましい。
<前処理>
基板1に導電性ダイヤモンド層2を被覆する前に、あらかじめ基板1に種付け処理を施す。種付け処理の方法は特に限定されるものではなく、一般によく知られている方法を採用すれば良い。例えば、ダイヤモンド粉末を用い、適当な方法でスクラッチするか、ダイヤモンド粉末を入れた溶液に基板1を入れ、超音波振動を加えてやるか、成膜中にバイアスを印加する等の方法が良く知られているいわゆる核発生処理の方法等が挙げられる。
<成膜>
次に基板1上に導電性ダイヤモンド層2を形成する。導電性ダイヤモンド層2を形成する方法は気相合成法で直接導電性ダイヤモンド層2を基板1上に形成しても良いし、導電性のダイヤモンド粉末を適当な方法で基板1上に形成しても良い。
気相合成法の手法は、特に限定されるものではないが、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCVD法であることが好ましい。
導電性のダイヤモンド粉末は高温高圧法で作製したものであっても良いし、気相合成法で作製したものであっても良い。気相合成法では膜として形成されるが、これをすりつぶした粉末であっても良い。この粉末を基板上に形成する方法としては、導電性の接着剤を用いても良いし、メッキを用いても良い。また、導電性ダイヤモンド膜を薄く堆積することで前記粉末を基板1に固定させても良い。
気相合成法が熱フィラメントCVD法である場合、真空容器内に基板を配置し、その近傍にフィラメントを配置させる。フィラメントの材質は特に限定されないが、W,Ta等が好ましい。容器を真空排気した後、水素と炭素源ガスを導入させる。炭素源は特に限定されないが、メタンガスが広く用いられている。水素に対するメタンの比率は0.5〜5%であることが好ましい。フィラメントの温度は2000〜2200℃であることが好ましく、基板温度は700〜1000℃であることが好ましい。ガスの圧力は1.3kPa〜20kPaであることが好ましい。
気相合成法でダイヤモンド層に導電性をもたせるためには合成中に不純物を添加させる必要がある。添加させる不純物はB、P、Nの中から少なくとも1つ以上を含むものであることが好ましい。B源としては硼酸、B(OCH33、B(CH33、B26等を用いることが好ましい。P源としては、P(CH33、PH4を用いれば良い。また、NはN2であっても良い。
<成膜後の様子>
ダイヤモンドを成膜した後は、基板表面がダイヤモンドで覆われており、開気孔の多孔体セラミックの裏表がダイヤモンドの層で遮断される格好となっている。この状態では、裏面から水を供給した場合、反対側の面、すなわちダイヤモンド被覆面へは水が到達できない状態となる。ダイヤモンド層を被覆する前は水が通過できる状態であった。
<導電性物質の含浸>
ダイヤモンド層を形成した多孔質セラミック基板のダイヤモンドを被覆していない方の面(以降、「裏面」と記す)から金属等の導電性物質を含浸させる。含浸させる導電性物質としては、特に限定されないが、良好に機能を果たすものとしては、Cu、Au、Ag、Zn、Co、Mn、Pt、Ti、Al、Niの中から少なくとも1つ以上を含む金属であることが好ましい。図2は、多孔質セラミック基板1中の空孔に金属を含浸させる方法の一例を示している。
金属を含浸させる方法は、特に限定されないが、例えば、真空排気が可能な炉4の中にダイヤモンド2を被覆した多孔質セラミック1の裏面を上に向けて設置し、この上に含浸させたい金属を置き、真空に排気した後、前記金属の融点以上に全体を加熱してやることで金属を多孔質セラミック基板1中に含浸させることができる。金属に圧力を加える方法を併用しても良い。すなわち、例えば簡単な方法としては、金属の上に重りを置く等の方法によってより確実に金属を含浸させることが可能となる。炉4内を真空に排気せずに雰囲気をAr等の安定なガスに置換しても良い。雰囲気中の反応性の強いガス、特に酸素を排除してやれば良い。
