JP4969091B2 - 炭化水素系燃料の脱硫方法 - Google Patents
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Description
したがって、メタノールを含む使用条件においても性能が低下しない脱硫剤の開発が求められていた。またメタノールを含み、さらに1massppm以上の水が混入している炭化水素系燃料を用いる場合にも、性能が低下しない脱硫剤の開発が求められていた。
さらに、メタノールが含まれる炭化水素系燃料に金属担持ゼオライトを適用した場合、特に100℃前後を超える高温において金属が還元を受けるなどのため変質し脱硫活性が低下する現象が見られ、燃料電池システムの運転条件および設置条件上の制約となることを本発明者らは見出した。そこで、高温条件でも変質せず長寿命を与える脱硫剤および脱硫方法が求められていた。
また本発明は、反応温度が100℃以下であることを特徴とする前記記載の炭化水素系燃料の脱硫方法に関する。
また本発明は、炭化水素系燃料中のメタノールの濃度が1massppm以上であることを特徴とする前記記載の炭化水素系燃料の脱硫方法に関する。
また本発明は、炭化水素系燃料が1massppm以上の水を含有していることを特徴とする前記記載の炭化水素系燃料の脱硫方法に関する。
また本発明は、炭化水素系燃料がLPガスであることを特徴とする前記記載の炭化水素系燃料の脱硫方法に関する。
また本発明は、ゼオライト系脱硫剤が、銀および銅をイオン交換担持することで得られたことを特徴とする前記記載の炭化水素系燃料の脱硫方法に関する。
さらに本発明は、前記記載の炭化水素系燃料の脱硫方法を用いたことを特徴とする燃料電池システムに関する。
本発明において原燃料として用いることができる炭化水素系燃料としては、天然ガス、LPガス、ナフサ、ガソリン、灯油などを例示することができる。これらの中でも天然ガスもしくはLPガスのような常温・常圧で気体である燃料が好ましく、さらに好ましくはLPガスである。本発明では、この炭化水素系燃料中に0.1mass%以上の硫黄分を含むもの、好ましくは0.5mass%以上の硫黄分を含むものが使用される。硫黄化合物は炭化水素系燃料の製造時から混入しているものと着臭剤として人為的に混入されているものがあるが、本発明によれば、両者とも有効に除去可能である。
フォージャサイト型ゼオライトとしては、特定のSiO2/Al2O3比(モル比)のものが用いられる。すなわち、SiO2/Al2O3比が2〜10、好ましくは2〜7の範囲のものが用いられる。SiO2/Al2O3比が2より小さい場合、および10より大きい場合には、本発明の使用条件においては十分な脱硫剤寿命を持たず、十分な脱硫性能が得られない。
これら水溶液の濃度は、銀の濃度については金属銀換算で、通常0.1〜10mass%、好ましくは0.5〜5mass%の範囲であり、銅の濃度については金属銅換算で、通常0.01〜10mass%、好ましくは0.05〜5mass%の範囲である。
使用圧力は、通常、常圧〜1MPa(ゲージ圧、以下同じ。)、好ましくは常圧〜0.5MPa、さらに好ましくは常圧〜0.2MPaの範囲で選択されるが、大気圧条件下で最も好ましく実施できる。
改質部は、水蒸気改質反応あるいは自己熱改質反応のいずれの形態も取り得る。改質部において用いられる改質触媒としては特に制限はなく、従来から炭化水素系燃料の改質触媒として知られている公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような改質触媒としては、例えば適当な担体にニッケルあるいは、ルテニウム、ロジウム、白金などの貴金属を担持したものを用いることができる。上記担持金属は一種でもよく、二種以上を組み合わせても良い。
いずれの場合も、改質反応の圧力は、特に限定されないが、好ましくは大気圧〜2MPa、より好ましくは大気圧〜0.5MPa、さらに好ましくは大気圧〜0.2MPaの範囲で実施される。
固体高分子形燃料電池はアノード(燃料極)およびカソード(空気極)とこれらの電極に挟まれる固体高分子電解質からなり、アノード側には上記改質装置で得られた水素を含有する改質ガスがシフト反応器および選択酸化反応器を経て一酸化炭素濃度が低減された後に供給され、カソード側には空気等の酸素含有ガスが供給される。アノード側、カソード側とも、供給されるガスは必要であればそれぞれ適当な加湿処理を行った後導入される。
硝酸銀20gおよび硝酸銅4gを秤量し、蒸留水600mlを添加して硝酸銀と硝酸銅の混合水溶液を調製した。次に、攪拌しながらSiO2/Al2O3(モル比、以下同じ。)=2.5のNaX型ゼオライト粉末50gと混合し、イオン交換を行った。その後、硝酸根が残らないように蒸留水にて洗浄した。洗浄後、空気気流中、180℃で一晩乾燥した。乾燥後の粉末状銀および銅交換ゼオライト30gに対し、アルミナバインダーを5g混合し、1mmφにて押出成型し、脱硫剤とした。
同様に、NaX型ゼオライト粉末の代わりにNaY型ゼオライト(SiO2/Al2O3=5.5)粉末、あるいはUSY型ゼオライト(SiO2/Al2O3=9)粉末を用い、また硝酸銀、硝酸銅、蒸留水、ゼオライトなど使用する原料の量を種々変化させて脱硫剤の調製を行った。調製した脱硫剤とイオン交換に用いた試薬量を表1にまとめた。銀および銅の担持率は元素分析により求めた。
NaX型ゼオライト(SiO2/Al2O3=2.5)の粉末5kgに対し、アルミナバインダーを1kg混合し、1mmφにて押出成型し押出成型品を作成した。同様に、NaY型ゼオライト(SiO2/Al2O3=5.5)粉末、USY型ゼオライト(SiO2/Al2O3=10)粉末を用いて押出成型品を作成した。
この押出成型品30gを取り、所定量の硝酸銀および硝酸銅3水和物を蒸留水300mlに溶解させた水溶液と攪拌しながら混合し、イオン交換を行った。その後、硝酸根が残らないように蒸留水にて洗浄した。洗浄後、空気中、180℃で一晩乾燥した。