多孔質セラミック1中に金属が含浸し、底の部分に相当する導電性ダイヤモンド膜2の成長初期層に達した際、金属とダイヤモンドとのぬれ性が良い方が、より確実に金属と導電性ダイヤモンド層との電気的な導通を取ることができる。ぬれ性を向上させる方法としては、例えば、Cuを主成分として含浸させる際、このCuの中に少量のTiを混合させてやる、というような方法がある。
以上のような手法によって多孔質セラミック基板中に金属を含浸させると、金属と導電性ダイヤモンド層とが接触し、電気的な導通が取れるため、複合基板としては、裏面と表面とにおいて電気的な導通をとることができる。すなわち、表面のダイヤモンドに電気を流したいときに裏面から給電できることになる。
<複合基板作成後の評価>
ダイヤモンド層の膜厚は、1.0〜100μmであることが望ましい。膜厚が薄すぎると多孔質セラミック基板表面の空孔がダイヤモンドで埋まらず、裏面から含浸させた金属がダイヤモンドの被覆面から漏れてくるため好ましくない。また厚すぎると、ダイヤモンド膜の応力が増大し、セラミック基板に割れが発生してしまうため好ましくない。
得られた複合基板にダイヤモンド被覆層の膜厚は、断面をSEMによって観察すること等により知ることができる。また、断面を観察することにより、含浸させた金属とセラミック多孔質体基板、ダイヤモンド膜の位置関係を確認することができる。含浸させた金属は完全にダイヤモンド層と密着していなくても良い。ある程度以上多くの点で電気的に接触していれば良い。
<電極としての性能>
得られたダイヤモンド/多孔質セラミック基板/含浸金属複合基板は電気分解用電極として、腐食性の強い溶液や非常に厳しい電解条件に耐える耐久性の高い電極として機能する。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、王水、フッ酸などの強酸の電気分解、電気合成、電気改質等に用いることができる。特に、電極の金属成分の溶出を嫌うような用途に適している。このような強酸に対して、電気化学的に有効な処理を施したくても、電極成分が溶出してしまうためにこれまでは不可能であった処理であっても、本発明の電極を用いれば可能となる。もちろん、ダイヤモンド電極であれば、これらの電極としての機能を満たすことはできるはずであるが、実用的なダイヤモンド電極を得ることは実際には難しく、実用性を得るためには本発明のような工夫が必要である。
<電解装置>
図3は、本発明に係る電解装置の一例の側面を示す概略図である。
図3に示すように本発明に係る電解装置は、プレス板による装置外板8の内面に接合した絶縁板7上に給電板6を形成し、かかる給電板6上に電極5が形成されている。かかる電極5は、多孔質絶縁体基板1上に導電性ダイヤモンド層2が形成され、前記多孔質絶縁体基板1に導電性物質3が含浸されることによって、前記導電性ダイヤモンド層2が形成されている側の表面と給電板6と接する側の表面とが電気的に導通している。本発明に係る複合基板を両極に用いても良いし、片側(陰極)をステンレス基板としてもよい。
本発明に係る電解装置は、さらにガスケット9を介してスペーサー兼通水路10及び隔膜11が設けられていて、流水が図中下部から上部に向かって流れるように設置される。また、隔膜はフッ素系高分子膜等のイオン交換膜よりなるため選択透過性を有し、更にイオン交換膜内に固定されているイオンの放出効果により電解に伴うpH変化を抑制し電流効率の低下を抑えることができる。
実施例1
(基板)
ダイヤモンド膜を成膜する基板として50mm角、厚さ1mmのSiC、Si、Nbの平板(サンプル15〜17;比較例)およびSiC,Al23、Si34、SiO2、AlN、TiO2、MgO、Y23、CaOを1つ以上含む多孔質の基板(サンプル1〜14)を用いた。それぞれの多孔質体の空孔径は0.3〜60μmである。
(ダイヤモンド合成)