調製した脱硫剤とその調製に使用した原料の量を表2に示す。銀および銅の担持率は元素分析により求めた。
調製した脱硫剤6mlを流通式反応管に充填し、メタノールを1,000massppm含有するLPガス(硫黄濃度:約3massppm)をGHSV=9,000h−1にて、常圧で流通させた。反応管入口および出口の硫黄濃度はSCD(Sulfur Chemiluminescence Detector)ガスクロマトグラフィーにより測定した。なお、本試験に用いたLPガス中には若干の水も含まれていたので、本試験の期間中随時その量を測定したが、2〜15massppmの間で変動していた。
脱硫剤NaX−A1について、上記の試験法にて、実験を行った。このとき反応温度は常温(25℃)であった。実験開始後、170時間後に出口ガスの硫黄濃度を測定したところ、検出限界(20massppb)以下であった。
各脱硫剤を用いて同様にして、出口ガスの硫黄濃度が20massppbを突破する時間を様々な条件で比較した。但し、試験時間は最長でも170時間を限度としている。結果を表3に示す。
実施例13および14と比較例7、実施例15および16と比較例8、をそれぞれ比較することにより、銅に少量の銀を添加することで脱硫剤の長寿命化が達成できたことがわかる。
本発明の脱硫方法を用いた燃料電池システムを説明する。図1は本発明の燃料電池システムの一例を示す概略図である。
図1において、LPガスボンベ3内で気化した燃料は減圧弁4を経てNaY−B2を充填した脱硫器5に流入する。この時、脱硫器のGHSVは500h−1に設定する。脱硫器5で脱硫された燃料は、水タンク1から水ポンプ2および気化器6を経て製造された水蒸気と混合され、触媒として2mass%Ru/Al2O3が充填された改質器7に送り込まれる。この時、スチーム/カーボン比は3.0に設定する。また、流通原料の空間速度はWHSVが0.5h−1に設定する。改質器反応管は燃料タンクからの燃料およびアノードオフガスを燃料とするバーナー18により加温され、700℃に調節される。
この様にして製造された水素と一酸化炭素を含有するガスは鉄−クロム系触媒を用いた高温シフト反応器9、銅−亜鉛系触媒を用いた低温シフト反応器10、ルテニウム触媒を用いた選択酸化反応器11を順次通過させることで一酸化炭素濃度は燃料電池の特性に影響を及ぼさない程度まで低減される。
固体高分子形燃料電池17はアノード12、カソード13、固体高分子電解質14からなり、アノード側には上記の方法で得られた高純度の水素を含有する燃料ガスが、カソード側には空気ブロアー8から送られる空気が、それぞれ必要であれば適当な加湿処理を行った後(加湿装置は図示していない)導入される。電気負荷15はアノード、カソードと電気的に連結される。
アノードオフガスはバーナー18において燃焼され改質管の加温に用いられた後排出される。カソードオフガスは排気口16から排出される。
以上の試験装置において、LPガスボンベ中の液化状態においてメタノールを500massppm、水を10massppm、硫黄を7massppm含むLPガスを燃料として用いて運転を行った。アノード入口のガスを分析した結果、水素を72vol%(水蒸気を除外)含んでいた。
試験期間(170時間)中、改質器は正常に作動し触媒の活性低下は認められなかった。燃料電池も正常に作動し電気負荷15も順調に運転された。
2 水ポンプ
3 LPガスボンベ
4 減圧弁
5 脱硫器
6 気化器
7 改質器
8 空気ブロアー
9 高温シフト反応器
10 低温シフト反応器
11 選択酸化反応器
12 アノード
13 カソード
14 固体高分子電解質
15 電気負荷
16 カソードオフガス排出口
17 固体高分子形燃料電池
18 バーナー
Claims (9)
- メタノールが含有された炭化水素系燃料の脱硫方法であって、脱硫剤としてフォージャサイト型ゼオライトに少なくとも銀および銅を担持してなるゼオライト系脱硫剤であり、かつ、銅を脱硫剤全量基準で5〜15mass%、銀を銅に対して1〜20モル%担持することで得られるゼオライト系脱硫剤を用いることを特徴とする炭化水素系燃料の脱硫方法。
- ゼオライトのSiO2/Al2O3比が2〜10の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素系燃料の脱硫方法。
- 反応温度が100℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化水素系燃料の脱硫方法。
- 炭化水素系燃料中のメタノールの濃度が1massppm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化水素系燃料の脱硫方法。
- 炭化水素系燃料が1massppm以上の水を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化水素系燃料の脱硫方法。
- 炭化水素系燃料がLPガスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭化水素系燃料の脱硫方法。
- ゼオライト系脱硫剤が、フォージャサイト型ゼオライトに銀および銅をイオン交換担持することで得られたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の炭化水素系燃料の脱硫方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載された脱硫方法を用いたことを特徴とする燃料電池システム用水素製造装置。
- 請求項1〜7のいずれかに記載された脱硫方法を用いたことを特徴とする燃料電池システム。
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