これらの基板上にダイヤモンド膜を成膜した。成膜の手法として熱フィラメントCVD法を用いた。フィラメントの材質はWである。ガスとしてH2とCH4を用い、ドープ材料としてはBを用いた。Bのドープ源としてはB(OCH33を用いた。これらのガスをH2に対するCH4の混合比としては0.5〜5%とし、CH4に対するB(OCH33の混合比としては0.1〜1%として装置内に導入した。装置内は予め真空排気しておき、前記ガスを導入しながら排気量を調節して装置内の圧力は10〜100Torrとした。フィラメントと基板との距離は2〜20mmとした。基板を温度は600〜1000℃の範囲内で調節した。
この条件にてダイヤモンドを成長させた。その結果、基板上に厚さ0.8〜105μmのダイヤモンドの膜が成長した。
(金属含浸)
ダイヤモンドを成長させた多孔質セラミック基板に対して、ダイヤモンドを堆積させた反対側の面から、Cu、Au、Ag、Zn、Co、Mn、Pt、Ti、Al、Niを1つ以上含む金属を含浸させた。
(金属含浸の材料、方法)
真空炉内にダイヤモンドを成長させた多孔質セラミック基板を多孔質セラミック基板面を上にして設置し、炉内を真空排気した。多孔質セラミック基板面の上に含浸させる金属の板を置き、それぞれの融点まで炉内の温度を上げた後、冷却し、基板を取り出した。取り出した基板の裏面と表面をテスターで測定したところ、十分低い抵抗であり、金属導通があることが確認された。
(電解試験)
電極としての基礎的な性能を確認するため、電解試験を行った。
溶液として硫酸ナトリウム溶液を用い、陽極としてこの複合基板を用い、陰極にはステンレス基板を用いた。双方の電極サイズは50×50mmφ、陽極の厚みは1mm+ダイヤモンド膜厚、陰極の厚みは1mmである。これを中心が1室の電解セルにセットし、裏面よりステンレスの板を押し当て、この当て板に電流給電用の端子を付け、電流を供給した。電流密度は1A/cm2とし、電解試験を10時間行った。その後、セルを分解し、各電極の様子を調べた。
Si基板(サンプル15)のものは電解を行った後、ダイヤモンド膜の一部に剥離が見られた。
Si34基板(サンプル16)のものは、基板が絶縁体であるため背面から給電ができないため、電流給電しにくく表面であるダイヤモンド膜へ直接給電したものの、比較的抵抗が大きいため、電解中の電力が大きくなってしまい、効率が悪かった。
Nb基板(サンプル17)を用いたものは、電解の後、ダイヤモンド膜の一部に割れ、剥離が発生した。元々目視で確認できるくらい基板が反っており、これを電解セルに固定する際にダイヤモンド膜への応力がさらに大きくなり、電解時に割れが生じたものと考えられる。
一方、多孔質セラミック基板のものは、多くのものが良好に使用することができ、電解前後による基板の外観等に変化はなかった。これは、基板が多孔質でダイヤモンド膜との密着性が大きく、金属の含浸によって電気抵抗が小さく、背面給電が可能であり、熱膨張係数が小さく熱応力が小さいため反りが小さいためであると考えられる。特に、複合基板の表面と裏面の間での電気抵抗が10Ω以下のものは十分に導通するため、背面給電の効率がよくなり、好ましい。
空孔径が0.3μmであるサンプル13は、基板の表裏の抵抗が小さくならず、背面給電ができなかった。これは、空孔が小さすぎて、金属が含浸されなかったためであると考えられる。空孔径が60μmであるサンプル9は、ダイヤモンド膜が空孔の隙間を埋めることができず、含浸した金属がダイヤモンド膜側に露出していた。
ダイヤモンド膜厚が0.8μmであるサンプル14は、ダイヤモンド膜が空孔の隙間を埋めることができず、含浸した金属がダイヤモンド膜側に露出していた。ダイヤモンド膜厚が105μmであるサンプル10は、ダイヤモンド膜と基板の間の応力によって基板の一部に亀裂が入っていた。
上記の結果を表1にまとめた。
本発明に係るダイヤモンド被覆基板の作製方法の一例を示す断面図である。図1(a)は、多孔質絶縁体基板を示し、図1(b)は、多孔質絶縁体基板上に導電性ダイヤモンド層が形成された状態を示し、図1(c)は、多孔質絶縁体基板に導電性物質が含浸された状態を示す断面図である。 本発明に係るダイヤモンド被覆基板の作製する際に導電性物質を多孔質絶縁体基板の空孔に含浸させる工程を示す概念図である。 本発明に係る電解装置の一例の側面を示す概念図である。
符号の説明
1 多孔質絶縁体基板
2 導電性ダイヤモンド層
3 導電性物質
5 電極
4 炉
6 給電板
7 絶縁板
8 装置外板
9 ガスケット
10 スペーサー兼通水路
11 隔膜

Claims (11)

  1. 多孔質絶縁体基板上に導電性ダイヤモンド層が形成された構造の複合基板であって、前記導電性ダイヤモンド層によって前記多孔質絶縁体基板の片側表面の空孔が塞がれており、前記多孔質絶縁体基板に導電性物質が含浸されることによって、前記導電性ダイヤモンド層が形成されている側の表面と反対側の表面とが電気的に導通していることを特徴とする複合基板。
  2. 前記導電性ダイヤモンド層が、CVD法によって作製された多結晶導電性ダイヤモンド層であることを特徴とする請求項1に記載の複合基板。
  3. 前記導電性ダイヤモンド層が、B、P、Nの中から少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の複合基板。
  4. 前記導電性物質が、Cu、Au、Ag、Zn、Co、Mn、Pt、Ti、Al、Niの中から少なくとも1種以上を含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の複合基板。
  5. 前記多孔質絶縁体基板上に前記導電性ダイヤモンド層が形成されることによって、前記多孔質絶縁体基板の片側から他方側の面への液体の通過を遮断するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の複合基板。
  6. 前記多孔質絶縁体基板が、SiC、Si34、SiO2、Al23、AlN、TiO2、MgO、Y23、CaOの中から少なくとも1種以上を含む組成のものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の複合基板。
  7. 前記多孔質絶縁体基板の空孔径が、0.5μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の複合基板。
  8. 前記導電性ダイヤモンド層の層厚が1μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一に記載の複合基板。
  9. 請求項1〜8のいずれか一に記載の複合基板が、液体を電気化学的に分解、生成、改質するための電気化学電極の陽極又は/及び陰極として用いられたことを特徴とする電極。
  10. 請求項9に記載の電極が用いられたことを特徴とする電解装置。
  11. 多孔質絶縁体基板上に導電性ダイヤモンド層を被覆し該導電性ダイヤモンド層が前記多孔質絶縁体基板の片側表面の空孔を塞ぐようにした後、前記多孔質絶縁体基板の表面であって前記導電性ダイヤモンド層が被覆されていない面に導電性物質を配置した後、熱により導電性物質を溶融させて前記多孔質絶縁体基板の空孔中に導電性物質を含浸させることによって、前記導電性ダイヤモンド層が被覆された側の表面と反対側の表面とが電気的に導通することを特徴とする複合基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009267419A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Qinghua Univ 熱界面材料の製造方法
CN101875007B (zh) * 2009-04-30 2011-12-07 中国科学院化学研究所 二氧化钛和掺硼金刚石复合光电协同电极的制备方法
JP7348422B1 (ja) * 2023-03-23 2023-09-20 住友化学株式会社 ダイヤモンド電極、およびダイヤモンド電極の製造方法

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